地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年三月三十一日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第十七号
地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
地方特例交付金(第三条―第十二条)
第三章
地方債の特例(第十三条)
第四章
地方交付税の特例等(第十四条―第十八条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、地方税法の一部を改正する法律(平成十一年法律第十五号。以下「地方税法改正法」という。)及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成十一年法律第八号。以下「法人税等負担軽減措置法」という。)の施行により道府県民税(都民税を含む。以下同じ。)及び市町村民税(特別区民税を含む。以下同じ。)並びに法人の事業税の収入が減少することに伴う地方公共団体の財政状況にかんがみ、その財政の健全な運営に資するため、当分の間の措置として、地方特例交付金の交付その他の必要な財政上の特別措置を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 道府県民税所得割減収見込額 地方税法改正法による改正後の地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号。以下「平成十一年改正後の地方税法」という。)附則第四十条第二項、第三項、第六項及び第七項の規定の適用がないものとした場合における各年度の個人の道府県民税の所得割の収入見込額から当該各年度の個人の道府県民税の所得割の収入見込額を控除した額をいう。
二 道府県民税法人税割減収見込額 法人税について法人税等負担軽減措置法第十六条並びに法人税等負担軽減措置法附則第十条による改正後の租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十七条の二及び第六十八条の三の規定の適用がなく、かつ、法人税等負担軽減措置法附則第十条による改正前の租税特別措置法第六十七条の二及び第六十八条の三の規定の適用があるものとした場合における各年度の法人の道府県民税の法人税割(平成十一年改正後の地方税法第七百三十四条第二項の規定に基づき都民税として課される同項第三号に掲げる税のうち平成十一年改正後の地方税法第五条第二項第一号に係るものであって法人税額を課税標準として課するものを除く。以下同じ。)の収入見込額から当該各年度の法人の道府県民税の法人税割の収入見込額を控除した額をいう。
三 法人事業税減収見込額 平成十一年改正後の地方税法附則第九条の二及び第四十条第十項の規定の適用がなく、かつ、地方税法改正法による改正前の地方税法(以下「平成十一年改正前の地方税法」という。)附則第九条の二の規定の適用があるものとした場合における各年度の法人の事業税の収入見込額から当該各年度の法人の事業税の収入見込額を控除した額をいう。
四 市町村民税所得割減収見込額 平成十一年改正後の地方税法附則第四十条第二項から第五項まで、第八項及び第九項の規定の適用がないものとした場合における各年度の個人の市町村民税の所得割の収入見込額から当該各年度の個人の市町村民税の所得割の収入見込額を控除した額をいう。
五 市町村民税法人税割減収見込額 法人税について法人税等負担軽減措置法第十六条並びに法人税等負担軽減措置法附則第十条による改正後の租税特別措置法第六十七条の二及び第六十八条の三の規定の適用がなく、かつ、法人税等負担軽減措置法附則第十条による改正前の租税特別措置法第六十七条の二及び第六十八条の三の規定の適用があるものとした場合における各年度の法人の市町村民税の法人税割(平成十一年改正後の地方税法第七百三十四条第二項の規定に基づき都民税として課される同項第三号に掲げる税のうち平成十一年改正後の地方税法第五条第二項第一号に係るものであって法人税額を課税標準として課するものを含む。以下同じ。)の収入見込額から当該各年度の法人の市町村民税の法人税割の収入見込額を控除した額をいう。
六 道府県たばこ税増収見込額 平成十一年改正後の地方税法附則第十二条の二の規定の適用がなく、かつ、平成十一年改正前の地方税法附則第十二条の二の規定の適用があるものとした場合における各年度の道府県たばこ税(都たばこ税を含む。以下同じ。)の収入見込額を当該各年度の道府県たばこ税の収入見込額から控除した額をいう。
七 市町村たばこ税増収見込額 平成十一年改正後の地方税法附則第三十条の二の規定の適用がなく、かつ、平成十一年改正前の地方税法附則第三十条の二の規定の適用があるものとした場合における各年度の市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。以下同じ。)の収入見込額を当該各年度の市町村たばこ税の収入見込額から控除した額をいう。
2 前項各号に規定する収入見込額は、同項各号に規定する地方税を平成十一年改正後の地方税法第一条第一項第五号に規定する標準税率(標準税率の定めのない地方税については、平成十一年改正後の地方税法に定める税率とする。)によって課するものとした場合の収入見込額とする。
第二章 地方特例交付金
(交付金の交付)
第三条 毎年度、地方公共団体に対して、地方税法改正法及び法人税等負担軽減措置法の施行による道府県民税及び市町村民税並びに法人の事業税に係る各年度の減収額を埋めるため、地方特例交付金(以下「交付金」という。)を交付する。
(交付金の総額)
第四条 毎年度分として交付すべき交付金の総額は、当該年度における第一号に掲げる額の四分の三に相当する額から第二号及び第三号に掲げる額の合算額を控除した額に第四号に掲げる額を加算した額として予算で定める額とする。
一 イからホまでに掲げる額の合算額
イ 道府県民税所得割減収見込額の総額
ロ 道府県民税法人税割減収見込額の総額
ハ 法人事業税減収見込額の総額
ニ 市町村民税所得割減収見込額の総額
ホ 市町村民税法人税割減収見込額の総額
二 イ及びロに掲げる額の合算額
イ 道府県たばこ税増収見込額の総額
ロ 市町村たばこ税増収見込額の総額
三 当該年度の一般会計の当初予算における法人税の収入見込額の百分の三・八(平成十一年度にあっては、百分の○・五)に相当する額
四 当該年度の前年度又は前々年度において、第十二条において準用する地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十九条第二項から第五項までの規定により返還され、又は納付された額
2 前項第一号イからホまでに掲げる額並びに同項第二号イ及びロに掲げる額は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる数値を基礎として、政令で定めるところにより、見積るものとする。
一 道府県民税所得割減収見込額の総額
前年度分の道府県民税の所得割の課税の基礎となった納税義務者等の数及び課税標準等の額
二 道府県民税法人税割減収見込額の総額
前々年度の道府県民税の法人税割の課税標準等の額
三 法人事業税減収見込額の総額
前々年度の法人の事業税の課税標準等の額
四 市町村民税所得割減収見込額の総額
前年度分の市町村民税の所得割の課税の基礎となった納税義務者等の数及び課税標準等の額
