相続税法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第23号
公布年月日: 平成6年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

最近の相続税負担の状況を考慮し、その負担軽減を図るため、以下の改正を行う。相続税の税率について、税率区分の幅を拡大し税率の刻みの数を減らすことで累進構造を緩和する。遺産に係る基礎控除について、定額控除額を4,800万円から5,000万円に、法定相続人一人当たりの控除額を950万円から1,000万円に引き上げる。また、配偶者が相続する場合の課税されない遺産額の最低保障額を8,000万円から1億6,000万円に引き上げる。

参照した発言:
第129回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号

審議経過

第129回国会

衆議院
(平成6年3月24日)
(平成6年3月25日)
(平成6年3月25日)
参議院
(平成6年3月28日)
(平成6年3月29日)
(平成6年3月29日)
相続税法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成六年三月三十一日
内閣総理大臣 細川護熙
法律第二十三号
相続税法の一部を改正する法律
相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項中「四千八百万円」を「五千万円」に、「九百五十万円」を「千万円」に改める。
第十六条の表を次のように改める。
八百万円以下の金額
百分の十
八百万円を超え千六百万円以下の金額
百分の十五
千六百万円を超え三千万円以下の金額
百分の二十
三千万円を超え五千万円以下の金額
百分の二十五
五千万円を超え一億円以下の金額
百分の三十
一億円を超え二億円以下の金額
百分の四十
二億円を超え四億円以下の金額
百分の五十
四億円を超え二十億円以下の金額
百分の六十
二十億円を超える金額
百分の七十
第十九条中「算入されるもの」の下に「(特定贈与財産を除く。)」を加え、「本条」を「この条」に改め、同条に次の一項を加える。
2 前項に規定する特定贈与財産とは、第二十一条の六第一項に規定する婚姻期間が二十年以上である配偶者に該当する被相続人からの贈与により当該被相続人の配偶者が取得した同項に規定する居住用不動産又は金銭で次の各号に掲げる場合に該当するもののうち、当該各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める部分をいう。
一 当該贈与が当該相続の開始の年の前年以前にされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該贈与による取得の日の属する年分の贈与税につき第二十一条の六第一項の規定の適用を受けているとき。 同項の規定により控除された金額に相当する部分
二 当該贈与が当該相続の開始の年においてされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該被相続人からの贈与について既に第二十一条の六第一項の規定の適用を受けた者でないとき(政令で定める場合に限る。) 同項の規定の適用があるものとした場合に、同項の規定により控除されることとなる金額に相当する部分
第十九条の二第一項第二号イ中「八千万円」を「一億六千万円」に改め、同条第二項中「第二十七条第一項」を「第二十七条」に、「この条」を「この項」に改め、同条第三項中「第二十七条第一項」を「第二十七条」に改め、「含む」の下に「。第五項において同じ」を加え、「添附して」を「添付して」に改め、同条第四項中「添附」を「添付」に改め、同条に次の一項を加える。
5 第一項の相続又は遺贈に係る相続税の納税義務者が、同項の被相続人の配偶者に係る相続税の課税価格の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき、第二十七条の規定による申告書を提出しており、又はこれを提出していなかつた場合において、当該相続又は遺贈に係る相続税についての調査があつたことにより当該相続税について国税通則法第二十四条若しくは第二十六条の規定による更正(以下「更正」という。)又は同法第二十五条の規定による決定(以下「決定」という。)があるべきことを予知して期限後申告書又は修正申告書を提出するときは、当該期限後申告書又は修正申告書に係る相続税額に係る第一項の規定の適用については、同項第二号イの課税価格の合計額及び同号ロの課税価格に相当する金額には、当該配偶者に係る相続税の課税価格のうちその隠ぺいし、又は仮装した事実に基づく金額に相当する金額を含まないものとする。
第二十七条第五項中「国税通則法第二十五条の規定による」及び「(以下「決定」という。)」を削る。
第三十二条中「各号の一」を「各号のいずれか」に、「国税通則法第二十四条若しくは第二十六条の規定による更正(以下「更正」という。)」を「更正」に、「同法第二十三条第一項」を「国税通則法第二十三条第一項」に改める。
附 則
1 この法律は、平成六年四月一日から施行する。
2 改正後の相続税法(以下「新法」という。)の規定は、次項に定めるものを除き、平成六年一月一日以後に相続若しくは遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)又は贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により取得した財産に係る相続税又は贈与税について適用し、同日前に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税又は贈与税については、なお従前の例による。
3 新法第十九条の二第五項の規定は、この法律の施行の日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について適用する。
大蔵大臣 藤井裕久
内閣総理大臣 細川護熙