消費譲与税法
法令番号: 法律第百十一号
公布年月日: 昭和63年12月30日
法令の形式: 法律
消費譲与税法をここに公布する。
御名御璽
国事行為臨時代行名
昭和六十三年十二月三十日
内閣総理大臣 竹下登
法律第百十一号
消費譲与税法
(目的)
第一条 この法律は、消費譲与税の地方公共団体に対する譲与について必要な事項を定め、地方公共団体の財源の安定的な確保に資することを目的とする。
(消費譲与税)
第二条 消費譲与税は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の規定による消費税の収入額の五分の一に相当する額とし、都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して譲与するものとする。
(譲与の基準)
第三条 消費譲与税は、その十一分の六に相当する額を都道府県に対し、その十一分の五に相当する額を市町村に対し、それぞれ官報で公示された最近の国勢調査の結果による各都道府県又は各市町村の人口及び統計法(昭和二十二年法律第十八号)第二条に規定する指定統計である事業所統計の最近に公表された結果による各都道府県又は各市町村の従業者数にあん分して譲与するものとする。
2 前項の場合においては、都道府県に対して譲与すべきものにあつては同項の額の四分の一の額を同項の人口で、他の四分の三の額を同項の従業者数であん分するものとし、市町村に対して譲与すべきものにあつては同項の額の二分の一の額を同項の人口で、他の二分の一の額を同項の従業者数であん分するものとする。ただし、同項の人口又は従業者数については、消費の態様その他の事情を参酌して、自治省令で定めるところにより補正することができる。
(譲与時期及び譲与時期ごとの譲与額)
第四条 消費譲与税は、毎年度、次の表の上欄に掲げる時期に、都道府県に対して譲与すべきものにあつてはそれぞれ当該下欄に定める額の十一分の六に相当する額を、市町村に対して譲与すべきものにあつてはそれぞれ当該下欄に定める額の十一分の五に相当する額を譲与する。
譲与時期
譲与時期ごとに譲与すべき額
七月
当該年度の初日の属する年の三月から五月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額
十月
当該年度の初日の属する年の六月から八月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額
一月
当該年度の初日の属する年の九月から十一月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額
三月
当該年度の初日の属する年の十二月から翌年の二月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額
2 前項に規定する各譲与時期ごとに譲与することができなかつた金額があるとき、又は各譲与時期において譲与すべき金額を超えて譲与した金額があるときは、それぞれ当該金額を、その次の譲与時期に譲与すべき額に加算し、又はこれから減額するものとする。
(譲与時期ごとの譲与額の計算)
第五条 各都道府県及び市町村に対する前条第一項に規定する各譲与時期ごとに譲与すべき消費譲与税の額として前二条の規定を適用して計算した金額に千円未満の端数金額があるときは、その端数金額を控除した金額をもつて、当該各譲与時期ごとに譲与すべき消費譲与税の額とする。
(譲与額の算定に用いる資料の提出義務)
第六条 都道府県知事及び市町村の長は、自治省令で定めるところにより、消費譲与税の額の算定に用いる資料を自治大臣に(市町村の長にあつては、都道府県知事を経由して自治大臣に)提出しなければならない。
(譲与すべき額の算定に錯誤があつた場合の措置)
第七条 自治大臣は、消費譲与税を都道府県及び市町村に譲与した後において、その譲与した額の算定に錯誤があつたため、譲与した額を増加し、又は減少する必要が生じたときは、当該増加し、又は減少すべき額を、錯誤があつたことを発見した日以後に到来する譲与時期において譲与すべき額に加算し、又はこれから減額した額をもつて当該譲与時期において都道府県及び市町村に譲与すべき額とするものとする。
(消費譲与税の使途)
第八条 国は、消費譲与税の譲与に当たつては、その使途について条件を付け、又は制限してはならない。
(自治省令への委任)
第九条 この法律の実施のための手続その他その執行に関し必要な事項は、自治省令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和六十四年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 昭和六十四年度分の都道府県に対して譲与すべき消費譲与税については、第三条第二項本文の規定にかかわらず、その四分の一の額にあつては同項の定めるところによりあん分し、他の四分の三の額(以下この項において「減収割合に係る譲与総額」という。)にあつては順次次の各号に掲げる額の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める数値によりあん分して譲与するものとする。