五 市町村民税法人税割減収見込額の総額
前々年度の市町村民税の法人税割の課税標準等の額
六 道府県たばこ税増収見込額の総額
前々年度の道府県たばこ税の課税標準数量
七 市町村たばこ税増収見込額の総額
前々年度の市町村たばこ税の課税標準数量
(各地方公共団体に交付すべき交付金の算定方法)
第五条 毎年度分として各都道府県に対して交付すべき交付金の額は、当該年度における当該都道府県の第一号から第三号までに掲げる額の合算額(都にあっては、当該合算額に特別区に係る第三項第二号に掲げる額を加算した額。以下「都道府県減収見込額」という。)に基礎率を乗じて得た額から、第三号及び第四号に掲げる額の合算額(次項に規定する不交付見込都道府県にあっては、第四号に掲げる額)を控除した額とする。
一 道府県民税所得割減収見込額
二 道府県民税法人税割減収見込額
三 法人事業税減収見込額
四 道府県たばこ税増収見込額
2 前項の基礎率は、交付見込都道府県(政令で定めるところにより、地方交付税法第十条第一項の規定による普通交付税の交付を受けることとなると見込まれる都道府県をいう。以下同じ。)又は不交付見込都道府県(交付見込都道府県以外の都道府県をいう。以下同じ。)の別に政令で定める方法により算定した率を、四分の三に加え、又はこれから減じて得た率とする。
3 毎年度分として各市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して交付すべき交付金の額は、当該年度における当該市町村の第一号及び第二号に掲げる額の合算額(特別区にあっては、第一号に掲げる額。以下「市町村減収見込額」という。)の四分の三に相当する額から、第三号に掲げる額を控除した額とする。
一 市町村民税所得割減収見込額
二 市町村民税法人税割減収見込額
三 市町村たばこ税増収見込額
4 第一項各号及び前項各号に掲げる額は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる算定の基礎によって、自治省令で定める方法により、算定するものとする。
一 道府県民税所得割減収見込額
前年度分の道府県民税の所得割の課税の基礎となった納税義務者等の数及び課税標準等の額
二 道府県民税法人税割減収見込額
当該都道府県の区域内に事務所又は事業所を有する法人に係る最近の事業年度に係る道府県民税の法人税割の課税標準等の額
三 法人事業税減収見込額
当該都道府県の区域内に事務所又は事業所を有する法人に係る最近の事業年度に係る事業税の課税標準等の額
四 市町村民税所得割減収見込額
前年度分の市町村民税の所得割の課税の基礎となった納税義務者等の数及び課税標準等の額
五 市町村民税法人税割減収見込額
当該市町村の区域内に事務所又は事業所を有する法人に係る最近の事業年度に係る市町村民税の法人税割の課税標準等の額
六 道府県たばこ税増収見込額
前年度の道府県たばこ税の課税標準数量
七 市町村たばこ税増収見込額
前年度の市町村たばこ税の課税標準数量
(交付・不交付の見込みに係る精算)
第六条 当該年度の前年度における交付見込都道府県が当該前年度において普通交付税の交付を受けなかった場合には、当該前年度において前条第一項の規定により算定した交付金の額を当該前年度において当該交付見込都道府県が不交付見込都道府県であったとした場合の同項の規定により算定した交付金の額から控除した額を、当該年度において同項の規定により算定した交付金の額に加算する。
2 当該年度の前年度における不交付見込都道府県が当該前年度において普通交付税の交付を受けた場合には、当該前年度において前条第一項の規定により算定した交付金の額から当該前年度において当該不交付見込都道府県が交付見込都道府県であったとした場合の同項の規定により算定した交付金の額を控除した額(以下この項において「精算額」という。)を、当該年度において同項の規定により算定した交付金の額から減額する。この場合において、当該年度の交付金の額から精算額を減額してもなお減額しきれない額があるときは、自治省令で定めるところにより、当該減額しきれない額を、翌年度以降の交付金の額から減額する。
(交付金の額の調整)
第七条 第四条に規定する当該年度分として交付すべき交付金の総額と、当該年度において前二条の規定により各地方公共団体について算定した交付金の額の合算額に第十二条において準用する地方交付税法第十九条第二項の規定により交付すべき交付金の額を加算した額との間に差額があるときは、自治省令で定めるところにより、その差額を各地方公共団体の都道府県減収見込額及び市町村減収見込額であん分し、当該あん分した額に相当する額をそれぞれ当該地方公共団体の交付金の額に加算し、又はこれから減額する。
(算定の時期等)
第八条 自治大臣は、前三条の規定により交付すべき交付金の額を、遅くとも毎年八月三十一日までに決定しなければならない。
2 自治大臣は、前項の規定により交付金の額を決定したときは、これを当該地方公共団体に通知しなければならない。
(交付金の交付時期)
第九条 交付金は、毎年度、次の表の上欄に掲げる時期に、それぞれ同表の下欄に定める額を交付する。ただし、四月において交付すべき交付金については、当該年度において交付すべき交付金の額が前年度の交付金の額に比して著しく減少することとなると認められる地方公共団体又は当該年度において交付金の交付を受けないこととなると認められる地方公共団体に対しては、同表の下欄に定める額の全部又は一部を交付しないことができる。
交付時期
交付時期ごとに交付すべき額
四月
前年度の当該地方公共団体に対する交付金の額に当該年度の交付金の総額の前年度の交付金の総額に対する割合を乗じて得た額の二分の一に相当する額
九月
当該年度において交付すべき当該地方公共団体に対する交付金の額から既に交付した交付金の額を控除した額
2 当該年度の国の予算の成立しないこと等の事由により、前項の規定により難い場合における交付金の交付時期及び交付時期ごとに交付すべき額については、国の暫定予算の額及びその成立の状況、前年度の交付金の額等を参酌して、自治省令で定めるところにより、特例を設けることができる。
3 地方公共団体が前二項の規定により各交付時期に交付を受けた交付金の額が当該年度分として交付を受けるべき交付金の額を超える場合においては、当該地方公共団体は、その超過額を遅滞なく、国に還付しなければならない。
4 第一項の場合において、四月一日以前一年内及び四月二日から当該年度の交付金の四月に交付すべき額が交付されるまでの間に地方公共団体の廃置分合又は境界変更があった場合における前年度の関係地方公共団体の交付金の額の算定方法は、自治省令で定める。
(市町村交付金の算定及び交付に関する都道府県知事の義務)
第十条 都道府県知事は、政令で定めるところにより、当該都道府県の区域内の市町村に対し交付すべき交付金の額の算定及び交付に関する事務を取り扱わなければならない。
(交付金の額の算定に用いる資料の提出等)
第十一条 都道府県知事は、自治省令で定めるところにより、当該都道府県の交付金の額の算定に用いる資料を自治大臣に提出しなければならない。
2 市町村長は、自治省令で定めるところにより、当該市町村の交付金の額の算定に用いる資料を都道府県知事に提出しなければならない。この場合において、都道府県知事は、当該資料を審査し、自治大臣に送付しなければならない。
3 自治大臣は、都道府県及び政令で定める市町村について、前二項の規定により提出された資料に関し、検査を行わなければならない。
