相続税法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第20号
公布年月日: 昭和46年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

最近における国民負担の状況を考慮し、夫婦間における財産形成の実情に鑑み、配偶者控除の引き上げを中心とする贈与税及び相続税の負担軽減を行うものである。具体的には、夫婦間の居住用不動産の贈与にかかる贈与税の配偶者控除を160万円から360万円に引き上げ、適用要件を婚姻期間25年以上から20年以上に緩和する。また、相続税の遺産にかかる配偶者控除を、婚姻期間15年超過1年につき20万円(最高200万円)から、10年超過1年につき40万円(最高400万円)に改める。さらに、生命保険金の非課税限度を相続人1人当たり100万円から150万円に、死亡退職金の非課税限度を50万円から80万円に引き上げるなど、所要の規定の整備を行うものである。

参照した発言:
第65回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号

審議経過

第65回国会

参議院
(昭和46年2月4日)
衆議院
(昭和46年2月24日)
(昭和46年2月26日)
(昭和46年3月2日)
(昭和46年3月3日)
(昭和46年3月5日)
(昭和46年3月9日)
参議院
(昭和46年3月11日)
(昭和46年3月16日)
(昭和46年3月18日)
(昭和46年3月23日)
(昭和46年3月24日)
(昭和46年4月28日)
相続税法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十六年三月三十一日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第二十号
相続税法の一部を改正する法律
相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第一号中「生命保険契約の保険金」を「生命保険契約(これに類する共済に係る契約で政令で定めるものを含む。以下同じ。)」の保険金(共済金を含む。以下同じ。)」に改め、「損害保険契約」の下に「(これに類する共済に係る契約で政令で定めるものを含む。以下同じ。)」を、「保険金受取人」の下に「(共済金受取人を含む。以下同じ。)」を加え、「当該保険金のうち」を「当該保険金(次号に掲げる給与及び第五号又は第六号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち」に改め、「負担した保険料」の下に「(共済掛金を含む。以下同じ。)」を加え、同項第二号中「(被相続人の死亡後三年以内に支給が確定したものに限る。)」を「(政令で定める給付を含む。)で被相続人の死亡後三年以内に支給が確定したもの」に改め、同項第三号中「まだ保険事故」の下に「(共済事故を含む。以下同じ。)」を加え、同項第四号中「その他の定期金給付契約」の下に「(生命保険契約を除く。)」を加え、同項第五号中「掛金」の下に「又は保険料」を加え、同項第六号中「その他の者が定期金」の下に「(これに係る一時金を含む。)」を加える。
第四条第一項中「委託者以外の者が信託」の下に「(退職年金の支給を目的とする信託で政令で定めるものを除く。以下同じ。)」を加える。
第五条第一項中「生命保険契約の保険事故」の下に「(傷害、廃疾その他これらに類する保険事故で死亡を伴わないものを除く。)又は損害保険契約の保険事故(偶然な事故に基因する保険事故で死亡を伴うものに限る。)」を加え、「当該契約」を「これらの契約」に、「当該保険事故」を「これらの保険事故」に改め、「取得した保険金」の下に「(当該損害保険契約の保険金については、政令で定めるものに限る。)」を加え、同条第二項中「生命保険契約」の下に「又は損害保険契約(傷害を保険事故とする損害保険契約で政令で定めるものに限る。)」を加え、同条第四項中「第一号」の下に「又は第二号」を加え、「同号に掲げる保険金」を「「同条第一項第一号に掲げる保険金又は同項第二号に掲げる給与」に改め、「当該保険金」の下に「又は給与」を加える。
第六条第一項中「その他の定期金給付契約」の下に「(生命保険契約を除く。次項において同じ。)」を加え、同条第三項中「掛金」の下に「又は保険料」を加え、同条第四項本文中「掛金」の下に「又は保険料」を加え、同項ただし書中「定期金受取人」の下に「若しくは一時金受取人」を加える。
第十条第一項第六号中「又は法人に対する出資」を「、法人に対する出資又は政令で定める有価証券」に、「又は当該出資のされている法人」を「、当該出資のされている法人又は当該有価証券に係る政令で定める法人」に改め、同項第七号中「いう。)」の下に「又は証券投資信託(証券投資信託法(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第一項に規定する証券投資信託をいう。以下同じ。)」を加え、「その」を「これらの」に改める。
第十二条第一項第五号中「五十万円」を「八十万円」に改め、同号を同項第六号とし、同項第四号中「保険金でその」を「保険金(前号に掲げるものを除く。以下本号において同じ。)でその」に、「百万円」を「百五十万円」に改め、同号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。
