水産業協同組合法
法令番号: 法律第二百四十二号
公布年月日: 昭和23年12月15日
法令の形式: 法律
水産業協同組合法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年十二月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四十二号
水産業協同組合法
目次
第一章
総則(第一條―第十條)
第二章
漁業協同組合
第一節
事業(第十一條―第十七條)
第二節
組合員(第十八條―第三十一條)
第三節
管理(第三十二條―第五十八條)
第四節
設立(第五十九條―第六十七條)
第五節
解散及び清算(第六十八條―第七十七條)
第三章
漁業生産組合(第七十八條―第八十六條)
第四章
漁業協同組合連合会(第八十七條―第九十二條)
第五章
水産加工業協同組合(第九十三條―第九十六條)
第六章
水産加工業協同組合連合会(第九十七條―第百條)
第七章
登記(第百一條―第百二十一條)
第八章
監督(第百二十二條―第百二十七條)
第九章
罰則(第百二十八條―第百三十一條)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一條 この法律は、漁民及び水産加工業者の協同組織の発達を促進し、もつてその経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進とを図り、國民経済の発展を期することを目的とする。
(組合の種類)
第二條 水産業協同組合(以下本章において「組合」という。)は、漁業協同組合、漁業生産組合及び漁業協同組合連合会並びに水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会とする。
(組合の名称)
第三條 組合は、その名称中に漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会という文字を用いなければならない。
2 組合でないものは、その名称中に漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会という文字を用いてはならない。
(組合の目的)
第四條 組合は、その行う事業によつてその組合員又は会員のために直接の奉仕をすることを目的とする。
(組合の人格)
第五條 組合は、法人とする。
(組合の住所)
第六條 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第七條 左の組合以外の組合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の適用については、これを同法第二十四條各号の要件を備える組合とみなす。
一 第十八條第二項の規定により組合員の資格を左の表の上欄の漁業種類の一種若しくは数種を営む者又はこれに從事する者に限つている漁業協同組合であつて、且つ、漁業を営む者たる組合員の総数の三分の一以上が左の表の下欄の経営規模以上のもの
漁業種類
経営規模
かつお・まぐろ漁業
総トン数二十トン以上の経営漁船数二隻
東経百三十度以西の海面を操業区域とする機船底曳網漁業
経営組数二組
あぐり網(きんちやく網を含む。)漁業
総トン数二十トン以上の網船による経営統数二統
定置漁業
常時使用する漁業從事者五十人
二 水産加工業協同組合であつて、常時十人以上の從業者を使用する組合員が組合員の総数の三分の一以上を占めるもの
三 前二号の組合が第八十八條第一号若しくは第二号又は第九十八條第一号の規定による会員の三分の一以上を占める漁業協同組合連合会又は水産加工業協同組合連合会
四 前三号の組合又は連合会が第八十八條第一号若しくは第二号又は第九十八條第一号の規定による会員の三分の一以上を占める漁業協同組合連合会又は水産加工業協同組合連合会
2 前項第一号、第三号及び第四号の組合は、同項の法律の適用については、これを同法第二十四條第三号の要件を備える組合とみなす。
(免税)
第八條 組合の所得のうち組合の事業を利用した割合又は組合の事業に從事した割合に応じて組合が配当した剩余金の金額に相当するものについては、当該組合には租税を課さない。
(登記)
第九條 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(定義)
第十條 この法律において「漁業」とは、水産動植物の採捕又は養殖の事業をいい、「水産加工業」とは、水産動植物を原料又は材料として、食料、飼料、肥料、糊料、油脂又は皮を生産する事業をいう。
2 この法律において「漁民」とは、漁業を営む個人又は漁業を営む者のために水産動植物の採捕若しくは養殖に從事する個人をいい、「水産加工業者」とは、水産加工業を営む個人をいう。
第二章 漁業協同組合
第一節 事業
(事業の種類)
第十一條 漁業協同組合(以下本章及び第四章において「組合」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付
二 組合員の貯金の受入
三 組合員の事業又は生活に必要な物資の供給
四 組合員の事業又は生活に必要な共同利用に関する施設
五 組合員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販賣
六 水産動植物の繁殖保護その他漁場の利用に関する施設
七 船だまり、船揚場、漁礁その他組合員の漁業に必要な設備に関する施設
八 組合員の遭難防止若しくは遭難救済に関する施設又は漁船保險のあつ旋
九 組合員の福利厚生に関する施設
十 水産に関する技術の向上及び組合事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般的情報の提供に関する施設
十一 組合員の経済的地位の改善のためにする團体協約の締結
十二 前各号の事業に附帶する事業
2 組合員に出資をさせない組合(以下本章において「非出資組合」という。)は、前項の規定にかかわらず、同項第一号又は第二号の事業を行うことができない。
3 組合は、定款の定めるところにより、組合員以外の者にその施設を利用させることができる。但し、一事業年度において組合員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において組合員が利用する事業の分量の総額をこえてはならない。
4 第一項第一号又は第二号の事業を行う組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又は当該金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
(倉荷証券の発行)
第十二條 前條第一項第五号に掲げる保管事業を行う組合は、主務大臣の許可をうけて、組合員の寄託物について倉荷証券を発行することができる。
2 前項の許可を受けた組合は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
3 商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百二十七條第二項及び第六百二十八條の規定は、第一項の倉荷証券にこれを準用する。
4 倉庫業法(昭和十年法律第四十一号)第四條、第八條から第十條まで及び第十二條の規定は、第一項の場合にこれを準用する。
第十三條 前條第一項の許可を受けた組合の作成する倉荷証券には、当該組合の名称を冠する倉庫証券という文字を記載しなければならない。
2 組合でない者の作成する預証券及び質入証券又は倉荷証券には、漁業協同組合倉庫証券という文字を記載してはならない。
第十四條 組合が倉荷証券を発行した寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
2 前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として、これを更新することができる。但し、更新の際の証券の所持人が組合員でないときには、組合員の利用に支障がない場合に限る。
第十五條 商法第六百十六條から第六百十九條まで及び第六百二十四條から第六百二十六條までの規定は、組合が倉荷証券を発行した場合に、これを準用する。
(團体協約の効力)
第十六條 第十一條第一項第十一号の團体協約は、書面をもつてすることに因つて、その効力を生ずる。
2 組合員の締結する契約であつてその内容が前項の團体協約に定める規準に違反するものについては、その規準に違反する契約の部分は、これをその基準によつて契約したものとみなす。
(漁業の経営)
第十七條 組合のうち左の條件のすべてを備えるものは、第十一條に規定する事業の外、漁業及びこれに附帶する事業を営むことができる。
一 第十八條第一項の規定による組合員の属する世帶の数が、組合の地区内に住所を有する漁民の属する世帶の数の三分の二以上であること。
二 組合員の過半数が組合の営む漁業又はこれに附帶する事業に從事すること。
三 第十九條第一項の規定により組合員に出資をさせる組合であること。
四 一組合員の有することのできる出資口数の最高限度が組合員の平均出資口数の二倍をこえないこと。
五 組合の営む漁業又はこれに附帶する事業に從事する組合員の有する出資口数の全部が組合の総出資口数の過半数であること。
六 組合の営む漁業又はこれに附帶する事業に從事する者の三分の二以上が組合員又は組合員と世帶を同じくする者であること。
2 前項の規定により漁業及びこれに附帶する事業を営む組合は、同項の條件を欠くに至つた場合には、遅滞なく、その旨を行政廳に届け出ると共に、その事業を廃止するため必要な定款の変更をしなければならない。この場合には、組合は、定款の変更があるまではその事業を行うことができる。
第二節 組合員
(組合員たる資格)
第十八條 組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内に住所を有し、且つ、漁業を営み又はこれに從事する日数が一年を通じて三十日から九十日までの間で定款で定める日数をこえる漁民とする。
2 組合の地区が市町村、特別区又は行政区の区域をこえるものにあつては、前項の規定により組合員たる資格を有する漁民を、定款の定めるところにより、特定の種類の漁業を営む者又はこれに從事する者に限ることができる。
3 前二項に規定する者の外、組合は、定款の定めるところにより、水産加工業協同組合に加入していない水産加工業者であつて組合の地区内に住所を有するもの、漁業生産組合又は第一項若しくは前項に規定する漁民以外の漁民を組合員たる資格を有する者とすることができる。
(出資)
第十九條 組合は、定款の定めるところにより、組合員に出資をさせることができる。
2 前項の規定により組合員に出資をさせる組合(以下本章において「出資組合」という。)の組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
3 出資一口の金額は、均一でなければならない。
4 出資組合の組合員の責任は、その出資額を限度とする。
5 組合員は、出資の拂込について、相殺をもつて出資組合に対抗することができない。
(持分の讓渡)
第二十條 出資組合の組合員は、組合の承認を得なければ、その持分を讓り渡すことができない。
2 組合員でない者が持分を讓り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
3 持分の讓受人は、その持分について、讓渡人の権利義務を承継する。
4 組合員は、持分を共有することができない。
(議決権及び選挙権)
第二十一條 組合員は、各々一個の議決権及び役員の選挙権を有する。但し、第十八條第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)は、議決権及び選挙権を有しない。
2 組合員は、定款の定めるところにより、第四十一條第三項の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて議決権又は選挙権を行うことができる。
3 前項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、これを出席者とみなす。
4 代理人は、二人以上の組合員を代理することができない。
5 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。
(経費)
第二十二條 組合は、定款の定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。
2 組合員は、前項の経費の支拂について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(過怠金)
第二十三條 組合は、定款の定めるところにより、組合員に対して過怠金を課することができる。
(專用契約)
第二十四條 組合は、定款の定めるところにより、一年をこえない期間を限り、組合員が当該組合の施設の一部をもつぱら利用すべき旨の契約を組合員と締結することができる。
2 前項の契約の締結は、組合員の任意とし、組合は、その締結を拒んだことを理由として、その組合員が組合の施設を利用することを拒んではならない。
(加入制限の禁止)
第二十五條 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に附されたよりも困難な條件を附してはならない。
(脱退)
第二十六條 組合員は、六十日前までに予告し、事業年度の終において脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款でこれを延長することができる。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
第二十七條 組合員は、左の事由に因つて脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 除名
2 除名は、左の各号の一に該当する組合員につき、総会の議決によつてこれをすることができる。但し、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
一 長期間にわたつて組合の施設を利用しない組合員
二 出資の拂込、経費の支拂その他組合に対する義務を怠つた組合員
三 その他定款で定める事由に該当する組合員
(脱退者の持分の拂戻)
第二十八條 出資組合の組合員は、脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の拂戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終における当該出資組合の財産によつてこれを定める。
第二十九條 前條の規定による請求権は、脱退の時から二年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。
第三十條 脱退した組合員が出資組合に対する債務を完済するまでは、出資組合は、その持分の拂戻を停止することができる。
(出資口数の減少)
第三十一條 出資組合の組合員は、定款の定めるところにより、その出資口数を減少することができる。
2 前項の場合には、第二十八條及び第二十九條の規定を準用する。
第三節 管理
(定款に記載すべき事項)
第三十二條 組合の定款には、左の事項を記載しなければならない。但し、非出資組合であつて、第十一條第一項第三号から第五号までの事業を行わない組合の定款には、第六号、第八号及び第九号の事項を、その他の非出資組合の定款には、第六号の事項を記載しなくてもよい。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格並びに組合員の加入及び脱退に関する規定
六 出資一口の金額及びその拂込の方法並びに一組合員の有することのできる出資口数の最高限度
七 経費の分担に関する規定
八 剩余金の処分及び損失の処理に関する規定
九 準備金の額及びその積立の方法
十 役員の定数、職務の分担及び選挙に関する規定
十一 事業年度
十二 公告の方法
2 組合の定款には前項の事項の外、組合の存立時期を定めたときはその時期を、現物出資をする者を定めたときはその者の氏名、出資の目的たる財産及びその價格並びにこれに対して與える出資口数を記載しなければならない。
3 主務大臣は、模範定款例を定めることができる。
(規約で定めうる事項)
第三十三條 左の事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、これを規約で定めることができる。
一 総会又は総代会に関する規定
二 業務の執行及び会計に関する規定
三 役員に関する規定
四 組合員に関する規定
五 その他必要な事項
(役員の定員及び選挙)
第三十四條 組合に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、五人以上とし、監事の定数は、二人以上とする。
3 役員は、定款の定めるところにより、総会においてこれを選挙する。但し、設立当時の役員は、創立総会においてこれを選挙する。
4 役員の選挙は、無記名投票によつてこれを行う。
5 投票は、一人につき一票とする。
6 定款によつて定めた投票方法による選挙の結果投票の多数を得た者をもつて当選人とする。
7 組合の理事の定数の少くとも四分の三は、組合員(准組合員を除く。)でなければならない。但し、設立当時の理事の定数の少くとも四分の三は、設立の同意を申し出た漁民でなければならない。
(役員の任期)
第三十五條 役員の任期は、一年とする。但し、定款で二年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(役員の兼職禁止)
第三十六條 理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と相兼ねてはならない。
(理事の自己契約等の禁止)
