法人税法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第二十八号
公布年月日: 昭和32年3月31日
法令の形式: 法律
法人税法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年三月三十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第二十八号
法人税法の一部を改正する法律
法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第一条に次の一項を加える。
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定があり、かつ、収益事業(継続して事業場を設けてなすものに限る。以下同じ。)を営むもの(当該社団又は財団で収益事業を廃止したものを含む。以下人格のない社団等という。)は、法人とみなして、この法律を適用する。
第二条中「前条」の下に「第一項」を加え、「同条」を「同項」に改める。
第五条第三項中「第一項」を「第一条第二項及び第一項(前項において準用する場合を含む。)」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。
前二項の規定は、人格のない社団等について、これを準用する。
第五条の二中「法人の清算」を「法人(前条第一項各号に掲げる法人、人格のない社団等及び外国法人を除く。)の清算」に改める。
第五条の三中「第五条第一項各号に掲げる法人」の下に「及び人格のない社団等」を加える。
第六条を次のように改める。
(重要物産の製造等についての免税)
第六条 重要物産につき命令で定める期間内にその製造若しくは採掘の事業を開始し又はその設備を増設した法人で第二十五条に規定する青色申告書を提出するものには、命令の定めるところにより、当該事業を開始し又はその設備を増設した事業年度及びそれぞれその翌事業年度開始の日から三年以内に終了する事業年度において、当該事業の開始のために施設した設備又はその増設した設備による当該重要物産の製造又は採掘の業務から生じた所得(これらの事業年度において、当該法人が発明し又は考案した当該重要物産の製造技術に関する特許権若しくは特別の技術による生産方式又はこれらに準ずるものの譲渡又は提供に因り生ずる所得があるときは、その所得を含む。以下本条において同じ。)につき、各事業年度の所得に対する法人税を免除する。ただし、当該事業年度においてその免除されるべき所得の金額の合計額が、当該事業年度終了の日現在において当該重要物産の製造又は採掘の用に供されている固定資産でその償却額が各事業年度の所得の計算上損金に算入されるもの(当該事業年度終了の日が本文に規定する期間満了の日後であるときは、同日までに当該重要物産の製造又は採掘の用に供されたものに限る。)の取得価額の合計額の百分の四十に相当する金額(当該事業年度前の事業年度において本文の規定により当該重要物産の製造又は採掘の業務から生じた所得で法人税を免除されたものがあるときは、その免除を受けた所得の金額の合計額を控除した金額)をこえるときは、そのこえる金額については、この限りでない。
前項の重要物産とは、国民経済上重要と認められる新規産業に係る物産で、その製造若しくは採掘の技術が確立されていないため又は需要の見とおしが困難である等のためその製造又は採掘の事業の開始に当り採算について著しく不安があるものとして命令で指定するものをいう。
第一項に規定するもののほか、同項の重要物産の製造又は採掘の業務から生じた所得に対する法人税の免除に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第七条第四項中「法人が事業年度の中途において解散し又は」を「事業年度の中途において法人(第五条第一項各号に掲げる法人、人格のない社団等及び外国法人を除く。)が解散し又は法人が」に改め、同項の次に次の一項を加える。
第五条第一項各号に掲げる法人、人格のない社団等又は外国法人で清算中のものの残余財産が事業年度の中途において確定した場合においては、その事業年度開始の日から残余財産確定の日までの期間を一事業年度とみなす。
第七条第一項中「指定した期間」の下に「若しくは第三項に定める期間」を加え、同条第二項中「外国法人」を「人格のない社団等若しくは外国法人」に改め、同項の次に次の一項を加える。
人格のない社団等で定款、寄附行為、規則又は規約において事業年度その他これに準ずる期間を定めていないものが前項前段の申告をしなかつた場合においては、当該人格のない社団等の事業年度は、同項後段の規定にかかわらず、その年一月一日(年の中途において新たに設立した人格のない社団等にあつては、その新たに設立した日の属する年に限り、その新たに設立した日)から十二月三十一日までの期間とする。