4 都道府県知事は、当該都道府県の区域内の市町村(前項の政令で定める市町村を除く。)について、第二項の規定により提出された資料に関し検査を行い、その結果を自治大臣に報告しなければならない。
(地方交付税法の準用)
第十二条 地方交付税法第八条、第九条、第十八条から第二十条まで及び第二十二条の規定は、交付金について準用する。この場合において、同法第八条及び第九条中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同法第十八条第一項中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、「第十条第四項又は第十五条第三項」とあるのは「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第八条第二項」と、「決定又は変更」とあるのは「決定」と、「市町村」とあるのは「市町村(特別区を含む。次項において同じ。)」と、同条第二項中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同法第十九条第一項中「第十条第四項」とあるのは「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第八条第二項」と、「前条第一項」とあるのは「同法第十二条において準用する前条第一項」と、「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、「基準財政需要額又は基準財政収入額」とあり、及び「基準財政需要額若しくは基準財政収入額」とあるのは「同法第五条第一項各号及び第三項各号に掲げる額」と、同条第二項中「地方団体で」とあるのは「地方公共団体で」と、「当該地方団体に交付すべき普通交付税の額の算定に用いられるべき当該年度の基準財政収入額が基準財政需要額をこえるもの」とあり、及び「基準財政収入額が基準財政需要額をこえることとなる地方団体」とあるのは「交付金が交付されない地方公共団体」と、「地方団体の」とあるのは「地方公共団体の」と、同条第三項中「市町村」とあるのは「市町村(特別区を含む。以下この条において同じ。)」と、「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同条第四項から第七項までの規定中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同条第八項中「団体」とあるのは「地方公共団体」と、同法第二十条第一項中「第十条第三項及び第四項、第十五条第二項及び第三項並びに前二条」とあるのは「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第八条及び同法第十二条において準用する前二条」と、「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同条第二項中「第十条第三項、第十五条第二項、第十八条第二項並びに前条第一項から第五項まで及び第八項」とあるのは「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第八条第一項並びに同法第十二条において準用する第十八条第二項並びに前条第一項から第五項まで及び第八項」と、「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同法第二十二条中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と読み替えるものとする。
第三章 地方債の特例
(地方債の特例)
第十三条 地方公共団体は、地方税法改正法及び法人税等負担軽減措置法の施行による道府県民税及び市町村民税並びに法人の事業税に係る各年度の減収額を埋めるため、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の規定にかかわらず、地方債を起こすことができる。
2 前項の規定により起こすことができる当該各年度の地方債の額は、都道府県にあっては当該都道府県の都道府県減収見込額に、一から第五条第二項に規定する基礎率を控除して得た率を乗じて得た額とし、市町村にあっては当該市町村の市町村減収見込額の四分の一に相当する額とする。
3 前項の規定を適用して計算した額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
第四章 地方交付税の特例等
(基準財政収入額の算定方法の特例)
第十四条 各地方公共団体に対して交付すべき普通交付税の額の算定に用いる基準財政収入額を算定する場合における地方交付税法第十四条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「控除した額とする。)」とあるのは「控除した額とする。)、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第五条から第七条までの規定により当該道府県に対して交付すべき地方特例交付金の額の百分の八十の額」と、「当該市町村の自動車取得税交付金の収入見込額の百分の七十五の額」とあるのは「当該市町村の自動車取得税交付金の収入見込額の百分の七十五の額、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により当該市町村に対して交付すべき地方特例交付金の額の百分の七十五の額」と、「当該指定市の軽油引取税交付金の収入見込額の百分の七十五の額」とあるのは「当該指定市の軽油引取税交付金の収入見込額の百分の七十五の額、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により当該指定市に対して交付すべき地方特例交付金の額の百分の七十五の額」とする。
2 前項の規定にかかわらず、都及び特別区に係る普通交付税の額の算定に用いる基準財政収入額を算定する場合における地方交付税法第十四条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「、ゴルフ場利用税の収入見込額」とあるのは「、都たばこ税の収入見込額については基準税率をもつて算定した都たばこ税の収入見込額から都に係る地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第五条第一項第四号に掲げる額に自治省令で定める率(以下この項において「都区調整率」という。)を乗じて得た額(以下この項において「たばこ税調整額」という。)の百分の八十に相当する額を控除した額とし、ゴルフ場利用税の収入見込額」と、「控除した額とする。)」とあるのは「控除した額とする。)、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により都に対して交付すべき地方特例交付金の額から当該地方特例交付金の額に都区調整率を乗じて得た額(以下この項において「交付金調整額」という。)を控除した額の百分の八十の額」と、「当該市町村の普通税(法定外普通税を除く。)及び事業所税の収入見込額」とあるのは「当該市町村の普通税(法定外普通税を除く。)及び事業所税の収入見込額(特別区たばこ税の収入見込額については、基準税率をもつて算定した特別区たばこ税の収入見込額にたばこ税調整額の百分の七十五を加算した額とする。)」と、「当該市町村の自動車取得税交付金の収入見込額の百分の七十五の額」とあるのは「当該市町村の自動車取得税交付金の収入見込額の百分の七十五の額、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により特別区に対して交付すべき地方特例交付金の額に交付金調整額を加算した額の百分の七十五の額」とする。
