相続税法
法令番号: 法律第七十三号
公布年月日: 昭和25年3月31日
法令の形式: 法律
相続税法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第七十三号
相続税法
相続税法(昭和二十二年法律第八十七号)の全部を改正する。
目次
第一章
総則(第一條―第十條)
第二章
課税価格、税率及び控除(第十一條―第二十一條)
第三章
財産の評価(第二十二條―第二十六條)
第四章
申告及び納付(第二十七條―第三十四條)
第五章
更正及び決定(第三十五條―第三十七條)
第六章
延納及び物納(第三十八條―第四十三條)
第七章
再調査、審査及び訴訟(第四十四條―第四十八條)
第八章
雑則(第四十九條―第六十七條)
第九章
罰則(第六十八條―第七十四條)
附則
第一章 総則
(納税義務者)
第一條 左に掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
一 相続、遺贈又は贈與に因り財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
二 相続、遺贈又は贈與に因りこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの
(課税財産の範囲)
第二條 前條第一号の規定に該当する者については、その者が相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産の全部に対し、相続税を課する。
2 前條第二号の規定に該当する者については、その者が相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものに対し、相続税を課する。
(相続又は遺贈に因り取得したものとみなす場合)
第三條 左の各号の一に該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈に因り取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人であるときは当該財産を相続に因り取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈に因り取得したものとみなす。
一 被相続人の死亡に因り相続人その他の者が生命保險契約の保險金を取得した場合においては、当該保險金受取人について、当該保險金のうち被相続人が負担した保險料の金額に相当する部分
二 被相続人の死亡に因り相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであつた退職手当金、功労金その他これらに準ずる給與の支給を受けた場合においては、当該給與の支給を受けた者について、当該給與金
三 相続開始の時において、まだ保險事故が発生していない生命保險契約(一定期間内に保險事故が発生しなかつた場合において返還金その他これに準ずるものの支拂がない生命保險契約を除く。)で被相続人が保險料の全部又は一部を負担し、且つ、被相続人以外の者が当該生命保險契約の契約者であるものがある場合においては、当該生命保險契約の契約者について、当該契約に関する権利のうち被相続人が負担した保險料の金額に相当する部分
四 相続開始の時において、まだ定期金給付事由が発生していない郵便年金契約その他の定期金給付契約で被相続人が掛金の全部又は一部を負担し、且つ、被相続人以外の者が当該定期金給付契約の契約者であるものがある場合においては、当該定期金給付契約の契約者について、当該契約に関する権利のうち被相続人が負担した掛金の金額に相当する部分
五 郵便年金契約その他の定期金給付契約で定期金受取人の生存中定期金を給付し、且つ、一定期間内にその者が死亡したときはその死亡後遺族その他の者に対して継続して定期金を給付するものに基いて定期金受取人たる被相続人の死亡後相続人その他の者が定期金受取人となつた場合においては、当該定期金受取人となつた者について、当該定期金給付契約に関する権利のうち被相続人が負担した掛金の金額に相当する部分
六 被相続人の死亡に因り相続人その他の者が恩給法(大正十二年法律第四十八号)の規定による扶助料に関する権利その他定期金に関する権利で契約に基くもの以外のものを取得した場合においては、当該定期金に関する権利を取得した者について、当該定期金に関する権利
2 前項第一号又は第三号から第五号までの規定の適用については、被相続人の被相続人が負担した保險料又は掛金は、被相続人が負担した保險料又は掛金とみなす。但し、同項第三号又は第四号の規定により当該各号に掲げる者が当該被相続人の被相続人から当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈に因り取得したものとみなされた場合においては、当該被相続人の被相続人が負担した保險料又は掛金については、この限りでない。
3 第一項第三号又は第四号の規定の適用については、被相続人の遺言により拂い込まれた保險料又は掛金は、被相続人が負担した保險料又は掛金とみなす。
(贈與又は遺贈に因り取得したものとみなす場合)
第四條 信託行為があつた場合において、委託者以外の者が信託の利益の全部又は一部についての受益者であるときは、当該信託行為があつた時において、当該受益者が、その信託の利益を受ける権利(受益者が信託の利益の一部を受ける場合には、当該信託の利益を受ける権利のうちその受ける利益に相当する部分。以下本條において同じ。)を当該委託者から贈與(当該信託行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。
2 左の各号に掲げる信託について、当該各号に掲げる事由が生じたため委託者以外の者が信託の利益の全部又は一部についての受益者となつた場合においては、その事由が生じた時において、当該受益者となつた者が、その信託の利益を受ける権利を当該委託者から贈與(第一号の受益者の変更が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。
一 委託者が受益者である信託について、受益者が変更されたこと。
二 信託行為により受益者として指定された者が受益の意思表示をしていないため受益者が確定していない信託について、受益者が確定したこと。
三 受益者が存在していない信託について、受益者が存在するに至つたこと。
四 停止條件附で信託の利益を受ける権利を有せしめた信託について、その條件が成就したこと。
3 前項第二号から第四号までに掲げる信託について、当該各号に掲げる事由が生ずる前に信託が終了した場合において、当該信託財産の帰属権利者が当該信託の委託者以外の者であるときは、当該信託が終了した時において、当該信託財産の帰属権利者が、当該財産を当該信託の委託者から贈與に因り取得したものとみなす。
第五條 生命保險契約の保險事故が発生した場合において、当該契約に係る保險料の全部又は一部が保險金受取人以外の者によつて負担されたものであるときは、当該保險事故が発生した時において、保險金受取人が、その取得した保險金のうち当該保險金受取人以外の者が負担した保險料の金額に相当する部分を当該保險料を負担した者から贈與に因り取得したものとみなす。
2 前項の規定は、生命保險契約について返還金その他これに準ずるものの取得があつた場合について準用する。
3 前二項の規定の適用については、第一項(前項において準用する場合を含む。)に規定する保險料を負担した者の被相続人が負担した保險料は、その者が負担した保險料とみなす。但し、第三條第一項第三号の規定により前二項に規定する保險金受取人又は返還金その他これに準ずるものの取得者が当該被相続人から同号に掲げる財産を相続又は遺贈に因り取得したものとみなされた場合においては、当該被相続人が負担した保險料については、この限りでない。
4 第一項の規定は、第三條第一項第一号の規定により第一項に規定する保險金受取人が同号に掲げる保險金を相続又は遺贈に因り取得したものとみなされる場合においては、当該保險金に相当する部分については、適用しない。
第六條 郵便年金契約その他の定期金給付契約の定期金給付事由が発生した場合において、当該契約に係る掛金の全部又は一部が定期金受取人以外の者によつて負担されたものであるときは、当該定期金給付事由が発生した時において、定期金受取人が、その取得した定期金給付契約に関する権利のうち当該定期金受取人以外の者が負担した掛金の金額に相当する部分を当該掛金を負担した者から贈與に因り取得したものとみなす。
2 前項の規定は、郵便年金契約その他の定期金給付契約について返還金その他これに準ずるものの取得があつた場合について準用する。
3 第三條第一項第五号の規定に該当する場合において、同号に規定する郵便年金契約その他の定期金給付契約に係る掛金の全部又は一部が同号に規定する定期金受取人及び被相続人以外の第三者によつて負担されたものであるときは、相続の開始があつた時において、当該定期金受取人が、その取得した定期金給付契約に関する権利のうち当該第三者が負担した掛金の金額に相当する部分を当該第三者から贈與に因り取得したものとみなす。
4 前三項の規定の適用については、第一項(第二項において準用する場合を含む。)又は前項に規定する掛金を負担した者の被相続人が負担した掛金は、その者が負担した掛金とみなす。但し、第三條第一項第四号の規定により前三項に規定する定期金受取人又は返還金その他これに準ずるものの取得者が当該被相続人から同号に掲げる財産を相続又は遺贈に因り取得したものとみなされた場合においては、当該被相続人が負担した掛金については、この限りでない。
第七條 著しく低い価額の対価で財産の讓渡を受けた場合においては、当該財産の讓渡があつた時において、当該財産の讓渡を受けた者が、当該対価と当該讓渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定がある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を讓渡した者から贈與(当該財産の讓渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。但し、当該財産の讓渡が、その讓渡を受ける者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者(民法(明治三十一年法律第九号)第八百七十七條に規定する親族をいう。以下同じ。)から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈與又は遺贈に因り取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。
第八條 対価を支拂わないで又は著しく低い価額の対価で債務の免除、引受又は第三者のためにする債務の弁済に因る利益を受けた場合においては、当該債務の免除、引受又は弁済があつた時において、当該債務の免除、引受又は弁済に因る利益を受けた者が、当該債務の免除、引受又は弁済に係る債務の金額に相当する金額(対価の支拂があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該債務の免除、引受又は弁済をした者から贈與(当該債務の免除、引受又は弁済が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。但し、当該債務の免除、引受又は弁済が左の各号の一に該当する場合においては、その贈與又は遺贈に因り取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。
一 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、当該債務の全部又は一部の免除を受けたとき。
二 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その債務者の扶養義務者によつて当該債務の全部又は一部の引受又は弁済がなされたとき。
第九條 第四條から前條までに規定する場合を除く外、対価を支拂わないで又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支拂があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈與(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。但し、当該行為が、当該利益を受ける者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈與又は遺贈に因り取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。
(財産の所在)
第十條 左の各号に掲げる財産の所在については、当該各号に規定する場所による。
一 動産若しくは不動産又は不動産の上に存する権利については、その動産又は不動産の所在。但し、船舶については、船籍の所在
二 鉱業権又は砂鉱権については、鉱区又は砂鉱区の所在
三 漁業権又は入漁権については、漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区画
四 金融機関に対する預金、貯金、積金又は寄託金で政令で定めるものについては、その預金、貯金、積金又は寄託金の受入をした営業所又は事業所の所在
五 合同運用信託(信託会社又は信託業務を兼営する銀行が引き受けた金銭信託で共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するものをいう。)に関する権利については、その信託の引受をした営業所の所在
六 特許権、実用新案権、意匠権又は商標権については、その登録をした機関の所在
七 前各号に掲げる財産を除く外、営業所又は事業所を有する者の当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の権利については、その営業所又は事業所の所在
2 前項各号に掲げる財産以外の財産の所在については、当該財産の権利者であつた被相続人、遺贈者又は贈與者の住所の所在による。
3 前二項の規定による財産の所在の判定は、当該財産を相続、遺贈又は贈與に因り取得した時の現況による。
第二章 課税価格、税率及び控除
(課税価格)
第十一條 相続、遺贈又は贈與に因り財産を取得した者がその年中におけるこれらの事由に因る財産の取得について第一條第一号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その年中においてこれらの事由に因り取得した財産の価額の合計額をもつて課税価格とする。
2 相続、遺贈又は贈與に因り財産を取得した者がその年中におけるこれらの事由に因る財産の取得について第一條第二号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その年中においてこれらの事由に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものの価額の合計額をもつて課税価格とする。
3 相続、遺贈又は贈與に因り財産を取得した者がその年中におけるこれらの事由に因る財産の取得について第一條第一号及び第二号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その者がこの法律の施行地に住所を有していた期間内にこれらの事由に因り取得した財産の価額及びこの法律の施行地に住所を有していなかつた期間内にこれらの事由に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものの価額の合計額をもつて課税価格とする。
(非課税財産)
第十二條 左に掲げる財産の価額は、課税価格に算入しない。
一 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七條の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物
二 相続又は遺贈に因り取得した墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの
三 法人からの贈與に因り取得した財産(第五條又は第六條の規定により贈與に因り取得したものとみなされる財産を除く。)
四 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈與又は遺贈に因り取得した財産のうち通常必要と認められるもの
五 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産で当然公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
六 政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第四條に規定する公職の候補者が選挙運動に関し贈與に因り取得した金銭で同法第二十八條の規定による報告がなされたもの
2 同一人からその年中に相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産の価額(相続又は遺贈に因り取得した財産について債務控除、配偶者控除又は未成年者控除を受ける場合には、これらの控除後の価額)の合計額のうち三万円までの金額は、課税価格に算入しない。
3 第一項第五号に掲げる財産を取得した者がその財産を取得した日から二年を経過した日において、なお当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合においては、当該財産の価額は、課税価格に算入する。
(債務控除)
第十三條 相続に因り財産を取得した者が第一條第一号の規定に該当する者である場合においては、当該相続に因り取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から左に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用
2 相続に因り財産を取得した者が第一條第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものについては、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人の債務で左に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 その財産に係る公租公課
二 その財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務
三 前二号に掲げる債務を除く外、その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務
四 その財産に関する贈與の義務
五 前各号に掲げる債務を除く外、被相続人が死亡の際この法律の施行地に営業所又は事業所を有していた場合においては、当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の債務
3 前二項の規定による控除を「債務控除」という。
4 第十二條第一項第二号又は第五号に掲げる財産の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額は、債務控除をすることができる金額に算入しない。但し、同條第三項の規定により同條第一項第五号に掲げる財産の価額を課税価格に算入した場合においては、この限りでない。
5 前四項の規定は、民法第九百六十四條の規定による包括遺贈があつた場合における当該遺贈に因り取得した財産の価額について準用する。
第十四條 前條の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
2 前條の規定によりその金額を控除すべき公租公課の金額は、被相続人又は包括遺贈者の死亡の際債務の確定しているものの金額の外、被相続人又は包括遺贈者に係る所得税、富裕税、相続税、再評価税、砂糖消費税、骨牌税、酒税、物品税、揮発油税及び地方税法(昭和二十五年法律第  号)の規定による附加価値税の税額で政令で定めるものを含むものとする。
(配偶者控除)
第十五條 配偶者からの相続又は遺贈に因り財産を取得した場合においては、当該相続又は遺贈に因り取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額(当該財産について債務控除を受ける場合には、その控除後の価額)から当該財産の価額に十分の五の割合を乘じて算出した金額を控除した金額による。(この控除を「配偶者控除」という。)
2 配偶者からの相続又は遺贈に因り財産を取得した者が既に配偶者控除を受けたことがある者である場合においては、その者については、重ねて配偶者控除をしない。
3 配偶者控除を受けることができる者は、左の各号の一に該当する者に限る。但し、第一号又は第二号の規定に該当する者が配偶者控除を受けようとする財産について概算申告書の提出を要する者である場合においては、その者については、第一項の規定に該当する旨の記載をした当該申告書(税務署長において当該申告書の提出期限内に当該申告書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認める者の提出した期限後申告書を含む。)を提出している場合に限る。
一 第一項の規定に該当する旨の記載をした期限内申告書を提出した者
二 第一項の規定に該当する旨の記載をした期限後申告書を提出した者で税務署長において期限内申告書の提出期限内に当該申告書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認めるもの
三 第三十五條第五項の規定により、配偶者控除を受けることができる財産に係る期限内申告書の提出期限前に決定を受けた者
四 第五十七條第一項の規定による明細書(税務署長において当該明細書の提出期限内に当該明細書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認める者が期限後に提出した当該明細書を含む。)を提出した者
(未成年者控除)
第十六條 相続又は遺贈(扶養義務者からの遺贈に限る。)に因り財産を取得した者が第一條第一号の規定に該当し、且つ、十八歳未満の者である場合においては、当該相続又は遺贈に因り取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額(当該財産について債務控除又は配偶者控除を受ける場合には、これらの控除後の価額)から一万円にその者が十八歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乘じて算出した金額を控除した金額による。
2 前項の規定により控除を受けることができる金額がその控除を受ける財産の価額をこえる場合においては、そのこえる部分の金額は、政令の定めるところにより、その控除を受ける者の扶養義務者が同項の相続又は遺贈に係る被相続人又は遺贈者から相続又は遺贈に因り取得した財産の価額(当該財産について債務控除又は配偶者控除を受ける場合には、これらの控除後の価額)から控除し、その控除後の価額をもつて、当該扶養義務者の課税価格に算入すべき当該財産の価額とする。
3 前二項の規定による控除を「未成年者控除」という。
4 第一項の規定に該当する者がその者又はその扶養義務者について既に未成年者控除を受けたことがある者である場合においては、その者又はその扶養義務者が未成年者控除を受けることができる金額は、既に控除を受けた金額が未成年者控除を受けることができる金額(二回以上未成年者控除を受けた場合には、最初に相続又は遺贈に因り財産を取得した際未成年者控除を受けることができる金額とする。)に満たなかつた場合におけるその満たなかつた部分の金額の範囲内に限る。
5 前條第三項の規定は、第一項及び第二項の場合について準用する。
(基礎控除)
第十七條 相続税については、課税価格から十五万円を控除する。但し、既にその控除を受けている場合においては、前年までの分の相続税について控除を受けた金額の合計金額を十五万円から控除した金額を課税価格から控除する。
(税率)
第十八條 相続税は、納税義務者のその年までの課税価格(前條の規定による控除後の課税価格をいう。以下本條において同じ。)の合計額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して算出した金額から、その者の前年までの課税価格の合計額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して算出した金額を控除した差額により、課する。
二十万円以下の金額 百分の二十五
二十万円をこえる金額 百分の三十
五十万円をこえる金額 百分の三十五
百万円をこえる金額 百分の四十
百五十万円をこえる金額 百分の四十五
二百万円をこえる金額 百分の五十
三百万円をこえる金額 百分の五十五
四百万円をこえる金額 百分の六十
五百万円をこえる金額 百分の六十五
七百万円をこえる金額 百分の七十
千万円をこえる金額 百分の七十五
千五百万円をこえる金額 百分の八十
二千五百万円をこえる金額 百分の八十五
五千万円をこえる金額 百分の九十
(相次相続控除)
第十九條 相続又は遺贈に因り財産を取得した場合において、当該相続(以下本條において「第二次相続」という。)に係る被相続人又は当該遺贈者が第二次相続の開始前十年以内に開始した相続(以下本條において「第一次相続」という。)に因り財産を取得したことがある者であるときは、当該被相続人又は遺贈者から相続又は遺贈に因り財産を取得した者については、その者について前條の規定により算出した相続税額から、当該被相続人又は遺贈者が第一次相続に因り財産を取得した日の属する年分の相続税額(利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額、重加算税額及び延滯加算税額に相当する相続税額を除く。)に左の各号に掲げる割合を順次乘じて算出した金額に相当する税額を控除し、その控除後の税額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
一 第一次相続に因り取得した財産(当該相続に係る被相続人から遺贈に因り取得した財産を含む。)の価額が当該財産を取得した日の属する年分の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合
二 第二次相続に係る被相続人から相続人及び受遺者の全員が相続又は遺贈に因り取得した財産の価額(課税価格に算入される部分の価額に限る。)の合計額の当該被相続人が第一次相続に因り取得した財産(当該相続に係る被相続人から遺贈に因り取得した財産を含む。)の価額(課税価格に算入された部分の価額に限る。)から当該財産を取得した日の属する年分の相続税額に前号の割合を乘じて算出した税額に相当する金額を控除した金額に対する割合(当該割合が百分の百をこえる場合には、百分の百の割合)