一 減収割合に係る譲与総額のうち旧娯楽施設利用税(地方税法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第百十号。以下この項において「改正地方税法」という。)による改正前の地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号。以下この条において「旧地方税法」という。)第七十五条第一項に規定する娯楽施設利用税をいう。以下この号において同じ。)の減収額(改正地方税法の施行に伴う減収額をいう。以下この項において同じ。)に相当する額として政令で定めるものに四分の三を乗じて得た額 各都道府県の旧娯楽施設利用税の収入額を基礎として自治省令で定める数値
二 減収割合に係る譲与総額のうち旧料理飲食等消費税(旧地方税法第百十三条第一項に規定する料理飲食等消費税をいう。以下この号において同じ。)の減収額に相当する額として政令で定めるものに四分の三を乗じて得た額(当該額が減収割合に係る譲与総額から前号に掲げる額を控除して得た額を超える場合には、当該減収割合に係る譲与総額から同号に掲げる額を控除して得た額) 各都道府県の旧料理飲食等消費税の収入額を基礎として自治省令で定める数値
三 減収割合に係る譲与総額から前二号に掲げる額の合計額を控除して得た額 各都道府県の不動産取得税の収入額その他の財政収入に相当する額で政令で定めるものを基礎として自治省令で定める数値
2 前項の規定は、昭和六十五年度分及び昭和六十六年度分の都道府県に対して譲与すべき消費譲与税について準用する。この場合において、昭和六十五年度分の消費譲与税にあつては同項中「四分の一」とあるのは「四分の二」と、「四分の三」とあるのは「四分の二」と、昭和六十六年度分の消費譲与税にあつては同項中「四分の一」とあるのは「四分の三」と、「四分の三」とあるのは「四分の一」と読み替えるものとする。
3 昭和六十四年度分の市町村に対して譲与すべき消費譲与税については、第三条第二項本文の規定にかかわらず、その四分の一の額にあつては同項の定めるところによりあん分し、他の四分の三の額(以下この項において「旧税割合に係る譲与総額」という。)にあつては順次次の各号に掲げる額の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める数値によりあん分して譲与するものとする。
一 旧税割合に係る譲与総額のうち旧ガス税(旧地方税法第四百八十六条第二項に規定するガス税をいう。以下この号において同じ。)の収入額に相当する額として政令で定めるものに四分の三を乗じて得た額 各市町村の旧ガス税の収入額を基礎として自治省令で定める数値
二 旧税割合に係る譲与総額のうち旧木材引取税(旧地方税法第五百五十一条第一項に規定する木材引取税をいう。以下この号において同じ。)の収入額に相当する額として政令で定めるものに四分の三を乗じて得た額 各市町村の旧木材引取税の収入額を基礎として自治省令で定める数値
三 旧税割合に係る譲与総額から前二号に掲げる額の合計額を控除して得た額 各市町村の旧電気税(旧地方税法第四百八十六条第一項に規定する電気税をいう。)の収入額その他の財政収入に相当する額で政令で定めるものを基礎として自治省令で定める数値
4 前項の規定は、昭和六十五年度分及び昭和六十六年度分の市町村に対して譲与すべき消費譲与税について準用する。この場合において、昭和六十五年度分の消費譲与税にあつては同項中「四分の一」とあるのは「四分の二」と、「四分の三」とあるのは「四分の二」と、昭和六十六年度分の消費譲与税にあつては同項中「四分の一」とあるのは「四分の三」と、「四分の三」とあるのは「四分の一」と読み替えるものとする。
5 昭和六十四年度に限り、第四条第一項の表は、次の表のとおり読み替えるものとする。
譲与時期
譲与時期ごとに譲与すべき額
十月
昭和六十四年四月から八月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額
一月
昭和六十四年九月から十一月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額
三月
昭和六十四年十二月から昭和六十五年二月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額と同年の三月から五月までの間に収納すべき消費税の収入額の見込額の五分の一に相当する額との合算額
6 昭和六十五年度分の消費譲与税については、第四条第一項の表の下欄に定める譲与時期ごとに譲与すべき額は、同項の規定にかかわらず、次の表の上欄に掲げる譲与時期ごとにそれぞれ同表の下欄に定める額とする。
七月
当該年度の初日の属する年の三月から五月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額から同年の三月における同年の三月から五月までの間に収納すべき消費税の収入額の見込額の五分の一に相当する額(次項において「見込譲与額」という。)を控除した額
十月
当該年度の初日の属する年の六月から八月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額
一月
当該年度の初日の属する年の九月から十一月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額
三月