第九条第二項中「第四十二条」を「第二十六条の二第三項又は第三十三条第二項の規定により納付する金額のうち第二十六条の四第六項の規定により加算された金額に相当する部分の金額及び第四十二条」に改め、同条第六項中「、漁業生産組合」の下に「(当該組合の事業に従事する組合員に対し俸給、給料、賃金、賞与その他これらの性質を有する給与を支給するものを除く。)」を加え、「森林組合」を「輸出水産業組合、森林組合(森林法第八十六条第二項に規定する生産組合でその事業に従事する組合員に対し俸給、給料、賃金、賞与その他これらの性質を有する給与を支給するものを除く。)」に改める。
第九条の三中「法人」の下に「、企業組合、同項の規定の適用を受けない漁業生産組合及び森林組合並びに会員組織の取引所」を加える。
第九条の六第一項中「各事業年度において内国法人」の下に「(人格のない社団等を除く。以下本条及び第十七条第三項第二号において同じ。)」を加え、「第二項第一号乃至第三号の規定の一」を「第二項各号の一」に改め、同条第五項を次のように改める。
第二項第三号に規定する合併に因り取得する株式又は出資の価額は、当該株式の額面金額又は当該出資の金額による。ただし、合併法人が合併に因り無額面株式を発行したときは、当該株式の価額は、当該合併に因り増加した資本の金額(合併に因り法人を設立した場合には、当該法人の設立の時における資本の金額)を当該合併に因り発行した株式の総数で除して計算した金額による。
第九条の七第二項及び第九条の八第二項中「若しくは新たに外国法人となつた法人」を「、新たに外国法人となつた法人、新たに収益事業を開始した第五条第一項各号に掲げる法人若しくは人格のない社団等」に、「若しくは新たに外国法人となつた後」を「、新たに外国法人となつた後若しくは新たに収益事業を開始した後」に改める。
第十条に次の一項を加える。
前二項の規定は、人格のない社団等が第五条第三項において準用する同条第一項の収益事業以外の事業に属する資産又は事業から生ずる所得について所得税法第十八条の規定により納付した所得税額については、これを適用しない。
第十条の二中「内国法人」の下に「(人格のない社団等を除く。以下第十二条の四において同じ。)」を加え、同条に次の一項を加える。
前項の規定は、第五条第一項各号に掲げる法人及び人格のない社団等が同項(同条第三項において準用する場合を含む。)の収益事業以外の事業に属する資産について収入した金額で第九条の六第二項第二号又は第三号に掲げる金額に該当する金額については、これを適用しない。
第十条の三第一項中「この法律の施行地外にある資産又は事業を有する」を削り、「当該資産又は事業から生じた所得」を「この法律の施行地外にその源泉がある所得」に改め、同条第二項中「前項」を「法人が前項の規定の適用を受ける場合においては、当該法人が納付する同項」に改め、同条に次の一項を加える。
前二項の規定は、第五条第一項各号に掲げる法人及び人格のない社団等がこの法律の施行地外にその源泉がある所得で同項(同条第三項において準用する場合を含む。)の収益事業以外の事業の所得となるべきものについて納付した外国の法人税については、これを適用しない。
第十七条第一項第一号及び第二項中「五十万円」を「百万円」に改め、同条第三項第一号中「第六条第一項に規定する重要物産の製造、採掘又は採取の業務から生じた所得の金額のうち、解散の日から同条」を「解散の日の翌日から第六条」に、「までの間に生じた所得」を「までの間に同条第二項に規定する重要物産の製造又は採掘の業務から生じた所得のうち同条の規定に準じて命令の定めるところにより計算した所得」に改め、同項に次の一号を加える。
四 第十二条の四第二項の規定により残余財産の価額に算入する金額
第十八条第七項中「及び第五条第一項各号に掲げる法人」を「又は第五条第一項各号に掲げる法人若しくは人格のない社団等」に改め、「第五条第一項」の下に「(同条第三項において準用する場合を含む。)」を加える。
第十九条第九項及び第二十条第四項中「第五条第一項各号」を「第五条第一項各号に掲げる法人、人格のない社団等」に改める。
第二十二条の二第一項中「その合併法人」を「第五条第一項各号に掲げる法人、人格のない社団等及び外国法人を除くものとし、これらの法人以外の清算中の法人の合併法人」に、「第七条第四項」を「第七条第五項」に改める。
第二十五条第三項中「又は外国法人の新たに外国法人となつた後」を「、外国法人の新たに外国法人となつた後又は第五条第一項各号に掲げる法人若しくは人格のない社団等の新たに収益事業を開始した後」に、「開始の日から三箇月」を「開始の日、外国法人となつた日又は新たに収益事業を開始した日から三箇月」に改め、同条第六項の次に次の一項を加える。