第三十七條 組合が理事と契約をするときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、また同樣とする。
(総会の招集)
第三十八條 理事は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第三十九條 組合員(准組合員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に総会を招集しなければならない。
第四十條 理事の職務を行う者がないとき、又は前條の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
(組合員に対する通知)
第四十一條 組合が組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときはその場所)にあてればよい。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
3 総会招集の通知は、その会日の十日前までに、その会議の目的たる事項を示してこれをしなければならない。
(定款その他の書類の備付及び閲覽)
第四十二條 理事は、定款、規約及び総会の議事録を各事業所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について左の事項を記載しなければならない。但し、非出資組合の組合員名簿には第三号及び第四号の事項を、第十七條の規定による漁業及びこれに附帶する事業を営まない組合の組合員名簿には第五号の事項を記載しなくてもよい。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日及び組合員たる資格の別
三 出資口数及び出資各口の取得の年月日
四 拂込済出資額及びその拂込の年月日
五 組合の営む漁業又はこれに附帶する事業に從事する者でないときはその旨
3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覽を求めることができる。
(決算関係書類の提出、備付及び閲覽)
第四十三條 理事は、通常総会の会日の一週間前までに、非出資組合であつて第十一條第一項第三号から第五号までの事業を行わないものにあつては事業報告書及び財産目録を、その他の組合にあつては事業報告書、財産目録、貸借対照表及び剩余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員及び組合の債権者は、前項の書類の閲覽を求めることができる。
3 第一項の書類を通常総会に提出するときは、監事の意見書を添附しなければならない。
(役員の改選の請求)
第四十四條 組合員(准組合員を除く。)は、総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の連署をもつて、その代表者から役員の改選を請求することができる。
2 前項の規定による改選の請求は、理事の全員又は監事の全員について、同時にこれをしなければならない。但し、法令、法令に基いてする行政廳の処分又は定款若しくは規約の違反を理由として改選を請求する場合は、この限りでない。
3 第一項の規定による改選の請求は、改選の理由を記載した書面を理事に提出してこれをしなければならない。
4 第一項の規定による改選の請求があつたときは、理事は、これを総会の議に附さなければならない。
5 第三項の規定による書面の提出があつたときは、理事は総会の会日から七日前までに、当該請求に係る役員にその書類を送付し、且つ、総会において弁明する機会を與えなければならない。
(役員に関する民法の準用)
第四十五條 役員には、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四條第一項、第五十二條第二項、第五十三條から第五十六條まで、第五十九條及び第六十一條第一項の規定を準用する。
(参事及び会計主任)
第四十六條 組合は、参事及び会計主任を選任し、その主たる事務所又は從たる事務所において、その業務を行わせることができる。
2 参事及び会計主任の選任及び解任は、理事の過半数によりこれを決する。
3 参事には、商法第三十八條第一項、第三項、第三十九條、第四十一條及び第四十二條の規定を準用する。
第四十七條 組合員(准組合員を除く。)は、総組合員(准組合員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、参事又は会計主任の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してこれをしなければならない。
3 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、当該参事又は会計主任の解任の可否を決しなければならない。
4 理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、当該参事又は会計主任に対し、第二項の書面を送付し、且つ、弁明する機会を與えなければならない。
(総会の議決事項)
第四十八條 左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更及び廃止
三 毎事業年度の事業計画の設定及び変更
四 経費の賦課及び徴收の方法
五 貸付金の利率の最高限度
六 事業報告書、財産目録、貸借対照表、剩余金処分案及び損失処理案
七 毎事業年度内における借入金の最高限度
八 訴願若しくは訴訟の提起又は和解
九 漁業権若しくはこれに関する物権又は不動産(総トン数二十トン以上又は積石数二百石以上の船舶を含む。)に関する物権の設定、得喪又は変更
2 定款の変更は、行政廳の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可の申請があつた場合には、第六十三條第二項、第六十四條及び第六十五條の規定を準用する。
(総会の議事)
第四十九條 総会の議事は、この法律、定款又は規約に特別の定ある場合を除いて、出席者の議決権の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において、その都度これを選任する。
3 議長は、組合員として総会の議決に加わる権利を有しない。
(特別決議事項)
第五十條 左の事項は、総組合員(准組合員を除く。)の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 組合の解散又は合併
三 組合員の除名
四 漁業権又はこれに関する物権の設定、得喪又は変更
(総会に関する民法の準用)
第五十一條 総会には、民法第六十四條及び第六十六條の規定を準用する。この場合において、第六十四條中「第六十二條」とあるのは、「水産業協同組合法第四十一條第三項」と読み替えるものとする。
(総代会)
第五十二條 組合員(准組合員を除く。)の総数が二百人をこえる組合は、定款の定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。
2 総代は、組合員(准組合員を除く。)でなければならない。
3 総代の定数は、五十人以上でなければならない。
4 総代には、第三十四條第三項から第六項までの規定を準用する。
5 総代会には、総会に関する規定を準用する。但し、総代会においては、役員若しくは総代を選挙し、第七十條第一項の規定による設立委員を選任し、又は第五十條の事項について議決することができない。
(出資一口の金額の減少)
第五十三條 出資組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
2 出資組合は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、貯金者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第五十四條 債権者が前條第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、出資組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
(準備金及び繰越金)
第五十五條 組合(非出資組合であつて、第十一條第一項第三号から第五号までの事業を行わないものを除く。以下本條及び第五十六條において同じ。)は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剩余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の定款で定める準備金の額は、出資組合にあつては、出資総額の二分の一を下つてはならない。
3 第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合を除いては、これを取りくずしてはならない。
4 組合は、第十一條第一項第十号の事業の費用に充てるため、毎事業年度の剩余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。
(剩余金の配当)
第五十六條 組合は、損失を填補し、前條第一項の準備金及び同條第四項の繰越金を控除した後でなければ、剩余金の配当をしてはならない。
2 剩余金の配当は、定款の定めるところにより、出資組合にあつては、年五分をこえない範囲内において、拂い込んだ出資額に応じてこれをし、なお剩余があるときは、組合事業の利用者にその事業の利用分量の割合に応じて(非出資組合にあつては、組合事業の利用者にその事業の利用分量の割合に応じて)、これをしなければならない。
第五十七條 出資組合は、定款の定めるところにより、組合員が出資の拂込を終るまでは、組合員に配当する剩余金をその拂込に充てることができる。
(組合の持分取得の禁止)
第五十八條 出資組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
第四節 設立
(発起人)
第五十九條 組合を設立するには、二十人以上の漁民が発起人となることを必要とする。
(設立準備会)
第六十條 発起人は、あらかじめ組合の事業及び地区並びに組合員たる資格に関する目論見書を作り、一定の期間前までにこれを設立準備会の日時及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。
2 前項の一定の期間は、二週間を下つてはならない。
第六十一條 設立準備会においては、出席した漁民の中から、定款の作成に当るべき者(以下「定款作成委員」という。)を選任し、且つ、地区、組合員たる資格その他定款作成の基本となるべき事項を定めなければならない。
2 定款作成委員は、二十人以上でなければならない。
3 設立準備会の議事は、出席した漁民の過半数の同意をもつて、これを決する。
(創立総会)
第六十二條 定款作成委員が定款を作成したときは、発起人は、一定の期間前までにこれを創立総会の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項の一定の期間は、二週間を下つてはならない。
3 定款作成委員が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款を修正することができる。但し、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、組合員(准組合員を除く。)たる資格を有する者であつてその会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が自ら出席し、その議決権の三分の二以上でこれを決する。
6 創立総会については、第二十一條第一項及び民法第六十六條の規定を準用する。
(設立の認可の申請)
第六十三條 発起人は、創立総会終了の後遅滞なく、定款及び事業計画を行政廳に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
2 発起人は、行政廳の要求があるときは、組合の設立に関する報告書を提出しなければならない。
(設立の認可)
第六十四條 行政廳は、前條第一項の認可の申請があつたときは、設立の手続又は定款若しくは事業計画の内容が法令又は法令に基いてする行政廳の処分に違反する場合を除いては、設立の認可をしなければならない。
第六十五條 第六十三條第一項の認可の申請があつたときは、行政廳は、申請書を受領した日から二箇月以内に、発起人に対し、認可又は不認可の通知を発しなければならない。
2 行政廳が前項の期間内に同項の通知を発しなかつたときは、その期間満了の日に設立の認可があつたものとみなす。この場合には、発起人は、行政廳に対し、認可に関する証明をすべきことを請求することができる。
3 行政廳が第六十三條第二項の規定により報告書提出の要求を発したときは、その日からその報告書が行政廳に到達するまでの期間は、これを第一項の期間に算入しない。
4 行政廳は、不認可の通知をするときは、その理由を通知書に記載しなければならない。
5 発起人が不認可の取消を求める訴を提起した場合において、裁判所がその取消の判決をしたときは、その判決確定の日に設立の認可があつたものとみなす。この場合には、第二項後段の規定を準用する。
(理事への事務引渡)
第六十六條 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なくその事務を理事に引き渡さなければならない。
2 出資組合の理事は、前項の規定による引渡を受けたときは、遅滞なく出資の第一回の拂込をさせなければならない。
3 現物出資者は、第一回の拂込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。但し、登記、登録その他権利の設定又は移轉をもつて第三者に対抗するため必要な行爲は、組合成立の後にこれをすることを妨げない。
(成立の時期)
第六十七條 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることに因つて成立する。
第五節 解散及び清算
(解散事由)
第六十八條 組合は、左の事由に因つて解散する。
一 総会の決議
二 組合の合併
三 組合の破産
四 存立時期の満了
五 第百二十四條第二項の規定による解散の命令
2 解散の決議は、行政廳の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の申請があつた場合には、第六十三條第二項、第六十四條及び第六十五條の規定を準用する。
4 第一項の事由に因る外、組合は、組合員(准組合員を除く。)が二十人未満になつたことに因つて解散する。
5 組合は、前項の規定により解散したときは、遅滞なくその旨を行政廳に届け出なければならない。
(合併の手続)
第六十九條 組合が合併しようとするときは、総会において合併を議決しなければならない。
2 合併は行政廳の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可の申請があつた場合には、第六十三條第二項、第六十四條及び第六十五條の規定を準用する。
4 出資組合の合併には、第五十三條及び第五十四條の規定を準用する。
第七十條 合併に因つて組合を設立するには、各組合の総会において組合員(准組合員を除く。)の中から選任した設立委員が共同して、定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行爲をしなければならない。
2 前項の規定による役員のうち理事の選任には、第三十四條第七項本文の規定を準用する。
3 第一項の規定による設立委員の選任には、第五十條の規定を準用する。
(合併の時期)
第七十一條 組合の合併は、合併後存続する組合又は合併に因つて成立する組合が、その主たる事務所の所在地において、第百七條に規定する登記をすることに因つてその効力を生ずる。
(合併による権利義務の承継)
第七十二條 合併後存続する組合又は合併に因つて設立した組合は、合併に因つて消滅した組合の権利義務(当該組合がその行う事業に関し、行政廳の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
(清算人)
第七十三條 組合が解散したときは、合併及び破産に因る解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。但し、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(清算事務)
第七十四條 清算人は、就職の後遅滞なく、組合の財産の状況を調査し、非出資組合にあつては財産目録、出資組合にあつては財産目録及び貸借対照表を作り、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
第七十五條 清算人は、組合の債務を弁済した後でなければ、組合の財産を処分することができない。
第七十六條 清算事務が終つたときは、清算人は、遅滞なく決算報告書を作り、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
(民法及び非訟事件手続法の準用)
第七十七條 組合の解散及び清算には、民法第七十三條、第七十五條、第七十六條及び第七十八條から第八十三條まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十五條ノ二十五第二項、第三項、第百三十六條第一項、第百三十七條及び第百三十八條の規定を準用する。この場合において、民法第七十五條中「前條」とあるのは「水産業協同組合法第七十三條」と読み替えるものとする。
第三章 漁業生産組合
(事業の種類)
第七十八條 漁業生産組合(以下本章において「組合」という。)は、漁業及びこれに附帶する事業を行うことができる。
(組合員たる資格)