三 第二次相続に係る被相続人から相続又は遺贈に因り取得した財産の価額(課税価格に算入される部分の価額に限る。)の第二次相続に係る被相続人から相続人及び受遺者の全員が相続又は遺贈に因り取得した財産の価額(課税価格に算入される部分の価額に限る。)の合計額に対する割合
四 第一次相続開始の時から第二次相続開始の時までの期間に相当する年数を十年から控除した年数(当該年数が一年未満であるとき又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)の十年に対する割合
2 前項の場合において、第一次相続に因り財産を取得した者の当該財産を取得した日の属する年分の相続税額は、第二次相続に係る被相続人から相続又は遺贈に因り取得した財産に係る相続税について最初に提出すべき申告書の提出期限までに当該年分の相続税として納付した又は納付すべきことが確定した税額による。
3 第十五條第三項の規定は、第一項の場合について準用する。
(年長者控除)
第二十條 相続に因り財産を取得した場合において、当該財産を取得した者が被相続人より年長者であるときは、その者については、その者について第十八條の規定により算出した相続税額(前條第一項又は第二十一條第一項の規定による控除を受ける場合には、これらの規定による控除後の税額)から、当該相続税額に当該財産の価額が当該財産を取得した日の属する年分の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乘じて算出した金額の三分の一に相当する税額を控除し、その控除後の税額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
2 前項の規定に該当する者が配偶者控除を受ける場合においては、その者については、同項の規定による控除をしない。
3 第十五條第三項の規定は、第一項の場合について準用する。
(在外財産に対する税額の控除)
第二十一條 相続、遺贈又は贈與に因りこの法律の施行地外にある財産を取得した場合において、当該財産についてその地の法令により相続税に相当する税が課せられたときは、当該財産を取得した者については、その者について第十八條の規定により算出した相続税額からその課せられた税額を控除し、その控除後の税額をもつて、その納付すべき相続税額とする。但し、その控除すべき税額が、その者について第十八條の規定により算出した相続税額に当該財産の価額が当該財産を取得した日の属する年分の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乘じて算出した金額をこえる場合においては、そのこえる部分の金額に相当する税額については、当該控除をしない。
2 第十五條第三項の規定は、前項の場合について準用する。
第三章 財産の評価
(評価の原則)
第二十二條 この章で特別の定のあるものを除く外、相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。
(地上権及び永小作権の評価)
第二十三條 地上権(借地法(大正十年法律第四十九号)に規定する借地権に該当するものを除く。以下同じ。)及び永小作権の価額は、その残存期間に応じ、その目的となつている土地のこれらの権利を取得した時におけるこれらの権利が設定されていない場合の時価に、左に掲げる割合を乘じて算出した金額による。
残存期間が十年以下のもの 百分の五
残存期間が十年をこえ十五年以下のもの 百分の十
残存期間が十五年をこえ二十年以下のもの 百分の二十
残存期間が二十年をこえ二十五年以下のもの 百分の三十
残存期間が二十五年をこえ三十年以下のもの及び地上権で存続期間の定のないもの 百分の四十
残存期間が三十年をこえ三十五年以下のもの 百分の五十
残存期間が三十五年をこえ四十年以下のもの 百分の六十
残存期間が四十年をこえ四十五年以下のもの 百分の七十
残存期間が四十五年をこえ五十年以下のもの 百分の八十
残存期間が五十年をこえるもの 百分の九十
(定期金に関する権利の評価)
第二十四條 郵便年金契約その他の定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利の価額は、左に掲げる金額による。
一 有期定期金については、その残存期間に応じ、その残存期間に受けるべき給付金額の総額に、左に掲げる割合を乘じて計算した金額。但し、一年間に受けるべき金額の十五倍をこえることができない。
残存期間が五年以下のもの 百分の七十
残存期間が五年をこえ十年以下のもの 百分の六十
残存期間が十年をこえ十五年以下のもの 百分の五十
残存期間が十五年をこえ二十五年以下のもの 百分の四十
残存期間が二十五年をこえ三十五年以下のもの 百分の三十
残存期間が三十五年をこえるもの 百分の二十
二 無期定期金については、その一年間に受けるべき金額の十五倍に相当する金額
三 終身定期金については、その目的とされた者の当該契約に関する権利の取得の時における年令に応じ、一年間に受けるべき金額に、左に掲げる倍数を乘じて算出した金額
二十五歳以下の者 十一倍
二十五歳をこえ四十歳以下の者 八倍
四十歳をこえ五十歳以下の者 六倍
五十歳をこえ六十歳以下の者 四倍
六十歳をこえ七十歳以下の者 二倍
七十歳をこえる者 一倍
2 前項に規定する定期金給付契約に関する権利で同項第三号の規定の適用を受けるものにつき、その目的とされた者が当該契約に関する権利を取得した時後確定申告書(第二十八條第四項の規定による確定申告書を除く。)の提出期限(概算申告書を提出すべき場合には、当該申告書の提出期限)までに死亡し、その死亡に因りその給付が終了した場合においては、当該定期金給付契約に関する権利の価額は、前項第三号の規定にかかわらず、その権利者が当該契約に関する権利を取得した時後給付を受けた又は受けるべき金額(当該権利者の遺族その他の第三者が当該権利者の死亡に因り給付を受ける場合には、その給付を受けた又は受けるべき金額を含む。)による。
3 第一項に規定する定期金給付契約に関する権利で、その権利者に対し、一定期間、且つ、その目的とされた者の生存中、定期金を給付する契約に基くものの価額は、同項第一号に規定する有期定期金として算出した金額又は同項第三号に規定する終身定期金として算出した金額のいずれか低い方の金額による。
4 第一項に規定する定期金給付契約に関する権利で、その目的とされた者の生存中定期金を給付し、且つ、一定期間内にその者が死亡したときはその権利者又はその遺族その他の第三者に対し当該期間中継続して定期金を給付する契約に基くものの価額は、同項第一号に規定する有期定期金として算出した金額又は同項第三号に規定する終身定期金として算出した金額のいずれか高い方の金額による。
5 前各項の規定は、恩給法の規定による扶助料に関する権利その他定期金に関する権利で契約に基くもの以外のものの価額の評価について準用する。
第二十五條 郵便年金契約その他の定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生していないものに関する権利の価額は、その掛金の拂込開始の時から当該契約に関する権利を取得した時までの経過期間に応じ、その時までに拂い込まれた掛金の合計金額に、左に掲げる割合を乘じて算出した金額による。
経過期間が五年以下のもの 百分の九十
経過期間が五年をこえ十年以下のもの 百分の百
経過期間が十年をこえ十五年以下のもの 百分の百十
経過期間が十五年をこえるもの 百分の百二十
(生命保險契約に関する権利の評価)
第二十六條 生命保險契約で当該契約に関する権利を取得した時において保險事故が発生していないものに関する権利の価額は、当該契約に関する権利を取得した時までに拂い込まれた保險料の合計金額(その時までに保險料の拂込期日の到来していない部分を除く。)に百分の七十の割合を乘じて算出した金額から、保險金額に百分の二の割合を乘じて算出した金額を控除した金額による。但し、保險料の全額が一時に拂い込まれた生命保險契約に関する権利の価額は、拂込保險料の全額に相当する金額による。
第四章 申告及び納付
(概算申告書)
第二十七條 一月一日から十月末日までの間に相続又は遺贈に因り財産を取得した場合において、当該財産を取得した者が当該期間内に当該相続の開始又は遺贈があつたことを知り、且つ、その年一月一日から当該財産を取得した日までの間に相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産の価額を基礎としてその年分の課税価格を計算した場合において相続税の納税義務がある者であるときは、その者は、当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、当該財産の価額を基礎として計算した課税価格、相続税額その他政令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。(この申告書を「概算申告書」という。)
2 通信、交通その他やむを得ない事由に因り前項に規定する申告書の提出期限内に概算申告書を提出することができない者については、政令の定めるところにより、国税庁長官又は税務署長は、その期限を延長することができる。
3 相続人又は包括受遺者が概算申告書を提出する場合においては、当該申告書に被相続人又は遺贈者の死亡の時における財産及び債務、当該被相続人又は遺贈者から相続人又は受遺者が相続又は遺贈に因り取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細その他政令で定める事項を記載した明細書を添附しなければならない。
(確定申告書)
第二十八條 相続税の納税義務者は、第二項又は第三項の規定に該当する場合を除く外、相続、遺贈又は贈與に因り財産を取得した年の翌年二月一日から同月末日までに、課税価格、相続税額その他政令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。(この申告書を「確定申告書」という。)
2 相続又は遺贈に因り財産を取得した者が当該財産を取得した年の十一月一日から前項に規定する申告書の提出期限までに当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合において、その者が当該財産の価額をその年分の課税価格計算の基礎に算入しないで相続税の納税義務がある者であるときは、その者は、当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、その年分の確定申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3 相続又は遺贈に因り財産を取得した者が当該財産を取得した年の十一月一日以後当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合において、その者が当該財産の価額をその年分の課税価格計算の基礎に算入することに因り相続税の納税義務がある者となつたときは、その者は、当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、その年分の確定申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
4 確定申告書を提出すべき者が当該確定申告書に係る年の翌年一月一日以後当該申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)の提出前に死亡した場合においては、その者の相続人又は包括受遺者は、その相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、政令の定めるところにより、その死亡した者に係る確定申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
5 前三項の規定は、当該各項に規定する申告書の提出期限前に第三十六條の規定による決定の通知があつた場合には、適用しない。
6 前條第二項の規定は、第一項から第四項までの場合について準用する。
7 前條第三條の規定は、第二項から第四項までの場合(第四項の場合にあつては、その死亡した者が第二項又は第三項の規定に該当する者であつた場合に限る。)について準用する。
(最終確定申告書)
第二十九條 相続、遺贈又は贈與に因り財産を取得した者が年の中途で死亡した場合において、その者が当該財産を取得した年の一月一日からその死亡した日までの間にこれらの事由に因り取得した財産の価額を基礎としてその年分の課税価格を計算した場合において相続税の納税義務がある者であつたときは、その者の相続人又は包括受遺者は、その相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、政令の定めるところにより、その死亡した者に係る相続税について、課税価格、相続税額その他必要な事項を記載した申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。(この申告書を「最終確定申告書」という。)
2 第二十七條第二項の規定は、前項の場合について準用する。
(期限後申告書)
第三十條 概算申告書、確定申告書又は最終確定申告書(これらの申告書を「期限内申告書」と総称する。)を提出すべき者は、これらの申告書の提出期限後においても、第三十六條の規定による決定の通知があるまでは、前三條の規定により政令で定める事項を記載した申告書を納税地(第二十八條第四項又は前條第一項に規定する相続人又は包括受遺者が当該申告書を提出する場合には、被相続人又は遺贈者の納税地)の所轄税務署長に提出することができる。(この申告書を「期限後申告書」という。)
2 第二十七條第三項の規定は、概算申告書及び第二十八條第二項又は第三項の規定による確定申告書(同條第二項又は第三項の規定に該当した者について同條第四項の規定により提出する確定申告書を含む。)に係る期限後申告書を提出する場合について準用する。
(修正申告書)
第三十一條 期限内申告書又は期限後申告書を提出した者は、当該申告に係る課税価格又は相続税額に不足額があるときは、第三十六條の規定による更正の通知があるまでは、当該申告に係る課税価格又は相続税額について修正すべき事項その他政令で定める事項を記載した申告書を先に申告書を提出した税務署長に提出することができる。
2 第三十五條の規定による更正又は決定を受けた者は、当該更正又は決定に係る課税価格又は相続税額に不足額があるときは、当該更正又は決定に係る課税価格又は相続税額について修正すべき事項その他政令で定める事項を記載した申告書を当該更正又は決定をした税務署長に提出することができる。
3 前二項の規定による申告書(この申告書を「修正申告書」という。)を提出できる者が死亡した場合においては、その者の相続人又は包括受遺者は、その被相続人又は遺贈者に係る相続税について、修正申告書を提出することができる。
(更正の請求)
第三十二條 期限内申告書又は当該申告書に係る修正申告書を提出した者は、当該申告に係る課税価格若しくは相続税額又は当該修正申告に因り増加した課税価格若しくは相続税額が過大であることを知つたときは、当該申告書の提出期限又は当該修正申告書を提出した日から一月以内に限り、当該申告書又は修正申告書を提出した税務署長に対し、その課税価格又は相続税額につき第三十五條第一項の規定による更正をすべき旨の請求をすることができる。
2 申告書を提出した者又は第三十五條第二項の規定による決定を受けた者は、左の各号の一に該当する事由に因り当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額(当該申告書を提出した後又は当該決定を受けた後修正申告書の提出又は第三十五條第一項若しくは第三項の規定による更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格及び相続税額)が過大となつたときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知つた日の翌日から四月以内に限り、当該申告書を提出した税務署長又は当該決定をした税務署長に対し、その課税価格及び相続税額につき第三十五條第一項又は第三項の規定による更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 第五十五條の規定により分割されていない財産について民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて課税価格が計算されていた場合において当該財産の分割が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つてなされなかつたこと。
二 民法第七百八十七條若しくは第八百九十二條から第八百九十四條までの規定による認知、相続人の廃除若しくはその取消に関する裁判の確定、同法第八百八十四條に規定する相続の回復又は同法第九百十九條第二項の規定による相続の放棄の取消に因り相続人に異動を生じたこと。
三 遺留分による減殺の請求があつたこと。
3 前二項の規定による更正の請求をしようとする者は、当該更正の目的となる課税価格又は相続税額、その請求をしようとする更正後の課税価格又は相続税額、当該更正の請求をする理由その他政令で定める事項を記載した書類を税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、第一項又は第二項の規定による更正の請求があつた場合においては、その請求に係る課税価格又は相続税額の更正をすべきか否かを調査し、その調査に基き、これを更正し、又はその請求の理由がない旨を当該請求をした者に通知する。
5 この法律の施行地に住所及び居所を有しない者が第六十三條に規定する納税管理人の申告をしていないときは、前項の通知に代え、官報に掲載して公告をすることができる。この場合においては、公告の初日から七日を経過した日において同項の通知があつたものとみなす。
6 第一項又は第二項の規定による更正の請求があつた場合においても、税務署長は、税金の徴收を猶予しない。但し、税務署長において相当の事由があると認めたときは、税金の全部又は一部の徴收を猶予することができる。
7 第二十七條第二項及び第二十八條第四項の規定は、第一項又は第二項の規定による更正の請求について準用する。
(納付)
第三十三條 期限内申告書を提出した者は、当該申告書の提出期限までに、当該申告書に記載した相続税額に相当する相続税を国に納付しなければならない。但し、左の各号の一に該当する場合においては、その納付すべき相続税は、当該申告書に記載した相続税額から当該各号に掲げる税額を控除した税額による。
一 概算申告書又は当該申告書に係る期限後申告書の提出があつた場合においては、当該申告に係る相続税額(当該申告書を提出した後修正申告書の提出又は第三十五條第一項若しくは第三項の規定による更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る相続税額)
二 概算申告書を提出すべき者が概算申告書又は当該申告書に係る期限後申告書を提出しなかつた場合において、第三十五條第二項の規定による決定があつたときは、当該決定に係る第三十七條の規定による追徴税額(当該決定があつた後修正申告書の提出又は第三十五條第一項若しくは第三項の規定による更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る相続税額)
2 期限後申告書を提出した者は、当該申告書を提出した日に、当該申告書に記載した相続税額に相当する相続税を国に納付しなければならない。但し、前項各号の一に該当する場合においては、その納付すべき相続税は、当該申告書に記載した相続税額から当該各号に掲げる税額を控除した税額による。
3 修正申告書を提出した者は、当該修正申告書を提出した日に、当該修正申告に因り増加した相続税額に相当する相続税を国に納付しなければならない。
4 第二十八條第四項又は第二十九條第一項の規定に該当する場合において、相続人又は包括受遺者が二人以上あるときは、これらの者が当該各項の規定による確定申告書若しくは最終確定申告書又はこれらの申告書に係る期限後申告書に記載し、第一項又は第二項の規定により納付すべき相続税は、被相続人又は遺贈者に係る相続税額をこれらの者が相続又は遺贈に因り受けた利益の価額に按分して計算した額による。
5 第一項から第三項までの規定により相続税を納付すべき者が第一項に規定する納期限までに、又は第二項若しくは第三項に規定する納付の期日に相続税を完納しなかつたときは、税務署長は、国税徴收法(明治三十年法律第二十一号)第九條の規定により、これを督促する。
6 第一項から第三項までの規定による相続税の納付の手続については、政令で定める。
(連帶納付の義務)
第三十四條 相続人又は受遺者が二人以上ある場合においては、これらの者は、その相続又は遺贈に因り財産を取得した年分の相続税額に当該財産の価額が当該相続税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乘じて算出した金額に相当する相続税について、当該相続又は遺贈に因り受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互に連帶納付の責に任ずる。
2 相続人又は包括受遺者が二人以上ある場合においては、これらの者は、被相続人又は遺贈者に係る相続税について、その相続又は遺贈に因り受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互に連帶納付の責に任ずる。
3 相続税の課税価格計算の基礎となつた財産につき贈與、遺贈(包括遺贈を除く。)又は寄附行為に因る移転があつた場合においては、当該贈與若しくは遺贈に因り財産を取得した者又は当該寄附行為に因り設立された法人は、当該贈與、遺贈又は寄附行為をした者の当該財産を課税価格計算の基礎に算入した年分の相続税額に当該財産の価額が当該相続税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乘じて算出した金額に相当する相続税について、その受けた利益の価額に相当する金額を限度として、連帶納付の責に任ずる。
4 財産を贈與した者は、当該贈與に因り財産を取得した者の当該財産を取得した年分の相続税額に当該財産の価額が当該相続税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乘じて算出した金額に相当する相続税について、当該財産の価額に相当する金額を限度として、連帶納付の責に任ずる。
第五章 更正及び決定
(更正及び決定)
第三十五條 税務署長は、期限内申告書、期限後申告書又は修正申告書の提出があつた場合において、当該申告又は修正申告に係る課税価格又は相続税額がその調査したところと異なるときは、その調査により、その課税価格又は相続税額を更正する。
2 税務署長は、期限内申告書を提出する義務があると認められる者が申告書を提出していない場合においては、その調査により、その課税価格及び相続税額(第三十三條第一項各号の一に該当する場合には、当該各号に揚げる税額を控除した税額)を決定する。
3 税務署長は、課税価格又は相続税額の更正又は決定後その更正又は決定に係る課税価格又は相続税額について過不足額があることを知つたときは、その調査により、その課税価格又は相続税額を更正することができる。
4 前三項の場合において、国税庁又は国税局の当該職員の調査があつたときは、税務署長は、当該調査に基き、前三項の規定による課税価格又は相続税額の更正又は決定をすることができる。
5 税務署長は、左の各号の一に該当する場合においては、申告書の提出期限前においても、第二項の規定による決定をすることができる。
一 第二十七條第一項に規定する事由に該当する場合において、被相続人又は遺贈者が死亡した日の翌日から四月を経過したとき。
二 第二十八條第二項から第四項までに規定する事由に該当する場合において、同條第一項に規定する確定申告書の提出期限(同條第六項において準用する第二十七條第二項の規定の適用がある場合には、同項の規定により延長された期限)を経過したとき。
三 第二十九條第一項に規定する事由に該当する場合において、被相続人又は遺贈者が死亡した日の翌日から四月を経過したとき。
(通知)
第三十六條 税務署長は、前條の規定により課税価格又は相続税額を更正し、又は決定した場合においては、その理由、第五十一條第三項の規定により徴收すべき利子税額及び前條第四項の規定に該当する場合にはその旨を附記した書面により、これを納税義務者に通知する。
2 第三十二條第五項の規定は、前項の場合について準用する。
(追徴税額の徴收)
第三十七條 税務署長は、第三十五條の規定により課税価格又は相続税額を更正し、又は決定した場合においては、前條の通知をした日から一月後を納期限として、その追徴税額(その不足税額又はその決定に係る税額をいう。以下同じ。)を徴收する。
第六章 延納及び物納
(延納)
第三十八條 税務署長は、第三十三條第一項から第三項までの規定により納付すべき相続税額又は前條の規定により徴收すべき追徴税額が三万円以上で、且つ、納税義務者について金銭で一時に納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供させ、五年以内の延納を許可することができる。
2 前項の規定により延納を許可することができる相続税額又は追徴税額は、左の各号の一に該当する者が納付する相続税額又はその者から徴收する追徴税額に限る。但し、第一号又は第二号の規定に該当する者が概算申告書の提出を要する場合において、当該申告書(税務署長において当該申告書の提出期限内に当該申告書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認める者の提出した期限後申告書を含む。)を提出しなかつたときは、その者について延納を許可することができる税額は、その者が納付する相続税額又はその者から徴收する追徴税額から当該申告書の提出に因り納付すべきであつた相続税額を控除した税額に限るものとする。
一 期限内申告書を提出した者
二 期限後申告書を提出した者で税務署長において期限内申告書の提出期限内に当該申告書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認めるもの
三 第三十五條第五項の規定により申告書の提出期限前に決定を受けた者