青色申告書を提出することについて政府の承認を受けた法人は、青色申告書による申告をやめようとするときは、命令の定めるところにより、政府にその旨を届け出なければならない。
第二十五条の二第一項中「その全員」の下に「とし、人格のない社団等で代表者の定がなく、管理人の定があるものにあつては、管理人とする。以下第二十六条の三第二項及び第三十九条において同じ。」を加える。
第二十六条の四第一項本文中「申告書の提出と同時に」を「申告書の提出と同時に(政府において特別の事情があると認める場合においては、第二十三条の規定による申告書で第十八条第八項又は第二十一条第四項の規定により記載すべき事項を記載したものの提出と同時に、又は解散、合併に因る消滅その他これらに準ずる事由が生じた法人の当該事由の生じた日前一年以内に終了した事業年度及びその日を含む事業年度については、その日から一年以内に)」に改め、同条第六項中「請求と同時に提出された申告書の提出期限」を「請求がなされた日(その日が当該請求の基礎となつた欠損金額の生じた事業年度の第十八条第八項又は第二十一条第四項の規定による申告書の提出期限前であるときは、その提出期限)」に改める。
第二十六条の七第一項及び第二項並びに第二十六条の九第四項前段中「施行地外にある資産又は事業の所得」を「施行地外にその源泉がある所得」に改める。
第三十一条の二第一項中「第二十三条」を「これらの申告書の提出期限から三年以内に提出された第二十三条」に、「事業年度分の課税標準」を「課税標準」に改め、「第十八条第八項又は第二十一条第四項の規定による申告書の提出と同時に」を削り、「更正又は決定は」の下に「、第七章の規定による再調査の請求若しくは審査の請求又は訴訟の提起があつた場合において、その決定又は判決に因る原処分の異動に伴い、当該決定又は判決の対象とならなかつた事業年度の所得又は清算所得に係る課税標準若しくは法人税額又は欠損金額について前三条の規定による更正又は決定が必要となるときを除くほか」を加え、「当該法人税又は当該金額」を「当該申告に係る課税標準、法人税額又は当該還付の請求の基礎となつた欠損金額」に改める。
第三十一条の四第一項中「第二十五条第七項」を「第二十五条第八項」に改める。
第三十四条第三項中「重加算税額については」の下に「、国税徴収法第四条ノ一各号の一の事由がある場合において同法の規定による督促又は差押を行うときを除くほか」を加え、「国税徴収法」を「同法」に改め、同条第四項中「、第二十五条第八項又は第四十六条の三第四項」を「又は第二十五条第九項」に改める。
第三十五条第一項中「該当する法人又は同条第七項」を「該当する法人、第四十六条の三第四項の規定による通知を受けた法人又は前条第七項」に、「又は同条第七項の規定による決定」を「、第四十六条の三第四項の規定による通知に係る事項又は前条第七項の規定による決定」に、「同条第一項若しくは第四項に規定する通知又は同条第七項の規定による通知」を「これらの通知」に改め、同条第六項の次に次の一項を加える。
第四十六条の三第四項の規定による通知に係る事項に対する審査の請求について第五項第三号の規定による取消の決定があつた場合においても、当該取消の決定は、その審査の請求の目的となつた処分のあつた日以後当該決定がなされた日までの間に当該取消の対象となつた納税地においてなされた法人の申告、申請、請求、届出及び税金の納付並びに政府の処分(当該取消の決定の対象となつた処分を除く。)の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。
第三十九条中「二百万円」を「千万円」に、「四百万円」を「二千万円」に改める。
第四十二条第二項中「提出した場合においては」の下に「、詐偽その他不正の行為により法人税を免かれ又は第二十六条の四第四項の規定による金額の還付を受けた法人が政府の調査に因り第二十九条から第三十一条までの規定による更正又は決定があるべきことを予知して修正申告書を提出した場合を除くほか」を加える。
第四十六条の四第四項中「前三項」を「前四項」に改め、同条第三項の次に次の一項を加える。
新たに人格のない社団等となつたものは、その人格のない社団等となつた日から二箇月以内に、第五条第三項において準用する同条第一項の収益事業を開始した日、名称、事業目的、その収益事業の種類、代表者又は管理人の氏名及び本店又は主たる事務所の所在地を政府に申告しなければならない。
第四十六条の五の次に次の一条を加える。
(本店移転等の届出)