3 各地方公共団体に対して交付すべき普通交付税の額の算定に用いる基準財政収入額を算定する場合における地方交付税法第十四条第三項の規定の適用については、当分の間、同項の表道府県の項中
十三 軽油引取税
前年度の軽油引取税に係る課税標準たる数量
とあるのは
十三 軽油引取税
前年度の軽油引取税に係る課税標準たる数量
十三の二 地方特例交付金
当該年度について地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第五条から第七条までの規定により算定した額
と、同項の表市町村の項中
十三 軽油引取税交付金
前年度の軽油引取税交付金の交付額
とあるのは
十三 軽油引取税交付金
前年度の軽油引取税交付金の交付額
十三の二 地方特例交付金
当該年度について地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により算定した額
とする。
第十五条 各地方公共団体に対して交付すべき普通交付税の額の算定に用いる前条第一項の規定により読み替えられた地方交付税法第十四条の規定による基準財政収入額は、当分の間、前条第一項の規定により読み替えられた同法第十四条第一項の規定によって算定した額に、道府県にあっては当該道府県の当該年度の都道府県減収見込額に一から第五条第二項に規定する基礎率を控除して得た率を乗じて得た額の百分の八十の額を、市町村にあっては当該市町村の当該各年度の市町村減収見込額の四分の一に相当する額の百分の七十五の額を加算した額とする。
2 前項の規定にかかわらず、都及び特別区に係る普通交付税の額の算定に用いる前条第二項の規定により読み替えられた地方交付税法第十四条の規定による基準財政収入額は、当分の間、前条第二項の規定により読み替えられた同法第十四条第一項の規定によって算定した額に、都にあっては当該各年度の都道府県減収見込額に一から第五条第二項に規定する基礎率を控除して得た率を乗じて得た額から当該乗じて得た額に前条第二項の規定により読み替えられた地方交付税法第十四条第一項に規定する都区調整率を乗じて得た額(以下この項において「減収調整額」という。)を控除した額の百分の八十の額を、特別区にあっては当該各年度の市町村減収見込額の四分の一に相当する額に減収調整額を加算した額の百分の七十五の額を加算した額とする。
(地方公共団体における年度間の財源の調整の特例)
第十六条 地方財政法第四条の三第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「普通税」とあるのは、「普通税、地方特例交付金」とする。
(特別区財政調整交付金の特例)
第十七条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十二条第二項の規定の適用については、当分の間、同項中「収入額」とあるのは、「収入額と地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第十四条第二項の規定により読み替えられた地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条第一項に規定するたばこ税調整額及び交付金調整額との合算額」とする。
(命令への委任)
第十八条 この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、命令で定める。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から施行し、平成十一年度分の交付金、同年度に許可される地方債及び同年度分の地方交付税から適用する。ただし、第十七条の規定は、平成十二年四月一日から施行する。
(平成十一年度における減収見込額の特例)
第二条 平成十一年度に限り、第二条の規定の適用については、同条第一項第一号中「附則第四十条第二項、第三項、第六項及び第七項」とあるのは「附則第四十条第六項及び第七項」と、同項第四号中「附則第四十条第二項から第五項まで、第八項及び第九項」とあるのは「附則第四十条第五項、第八項及び第九項」とする。
(平成十一年度における四月交付分の交付金の額の特例)
第三条 平成十一年度に限り、地方公共団体に対し四月に交付すべき交付金の額は、第九条第一項の規定にかかわらず、地方交付税法第十四条第三項の表の中欄に掲げる収入の項目のうち道府県民税の所得割及び法人税割、法人の行う事業に対する事業税並びに道府県たばこ税並びに市町村民税の所得割及び法人税割並びに市町村たばこ税に係る平成十年度の同表の基準税額等を参酌し、自治省令で定めるところにより算定した額とする。
(交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正)
第四条 交付税及び譲与税配付金特別会計法(昭和二十九年法律第百三号)の一部を次のように改正する。
附則第七条の次に次の一条を加える。
(地方特例交付金に係る繰入れ)
第七条の二 地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第四条第一項に規定する地方特例交付金の総額から同項第四号に掲げる額を控除した額に相当する額は、毎会計年度、一般会計から交付税及び譲与税配付金勘定に繰り入れるものとする。
附則第八条中「若しくは附則第六条」を「、附則第六条若しくは前条」に改め、「歳入とし、」の下に「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律による地方特例交付金又は」を加える。
(交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 前条の規定による改正後の交付税及び譲与税配付金特別会計法の規定は、平成十一年度分の予算から適用する。
(自治省設置法の一部改正)
第六条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)を次のように改正する。
第四条第二十三号の次に次の一号を加える。
二十三の二 地方特例交付金に関すること。
第五条第十九号の次に次の一号を加える。
十九の二 地方特例交付金の総額を見積り、並びに地方公共団体に交付すべき地方特例交付金の額を決定し、及びこれを交付すること。
第十条中第四号の五を第四号の九とし、第四号の二から第四号の四までを四号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の四号を加える。
四の二 地方特例交付金の交付に関する命令の立案に関すること。
四の三 各地方公共団体に交付すべき地方特例交付金の交付額の決定に関すること。
四の四 地方特例交付金の交付額の減額又は返還及びこれに関する異議の申出についての決定に関すること。
四の五 地方特例交付金の額の算出の基礎についての地方公共団体の審査の請求の審査及び地方特例交付金の額の減額等の意見の聴取に基づく処分に関すること。
大蔵大臣 宮澤喜一
自治大臣 野田毅
内閣総理大臣 小渕恵三