第三十九條 前條第一項の規定による延納の許可を申請しようとする者は、その延納を求めようとする相続税の納期限までに、又は納付の期日に、政令の定めるところにより、金額で一時に納付することを困難とする金額及びその困難とする事由、延納を求めようとする税額及び期間、分納税額及びその納期限その他必要な事項を記載した申請書に担保の提供に関する書類を添え、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 税務署長は、前項の規定による申請書の提出があつた場合においては、当該申請者及び当該申請に係る事項について前條の規定に該当するか否かを調査し、その調査に基き、当該申請に係る税額の全部又は一部について当該申請に係る條件若しくはこれを変更した條件により延納を許可し、又は当該申請を却下する。
3 税務署長は、前項の規定により許可をし、又は却下をした場合においては、当該許可に係る延納税額及び延納の條件又は当該却下をした旨及びその理由を記載した書面により、これを当該申請者に通知する。
4 延納の許可を受けた者は、その後の資力の状況の変化等に因り延納の條件について変更を求めようとする場合においては、その変更を求めようとする條件その他政令で定める事項を記載した申請書を当該延納を許可した税務署長に提出することができる。前二項の規定は、当該申請書の提出があつた場合について準用する。
5 税務署長は、延納の許可を受けた者のその後の資力の状況の変化等に因り当該許可に係る條件により延納を認めることが適当でないと認める場合においては、その者の弁明を聞いた上、その許可を取り消し、又は延納期間の短縮その他延納の條件の変更をすることができる。
6 税務署長は、担保物の価額が減少し、又は保証人の資力が延納税額の納付にたえないこととなつたと認める場合においては、増担保の提供又は保証人の変更その他担保の変更を求めることができる。
7 税務署長は、第五項の規定により延納の許可を取り消し、若しくは延納の條件を変更した場合又は前項の規定により増担保の提供若しくは保証人の変更その他担保の変更を求めようとする場合においては、その旨及びその理由を記載した書面により、これを納税義務者に通知する。
8 延納の許可があつた場合に提供する担保の種類及びその提供の手続について必要な事項は、政令で定める。
第四十條 税務署長は、前條第一項の規定による申請書の提出があつた場合において相当の事由があると認めるときは、税金の全部又は一部の徴收を猶予することができる。
2 税務署長は、延納の許可を受けた者が延納税額(当該税額に係る利子税額を含む。)の滯納その他延納の條件に違反したとき又は前條第六項の規定による求めに応じなかつたときは、その者の弁明を聞いた上、その許可を取り消し、その未納に係る延納税額を一時に徴收することができる。
3 税務署長は、前項の規定により延納の許可を取り消した場合においては、その旨及びその理由を記載した書面により、これを納税義務者に通知する。
4 税務署長は、延納の許可を受けた者が延納税額をその納期限までに完納しなかつた場合においては、国税徴收法第九條の規定により、これを督促する。
5 税務署長は、延納税額(当該税額に係る利子税額を含む。)を滯納し、国税徴收法第九條の規定による督促を受けた者が、期限までに当該税額を完納しなかつた場合においては、担保物を公売して延納税額(利子税額、延滯加算税額、督促手数料及び公売の費用を含む。以下本項において同じ。)に充て、又は保証人に通知して延納税額を納めさせる。この場合において、担保物の公売代金を延納税額に充て過不足額があるときは、その差額を還付し、又は追徴し、保証人が延納税額を完納しないときは、まず納税義務者(連帶納付の責に任ずる者を含む。)に対し滯納処分を行い、不足額があるときに当該保証人に対し滯納処分を行うものとする。
(物納)
第四十一條 税務署長は、納税義務者について第三十三條第一項から第三項までの規定により納付すべき相続税額又は第三十七條の規定により徴收すべき追徴税額を金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、物納を許可することができる。
2 第三十八條第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定による物納に充てることができる財産は、納税義務者の課税価格計算の基礎となつた財産(当該財産により取得した財産を含む。)でこの法律の施行地にあるもののうち左に掲げるものとする。
一 国債及び地方債
二 不動産及び船舶
三 社債及び株式(特別の法律により設立された法人の発行する債券及び出資証券を含む。)及び投資信託の受益証券
四 動産
4 前項第三号又は第四号に掲げる財産を物納に充てることができる場合は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除く外、同項第三号に掲げる財産については同項第一号及び第二号に掲げる財産、同項第四号に掲げる財産については同項第一号から第三号までに掲げる財産で納税義務者が物納申請の際現に有するもののうちに適当な価額のものがない場合に限る。
第四十二條 前條第一項の規定による物納の許可を申請しようとする者は、その物納を求めようとする相続税の納期限までに、又は納付の期日に、政令の定めるところにより、金銭で納付することを困難とする金額及びその困難とする事由、物納を求めようとする税額、物納に充てようとする財産の種類及び価額その他必要な事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 税務署長は、前項の規定による申請書の提出があつた場合においては、当該申請者及び当該申請に係る事項について前條の規定に該当するか否かを調査し、その調査に基き、当該申請に係る税額の全部又は一部について当該申請を許可し、又は当該申請を却下する。但し、当該申請に係る物納財産が管理又は処分をするのに不適当であると認める場合においては、その変更を求め、当該申請者が第四項の規定による申請書を提出するのをまつて当該申請の許可又は却下をすることができる。
3 税務署長は、前項の規定により許可をし、若しくは却下をした場合又は同項但書の規定により物納財産の変更を求めようとする場合においては、当該許可に係る税額及び物納財産若しくは当該却下をした旨及びその理由又は当該変更を求めようとする旨及びその理由を記載した書面により、これを当該申請者に通知する。
4 第二項但書の規定により物納財産の変更を求められた者は、他の財産をもつて物納に充てようとするときは、その旨の通知を受けた日から二十日以内に、その物納に充てようとする財産の種類及び価額その他政令で定める事項を記載した申請書を当該通知をした税務署長に提出しなければならない。当該期間内に申請書の提出がなかつた場合においては、その者は、物納の申請を取り下げたものとみなす。
5 第四十條第一項の規定は、第一項の規定による申請書の提出があつた場合について準用する。
第四十三條 物納財産の收納価額は、課税価格計算の基礎となつた当該財産の価額による。但し、税務署長は、收納の時までに当該財産の状況に著しい変化を生じたときは、收納の時の現況により当該財産の收納価額を定めることができる。
2 物納の許可を受けた税額に相当する相続税は、物納財産の引渡、所有権移転の登記その他法令により第三者に対抗することができる要件を充足した時において、納付があつたものとする。
3 物納の許可を受けて相続税を納付した場合において、その相続税について過誤納額があつたときは、その物納に充てた財産は、政令の定めるところにより、納税義務者の申請により、これを過誤納額の還付に充てることができる。但し、当該財産が換価されていたとき、公用若しくは公共の用に供せられているとき又は過誤納額が当該財産の收納価額の二分の一に満たないときは、この限りでない。
4 前項の規定により過誤納額の還付に充てる場合における当該財産の価額は、收納価額(国がその財産につき有益費を支出したときは、その費用の額に相当する金額を加算した金額)による。
5 物納及び物納財産の收納に関する手続に関し必要な事項は、政令で定める。
第七章 再調査、審査及び訴訟
(再調査)
第四十四條 第三十二條第四項、第三十六條又は第五十三條第五項(第五十四條第四項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた者は、その通知を受けた第三十二條第四項に規定する事項又は課税価格、相続税額若しくは利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額若しくは重加算税額に対して異議があるときは、これらの通知を受けた日から一月以内に、政令の定めるところにより、不服の事由を記載した書面をもつて、当該通知をした税務署長に対し、再調査の請求をすることができる。但し、当該通知に係る事項に関する調査が国税庁又は国税局の当該職員によつてなされた旨の記載がある書面により当該通知を受けた者については、この限りでない。
2 第三十二條第六項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定は、第三十九條第三項(同條第四項において準用する場合を含む。)若しくは第七項、第四十條第三項、第四十二條第三項又は第六十二條第二項の規定による通知を受けた者が当該通知に係る事項に対して異議がある場合について準用する。
4 前項の請求があつた場合においても、当該請求は、その請求の目的となつた処分の効力に影響を及ぼさない。
5 第二十七條第二項の規定は、第一項(第三項において準用する場合を含む。)の場合について準用する。
6 税務署長は、第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定による再調査の請求(以下「再調査の請求」という。)があつた場合において、当該請求の方式又は手続に欠陷があるときは、相当の期間を定めて、その欠陷を補正させることができる。
7 税務署長は、再調査の請求があつた場合において、左の各号の一に該当するときは、当該各号に定める決定をし、その理由を附記した書面により、これを当該請求をした者に通知しなければならない。
一 再調査の請求が第一項の期間経過後になされたとき又は前項の規定により欠陷の補正を求めた場合においてその欠陷が補正されなかつたときは、当該請求を却下する決定
二 再調査の請求の全部についてその理由がないと認めるときは、当該請求を棄却する決定
三 再調査の請求の全部又は一部についてその理由があると認めるときは、再調査の請求の目的となつた処分の全部若しくは一部を取り消し、又は変更する決定
8 第三十二條第五項の規定は、前項の場合について準用する。
(審査)
第四十五條 前條第一項但書(同條第三項において準用する場合を含む。)の規定に該当する者又は同條第七項の規定による通知を受けた者は、同條第一項若しくは第三項に規定する通知に係る事項又は同條第七項の規定による決定(以下「再調査の決定」という。)に対して異議があるときは、同條第一項若しくは第三項に規定する通知又は同條第七項の規定による通知を受けた日から一月以内に、政令の定めるところにより、不服の事由を記載した書面をもつて、当該通知をした税務署長を経由し、国税庁長官又は国税局長に対し、審査の請求をすることができる。この場合において、当該審査の請求が再調査の決定に対するものであるときは、当該再調査の目的となつた処分に対する審査の請求があわせてなされたものとみなす。
2 第二十七條第二項、第三十二條第六項及び前條第四項の規定は、前項の場合について準用する。
3 再調査の請求があつた場合において、左の各号の一に該当するときは、各ゝ当該各号に規定する日において、当該各号に規定する税務署長の管轄区域を所轄する国税局長に対し、第一項の規定による審査の請求(以下「審査の請求」という。)があつたものとみなす。
一 税務署長において再調査の請求を審査の請求として取り扱うことを適当と認め、且つ、再調査の請求をした者がこれに同意したときは、当該同意のあつた日
二 再調査の請求があつた日から三月以内に前條第七項の規定による通知がなされず、且つ、再調査の請求をした者が当該請求を審査の請求として取り扱うことを税務署長に申し出たときは、当該申出のあつた日
4 前條第六項の規定は、審査の請求があつた場合について準用する。
5 国税庁長官又は国税局長は、審査の請求があつた場合において、左の各号の一に該当するときは、当該各号に定める決定をし、その理由を附記した書面により、これを当該請求をした者(第三項の再調査の請求をした者を含む。)に通知しなければならない。この場合において、第一項後段の規定により再調査の目的となつた処分に対する審査の請求があわせてなされたものとみなされる場合には、第二号又は第三号の規定による決定は、その各ゝの請求についてしなければならない。
一 審査の請求が第一項の期間経過後になされたとき又は前項において準用する前條第六項の規定により欠陷の補正を求めた場合においてその欠陷が補正されなかつたときは、当該請求を却下する決定
二 審査の請求の全部についてその理由がないと認めるときは、当該請求を棄却する決定
三 審査の請求の全部又は一部についてその理由があると認めるときは、審査の請求の目的となつた処分の全部若しくは一部を取り消し、又は変更する決定
6 国税庁長官又は国税局長が、前條第七項第一号の規定による再調査の決定に対する審査の請求について前項第二号の規定による決定をしたときは、同項後段の規定にかかわらず、第一項後段の規定によりあわせてなされたものとみなされた再調査の目的となつた処分に対する審査の請求は、棄却されたものとみなす。
7 国税庁長官又は国税局長は、前條第一項に規定する事項について第五項第二号又は第三号の規定による決定をする場合においては、国税庁又は国税局に所属する協議団の協議を経なければならない。
8 第三十二條第五項の規定は、第五項の場合について準用する。
9 第七項に規定する協議団に関し必要な事項は、政令で定める。
(訴願法の不適用)
第四十六條 再調査の請求又は審査の請求の目的となる処分に関する事件については、訴願法(明治二十三年法律第百五号)の規定は、適用しない。
(訴訟)
第四十七條 再調査の請求又は審査の請求の目的となる処分の取消又は変更を求める訴は、第四十五條第五項の規定による決定(以下「審査の決定」という。)を経た後でなければ、提起することができない。但し、再調査の請求があつた日から六月を経過して、なお再調査の決定の通知がないとき、審査の請求があつた日から三月を経過したとき又は再調査の決定若しくは審査の決定を経ることに因り著しい損害を生ずる虞のあるときその他正当な事由があるときは、再調査の決定又は審査の決定を経ないで、訴を提起することができる。
2 再調査の請求若しくは審査の請求の目的となる処分又は審査の決定の取消又は変更を求める訴は、前項但書の規定に該当する場合を除く外、行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)第五條第一項又は第四項の規定にかかわらず、審査の決定の通知を受けた日から三月以内に、提起しなければならない。
3 第一項但書の規定により再調査の請求があつた日から六月を経過した後に当該再調査の目的となつた処分の取消又は変更を求める訴を提起する場合においては、当該再調査の請求があつた日から九月以内に、当該訴を提起しなければならない。
4 前二項の期間は、不変期間とする。
5 前二項に規定する訴が提起された場合においては、国税庁又は国税局の職員は、国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)第五條第一項の規定の適用については、当事者又は参加人となつた税務署長又は国税局長の所部の職員とみなす。
6 第一項但書の規定により訴が提起された場合においても、再調査の請求又は審査の請求がなされている場合には、これらの請求に対して決定をすることを妨げない。
(証拠申出の順序)
第四十八條 前條第二項に規定する訴においては、裁判所が相手方当事者となつた国税庁長官、国税局長又は税務署長の主張を合理的と認めたときは、当該訴を提起した者がまず証拠の申出をし、その後に相手方当事者が証拠の申出をするものとする。
2 相手方当事者は、前項の規定にかかわらず、随時証拠の申出をすることができる。
第八章 雑則
(申告書の公示)
第四十九條 税務署長は、申告書の提出があつたときは、当該申告書の提出があつた日から四月以内に、当該申告書の記載に従い、課税価格が百万円をこえる者について、その者の氏名、納税地及び課税価格を少くとも一月間公示しなければならない。
(第三者通報)
第五十條 納税義務があると認められる者が申告書を提出しなかつた事実又は課税価格若しくは相続税額に不足額があると認められる事実を、政令の定めるところにより、国税庁長官又は国税局長に報告した者がある場合において、税務署長がその報告に因つて課税価格又は相続税額を決定し、又は更正したときは、国税局長は、その報告者に対し、その報告が当該決定又は更正に寄與した程度等に応じ、当該決定又は更正に因り徴收することができた相続税額(利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額、重加算税額及び延滯加算税額に相当する相続税額を除く。)の百分の十以下に相当する金額を報償金として交付することができる。但し、報償金の金額は、五十万円をこえることができない。
2 前項の規定は、その報告が不法の行為に因り知り得た事実又は国若しくは地方公共団体の職員がその職務の遂行に伴い知り得た事実に基くものであるときは、適用しない。
(利子税額)
第五十一條 左の各号の一に該当する場合においては、第五十二條第一項の規定に該当する場合を除く外、当該各号に規定する申告書又は修正申告書を提出した者は、当該各号に掲げる相続税額については、当該各号に掲げる日数に応じ、当該税額百円につき一日四銭の割合を乘じて算出した金額に相当する利子税額をあわせて納付しなければならない。
一 第二十八條第四項に規定する相続人又は包括受遺者が同項の規定による確定申告書を提出した場合において、その被相続人又は遺贈者が同條第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限後に死亡していたときは、第三十三條第一項の規定により納付すべき相続税額について、第二十八條第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限の翌日から当該被相続人又は遺贈者の死亡の日までの日数
二 期限内申告書を提出した者が第三十三條第一項の規定による納期限までに相続税を完納しなかつた場合においては、その未納に係る相続税額について、当該納期限の翌日からその納付の日までの日数
三 期限後申告書又は修正申告書を提出した場合においては、第三十三條第二項又は第三項の規定により納付すべき相続税額について、同條第一項に規定する納期限の翌日からその納付の日までの日数
2 左の各号の一に該当する場合においては、利子税額計算の基礎となるべき日数は、前項第三号の規定にかかわらず、当該各号に掲げる日数による。
一 第二十八條第四項に規定する相続人又は包括受遺者が同項の規定による確定申告書に係る期限後申告書を提出した場合(当該相続人又は包括受遺者が当該申告書を提出した後修正申告書を提出した場合を含む。)において、その被相続人又は遺贈者が同條第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限後に死亡していたときは、前項第三号に掲げる日数と同條第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限の翌日から当該被相続人又は遺贈者の死亡の日までの日数との合計日数
二 期限内申告書を提出した者が当該申告書を提出した後、当該申告書に係る年において相続の開始又は遺贈があつたことを知り、且つ、当該相続又は遺贈に因り取得した財産の価額をその年分の課税価格計算の基礎に算入することに因り当該年分の相続税として納付した又は納付すべき相続税額に不足額が生じたため修正申告書を提出した場合においては、当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日から当該修正申告書の提出に因り第三十三條第三項の規定により納付すべき相続税額の納付の日までの日数
3 税務署長は、第三十七條の規定による追徴税額を徴收する場合においては、第五十二條第一項の規定に該当する場合を除く外、当該追徴税額については、第三十三條第一項に規定する納期限の翌日からその納付の日までの日数に応じ、当該税額百円につき一日四銭の割合を乘じて算出した金額に相当する利子税額をあわせて徴收する。但し、左の各号の一に該当する場合においては、利子税額計算の基礎となるべき日数は、当該各号に掲げる日数による。
一 第二十八條第四項に規定する相続人又は包括受遺者の被相続人又は遺贈者が同條第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限後に死亡していた場合において、当該被相続人又は遺贈者に係る相続税について、第三十五條の規定による更正又は決定があつたときは、本文に規定する日数と第二十八條第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限の翌日から当該被相続人又は遺贈者の死亡の日までの日数との合計日数
二 期限内申告書の提出があつた場合において、前項第二号に規定する事由に因る相続税額の不足額について、第三十五條第一項又は第三項の規定による更正があつたときは、当該申告書を提出した者が前項第二号に規定する相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日から当該更正に係る第三十七條の規定による追徴税額の納付の日までの日数
4 第一項及び前項の場合において、納税義務者が第一項各号に掲げる相続税額又は前項に規定する追徴税額の一部を納付したときは、その納付の日の翌日以後の期間に係る利子税額計算の基礎となる税額は、第一項各号に掲げる相続税額又は前項に規定する追徴税額からその一部納付に係る税額を控除した税額による。
5 第一項及び第三項の規定は、利子税額計算の基礎となる相続税額又は追徴税額が千円未満であるときは、適用しない。当該税額に千円未満の端数があるときは、これを切り捨てて計算する。
6 前五項の規定により計算した利子税額が百円未満であるときは、これを納付することを要しない。
7 第一項第二号の規定に該当する場合及び同項第三号の規定に該当する場合で同号に規定する期限後申告書又は修正申告書を提出した者が第三十三條第二項又は第三項に規定する納付の期日に利子税額を完納しなかつた場合においては、税務署長は、国税徴收法第九條の規定により、その納付すべき利子税額の納付を督促する。
8 納税義務者が第一項の規定により利子税額をあわせて納付すべき場合又は第三項の規定により利子税額をあわせて徴收される場合において、当該納税義務者が納付した税額が第三十三條第一項から第三項までの規定により納付すべき相続税額又は第三十七條の規定により徴收される追徴税額とこれらの税額にあわせて納付すべき利子税額又は徴收される利子税額との合計額に達しないときは、その納付した税額は、当該相続税額又は追徴税額に達するまでは、当該相続税額又は追徴税額に充てられたものとする。但し、国税徴收法第二十八條の規定の適用を妨げない。
(延納税額に対する利子税額)
第五十二條 延納の許可を受けた者は、左の各号の一に該当する場合においては、分納税額を納付する場合に当該各号に掲げる利子税額をあわせて納付しなければならない。前條第六項の規定は、この場合について準用する。
一 第一回に納付すべき分納税額を納付する場合においては、左に掲げる利子税額の合計額に相当する利子税額
イ 当該分納税額を基礎とし、第三十三條第一項に規定する納期限(前條第二項第二号又は第三項第二号の規定に該当する場合には、当該各号に規定する日数計算の起算日。以下本号において同じ。)の翌日から当該分納税額の納付の日までの日数(前條第一項第一号、第二項第一号又は第三項第一号の規定に該当する場合には、当該日数と同條第一項第一号に掲げる日数との合計日数。以下本号において同じ。)に応じ前條の規定に準じて計算した利子税額
ロ 延納税額の総額から当該分納税額を控除した税額を基礎とし、第三十三條第一項に規定する納期限の翌日から当該分納税額の納期限までの日数に応じ前條の規定に準じて計算した利子税額
二 第二回以後に納付すべき分納税額を納付する場合においては、左に掲げる利子税額の合計額に相当する利子税額
イ その回の分納税額を基礎とし、前回の分納税額の納期限の翌日からその回の分納税額の納付の日までの日数に応じ前條の規定に準じて計算した利子税額
ロ 延納税額の総額からその回までの分納税額の合計額を控除した税額を基礎とし、前回の分納税額の納期限の翌日からその回の分納税額の納期限までの日数に応じ前條の規定に準じて計算した利子税額
2 延納の許可を受けた者が分納税額の納期限までに前項の規定による利子税額を完納しなかつた場合においては、税務署長は、国税徴收法第九條の規定により、同項の規定による利子税額の納付を督促する。
3 延納の許可を受けた者が納付した税額が各納期限までに納付すべき分納税額とこれにあわせて納付すべき利子税額との合計額に達しない場合においては、その納付した税額は、当該分納税額に達するまでは、当該分納税額に充てられたものとする。但し、国税徴收法第二十八條の規定の適用を妨げない。
4 延納の許可を受けた者が第三十九條第五項又は第四十條第二項の規定により延納の許可を取り消された場合においては、その者については、その取消があつた時以後に納付すべきであつた分納税額の合計額をその取消があつた時に納期限が到来した分納税額とみなして、前三項の規定を適用する。
(過少申告加算税額及び無申告加算税額)
第五十三條 期限内申告書(第三十八條第二項第二号に掲げる者の提出した期限後申告書を含む。)の提出があつた場合において、第三十五條第一項若しくは第三項の規定による更正があつたとき又は修正申告書の提出があつたときは、税務署長は、当該更正又は修正申告前の申告又は修正申告に係る課税価格又は相続税額に誤があつたことについて正当な事由がないと認める場合には、当該更正に係る第三十七條の規定による追徴税額又は当該修正申告書の提出に因り第三十三條第三項の規定により納付すべき相続税額に百分の五の割合を乘じて算出した金額に相当する過少申告加算税額を徴收する。
2 左の各号の一に該当する場合においては、税務署長は、第一号及び第二号の場合にあつては期限内申告書の提出がなかつたことについて、又、第三号及び第四号の場合にあつては申告書の提出がなかつたことについて、且つ、第二号及び第四号の場合にあつては更正又は修正申告前の申告又は修正申告に係る課税価格又は相続税額に誤があつたことについて正当な事由がないと認める場合には、当該各号に掲げる相続税額に、当該各号に掲げる期間に応じ、その期間が一月以内のときは百分の十の割合、一月をこえ二月以内のときは百分の十五の割合、二月をこえ三月以内のときは百分の二十の割合、三月をこえるときは百分の二十五の割合を乘じて算出した金額に相当する無申告加算税額を徴收する。