第四十六条の六 法人(第四条に掲げる法人及び他の法令の規定により法人税を課されない法人を除く。以下本条において同じ。)が本店又は主たる事務所をその所在地の所轄税務署の管轄区域外に移転したときは、遅滞なく、移転前の所在地を管轄する税務署長及び移転後の所在地を管轄する税務署長に対し、移転前の所在地及び移転後の所在地を届け出なければならない。
法人が事業年度を変更したときは、遅滞なく、その変更前の事業年度及び変更後の事業年度を政府に届け出なければならない。
第四十八条第一項中「法人の代表者」の下に「(人格のない社団等の管理人を含む。以下同じ。)」を加える。
第五十一条に次の一項を加える。
人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附 則
1 この法律は、昭和三十二年四月一日から施行する。
2 この附則に特別の定がある場合を除くほか、改正後の法人税法(以下「新法」という。)の規定は、法人の昭和三十二年四月一日以後に終了する事業年度分の法人税及び同日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税(清算所得に対する法人税を課せられる法人の清算中の事業年度に係る法人税及び残余財産の一部の分配により納付すべき法人税を含む。以下同じ。)について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税及び同日前の解散又は合併による清算所得に対する法人税については、なお従前の例による。
3 法人の昭和三十二年四月一日以後最初に終了する事業年度が六月をこえる場合において、当該事業年度に係る改正前の法人税法(以下「旧法」という。)第十九条又は第二十条の規定による申告書の提出期限が同日前であるときは、その法人の当該申告書に係る法人税として納付した、又は納付すべきであつた法人税については、なお従前の例による。
4 法人が昭和三十二年四月一日以後に新法第十九条第一項本文の規定による申告書を提出する場合(新法第十九条第六項の規定により申告書の提出があつたものとみなされる場合を含む。)において、同条第一項に規定する前事業年度の法人税として納付した税額若しくは納付すべきことが確定した税額又は同条第二項に規定する被合併法人の確定法人税額が新法第十七条の規定により算出されたものでないときは、これらの税額のうち各事業年度の所得に対する税額(旧法第十七条の二の規定により加算した法人税額を除く。)は、新法第十九条第一項本文及び第二項の規定にかかわらず、当該事業年度又は被合併法人の確定法人税額の計算の基礎となつた事業年度分の所得について新法第十七条の規定を適用するものとして計算した金額による。
5 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定があり、かつ、収益事業を営むもの並びに新法第九条の三に規定する漁業生産組合及び森林組合については、新法の規定は、これらの社団若しくは財団又は法人の昭和三十二年四月一日以後に開始する事業年度分の法人税及び同日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税について適用し、これらの法人の同日前に開始した事業年度分の法人税及び同日前の解散又は合併による清算所得に対する法人税については、なお従前の例による。
6 輸出水産業組合の昭和三十二年四月一日以後最初に終了する事業年度分の法人税について附則第三項の規定の適用がある場合においては、当該法人の当該事業年度分の法人税については、新法第十八条の規定を適用せず、新法第二十一条の規定を適用する。
7 新法第五条の二の規定は、この法律の施行後に解散した新法第五条第一項各号に掲げる法人及び新法第二条に規定する外国法人の清算中に終了する事業年度分の法人税について適用し、この法律の施行前に解散したこれらの法人の清算中に終了する事業年度分の法人税については、なお従前の例による。
8 新法第六条及び第十七条第三項第一号の規定は、この法律の施行後に新法第六条第二項に規定する重要物産の製造若しくは採掘の事業を開始し、又は同項に規定する重要物産の製造若しくは採掘の設備を増設した法人の当該製造若しくは採掘の事業の開始のために施設した設備又はその増設した設備による当該重要物産の製造又は採掘の業務から生じた所得(同条第一項の規定により当該所得に含むものとされる所得を含む。)について適用する。
9 この法律の施行の際新法第六条第二項に規定する重要物産の製造又は採掘を行つている法人がこの法律の施行後同条第一項に規定する期間内にその設備を増設した場合においては、当該法人に対する同条の規定の適用については、同項ただし書中「固定資産」とあるのは、「固定資産(昭和三十二年四月一日以後にその用に供されたものに限る。)」とする。
