住宅金融公庫法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第49号
公布年月日: 昭和32年4月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

住宅金融公庫の業務拡充のため、以下の改正を行う。第一に、災害による被災住宅の復興・補修資金の融通を新設し、その業務の一部を地方公共団体に委託可能とする。第二に、都市の土地利用効率向上と防災のため、中高層耐火建築物建設への融資制度を設ける。第三に、宅地造成事業の融資対象を拡大し、貸付対象外の住宅用地造成も可能とする。第四に、増築時の床面積制限を120平方メートルまで緩和する。また、国庫納付金の帰属会計の変更や、副総裁職の新設など組織体制の整備を行う。

参照した発言:
第26回国会 衆議院 建設委員会 第7号

審議経過

第26回国会

参議院
(昭和32年3月5日)
衆議院
(昭和32年3月14日)
(昭和32年3月20日)
(昭和32年3月22日)
(昭和32年3月26日)
(昭和32年3月26日)
参議院
(昭和32年3月26日)
(昭和32年3月28日)
(昭和32年3月29日)
衆議院
(昭和32年5月19日)
参議院
(昭和32年5月19日)
住宅金融公庫法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年四月一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第四十九号
住宅金融公庫法の一部を改正する法律
住宅金融公庫法(昭和二十五年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。
第一条に次の一項を加える。
3 住宅金融公庫は、前二項に規定するものの外、相当の住宅部分を有する建築物で土地の合理的利用及び災害の防止に寄与するものの建設に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。
第二条中第二号を削り、第三号から第五号までを一号ずつ繰り上げ、同条第六号中「本号において」を削り、同号を同条第五号とし、同条に次の一号を加える。
六 中高層耐火建築物 主要構造部を耐火構造とした建築物又は外壁を耐火溝造とし、屋根を不燃材料でふいた建築物若しくは主要構造部を不燃材料その他の不燃性の建築材料で造つた建築物で、地上階数三以上を有するものをいう。
第六条第二項第六号中「理事」を「副総裁又は理事」に改める。
第九条中「総裁一人」の下に「、副総裁一人」を加え、「理事五人以内」を「理事四人以内」に改める。
第十条第二項中「総裁を補佐して」を「総裁及び副総裁を補佐して」に、「総裁に事故があるときには」を「総裁及び副総裁に事故があるときには」に、「総裁が欠員のときには」を「総裁及び副総裁が欠員のときには」に改め、同条中第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 副総裁は、総裁の定めるところにより、公庫を代表し、総裁を補佐して公庫の事務を掌理し、総裁に事故があるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
第十一条第二項中「理事」を「副総裁及び理事」に改める。
第十二条、第十三条及び第十四条中「総裁」の下に「、副総裁」を加える。
第十七条第四項中「貸付金に係る」を「主として貸付金に係る」に改め、同条第五項を次のように改める。
5 公庫は、地震、暴風雨、こう水、火災その他の災害で主務省令で定めるものにより、人の居住の用に供する家屋(主として人の居住の用に供する家屋を含む。以下本項において同じ。)が滅失し、又は損傷した場合において、当該災害の当時当該家屋を所有し、若しくは賃借し、又は当該家屋に居住していた者が当該家屋を復興して自ら居住し、又は他人に貸すために、当該災害発生の日から二年以内に、人の居住の用に供する家屋で主務省令で定めるもの(以下「災害復興住宅」という。)を建設し、若しくは補修し、又は当該災害復興住宅の建設に附随して土地若しくは借地権を取得しようとするときは、これらの者に対し、当該災害復興住宅の建設若しくは補修又は当該災害復興住宅の建設に附随する土地若しくは借地権の取得に必要な資金を貸し付けることができる。
第十七条第六項を削り、同条第七項中「第一項、第二項及び第四項から前項までに規定する業務の外、」を「第一条第二項に掲げる目的を達成するため、」に改め、同項を同条第六項とし、同項の次に次の一項を加える。