第七十九條 組合員たる資格を有する者は、漁民であつて、定款で定めるものとする。
(組合の事業と組合員との関係)
第八十條 組合員の三分の二以上は、組合の営む事業に從事する者でなければならない。
第八十一條 組合の営む事業に從事する者の三分の二以上は、組合員でなければならない。
(出資)
第八十二條 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
2 一組合員が有することのできる出資口数の最高限度は、組合員の平均出資口数の二倍をこえてはならない。
3 組合の総出資口数の過半数は、組合の営む事業に從事する組合員によつて保有されなければならない。
(定款に記載すべき事項)
第八十三條 組合の定款には、第三十二條第一項第一号、第二号、第四号から第六号まで及び第八号から第十二号までの事項を記載しなければならない。
2 前項の定款には、第三十二條第二項及び第三項の規定を準用する。
(定款その他の書類の備付及び閲覽)
第八十四條 理事は、定款、規約及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について左の事項を記載しなければならない。
一 第四十二條第二項第一号及び第三号から第五号までの事項
二 加入の年月日
3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覽を求めることができる。
(剩余金の配当)
第八十五條 組合は、損失を填補し、第八十六條第二項において準用する第五十五條第一項の準備金を控除した後でなければ、剩余金の配当をしてはならない。
2 剩余金の配当は、定款の定めるところにより、年一割をこえない範囲内において、拂い込んだ出資額の割合に応じてこれをし、なお剩余があるときは、組合員が組合の事業に從業した程度に応じてこれをしなければならない。
(準用規定)
第八十六條 組合の組合員に関する事項については、第七十九條から第八十二條までに規定するものの外、第十九條第三項から第五項まで、第二十條、第二十一條第一項本文、第三項から第五項まで、第二十三條及び第二十六條から第三十一條までの規定を準用する。
2 組合の管理に関する事項については、第八十三條から前條までに規定するものの外、第三十三條から第四十一條まで、第四十三條から第五十一條まで、第五十三條、第五十四條、第五十五條第一項から第三項まで、第五十七條及び第五十八條の規定を準用する。この場合において、第三十四條第二項中「五人」とあるのは「三人」と、同條第七項中「理事の定数の少くとも四分の三は、」とあるのは「理事は、その全員が」と、第四十四條第一項中「五分の一」とあるのは「三分の一」と、第四十七條第一項中「十分の一」とあるのは「六分の一」と読み替えるものとする。
3 組合の設立に関する事項については、第五十九條から第六十七條までの規定を準用する。この場合において、第五十九條及び第六十一條第二項中「二十人」とあるのは「七人」と読み替えるものとする。
4 組合の解散及び清算に関する事項については、第六十八條から第七十七條までの規定を準用する。この場合において、第六十八條第四項中「二十人」とあるのは「七人」と、第七十條第二項において準用する第三十四條第七項中「理事の定数の少くとも四分の三は、」とあるのは「理事は、その全員が」と読み替えるものとする。
第四章 漁業協同組合連合会
(事業の種類)
第八十七條 漁業協同組合連合会(以下本章において「連合会」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 会員の事業に必要な資金の貸付
二 会員の貯金の受入
三 連合会を直接又は間接に構成する者(以下本章において「所属員」と総称する。)の事業に必要な物資の供給
四 所属員の事業に必要な共同利用に関する施設
五 所属員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販賣
六 水産動植物の繁殖保護その他漁場の利用に関する施設
七 船だまり、船揚場、漁礁その他所属員の漁業に必要な設備に関する施設
八 法人たる所属員の監査及び指導
九 所属員の遭難防止若しくは遭難救済に関する施設又は漁船保險のあつ旋
十 所属員の福利厚生に関する施設
十一 水産に関する技術の向上及び連合会の事業に関する所属員の知識の向上を図るための教育並びに所属員に対する一般的情報の提供に関する施設
十二 所属員の経済的地位の改善のためにする團体協約の締結
十三 前各号の事業に附帶する事業
2 会員に出資をさせない連合会(以下本章において「非出資連合会」という。)は、前項の規定にかかわらず、同項第一号又は第二号の事業を行うことができない。
3 連合会は、定款の定めるところにより、所属員以外の者にその施設を利用させることができる。但し、一事業年度において所属員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において所属員の利用する事業の分量の総額をこえてはならない。
4 第一項第一号又は第二号の事業を行う連合会は、同項の規定にかかわらず、これらの事業に附帶する事業の外、他の事業を行うことができない。
5 前項の連合会は、会員のために、手形の割引をし、定款で定める金融機関に対して会員の負担する債務を保証し、又は当該金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
(会員たる資格)
第八十八條 連合会の会員たる資格を有する者は、左の者であつて定款で定めるものとする。
一 連合会の地区の全部又は一部を地区とする組合又は連合会
二 連合会の地区内に住所を有する漁業生産組合
三 連合会の地区内に住所を有し、且つ、法律に基いて設立された協同組合であつて、前二号の者の事業と同種の事業を行うもの
(規模の制限)
第八十九條 連合会は、左の各号のうちいずれかに該当しなければならない。
一 地区が都道府縣の区域をこえないこと。
二 所属員たる組合の数が三百をこえないこと。
(総会の議決事項)
第九十條 左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 第四十八條第一項各号の事項
二 一会員のためにする手形の割引金額の最高限度
(発起人)
第九十一條 連合会を設立するには、二以上の組合、漁業生産組合又は連合会が発起人となることを必要とする。
(準用規定)
第九十二條 連合会の事業に関する事項については、第八十七條に規定するものの外、第十二條から第十六條までの規定を準用する。この場合において、第十二條第一項中「前條」とあるのは「第八十七條」と、第十六條第一項中「第十一條第一項第十一号」とあるのは「第八十七條第一項第十二号」と読み替えるものとする。
2 連合会の会員に関する事項については、第八十八條及び第八十九條に規定するものの外、第十九條から第三十一條までの規定を準用する。この場合において、第二十一條第一項但書中「第十八條第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)」とあるのは「第八十八條第三号の規定による会員(以下第九十二條及び同樣において準用する各規定において「准会員」という。)」と読み替えるものとする。
3 連合会の管理に関する事項については、第九十條に規定するものの外、第三十二條から第四十七條まで、第四十八條第二項、第三項及び第四十九條から第五十八條までの規定を準用する。この場合において、第三十四條第七項中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「個人たる所属員(准会員を構成する者及び准組合員を除く。)」と、同項但書中「漁民」とあるのは「組合、漁業生産組合又は連合会の個人たる所属員(准会員を構成する者及び准組合員を除く。)」と読み替えるものとする。
4 連合会の設立に関する事項については、前條に規定するものの外、第六十條から第六十七條までの規定を準用する。この場合において、第六十一條第一項及び第三項中「漁民」とあるのは「組合、漁業生産組合又は連合会の理事」と、同條第二項中「二十人」とあるのは「二人」と、第六十二條第六項において準用する第二十一條第一項但書中「第十八條第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)」とあるのは「准会員」と読み替えるものとする。
5 連合会の解散及び清算に関する事項については、第六十八條から第七十七條までの規定を準用する。この場合において、第六十八條第四項中「二十人未満」とあるのは「一人」と、第七十條第一項中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「会員(准会員を除く。)の理事」と、同條第二項において準用する第三十四條第七項本文中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「個人たる所属員(准会員を構成する者及び准組合員を除く。)」と読み替えるものとする。
第五章 水産加工業協同組合
(事業の種類)
第九十三條 水産加工業協同組合(以下本章及び第六章において「組合」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員の事業に必要な資金の貸付
二 組合員の貯金の受入
三 組合員の事業に必要な物資の供給
四 組合員の事業に必要な共同利用に関する施設
五 組合員の生産物の運搬、加工、保管又は販賣
六 組合員の製品、その原料若しくは材料又は製造若しくは加工の設備に対する檢査に関する施設
七 組合員の福利厚生に関する施設
八 水産物の製造加工に関する技術の向上及び組合事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般的情報の提供に関する施設
九 前各号の事業に附帶する事業
2 組合は、定款の定めるところにより、組合員以外の者にその施設を利用させることができる。但し、一事業年度において組合員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において組合員が利用する事業の分量の総額の五分の一をこえてはならない。
3 第一項第一号及び第二号の事業を行う組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又は当該金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
(組合員たる資格)
第九十四條 組合員たる資格を有する者は、組合の地区内に住所又は事業場を有する水産加工業者とする。但し、定款の定めるところにより、組合員たる資格を有する者を特定の種類の水産加工業を営む者に限ることができる。
(出資)
第九十五條 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
(準用規定)
第九十六條 組合の事業に関する事項については、第九十三條に規定するものの外、第十二條から第十五條までの規定を準用する。この場合において、第十二條第一項中「前條」とあるのは「第九十三條」と読み替えるものとする。
2 組合の組合員に関する事項については、前二條に規定するものの外、第十九條第三項から第五項まで、第二十條、第二十一條第一項本文、第二項から第五項まで及び第二十二條から第三十一條までの規定を準用する。
3 組合の管理に関する事項については、第三十二條から第五十八條までの規定を準用する。
4 組合の設立に関する事項については、第五十九條から第六十七條までの規定を準用する。この場合において、第五十九條及び第六十一條第二項中「二十人」とあるのは「十五人」と読み替えるものとする。
5 組合の解散及び清算に関する事項については、第六十八條から第七十七條までの規定を準用する。この場合において、第六十八條第四項中「二十人」とあるのは「十五人」と読み替えるものとする。
第六章 水産加工業協同組合連合会
(事業の種類)
第九十七條 水産加工業協同組合連合会(以下本章において「連合会」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 会員の事業に必要な資金の貸付
二 会員の貯金の受入
三 連合会を直接又は間接に構成する者(以下本章において「所属員」と総称する。)の事業に必要な物資の供給
四 所属員の事業に必要な共同利用に関する施設
五 所属員の生産物の運搬、加工、保管又は販賣
六 所属員の製品、その原料若しくは材料又は製造若しくは加工の設備に対する檢査に関する施設
七 法人たる所属員の監査及び指導
八 所属員の福利厚生に関する施設
九 水産物の製造加工に関する技術の向上及び連合会の事業に関する所属員の知識の向上を図るための教育並びに所属員に対する一般的情報の提供に関する施設
十 前各号の事業に附帶する事業
2 連合会は、定款の定めるところにより、所属員以外の者にその施設を利用させることができる。但し、一事業年度において所属員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において所属員が利用する事業の分量の総額の五分の一をこえてはならない。
3 第一項第一号又は第二号の事業を行う連合会は、同項の規定にかかわらず、これらの事業に附帶する事業の外、他の事業を行うことができない。
4 前項の連合会は、会員のために手形の割引をし、定款で定める金融機関に対して会員の負担する債務を保証し、又は当該金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
(会員たる資格)
第九十八條 連合会の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定めるものとする。
一 連合会の地区の全部又は一部を地区とする組合又は連合会
二 連合会の地区内に住所を有し、且つ、法律に基いて設立された協同組合であつて、前号の者の事業と同種の事業を行うもの
(発起人)
第九十九條 連合会を設立するには、二以上の組合又は連合会が発起人となることを必要とする。
(準用規定)
第百條 連合会の事業に関する事項については、第九十七條に規定するものの外、第十二條から第十五條までの規定を準用する。この場合において、第十二條第一項中「前條」とあるのは「第九十七條」と読み替えるものとする。
2 連合会の会員に関する事項については、第九十八條に規定するものの外、第十九條第三項から第五項まで、第二十條から第三十一條まで、第八十九條及び第九十五條の規定を準用する。この場合において、第二十一條第一項但書中「第十八條第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)」とあるのは「第九十八條第二号の規定による会員(以下第百條において準用する各規定において「准会員」という。)」と読み替えるものとする。
3 連合会の管理に関する事項については、第三十二條から第四十七條まで、第四十八條第二項、第三項、第四十九條から第五十八條まで及び第九十條の規定を準用する。この場合において、第三十四條第七項中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「個人たる所属員(准会員を構成する者を除く。)」と、同項但書中「漁民」とあるのは「組合又は連合会の個人たる所属員(准会員を構成する者を除く。)」と読み替えるものとする。
4 連合会の設立に関する事項については、前條に規定するものの外、第六十條から第六十七條までの規定を準用する。この場合において、第六十一條第一項及び第三項中「漁民」とあるのは「組合又は連合会の理事」と、同條第二項中「二十人」とあるのは「二人」と、第六十二條第六項において準用する第二十一條第一項但書中「第十八條第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)」とあるのは「准会員」と読み替えるものとする。
5 連合会の解散及び清算に関する事項については、第六十八條から第七十七條までの規定を準用する。この場合において、第六十八條第四項中「二十人未満」とあるのは「一人」と、第七十條第一項中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「会員(准会員を除く。)の理事」と、同條第二項において準用する第三十四條第七項本文中「組合員(准組合員を除く)。」とあるのは「個人たる所属員(准会員を構成する者を除く。)」と読み替えるものとする。
第七章 登記
(設立の登記)
第百一條 水産業協同組合(以下「組合」という。)は、組合員又は会員(以下「組合員」と総称する。)に出資をさせない組合にあつては、設立の認可があつた日から、組合員に出資をさせる組合(以下「出資組合」という。)にあつては、出資の第一回の拂込があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において、設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。但し、漁業生産組合の設立登記には、第三号の事項を掲げなくてもよい。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 出資組合にあつては、出資一口の金額及びその拂込の方法並びに出資の総口数及び拂い込んだ出資の総額
六 存立の時期を定めたときは、その時期
七 役員の氏名及び住所
八 公告の方法
3 組合は、設立の登記をした後二週間以内に、從たる事務所の所在地において、前項の事項を登記しなければならない。
(從たる事務所新設の登記)
第百二條 組合の設立後從たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所を設けたことを登記し、その從たる事務所の所在地においては三週間以内に、前條第二項の事項を登記し、他の從たる事務所においては同期間内に、その從たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は從たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において、新たに從たる事務所を設けたときは、その從たる事務所を設けたことを登記すればよい。