地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十一年三月三十一日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第十七号
地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
地方特例交付金(第三条―第十二条)
第三章
地方債の特例(第十三条)
第四章
地方交付税の特例等(第十四条―第十八条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、地方税法の一部を改正する法律(平成十一年法律第十五号。以下「地方税法改正法」という。)及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成十一年法律第八号。以下「法人税等負担軽減措置法」という。)の施行により道府県民税(都民税を含む。以下同じ。)及び市町村民税(特別区民税を含む。以下同じ。)並びに法人の事業税の収入が減少することに伴う地方公共団体の財政状況にかんがみ、その財政の健全な運営に資するため、当分の間の措置として、地方特例交付金の交付その他の必要な財政上の特別措置を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 道府県民税所得割減収見込額 地方税法改正法による改正後の地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号。以下「平成十一年改正後の地方税法」という。)附則第四十条第二項、第三項、第六項及び第七項の規定の適用がないものとした場合における各年度の個人の道府県民税の所得割の収入見込額から当該各年度の個人の道府県民税の所得割の収入見込額を控除した額をいう。
二 道府県民税法人税割減収見込額 法人税について法人税等負担軽減措置法第十六条並びに法人税等負担軽減措置法附則第十条による改正後の租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十七条の二及び第六十八条の三の規定の適用がなく、かつ、法人税等負担軽減措置法附則第十条による改正前の租税特別措置法第六十七条の二及び第六十八条の三の規定の適用があるものとした場合における各年度の法人の道府県民税の法人税割(平成十一年改正後の地方税法第七百三十四条第二項の規定に基づき都民税として課される同項第三号に掲げる税のうち平成十一年改正後の地方税法第五条第二項第一号に係るものであって法人税額を課税標準として課するものを除く。以下同じ。)の収入見込額から当該各年度の法人の道府県民税の法人税割の収入見込額を控除した額をいう。
三 法人事業税減収見込額 平成十一年改正後の地方税法附則第九条の二及び第四十条第十項の規定の適用がなく、かつ、地方税法改正法による改正前の地方税法(以下「平成十一年改正前の地方税法」という。)附則第九条の二の規定の適用があるものとした場合における各年度の法人の事業税の収入見込額から当該各年度の法人の事業税の収入見込額を控除した額をいう。
四 市町村民税所得割減収見込額 平成十一年改正後の地方税法附則第四十条第二項から第五項まで、第八項及び第九項の規定の適用がないものとした場合における各年度の個人の市町村民税の所得割の収入見込額から当該各年度の個人の市町村民税の所得割の収入見込額を控除した額をいう。
五 市町村民税法人税割減収見込額 法人税について法人税等負担軽減措置法第十六条並びに法人税等負担軽減措置法附則第十条による改正後の租税特別措置法第六十七条の二及び第六十八条の三の規定の適用がなく、かつ、法人税等負担軽減措置法附則第十条による改正前の租税特別措置法第六十七条の二及び第六十八条の三の規定の適用があるものとした場合における各年度の法人の市町村民税の法人税割(平成十一年改正後の地方税法第七百三十四条第二項の規定に基づき都民税として課される同項第三号に掲げる税のうち平成十一年改正後の地方税法第五条第二項第一号に係るものであって法人税額を課税標準として課するものを含む。以下同じ。)の収入見込額から当該各年度の法人の市町村民税の法人税割の収入見込額を控除した額をいう。
六 道府県たばこ税増収見込額 平成十一年改正後の地方税法附則第十二条の二の規定の適用がなく、かつ、平成十一年改正前の地方税法附則第十二条の二の規定の適用があるものとした場合における各年度の道府県たばこ税(都たばこ税を含む。以下同じ。)の収入見込額を当該各年度の道府県たばこ税の収入見込額から控除した額をいう。
七 市町村たばこ税増収見込額 平成十一年改正後の地方税法附則第三十条の二の規定の適用がなく、かつ、平成十一年改正前の地方税法附則第三十条の二の規定の適用があるものとした場合における各年度の市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。以下同じ。)の収入見込額を当該各年度の市町村たばこ税の収入見込額から控除した額をいう。
2 前項各号に規定する収入見込額は、同項各号に規定する地方税を平成十一年改正後の地方税法第一条第一項第五号に規定する標準税率(標準税率の定めのない地方税については、平成十一年改正後の地方税法に定める税率とする。)によって課するものとした場合の収入見込額とする。
第二章 地方特例交付金
(交付金の交付)
第三条 毎年度、地方公共団体に対して、地方税法改正法及び法人税等負担軽減措置法の施行による道府県民税及び市町村民税並びに法人の事業税に係る各年度の減収額を埋めるため、地方特例交付金(以下「交付金」という。)を交付する。
(交付金の総額)
第四条 毎年度分として交付すべき交付金の総額は、当該年度における第一号に掲げる額の四分の三に相当する額から第二号及び第三号に掲げる額の合算額を控除した額に第四号に掲げる額を加算した額として予算で定める額とする。
一 イからホまでに掲げる額の合算額
イ 道府県民税所得割減収見込額の総額
ロ 道府県民税法人税割減収見込額の総額
ハ 法人事業税減収見込額の総額
ニ 市町村民税所得割減収見込額の総額
ホ 市町村民税法人税割減収見込額の総額
二 イ及びロに掲げる額の合算額
イ 道府県たばこ税増収見込額の総額
ロ 市町村たばこ税増収見込額の総額
三 当該年度の一般会計の当初予算における法人税の収入見込額の百分の三・八(平成十一年度にあっては、百分の○・五)に相当する額
四 当該年度の前年度又は前々年度において、第十二条において準用する地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十九条第二項から第五項までの規定により返還され、又は納付された額
2 前項第一号イからホまでに掲げる額並びに同項第二号イ及びロに掲げる額は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる数値を基礎として、政令で定めるところにより、見積るものとする。
一 道府県民税所得割減収見込額の総額
前年度分の道府県民税の所得割の課税の基礎となった納税義務者等の数及び課税標準等の額
二 道府県民税法人税割減収見込額の総額
前々年度の道府県民税の法人税割の課税標準等の額
三 法人事業税減収見込額の総額
前々年度の法人の事業税の課税標準等の額
四 市町村民税所得割減収見込額の総額
前年度分の市町村民税の所得割の課税の基礎となった納税義務者等の数及び課税標準等の額