10 この法律の施行前に旧法第六条第一項に規定する重要物産の製造、採掘若しくは採取の事業を開始した法人又はその製造、採掘若しくは採取の設備を増設した法人のその製造、採掘又は採取の業務から生ずる所得に対する同項の規定による法人税の免除期間がこの法律の施行後にわたる場合においては、その残存期間内に当該業務から生じたこれらの法人の各事業年度の所得又は清算所得でこの法律の施行前に開始した事業又は増設した設備に係るものに対する法人税については、なお従前の例による。この場合において、当該残存期間内に当該法人が発明し、又は考案した当該重要物産(新法第六条第二項に規定する重要物産に該当するものに限る。)の製造技術に関する特許権若しくは特別の技術による生産方式又はこれらに準ずるものの譲渡又は提供により生ずる所得があるときは、その所得は、当該業務から生じた所得でこの法律の施行前に開始した事業又は増設した設備に係るものとみなす。
11 昭和三十年四月一日以後に旧法第六条第一項の重要物産として指定されたもので新法第六条第二項に規定する重要物産とならなかつたもののうち政令で指定するものの製造、採掘若しくは採取の業務の開始又はその設備の増設のための工事を昭和三十二年一月一日において行いつつあつた法人で、この法律の施行の日までにその業務を開始し、又はその設備を増設することができなかつたものが、この法律の施行後一年以内にその業務を開始し、又はその設備を増設した場合においては、当該業務から生じた所得又はその増設した設備から生ずる所得については、旧法第六条及び第十七条第三項第一号の規定は、なおその効力を有する。
12 新法第三十一条の二の規定は、この法律の施行の際旧法第三十一条の二の規定により更正又は決定をすることができないこととなつている事業年度分の法人税及び清算所得に対する法人税を除くほか、この法律の施行後に更正又は決定をする場合について適用する。
13 新法第三十四条第三項(新法第三十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行の際これらの規定に該当する再調査又は審査の請求をしている法人及びこの法律の施行後にこれらの再調査又は審査の請求をする法人について適用する。
14 新法第四十二条第二項の規定は、この法律の施行後に新法第二十四条の規定による修正申告書の提出により納付すべき法人税額に係る利子税額について適用し、この法律の施行前に旧法第二十四条の規定による修正申告書の提出により納付すべき法人税額に係る利子税額については、なお従前の例による。
15 新法第二十五条第七項、第二十六条の四第一項、第三十四条第四項、第三十五条第一項及び第七項、第三十九条並びに第四十六条の六の規定は、この法律の施行後にこれらの規定に該当する事実が生じた場合について適用し、この法律の施行の際旧法第四十六条の三第四項の規定による通知に係る事項について旧法第三十四条第四項の規定により再調査の請求をしているものについては、なお従前の例による。
16 新法第九章の規定は、この法律の施行後にした違反行為について適用し、この法律の施行前にした違反行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
17 この法律の施行の際現に存する法人でない社団又は財団で新法第七条第二項の規定の適用を受けるものは、この法律の施行の日から起算して四月以内に、事業年度その他これに準ずる期間を定めて納税地の所轄税務署長に申告しなければならない。その申告をしなかつた法人でない社団又は財団については、同条第三項の規定を適用する。
18 この法律の施行の際現に存する法人でない社団又は財団で新法第九条の七第一項又は第九条の八第一項の規定の適用を受けるものは、この法律の施行後新法第十八条の規定により最初に申告書を提出すべき期限までに、新法第九条の七第二項又は第九条の八第二項の規定に準じ、新法第九条の七第一項又は第九条の八第一項に規定する方法のうちそのよるべき方法を選定して、これを納税地の所轄税務署長に届け出なければならない。その届出をしなかつた法人でない社団又は財団については、新法第九条の七第二項後段又は第九条の八第二項後段の規定を適用する。
19 この法律の施行の際現に存する法人でない社団又は財団で昭和三十二年四月一日から同年七月三十一日までの間に開始する事業年度分の法人税について新法第二十五条第一項の規定による青色申告書を提出しようとするものは、この法律の施行の日から起算して四月以内に、同条第三項の規定による申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