(事務所移轉の登記)
第百三條 組合が主たる事務所を移轉したときは、旧所在地においては二週間以内に移轉の登記をし、新所在地においては三週間以内に第百一條第二項の事項を登記し、從たる事務所を移轉したときは、旧所在地においては三週間以内に移轉の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は從たる事務所を移轉したときは、その移轉の登記をすればよい。
(設立登記事項の変更の登記)
第百四條 第百一條第二項の事項中に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。
2 第百一條第二項第五号の事項中出資の総口数及び拂い込んだ出資の総額の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日現在により、事業年度終了後、主たる事務所の所在地においては四週間以内に、從たる事務所の所在地においては五週間以内にこれをすればよい。
(参事の登記)
第百五條 組合が参事を選任したときは、二週間以内に、これを置いた事務所の所在地において、参事の氏名及び住所、参事を置いた事務所並びに数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を登記しなければならない。その登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅についても同樣である。
(解散の登記)
第百六條 組合が解散したときは、合併及び破産の場合を除いては、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に解散の登記をしなければならない。
(合併の場合の登記)
第百七條 組合が合併するときは、合併の認可のあつた日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する組合については変更の登記、合併に因つて消滅する組合については解散の登記、合併に因つて成立する組合については第百一條第二項に規定する登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第百八條 清算人は、その就職の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に清算人の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前項の規定により登記した事項の変更の登記については、第百四條第一項の規定を準用する。
(清算結了の登記)
第百九條 組合の清算が結了したときは、清算結了の日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第百十條 組合の登記については、その事務所の所在地を管轄する司法事務局又はその出張所を管轄登記所とする。
2 各登記所に、漁業協同組合登記簿、漁業生産組合登記簿、漁業協同組合連合会登記簿、水産加工業協同組合登記簿及び水産加工業協同組合連合会登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第百十一條 組合の設立の登記は、役員の全員の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記の申請書には、定款及び役員たることを証する書面並びに出資組合にあつては出資総口数及び出資の第一回の拂込のあつたことを証する書面を添附しなければならない。
3 合併に因る出資組合の設立の登記の申請書には、前項の書面の外、第六十九條第四項(第八十六條第四項、第九十二條第五項、第九十六條第五項及び第百條第五項において準用する場合を含む。)において準用する第五十三條第二項の規定による公告及び催告したこと、若し異議を述べた債権者があるときは、これに対し、弁済し若しくは担保を供し、又は信託をしたことを証する書面を添附しなければならない。
第百十二條 第百一條第三項の規定による登記は、理事の申請に因つてこれをする。
(事務所新設、移轉及び設立の登記事項変更の登記の申請)
第百十三條 組合の事務所の新設又は事務所の移轉その他第百一條第二項の事項の変更の登記は、理事又は清算人の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設又は登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 出資一口の金額の減少又は出資組合の合併に因る変更の登記の申請書には、前項の書面の外、第五十三條第二項(第六十九條第四項において準用する場合並びに第八十六條第三項、第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項において同條同項を準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告したこと、若し異議を述べた債権者のあるときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は信託をしたことを証する書面を添附しなければならない。
(参事の登記の申請)
第百十四條 参事の選任、第百五條の規定により登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅の登記は、理事の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記のうち、参事の選任の登記の申請書には参事の選任を証する書面及び数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を証する書面を、その他の登記の申請書にはその事項を証する書面を添附しなければならない。
(解散の登記の申請)
第百十五條 第百六條の規定による組合の解散の登記は、第三項に規定する場合を除いて、清算人の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
3 行政廳が組合の解散を命じた場合における解散の登記は、当該行政廳の嘱託に因つてこれをする。
第百十六條 第百七條の規定に因る解散の登記は、合併に因つて消滅する組合の理事の申請に因つてこれをする。
2 前項の場合には、第百十一條第三項及び前條第二項の規定を準用する。
(清算人の登記の申請)
第百十七條 第百八條第一項の規定による登記の申請書には、理事が清算人でない場合には、申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第百八條第二項の規定による登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第百十八條 組合の清算結了の登記は、清算人の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記の申請書には、清算人が第七十六條(第八十六條第四項、第九十二條第五項、第九十六條第五項及び第百條第五項において準用する場合を含む。)の規定により決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(登記の期間の計算)
第百十九條 登記すべき事項であつて行政廳の認可を要するものは、その認可書の到達した時から登記の期間を起算する。但し、第六十五條第二項及び第五項(第八十六條第三項、第九十二條第四項、第九十六條第四項及び第百條第四項において準用する場合を含む。)の場合には、認可に関する証明書の到達した時から登記の期間を起算する。
(登記事項の公告)
第百二十條 登記した事項は、司法事務局において遅滞なくこれを公告しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第百二十一條 組合の登記には、非訟事件手続法第百四十一條から第百五十一條ノ六まで及び第百五十四條から第百五十七條までの規定を準用する。
第八章 監督
(業務又は財産の状況報告の徴收)
第百二十二條 行政廳は、組合に法令、法令に基いてする行政廳の処分又は定款若しくは規約を遵守させるために必要があると認めるときは、組合からその業務又は財産の状況に関し報告を徴することができる。
(業務又は会計状況の檢査)
第百二十三條 組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、組合の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政廳の処分又は定款若しくは規約に違反する疑があることを理由として檢査を請求したときは、行政廳は、当該組合の業務又は会計の状況を檢査しなければならない。
2 行政廳は、組合の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政廳の処分又は定款若しくは規約に違反する疑があると認めるときは、何時でも、当該組合の業務又は会計の状況を檢査することができる。
(法令等の違反に対する措置)
第百二十四條 行政廳は、前條の規定による檢査を行つた場合において、当該組合の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政廳の処分又は定款若しくは規約に違反すると認めるときは、当該組合に対し、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
2 組合が、この法律の規定又は他の法律の特別の規定に基いて行うことのできる事業以外の事業を行つたとき若しくは前項の規定による命令に從わなかつたとき、又は第八十條、第八十一條、第八十二條第二項、第三項若しくは第八十九條(第百條第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反があるときは、行政廳は、当該組合の解散を命ずることができる。
(決議、選挙又は当選の取消)
第百二十五條 組合員(准組合員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続、議決の方法又は選挙が法令、法令に基いてする行政廳の処分又は定款若しくは規約に違反することを理由として、その議決又は選挙若しくは当選決定の日から一箇月以内に、その議決又は選挙若しくは当選の取消を請求した場合において、行政廳は、その違反の事実があると認めるときは、当該決議又は選挙若しくは当選を取り消すことができる。
2 前項の規定は、創立総会の場合にこれを準用する。
(專用契約の取消)
第百二十六條 行政廳は、第二十四條第一項(第九十三條第二項、第九十六條第二項及び第百條第二項において準用する場合を含む。)の規定による契約の内容が、公益に違反すると認めるときは、当該契約を取り消すことができる。
(監督行政廳)
第百二十七條 この法律中「行政廳」とあるのは、第七十二條(第八十六條第四項、第九十二條第五項、第九十六條第五項及び第百條第五項において準用する場合を含む。)の場合を除いては、都道府縣若しくは特別市の区域又はその区域をこえる区域を地区とする組合(漁業生産組合を除く。)については主務大臣、その他の組合については、主たる事務所を管轄する都道府縣知事又は特別市の市長とする。
2 前項の規定による主務大臣の権限の一部は、これを都道府縣知事又は特別市の市長に委任することができる。
第九章 罰則
第百二十八條 組合の役員が如何なる名義をもつてするを問わず、組合の事業の範囲外において、貸付をし、若しくは手形の割引をし又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状に因り懲役及び罰金を併科することができる。
3 第一項の規定は、刑法に正條がある場合には、これを適用しない。
第百二十九條 第十二條第四項(第九十二條第一項、第九十六條第一項及び第百條第一項において準用する場合を含む。以下本條において同じ。)において準用する倉庫業法第八條第一項若しくは本法第百二十二條の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第十二條第四項において準用する倉庫業法第八條第一項若しくは本法第百二十三條の規定による檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを千円以下の罰金に処する。
2 組合の代表者又は代理人、使用者その他の從業者が、その組合の業務に関して前項の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その組合に対して同項の罰金刑を科する。
第百三十條 左の場合には、組合の役員又は清算人は、これを一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定又は他の法律の特別の規定に基いて当該組合が行うことができる事業以外の事業を営んだとき。
二 第十一條第三項但書、第八十七條第三項但書、第九十三條第二項但書又は第九十七條第二項但書の規定に違反したとき。
三 第十七條第二項の規定に違反したとき。
四 第二十四條第二項(第九十二條第二項、第九十六條第二項及び第百條第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
五 第二十五條(第九十二條第二項、第九十六條第二項及び第百條第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
六 第三十六條(第八十六條第二項、第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項の規定において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
七 第三十八條、第三十九條又は第四十條(以上の各規定を第八十六條第二項、第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
八 第四十二條(第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項において準用する場合を含む。)、第四十三條(第八十六條第二項、第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項において準用する場合を含む。)又は第八十四條の規定に違反して、書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覽を拒んだとき。
九 第四十四條第五項又は第四十七條第四項(以上の各規定を第八十六條第二項、第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十 第五十三條又は第五十四條第二項(以上の各規定を第八十六條第二項、第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第六十九條第四項(第八十六條第四項、第九十二條第五項、第九十六條第五項、第百條第五項において準用する場合を含む。)において準用する第五十三條又は第五十四條第二項の規定に違反して出資組合の合併をしたとき。
十一 第五十五條、第五十六條(以上の各規定を第八十六條第二項、第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項において準用する場合を含む。)又は第八十五條の規定に違反したとき。
十二 第五十八條(第八十六條第二項、第九十二條第三項、第九十六條第三項及び第百條第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
十三 第六十八條第五項(第八十六條第四項、第九十二條第五項、第九十六條第五項及び第百條第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十四 第七十四條又は第七十六條(以上の各規定を第八十六條第四項、第九十二條第五項、第九十六條第五項及び第百條第五項において準用する場合を含む。)の書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十五 第七十五條(第八十六條第四項、第九十二條第五項、第九十六條第五項又は第百條第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合の財産を処分したとき。
十六 第七十七條(第八十六條第四項、第九十二條第五項、第九十六條第五項又は第百條第五項において準用する場合を含む。以下本條において同じ。)において準用する民法第七十九條第一項又は同法第八十一條第一項に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十七 第七十七條において準用する民法第七十九條の規定に違反して同項の期間内に債権者に弁済をしたとき。
十八 第七十七條において準用する民法第八十一條第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。
十九 この法律の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。
第百三十一條 第三條第二項及び第十三條第二項(第九十二條第一項、第九十六條第一項及び第百條第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、これを千円以下の過料に処する。
附 則