一 期限後申告書の提出があつた場合においては、当該申告書の提出に因り第三十三條第二項の規定により納付すべき相続税額について、期限内申告書の提出期限の翌日から当該申告書の提出の日までの期間
二 前号の規定に該当する場合において、第三十五條第一項若しくは第三項の規定による更正があつたとき又は修正申告書の提出があつたときは、当該更正に係る第三十七條の規定による追徴税額又は当該修正申告書の提出に因り第三十三條第三項の規定により納付すべき相続税額について、前号に掲げる期間
三 第三十五條第二項の規定による決定があつた場合においては、当該決定に係る第三十七條の規定による追徴税額について、期限内申告書の提出期限の翌日から当該決定に係る第三十六條の規定による通知の日までの期間
四 前号の規定に該当する場合において、第三十五條第一項若しくは第三項の規定による更正があつたとき又は修正申告書の提出があつたときは、当該更正に係る第三十七條の規定による追徴税額又は当該修正申告書の提出に因り第三十三條第三項の規定により納付すべき相続税額について、期限内申告書の提出期限の翌日から当該更正に係る第三十六條の規定による通知の日又は当該修正申告書の提出の日までの期間
3 期限後申告書又は修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、当該申告書又は修正申告書を提出した納税義務者に係る当該職員の調査に因り第三十五條の規定による決定又は更正があるべきことを予知してなされたものでなかつたときは、税務署長は、当該修正申告書の提出に因り第三十三條第三項の規定により納付すべき相続税額に係る過少申告加算税額又は当該申告書若しくは修正申告書の提出に因り第三十三條第二項若しくは第三項の規定により納付すべき相続税額に百分の五の割合に乘じて算出した金額に相当する無申告加算税額を徴收しない。
4 第五十一條第五項及び第六項の規定は、過少申告加算税額又は無申告加算税額を徴收する場合について準用する。
5 税務署長は、過少申告加算税額又は無申告加算税額を決定したときは、これを納税義務者に通知する。
6 第三十二條第五項の規定は、前項の場合について準用する。
(重加算税額)
第五十四條 前條第一項の規定に該当する場合において、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮裝し、その隠ぺいし、又は仮裝したところに基いて期限内申告書又は修正申告書を提出していたときは、税務署長は、同項の過少申告加算税額に代え、過少申告加算税額計算の基礎となるべき追徴税額又は相続税額に百分の五十の割合に乘じて算出した金額に相当する重加算税額を徴收する。
2 前條第二項の規定に該当する場合において、左の各号の一に該当する事由があるときは、税務署長は、無申告加算税額の外、同項各号に掲げる相続税額又は追徴税額に百分の五十の割合を乘じて算出した金額に相当する重加算税額を徴收する。
一 前條第二項第一号の規定に該当する場合においては、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮裝し、その隠ぺいし、又は仮裝したところに基いて期限内申告書を提出しなかつたこと。
二 前條第二項第二号の規定に該当する場合においては、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮裝し、その隠ぺいし、又は仮裝したところに基いて期限後申告書又は修正申告書を提出していたこと。
三 前條第二項第三号の規定に該当する場合においては、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮裝し、その隠ぺいし、又は仮裝したところに基いて申告書を提出しなかつたこと。
四 前條第二項第四号の規定に該当する場合においては、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮裝し、その隠ぺいし、又は仮裝したところに基いて申告書を提出せず、又は修正申告書を提出していたこと。
3 前二項の規定に該当する場合において、期限後申告書又は修正申告書の提出について、前條第三項に規定する事由があるときは、税務署長は、当該申告書又は修正申告書の提出に因り第三十三條第二項又は第三項の規定により納付すべき相続税額に係る重加算税額を徴收しない。
4 前條第四項から第六項までの規定は、第一項及び第二項の場合について準用する。
(未分割遺産に対する課税)
第五十五條 相続若しくは包括遺贈に因り取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合、当該財産について第五十七條第一項の規定による明細書を提出する場合又は当該財産に係る相続税について第三十五條の規定による更正若しくは決定をする場合において、当該相続又は包括遺贈に因り取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて当該財産を取得したものとみなす。但し、その後において当該財産の分割があり、その分割が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つてなされなかつた場合においては、当該分割に因り取得した財産を基礎として、納税義務者において申告書を提出し、若しくは第三十二條第二項の規定による更正の請求をし、又は税務署長において第三十五條の規定による更正若しくは決定をすることを妨げない。
(贈與財産に関する明細書の提出)
第五十六條 財産を贈與した者は、当該贈與をした年の翌年二月一日から同月末日までに、その年中に贈與した財産(課税価格計算の基礎となるべき財産に限る。)の種類及び価額、受贈者の氏名及び住所その他政令で定める事項を記載した明細書を住所地の所轄税務署長に提出しなければならない。但し、その年中に同一人に対して贈與した財産の価額の合計額が三万円以下である場合においては、その者に対して贈與した財産に関する事項は、当該明細書に記載することを要しない。
2 第二十七條第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定は、同項の明細書を提出すべき期間内にこの法律の施行地に住所を有しない者については、適用しない。
(取得財産に関する明細書の提出)
第五十七條 第一條の規定に該当する者は、その年中に同一人から相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産(課税価格計算の基礎となるべき財産に限る。)の価額の合計額が三万円をこえる場合においては、当該財産を取得した年の翌年二月一日から同月末日まで(その年十一月一日以後当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合には、その知つた日の翌日から四月以内)に、被相続人、遺贈者又は贈與者の異なるごとにその取得した財産の種類及び価額、当該財産取得の事由、当該財産について債務控除、配偶者控除又は未成年者控除を受ける場合にはこれらの控除に関する明細その他政令で定める事項を記載した明細書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 第二十七條第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定は、同項に規定する財産を取得した年分について相続税の納税義務がある者については、適用しない。
(市町村長等の通知)
第五十八條 市町村長その他戸籍に関する事務を管掌する者は、死亡又は失そうに関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を当該届書を提出した者の住所地の所轄税務署長に通知しなければならない。
(調書の提出)
第五十九條 左の各号に掲げる者でこの法律の施行地に営業所、事務所その他これらに準ずるものを有するものは、その月中に支拂つた生命保險金若しくは支給した退職手当金等の給與又は引き受けた信託について、翌月十五日までに、大蔵省令で定める様式に従つて作製した当該各号に掲げる調書を当該調書を作製した営業所、事務所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。但し、当該各号に掲げる受取人別、受給者別又は受益者別若しくは委託者別の保險金額、退職手当金等の金額又は信託の利益を受ける権利若しくは信託財産の価額が大蔵省令で定める額に達しないものについては、当該調書に記載することを要しない。
一 生命保險会社 支拂つた保險金に関する保險金受取人別の調書
二 第三條第一項第二号に規定する退職手当金等の給與を支給した者支給した退職手当金等の給與に関する受給者別の調書
三 信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。) 引き受けた信託(受益者と委託者とが同一人でない信託に限る。)に関する受益者別(第四條第二項第二号から第四号までに掲げる信託にあつては、委託者別)の調書
2 この法律の施行地に営業所又は事務所を有する法人は、相続税の納税義務者又は納税義務があると認められる者について税務署長の請求があつた場合においては、これらの者の財産又は債務について当該請求に係る調書を作製して提出しなければならない。
(当該職員の質問検査権)
第六十條 国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、相続税に関する調査又は相続税の徴收について必要があるときは、左の各号に掲げる者に質問し、又は第一号に掲げる者の財産若しくはその財産に関する帳簿書類を検査することができる。
一 納税義務者又は納税義務があると認められる者
二 第五十六條第一項、第五十七條第一項若しくは前條の規定による明細書若しくは調書を提出した者又はその明細書若しくは調書を提出する義務があると認められる者
三 納税義務者又は納税義務があると認められる者に対し、債権若しくは債務を有していたと認められる者又は債権若しくは債務を有すると認められる者
四 納税義務者又は納税義務があると認められる者が株主若しくは出資者であつたと認められる法人又は株主若しくは出資者であると認められる法人
五 納税義務者又は納税義務があると認められる者に対し、財産を讓渡したと認められる者又は財産を讓渡する義務があると認められる者
六 納税義務者又は納税義務があると認められる者から、財産を讓り受けたと認められる者又は財産を讓り受ける権利があると認められる者
七 納税義務者又は納税義務があると認められる者の財産を保管したと認められる者又はその財産を保管すると認められる者
2 当該職員は、前項の規定による質問又は検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帶し、利害関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(相続財産等の調査)
第六十一條 相続の開始があつた場合においては、当該相続の開始地の所轄税務署長は、当該相続開始の時における被相続人の財産の価額及び債務の金額並びに当該財産及び債務の帰属の状況等を調査し、これを相続人又は受遺者の納税地の所轄税務署長に通知しなければならない。
(納税地)
第六十二條 相続税は、第一條第一号の規定に該当する者については、この法律の施行地にある住所地(この法律の施行地に住所を有しないこととなつた場合には、居所地)をもつて、その納税地とする。
2 第一條第二号の規定に該当する者及び同條第一号の規定に該当する者でこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるものは、納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告しなければならない。その申告がないときは、国税庁長官がその納税地を指定し、これを通知する。
(納税管理人)
第六十三條 第一條第二号の規定に該当する者は、申告書の提出その他相続税に関する一切の事項を処理させるため、この法律の施行地に住所を有する者のうちから納税管理人を定め、納税地の所轄税務署長にその氏名及び住所を申告しなければならない。第一條第一号の規定に該当する者がこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときも、また同様とする。
(同族会社の行為又は計算の否認)
第六十四條 同族会社の行為又は計算で、これを容認した場合においてはその株主若しくは社員又はその親族その他これらの者と政令で定める特別の関係がある者の相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがある場合においては、税務署長は、第三十五條の規定による更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、その認めるところにより、課税価格を計算することができる。
2 前項の「同族会社」とは、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第七條の二に規定する同族会社をいう。
(特別の法人から受ける利益に対する課税)
第六十五條 法人税法第五條第一項第一号又は第三号に掲げる法人で、その施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属等について設立者、社員、理事若しくは監事、当該法人に対し贈與若しくは遺贈をした者又はこれらの者の親族その他これらの者と前條第一項に規定する特別の関係がある者に対し特別の利益を與えるものに対して財産の贈與又は遺贈があつた場合においては、当該財産の贈與又は遺贈があつた時において、当該法人から特別の利益を受ける者が、当該財産(第十二條第一項第五号に掲げる財産を除く。)の贈與又は遺贈に因り受ける利益の価額に相当する金額を当該財産を贈與又は遺贈した者から贈與又は遺贈に因り取得したものとみなす。
2 第十二條第三項の規定は、前項に規定する法人が取得した同條第一項第五号に掲げる財産について同條第三項に規定する事由がある場合について準用する。
3 前二項の規定は、第一項に規定する法人の設立があつた場合において、当該法人から特別の利益を受ける者が当該法人の設立に因り受ける利益について準用する。
(人格のない社団又は財団に対する課税)
第六十六條 代表者又は管理者の定のある人格のない社団又は財団に対し財産の贈與又は遺贈があつた場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに相続税を課する。この場合においては、贈與又は遺贈に因り取得した財産について、当該贈與者又は遺贈者の異なるごとに、当該贈與者又は遺贈者の各一人のみから財産を取得したものとみなして算出した場合の相続税額の合計額をもつて当該社団又は財団の納付すべき相続税額とする。
2 前項の規定は、同項に規定する社団又は財団を設立するために財産の提供があつた場合について準用する。
3 前二項の場合において、第一條の規定の適用については、第一項に規定する社団又は財団の住所は、その主たる営業所又は事務所の所在地にあるものとみなす。
(附加税の禁止)
第六十七條 地方公共団体は、相続税の附加税を課することができない。
第九章 罰則
第六十八條 詐僞その他不正の行為により相続税を免れた者は、三年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の免れた相続税額が五百万円をこえるときは、情状に因り、同項の罰金は、五百万円をこえその免れた相続税額に相当する金額以下とすることができる。
3 第一項の場合においては、税務署長は、直ちに、その免れた相続税を徴收する。
第六十九條 正当の事由がなくて期限内申告書又は第五十七條第一項の規定による明細書をその提出期限内に提出しなかつた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。但し、情状に因り、その刑を免除することができる。
第七十條 左の各号の一に当該する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一 第五十六條第一項の規定による明細書を提出せず、又はその明細書に虚僞の記載をして提出した者
二 第五十七條第一項の規定による明細書に虚僞の記載をして提出した者
三 第五十九條の規定による調書を提出せず、又はその調書に虚僞の記載をして提出した者
四 第六十條の規定による財産又はその財産に関する帳簿書類の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
五 前号の帳簿書類で虚僞の記載をしたものを呈示した者
六 第六十條の規定による質問に対し答弁をしない者
七 前号の質問に対し虚僞の答弁をした者
第七十一條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第六十八條第一項、第六十九條又は前條の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、各本條の罰金刑を科する。
第七十二條 相続税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者が、その事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用したときは、これを二年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第七十三條 他人の相続税について、国税庁長官又は国税局長に対し、第五十條第一項に規定する事実に関する虚僞の報告をした者は、三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第七十四條 第六十八條第一項の罪を犯した者には、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四十八條第二項、第六十三條及び第六十六條の規定は、適用しない。但し、懲役刑に処する場合又は懲役及び罰金を併科する場合における懲役刑については、この限りでない。
附 則
1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。但し、第四十五條第七項の規定は、同年七月一日から施行する。
2 この法律は、本州、北海道、四国、九州及びその附属の島(政令で定める地域を除く。)に、施行する。
3 相続又は遺贈に因り財産を取得した者の被相続人又は遺贈者の死亡の時における住所がこの法律の施行地にある場合においては、当該財産を取得した者については、当分の間、第二十七條第一項中「十月末日」とあるのは、「十二月末日」と読み替えるものとし、同項の規定により申告すべき相続税に係る納税地は、第六十二條の規定にかかわらず、被相続人又は遺贈者の死亡の時における住所地とする。但し、当該納税地の所轄税務署長がした第四十四條第一項又は第三項に規定する通知及びその通知に係る処分は、その者の住所地の所轄税務署長がしたものとみなして当該住所地の所轄税務署長に対し再調査の請求をし、又はこれを被告として訴を提起することを妨げない。
4 この法律は、特別の定のあるものを除く外、昭和二十五年一月一日以後に相続、遺贈又は贈與に因り取得した財産に係る相続税から適用する。
5 昭和二十四年十二月三十一日以前に開始した相続に係る相続税又は同日以前になされた贈與に係る贈與税については、特別の定のあるものを除く外、なお従前の例による。
6 第四條第二項第二号から第四号までに掲げる信託でその信託行為が昭和二十四年十二月三十一日以前になされたものについては、同項及び同條第三項の規定を適用しない。
7 第三條第二項但書、第五條第三項但書又は第六條第四項但書の規定の適用については、昭和二十四年十二月三十一日以前に開始した相続について改正前の相続税法(以下「旧法」という。)第四條第一項第二号又は第五号の規定により相続財産とみなされた生命保險契約又は定期金給付契約に関する権利は、第三條第一項第三号又は第四号の規定によりこれを相続又は遺贈に因り取得したものとみなされたものとみなす。
8 第十九條の規定の適用については、昭和二十四年十二月三十一日以前に第一次相続が開始している場合においては、同條第一項第一号に掲げる割合は百分の百とみなし、当該第一次相続に係る旧法(旧法による改正前の相続税法(明治三十八年法律第十号)を含む。)の規定による相続税額(第二次相続に係る被相続人が納付した又は納付すべき相続税額に限る。)は第二次相続に係る被相続人が第一次相続に因り財産を取得した日の属する年分のこの法律の規定による相続税額とみなす。
9 第七章の規定の適用については、この法律施行後において従前の例により通知された相続税若しくは贈與税の課税価格又は旧法第五十九條第一項に規定する税額は、第三十六條の規定により通知された課税価格又は第五十三條第五項(第五十四條第四項において準用する場合を含む。)の規定により通知された過少申告加算税額、無申告加算税額若しくは重加算税額とみなす。
10 第十九條第一項及び第五十條第一項の規定の適用については、附則第五項に規定する相続税又は贈與税に係る旧法第五十八條第一項(同條第五項において準用する場合を含む。) 又は第五十九條第一項に規定する税額は、第五十一條若しくは第五十二條の規定による利子税額又は第五十三條若しくは第五十四條の規定による過少申告加算税額、無申告加算税額若しくは重加算税額とみなす。
11 第五十條の規定は、この法律施行後報告のあつた分から適用し、この法律施行前に報告のあつた分については、なお従前の例による。
12 第九章の規定は、この法律施行後にした行為について適用し、この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
13 附則第五項に規定する相続税について、この法律施行後旧法第五十一條第一項又は旧法による改正前の相続税法第十七條第一項但書若しくは旧法附則第三條第一項第三号の規定の例により延納を許可する場合においては、その許可すべき延納税額には、附則第十五項又は第十六項の規定による当該相続税に係る利子税額を含まないものとする。
14 附則第五項に規定する相続税又は贈與税について旧法第五十八條又は附則第三條第一項第五号の規定の例により納付し、又は徴收すべき税額でこの法律施行前の期間に対応するものについては、なお従前の例による。
15 附則第五項に規定する相続税又は贈與税について旧法第四十一條若しくは第四十七條又は旧法による改正前の相続税法の規定の例により納付し、又は徴收すべき税額でこの法律施行の際において未納であるもの及びこの法律施行後においてこれらの規定の例により納付し、又は徴收すべきものについては、附則第十六項の規定に該当する場合を除く外、この法律施行後(当該税額に係る納期限がこの法律施行後である場合には、当該納期限後)当該税額を納付し、又は徴收する日までの期間に応じて第五十一條の規定を適用する。
16 附則第五項に規定する相続税について旧法第五十一條第一項又は旧法による改正前の相続税法第十七條第一項但書若しくは旧法附則第三條第一項第三号の規定の例により延納を許可された税額でこの法律施行の際において延納中のもの(滯納中のものを含む。)及びこの法律施行後においてこれらの規定の例により延納を許可される税額については、この法律施行の日(当該税額に係る旧法第四十一條第一項に規定する納期限又は旧法による改正前の相続税法の規定の例による納期限がこの法律施行後である場合には、当該納期限の翌日)を第五十二條第一項各号に規定する日数の起算日とみなして同條の規定を適用する。
17 附則第五項に規定する相続税及び贈與税に係る旧法第五十六條に規定する事項については、同條の規定の例によらない。
18 昭和二十五年一月一日以後この法律施行前に相続又は遺贈に因り財産を取得した者が当該期間内に当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合において、その者が概算申告書を提出すべき者であるときは、その者は、第二十七條第一項又は第二項の規定にかかわらず、この法律施行後四月以内に当該概算申告書を提出しなければならない。
19 前項に規定する期間内に相続、遺贈又は贈與に因り財産を取得した者が当該期間内に死亡し、且つ、その者の相続人又は包括受遺者が当該期間内に相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合において、当該相続人又は包括受遺者がその死亡した者に係る最終確定申告書を提出すべき者であるときは、これらの者は、第二十九條の規定にかかわらず、この法律施行後四月以内に当該最終確定申告書を提出しなければならない。
20 第二十七條第二項の規定は、前二項の場合について準用する。
21 附則第十八項に規定する期間内に開始した相続について旧法の規定により納付した相続税は、国税徴收法第三章ノ三の規定の適用については、当該相続税を納付した日において過誤納に係る国税となつたものとみなす。
22 附則第十八項又は第十九項の規定による概算申告書若しくは最終確定申告書又はこれらの申告書に係る期限後申告書の提出があつた場合において、当該概算申告書若しくは当該申告書に係る期限後申告書を提出した者又は附則第十九項に規定する死亡した者が、前項の規定により過誤納に係る国税となつたものとみなされた相続税を納付し、且つ、これらの申告書を提出した日までに当該税額の全部又は一部の還付を受けていないときは、その還付を受けていない金額は、第三十三條第一項又は第二項の規定の適用については、同條第一項第一号に掲げる税額とみなす。
23 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第五十七條の二の次に次の二條を加える。
第五十七條の三 相続の開始に因り第五條の二第一項の規定により第九條第一項第七号又は第八号に規定する資産の讓渡があつたものとみなされる場合において、納税義務者の納付すべき所得税のうち当該資産の讓渡に係る部分の税額が三万円以上で、且つ、納税義務者について金銭で一時に納付することを困難とする事由があるときは、政府は、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供させ、三年以内の延納を許可することができる。
相続税法第三十九條及び第四十條の規定は、前項の場合について、これを準用する。
延納の許可を受けた者は、その許可を受けた延納税額については、命令の定めるところにより、相続税法第五十二條第一項の規定に準じて計算した利子税額をあわせて納付しなければならない。
相続税法第五十二條第二項乃至第四項の規定は、前項の利子税額について、これを準用する。
第五十七條の四 前條第一項の場合において、納税義務者についてその納付すべき所得税のうち当該資産の讓渡に係る部分の税額を金銭で納付することを困難とする事由があるときは、政府は、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、物納を許可することができる。