7 公庫は、第一条第三項に掲げる目的を達成するため、相当の住宅部分を有する中高層耐火建築物並びに防火建築帯(耐火建築促進法(昭和二十七年法律第百六十号)第四条第一項の規定により指定された防火建築帯をいう。)の区域内において相当の住宅部分を有し、且つ、主要構造部を耐火構造とし、基礎及び主要構造部を地上第三階以上の部分の建設を予定する構造とした二階建の建築物を建設する者に対し、その建設に必要な資金の貸付の業務を行う。
第十七条第八項第一号中「基礎主要構造部(第五項又は第六項の規定によりその建設について資金の貸付を受けることができる主要構造部をいう。以下同じ。)」を「中高層耐火建築物等(前項の規定によりその建設について資金の貸付を受けることができる建築物をいう。以下同じ。)」に改め、同項第四号中「基礎主要構造部」を「中高層耐火建築物等」に改める。
第十八条中「及び第四項から第六項まで」を「、第四項、第五項及び第七項」に、「、第五項若しくは第六項」を「若しくは第七項」に改め、「事業の内容」の下に「、工事の計画」を加える。
第十九条中「百平方メートル」の下に「(貸付が住宅の床面積を増加するための建設に係る場合においては、百二十平方メートル)」を加える。
第十九条の二の見出し中「多層家屋等」を「中高層耐火建築物等」に改め、同条中「多層家屋及び第十七条第六項の規定による貸付金に係る家屋(以下「多層家屋等」という。)」を「中高層耐火建築物等」に、「当該家屋内の住宅」を「当該中高層耐火建築物等内」に改める。
第二十条第二項を次のように改める。
2 第十七条第一項第二号から第四号までの規定に該当する者で土地を所有するものが当該土地に中高層耐火建築物を建設する場合において、当該中高層耐火建築物内の住宅の建設について同条第一項の規定による貸付を受けるとき(あわせて同条第二項の規定による貸付を受ける場合を除く。)は、その貸付金の一戸当りの金額の限度は、前項の規定にかかわらず、当該住宅の建設費及び当該住宅の建設に通常必要な土地の取得に必要な費用(当該土地の取得に必要な費用が当該住宅の建設費の一割七分をこえる場合においては、当該住宅の建設費の一割七分に相当する金額)を合計した額の八割五分に相当する金額とする。
第二十条第四項を次のように改める。
4 第十七条第五項の規定による貸付金の一戸当りの金額の限度は、政令で定める。
第二十条第七項中「、基礎主要構造部の標準建設費」を削り、同項を同条第八項とし、同条第六項中「地域別及び住宅の構造別に、」を「地域別、規模別及び構造別に、住宅については」に、「住宅の建設のため通常必要な費用を参しやくして、第四項に規定する基礎主要構造部の標準建設費は、地域別及び規模別に、基礎主要構造部の建設のため通常必要な費用を参しやくして、第一項」を「住宅の建設のため通常必要な費用を、中高層耐火建築物等については中高層耐火建築物等の建設のため通常必要な費用をそれぞれ参しやくして、同項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。
5 第十七条第七項の規定による貸付金の金額の限度は、中高層耐火建築物等の住宅部分についてはその建設費(第十七条第一項又は融通法第七条第一項の規定による貸付金に係る部分があるときは、当該建設費からその部分の建設費を差し引いた額)、住宅部分以外の部分については住宅部分の床面積と等しい床面積の部分(住宅部分以外の部分の床面積が住宅部分の床面積に満たないときは、その住宅部分以外の部分)の建設費のそれぞれ七割五分に相当する金額とする。
第二十一条第一項の表区分の欄中「多層家屋等内の」を「中高層耐火建築物内の耐火構造の」に改め、同条第二項中「三年」を「五年」に改め、同条第三項中「第十七条第五項又は第六項」を「第十七条第七項」に、「五分五厘」を「六分五厘」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 第十七条第五項の規定による貸付金の利率は、年五分五厘とし、その償還期間は、建設又は当該建設に附随する土地若しくは借地権の取得に係るものについては十五年(すえおき期間を含む。)以内、補修に係るものについては八年(すえおき期間を含む。)以内とする。この場合において、すえおき期間は、貸付の日から起算し、建設又は当該建設に附随する土地若しくは借地権の取得に係るものについては三年以内、補修に係るものについては一年以内とする。
第二十一条の二を次のように改める。
(貸付金の償還期間の特例等)