この法律施行の期日は、その公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令でこれを定める。
大藏大臣臨時代理 國務大臣 大屋晋三
農林大臣 周東英雄
内閣総理大臣 吉田茂
水産業協同組合法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年十二月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百四十二号
水産業協同組合法
目次
第一章
総則(第一条―第十条)
第二章
漁業協同組合
第一節
事業(第十一条―第十七条)
第二節
組合員(第十八条―第三十一条)
第三節
管理(第三十二条―第五十八条)
第四節
設立(第五十九条―第六十七条)
第五節
解散及び清算(第六十八条―第七十七条)
第三章
漁業生産組合(第七十八条―第八十六条)
第四章
漁業協同組合連合会(第八十七条―第九十二条)
第五章
水産加工業協同組合(第九十三条―第九十六条)
第六章
水産加工業協同組合連合会(第九十七条―第百条)
第七章
登記(第百一条―第百二十一条)
第八章
監督(第百二十二条―第百二十七条)
第九章
罰則(第百二十八条―第百三十一条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、漁民及び水産加工業者の協同組織の発達を促進し、もつてその経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進とを図り、国民経済の発展を期することを目的とする。
(組合の種類)
第二条 水産業協同組合(以下本章において「組合」という。)は、漁業協同組合、漁業生産組合及び漁業協同組合連合会並びに水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会とする。
(組合の名称)
第三条 組合は、その名称中に漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会という文字を用いなければならない。
2 組合でないものは、その名称中に漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合又は水産加工業協同組合連合会という文字を用いてはならない。
(組合の目的)
第四条 組合は、その行う事業によつてその組合員又は会員のために直接の奉仕をすることを目的とする。
(組合の人格)
第五条 組合は、法人とする。
(組合の住所)
第六条 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第七条 左の組合以外の組合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の適用については、これを同法第二十四条各号の要件を備える組合とみなす。
一 第十八条第二項の規定により組合員の資格を左の表の上欄の漁業種類の一種若しくは数種を営む者又はこれに従事する者に限つている漁業協同組合であつて、且つ、漁業を営む者たる組合員の総数の三分の一以上が左の表の下欄の経営規模以上のもの
漁業種類
経営規模
かつお・まぐろ漁業
総トン数二十トン以上の経営漁船数二隻
東経百三十度以西の海面を操業区域とする機船底曳網漁業
経営組数二組
あぐり網(きんちやく網を含む。)漁業
総トン数二十トン以上の網船による経営統数二統
定置漁業
常時使用する漁業従事者五十人
二 水産加工業協同組合であつて、常時十人以上の従業者を使用する組合員が組合員の総数の三分の一以上を占めるもの
三 前二号の組合が第八十八条第一号若しくは第二号又は第九十八条第一号の規定による会員の三分の一以上を占める漁業協同組合連合会又は水産加工業協同組合連合会
四 前三号の組合又は連合会が第八十八条第一号若しくは第二号又は第九十八条第一号の規定による会員の三分の一以上を占める漁業協同組合連合会又は水産加工業協同組合連合会
2 前項第一号、第三号及び第四号の組合は、同項の法律の適用については、これを同法第二十四条第三号の要件を備える組合とみなす。
(免税)
第八条 組合の所得のうち組合の事業を利用した割合又は組合の事業に従事した割合に応じて組合が配当した剰余金の金額に相当するものについては、当該組合には租税を課さない。
(登記)
第九条 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(定義)
第十条 この法律において「漁業」とは、水産動植物の採捕又は養殖の事業をいい、「水産加工業」とは、水産動植物を原料又は材料として、食料、飼料、肥料、糊料、油脂又は皮を生産する事業をいう。
2 この法律において「漁民」とは、漁業を営む個人又は漁業を営む者のために水産動植物の採捕若しくは養殖に従事する個人をいい、「水産加工業者」とは、水産加工業を営む個人をいう。
第二章 漁業協同組合
第一節 事業
(事業の種類)
第十一条 漁業協同組合(以下本章及び第四章において「組合」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付
二 組合員の貯金の受入
三 組合員の事業又は生活に必要な物資の供給
四 組合員の事業又は生活に必要な共同利用に関する施設
五 組合員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販売
六 水産動植物の繁殖保護その他漁場の利用に関する施設
七 船だまり、船揚場、漁礁その他組合員の漁業に必要な設備に関する施設
八 組合員の遭難防止若しくは遭難救済に関する施設又は漁船保険のあつ旋
九 組合員の福利厚生に関する施設
十 水産に関する技術の向上及び組合事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般的情報の提供に関する施設
十一 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十二 前各号の事業に附帯する事業
2 組合員に出資をさせない組合(以下本章において「非出資組合」という。)は、前項の規定にかかわらず、同項第一号又は第二号の事業を行うことができない。
3 組合は、定款の定めるところにより、組合員以外の者にその施設を利用させることができる。但し、一事業年度において組合員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において組合員が利用する事業の分量の総額をこえてはならない。
4 第一項第一号又は第二号の事業を行う組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又は当該金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
(倉荷証券の発行)
第十二条 前条第一項第五号に掲げる保管事業を行う組合は、主務大臣の許可をうけて、組合員の寄託物について倉荷証券を発行することができる。
2 前項の許可を受けた組合は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
3 商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百二十七条第二項及び第六百二十八条の規定は、第一項の倉荷証券にこれを準用する。
4 倉庫業法(昭和十年法律第四十一号)第四条、第八条から第十条まで及び第十二条の規定は、第一項の場合にこれを準用する。
第十三条 前条第一項の許可を受けた組合の作成する倉荷証券には、当該組合の名称を冠する倉庫証券という文字を記載しなければならない。
2 組合でない者の作成する預証券及び質入証券又は倉荷証券には、漁業協同組合倉庫証券という文字を記載してはならない。
第十四条 組合が倉荷証券を発行した寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
2 前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として、これを更新することができる。但し、更新の際の証券の所持人が組合員でないときには、組合員の利用に支障がない場合に限る。
第十五条 商法第六百十六条から第六百十九条まで及び第六百二十四条から第六百二十六条までの規定は、組合が倉荷証券を発行した場合に、これを準用する。
(団体協約の効力)
第十六条 第十一条第一項第十一号の団体協約は、書面をもつてすることに因つて、その効力を生ずる。
2 組合員の締結する契約であつてその内容が前項の団体協約に定める規準に違反するものについては、その規準に違反する契約の部分は、これをその基準によつて契約したものとみなす。
(漁業の経営)
第十七条 組合のうち左の条件のすべてを備えるものは、第十一条に規定する事業の外、漁業及びこれに附帯する事業を営むことができる。
一 第十八条第一項の規定による組合員の属する世帯の数が、組合の地区内に住所を有する漁民の属する世帯の数の三分の二以上であること。
二 組合員の過半数が組合の営む漁業又はこれに附帯する事業に従事すること。
三 第十九条第一項の規定により組合員に出資をさせる組合であること。
四 一組合員の有することのできる出資口数の最高限度が組合員の平均出資口数の二倍をこえないこと。
五 組合の営む漁業又はこれに附帯する事業に従事する組合員の有する出資口数の全部が組合の総出資口数の過半数であること。
六 組合の営む漁業又はこれに附帯する事業に従事する者の三分の二以上が組合員又は組合員と世帯を同じくする者であること。
2 前項の規定により漁業及びこれに附帯する事業を営む組合は、同項の条件を欠くに至つた場合には、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出ると共に、その事業を廃止するため必要な定款の変更をしなければならない。この場合には、組合は、定款の変更があるまではその事業を行うことができる。
第二節 組合員
(組合員たる資格)
第十八条 組合の組合員たる資格を有する者は、組合の地区内に住所を有し、且つ、漁業を営み又はこれに従事する日数が一年を通じて三十日から九十日までの間で定款で定める日数をこえる漁民とする。
2 組合の地区が市町村、特別区又は行政区の区域をこえるものにあつては、前項の規定により組合員たる資格を有する漁民を、定款の定めるところにより、特定の種類の漁業を営む者又はこれに従事する者に限ることができる。
3 前二項に規定する者の外、組合は、定款の定めるところにより、水産加工業協同組合に加入していない水産加工業者であつて組合の地区内に住所を有するもの、漁業生産組合又は第一項若しくは前項に規定する漁民以外の漁民を組合員たる資格を有する者とすることができる。
(出資)
第十九条 組合は、定款の定めるところにより、組合員に出資をさせることができる。
2 前項の規定により組合員に出資をさせる組合(以下本章において「出資組合」という。)の組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
3 出資一口の金額は、均一でなければならない。
4 出資組合の組合員の責任は、その出資額を限度とする。
5 組合員は、出資の払込について、相殺をもつて出資組合に対抗することができない。
(持分の譲渡)
第二十条 出資組合の組合員は、組合の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。
2 組合員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
4 組合員は、持分を共有することができない。
(議決権及び選挙権)
第二十一条 組合員は、各々一個の議決権及び役員の選挙権を有する。但し、第十八条第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)は、議決権及び選挙権を有しない。
2 組合員は、定款の定めるところにより、第四十一条第三項の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて議決権又は選挙権を行うことができる。
3 前項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、これを出席者とみなす。
4 代理人は、二人以上の組合員を代理することができない。
5 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。
(経費)
第二十二条 組合は、定款の定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。
2 組合員は、前項の経費の支払について、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(過怠金)
第二十三条 組合は、定款の定めるところにより、組合員に対して過怠金を課することができる。
(専用契約)
第二十四条 組合は、定款の定めるところにより、一年をこえない期間を限り、組合員が当該組合の施設の一部をもつぱら利用すべき旨の契約を組合員と締結することができる。
2 前項の契約の締結は、組合員の任意とし、組合は、その締結を拒んだことを理由として、その組合員が組合の施設を利用することを拒んではならない。
(加入制限の禁止)
第二十五条 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に附されたよりも困難な条件を附してはならない。
(脱退)
第二十六条 組合員は、六十日前までに予告し、事業年度の終において脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款でこれを延長することができる。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
第二十七条 組合員は、左の事由に因つて脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 除名
2 除名は、左の各号の一に該当する組合員につき、総会の議決によつてこれをすることができる。但し、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
一 長期間にわたつて組合の施設を利用しない組合員
二 出資の払込、経費の支払その他組合に対する義務を怠つた組合員
三 その他定款で定める事由に該当する組合員
(脱退者の持分の払戻)
第二十八条 出資組合の組合員は、脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終における当該出資組合の財産によつてこれを定める。
第二十九条 前条の規定による請求権は、脱退の時から二年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。
第三十条 脱退した組合員が出資組合に対する債務を完済するまでは、出資組合は、その持分の払戻を停止することができる。
(出資口数の減少)
第三十一条 出資組合の組合員は、定款の定めるところにより、その出資口数を減少することができる。
2 前項の場合には、第二十八条及び第二十九条の規定を準用する。
第三節 管理
(定款に記載すべき事項)
第三十二条 組合の定款には、左の事項を記載しなければならない。但し、非出資組合であつて、第十一条第一項第三号から第五号までの事業を行わない組合の定款には、第六号、第八号及び第九号の事項を、その他の非出資組合の定款には、第六号の事項を記載しなくてもよい。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格並びに組合員の加入及び脱退に関する規定
六 出資一口の金額及びその払込の方法並びに一組合員の有することのできる出資口数の最高限度
七 経費の分担に関する規定
八 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
九 準備金の額及びその積立の方法
十 役員の定数、職務の分担及び選挙に関する規定
十一 事業年度
十二 公告の方法
2 組合の定款には前項の事項の外、組合の存立時期を定めたときはその時期を、現物出資をする者を定めたときはその者の氏名、出資の目的たる財産及びその価格並びにこれに対して与える出資口数を記載しなければならない。
3 主務大臣は、模範定款例を定めることができる。
(規約で定めうる事項)
第三十三条 左の事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、これを規約で定めることができる。
一 総会又は総代会に関する規定
二 業務の執行及び会計に関する規定
三 役員に関する規定
四 組合員に関する規定
五 その他必要な事項
(役員の定員及び選挙)
第三十四条 組合に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、五人以上とし、監事の定数は、二人以上とする。
3 役員は、定款の定めるところにより、総会においてこれを選挙する。但し、設立当時の役員は、創立総会においてこれを選挙する。
4 役員の選挙は、無記名投票によつてこれを行う。
5 投票は、一人につき一票とする。
6 定款によつて定めた投票方法による選挙の結果投票の多数を得た者をもつて当選人とする。
7 組合の理事の定数の少くとも四分の三は、組合員(准組合員を除く。)でなければならない。但し、設立当時の理事の定数の少くとも四分の三は、設立の同意を申し出た漁民でなければならない。
(役員の任期)
第三十五条 役員の任期は、一年とする。但し、定款で二年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(役員の兼職禁止)
第三十六条 理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と相兼ねてはならない。
