第一條 この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な競爭方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生產、販賣、價格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競爭を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び國民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、國民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。
第二條 この法律において事業者とは、商業、工業、金融業その他の事業を営む者をいう。
この法律において競爭又は競爭者とは、潛在的な競爭又は競爭者を含むものとする。
この法律において私的独占とは、事業者が、單独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法を以てするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競爭を実質的に制限することをいう。
この法律において不当な取引制限とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義を以てするかを問わず、他の事業者と共同して相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競爭を実質的に制限することをいう。
この法律において不当な事業能力の較差とは、事業者と競爭者の事業能力の間に、著しい較差がある場合において、その事業者の優越した事業能力が、技術的理由により正当とされるものでなく、且つ、その較差が左の各号の一に掲げる事由により私的独占を行うことができる程度であるものをいう。
一 他の事業者があらたに事業を起すことを著しく困難にする程度に、事業者が、当該事業分野に属する事業又はこれに使用する原材料を支配していること
二 事業者が、一定の事業分野において、他の事業者が現実に競爭することを著しく困難にする程度に生產を支配してゐること
三 事業者が、私的独占を行うことができる程度に自由な競爭を抑圧し、又は著しく制限していること
この法律において不公正な競爭方法とは、左の各号の一に該当する競爭手段をいう。
一 他の事業者から不当に物資、資金その他の経済上の利益の供給を受けず、又は他の事業者に対し不当に物資、資金その他の経済上の利益を供給しないこと
二 不当な差別対價を以て、物資、資金その他の経済上の利益を供給すること
三 不当に低い対價を以て、物資、資金その他の経済上の利益を供給すること
四 不当に、利益又は不利益を以て、競爭者の顧客を自己と取り引きするように勧誘し、又は強制すること
五 相手方が自己の競爭者から不当に物資、資金その他の経済上の利益の供給を受けないことを條件として、当該相手方と取り引きすること
六 相手方とこれに物資、資金その他の経済上の利益を供給する者若しくは顧客との取引若しくは相手方とその競爭者との関係を不当に拘束する條件を附け、又は相手方である会社の役員(取締役、業務を執行する無限責任社員若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者、支配人又は本店若しくは支店の営業の主任者をいう。以下同じ。)の選任についてあらかじめ自己の承認を受けるべき旨の條件を附けて、当該相手方に物資、資金その他の経済上の利益を供給すること
七 前各号に掲げるものの外、公共の利益に反する競爭手段であつて、第七十一條及び第七十二條に規定する手続に從い公正取引委員会の指定するもの