相続税法第四十一條第三項及び第四項、第四十二條並びに第四十三條の規定は、前項の場合について、これを準用する。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂
相続税法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第七十三号
相続税法
相続税法(昭和二十二年法律第八十七号)の全部を改正する。
目次
第一章
総則(第一条―第十条)
第二章
課税価格、税率及び控除(第十一条―第二十一条)
第三章
財産の評価(第二十二条―第二十六条)
第四章
申告及び納付(第二十七条―第三十四条)
第五章
更正及び決定(第三十五条―第三十七条)
第六章
延納及び物納(第三十八条―第四十三条)
第七章
再調査、審査及び訴訟(第四十四条―第四十八条)
第八章
雑則(第四十九条―第六十七条)
第九章
罰則(第六十八条―第七十四条)
附則
第一章 総則
(納税義務者)
第一条 左に掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
一 相続、遺贈又は贈与に因り財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
二 相続、遺贈又は贈与に因りこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの
(課税財産の範囲)
第二条 前条第一号の規定に該当する者については、その者が相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産の全部に対し、相続税を課する。
2 前条第二号の規定に該当する者については、その者が相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものに対し、相続税を課する。
(相続又は遺贈に因り取得したものとみなす場合)
第三条 左の各号の一に該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈に因り取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人であるときは当該財産を相続に因り取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈に因り取得したものとみなす。
一 被相続人の死亡に因り相続人その他の者が生命保険契約の保険金を取得した場合においては、当該保険金受取人について、当該保険金のうち被相続人が負担した保険料の金額に相当する部分
二 被相続人の死亡に因り相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであつた退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の支給を受けた場合においては、当該給与の支給を受けた者について、当該給与金
三 相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約(一定期間内に保険事故が発生しなかつた場合において返還金その他これに準ずるものの支払がない生命保険契約を除く。)で被相続人が保険料の全部又は一部を負担し、且つ、被相続人以外の者が当該生命保険契約の契約者であるものがある場合においては、当該生命保険契約の契約者について、当該契約に関する権利のうち被相続人が負担した保険料の金額に相当する部分
四 相続開始の時において、まだ定期金給付事由が発生していない郵便年金契約その他の定期金給付契約で被相続人が掛金の全部又は一部を負担し、且つ、被相続人以外の者が当該定期金給付契約の契約者であるものがある場合においては、当該定期金給付契約の契約者について、当該契約に関する権利のうち被相続人が負担した掛金の金額に相当する部分
五 郵便年金契約その他の定期金給付契約で定期金受取人の生存中定期金を給付し、且つ、一定期間内にその者が死亡したときはその死亡後遺族その他の者に対して継続して定期金を給付するものに基いて定期金受取人たる被相続人の死亡後相続人その他の者が定期金受取人となつた場合においては、当該定期金受取人となつた者について、当該定期金給付契約に関する権利のうち被相続人が負担した掛金の金額に相当する部分
六 被相続人の死亡に因り相続人その他の者が恩給法(大正十二年法律第四十八号)の規定による扶助料に関する権利その他定期金に関する権利で契約に基くもの以外のものを取得した場合においては、当該定期金に関する権利を取得した者について、当該定期金に関する権利
2 前項第一号又は第三号から第五号までの規定の適用については、被相続人の被相続人が負担した保険料又は掛金は、被相続人が負担した保険料又は掛金とみなす。但し、同項第三号又は第四号の規定により当該各号に掲げる者が当該被相続人の被相続人から当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈に因り取得したものとみなされた場合においては、当該被相続人の被相続人が負担した保険料又は掛金については、この限りでない。
3 第一項第三号又は第四号の規定の適用については、被相続人の遺言により払い込まれた保険料又は掛金は、被相続人が負担した保険料又は掛金とみなす。
(贈与又は遺贈に因り取得したものとみなす場合)
第四条 信託行為があつた場合において、委託者以外の者が信託の利益の全部又は一部についての受益者であるときは、当該信託行為があつた時において、当該受益者が、その信託の利益を受ける権利(受益者が信託の利益の一部を受ける場合には、当該信託の利益を受ける権利のうちその受ける利益に相当する部分。以下本条において同じ。)を当該委託者から贈与(当該信託行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。
2 左の各号に掲げる信託について、当該各号に掲げる事由が生じたため委託者以外の者が信託の利益の全部又は一部についての受益者となつた場合においては、その事由が生じた時において、当該受益者となつた者が、その信託の利益を受ける権利を当該委託者から贈与(第一号の受益者の変更が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。
一 委託者が受益者である信託について、受益者が変更されたこと。
二 信託行為により受益者として指定された者が受益の意思表示をしていないため受益者が確定していない信託について、受益者が確定したこと。
三 受益者が存在していない信託について、受益者が存在するに至つたこと。
四 停止条件附で信託の利益を受ける権利を有せしめた信託について、その条件が成就したこと。
3 前項第二号から第四号までに掲げる信託について、当該各号に掲げる事由が生ずる前に信託が終了した場合において、当該信託財産の帰属権利者が当該信託の委託者以外の者であるときは、当該信託が終了した時において、当該信託財産の帰属権利者が、当該財産を当該信託の委託者から贈与に因り取得したものとみなす。
第五条 生命保険契約の保険事故が発生した場合において、当該契約に係る保険料の全部又は一部が保険金受取人以外の者によつて負担されたものであるときは、当該保険事故が発生した時において、保険金受取人が、その取得した保険金のうち当該保険金受取人以外の者が負担した保険料の金額に相当する部分を当該保険料を負担した者から贈与に因り取得したものとみなす。
2 前項の規定は、生命保険契約について返還金その他これに準ずるものの取得があつた場合について準用する。
3 前二項の規定の適用については、第一項(前項において準用する場合を含む。)に規定する保険料を負担した者の被相続人が負担した保険料は、その者が負担した保険料とみなす。但し、第三条第一項第三号の規定により前二項に規定する保険金受取人又は返還金その他これに準ずるものの取得者が当該被相続人から同号に掲げる財産を相続又は遺贈に因り取得したものとみなされた場合においては、当該被相続人が負担した保険料については、この限りでない。
4 第一項の規定は、第三条第一項第一号の規定により第一項に規定する保険金受取人が同号に掲げる保険金を相続又は遺贈に因り取得したものとみなされる場合においては、当該保険金に相当する部分については、適用しない。
第六条 郵便年金契約その他の定期金給付契約の定期金給付事由が発生した場合において、当該契約に係る掛金の全部又は一部が定期金受取人以外の者によつて負担されたものであるときは、当該定期金給付事由が発生した時において、定期金受取人が、その取得した定期金給付契約に関する権利のうち当該定期金受取人以外の者が負担した掛金の金額に相当する部分を当該掛金を負担した者から贈与に因り取得したものとみなす。
2 前項の規定は、郵便年金契約その他の定期金給付契約について返還金その他これに準ずるものの取得があつた場合について準用する。
3 第三条第一項第五号の規定に該当する場合において、同号に規定する郵便年金契約その他の定期金給付契約に係る掛金の全部又は一部が同号に規定する定期金受取人及び被相続人以外の第三者によつて負担されたものであるときは、相続の開始があつた時において、当該定期金受取人が、その取得した定期金給付契約に関する権利のうち当該第三者が負担した掛金の金額に相当する部分を当該第三者から贈与に因り取得したものとみなす。
4 前三項の規定の適用については、第一項(第二項において準用する場合を含む。)又は前項に規定する掛金を負担した者の被相続人が負担した掛金は、その者が負担した掛金とみなす。但し、第三条第一項第四号の規定により前三項に規定する定期金受取人又は返還金その他これに準ずるものの取得者が当該被相続人から同号に掲げる財産を相続又は遺贈に因り取得したものとみなされた場合においては、当該被相続人が負担した掛金については、この限りでない。
第七条 著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定がある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。但し、当該財産の譲渡が、その譲渡を受ける者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者(民法(明治三十一年法律第九号)第八百七十七条に規定する親族をいう。以下同じ。)から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈与又は遺贈に因り取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。
第八条 対価を支払わないで又は著しく低い価額の対価で債務の免除、引受又は第三者のためにする債務の弁済に因る利益を受けた場合においては、当該債務の免除、引受又は弁済があつた時において、当該債務の免除、引受又は弁済に因る利益を受けた者が、当該債務の免除、引受又は弁済に係る債務の金額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該債務の免除、引受又は弁済をした者から贈与(当該債務の免除、引受又は弁済が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。但し、当該債務の免除、引受又は弁済が左の各号の一に該当する場合においては、その贈与又は遺贈に因り取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。
一 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、当該債務の全部又は一部の免除を受けたとき。
二 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その債務者の扶養義務者によつて当該債務の全部又は一部の引受又は弁済がなされたとき。
第九条 第四条から前条までに規定する場合を除く外、対価を支払わないで又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)に因り取得したものとみなす。但し、当該行為が、当該利益を受ける者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈与又は遺贈に因り取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。
(財産の所在)
第十条 左の各号に掲げる財産の所在については、当該各号に規定する場所による。
一 動産若しくは不動産又は不動産の上に存する権利については、その動産又は不動産の所在。但し、船舶については、船籍の所在
二 鉱業権又は砂鉱権については、鉱区又は砂鉱区の所在
三 漁業権又は入漁権については、漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区画
四 金融機関に対する預金、貯金、積金又は寄託金で政令で定めるものについては、その預金、貯金、積金又は寄託金の受入をした営業所又は事業所の所在
五 合同運用信託(信託会社又は信託業務を兼営する銀行が引き受けた金銭信託で共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するものをいう。)に関する権利については、その信託の引受をした営業所の所在
六 特許権、実用新案権、意匠権又は商標権については、その登録をした機関の所在
七 前各号に掲げる財産を除く外、営業所又は事業所を有する者の当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の権利については、その営業所又は事業所の所在
2 前項各号に掲げる財産以外の財産の所在については、当該財産の権利者であつた被相続人、遺贈者又は贈与者の住所の所在による。
3 前二項の規定による財産の所在の判定は、当該財産を相続、遺贈又は贈与に因り取得した時の現況による。
第二章 課税価格、税率及び控除
(課税価格)
第十一条 相続、遺贈又は贈与に因り財産を取得した者がその年中におけるこれらの事由に因る財産の取得について第一条第一号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その年中においてこれらの事由に因り取得した財産の価額の合計額をもつて課税価格とする。
2 相続、遺贈又は贈与に因り財産を取得した者がその年中におけるこれらの事由に因る財産の取得について第一条第二号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その年中においてこれらの事由に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものの価額の合計額をもつて課税価格とする。
3 相続、遺贈又は贈与に因り財産を取得した者がその年中におけるこれらの事由に因る財産の取得について第一条第一号及び第二号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その者がこの法律の施行地に住所を有していた期間内にこれらの事由に因り取得した財産の価額及びこの法律の施行地に住所を有していなかつた期間内にこれらの事由に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものの価額の合計額をもつて課税価格とする。
(非課税財産)
第十二条 左に掲げる財産の価額は、課税価格に算入しない。
一 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物
二 相続又は遺贈に因り取得した墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの
三 法人からの贈与に因り取得した財産(第五条又は第六条の規定により贈与に因り取得したものとみなされる財産を除く。)
四 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与又は遺贈に因り取得した財産のうち通常必要と認められるもの
五 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産で当然公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
六 政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第四条に規定する公職の候補者が選挙運動に関し贈与に因り取得した金銭で同法第二十八条の規定による報告がなされたもの
2 同一人からその年中に相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産の価額(相続又は遺贈に因り取得した財産について債務控除、配偶者控除又は未成年者控除を受ける場合には、これらの控除後の価額)の合計額のうち三万円までの金額は、課税価格に算入しない。
3 第一項第五号に掲げる財産を取得した者がその財産を取得した日から二年を経過した日において、なお当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合においては、当該財産の価額は、課税価格に算入する。
(債務控除)
第十三条 相続に因り財産を取得した者が第一条第一号の規定に該当する者である場合においては、当該相続に因り取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から左に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用
2 相続に因り財産を取得した者が第一条第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものについては、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人の債務で左に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 その財産に係る公租公課
二 その財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務
三 前二号に掲げる債務を除く外、その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務
四 その財産に関する贈与の義務
五 前各号に掲げる債務を除く外、被相続人が死亡の際この法律の施行地に営業所又は事業所を有していた場合においては、当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の債務
3 前二項の規定による控除を「債務控除」という。
4 第十二条第一項第二号又は第五号に掲げる財産の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額は、債務控除をすることができる金額に算入しない。但し、同条第三項の規定により同条第一項第五号に掲げる財産の価額を課税価格に算入した場合においては、この限りでない。
5 前四項の規定は、民法第九百六十四条の規定による包括遺贈があつた場合における当該遺贈に因り取得した財産の価額について準用する。
第十四条 前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
2 前条の規定によりその金額を控除すべき公租公課の金額は、被相続人又は包括遺贈者の死亡の際債務の確定しているものの金額の外、被相続人又は包括遺贈者に係る所得税、富裕税、相続税、再評価税、砂糖消費税、骨牌税、酒税、物品税、揮発油税及び地方税法(昭和二十五年法律第  号)の規定による附加価値税の税額で政令で定めるものを含むものとする。
(配偶者控除)
第十五条 配偶者からの相続又は遺贈に因り財産を取得した場合においては、当該相続又は遺贈に因り取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額(当該財産について債務控除を受ける場合には、その控除後の価額)から当該財産の価額に十分の五の割合を乗じて算出した金額を控除した金額による。(この控除を「配偶者控除」という。)
2 配偶者からの相続又は遺贈に因り財産を取得した者が既に配偶者控除を受けたことがある者である場合においては、その者については、重ねて配偶者控除をしない。
3 配偶者控除を受けることができる者は、左の各号の一に該当する者に限る。但し、第一号又は第二号の規定に該当する者が配偶者控除を受けようとする財産について概算申告書の提出を要する者である場合においては、その者については、第一項の規定に該当する旨の記載をした当該申告書(税務署長において当該申告書の提出期限内に当該申告書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認める者の提出した期限後申告書を含む。)を提出している場合に限る。
一 第一項の規定に該当する旨の記載をした期限内申告書を提出した者
二 第一項の規定に該当する旨の記載をした期限後申告書を提出した者で税務署長において期限内申告書の提出期限内に当該申告書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認めるもの
三 第三十五条第五項の規定により、配偶者控除を受けることができる財産に係る期限内申告書の提出期限前に決定を受けた者
四 第五十七条第一項の規定による明細書(税務署長において当該明細書の提出期限内に当該明細書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認める者が期限後に提出した当該明細書を含む。)を提出した者
(未成年者控除)
第十六条 相続又は遺贈(扶養義務者からの遺贈に限る。)に因り財産を取得した者が第一条第一号の規定に該当し、且つ、十八歳未満の者である場合においては、当該相続又は遺贈に因り取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額(当該財産について債務控除又は配偶者控除を受ける場合には、これらの控除後の価額)から一万円にその者が十八歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額による。
2 前項の規定により控除を受けることができる金額がその控除を受ける財産の価額をこえる場合においては、そのこえる部分の金額は、政令の定めるところにより、その控除を受ける者の扶養義務者が同項の相続又は遺贈に係る被相続人又は遺贈者から相続又は遺贈に因り取得した財産の価額(当該財産について債務控除又は配偶者控除を受ける場合には、これらの控除後の価額)から控除し、その控除後の価額をもつて、当該扶養義務者の課税価格に算入すべき当該財産の価額とする。
3 前二項の規定による控除を「未成年者控除」という。
4 第一項の規定に該当する者がその者又はその扶養義務者について既に未成年者控除を受けたことがある者である場合においては、その者又はその扶養義務者が未成年者控除を受けることができる金額は、既に控除を受けた金額が未成年者控除を受けることができる金額(二回以上未成年者控除を受けた場合には、最初に相続又は遺贈に因り財産を取得した際未成年者控除を受けることができる金額とする。)に満たなかつた場合におけるその満たなかつた部分の金額の範囲内に限る。
5 前条第三項の規定は、第一項及び第二項の場合について準用する。
(基礎控除)
第十七条 相続税については、課税価格から十五万円を控除する。但し、既にその控除を受けている場合においては、前年までの分の相続税について控除を受けた金額の合計金額を十五万円から控除した金額を課税価格から控除する。
(税率)
第十八条 相続税は、納税義務者のその年までの課税価格(前条の規定による控除後の課税価格をいう。以下本条において同じ。)の合計額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して算出した金額から、その者の前年までの課税価格の合計額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して算出した金額を控除した差額により、課する。
二十万円以下の金額 百分の二十五
二十万円をこえる金額 百分の三十
五十万円をこえる金額 百分の三十五
百万円をこえる金額 百分の四十
百五十万円をこえる金額 百分の四十五
二百万円をこえる金額 百分の五十
三百万円をこえる金額 百分の五十五
四百万円をこえる金額 百分の六十
五百万円をこえる金額 百分の六十五
七百万円をこえる金額 百分の七十
千万円をこえる金額 百分の七十五
千五百万円をこえる金額 百分の八十
二千五百万円をこえる金額 百分の八十五
五千万円をこえる金額 百分の九十
(相次相続控除)
第十九条 相続又は遺贈に因り財産を取得した場合において、当該相続(以下本条において「第二次相続」という。)に係る被相続人又は当該遺贈者が第二次相続の開始前十年以内に開始した相続(以下本条において「第一次相続」という。)に因り財産を取得したことがある者であるときは、当該被相続人又は遺贈者から相続又は遺贈に因り財産を取得した者については、その者について前条の規定により算出した相続税額から、当該被相続人又は遺贈者が第一次相続に因り財産を取得した日の属する年分の相続税額(利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額、重加算税額及び延滞加算税額に相当する相続税額を除く。)に左の各号に掲げる割合を順次乗じて算出した金額に相当する税額を控除し、その控除後の税額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
一 第一次相続に因り取得した財産(当該相続に係る被相続人から遺贈に因り取得した財産を含む。)の価額が当該財産を取得した日の属する年分の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合
二 第二次相続に係る被相続人から相続人及び受遺者の全員が相続又は遺贈に因り取得した財産の価額(課税価格に算入される部分の価額に限る。)の合計額の当該被相続人が第一次相続に因り取得した財産(当該相続に係る被相続人から遺贈に因り取得した財産を含む。)の価額(課税価格に算入された部分の価額に限る。)から当該財産を取得した日の属する年分の相続税額に前号の割合を乗じて算出した税額に相当する金額を控除した金額に対する割合(当該割合が百分の百をこえる場合には、百分の百の割合)
三 第二次相続に係る被相続人から相続又は遺贈に因り取得した財産の価額(課税価格に算入される部分の価額に限る。)の第二次相続に係る被相続人から相続人及び受遺者の全員が相続又は遺贈に因り取得した財産の価額(課税価格に算入される部分の価額に限る。)の合計額に対する割合