(理事の自己契約等の禁止)
第三十七条 組合が理事と契約をするときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、また同様とする。
(総会の招集)
第三十八条 理事は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第三十九条 組合員(准組合員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に総会を招集しなければならない。
第四十条 理事の職務を行う者がないとき、又は前条の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
(組合員に対する通知)
第四十一条 組合が組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときはその場所)にあてればよい。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
3 総会招集の通知は、その会日の十日前までに、その会議の目的たる事項を示してこれをしなければならない。
(定款その他の書類の備付及び閲覧)
第四十二条 理事は、定款、規約及び総会の議事録を各事業所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について左の事項を記載しなければならない。但し、非出資組合の組合員名簿には第三号及び第四号の事項を、第十七条の規定による漁業及びこれに附帯する事業を営まない組合の組合員名簿には第五号の事項を記載しなくてもよい。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日及び組合員たる資格の別
三 出資口数及び出資各口の取得の年月日
四 払込済出資額及びその払込の年月日
五 組合の営む漁業又はこれに附帯する事業に従事する者でないときはその旨
3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覧を求めることができる。
(決算関係書類の提出、備付及び閲覧)
第四十三条 理事は、通常総会の会日の一週間前までに、非出資組合であつて第十一条第一項第三号から第五号までの事業を行わないものにあつては事業報告書及び財産目録を、その他の組合にあつては事業報告書、財産目録、貸借対照表及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員及び組合の債権者は、前項の書類の閲覧を求めることができる。
3 第一項の書類を通常総会に提出するときは、監事の意見書を添附しなければならない。
(役員の改選の請求)
第四十四条 組合員(准組合員を除く。)は、総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の連署をもつて、その代表者から役員の改選を請求することができる。
2 前項の規定による改選の請求は、理事の全員又は監事の全員について、同時にこれをしなければならない。但し、法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約の違反を理由として改選を請求する場合は、この限りでない。
3 第一項の規定による改選の請求は、改選の理由を記載した書面を理事に提出してこれをしなければならない。
4 第一項の規定による改選の請求があつたときは、理事は、これを総会の議に附さなければならない。
5 第三項の規定による書面の提出があつたときは、理事は総会の会日から七日前までに、当該請求に係る役員にその書類を送付し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
(役員に関する民法の準用)
第四十五条 役員には、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条第一項、第五十二条第二項、第五十三条から第五十六条まで、第五十九条及び第六十一条第一項の規定を準用する。
(参事及び会計主任)
第四十六条 組合は、参事及び会計主任を選任し、その主たる事務所又は従たる事務所において、その業務を行わせることができる。
2 参事及び会計主任の選任及び解任は、理事の過半数によりこれを決する。
3 参事には、商法第三十八条第一項、第三項、第三十九条、第四十一条及び第四十二条の規定を準用する。
第四十七条 組合員(准組合員を除く。)は、総組合員(准組合員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、参事又は会計主任の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してこれをしなければならない。
3 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、当該参事又は会計主任の解任の可否を決しなければならない。
4 理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、当該参事又は会計主任に対し、第二項の書面を送付し、且つ、弁明する機会を与えなければならない。
(総会の議決事項)
第四十八条 左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更及び廃止
三 毎事業年度の事業計画の設定及び変更
四 経費の賦課及び徴収の方法
五 貸付金の利率の最高限度
六 事業報告書、財産目録、貸借対照表、剰余金処分案及び損失処理案
七 毎事業年度内における借入金の最高限度
八 訴願若しくは訴訟の提起又は和解
九 漁業権若しくはこれに関する物権又は不動産(総トン数二十トン以上又は積石数二百石以上の船舶を含む。)に関する物権の設定、得喪又は変更
2 定款の変更は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可の申請があつた場合には、第六十三条第二項、第六十四条及び第六十五条の規定を準用する。
(総会の議事)
第四十九条 総会の議事は、この法律、定款又は規約に特別の定ある場合を除いて、出席者の議決権の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において、その都度これを選任する。
3 議長は、組合員として総会の議決に加わる権利を有しない。
(特別決議事項)
第五十条 左の事項は、総組合員(准組合員を除く。)の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 組合の解散又は合併
三 組合員の除名
四 漁業権又はこれに関する物権の設定、得喪又は変更
(総会に関する民法の準用)
第五十一条 総会には、民法第六十四条及び第六十六条の規定を準用する。この場合において、第六十四条中「第六十二条」とあるのは、「水産業協同組合法第四十一条第三項」と読み替えるものとする。
(総代会)
第五十二条 組合員(准組合員を除く。)の総数が二百人をこえる組合は、定款の定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。
2 総代は、組合員(准組合員を除く。)でなければならない。
3 総代の定数は、五十人以上でなければならない。
4 総代には、第三十四条第三項から第六項までの規定を準用する。
5 総代会には、総会に関する規定を準用する。但し、総代会においては、役員若しくは総代を選挙し、第七十条第一項の規定による設立委員を選任し、又は第五十条の事項について議決することができない。
(出資一口の金額の減少)
第五十三条 出資組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
2 出資組合は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、貯金者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第五十四条 債権者が前条第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、出資組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
(準備金及び繰越金)
第五十五条 組合(非出資組合であつて、第十一条第一項第三号から第五号までの事業を行わないものを除く。以下本条及び第五十六条において同じ。)は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の定款で定める準備金の額は、出資組合にあつては、出資総額の二分の一を下つてはならない。
3 第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合を除いては、これを取りくずしてはならない。
4 組合は、第十一条第一項第十号の事業の費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。
(剰余金の配当)
第五十六条 組合は、損失を填補し、前条第一項の準備金及び同条第四項の繰越金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。
2 剰余金の配当は、定款の定めるところにより、出資組合にあつては、年五分をこえない範囲内において、払い込んだ出資額に応じてこれをし、なお剰余があるときは、組合事業の利用者にその事業の利用分量の割合に応じて(非出資組合にあつては、組合事業の利用者にその事業の利用分量の割合に応じて)、これをしなければならない。
第五十七条 出資組合は、定款の定めるところにより、組合員が出資の払込を終るまでは、組合員に配当する剰余金をその払込に充てることができる。
(組合の持分取得の禁止)
第五十八条 出資組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
第四節 設立
(発起人)
第五十九条 組合を設立するには、二十人以上の漁民が発起人となることを必要とする。
(設立準備会)
第六十条 発起人は、あらかじめ組合の事業及び地区並びに組合員たる資格に関する目論見書を作り、一定の期間前までにこれを設立準備会の日時及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。
2 前項の一定の期間は、二週間を下つてはならない。
第六十一条 設立準備会においては、出席した漁民の中から、定款の作成に当るべき者(以下「定款作成委員」という。)を選任し、且つ、地区、組合員たる資格その他定款作成の基本となるべき事項を定めなければならない。
2 定款作成委員は、二十人以上でなければならない。
3 設立準備会の議事は、出席した漁民の過半数の同意をもつて、これを決する。
(創立総会)
第六十二条 定款作成委員が定款を作成したときは、発起人は、一定の期間前までにこれを創立総会の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項の一定の期間は、二週間を下つてはならない。
3 定款作成委員が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款を修正することができる。但し、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、組合員(准組合員を除く。)たる資格を有する者であつてその会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が自ら出席し、その議決権の三分の二以上でこれを決する。
6 創立総会については、第二十一条第一項及び民法第六十六条の規定を準用する。
(設立の認可の申請)
第六十三条 発起人は、創立総会終了の後遅滞なく、定款及び事業計画を行政庁に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
2 発起人は、行政庁の要求があるときは、組合の設立に関する報告書を提出しなければならない。
(設立の認可)
第六十四条 行政庁は、前条第一項の認可の申請があつたときは、設立の手続又は定款若しくは事業計画の内容が法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反する場合を除いては、設立の認可をしなければならない。
第六十五条 第六十三条第一項の認可の申請があつたときは、行政庁は、申請書を受領した日から二箇月以内に、発起人に対し、認可又は不認可の通知を発しなければならない。
2 行政庁が前項の期間内に同項の通知を発しなかつたときは、その期間満了の日に設立の認可があつたものとみなす。この場合には、発起人は、行政庁に対し、認可に関する証明をすべきことを請求することができる。
3 行政庁が第六十三条第二項の規定により報告書提出の要求を発したときは、その日からその報告書が行政庁に到達するまでの期間は、これを第一項の期間に算入しない。
4 行政庁は、不認可の通知をするときは、その理由を通知書に記載しなければならない。
5 発起人が不認可の取消を求める訴を提起した場合において、裁判所がその取消の判決をしたときは、その判決確定の日に設立の認可があつたものとみなす。この場合には、第二項後段の規定を準用する。
(理事への事務引渡)
第六十六条 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なくその事務を理事に引き渡さなければならない。
2 出資組合の理事は、前項の規定による引渡を受けたときは、遅滞なく出資の第一回の払込をさせなければならない。
3 現物出資者は、第一回の払込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。但し、登記、登録その他権利の設定又は移転をもつて第三者に対抗するため必要な行為は、組合成立の後にこれをすることを妨げない。
(成立の時期)
第六十七条 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることに因つて成立する。
第五節 解散及び清算
(解散事由)
第六十八条 組合は、左の事由に因つて解散する。
一 総会の決議
二 組合の合併
三 組合の破産
四 存立時期の満了
五 第百二十四条第二項の規定による解散の命令
2 解散の決議は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の申請があつた場合には、第六十三条第二項、第六十四条及び第六十五条の規定を準用する。
4 第一項の事由に因る外、組合は、組合員(准組合員を除く。)が二十人未満になつたことに因つて解散する。
5 組合は、前項の規定により解散したときは、遅滞なくその旨を行政庁に届け出なければならない。
(合併の手続)
第六十九条 組合が合併しようとするときは、総会において合併を議決しなければならない。
2 合併は行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可の申請があつた場合には、第六十三条第二項、第六十四条及び第六十五条の規定を準用する。
4 出資組合の合併には、第五十三条及び第五十四条の規定を準用する。
第七十条 合併に因つて組合を設立するには、各組合の総会において組合員(准組合員を除く。)の中から選任した設立委員が共同して、定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。
2 前項の規定による役員のうち理事の選任には、第三十四条第七項本文の規定を準用する。
3 第一項の規定による設立委員の選任には、第五十条の規定を準用する。
(合併の時期)
第七十一条 組合の合併は、合併後存続する組合又は合併に因つて成立する組合が、その主たる事務所の所在地において、第百七条に規定する登記をすることに因つてその効力を生ずる。
(合併による権利義務の承継)
第七十二条 合併後存続する組合又は合併に因つて設立した組合は、合併に因つて消滅した組合の権利義務(当該組合がその行う事業に関し、行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
(清算人)
第七十三条 組合が解散したときは、合併及び破産に因る解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。但し、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(清算事務)
第七十四条 清算人は、就職の後遅滞なく、組合の財産の状況を調査し、非出資組合にあつては財産目録、出資組合にあつては財産目録及び貸借対照表を作り、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
第七十五条 清算人は、組合の債務を弁済した後でなければ、組合の財産を処分することができない。
第七十六条 清算事務が終つたときは、清算人は、遅滞なく決算報告書を作り、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
(民法及び非訟事件手続法の準用)
第七十七条 組合の解散及び清算には、民法第七十三条、第七十五条、第七十六条及び第七十八条から第八十三条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項、第三項、第百三十六条第一項、第百三十七条及び第百三十八条の規定を準用する。この場合において、民法第七十五条中「前条」とあるのは「水産業協同組合法第七十三条」と読み替えるものとする。
第三章 漁業生産組合
(事業の種類)
第七十八条 漁業生産組合(以下本章において「組合」という。)は、漁業及びこれに附帯する事業を行うことができる。