五 市町村民税法人税割減収見込額の総額
前々年度の市町村民税の法人税割の課税標準等の額
六 道府県たばこ税増収見込額の総額
前々年度の道府県たばこ税の課税標準数量
七 市町村たばこ税増収見込額の総額
前々年度の市町村たばこ税の課税標準数量
(各地方公共団体に交付すべき交付金の算定方法)
第五条 毎年度分として各都道府県に対して交付すべき交付金の額は、当該年度における当該都道府県の第一号から第三号までに掲げる額の合算額(都にあっては、当該合算額に特別区に係る第三項第二号に掲げる額を加算した額。以下「都道府県減収見込額」という。)に基礎率を乗じて得た額から、第三号及び第四号に掲げる額の合算額(次項に規定する不交付見込都道府県にあっては、第四号に掲げる額)を控除した額とする。
一 道府県民税所得割減収見込額
二 道府県民税法人税割減収見込額
三 法人事業税減収見込額
四 道府県たばこ税増収見込額
2 前項の基礎率は、交付見込都道府県(政令で定めるところにより、地方交付税法第十条第一項の規定による普通交付税の交付を受けることとなると見込まれる都道府県をいう。以下同じ。)又は不交付見込都道府県(交付見込都道府県以外の都道府県をいう。以下同じ。)の別に政令で定める方法により算定した率を、四分の三に加え、又はこれから減じて得た率とする。
3 毎年度分として各市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して交付すべき交付金の額は、当該年度における当該市町村の第一号及び第二号に掲げる額の合算額(特別区にあっては、第一号に掲げる額。以下「市町村減収見込額」という。)の四分の三に相当する額から、第三号に掲げる額を控除した額とする。
一 市町村民税所得割減収見込額
二 市町村民税法人税割減収見込額
三 市町村たばこ税増収見込額
4 第一項各号及び前項各号に掲げる額は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる算定の基礎によって、自治省令で定める方法により、算定するものとする。
一 道府県民税所得割減収見込額
前年度分の道府県民税の所得割の課税の基礎となった納税義務者等の数及び課税標準等の額
二 道府県民税法人税割減収見込額
当該都道府県の区域内に事務所又は事業所を有する法人に係る最近の事業年度に係る道府県民税の法人税割の課税標準等の額
三 法人事業税減収見込額
当該都道府県の区域内に事務所又は事業所を有する法人に係る最近の事業年度に係る事業税の課税標準等の額
四 市町村民税所得割減収見込額
前年度分の市町村民税の所得割の課税の基礎となった納税義務者等の数及び課税標準等の額
五 市町村民税法人税割減収見込額
当該市町村の区域内に事務所又は事業所を有する法人に係る最近の事業年度に係る市町村民税の法人税割の課税標準等の額
六 道府県たばこ税増収見込額
前年度の道府県たばこ税の課税標準数量
七 市町村たばこ税増収見込額
前年度の市町村たばこ税の課税標準数量
(交付・不交付の見込みに係る精算)
第六条 当該年度の前年度における交付見込都道府県が当該前年度において普通交付税の交付を受けなかった場合には、当該前年度において前条第一項の規定により算定した交付金の額を当該前年度において当該交付見込都道府県が不交付見込都道府県であったとした場合の同項の規定により算定した交付金の額から控除した額を、当該年度において同項の規定により算定した交付金の額に加算する。
2 当該年度の前年度における不交付見込都道府県が当該前年度において普通交付税の交付を受けた場合には、当該前年度において前条第一項の規定により算定した交付金の額から当該前年度において当該不交付見込都道府県が交付見込都道府県であったとした場合の同項の規定により算定した交付金の額を控除した額(以下この項において「精算額」という。)を、当該年度において同項の規定により算定した交付金の額から減額する。この場合において、当該年度の交付金の額から精算額を減額してもなお減額しきれない額があるときは、自治省令で定めるところにより、当該減額しきれない額を、翌年度以降の交付金の額から減額する。
(交付金の額の調整)
第七条 第四条に規定する当該年度分として交付すべき交付金の総額と、当該年度において前二条の規定により各地方公共団体について算定した交付金の額の合算額に第十二条において準用する地方交付税法第十九条第二項の規定により交付すべき交付金の額を加算した額との間に差額があるときは、自治省令で定めるところにより、その差額を各地方公共団体の都道府県減収見込額及び市町村減収見込額であん分し、当該あん分した額に相当する額をそれぞれ当該地方公共団体の交付金の額に加算し、又はこれから減額する。
(算定の時期等)
第八条 自治大臣は、前三条の規定により交付すべき交付金の額を、遅くとも毎年八月三十一日までに決定しなければならない。
2 自治大臣は、前項の規定により交付金の額を決定したときは、これを当該地方公共団体に通知しなければならない。
(交付金の交付時期)
第九条 交付金は、毎年度、次の表の上欄に掲げる時期に、それぞれ同表の下欄に定める額を交付する。ただし、四月において交付すべき交付金については、当該年度において交付すべき交付金の額が前年度の交付金の額に比して著しく減少することとなると認められる地方公共団体又は当該年度において交付金の交付を受けないこととなると認められる地方公共団体に対しては、同表の下欄に定める額の全部又は一部を交付しないことができる。
交付時期
交付時期ごとに交付すべき額
四月
前年度の当該地方公共団体に対する交付金の額に当該年度の交付金の総額の前年度の交付金の総額に対する割合を乗じて得た額の二分の一に相当する額
九月
当該年度において交付すべき当該地方公共団体に対する交付金の額から既に交付した交付金の額を控除した額
2 当該年度の国の予算の成立しないこと等の事由により、前項の規定により難い場合における交付金の交付時期及び交付時期ごとに交付すべき額については、国の暫定予算の額及びその成立の状況、前年度の交付金の額等を参酌して、自治省令で定めるところにより、特例を設けることができる。
3 地方公共団体が前二項の規定により各交付時期に交付を受けた交付金の額が当該年度分として交付を受けるべき交付金の額を超える場合においては、当該地方公共団体は、その超過額を遅滞なく、国に還付しなければならない。
4 第一項の場合において、四月一日以前一年内及び四月二日から当該年度の交付金の四月に交付すべき額が交付されるまでの間に地方公共団体の廃置分合又は境界変更があった場合における前年度の関係地方公共団体の交付金の額の算定方法は、自治省令で定める。
(市町村交付金の算定及び交付に関する都道府県知事の義務)
第十条 都道府県知事は、政令で定めるところにより、当該都道府県の区域内の市町村に対し交付すべき交付金の額の算定及び交付に関する事務を取り扱わなければならない。
(交付金の額の算定に用いる資料の提出等)
第十一条 都道府県知事は、自治省令で定めるところにより、当該都道府県の交付金の額の算定に用いる資料を自治大臣に提出しなければならない。
2 市町村長は、自治省令で定めるところにより、当該市町村の交付金の額の算定に用いる資料を都道府県知事に提出しなければならない。この場合において、都道府県知事は、当該資料を審査し、自治大臣に送付しなければならない。
3 自治大臣は、都道府県及び政令で定める市町村について、前二項の規定により提出された資料に関し、検査を行わなければならない。