四 第一次相続開始の時から第二次相続開始の時までの期間に相当する年数を十年から控除した年数(当該年数が一年未満であるとき又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)の十年に対する割合
2 前項の場合において、第一次相続に因り財産を取得した者の当該財産を取得した日の属する年分の相続税額は、第二次相続に係る被相続人から相続又は遺贈に因り取得した財産に係る相続税について最初に提出すべき申告書の提出期限までに当該年分の相続税として納付した又は納付すべきことが確定した税額による。
3 第十五条第三項の規定は、第一項の場合について準用する。
(年長者控除)
第二十条 相続に因り財産を取得した場合において、当該財産を取得した者が被相続人より年長者であるときは、その者については、その者について第十八条の規定により算出した相続税額(前条第一項又は第二十一条第一項の規定による控除を受ける場合には、これらの規定による控除後の税額)から、当該相続税額に当該財産の価額が当該財産を取得した日の属する年分の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額の三分の一に相当する税額を控除し、その控除後の税額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
2 前項の規定に該当する者が配偶者控除を受ける場合においては、その者については、同項の規定による控除をしない。
3 第十五条第三項の規定は、第一項の場合について準用する。
(在外財産に対する税額の控除)
第二十一条 相続、遺贈又は贈与に因りこの法律の施行地外にある財産を取得した場合において、当該財産についてその地の法令により相続税に相当する税が課せられたときは、当該財産を取得した者については、その者について第十八条の規定により算出した相続税額からその課せられた税額を控除し、その控除後の税額をもつて、その納付すべき相続税額とする。但し、その控除すべき税額が、その者について第十八条の規定により算出した相続税額に当該財産の価額が当該財産を取得した日の属する年分の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額をこえる場合においては、そのこえる部分の金額に相当する税額については、当該控除をしない。
2 第十五条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
第三章 財産の評価
(評価の原則)
第二十二条 この章で特別の定のあるものを除く外、相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。
(地上権及び永小作権の評価)
第二十三条 地上権(借地法(大正十年法律第四十九号)に規定する借地権に該当するものを除く。以下同じ。)及び永小作権の価額は、その残存期間に応じ、その目的となつている土地のこれらの権利を取得した時におけるこれらの権利が設定されていない場合の時価に、左に掲げる割合を乗じて算出した金額による。
残存期間が十年以下のもの 百分の五
残存期間が十年をこえ十五年以下のもの 百分の十
残存期間が十五年をこえ二十年以下のもの 百分の二十
残存期間が二十年をこえ二十五年以下のもの 百分の三十
残存期間が二十五年をこえ三十年以下のもの及び地上権で存続期間の定のないもの 百分の四十
残存期間が三十年をこえ三十五年以下のもの 百分の五十
残存期間が三十五年をこえ四十年以下のもの 百分の六十
残存期間が四十年をこえ四十五年以下のもの 百分の七十
残存期間が四十五年をこえ五十年以下のもの 百分の八十
残存期間が五十年をこえるもの 百分の九十
(定期金に関する権利の評価)
第二十四条 郵便年金契約その他の定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利の価額は、左に掲げる金額による。
一 有期定期金については、その残存期間に応じ、その残存期間に受けるべき給付金額の総額に、左に掲げる割合を乗じて計算した金額。但し、一年間に受けるべき金額の十五倍をこえることができない。
残存期間が五年以下のもの 百分の七十
残存期間が五年をこえ十年以下のもの 百分の六十
残存期間が十年をこえ十五年以下のもの 百分の五十
残存期間が十五年をこえ二十五年以下のもの 百分の四十
残存期間が二十五年をこえ三十五年以下のもの 百分の三十
残存期間が三十五年をこえるもの 百分の二十
二 無期定期金については、その一年間に受けるべき金額の十五倍に相当する金額
三 終身定期金については、その目的とされた者の当該契約に関する権利の取得の時における年令に応じ、一年間に受けるべき金額に、左に掲げる倍数を乗じて算出した金額
二十五歳以下の者 十一倍
二十五歳をこえ四十歳以下の者 八倍
四十歳をこえ五十歳以下の者 六倍
五十歳をこえ六十歳以下の者 四倍
六十歳をこえ七十歳以下の者 二倍
七十歳をこえる者 一倍
2 前項に規定する定期金給付契約に関する権利で同項第三号の規定の適用を受けるものにつき、その目的とされた者が当該契約に関する権利を取得した時後確定申告書(第二十八条第四項の規定による確定申告書を除く。)の提出期限(概算申告書を提出すべき場合には、当該申告書の提出期限)までに死亡し、その死亡に因りその給付が終了した場合においては、当該定期金給付契約に関する権利の価額は、前項第三号の規定にかかわらず、その権利者が当該契約に関する権利を取得した時後給付を受けた又は受けるべき金額(当該権利者の遺族その他の第三者が当該権利者の死亡に因り給付を受ける場合には、その給付を受けた又は受けるべき金額を含む。)による。
3 第一項に規定する定期金給付契約に関する権利で、その権利者に対し、一定期間、且つ、その目的とされた者の生存中、定期金を給付する契約に基くものの価額は、同項第一号に規定する有期定期金として算出した金額又は同項第三号に規定する終身定期金として算出した金額のいずれか低い方の金額による。
4 第一項に規定する定期金給付契約に関する権利で、その目的とされた者の生存中定期金を給付し、且つ、一定期間内にその者が死亡したときはその権利者又はその遺族その他の第三者に対し当該期間中継続して定期金を給付する契約に基くものの価額は、同項第一号に規定する有期定期金として算出した金額又は同項第三号に規定する終身定期金として算出した金額のいずれか高い方の金額による。
5 前各項の規定は、恩給法の規定による扶助料に関する権利その他定期金に関する権利で契約に基くもの以外のものの価額の評価について準用する。
第二十五条 郵便年金契約その他の定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生していないものに関する権利の価額は、その掛金の払込開始の時から当該契約に関する権利を取得した時までの経過期間に応じ、その時までに払い込まれた掛金の合計金額に、左に掲げる割合を乗じて算出した金額による。
経過期間が五年以下のもの 百分の九十
経過期間が五年をこえ十年以下のもの 百分の百
経過期間が十年をこえ十五年以下のもの 百分の百十
経過期間が十五年をこえるもの 百分の百二十
(生命保険契約に関する権利の評価)
第二十六条 生命保険契約で当該契約に関する権利を取得した時において保険事故が発生していないものに関する権利の価額は、当該契約に関する権利を取得した時までに払い込まれた保険料の合計金額(その時までに保険料の払込期日の到来していない部分を除く。)に百分の七十の割合を乗じて算出した金額から、保険金額に百分の二の割合を乗じて算出した金額を控除した金額による。但し、保険料の全額が一時に払い込まれた生命保険契約に関する権利の価額は、払込保険料の全額に相当する金額による。
第四章 申告及び納付
(概算申告書)
第二十七条 一月一日から十月末日までの間に相続又は遺贈に因り財産を取得した場合において、当該財産を取得した者が当該期間内に当該相続の開始又は遺贈があつたことを知り、且つ、その年一月一日から当該財産を取得した日までの間に相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産の価額を基礎としてその年分の課税価格を計算した場合において相続税の納税義務がある者であるときは、その者は、当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、当該財産の価額を基礎として計算した課税価格、相続税額その他政令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。(この申告書を「概算申告書」という。)
2 通信、交通その他やむを得ない事由に因り前項に規定する申告書の提出期限内に概算申告書を提出することができない者については、政令の定めるところにより、国税庁長官又は税務署長は、その期限を延長することができる。
3 相続人又は包括受遺者が概算申告書を提出する場合においては、当該申告書に被相続人又は遺贈者の死亡の時における財産及び債務、当該被相続人又は遺贈者から相続人又は受遺者が相続又は遺贈に因り取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細その他政令で定める事項を記載した明細書を添附しなければならない。
(確定申告書)
第二十八条 相続税の納税義務者は、第二項又は第三項の規定に該当する場合を除く外、相続、遺贈又は贈与に因り財産を取得した年の翌年二月一日から同月末日までに、課税価格、相続税額その他政令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。(この申告書を「確定申告書」という。)
2 相続又は遺贈に因り財産を取得した者が当該財産を取得した年の十一月一日から前項に規定する申告書の提出期限までに当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合において、その者が当該財産の価額をその年分の課税価格計算の基礎に算入しないで相続税の納税義務がある者であるときは、その者は、当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、その年分の確定申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3 相続又は遺贈に因り財産を取得した者が当該財産を取得した年の十一月一日以後当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合において、その者が当該財産の価額をその年分の課税価格計算の基礎に算入することに因り相続税の納税義務がある者となつたときは、その者は、当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、その年分の確定申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
4 確定申告書を提出すべき者が当該確定申告書に係る年の翌年一月一日以後当該申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)の提出前に死亡した場合においては、その者の相続人又は包括受遺者は、その相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、政令の定めるところにより、その死亡した者に係る確定申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
5 前三項の規定は、当該各項に規定する申告書の提出期限前に第三十六条の規定による決定の通知があつた場合には、適用しない。
6 前条第二項の規定は、第一項から第四項までの場合について準用する。
7 前条第三条の規定は、第二項から第四項までの場合(第四項の場合にあつては、その死亡した者が第二項又は第三項の規定に該当する者であつた場合に限る。)について準用する。
(最終確定申告書)
第二十九条 相続、遺贈又は贈与に因り財産を取得した者が年の中途で死亡した場合において、その者が当該財産を取得した年の一月一日からその死亡した日までの間にこれらの事由に因り取得した財産の価額を基礎としてその年分の課税価格を計算した場合において相続税の納税義務がある者であつたときは、その者の相続人又は包括受遺者は、その相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月以内に、政令の定めるところにより、その死亡した者に係る相続税について、課税価格、相続税額その他必要な事項を記載した申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。(この申告書を「最終確定申告書」という。)
2 第二十七条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
(期限後申告書)
第三十条 概算申告書、確定申告書又は最終確定申告書(これらの申告書を「期限内申告書」と総称する。)を提出すべき者は、これらの申告書の提出期限後においても、第三十六条の規定による決定の通知があるまでは、前三条の規定により政令で定める事項を記載した申告書を納税地(第二十八条第四項又は前条第一項に規定する相続人又は包括受遺者が当該申告書を提出する場合には、被相続人又は遺贈者の納税地)の所轄税務署長に提出することができる。(この申告書を「期限後申告書」という。)
2 第二十七条第三項の規定は、概算申告書及び第二十八条第二項又は第三項の規定による確定申告書(同条第二項又は第三項の規定に該当した者について同条第四項の規定により提出する確定申告書を含む。)に係る期限後申告書を提出する場合について準用する。
(修正申告書)
第三十一条 期限内申告書又は期限後申告書を提出した者は、当該申告に係る課税価格又は相続税額に不足額があるときは、第三十六条の規定による更正の通知があるまでは、当該申告に係る課税価格又は相続税額について修正すべき事項その他政令で定める事項を記載した申告書を先に申告書を提出した税務署長に提出することができる。
2 第三十五条の規定による更正又は決定を受けた者は、当該更正又は決定に係る課税価格又は相続税額に不足額があるときは、当該更正又は決定に係る課税価格又は相続税額について修正すべき事項その他政令で定める事項を記載した申告書を当該更正又は決定をした税務署長に提出することができる。
3 前二項の規定による申告書(この申告書を「修正申告書」という。)を提出できる者が死亡した場合においては、その者の相続人又は包括受遺者は、その被相続人又は遺贈者に係る相続税について、修正申告書を提出することができる。
(更正の請求)
第三十二条 期限内申告書又は当該申告書に係る修正申告書を提出した者は、当該申告に係る課税価格若しくは相続税額又は当該修正申告に因り増加した課税価格若しくは相続税額が過大であることを知つたときは、当該申告書の提出期限又は当該修正申告書を提出した日から一月以内に限り、当該申告書又は修正申告書を提出した税務署長に対し、その課税価格又は相続税額につき第三十五条第一項の規定による更正をすべき旨の請求をすることができる。
2 申告書を提出した者又は第三十五条第二項の規定による決定を受けた者は、左の各号の一に該当する事由に因り当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額(当該申告書を提出した後又は当該決定を受けた後修正申告書の提出又は第三十五条第一項若しくは第三項の規定による更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格及び相続税額)が過大となつたときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知つた日の翌日から四月以内に限り、当該申告書を提出した税務署長又は当該決定をした税務署長に対し、その課税価格及び相続税額につき第三十五条第一項又は第三項の規定による更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 第五十五条の規定により分割されていない財産について民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて課税価格が計算されていた場合において当該財産の分割が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つてなされなかつたこと。
二 民法第七百八十七条若しくは第八百九十二条から第八百九十四条までの規定による認知、相続人の廃除若しくはその取消に関する裁判の確定、同法第八百八十四条に規定する相続の回復又は同法第九百十九条第二項の規定による相続の放棄の取消に因り相続人に異動を生じたこと。
三 遺留分による減殺の請求があつたこと。
3 前二項の規定による更正の請求をしようとする者は、当該更正の目的となる課税価格又は相続税額、その請求をしようとする更正後の課税価格又は相続税額、当該更正の請求をする理由その他政令で定める事項を記載した書類を税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、第一項又は第二項の規定による更正の請求があつた場合においては、その請求に係る課税価格又は相続税額の更正をすべきか否かを調査し、その調査に基き、これを更正し、又はその請求の理由がない旨を当該請求をした者に通知する。
5 この法律の施行地に住所及び居所を有しない者が第六十三条に規定する納税管理人の申告をしていないときは、前項の通知に代え、官報に掲載して公告をすることができる。この場合においては、公告の初日から七日を経過した日において同項の通知があつたものとみなす。
6 第一項又は第二項の規定による更正の請求があつた場合においても、税務署長は、税金の徴収を猶予しない。但し、税務署長において相当の事由があると認めたときは、税金の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
7 第二十七条第二項及び第二十八条第四項の規定は、第一項又は第二項の規定による更正の請求について準用する。
(納付)
第三十三条 期限内申告書を提出した者は、当該申告書の提出期限までに、当該申告書に記載した相続税額に相当する相続税を国に納付しなければならない。但し、左の各号の一に該当する場合においては、その納付すべき相続税は、当該申告書に記載した相続税額から当該各号に掲げる税額を控除した税額による。
一 概算申告書又は当該申告書に係る期限後申告書の提出があつた場合においては、当該申告に係る相続税額(当該申告書を提出した後修正申告書の提出又は第三十五条第一項若しくは第三項の規定による更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る相続税額)
二 概算申告書を提出すべき者が概算申告書又は当該申告書に係る期限後申告書を提出しなかつた場合において、第三十五条第二項の規定による決定があつたときは、当該決定に係る第三十七条の規定による追徴税額(当該決定があつた後修正申告書の提出又は第三十五条第一項若しくは第三項の規定による更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る相続税額)
2 期限後申告書を提出した者は、当該申告書を提出した日に、当該申告書に記載した相続税額に相当する相続税を国に納付しなければならない。但し、前項各号の一に該当する場合においては、その納付すべき相続税は、当該申告書に記載した相続税額から当該各号に掲げる税額を控除した税額による。
3 修正申告書を提出した者は、当該修正申告書を提出した日に、当該修正申告に因り増加した相続税額に相当する相続税を国に納付しなければならない。
4 第二十八条第四項又は第二十九条第一項の規定に該当する場合において、相続人又は包括受遺者が二人以上あるときは、これらの者が当該各項の規定による確定申告書若しくは最終確定申告書又はこれらの申告書に係る期限後申告書に記載し、第一項又は第二項の規定により納付すべき相続税は、被相続人又は遺贈者に係る相続税額をこれらの者が相続又は遺贈に因り受けた利益の価額に按分して計算した額による。
5 第一項から第三項までの規定により相続税を納付すべき者が第一項に規定する納期限までに、又は第二項若しくは第三項に規定する納付の期日に相続税を完納しなかつたときは、税務署長は、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第九条の規定により、これを督促する。
6 第一項から第三項までの規定による相続税の納付の手続については、政令で定める。
(連帯納付の義務)
第三十四条 相続人又は受遺者が二人以上ある場合においては、これらの者は、その相続又は遺贈に因り財産を取得した年分の相続税額に当該財産の価額が当該相続税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額に相当する相続税について、当該相続又は遺贈に因り受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互に連帯納付の責に任ずる。
2 相続人又は包括受遺者が二人以上ある場合においては、これらの者は、被相続人又は遺贈者に係る相続税について、その相続又は遺贈に因り受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互に連帯納付の責に任ずる。
3 相続税の課税価格計算の基礎となつた財産につき贈与、遺贈(包括遺贈を除く。)又は寄附行為に因る移転があつた場合においては、当該贈与若しくは遺贈に因り財産を取得した者又は当該寄附行為に因り設立された法人は、当該贈与、遺贈又は寄附行為をした者の当該財産を課税価格計算の基礎に算入した年分の相続税額に当該財産の価額が当該相続税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額に相当する相続税について、その受けた利益の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責に任ずる。
4 財産を贈与した者は、当該贈与に因り財産を取得した者の当該財産を取得した年分の相続税額に当該財産の価額が当該相続税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額に相当する相続税について、当該財産の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責に任ずる。
第五章 更正及び決定
(更正及び決定)
第三十五条 税務署長は、期限内申告書、期限後申告書又は修正申告書の提出があつた場合において、当該申告又は修正申告に係る課税価格又は相続税額がその調査したところと異なるときは、その調査により、その課税価格又は相続税額を更正する。
2 税務署長は、期限内申告書を提出する義務があると認められる者が申告書を提出していない場合においては、その調査により、その課税価格及び相続税額(第三十三条第一項各号の一に該当する場合には、当該各号に揚げる税額を控除した税額)を決定する。
3 税務署長は、課税価格又は相続税額の更正又は決定後その更正又は決定に係る課税価格又は相続税額について過不足額があることを知つたときは、その調査により、その課税価格又は相続税額を更正することができる。
4 前三項の場合において、国税庁又は国税局の当該職員の調査があつたときは、税務署長は、当該調査に基き、前三項の規定による課税価格又は相続税額の更正又は決定をすることができる。
5 税務署長は、左の各号の一に該当する場合においては、申告書の提出期限前においても、第二項の規定による決定をすることができる。
一 第二十七条第一項に規定する事由に該当する場合において、被相続人又は遺贈者が死亡した日の翌日から四月を経過したとき。
二 第二十八条第二項から第四項までに規定する事由に該当する場合において、同条第一項に規定する確定申告書の提出期限(同条第六項において準用する第二十七条第二項の規定の適用がある場合には、同項の規定により延長された期限)を経過したとき。
三 第二十九条第一項に規定する事由に該当する場合において、被相続人又は遺贈者が死亡した日の翌日から四月を経過したとき。
(通知)
第三十六条 税務署長は、前条の規定により課税価格又は相続税額を更正し、又は決定した場合においては、その理由、第五十一条第三項の規定により徴収すべき利子税額及び前条第四項の規定に該当する場合にはその旨を附記した書面により、これを納税義務者に通知する。
2 第三十二条第五項の規定は、前項の場合について準用する。
(追徴税額の徴収)
第三十七条 税務署長は、第三十五条の規定により課税価格又は相続税額を更正し、又は決定した場合においては、前条の通知をした日から一月後を納期限として、その追徴税額(その不足税額又はその決定に係る税額をいう。以下同じ。)を徴収する。
第六章 延納及び物納
(延納)
第三十八条 税務署長は、第三十三条第一項から第三項までの規定により納付すべき相続税額又は前条の規定により徴収すべき追徴税額が三万円以上で、且つ、納税義務者について金銭で一時に納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供させ、五年以内の延納を許可することができる。
2 前項の規定により延納を許可することができる相続税額又は追徴税額は、左の各号の一に該当する者が納付する相続税額又はその者から徴収する追徴税額に限る。但し、第一号又は第二号の規定に該当する者が概算申告書の提出を要する場合において、当該申告書(税務署長において当該申告書の提出期限内に当該申告書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認める者の提出した期限後申告書を含む。)を提出しなかつたときは、その者について延納を許可することができる税額は、その者が納付する相続税額又はその者から徴収する追徴税額から当該申告書の提出に因り納付すべきであつた相続税額を控除した税額に限るものとする。
一 期限内申告書を提出した者
二 期限後申告書を提出した者で税務署長において期限内申告書の提出期限内に当該申告書を提出しなかつたことについて正当な事由があつたと認めるもの
三 第三十五条第五項の規定により申告書の提出期限前に決定を受けた者
第三十九条 前条第一項の規定による延納の許可を申請しようとする者は、その延納を求めようとする相続税の納期限までに、又は納付の期日に、政令の定めるところにより、金額で一時に納付することを困難とする金額及びその困難とする事由、延納を求めようとする税額及び期間、分納税額及びその納期限その他必要な事項を記載した申請書に担保の提供に関する書類を添え、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 税務署長は、前項の規定による申請書の提出があつた場合においては、当該申請者及び当該申請に係る事項について前条の規定に該当するか否かを調査し、その調査に基き、当該申請に係る税額の全部又は一部について当該申請に係る条件若しくはこれを変更した条件により延納を許可し、又は当該申請を却下する。
