工業技術廳設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年八月一日
内閣総理大臣 芦田均
法律第二百七号
工業技術廳設置法
(法律の目的)
第一條 この法律は、鉱業及び工業の科学技術に関する試驗研究等の業務を強力且つ総合的に遂行し、生産技術の向上とその成果の普及を図り、もつて経済の興隆に寄与することを目的とする。
(工業技術廳及び工業技術廳長官)
第二條 前條の目的のために、商工省の外局として、工業技術廳長官を長とする工業技術廳を設置する。
2 工業技術廳長官は、第三條に規定する事務を掌理する。
(所掌事務及び権限)
第三條 工業技術廳の所掌事務の範囲は左の通りとし、その権限の行使は、その範囲内で法律(法律に基く命令を含む。)に從つてなされなければならない。
一 鉱業及び工業に関する試驗、研究、分析、檢定、鑑定、技術調査、技術指導その他これらに附帶する業務を行うこと。
二 地質の調査その他これに附帶する業務を行うこと。
三 度量衡及び計量の標準を設定すること、度量衡の原器及び電氣の標準器を保管すること、度量衡器及び計量器の檢定に関する事務を処理すること並びに度量衡器及び計量器の檢定、比較檢査、試驗、研究、技術調査、技術指導その他これらに附帶する業務を行うこと。
四 工業標準及び工業品規格の制定及び普及に関する事務を処理すること。
五 科学技術に関して商工省の本省及び他の外局の事務を援助すること。
六 前各号に掲げるものの外、鉱業及び工業の科学技術の進歩及び改良並びにこれらに関する事業の発達、改善及び調整を図ること。
(内部部局及び機関)
第四條 工業技術廳に工業技術運営審議会、工業技術協議会及び左の二部並びに政令の定めるところにより試驗研究等を行う機関を置く。
調整部
標準部
(工業技術運営審議会)
第五條 工業技術廳長官は、左に掲げる事項については、工業技術運営審議会(以下本條中審議会という。)の議決に基いて、これを定めなければならない。但し、この議決は商工大臣をも拘束するものではない。
一 工業技術廳の運営方針の設定又は変更に関する事項
二 各年度の調査、研究、規格の制定及び技術指導に関する計画の設定又は変更に関する事項
三 工業技術廳の予算要求に関する事項
四 前各号に掲げるものの外、工業技術廳の所掌事務に関する重要事項で、商工大臣の指定するもの
2 審議会は、前項に定めるところによりその権限に属させられた事項を審議する外、廳務に関して、商工大臣又は工業技術廳長官に対し、意見を提出することができる。
3 審議会は、必要があると認めたときは、工業技術廳長官に対し、廳務に関する必要な報告又は資料の提出を要求することができる。
4 審議会は、会長及び副会長各一人並びに委員四十人以内で、これを組織する。
5 前各項に定めるものの外、審議会について必要な事項は、政令で、これを定める。
(工業技術協議会)
第六條 工業技術協議会(以下本條中協議会という。)は、左の事項に関して、工業技術廳長官の諮問に基いて、これを審議する。
一 鉱業及び工業の科学技術に関する試驗研究の遂行に関する事項
二 鉱業及び工業に関する生産技術の向上に関する事項
三 試驗研究の成果の普及に関する事項
2 協議会は、工業技術廳長官の諮問に答える外、前項各号に掲げる事項に関して、工業技術廳長官に対し、意見を提出することができる。
3 協議会は、工業技術廳長官に対し、審議に必要な報告又は資料の提出を請求することができる。
4 工業技術廳長官は、協議会の答申又は意見については、これに充分な考慮を拂わなければならない。
5 協議会は、委員二十人以内で、これを組織する。
6 委員は、商工大臣の申出により、学識経驗のある者の中から、内閣が、これを命ずる。
7 協議会に、委員の互選による、会長及び副会長各一人を置く。
8 前各項に定めるものの外、協議会の運用について必要な事項は、政令で、これを定める。
(調整部)
第七條 調整部の所掌事務は、左の通りとする。
一 所管行政に関する企画及び調査一般並びに総合調整に関する事項
二 試驗研究等の成果の普及及びこれに基く技術指導の総括に関する事項
三 度量衡及び計量に関する標準の設定及び檢定の総括に関する事項
四 人事会計その他庶務に関する事項
五 その他、他部及び他の機関の所掌に属しない事項
(標準部)
第八條 標準部においては、工業標準及び工業品規格の制定及び普及に関する事務を掌る。
(報告の公表)
第九條 工業技術廳長官は、毎年少くとも一回、試驗研究等を行う機関の試驗研究等の状況及びその成果について、できるだけ詳細な報告を公表しなければならない。
(職員及び組織の細目)
第十條 工業技術廳の職員について必要な事項は、政令で、これを定める。
2 工業技術廳の組織の細目については、商工大臣が、これを定める。
附 則
第十一條 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第十二條 商工省官制(昭和二十年勅令第四百八十六号)の一部を次のように改正する。
