交付税及び譲与税配付金特別会計法
法令番号: 法律第103号
公布年月日: 昭和29年5月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

地方公共団体の財政運営の自律性・安定性強化と地方財源の偏在是正のため、地方財政平衡交付金制度を改め、地方交付税及び入場譲与税制度を新設することに伴い、これらの配付に関する経理を明確にする必要が生じた。そこで、交付税及び譲与税の配付に関する経理を一般会計と区分して行うため、特別会計を設置することを目的として本法案を提案した。本特別会計は内閣総理大臣と大蔵大臣の共同管理とし、地方交付税相当額の一般会計からの繰入金等を歳入とし、地方交付税交付金等を歳出とする会計運営制度を規定するものである。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第19号

審議経過

第19回国会

参議院
(昭和29年3月9日)
衆議院
(昭和29年3月10日)
参議院
(昭和29年3月15日)
衆議院
(昭和29年3月23日)
(昭和29年3月24日)
(昭和29年3月26日)
(昭和29年4月8日)
(昭和29年4月9日)
参議院
(昭和29年4月9日)
(昭和29年4月12日)
衆議院
(昭和29年4月13日)
(昭和29年4月15日)
参議院
(昭和29年5月10日)
(昭和29年5月14日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
交付税及び譲与税配付金特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年五月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百三号
交付税及び譲与税配付金特別会計法
(設置)
第一条 地方交付税及び地方譲与税の配付に関する政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
(管理)
第二条 この会計は、内閣総理大臣及び大蔵大臣(以下「所管大臣」という。)が、法令で定めるところに従い、管理する。
2 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、前項の規定による事務を自治庁長官に行わせることができる。
(歳入及び歳出)
第三条 この会計においては、第四条の規定による一般会計からの繰入金、入場税の収入及び附属雑収入をもつてその歳入とし、地方交付税交付金(地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)による地方交付税の交付金をいう。)、入場譲与税譲与金(入場譲与税法(昭和二十九年法律第百二号)による入場譲与税の譲与金をいう。)、第五条の規定による一般会計への繰入金及び附属諸費をもつてその歳出とする。
(一般会計からの繰入金)
第四条 地方交付税法第六条第二項に規定する交付税の総額に相当する金額は、予算で定めるところにより、毎会計年度、一般会計からこの会計に繰り入れるものとする。
(一般会計への繰入金)
第五条 この会計の毎会計年度における入場税の収入額の十分の一に相当する金額は、政令で定めるところにより、この会計から一般会計に繰り入れるものとする。
(歳入歳出予定計算書の作製)
第六条 所管大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第七条 この会計の歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第八条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、歳入歳出予定計算書を添附しなければならない。
(剰余金の繰入)
第九条 この会計において、毎会計年度の決算上剰余金を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れなければならない。
(歳入歳出決定計算書の作製)
第十条 所管大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十一条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、歳入歳出決定計算書を添附しなければならない。
(余裕金の預託)
第十二条 この会計において、支払上現金に余裕があるときは、資金運用部に預託することができる。
(支出残額の繰越)
第十三条 この会計において、毎会計年度の歳出予算における支出残額は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 所管大臣は、前項の規定による繰越をしたときは、会計検査院に通知しなければならない。
3 第一項の規定による繰越をしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。
(実施規定)
第十四条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和二十九年度分の予算から適用する。
2 昭和二十九年度に限り、入場譲与税法附則第二項の規定により一般会計において負担すべき額がある場合においては、第五条の規定により一般会計に繰り入れるべき金額のうち当該負担すべき額に達するまでの金額は、同条の規定にかかわらず、一般会計に繰り入れないでこれを当該負担すべき額に充てるものとする。
3 前項の場合において、なお不足があるときは、当該不足額に相当する金額は、予算で定めるところにより、一般会計からこの会計に繰り入れるものとする。
4 昭和二十九年度の揮発油譲与税に関する法律(昭和二十九年法律第百九十号)第七条に規定する揮発油譲与税の収入見込額に相当する金額は、昭和二十九年度において、同条の規定により追加して譲与される額に相当する金額は、予算で定めるところにより、昭和三十年度又は昭和三十一年度において、一般会計からこの会計に繰り入れるものとする。
5 昭和二十九年度の揮発油譲与税に関する法律第七条の規定により都道府県及び指定市から返還される額に相当する金額は、予算で定めるところにより、その返還された年度において、この会計から一般会計に繰り入れるものとする。
6 昭和二十九年度に限り、この会計において、支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をすることができる。
7 前項の規定による一時借入金の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。
8 第六項の規定による一時借入金は、昭和二十九年度内に償還しなければならない。但し、歳入不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額を限り、一時借入金の借換をすることができる。
9 前項但書の規定により借換をした一時借入金は、その借換をしたときから一年内に償還しなければならない。
10 この会計において、第六項又は第八項但書の規定により一時借入金をしたときは、その償還金及び利子の支出に必要な金額は、その支出を要するときにおいて国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。但し、昭和二十九年度内に償還する一時借入金の償還金については、この限りでない。
11 第三項若しくは第四項の規定による一般会計からの繰入金、第五項に規定する返還される額に相当する金額又は第八項但書の規定による一時借入金の借換に因る収入金は、その繰入をした年度、その返還された年度又は昭和二十九年度におけるこの会計の歳入とし、第四項に規定する揮発油譲与税の収入見込額若しくは追加して譲与される額に相当する譲与金、第五項の規定による一般会計への繰入金又は第六項の規定による一時借入金の利子若しくは第八項但書の規定により借換をした一時借入金の償還金及び利子は、その譲与された年度、その繰入をした年度又は昭和二十九年度若しくは昭和三十年度におけるこの会計の歳出とする。
12 自治庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第九条中第十七号を第十八号とし、第十二号から第十六号までを一号ずつ繰り下げ、第十一号の次に次の一号を加える。
十二 交付税及び譲与税配付金特別会計の経理を行うこと。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 小笠原三九郎