(組合員たる資格)
第七十九条 組合員たる資格を有する者は、漁民であつて、定款で定めるものとする。
(組合の事業と組合員との関係)
第八十条 組合員の三分の二以上は、組合の営む事業に従事する者でなければならない。
第八十一条 組合の営む事業に従事する者の三分の二以上は、組合員でなければならない。
(出資)
第八十二条 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
2 一組合員が有することのできる出資口数の最高限度は、組合員の平均出資口数の二倍をこえてはならない。
3 組合の総出資口数の過半数は、組合の営む事業に従事する組合員によつて保有されなければならない。
(定款に記載すべき事項)
第八十三条 組合の定款には、第三十二条第一項第一号、第二号、第四号から第六号まで及び第八号から第十二号までの事項を記載しなければならない。
2 前項の定款には、第三十二条第二項及び第三項の規定を準用する。
(定款その他の書類の備付及び閲覧)
第八十四条 理事は、定款、規約及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について左の事項を記載しなければならない。
一 第四十二条第二項第一号及び第三号から第五号までの事項
二 加入の年月日
3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覧を求めることができる。
(剰余金の配当)
第八十五条 組合は、損失を填補し、第八十六条第二項において準用する第五十五条第一項の準備金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。
2 剰余金の配当は、定款の定めるところにより、年一割をこえない範囲内において、払い込んだ出資額の割合に応じてこれをし、なお剰余があるときは、組合員が組合の事業に従業した程度に応じてこれをしなければならない。
(準用規定)
第八十六条 組合の組合員に関する事項については、第七十九条から第八十二条までに規定するものの外、第十九条第三項から第五項まで、第二十条、第二十一条第一項本文、第三項から第五項まで、第二十三条及び第二十六条から第三十一条までの規定を準用する。
2 組合の管理に関する事項については、第八十三条から前条までに規定するものの外、第三十三条から第四十一条まで、第四十三条から第五十一条まで、第五十三条、第五十四条、第五十五条第一項から第三項まで、第五十七条及び第五十八条の規定を準用する。この場合において、第三十四条第二項中「五人」とあるのは「三人」と、同条第七項中「理事の定数の少くとも四分の三は、」とあるのは「理事は、その全員が」と、第四十四条第一項中「五分の一」とあるのは「三分の一」と、第四十七条第一項中「十分の一」とあるのは「六分の一」と読み替えるものとする。
3 組合の設立に関する事項については、第五十九条から第六十七条までの規定を準用する。この場合において、第五十九条及び第六十一条第二項中「二十人」とあるのは「七人」と読み替えるものとする。
4 組合の解散及び清算に関する事項については、第六十八条から第七十七条までの規定を準用する。この場合において、第六十八条第四項中「二十人」とあるのは「七人」と、第七十条第二項において準用する第三十四条第七項中「理事の定数の少くとも四分の三は、」とあるのは「理事は、その全員が」と読み替えるものとする。
第四章 漁業協同組合連合会
(事業の種類)
第八十七条 漁業協同組合連合会(以下本章において「連合会」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 会員の事業に必要な資金の貸付
二 会員の貯金の受入
三 連合会を直接又は間接に構成する者(以下本章において「所属員」と総称する。)の事業に必要な物資の供給
四 所属員の事業に必要な共同利用に関する施設
五 所属員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販売
六 水産動植物の繁殖保護その他漁場の利用に関する施設
七 船だまり、船揚場、漁礁その他所属員の漁業に必要な設備に関する施設
八 法人たる所属員の監査及び指導
九 所属員の遭難防止若しくは遭難救済に関する施設又は漁船保険のあつ旋
十 所属員の福利厚生に関する施設
十一 水産に関する技術の向上及び連合会の事業に関する所属員の知識の向上を図るための教育並びに所属員に対する一般的情報の提供に関する施設
十二 所属員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十三 前各号の事業に附帯する事業
2 会員に出資をさせない連合会(以下本章において「非出資連合会」という。)は、前項の規定にかかわらず、同項第一号又は第二号の事業を行うことができない。
3 連合会は、定款の定めるところにより、所属員以外の者にその施設を利用させることができる。但し、一事業年度において所属員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において所属員の利用する事業の分量の総額をこえてはならない。
4 第一項第一号又は第二号の事業を行う連合会は、同項の規定にかかわらず、これらの事業に附帯する事業の外、他の事業を行うことができない。
5 前項の連合会は、会員のために、手形の割引をし、定款で定める金融機関に対して会員の負担する債務を保証し、又は当該金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
(会員たる資格)
第八十八条 連合会の会員たる資格を有する者は、左の者であつて定款で定めるものとする。
一 連合会の地区の全部又は一部を地区とする組合又は連合会
二 連合会の地区内に住所を有する漁業生産組合
三 連合会の地区内に住所を有し、且つ、法律に基いて設立された協同組合であつて、前二号の者の事業と同種の事業を行うもの
(規模の制限)
第八十九条 連合会は、左の各号のうちいずれかに該当しなければならない。
一 地区が都道府県の区域をこえないこと。
二 所属員たる組合の数が三百をこえないこと。
(総会の議決事項)
第九十条 左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 第四十八条第一項各号の事項
二 一会員のためにする手形の割引金額の最高限度
(発起人)
第九十一条 連合会を設立するには、二以上の組合、漁業生産組合又は連合会が発起人となることを必要とする。
(準用規定)
第九十二条 連合会の事業に関する事項については、第八十七条に規定するものの外、第十二条から第十六条までの規定を準用する。この場合において、第十二条第一項中「前条」とあるのは「第八十七条」と、第十六条第一項中「第十一条第一項第十一号」とあるのは「第八十七条第一項第十二号」と読み替えるものとする。
2 連合会の会員に関する事項については、第八十八条及び第八十九条に規定するものの外、第十九条から第三十一条までの規定を準用する。この場合において、第二十一条第一項但書中「第十八条第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)」とあるのは「第八十八条第三号の規定による会員(以下第九十二条及び同様において準用する各規定において「准会員」という。)」と読み替えるものとする。
3 連合会の管理に関する事項については、第九十条に規定するものの外、第三十二条から第四十七条まで、第四十八条第二項、第三項及び第四十九条から第五十八条までの規定を準用する。この場合において、第三十四条第七項中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「個人たる所属員(准会員を構成する者及び准組合員を除く。)」と、同項但書中「漁民」とあるのは「組合、漁業生産組合又は連合会の個人たる所属員(准会員を構成する者及び准組合員を除く。)」と読み替えるものとする。
4 連合会の設立に関する事項については、前条に規定するものの外、第六十条から第六十七条までの規定を準用する。この場合において、第六十一条第一項及び第三項中「漁民」とあるのは「組合、漁業生産組合又は連合会の理事」と、同条第二項中「二十人」とあるのは「二人」と、第六十二条第六項において準用する第二十一条第一項但書中「第十八条第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)」とあるのは「准会員」と読み替えるものとする。
5 連合会の解散及び清算に関する事項については、第六十八条から第七十七条までの規定を準用する。この場合において、第六十八条第四項中「二十人未満」とあるのは「一人」と、第七十条第一項中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「会員(准会員を除く。)の理事」と、同条第二項において準用する第三十四条第七項本文中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「個人たる所属員(准会員を構成する者及び准組合員を除く。)」と読み替えるものとする。
第五章 水産加工業協同組合
(事業の種類)
第九十三条 水産加工業協同組合(以下本章及び第六章において「組合」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員の事業に必要な資金の貸付
二 組合員の貯金の受入
三 組合員の事業に必要な物資の供給
四 組合員の事業に必要な共同利用に関する施設
五 組合員の生産物の運搬、加工、保管又は販売
六 組合員の製品、その原料若しくは材料又は製造若しくは加工の設備に対する検査に関する施設
七 組合員の福利厚生に関する施設
八 水産物の製造加工に関する技術の向上及び組合事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般的情報の提供に関する施設
九 前各号の事業に附帯する事業
2 組合は、定款の定めるところにより、組合員以外の者にその施設を利用させることができる。但し、一事業年度において組合員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において組合員が利用する事業の分量の総額の五分の一をこえてはならない。
3 第一項第一号及び第二号の事業を行う組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又は当該金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
(組合員たる資格)
第九十四条 組合員たる資格を有する者は、組合の地区内に住所又は事業場を有する水産加工業者とする。但し、定款の定めるところにより、組合員たる資格を有する者を特定の種類の水産加工業を営む者に限ることができる。
(出資)
第九十五条 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
(準用規定)
第九十六条 組合の事業に関する事項については、第九十三条に規定するものの外、第十二条から第十五条までの規定を準用する。この場合において、第十二条第一項中「前条」とあるのは「第九十三条」と読み替えるものとする。
2 組合の組合員に関する事項については、前二条に規定するものの外、第十九条第三項から第五項まで、第二十条、第二十一条第一項本文、第二項から第五項まで及び第二十二条から第三十一条までの規定を準用する。
3 組合の管理に関する事項については、第三十二条から第五十八条までの規定を準用する。
4 組合の設立に関する事項については、第五十九条から第六十七条までの規定を準用する。この場合において、第五十九条及び第六十一条第二項中「二十人」とあるのは「十五人」と読み替えるものとする。
5 組合の解散及び清算に関する事項については、第六十八条から第七十七条までの規定を準用する。この場合において、第六十八条第四項中「二十人」とあるのは「十五人」と読み替えるものとする。
第六章 水産加工業協同組合連合会
(事業の種類)
第九十七条 水産加工業協同組合連合会(以下本章において「連合会」という。)は、左の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 会員の事業に必要な資金の貸付
二 会員の貯金の受入
三 連合会を直接又は間接に構成する者(以下本章において「所属員」と総称する。)の事業に必要な物資の供給
四 所属員の事業に必要な共同利用に関する施設
五 所属員の生産物の運搬、加工、保管又は販売
六 所属員の製品、その原料若しくは材料又は製造若しくは加工の設備に対する検査に関する施設
七 法人たる所属員の監査及び指導
八 所属員の福利厚生に関する施設
九 水産物の製造加工に関する技術の向上及び連合会の事業に関する所属員の知識の向上を図るための教育並びに所属員に対する一般的情報の提供に関する施設
十 前各号の事業に附帯する事業
2 連合会は、定款の定めるところにより、所属員以外の者にその施設を利用させることができる。但し、一事業年度において所属員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において所属員が利用する事業の分量の総額の五分の一をこえてはならない。
3 第一項第一号又は第二号の事業を行う連合会は、同項の規定にかかわらず、これらの事業に附帯する事業の外、他の事業を行うことができない。
4 前項の連合会は、会員のために手形の割引をし、定款で定める金融機関に対して会員の負担する債務を保証し、又は当該金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
(会員たる資格)
第九十八条 連合会の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者であつて定款で定めるものとする。
一 連合会の地区の全部又は一部を地区とする組合又は連合会
二 連合会の地区内に住所を有し、且つ、法律に基いて設立された協同組合であつて、前号の者の事業と同種の事業を行うもの
(発起人)
第九十九条 連合会を設立するには、二以上の組合又は連合会が発起人となることを必要とする。
(準用規定)
第百条 連合会の事業に関する事項については、第九十七条に規定するものの外、第十二条から第十五条までの規定を準用する。この場合において、第十二条第一項中「前条」とあるのは「第九十七条」と読み替えるものとする。
2 連合会の会員に関する事項については、第九十八条に規定するものの外、第十九条第三項から第五項まで、第二十条から第三十一条まで、第八十九条及び第九十五条の規定を準用する。この場合において、第二十一条第一項但書中「第十八条第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)」とあるのは「第九十八条第二号の規定による会員(以下第百条において準用する各規定において「准会員」という。)」と読み替えるものとする。
3 連合会の管理に関する事項については、第三十二条から第四十七条まで、第四十八条第二項、第三項、第四十九条から第五十八条まで及び第九十条の規定を準用する。この場合において、第三十四条第七項中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「個人たる所属員(准会員を構成する者を除く。)」と、同項但書中「漁民」とあるのは「組合又は連合会の個人たる所属員(准会員を構成する者を除く。)」と読み替えるものとする。
4 連合会の設立に関する事項については、前条に規定するものの外、第六十条から第六十七条までの規定を準用する。この場合において、第六十一条第一項及び第三項中「漁民」とあるのは「組合又は連合会の理事」と、同条第二項中「二十人」とあるのは「二人」と、第六十二条第六項において準用する第二十一条第一項但書中「第十八条第三項の規定による組合員(以下本章及び第四章において「准組合員」という。)」とあるのは「准会員」と読み替えるものとする。
5 連合会の解散及び清算に関する事項については、第六十八条から第七十七条までの規定を準用する。この場合において、第六十八条第四項中「二十人未満」とあるのは「一人」と、第七十条第一項中「組合員(准組合員を除く。)」とあるのは「会員(准会員を除く。)の理事」と、同条第二項において準用する第三十四条第七項本文中「組合員(准組合員を除く)。」とあるのは「個人たる所属員(准会員を構成する者を除く。)」と読み替えるものとする。
第七章 登記
(設立の登記)
第百一条 水産業協同組合(以下「組合」という。)は、組合員又は会員(以下「組合員」と総称する。)に出資をさせない組合にあつては、設立の認可があつた日から、組合員に出資をさせる組合(以下「出資組合」という。)にあつては、出資の第一回の払込があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において、設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。但し、漁業生産組合の設立登記には、第三号の事項を掲げなくてもよい。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 出資組合にあつては、出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払い込んだ出資の総額
六 存立の時期を定めたときは、その時期
七 役員の氏名及び住所
八 公告の方法
3 組合は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前項の事項を登記しなければならない。
(従たる事務所新設の登記)