四 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利
第十五条の二第一項中「十五年」を「十年」に、「二十万円」を「四十万円」に、「二百万円」を「四百万円」に改め、同条第三項中「十五年」を「十年」に改め、同条第四項及び第五項を削る。
第二十一条の三第一項中第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利
第二十一条の五第一項中「二十五年」を「二十年」に、「百六十万円」を「三百六十万円」に改め、同条第二項中「二十五年」を「二十年」に改め、同条第三項中「規定する申告書」の下に「(当該申告書に係る国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項に規定する期限後申告書(以下「期限後申告書」という。)を含む。)」を加え、「第二十一条の五」を「同項」に、「記載をし、かつ、贈与者が」を「記載があり、かつ、同項の」に、「二十五年以上である配偶者」を「二十年以上」に、「を添附して、当該申告書を当該申告書の提出期限内に提出した」を「の添附がある」に改め、後段を削り、同条に次の一項を加える。
4 税務署長は、前項の申告書の提出がなかつた場合又は同項の記載若しくは添附がない申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載若しくは添附がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の大蔵省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
第二十五条中「定期金給付契約」の下に「(生命保険契約を除く。)」を加える。
第二十七条第一項中「基礎控除額」の下に「及び遺産に係る配偶者控除額の合計額」を加え「及び第十六条」を削り、同条第三項中「明細書」の下に「(第十五条の二第一項の規定の適用を受けようとする者に係る申告書については、同項の婚姻期間を証する書類その他の大蔵省令で定める書類を含む。)」を加え、同条第五項中「(昭和三十七年法律第六十六号)」を削る。
第三十条中「国税通則法第十八条第二項に規定する」及び「(以下「期限後申告書」という。)」を削る。
第三十八条第一項中「三万円」を「五万円」に、「十五万円」を「二十五万円」に、「三十万円」を「五十万円」に改め、同条第二項及び第三項中「三万円」を「五万円」に改める。
第四十一条第二項第三号中「(証券投資信託法(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第一項に規定する証券投資信託をいう。以下同じ。)」を削る。
第四十九条中「二千万円」を「四千万円」に、「五千万円」を「一億円」に改める。
第五十九条第一項中「これらに準ずるもの」の下に「(以下本項において「営業所等」という。)」を加え、「生命保険金」を「生命保険契約の保険金」に、「の給与又は」を「(同条第一項第二号に掲げる給与をいう。以下本項において同じ。)又は」に、「営業所、事務所等」を「営業所等」に、「額に達しない」を「額以下の」に改め、「保険会社」の下に「(共済事業を行なう者を含む。)」を加え、「に関する保険金受取人別」を「(退職手当金等に該当するものを除く。)に関する受取人別」に、「第三条第一項第二号に規定する退職手当金等の給与」を「退職手当金等」に、「の給与に関する」を「に関する」に改める。
附 則
1 この法律は、昭和四十六年四月一日から施行する。
2 改正後の相続税法(以下「新法」という。)の規定は、別段の定めがあるものを除き、昭和四十六年一月一日以後に相続若しくは遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)又は贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により取得した財産に係る相続税又は贈与税について適用し、同日前に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税又は贈与税については、なお従前の例による。
3 新法第五条(損害保険契約に係る部分に限る。)の規定は、昭和四十六年四月一日(以下「施行日」という。)以後に締結する損害保険契約の保険金又は返還金その他これに準ずるものについて適用する。
4 新法第四十九条の規定は、施行日以後に提出される相続税又は贈与税に係る申告書について適用し、同日前に提出されたこれらの申告書については、なお従前の例による。
5 新法第五十九条第一項の規定は、施行日以後に同項の規定に該当する事実が生じた場合について適用し、同日前に当該事実が生じた場合については、なお従前の例による。
6 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第六十九条第一項中「第七十条の五まで及び第七十条の七」を「第七十条の六まで」に改める。
第七十条の六を削り、第七十条の七を第七十条の六とする。
大蔵大臣 福田赳夫
内閣総理大臣 佐藤栄作