第二十一条の二 公庫は、第十七条第五項に規定する災害により滅失した住宅を当該災害の当時所有し、若しくは使用していた者が、当該災害の発生の日から二年以内に、住宅(同条第一項第一号の規定に該当する者が建設する住宅に限る。)又は中高層耐火建築物等を建設しようとする場合において、同条第一項、第二項又は第七項の規定により、これらの者に住宅若しくは中高層耐火建築物等の建設又は住宅の建設に附随する土地若しくは借地権の取得に必要な資金を貸し付けるときは、貸付金の償還期間を三年以内延長し、且つ、貸付の日から起算して三年以内のすえおき期間を設けることができる。
第二十一条の三第三項ただし書中「当該住宅又は土地」を「当該住宅、災害復興住宅又は土地」に、「当該住宅に係る」を「当該住宅又は災害復興住宅に係る」に改め、同項第二号中「住宅」の下に「、災害復興住宅、中高層耐火建築物等」を加え、同項第四号中「貸付を受けた者で第十七条第一項第一号若しくは第三号の規定に該当するもの」を「第十七条第一項若しくは第二項の規定による貸付を受けた者で同条第一項第一号若しくは第三号の規定に該当するもの」に、「第六項」を「第七項」に改め、「住宅」の下に「、災害復興住宅、中高層耐火建築物等」を加え、同項第五号及び第六号中「住宅又は住宅及びこれに」を「住宅、災害復興住宅又は住宅若しくは災害復興住宅及びこれらに」に改め、同項第七号中「住宅」の下に「又は災害復興住宅」を加え、同項第八号中「第十七条第五項又は第六項」を「第十七条第七項」に、「家屋の人の居住の用に供する部分」を「中高層耐火建築物等の住宅部分」に改め、同項第九号中「貸付を受けた者で第十七条第一項第三号の規定に該当するもの」を「第十七条第一項の規定による貸付を受けた者で同項第三号の規定に該当するもの又は同条第五項若しくは第七項の規定による貸付を受けた者で当該貸付金に係る災害復興住宅若しくは中高層耐火建築物等内の住宅を賃貸するもの」に、「又は第二項」を「、第二項又は第三項」に改め、同項第十号中「貸付を受けた者で第十七条第一項第四号の規定に該当するもの」を「第十七条第一項の規定による貸付を受けた者で同項第四号の規定に該当するもの」に改め、「同条第四項」の下に「若しくは第七項」を加え、「又は第二項」を「、第二項又は第三項」に改める。
第二十三条第一項中「住宅」を「住宅、災害復興住宅」に、「基礎主要構造部」を「中高層耐火建築物等」に改め、「造成中の土地に係る造成工事」の下に「並びに公庫の第十七条第五項及び第七項の規定による貸付に関する申込の受理及び審査並びに同条第五項の規定による貸付に関する資金の貸付、元利金の回収その他貸付及び回収に関する業務並びに当該貸付に関する貸付金の回収に関連して取得した動産、不動産又は所有権以外の財産権の管理及び処分」を加える。
第二十四条第二項中「住宅」を「住宅、災害復興住宅又は中高層耐火建築物等」に改め、「又は基礎主要構造部」を削る。
第二十七条第二項中「一般会計の」を削り、同条第三項中「同項」を「第一項」に、「及び納付の手続」を「並びに納付金の納付の手続及びその帰属する会計」に改める。
第三十三条第一項中「受託者たる金融機関」の下に「若しくは地方公共団体」を加え、「貸付を受けた者で第十七条第一項第三号」を「第十七条第一項の規定による貸付を受けた者で同項第三号」に改める。
第三十四条第二項中「住宅若しくは基礎主要構造部」を「住宅、災害復興住宅若しくは中高層耐火建築物等」に改める。
第三十五条中「貸付を受けた者で第十七条第一項第三号の規定に該当するもの」を「第十七条第一項の規定による貸付を受けた者で同項第三号の規定に該当するもの」に、「貸付金」を「当該貸付金」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第十七条第五項又は第七項の規定による貸付を受けた者が当該貸付金に係る災害復興住宅又は中高層耐火建築物等内の住宅を賃貸するときは、家賃その他賃貸の条件に関し主務省令で定める基準に従つてしなければならない。
第三十五条の二中「貸付を受けた者で第十七条第一項第四号の規定に該当するもの」を「第十七条第一項の規定による貸付を受けた者で同項第四号の規定に該当するもの」に、「貸付金」を「当該貸付金」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第十七条第七項の規定による貸付を受けた者が当該貸付金に係る中高層耐火建築物等内の住宅を他人に譲渡するときは、譲渡価額その他譲渡の条件に関し主務省令で定める基準に従つてしなければならない。