4 都道府県知事は、当該都道府県の区域内の市町村(前項の政令で定める市町村を除く。)について、第二項の規定により提出された資料に関し検査を行い、その結果を自治大臣に報告しなければならない。
(地方交付税法の準用)
第十二条 地方交付税法第八条、第九条、第十八条から第二十条まで及び第二十二条の規定は、交付金について準用する。この場合において、同法第八条及び第九条中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同法第十八条第一項中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、「第十条第四項又は第十五条第三項」とあるのは「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第八条第二項」と、「決定又は変更」とあるのは「決定」と、「市町村」とあるのは「市町村(特別区を含む。次項において同じ。)」と、同条第二項中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同法第十九条第一項中「第十条第四項」とあるのは「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第八条第二項」と、「前条第一項」とあるのは「同法第十二条において準用する前条第一項」と、「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、「基準財政需要額又は基準財政収入額」とあり、及び「基準財政需要額若しくは基準財政収入額」とあるのは「同法第五条第一項各号及び第三項各号に掲げる額」と、同条第二項中「地方団体で」とあるのは「地方公共団体で」と、「当該地方団体に交付すべき普通交付税の額の算定に用いられるべき当該年度の基準財政収入額が基準財政需要額をこえるもの」とあり、及び「基準財政収入額が基準財政需要額をこえることとなる地方団体」とあるのは「交付金が交付されない地方公共団体」と、「地方団体の」とあるのは「地方公共団体の」と、同条第三項中「市町村」とあるのは「市町村(特別区を含む。以下この条において同じ。)」と、「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同条第四項から第七項までの規定中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同条第八項中「団体」とあるのは「地方公共団体」と、同法第二十条第一項中「第十条第三項及び第四項、第十五条第二項及び第三項並びに前二条」とあるのは「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第八条及び同法第十二条において準用する前二条」と、「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同条第二項中「第十条第三項、第十五条第二項、第十八条第二項並びに前条第一項から第五項まで及び第八項」とあるのは「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第八条第一項並びに同法第十二条において準用する第十八条第二項並びに前条第一項から第五項まで及び第八項」と、「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と、同法第二十二条中「地方団体」とあるのは「地方公共団体」と読み替えるものとする。
第三章 地方債の特例
(地方債の特例)
第十三条 地方公共団体は、地方税法改正法及び法人税等負担軽減措置法の施行による道府県民税及び市町村民税並びに法人の事業税に係る各年度の減収額を埋めるため、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の規定にかかわらず、地方債を起こすことができる。
2 前項の規定により起こすことができる当該各年度の地方債の額は、都道府県にあっては当該都道府県の都道府県減収見込額に、一から第五条第二項に規定する基礎率を控除して得た率を乗じて得た額とし、市町村にあっては当該市町村の市町村減収見込額の四分の一に相当する額とする。
3 前項の規定を適用して計算した額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
第四章 地方交付税の特例等
(基準財政収入額の算定方法の特例)
第十四条 各地方公共団体に対して交付すべき普通交付税の額の算定に用いる基準財政収入額を算定する場合における地方交付税法第十四条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「控除した額とする。)」とあるのは「控除した額とする。)、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第五条から第七条までの規定により当該道府県に対して交付すべき地方特例交付金の額の百分の八十の額」と、「当該市町村の自動車取得税交付金の収入見込額の百分の七十五の額」とあるのは「当該市町村の自動車取得税交付金の収入見込額の百分の七十五の額、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により当該市町村に対して交付すべき地方特例交付金の額の百分の七十五の額」と、「当該指定市の軽油引取税交付金の収入見込額の百分の七十五の額」とあるのは「当該指定市の軽油引取税交付金の収入見込額の百分の七十五の額、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により当該指定市に対して交付すべき地方特例交付金の額の百分の七十五の額」とする。
2 前項の規定にかかわらず、都及び特別区に係る普通交付税の額の算定に用いる基準財政収入額を算定する場合における地方交付税法第十四条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「、ゴルフ場利用税の収入見込額」とあるのは「、都たばこ税の収入見込額については基準税率をもつて算定した都たばこ税の収入見込額から都に係る地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第五条第一項第四号に掲げる額に自治省令で定める率(以下この項において「都区調整率」という。)を乗じて得た額(以下この項において「たばこ税調整額」という。)の百分の八十に相当する額を控除した額とし、ゴルフ場利用税の収入見込額」と、「控除した額とする。)」とあるのは「控除した額とする。)、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により都に対して交付すべき地方特例交付金の額から当該地方特例交付金の額に都区調整率を乗じて得た額(以下この項において「交付金調整額」という。)を控除した額の百分の八十の額」と、「当該市町村の普通税(法定外普通税を除く。)及び事業所税の収入見込額」とあるのは「当該市町村の普通税(法定外普通税を除く。)及び事業所税の収入見込額(特別区たばこ税の収入見込額については、基準税率をもつて算定した特別区たばこ税の収入見込額にたばこ税調整額の百分の七十五を加算した額とする。)」と、「当該市町村の自動車取得税交付金の収入見込額の百分の七十五の額」とあるのは「当該市町村の自動車取得税交付金の収入見込額の百分の七十五の額、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により特別区に対して交付すべき地方特例交付金の額に交付金調整額を加算した額の百分の七十五の額」とする。