第百二条 組合の設立後従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に、前条第二項の事項を登記し、他の従たる事務所においては同期間内に、その従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において、新たに従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記すればよい。
(事務所移転の登記)
第百三条 組合が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第百一条第二項の事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすればよい。
(設立登記事項の変更の登記)
第百四条 第百一条第二項の事項中に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。
2 第百一条第二項第五号の事項中出資の総口数及び払い込んだ出資の総額の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日現在により、事業年度終了後、主たる事務所の所在地においては四週間以内に、従たる事務所の所在地においては五週間以内にこれをすればよい。
(参事の登記)
第百五条 組合が参事を選任したときは、二週間以内に、これを置いた事務所の所在地において、参事の氏名及び住所、参事を置いた事務所並びに数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を登記しなければならない。その登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅についても同様である。
(解散の登記)
第百六条 組合が解散したときは、合併及び破産の場合を除いては、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に解散の登記をしなければならない。
(合併の場合の登記)
第百七条 組合が合併するときは、合併の認可のあつた日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する組合については変更の登記、合併に因つて消滅する組合については解散の登記、合併に因つて成立する組合については第百一条第二項に規定する登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第百八条 清算人は、その就職の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算人の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前項の規定により登記した事項の変更の登記については、第百四条第一項の規定を準用する。
(清算結了の登記)
第百九条 組合の清算が結了したときは、清算結了の日から主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第百十条 組合の登記については、その事務所の所在地を管轄する司法事務局又はその出張所を管轄登記所とする。
2 各登記所に、漁業協同組合登記簿、漁業生産組合登記簿、漁業協同組合連合会登記簿、水産加工業協同組合登記簿及び水産加工業協同組合連合会登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第百十一条 組合の設立の登記は、役員の全員の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記の申請書には、定款及び役員たることを証する書面並びに出資組合にあつては出資総口数及び出資の第一回の払込のあつたことを証する書面を添附しなければならない。
3 合併に因る出資組合の設立の登記の申請書には、前項の書面の外、第六十九条第四項(第八十六条第四項、第九十二条第五項、第九十六条第五項及び第百条第五項において準用する場合を含む。)において準用する第五十三条第二項の規定による公告及び催告したこと、若し異議を述べた債権者があるときは、これに対し、弁済し若しくは担保を供し、又は信託をしたことを証する書面を添附しなければならない。
第百十二条 第百一条第三項の規定による登記は、理事の申請に因つてこれをする。
(事務所新設、移転及び設立の登記事項変更の登記の申請)
第百十三条 組合の事務所の新設又は事務所の移転その他第百一条第二項の事項の変更の登記は、理事又は清算人の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設又は登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 出資一口の金額の減少又は出資組合の合併に因る変更の登記の申請書には、前項の書面の外、第五十三条第二項(第六十九条第四項において準用する場合並びに第八十六条第三項、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において同条同項を準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告したこと、若し異議を述べた債権者のあるときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は信託をしたことを証する書面を添附しなければならない。
(参事の登記の申請)
第百十四条 参事の選任、第百五条の規定により登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅の登記は、理事の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記のうち、参事の選任の登記の申請書には参事の選任を証する書面及び数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を証する書面を、その他の登記の申請書にはその事項を証する書面を添附しなければならない。
(解散の登記の申請)
第百十五条 第百六条の規定による組合の解散の登記は、第三項に規定する場合を除いて、清算人の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
3 行政庁が組合の解散を命じた場合における解散の登記は、当該行政庁の嘱託に因つてこれをする。
第百十六条 第百七条の規定に因る解散の登記は、合併に因つて消滅する組合の理事の申請に因つてこれをする。
2 前項の場合には、第百十一条第三項及び前条第二項の規定を準用する。
(清算人の登記の申請)
第百十七条 第百八条第一項の規定による登記の申請書には、理事が清算人でない場合には、申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第百八条第二項の規定による登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第百十八条 組合の清算結了の登記は、清算人の申請に因つてこれをする。
2 前項の登記の申請書には、清算人が第七十六条(第八十六条第四項、第九十二条第五項、第九十六条第五項及び第百条第五項において準用する場合を含む。)の規定により決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(登記の期間の計算)
第百十九条 登記すべき事項であつて行政庁の認可を要するものは、その認可書の到達した時から登記の期間を起算する。但し、第六十五条第二項及び第五項(第八十六条第三項、第九十二条第四項、第九十六条第四項及び第百条第四項において準用する場合を含む。)の場合には、認可に関する証明書の到達した時から登記の期間を起算する。
(登記事項の公告)
第百二十条 登記した事項は、司法事務局において遅滞なくこれを公告しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第百二十一条 組合の登記には、非訟事件手続法第百四十一条から第百五十一条ノ六まで及び第百五十四条から第百五十七条までの規定を準用する。
第八章 監督
(業務又は財産の状況報告の徴収)
第百二十二条 行政庁は、組合に法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約を遵守させるために必要があると認めるときは、組合からその業務又は財産の状況に関し報告を徴することができる。
(業務又は会計状況の検査)
第百二十三条 組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、組合の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反する疑があることを理由として検査を請求したときは、行政庁は、当該組合の業務又は会計の状況を検査しなければならない。
2 行政庁は、組合の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反する疑があると認めるときは、何時でも、当該組合の業務又は会計の状況を検査することができる。
(法令等の違反に対する措置)
第百二十四条 行政庁は、前条の規定による検査を行つた場合において、当該組合の業務又は会計が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反すると認めるときは、当該組合に対し、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
2 組合が、この法律の規定又は他の法律の特別の規定に基いて行うことのできる事業以外の事業を行つたとき若しくは前項の規定による命令に従わなかつたとき、又は第八十条、第八十一条、第八十二条第二項、第三項若しくは第八十九条(第百条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反があるときは、行政庁は、当該組合の解散を命ずることができる。
(決議、選挙又は当選の取消)
第百二十五条 組合員(准組合員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続、議決の方法又は選挙が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反することを理由として、その議決又は選挙若しくは当選決定の日から一箇月以内に、その議決又は選挙若しくは当選の取消を請求した場合において、行政庁は、その違反の事実があると認めるときは、当該決議又は選挙若しくは当選を取り消すことができる。
2 前項の規定は、創立総会の場合にこれを準用する。
(専用契約の取消)
第百二十六条 行政庁は、第二十四条第一項(第九十三条第二項、第九十六条第二項及び第百条第二項において準用する場合を含む。)の規定による契約の内容が、公益に違反すると認めるときは、当該契約を取り消すことができる。
(監督行政庁)
第百二十七条 この法律中「行政庁」とあるのは、第七十二条(第八十六条第四項、第九十二条第五項、第九十六条第五項及び第百条第五項において準用する場合を含む。)の場合を除いては、都道府県若しくは特別市の区域又はその区域をこえる区域を地区とする組合(漁業生産組合を除く。)については主務大臣、その他の組合については、主たる事務所を管轄する都道府県知事又は特別市の市長とする。
2 前項の規定による主務大臣の権限の一部は、これを都道府県知事又は特別市の市長に委任することができる。
第九章 罰則
第百二十八条 組合の役員が如何なる名義をもつてするを問わず、組合の事業の範囲外において、貸付をし、若しくは手形の割引をし又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状に因り懲役及び罰金を併科することができる。
3 第一項の規定は、刑法に正条がある場合には、これを適用しない。
第百二十九条 第十二条第四項(第九十二条第一項、第九十六条第一項及び第百条第一項において準用する場合を含む。以下本条において同じ。)において準用する倉庫業法第八条第一項若しくは本法第百二十二条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第十二条第四項において準用する倉庫業法第八条第一項若しくは本法第百二十三条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを千円以下の罰金に処する。
2 組合の代表者又は代理人、使用者その他の従業者が、その組合の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その組合に対して同項の罰金刑を科する。
第百三十条 左の場合には、組合の役員又は清算人は、これを一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定又は他の法律の特別の規定に基いて当該組合が行うことができる事業以外の事業を営んだとき。
二 第十一条第三項但書、第八十七条第三項但書、第九十三条第二項但書又は第九十七条第二項但書の規定に違反したとき。
三 第十七条第二項の規定に違反したとき。
四 第二十四条第二項(第九十二条第二項、第九十六条第二項及び第百条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
五 第二十五条(第九十二条第二項、第九十六条第二項及び第百条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
六 第三十六条(第八十六条第二項、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項の規定において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
七 第三十八条、第三十九条又は第四十条(以上の各規定を第八十六条第二項、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
八 第四十二条(第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)、第四十三条(第八十六条第二項、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)又は第八十四条の規定に違反して、書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覧を拒んだとき。
九 第四十四条第五項又は第四十七条第四項(以上の各規定を第八十六条第二項、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十 第五十三条又は第五十四条第二項(以上の各規定を第八十六条第二項、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第六十九条第四項(第八十六条第四項、第九十二条第五項、第九十六条第五項、第百条第五項において準用する場合を含む。)において準用する第五十三条又は第五十四条第二項の規定に違反して出資組合の合併をしたとき。
十一 第五十五条、第五十六条(以上の各規定を第八十六条第二項、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)又は第八十五条の規定に違反したとき。
十二 第五十八条(第八十六条第二項、第九十二条第三項、第九十六条第三項及び第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
十三 第六十八条第五項(第八十六条第四項、第九十二条第五項、第九十六条第五項及び第百条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
十四 第七十四条又は第七十六条(以上の各規定を第八十六条第四項、第九十二条第五項、第九十六条第五項及び第百条第五項において準用する場合を含む。)の書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十五 第七十五条(第八十六条第四項、第九十二条第五項、第九十六条第五項又は第百条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合の財産を処分したとき。
十六 第七十七条(第八十六条第四項、第九十二条第五項、第九十六条第五項又は第百条第五項において準用する場合を含む。以下本条において同じ。)において準用する民法第七十九条第一項又は同法第八十一条第一項に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十七 第七十七条において準用する民法第七十九条の規定に違反して同項の期間内に債権者に弁済をしたとき。
十八 第七十七条において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。
十九 この法律の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。
第百三十一条 第三条第二項及び第十三条第二項(第九十二条第一項、第九十六条第一項及び第百条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、これを千円以下の過料に処する。
附 則
この法律施行の期日は、その公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令でこれを定める。
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 大屋晋三
農林大臣 周東英雄
内閣総理大臣 吉田茂