当該年度の初日の属する年の十二月から翌年の二月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額と同年の三月から五月までの間に収納すべき消費税の収入額の見込額の五分の一に相当する額の七分の六に相当する額との合算額
7 前項の規定により七月に譲与する場合において、見込譲与額が三月から五月までの間の収納に係る消費税の収入額の五分の一に相当する額を超えるときは、その次の譲与時期に譲与すべき額から当該超える額を減額するものとする。
8 前二項の規定は、昭和六十六年度から昭和七十一年度までの各年度分の消費譲与税に係る第四条第一項の表の下欄に定める譲与時期ごとに譲与すべき額について準用する。この場合において、昭和六十六年度分の消費譲与税にあつては第六項の表中「相当する額(」とあるのは「相当する額の七分の六に相当する額(」と、「七分の六」とあるのは「七分の五」と、昭和六十七年度分の消費譲与税にあつては同表中「相当する額(」とあるのは「相当する額の七分の五に相当する額(」と、「七分の六」とあるのは「七分の四」と、昭和六十八年度分の消費譲与税にあつては同表中「相当する額(」とあるのは「相当する額の七分の四に相当する額(」と、「七分の六とあるのは「七分の三」と、昭和六十九年度分の消費譲与税にあつては同表中「相当する額(」とあるのは「相当する額の七分の三に相当する額(」と、「七分の六」とあるのは「七分の二」と、昭和七十年度分の消費譲与税にあつては同表中「相当する額(」とあるのは「相当する額の七分の二に相当する額(」と、「七分の六」とあるのは「七分の一」と、昭和七十一年度分の消費譲与税にあつては同表中「相当する額(」とあるのは「相当する額の七分の一に相当する額(」と、「相当する額と同年の三月から五月までの間に収納すべき消費税の収入額の見込額の五分の一に相当する額の七分の六に相当する額との合算額」とあるのは「相当する額」と読み替えるものとする。
9 昭和六十四年度分及び昭和六十五年度分の消費譲与税については、昭和六十五年二月及び昭和六十六年二月の収納に係る消費税の収入額の見込額によつてこれらの年の三月に譲与すべき額を算定することができるものとする。この場合における昭和六十五年度分及び昭和六十六年度分の消費譲与税の算定に関し必要な事項は、自治省令で定める。
(地方財政法の一部改正)
第三条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第四条の三第一項中「普通税」の下に「、消費譲与税」を加える。
(地方交付税法の一部改正)
第四条 地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の一部を次のように改正する。
第十四条第一項中「当該道府県の地方道路譲与税」を「当該道府県の消費譲与税の収入見込額の百分の八十の額、当該道府県の地方道路譲与税」に、「当該市町村の特別とん譲与税」を「当該市町村の消費譲与税の収入見込額の百分の七十五の額、当該市町村の特別とん譲与税」に、「当該指定市の特別とん譲与税」を「当該指定市の消費譲与税の収入見込額の百分の七十五の額、当該指定市の特別とん譲与税」に改め、同条第三項の表道府県の項中第十六号を第十七号とし、第十三号から第十五号までを一号ずつ繰り下げ、第十二号の次に次のように加える。
十三 消費譲与税
前年度の消費譲与税の譲与額
第十四条第三項の表市町村の項中第十七号を第十八号とし、第十二号から第十六号までを一号ずつ繰り下げ、第十一号の次に次のように加える。
十二 消費譲与税
前年度の消費譲与税の譲与額
(地方交付税法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 前条の規定による改正後の地方交付税法第十四条の規定は、昭和六十四年度分の地方交付税に係る基準財政収入額の算定から適用する。
2 昭和六十四年度から昭和六十六年度までの各年度分の地方交付税に係る基準財政収入額の算定については、前条の規定による改正後の地方交付税法第十四条第三項の表道府県の項第十三号中「前年度の消費譲与税の譲与額」とあるのは「消費譲与税法(昭和六十三年法律第百十一号)附則第二条第一項及び第二項の規定によつて算定した額」と、同表市町村の項第十二号中「前年度の消費譲与税の譲与額」とあるのは「消費譲与税法附則第二条第三項及び第四項の規定によつて算定した額」とする。
(交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正)
第六条 交付税及び譲与税配付金特別会計法(昭和二十九年法律第百三号)の一部を次のように改正する。
第三条中「繰入金」の下に「、消費譲与税に充てられる消費税」を、「地方譲与税譲与金(」の下に「消費譲与税法(昭和六十三年法律第百十一号)による消費譲与税の譲与金、」を加える。
(自治省設置法の一部改正)
第七条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第三十五号から第三十七号までの規定中「地方道路譲与税」を「消費譲与税、地方道路譲与税」に改める。
第五条第三十三号中「地方道路譲与税」を「消費譲与税、地方道路譲与税」に改め、同条第三十四号中「都道府県」を「都道府県及び市町村に譲与すべき消費譲与税、都道府県」に改める。
第十条第四号の二中「都道府県」を「都道府県及び市町村に譲与すべき消費譲与税、都道府県」に改める。
大蔵大臣 村山達雄
自治大臣 坂野重信
内閣総理大臣 竹下登