3 税務署長は、前項の規定により許可をし、又は却下をした場合においては、当該許可に係る延納税額及び延納の条件又は当該却下をした旨及びその理由を記載した書面により、これを当該申請者に通知する。
4 延納の許可を受けた者は、その後の資力の状況の変化等に因り延納の条件について変更を求めようとする場合においては、その変更を求めようとする条件その他政令で定める事項を記載した申請書を当該延納を許可した税務署長に提出することができる。前二項の規定は、当該申請書の提出があつた場合について準用する。
5 税務署長は、延納の許可を受けた者のその後の資力の状況の変化等に因り当該許可に係る条件により延納を認めることが適当でないと認める場合においては、その者の弁明を聞いた上、その許可を取り消し、又は延納期間の短縮その他延納の条件の変更をすることができる。
6 税務署長は、担保物の価額が減少し、又は保証人の資力が延納税額の納付にたえないこととなつたと認める場合においては、増担保の提供又は保証人の変更その他担保の変更を求めることができる。
7 税務署長は、第五項の規定により延納の許可を取り消し、若しくは延納の条件を変更した場合又は前項の規定により増担保の提供若しくは保証人の変更その他担保の変更を求めようとする場合においては、その旨及びその理由を記載した書面により、これを納税義務者に通知する。
8 延納の許可があつた場合に提供する担保の種類及びその提供の手続について必要な事項は、政令で定める。
第四十条 税務署長は、前条第一項の規定による申請書の提出があつた場合において相当の事由があると認めるときは、税金の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
2 税務署長は、延納の許可を受けた者が延納税額(当該税額に係る利子税額を含む。)の滞納その他延納の条件に違反したとき又は前条第六項の規定による求めに応じなかつたときは、その者の弁明を聞いた上、その許可を取り消し、その未納に係る延納税額を一時に徴収することができる。
3 税務署長は、前項の規定により延納の許可を取り消した場合においては、その旨及びその理由を記載した書面により、これを納税義務者に通知する。
4 税務署長は、延納の許可を受けた者が延納税額をその納期限までに完納しなかつた場合においては、国税徴収法第九条の規定により、これを督促する。
5 税務署長は、延納税額(当該税額に係る利子税額を含む。)を滞納し、国税徴収法第九条の規定による督促を受けた者が、期限までに当該税額を完納しなかつた場合においては、担保物を公売して延納税額(利子税額、延滞加算税額、督促手数料及び公売の費用を含む。以下本項において同じ。)に充て、又は保証人に通知して延納税額を納めさせる。この場合において、担保物の公売代金を延納税額に充て過不足額があるときは、その差額を還付し、又は追徴し、保証人が延納税額を完納しないときは、まず納税義務者(連帯納付の責に任ずる者を含む。)に対し滞納処分を行い、不足額があるときに当該保証人に対し滞納処分を行うものとする。
(物納)
第四十一条 税務署長は、納税義務者について第三十三条第一項から第三項までの規定により納付すべき相続税額又は第三十七条の規定により徴収すべき追徴税額を金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、物納を許可することができる。
2 第三十八条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定による物納に充てることができる財産は、納税義務者の課税価格計算の基礎となつた財産(当該財産により取得した財産を含む。)でこの法律の施行地にあるもののうち左に掲げるものとする。
一 国債及び地方債
二 不動産及び船舶
三 社債及び株式(特別の法律により設立された法人の発行する債券及び出資証券を含む。)及び投資信託の受益証券
四 動産
4 前項第三号又は第四号に掲げる財産を物納に充てることができる場合は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除く外、同項第三号に掲げる財産については同項第一号及び第二号に掲げる財産、同項第四号に掲げる財産については同項第一号から第三号までに掲げる財産で納税義務者が物納申請の際現に有するもののうちに適当な価額のものがない場合に限る。
第四十二条 前条第一項の規定による物納の許可を申請しようとする者は、その物納を求めようとする相続税の納期限までに、又は納付の期日に、政令の定めるところにより、金銭で納付することを困難とする金額及びその困難とする事由、物納を求めようとする税額、物納に充てようとする財産の種類及び価額その他必要な事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 税務署長は、前項の規定による申請書の提出があつた場合においては、当該申請者及び当該申請に係る事項について前条の規定に該当するか否かを調査し、その調査に基き、当該申請に係る税額の全部又は一部について当該申請を許可し、又は当該申請を却下する。但し、当該申請に係る物納財産が管理又は処分をするのに不適当であると認める場合においては、その変更を求め、当該申請者が第四項の規定による申請書を提出するのをまつて当該申請の許可又は却下をすることができる。
3 税務署長は、前項の規定により許可をし、若しくは却下をした場合又は同項但書の規定により物納財産の変更を求めようとする場合においては、当該許可に係る税額及び物納財産若しくは当該却下をした旨及びその理由又は当該変更を求めようとする旨及びその理由を記載した書面により、これを当該申請者に通知する。
4 第二項但書の規定により物納財産の変更を求められた者は、他の財産をもつて物納に充てようとするときは、その旨の通知を受けた日から二十日以内に、その物納に充てようとする財産の種類及び価額その他政令で定める事項を記載した申請書を当該通知をした税務署長に提出しなければならない。当該期間内に申請書の提出がなかつた場合においては、その者は、物納の申請を取り下げたものとみなす。
5 第四十条第一項の規定は、第一項の規定による申請書の提出があつた場合について準用する。
第四十三条 物納財産の収納価額は、課税価格計算の基礎となつた当該財産の価額による。但し、税務署長は、収納の時までに当該財産の状況に著しい変化を生じたときは、収納の時の現況により当該財産の収納価額を定めることができる。
2 物納の許可を受けた税額に相当する相続税は、物納財産の引渡、所有権移転の登記その他法令により第三者に対抗することができる要件を充足した時において、納付があつたものとする。
3 物納の許可を受けて相続税を納付した場合において、その相続税について過誤納額があつたときは、その物納に充てた財産は、政令の定めるところにより、納税義務者の申請により、これを過誤納額の還付に充てることができる。但し、当該財産が換価されていたとき、公用若しくは公共の用に供せられているとき又は過誤納額が当該財産の収納価額の二分の一に満たないときは、この限りでない。
4 前項の規定により過誤納額の還付に充てる場合における当該財産の価額は、収納価額(国がその財産につき有益費を支出したときは、その費用の額に相当する金額を加算した金額)による。
5 物納及び物納財産の収納に関する手続に関し必要な事項は、政令で定める。
第七章 再調査、審査及び訴訟
(再調査)
第四十四条 第三十二条第四項、第三十六条又は第五十三条第五項(第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた者は、その通知を受けた第三十二条第四項に規定する事項又は課税価格、相続税額若しくは利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額若しくは重加算税額に対して異議があるときは、これらの通知を受けた日から一月以内に、政令の定めるところにより、不服の事由を記載した書面をもつて、当該通知をした税務署長に対し、再調査の請求をすることができる。但し、当該通知に係る事項に関する調査が国税庁又は国税局の当該職員によつてなされた旨の記載がある書面により当該通知を受けた者については、この限りでない。
2 第三十二条第六項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定は、第三十九条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第七項、第四十条第三項、第四十二条第三項又は第六十二条第二項の規定による通知を受けた者が当該通知に係る事項に対して異議がある場合について準用する。
4 前項の請求があつた場合においても、当該請求は、その請求の目的となつた処分の効力に影響を及ぼさない。
5 第二十七条第二項の規定は、第一項(第三項において準用する場合を含む。)の場合について準用する。
6 税務署長は、第一項(第三項において準用する場合を含む。)の規定による再調査の請求(以下「再調査の請求」という。)があつた場合において、当該請求の方式又は手続に欠陥があるときは、相当の期間を定めて、その欠陥を補正させることができる。
7 税務署長は、再調査の請求があつた場合において、左の各号の一に該当するときは、当該各号に定める決定をし、その理由を附記した書面により、これを当該請求をした者に通知しなければならない。
一 再調査の請求が第一項の期間経過後になされたとき又は前項の規定により欠陥の補正を求めた場合においてその欠陥が補正されなかつたときは、当該請求を却下する決定
二 再調査の請求の全部についてその理由がないと認めるときは、当該請求を棄却する決定
三 再調査の請求の全部又は一部についてその理由があると認めるときは、再調査の請求の目的となつた処分の全部若しくは一部を取り消し、又は変更する決定
8 第三十二条第五項の規定は、前項の場合について準用する。
(審査)
第四十五条 前条第一項但書(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に該当する者又は同条第七項の規定による通知を受けた者は、同条第一項若しくは第三項に規定する通知に係る事項又は同条第七項の規定による決定(以下「再調査の決定」という。)に対して異議があるときは、同条第一項若しくは第三項に規定する通知又は同条第七項の規定による通知を受けた日から一月以内に、政令の定めるところにより、不服の事由を記載した書面をもつて、当該通知をした税務署長を経由し、国税庁長官又は国税局長に対し、審査の請求をすることができる。この場合において、当該審査の請求が再調査の決定に対するものであるときは、当該再調査の目的となつた処分に対する審査の請求があわせてなされたものとみなす。
2 第二十七条第二項、第三十二条第六項及び前条第四項の規定は、前項の場合について準用する。
3 再調査の請求があつた場合において、左の各号の一に該当するときは、各ゝ当該各号に規定する日において、当該各号に規定する税務署長の管轄区域を所轄する国税局長に対し、第一項の規定による審査の請求(以下「審査の請求」という。)があつたものとみなす。
一 税務署長において再調査の請求を審査の請求として取り扱うことを適当と認め、且つ、再調査の請求をした者がこれに同意したときは、当該同意のあつた日
二 再調査の請求があつた日から三月以内に前条第七項の規定による通知がなされず、且つ、再調査の請求をした者が当該請求を審査の請求として取り扱うことを税務署長に申し出たときは、当該申出のあつた日
4 前条第六項の規定は、審査の請求があつた場合について準用する。
5 国税庁長官又は国税局長は、審査の請求があつた場合において、左の各号の一に該当するときは、当該各号に定める決定をし、その理由を附記した書面により、これを当該請求をした者(第三項の再調査の請求をした者を含む。)に通知しなければならない。この場合において、第一項後段の規定により再調査の目的となつた処分に対する審査の請求があわせてなされたものとみなされる場合には、第二号又は第三号の規定による決定は、その各ゝの請求についてしなければならない。
一 審査の請求が第一項の期間経過後になされたとき又は前項において準用する前条第六項の規定により欠陥の補正を求めた場合においてその欠陥が補正されなかつたときは、当該請求を却下する決定
二 審査の請求の全部についてその理由がないと認めるときは、当該請求を棄却する決定
三 審査の請求の全部又は一部についてその理由があると認めるときは、審査の請求の目的となつた処分の全部若しくは一部を取り消し、又は変更する決定
6 国税庁長官又は国税局長が、前条第七項第一号の規定による再調査の決定に対する審査の請求について前項第二号の規定による決定をしたときは、同項後段の規定にかかわらず、第一項後段の規定によりあわせてなされたものとみなされた再調査の目的となつた処分に対する審査の請求は、棄却されたものとみなす。
7 国税庁長官又は国税局長は、前条第一項に規定する事項について第五項第二号又は第三号の規定による決定をする場合においては、国税庁又は国税局に所属する協議団の協議を経なければならない。
8 第三十二条第五項の規定は、第五項の場合について準用する。
9 第七項に規定する協議団に関し必要な事項は、政令で定める。
(訴願法の不適用)
第四十六条 再調査の請求又は審査の請求の目的となる処分に関する事件については、訴願法(明治二十三年法律第百五号)の規定は、適用しない。
(訴訟)
第四十七条 再調査の請求又は審査の請求の目的となる処分の取消又は変更を求める訴は、第四十五条第五項の規定による決定(以下「審査の決定」という。)を経た後でなければ、提起することができない。但し、再調査の請求があつた日から六月を経過して、なお再調査の決定の通知がないとき、審査の請求があつた日から三月を経過したとき又は再調査の決定若しくは審査の決定を経ることに因り著しい損害を生ずる虞のあるときその他正当な事由があるときは、再調査の決定又は審査の決定を経ないで、訴を提起することができる。
2 再調査の請求若しくは審査の請求の目的となる処分又は審査の決定の取消又は変更を求める訴は、前項但書の規定に該当する場合を除く外、行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)第五条第一項又は第四項の規定にかかわらず、審査の決定の通知を受けた日から三月以内に、提起しなければならない。
3 第一項但書の規定により再調査の請求があつた日から六月を経過した後に当該再調査の目的となつた処分の取消又は変更を求める訴を提起する場合においては、当該再調査の請求があつた日から九月以内に、当該訴を提起しなければならない。
4 前二項の期間は、不変期間とする。
5 前二項に規定する訴が提起された場合においては、国税庁又は国税局の職員は、国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)第五条第一項の規定の適用については、当事者又は参加人となつた税務署長又は国税局長の所部の職員とみなす。
6 第一項但書の規定により訴が提起された場合においても、再調査の請求又は審査の請求がなされている場合には、これらの請求に対して決定をすることを妨げない。
(証拠申出の順序)
第四十八条 前条第二項に規定する訴においては、裁判所が相手方当事者となつた国税庁長官、国税局長又は税務署長の主張を合理的と認めたときは、当該訴を提起した者がまず証拠の申出をし、その後に相手方当事者が証拠の申出をするものとする。
2 相手方当事者は、前項の規定にかかわらず、随時証拠の申出をすることができる。
第八章 雑則
(申告書の公示)
第四十九条 税務署長は、申告書の提出があつたときは、当該申告書の提出があつた日から四月以内に、当該申告書の記載に従い、課税価格が百万円をこえる者について、その者の氏名、納税地及び課税価格を少くとも一月間公示しなければならない。
(第三者通報)
第五十条 納税義務があると認められる者が申告書を提出しなかつた事実又は課税価格若しくは相続税額に不足額があると認められる事実を、政令の定めるところにより、国税庁長官又は国税局長に報告した者がある場合において、税務署長がその報告に因つて課税価格又は相続税額を決定し、又は更正したときは、国税局長は、その報告者に対し、その報告が当該決定又は更正に寄与した程度等に応じ、当該決定又は更正に因り徴収することができた相続税額(利子税額、過少申告加算税額、無申告加算税額、重加算税額及び延滞加算税額に相当する相続税額を除く。)の百分の十以下に相当する金額を報償金として交付することができる。但し、報償金の金額は、五十万円をこえることができない。
2 前項の規定は、その報告が不法の行為に因り知り得た事実又は国若しくは地方公共団体の職員がその職務の遂行に伴い知り得た事実に基くものであるときは、適用しない。
(利子税額)
第五十一条 左の各号の一に該当する場合においては、第五十二条第一項の規定に該当する場合を除く外、当該各号に規定する申告書又は修正申告書を提出した者は、当該各号に掲げる相続税額については、当該各号に掲げる日数に応じ、当該税額百円につき一日四銭の割合を乗じて算出した金額に相当する利子税額をあわせて納付しなければならない。
一 第二十八条第四項に規定する相続人又は包括受遺者が同項の規定による確定申告書を提出した場合において、その被相続人又は遺贈者が同条第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限後に死亡していたときは、第三十三条第一項の規定により納付すべき相続税額について、第二十八条第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限の翌日から当該被相続人又は遺贈者の死亡の日までの日数
二 期限内申告書を提出した者が第三十三条第一項の規定による納期限までに相続税を完納しなかつた場合においては、その未納に係る相続税額について、当該納期限の翌日からその納付の日までの日数
三 期限後申告書又は修正申告書を提出した場合においては、第三十三条第二項又は第三項の規定により納付すべき相続税額について、同条第一項に規定する納期限の翌日からその納付の日までの日数
2 左の各号の一に該当する場合においては、利子税額計算の基礎となるべき日数は、前項第三号の規定にかかわらず、当該各号に掲げる日数による。
一 第二十八条第四項に規定する相続人又は包括受遺者が同項の規定による確定申告書に係る期限後申告書を提出した場合(当該相続人又は包括受遺者が当該申告書を提出した後修正申告書を提出した場合を含む。)において、その被相続人又は遺贈者が同条第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限後に死亡していたときは、前項第三号に掲げる日数と同条第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限の翌日から当該被相続人又は遺贈者の死亡の日までの日数との合計日数
二 期限内申告書を提出した者が当該申告書を提出した後、当該申告書に係る年において相続の開始又は遺贈があつたことを知り、且つ、当該相続又は遺贈に因り取得した財産の価額をその年分の課税価格計算の基礎に算入することに因り当該年分の相続税として納付した又は納付すべき相続税額に不足額が生じたため修正申告書を提出した場合においては、当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日から当該修正申告書の提出に因り第三十三条第三項の規定により納付すべき相続税額の納付の日までの日数
3 税務署長は、第三十七条の規定による追徴税額を徴収する場合においては、第五十二条第一項の規定に該当する場合を除く外、当該追徴税額については、第三十三条第一項に規定する納期限の翌日からその納付の日までの日数に応じ、当該税額百円につき一日四銭の割合を乗じて算出した金額に相当する利子税額をあわせて徴収する。但し、左の各号の一に該当する場合においては、利子税額計算の基礎となるべき日数は、当該各号に掲げる日数による。
一 第二十八条第四項に規定する相続人又は包括受遺者の被相続人又は遺贈者が同条第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限後に死亡していた場合において、当該被相続人又は遺贈者に係る相続税について、第三十五条の規定による更正又は決定があつたときは、本文に規定する日数と第二十八条第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限の翌日から当該被相続人又は遺贈者の死亡の日までの日数との合計日数
二 期限内申告書の提出があつた場合において、前項第二号に規定する事由に因る相続税額の不足額について、第三十五条第一項又は第三項の規定による更正があつたときは、当該申告書を提出した者が前項第二号に規定する相続の開始又は遺贈があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日から当該更正に係る第三十七条の規定による追徴税額の納付の日までの日数
4 第一項及び前項の場合において、納税義務者が第一項各号に掲げる相続税額又は前項に規定する追徴税額の一部を納付したときは、その納付の日の翌日以後の期間に係る利子税額計算の基礎となる税額は、第一項各号に掲げる相続税額又は前項に規定する追徴税額からその一部納付に係る税額を控除した税額による。
5 第一項及び第三項の規定は、利子税額計算の基礎となる相続税額又は追徴税額が千円未満であるときは、適用しない。当該税額に千円未満の端数があるときは、これを切り捨てて計算する。
6 前五項の規定により計算した利子税額が百円未満であるときは、これを納付することを要しない。
7 第一項第二号の規定に該当する場合及び同項第三号の規定に該当する場合で同号に規定する期限後申告書又は修正申告書を提出した者が第三十三条第二項又は第三項に規定する納付の期日に利子税額を完納しなかつた場合においては、税務署長は、国税徴収法第九条の規定により、その納付すべき利子税額の納付を督促する。
8 納税義務者が第一項の規定により利子税額をあわせて納付すべき場合又は第三項の規定により利子税額をあわせて徴収される場合において、当該納税義務者が納付した税額が第三十三条第一項から第三項までの規定により納付すべき相続税額又は第三十七条の規定により徴収される追徴税額とこれらの税額にあわせて納付すべき利子税額又は徴収される利子税額との合計額に達しないときは、その納付した税額は、当該相続税額又は追徴税額に達するまでは、当該相続税額又は追徴税額に充てられたものとする。但し、国税徴収法第二十八条の規定の適用を妨げない。
(延納税額に対する利子税額)
第五十二条 延納の許可を受けた者は、左の各号の一に該当する場合においては、分納税額を納付する場合に当該各号に掲げる利子税額をあわせて納付しなければならない。前条第六項の規定は、この場合について準用する。
一 第一回に納付すべき分納税額を納付する場合においては、左に掲げる利子税額の合計額に相当する利子税額
イ 当該分納税額を基礎とし、第三十三条第一項に規定する納期限(前条第二項第二号又は第三項第二号の規定に該当する場合には、当該各号に規定する日数計算の起算日。以下本号において同じ。)の翌日から当該分納税額の納付の日までの日数(前条第一項第一号、第二項第一号又は第三項第一号の規定に該当する場合には、当該日数と同条第一項第一号に掲げる日数との合計日数。以下本号において同じ。)に応じ前条の規定に準じて計算した利子税額
ロ 延納税額の総額から当該分納税額を控除した税額を基礎とし、第三十三条第一項に規定する納期限の翌日から当該分納税額の納期限までの日数に応じ前条の規定に準じて計算した利子税額
二 第二回以後に納付すべき分納税額を納付する場合においては、左に掲げる利子税額の合計額に相当する利子税額
イ その回の分納税額を基礎とし、前回の分納税額の納期限の翌日からその回の分納税額の納付の日までの日数に応じ前条の規定に準じて計算した利子税額
ロ 延納税額の総額からその回までの分納税額の合計額を控除した税額を基礎とし、前回の分納税額の納期限の翌日からその回の分納税額の納期限までの日数に応じ前条の規定に準じて計算した利子税額
2 延納の許可を受けた者が分納税額の納期限までに前項の規定による利子税額を完納しなかつた場合においては、税務署長は、国税徴収法第九条の規定により、同項の規定による利子税額の納付を督促する。
3 延納の許可を受けた者が納付した税額が各納期限までに納付すべき分納税額とこれにあわせて納付すべき利子税額との合計額に達しない場合においては、その納付した税額は、当該分納税額に達するまでは、当該分納税額に充てられたものとする。但し、国税徴収法第二十八条の規定の適用を妨げない。
4 延納の許可を受けた者が第三十九条第五項又は第四十条第二項の規定により延納の許可を取り消された場合においては、その者については、その取消があつた時以後に納付すべきであつた分納税額の合計額をその取消があつた時に納期限が到来した分納税額とみなして、前三項の規定を適用する。
(過少申告加算税額及び無申告加算税額)
第五十三条 期限内申告書(第三十八条第二項第二号に掲げる者の提出した期限後申告書を含む。)の提出があつた場合において、第三十五条第一項若しくは第三項の規定による更正があつたとき又は修正申告書の提出があつたときは、税務署長は、当該更正又は修正申告前の申告又は修正申告に係る課税価格又は相続税額に誤があつたことについて正当な事由がないと認める場合には、当該更正に係る第三十七条の規定による追徴税額又は当該修正申告書の提出に因り第三十三条第三項の規定により納付すべき相続税額に百分の五の割合を乗じて算出した金額に相当する過少申告加算税額を徴収する。
2 左の各号の一に該当する場合においては、税務署長は、第一号及び第二号の場合にあつては期限内申告書の提出がなかつたことについて、又、第三号及び第四号の場合にあつては申告書の提出がなかつたことについて、且つ、第二号及び第四号の場合にあつては更正又は修正申告前の申告又は修正申告に係る課税価格又は相続税額に誤があつたことについて正当な事由がないと認める場合には、当該各号に掲げる相続税額に、当該各号に掲げる期間に応じ、その期間が一月以内のときは百分の十の割合、一月をこえ二月以内のときは百分の十五の割合、二月をこえ三月以内のときは百分の二十の割合、三月をこえるときは百分の二十五の割合を乗じて算出した金額に相当する無申告加算税額を徴収する。
一 期限後申告書の提出があつた場合においては、当該申告書の提出に因り第三十三条第二項の規定により納付すべき相続税額について、期限内申告書の提出期限の翌日から当該申告書の提出の日までの期間