第三十九条中「法律第七十六号」を「法律第百七十六号」に改める。
第四十九条第五号中「第二十条第一項から第五項まで」を「第二十条第一項から第六項まで」に改め、同条第六号中「第二十条第七項」を「第二十条第八項」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して二月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(適用区分)
2 改正後の住宅金融公庫法第十七条第五項の規定及び同法中同条同項の規定に係る部分は、この法律の公布の日以降に発生した災害から適用し、改正前の同条第五項又は第六項の規定により住宅金融公庫が昭和三十一年度以前の事業計画に係る資金の貸付の申込を受理したものについては、なお従前の例による。
(産業労働者住宅資金融通法の一部改正)
3 産業労働者住宅資金融通法(昭和二十八年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項の表区分の欄中「第二条第五号」を「第二条第四号」に、「第二条第六号」を「第二条第五号」に改め、同条第二項中「第二十条第五項」を「第二十条第六項」に、「第二十条第六項及び第七項」を「第二十条第七項及び第八項」に改め、同条第三項中「「第十七条第一項第一号若しくは第三号の規定に該当するもの又は同条第五項若しくは第六項の規定による貸付を受けた者」」を「「第十七条第一項若しくは第二項の規定による貸付を受けた者で同条第一項第一号若しくは第三号の規定に該当するもの又は同条第五項若しくは第七項の規定による貸付を受けた者」」に、「産業労働者住宅資金融通法」を「貸付を受けた者で産業労働者住宅資金融通法」に改める。
第十二条中「第二十五条第一項」を「第二十五条」に改める。
第十六条第三号中「第二十条第五項」を「第二十条第六項」に、同条第四号中「第二十条第七項」を「第二十条第八項」に改める。
(北海道防寒住宅建設等促進法の一部改正)
4 北海道防寒住宅建設等促進法(昭和二十八年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
第八条第一項中「第二条(定義)第五号」を「第二条(定義)第四号」に、「同条第六号」を「同条第五号」に改め、同条第二項の表区分の欄中「多層家屋等(公庫法第十九条の二に規定する多層家屋等をいう。以下本条において同じ。)」を「中高層耐火建築物(公庫法第二条第六号に規定する中高層耐火建築物をいう。以下本条において同じ。)」に、「多層家屋等内の防寒住宅」を「中高層耐火建築物内の防寒住宅であつて、且つ、耐火構造の住宅であるもの」に改め、同条第三項中「多層家屋等内の防寒住宅の建設に必要な資金のみの貸付を受けるとき」を「中高層耐火建築物内の住宅の建設について同法第十七条第一項の規定による貸付を受ける場合(あわせて同条第二項の規定による貸付を受ける場合を除く。)」に改め、同条第五項中「第二十条第五項」を「第二十条第六項」に、「同条第六項及び第七項」を「同条第七項及び第八項」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(住宅金融公庫の資金によつて建設される災害復興住宅等)
第八条の二 公庫が、公庫法第十七条第五項の規定により、北海道の区域内において災害復興住宅の建設をしようとする者に対し、資金の貸付をすることができる災害復興住宅は、北海道の気象に適した防寒的な構造及び設備を有する家屋であり、且つ、簡易耐火構造又は耐火構造の家屋でなければならない。
2 公庫が北海道の区域内において災害復興住宅を建設し、又は当該災害復興住宅の建設に附随して土地若しくは借地権を取得しようとする者に対し、公庫法第十七条第五項の規定により資金の貸付をする場合においては、貸付金の一戸当りの金額の限度は政令で定めるものとし、貸付金の利率は年五分五厘とし、貸付金の償還期間は二十五年(すえおき期間を含む。)以内とする。この場合において、すえおき期間は、貸付の日から起算して三年以内とする。
3 公庫が、公庫法第十七条第七項の規定により、北海道の区域内において中高層耐火建築物等の建設をしようとする者に対し、資金の貸付をすることができる中高層耐火建築物等内の住宅は、防寒住宅でなければならない。
第九条第四項中「第二十条第五項」を「第二十条第六項」に、「第二十条第六項及び第七項」を「第二十条第七項及び第八項」に改める。
第十一条中「第八条」の下に「、第八条の二」を加える。
大蔵大臣 池田勇人
建設大臣 南条徳男
内閣総理大臣 岸信介