3 各地方公共団体に対して交付すべき普通交付税の額の算定に用いる基準財政収入額を算定する場合における地方交付税法第十四条第三項の規定の適用については、当分の間、同項の表道府県の項中
十三 軽油引取税
前年度の軽油引取税に係る課税標準たる数量
とあるのは
十三 軽油引取税
前年度の軽油引取税に係る課税標準たる数量
十三の二 地方特例交付金
当該年度について地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第五条から第七条までの規定により算定した額
と、同項の表市町村の項中
十三 軽油引取税交付金
前年度の軽油引取税交付金の交付額
とあるのは
十三 軽油引取税交付金
前年度の軽油引取税交付金の交付額
十三の二 地方特例交付金
当該年度について地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律第五条から第七条までの規定により算定した額
とする。
第十五条 各地方公共団体に対して交付すべき普通交付税の額の算定に用いる前条第一項の規定により読み替えられた地方交付税法第十四条の規定による基準財政収入額は、当分の間、前条第一項の規定により読み替えられた同法第十四条第一項の規定によって算定した額に、道府県にあっては当該道府県の当該年度の都道府県減収見込額に一から第五条第二項に規定する基礎率を控除して得た率を乗じて得た額の百分の八十の額を、市町村にあっては当該市町村の当該各年度の市町村減収見込額の四分の一に相当する額の百分の七十五の額を加算した額とする。
2 前項の規定にかかわらず、都及び特別区に係る普通交付税の額の算定に用いる前条第二項の規定により読み替えられた地方交付税法第十四条の規定による基準財政収入額は、当分の間、前条第二項の規定により読み替えられた同法第十四条第一項の規定によって算定した額に、都にあっては当該各年度の都道府県減収見込額に一から第五条第二項に規定する基礎率を控除して得た率を乗じて得た額から当該乗じて得た額に前条第二項の規定により読み替えられた地方交付税法第十四条第一項に規定する都区調整率を乗じて得た額(以下この項において「減収調整額」という。)を控除した額の百分の八十の額を、特別区にあっては当該各年度の市町村減収見込額の四分の一に相当する額に減収調整額を加算した額の百分の七十五の額を加算した額とする。
(地方公共団体における年度間の財源の調整の特例)
第十六条 地方財政法第四条の三第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「普通税」とあるのは、「普通税、地方特例交付金」とする。
(特別区財政調整交付金の特例)
第十七条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十二条第二項の規定の適用については、当分の間、同項中「収入額」とあるのは、「収入額と地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第十四条第二項の規定により読み替えられた地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条第一項に規定するたばこ税調整額及び交付金調整額との合算額」とする。
(命令への委任)
第十八条 この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、命令で定める。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から施行し、平成十一年度分の交付金、同年度に許可される地方債及び同年度分の地方交付税から適用する。ただし、第十七条の規定は、平成十二年四月一日から施行する。
(平成十一年度における減収見込額の特例)
第二条 平成十一年度に限り、第二条の規定の適用については、同条第一項第一号中「附則第四十条第二項、第三項、第六項及び第七項」とあるのは「附則第四十条第六項及び第七項」と、同項第四号中「附則第四十条第二項から第五項まで、第八項及び第九項」とあるのは「附則第四十条第五項、第八項及び第九項」とする。
(平成十一年度における四月交付分の交付金の額の特例)
第三条 平成十一年度に限り、地方公共団体に対し四月に交付すべき交付金の額は、第九条第一項の規定にかかわらず、地方交付税法第十四条第三項の表の中欄に掲げる収入の項目のうち道府県民税の所得割及び法人税割、法人の行う事業に対する事業税並びに道府県たばこ税並びに市町村民税の所得割及び法人税割並びに市町村たばこ税に係る平成十年度の同表の基準税額等を参酌し、自治省令で定めるところにより算定した額とする。
(交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正)
第四条 交付税及び譲与税配付金特別会計法(昭和二十九年法律第百三号)の一部を次のように改正する。
附則第七条の次に次の一条を加える。
(地方特例交付金に係る繰入れ)
第七条の二 地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律(平成十一年法律第十七号)第四条第一項に規定する地方特例交付金の総額から同項第四号に掲げる額を控除した額に相当する額は、毎会計年度、一般会計から交付税及び譲与税配付金勘定に繰り入れるものとする。
附則第八条中「若しくは附則第六条」を「、附則第六条若しくは前条」に改め、「歳入とし、」の下に「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律による地方特例交付金又は」を加える。
(交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 前条の規定による改正後の交付税及び譲与税配付金特別会計法の規定は、平成十一年度分の予算から適用する。
(自治省設置法の一部改正)
第六条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)を次のように改正する。
第四条第二十三号の次に次の一号を加える。
二十三の二 地方特例交付金に関すること。
第五条第十九号の次に次の一号を加える。
十九の二 地方特例交付金の総額を見積り、並びに地方公共団体に交付すべき地方特例交付金の額を決定し、及びこれを交付すること。
第十条中第四号の五を第四号の九とし、第四号の二から第四号の四までを四号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の四号を加える。
四の二 地方特例交付金の交付に関する命令の立案に関すること。
四の三 各地方公共団体に交付すべき地方特例交付金の交付額の決定に関すること。
四の四 地方特例交付金の交付額の減額又は返還及びこれに関する異議の申出についての決定に関すること。
四の五 地方特例交付金の額の算出の基礎についての地方公共団体の審査の請求の審査及び地方特例交付金の額の減額等の意見の聴取に基づく処分に関すること。
大蔵大臣 宮沢喜一
自治大臣 野田毅
内閣総理大臣 小渕恵三