二 前号の規定に該当する場合において、第三十五条第一項若しくは第三項の規定による更正があつたとき又は修正申告書の提出があつたときは、当該更正に係る第三十七条の規定による追徴税額又は当該修正申告書の提出に因り第三十三条第三項の規定により納付すべき相続税額について、前号に掲げる期間
三 第三十五条第二項の規定による決定があつた場合においては、当該決定に係る第三十七条の規定による追徴税額について、期限内申告書の提出期限の翌日から当該決定に係る第三十六条の規定による通知の日までの期間
四 前号の規定に該当する場合において、第三十五条第一項若しくは第三項の規定による更正があつたとき又は修正申告書の提出があつたときは、当該更正に係る第三十七条の規定による追徴税額又は当該修正申告書の提出に因り第三十三条第三項の規定により納付すべき相続税額について、期限内申告書の提出期限の翌日から当該更正に係る第三十六条の規定による通知の日又は当該修正申告書の提出の日までの期間
3 期限後申告書又は修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、当該申告書又は修正申告書を提出した納税義務者に係る当該職員の調査に因り第三十五条の規定による決定又は更正があるべきことを予知してなされたものでなかつたときは、税務署長は、当該修正申告書の提出に因り第三十三条第三項の規定により納付すべき相続税額に係る過少申告加算税額又は当該申告書若しくは修正申告書の提出に因り第三十三条第二項若しくは第三項の規定により納付すべき相続税額に百分の五の割合に乗じて算出した金額に相当する無申告加算税額を徴収しない。
4 第五十一条第五項及び第六項の規定は、過少申告加算税額又は無申告加算税額を徴収する場合について準用する。
5 税務署長は、過少申告加算税額又は無申告加算税額を決定したときは、これを納税義務者に通知する。
6 第三十二条第五項の規定は、前項の場合について準用する。
(重加算税額)
第五十四条 前条第一項の規定に該当する場合において、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基いて期限内申告書又は修正申告書を提出していたときは、税務署長は、同項の過少申告加算税額に代え、過少申告加算税額計算の基礎となるべき追徴税額又は相続税額に百分の五十の割合に乗じて算出した金額に相当する重加算税額を徴収する。
2 前条第二項の規定に該当する場合において、左の各号の一に該当する事由があるときは、税務署長は、無申告加算税額の外、同項各号に掲げる相続税額又は追徴税額に百分の五十の割合を乗じて算出した金額に相当する重加算税額を徴収する。
一 前条第二項第一号の規定に該当する場合においては、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基いて期限内申告書を提出しなかつたこと。
二 前条第二項第二号の規定に該当する場合においては、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基いて期限後申告書又は修正申告書を提出していたこと。
三 前条第二項第三号の規定に該当する場合においては、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基いて申告書を提出しなかつたこと。
四 前条第二項第四号の規定に該当する場合においては、納税義務者が課税価格計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基いて申告書を提出せず、又は修正申告書を提出していたこと。
3 前二項の規定に該当する場合において、期限後申告書又は修正申告書の提出について、前条第三項に規定する事由があるときは、税務署長は、当該申告書又は修正申告書の提出に因り第三十三条第二項又は第三項の規定により納付すべき相続税額に係る重加算税額を徴収しない。
4 前条第四項から第六項までの規定は、第一項及び第二項の場合について準用する。
(未分割遺産に対する課税)
第五十五条 相続若しくは包括遺贈に因り取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合、当該財産について第五十七条第一項の規定による明細書を提出する場合又は当該財産に係る相続税について第三十五条の規定による更正若しくは決定をする場合において、当該相続又は包括遺贈に因り取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて当該財産を取得したものとみなす。但し、その後において当該財産の分割があり、その分割が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つてなされなかつた場合においては、当該分割に因り取得した財産を基礎として、納税義務者において申告書を提出し、若しくは第三十二条第二項の規定による更正の請求をし、又は税務署長において第三十五条の規定による更正若しくは決定をすることを妨げない。
(贈与財産に関する明細書の提出)
第五十六条 財産を贈与した者は、当該贈与をした年の翌年二月一日から同月末日までに、その年中に贈与した財産(課税価格計算の基礎となるべき財産に限る。)の種類及び価額、受贈者の氏名及び住所その他政令で定める事項を記載した明細書を住所地の所轄税務署長に提出しなければならない。但し、その年中に同一人に対して贈与した財産の価額の合計額が三万円以下である場合においては、その者に対して贈与した財産に関する事項は、当該明細書に記載することを要しない。
2 第二十七条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定は、同項の明細書を提出すべき期間内にこの法律の施行地に住所を有しない者については、適用しない。
(取得財産に関する明細書の提出)
第五十七条 第一条の規定に該当する者は、その年中に同一人から相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産(課税価格計算の基礎となるべき財産に限る。)の価額の合計額が三万円をこえる場合においては、当該財産を取得した年の翌年二月一日から同月末日まで(その年十一月一日以後当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合には、その知つた日の翌日から四月以内)に、被相続人、遺贈者又は贈与者の異なるごとにその取得した財産の種類及び価額、当該財産取得の事由、当該財産について債務控除、配偶者控除又は未成年者控除を受ける場合にはこれらの控除に関する明細その他政令で定める事項を記載した明細書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2 第二十七条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定は、同項に規定する財産を取得した年分について相続税の納税義務がある者については、適用しない。
(市町村長等の通知)
第五十八条 市町村長その他戸籍に関する事務を管掌する者は、死亡又は失そうに関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を当該届書を提出した者の住所地の所轄税務署長に通知しなければならない。
(調書の提出)
第五十九条 左の各号に掲げる者でこの法律の施行地に営業所、事務所その他これらに準ずるものを有するものは、その月中に支払つた生命保険金若しくは支給した退職手当金等の給与又は引き受けた信託について、翌月十五日までに、大蔵省令で定める様式に従つて作製した当該各号に掲げる調書を当該調書を作製した営業所、事務所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。但し、当該各号に掲げる受取人別、受給者別又は受益者別若しくは委託者別の保険金額、退職手当金等の金額又は信託の利益を受ける権利若しくは信託財産の価額が大蔵省令で定める額に達しないものについては、当該調書に記載することを要しない。
一 生命保険会社 支払つた保険金に関する保険金受取人別の調書
二 第三条第一項第二号に規定する退職手当金等の給与を支給した者支給した退職手当金等の給与に関する受給者別の調書
三 信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。) 引き受けた信託(受益者と委託者とが同一人でない信託に限る。)に関する受益者別(第四条第二項第二号から第四号までに掲げる信託にあつては、委託者別)の調書
2 この法律の施行地に営業所又は事務所を有する法人は、相続税の納税義務者又は納税義務があると認められる者について税務署長の請求があつた場合においては、これらの者の財産又は債務について当該請求に係る調書を作製して提出しなければならない。
(当該職員の質問検査権)
第六十条 国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、相続税に関する調査又は相続税の徴収について必要があるときは、左の各号に掲げる者に質問し、又は第一号に掲げる者の財産若しくはその財産に関する帳簿書類を検査することができる。
一 納税義務者又は納税義務があると認められる者
二 第五十六条第一項、第五十七条第一項若しくは前条の規定による明細書若しくは調書を提出した者又はその明細書若しくは調書を提出する義務があると認められる者
三 納税義務者又は納税義務があると認められる者に対し、債権若しくは債務を有していたと認められる者又は債権若しくは債務を有すると認められる者
四 納税義務者又は納税義務があると認められる者が株主若しくは出資者であつたと認められる法人又は株主若しくは出資者であると認められる法人
五 納税義務者又は納税義務があると認められる者に対し、財産を譲渡したと認められる者又は財産を譲渡する義務があると認められる者
六 納税義務者又は納税義務があると認められる者から、財産を譲り受けたと認められる者又は財産を譲り受ける権利があると認められる者
七 納税義務者又は納税義務があると認められる者の財産を保管したと認められる者又はその財産を保管すると認められる者
2 当該職員は、前項の規定による質問又は検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、利害関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(相続財産等の調査)
第六十一条 相続の開始があつた場合においては、当該相続の開始地の所轄税務署長は、当該相続開始の時における被相続人の財産の価額及び債務の金額並びに当該財産及び債務の帰属の状況等を調査し、これを相続人又は受遺者の納税地の所轄税務署長に通知しなければならない。
(納税地)
第六十二条 相続税は、第一条第一号の規定に該当する者については、この法律の施行地にある住所地(この法律の施行地に住所を有しないこととなつた場合には、居所地)をもつて、その納税地とする。
2 第一条第二号の規定に該当する者及び同条第一号の規定に該当する者でこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるものは、納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告しなければならない。その申告がないときは、国税庁長官がその納税地を指定し、これを通知する。
(納税管理人)
第六十三条 第一条第二号の規定に該当する者は、申告書の提出その他相続税に関する一切の事項を処理させるため、この法律の施行地に住所を有する者のうちから納税管理人を定め、納税地の所轄税務署長にその氏名及び住所を申告しなければならない。第一条第一号の規定に該当する者がこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときも、また同様とする。
(同族会社の行為又は計算の否認)
第六十四条 同族会社の行為又は計算で、これを容認した場合においてはその株主若しくは社員又はその親族その他これらの者と政令で定める特別の関係がある者の相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがある場合においては、税務署長は、第三十五条の規定による更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、その認めるところにより、課税価格を計算することができる。
2 前項の「同族会社」とは、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第七条の二に規定する同族会社をいう。
(特別の法人から受ける利益に対する課税)
第六十五条 法人税法第五条第一項第一号又は第三号に掲げる法人で、その施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属等について設立者、社員、理事若しくは監事、当該法人に対し贈与若しくは遺贈をした者又はこれらの者の親族その他これらの者と前条第一項に規定する特別の関係がある者に対し特別の利益を与えるものに対して財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、当該財産の贈与又は遺贈があつた時において、当該法人から特別の利益を受ける者が、当該財産(第十二条第一項第五号に掲げる財産を除く。)の贈与又は遺贈に因り受ける利益の価額に相当する金額を当該財産を贈与又は遺贈した者から贈与又は遺贈に因り取得したものとみなす。
2 第十二条第三項の規定は、前項に規定する法人が取得した同条第一項第五号に掲げる財産について同条第三項に規定する事由がある場合について準用する。
3 前二項の規定は、第一項に規定する法人の設立があつた場合において、当該法人から特別の利益を受ける者が当該法人の設立に因り受ける利益について準用する。
(人格のない社団又は財団に対する課税)
第六十六条 代表者又は管理者の定のある人格のない社団又は財団に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに相続税を課する。この場合においては、贈与又は遺贈に因り取得した財産について、当該贈与者又は遺贈者の異なるごとに、当該贈与者又は遺贈者の各一人のみから財産を取得したものとみなして算出した場合の相続税額の合計額をもつて当該社団又は財団の納付すべき相続税額とする。
2 前項の規定は、同項に規定する社団又は財団を設立するために財産の提供があつた場合について準用する。
3 前二項の場合において、第一条の規定の適用については、第一項に規定する社団又は財団の住所は、その主たる営業所又は事務所の所在地にあるものとみなす。
(附加税の禁止)
第六十七条 地方公共団体は、相続税の附加税を課することができない。
第九章 罰則
第六十八条 詐偽その他不正の行為により相続税を免れた者は、三年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の免れた相続税額が五百万円をこえるときは、情状に因り、同項の罰金は、五百万円をこえその免れた相続税額に相当する金額以下とすることができる。
3 第一項の場合においては、税務署長は、直ちに、その免れた相続税を徴収する。
第六十九条 正当の事由がなくて期限内申告書又は第五十七条第一項の規定による明細書をその提出期限内に提出しなかつた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。但し、情状に因り、その刑を免除することができる。
第七十条 左の各号の一に当該する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一 第五十六条第一項の規定による明細書を提出せず、又はその明細書に虚偽の記載をして提出した者
二 第五十七条第一項の規定による明細書に虚偽の記載をして提出した者
三 第五十九条の規定による調書を提出せず、又はその調書に虚偽の記載をして提出した者
四 第六十条の規定による財産又はその財産に関する帳簿書類の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
五 前号の帳簿書類で虚偽の記載をしたものを呈示した者
六 第六十条の規定による質問に対し答弁をしない者
七 前号の質問に対し虚偽の答弁をした者
第七十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第六十八条第一項、第六十九条又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
第七十二条 相続税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者が、その事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用したときは、これを二年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第七十三条 他人の相続税について、国税庁長官又は国税局長に対し、第五十条第一項に規定する事実に関する虚偽の報告をした者は、三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第七十四条 第六十八条第一項の罪を犯した者には、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四十八条第二項、第六十三条及び第六十六条の規定は、適用しない。但し、懲役刑に処する場合又は懲役及び罰金を併科する場合における懲役刑については、この限りでない。
附 則
1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。但し、第四十五条第七項の規定は、同年七月一日から施行する。
2 この法律は、本州、北海道、四国、九州及びその附属の島(政令で定める地域を除く。)に、施行する。
3 相続又は遺贈に因り財産を取得した者の被相続人又は遺贈者の死亡の時における住所がこの法律の施行地にある場合においては、当該財産を取得した者については、当分の間、第二十七条第一項中「十月末日」とあるのは、「十二月末日」と読み替えるものとし、同項の規定により申告すべき相続税に係る納税地は、第六十二条の規定にかかわらず、被相続人又は遺贈者の死亡の時における住所地とする。但し、当該納税地の所轄税務署長がした第四十四条第一項又は第三項に規定する通知及びその通知に係る処分は、その者の住所地の所轄税務署長がしたものとみなして当該住所地の所轄税務署長に対し再調査の請求をし、又はこれを被告として訴を提起することを妨げない。
4 この法律は、特別の定のあるものを除く外、昭和二十五年一月一日以後に相続、遺贈又は贈与に因り取得した財産に係る相続税から適用する。
5 昭和二十四年十二月三十一日以前に開始した相続に係る相続税又は同日以前になされた贈与に係る贈与税については、特別の定のあるものを除く外、なお従前の例による。
6 第四条第二項第二号から第四号までに掲げる信託でその信託行為が昭和二十四年十二月三十一日以前になされたものについては、同項及び同条第三項の規定を適用しない。
7 第三条第二項但書、第五条第三項但書又は第六条第四項但書の規定の適用については、昭和二十四年十二月三十一日以前に開始した相続について改正前の相続税法(以下「旧法」という。)第四条第一項第二号又は第五号の規定により相続財産とみなされた生命保険契約又は定期金給付契約に関する権利は、第三条第一項第三号又は第四号の規定によりこれを相続又は遺贈に因り取得したものとみなされたものとみなす。
8 第十九条の規定の適用については、昭和二十四年十二月三十一日以前に第一次相続が開始している場合においては、同条第一項第一号に掲げる割合は百分の百とみなし、当該第一次相続に係る旧法(旧法による改正前の相続税法(明治三十八年法律第十号)を含む。)の規定による相続税額(第二次相続に係る被相続人が納付した又は納付すべき相続税額に限る。)は第二次相続に係る被相続人が第一次相続に因り財産を取得した日の属する年分のこの法律の規定による相続税額とみなす。
9 第七章の規定の適用については、この法律施行後において従前の例により通知された相続税若しくは贈与税の課税価格又は旧法第五十九条第一項に規定する税額は、第三十六条の規定により通知された課税価格又は第五十三条第五項(第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により通知された過少申告加算税額、無申告加算税額若しくは重加算税額とみなす。
10 第十九条第一項及び第五十条第一項の規定の適用については、附則第五項に規定する相続税又は贈与税に係る旧法第五十八条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。) 又は第五十九条第一項に規定する税額は、第五十一条若しくは第五十二条の規定による利子税額又は第五十三条若しくは第五十四条の規定による過少申告加算税額、無申告加算税額若しくは重加算税額とみなす。
11 第五十条の規定は、この法律施行後報告のあつた分から適用し、この法律施行前に報告のあつた分については、なお従前の例による。
12 第九章の規定は、この法律施行後にした行為について適用し、この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
13 附則第五項に規定する相続税について、この法律施行後旧法第五十一条第一項又は旧法による改正前の相続税法第十七条第一項但書若しくは旧法附則第三条第一項第三号の規定の例により延納を許可する場合においては、その許可すべき延納税額には、附則第十五項又は第十六項の規定による当該相続税に係る利子税額を含まないものとする。
14 附則第五項に規定する相続税又は贈与税について旧法第五十八条又は附則第三条第一項第五号の規定の例により納付し、又は徴収すべき税額でこの法律施行前の期間に対応するものについては、なお従前の例による。
15 附則第五項に規定する相続税又は贈与税について旧法第四十一条若しくは第四十七条又は旧法による改正前の相続税法の規定の例により納付し、又は徴収すべき税額でこの法律施行の際において未納であるもの及びこの法律施行後においてこれらの規定の例により納付し、又は徴収すべきものについては、附則第十六項の規定に該当する場合を除く外、この法律施行後(当該税額に係る納期限がこの法律施行後である場合には、当該納期限後)当該税額を納付し、又は徴収する日までの期間に応じて第五十一条の規定を適用する。
16 附則第五項に規定する相続税について旧法第五十一条第一項又は旧法による改正前の相続税法第十七条第一項但書若しくは旧法附則第三条第一項第三号の規定の例により延納を許可された税額でこの法律施行の際において延納中のもの(滞納中のものを含む。)及びこの法律施行後においてこれらの規定の例により延納を許可される税額については、この法律施行の日(当該税額に係る旧法第四十一条第一項に規定する納期限又は旧法による改正前の相続税法の規定の例による納期限がこの法律施行後である場合には、当該納期限の翌日)を第五十二条第一項各号に規定する日数の起算日とみなして同条の規定を適用する。
17 附則第五項に規定する相続税及び贈与税に係る旧法第五十六条に規定する事項については、同条の規定の例によらない。
18 昭和二十五年一月一日以後この法律施行前に相続又は遺贈に因り財産を取得した者が当該期間内に当該相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合において、その者が概算申告書を提出すべき者であるときは、その者は、第二十七条第一項又は第二項の規定にかかわらず、この法律施行後四月以内に当該概算申告書を提出しなければならない。
19 前項に規定する期間内に相続、遺贈又は贈与に因り財産を取得した者が当該期間内に死亡し、且つ、その者の相続人又は包括受遺者が当該期間内に相続の開始又は遺贈があつたことを知つた場合において、当該相続人又は包括受遺者がその死亡した者に係る最終確定申告書を提出すべき者であるときは、これらの者は、第二十九条の規定にかかわらず、この法律施行後四月以内に当該最終確定申告書を提出しなければならない。
20 第二十七条第二項の規定は、前二項の場合について準用する。
21 附則第十八項に規定する期間内に開始した相続について旧法の規定により納付した相続税は、国税徴収法第三章ノ三の規定の適用については、当該相続税を納付した日において過誤納に係る国税となつたものとみなす。
22 附則第十八項又は第十九項の規定による概算申告書若しくは最終確定申告書又はこれらの申告書に係る期限後申告書の提出があつた場合において、当該概算申告書若しくは当該申告書に係る期限後申告書を提出した者又は附則第十九項に規定する死亡した者が、前項の規定により過誤納に係る国税となつたものとみなされた相続税を納付し、且つ、これらの申告書を提出した日までに当該税額の全部又は一部の還付を受けていないときは、その還付を受けていない金額は、第三十三条第一項又は第二項の規定の適用については、同条第一項第一号に掲げる税額とみなす。
23 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第五十七条の二の次に次の二条を加える。
第五十七条の三 相続の開始に因り第五条の二第一項の規定により第九条第一項第七号又は第八号に規定する資産の譲渡があつたものとみなされる場合において、納税義務者の納付すべき所得税のうち当該資産の譲渡に係る部分の税額が三万円以上で、且つ、納税義務者について金銭で一時に納付することを困難とする事由があるときは、政府は、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供させ、三年以内の延納を許可することができる。
相続税法第三十九条及び第四十条の規定は、前項の場合について、これを準用する。
延納の許可を受けた者は、その許可を受けた延納税額については、命令の定めるところにより、相続税法第五十二条第一項の規定に準じて計算した利子税額をあわせて納付しなければならない。
相続税法第五十二条第二項乃至第四項の規定は、前項の利子税額について、これを準用する。
第五十七条の四 前条第一項の場合において、納税義務者についてその納付すべき所得税のうち当該資産の譲渡に係る部分の税額を金銭で納付することを困難とする事由があるときは、政府は、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、物納を許可することができる。
相続税法第四十一条第三項及び第四項、第四十二条並びに第四十三条の規定は、前項の場合について、これを準用する。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