20 この法律の施行の際現に存する法人でない社団又は財団で新法第一条第二項の規定により法人とみなされるものは、この法律の施行の日から起算して四月以内に、その設立の日、名称、事業目的、収益事業の種類、代表者又は管理人の氏名及び本店又は主たる事務所の所在地を納税地の所轄税務署長に申告しなければならない。この場合においては、当該法人でない社団又は財団は、その申告書に定款、寄附行為、規則又は規約の写、事業の詳細を示す書類その他命令で定める書類を添附しなければならない。
21 証券投資信託(元本の追加信託をすることができる証券投資信託を除く。)の信託期間中に分配される収益(証券投資信託の一部の解約により分配されるものを除く。)で、昭和三十二年四月一日から昭和三十三年三月三十一日までの間に支払を受けるべきものについては、新法第九条の六第一項の規定にかかわらず、同項の規定を適用した場合において新法第九条第一項の所得の計算上益金に算入しないこととなる金額の三分の二に相当する金額に限り、当該所得の計算上益金に算入しない。
22 国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)の一部を次のように改正する。
第四条ノ七の次に次の一条を加える。
第四条ノ七ノ二 法人ニ非ザル社団又ハ財団ニシテ代表者又ハ管理人ノ定アルモノ(以下社団等ト謂フ)ハ法人ト看做シテ此ノ法律ノ規定ヲ適用ス
法人社団等ノ財産ニ属スル権利義務ヲ包括シテ承継スル場合ニ於テハ当該法人ハ第四条ノ三ノ適用アル場合ヲ除クノ外社団等ニ課セラルベキ又ハ社団等ノ納付スベキ国税並社団等ノ未納ノ国税及滞納処分費ヲ納付スルノ義務ヲ有ス
前項ノ場合ニ於テ法人社団等ノ財産ニ属スル権利義務ノ一部ヲ承継シタルトキハ当該法人ハ其ノ承継ノ時ニ於テ社団等ニ課セラルベキ又ハ社団等ノ納付スベキ国税並社団等ノ未納ノ国税及滞納処分費ノ各々ニ付其ノ時ニ於ケル社団等ノ財産中当該法人ノ承継シタル財産ノ占ムル割合ヲ乗ジテ計算シタル額ノ国税及滞納処分費ヲ納付スルノ義務ヲ有ス
社団等国税ヲ滞納シタル場合ニ於テハ当該社団等ニ属スル財産ニ就キ滞納処分ヲ執行スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ社団等以外ノ者同項ノ処分ニ関シ第十四条ニ依ル請求、第三章ノ二ニ依ル再調査若ハ審査ノ請求ヲ為シ又ハ訴訟ヲ提起シタルトキハ当該請求又ハ訴訟ノ繋属スル間其ノ財産ノ公売ヲ為スコトヲ得ズ
第四条ノ四ノ適用アル場合ノ外社団等国税ヲ滞納シタル場合ニ於テ払戻又ハ分配ヲ為シタル財産(当該滞納ニ係ル国税ノ納期限ヨリ二箇年前マデニ払戻又ハ分配ヲ為シタルモノヲ除ク)アルトキハ当該社団等ニ就キ滞納処分ヲ執行スルモ仍徴収スベキ国税及滞納処分費ニ不足スト認メラルルトキニ限リ其ノ払戻又ハ分配ヲ受ケタル財産ノ価額ノ限度ニ於テ当該払戻又ハ分配ヲ受ケタル者ヲシテ其ノ滞納ニ係ル国税及滞納処分費ヲ納付セシム第四条ノ六第二項、第三項、第五項及第六項ノ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ同条第二項、第三項、第五項及第六項中同族会社トアルハ前項ニ依ル処分ヲ受ケタル者トス
第三十二条第四項中「法人ノ代表者」の下に「(社団等ニ在リテハ管理人ヲ含ム)」を加え、同条に次の一項を加える。
社団等ニ関シ前項ヲ適用スル場合ニ於テハ其ノ代表者又ハ管理人其ノ訴訟行為ニ付当該社団等ヲ代表スルノ外法人ヲ被告人又ハ被疑者トスル場合ノ刑事訴訟ニ関スル法律ノ規定ヲ準用ス
23 法人でない社団又は財団に属する財産でこの法律の施行前にその上に質権又は抵当権が設定されているものにつき改正後の国税徴収法の規定の適用がある場合においては、同法第三条の規定にかかわらず、当該質権又は抵当権を有する者がその旨を公正証書をもつて証明したときは、当該財産の価額を限度として、当該質権又は抵当権をもつて担保される債権に対しては、国税は、先取しないものとする。
24 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の一部を次のように改正する。
第八条中「組合が配当した」を「組合(法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第九条第六項の規定の適用を受けるものに限る。)が配当した」に改める。
25 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第二百六十九条第二項中「第七条第三項」を「第七条第四項」に改める。
法務大臣 中村梅吉
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 井出一太郎
内閣総理大臣 岸信介