第一條中「度量衡及計量並ニアルコールノ專賣ニ関スル事務」の下に「(度量衡及計量ニ関スル標準及檢定ニ関スル事務ヲ除ク)」を、第五條中「度量衡及計量ニ関スル事務」の下に「(度量衡及計量ニ関スル標準及檢定ニ関スル事務ヲ除ク)」を加える。
第十條及第十一條 削除
第十三條 特許標準局官制(昭和二十年勅令第五百十八号)の一部を次のように改正する。
「特許標準局官制」を「特許局官制」に、「特許標準局」を「特許局」に改める。
第一條中「意匠、商標、工業標準化及工業品ノ規格統一」を「意匠及商標」に改める。
第三條中「五部」を「四部」に改める。
第十一條中「並ニ工業標準化及工業品ノ規格統一ニ関スル資料」を削る。
第十四條 左に掲げる規定中「特許標準局長官」を「特許局長官」に改める。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第百條第二項及び第三項
昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く連合國人の特許発明等の実施状況調査に関する勅令(昭和二十二年勅令第三十六号)第一條
第十五條 電氣試驗所官制(大正七年勅令第二百十九号)の一部を次のように改正する。
「電氣試驗所官制」を「電氣通信研究所官制」に、「電氣試驗所」を「電氣通信研究所」に改める。
第一條中「電氣ノ」を「電氣通信ノ」に改める。
商工大臣 水谷長三郎
内閣総理大臣 芦田均
工業技術庁設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年八月一日
内閣総理大臣 芦田均
法律第二百七号
工業技術庁設置法
(法律の目的)
第一条 この法律は、鉱業及び工業の科学技術に関する試験研究等の業務を強力且つ総合的に遂行し、生産技術の向上とその成果の普及を図り、もつて経済の興隆に寄与することを目的とする。
(工業技術庁及び工業技術庁長官)
第二条 前条の目的のために、商工省の外局として、工業技術庁長官を長とする工業技術庁を設置する。
2 工業技術庁長官は、第三条に規定する事務を掌理する。
(所掌事務及び権限)
第三条 工業技術庁の所掌事務の範囲は左の通りとし、その権限の行使は、その範囲内で法律(法律に基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 鉱業及び工業に関する試験、研究、分析、検定、鑑定、技術調査、技術指導その他これらに附帯する業務を行うこと。
二 地質の調査その他これに附帯する業務を行うこと。
三 度量衡及び計量の標準を設定すること、度量衡の原器及び電気の標準器を保管すること、度量衡器及び計量器の検定に関する事務を処理すること並びに度量衡器及び計量器の検定、比較検査、試験、研究、技術調査、技術指導その他これらに附帯する業務を行うこと。
四 工業標準及び工業品規格の制定及び普及に関する事務を処理すること。
五 科学技術に関して商工省の本省及び他の外局の事務を援助すること。
六 前各号に掲げるものの外、鉱業及び工業の科学技術の進歩及び改良並びにこれらに関する事業の発達、改善及び調整を図ること。
(内部部局及び機関)
第四条 工業技術庁に工業技術運営審議会、工業技術協議会及び左の二部並びに政令の定めるところにより試験研究等を行う機関を置く。
調整部
標準部
(工業技術運営審議会)
第五条 工業技術庁長官は、左に掲げる事項については、工業技術運営審議会(以下本条中審議会という。)の議決に基いて、これを定めなければならない。但し、この議決は商工大臣をも拘束するものではない。
一 工業技術庁の運営方針の設定又は変更に関する事項
二 各年度の調査、研究、規格の制定及び技術指導に関する計画の設定又は変更に関する事項
三 工業技術庁の予算要求に関する事項
四 前各号に掲げるものの外、工業技術庁の所掌事務に関する重要事項で、商工大臣の指定するもの
2 審議会は、前項に定めるところによりその権限に属させられた事項を審議する外、庁務に関して、商工大臣又は工業技術庁長官に対し、意見を提出することができる。
3 審議会は、必要があると認めたときは、工業技術庁長官に対し、庁務に関する必要な報告又は資料の提出を要求することができる。
4 審議会は、会長及び副会長各一人並びに委員四十人以内で、これを組織する。
5 前各項に定めるものの外、審議会について必要な事項は、政令で、これを定める。
(工業技術協議会)
第六条 工業技術協議会(以下本条中協議会という。)は、左の事項に関して、工業技術庁長官の諮問に基いて、これを審議する。
一 鉱業及び工業の科学技術に関する試験研究の遂行に関する事項
二 鉱業及び工業に関する生産技術の向上に関する事項
三 試験研究の成果の普及に関する事項
2 協議会は、工業技術庁長官の諮問に答える外、前項各号に掲げる事項に関して、工業技術庁長官に対し、意見を提出することができる。
3 協議会は、工業技術庁長官に対し、審議に必要な報告又は資料の提出を請求することができる。
4 工業技術庁長官は、協議会の答申又は意見については、これに充分な考慮を払わなければならない。
5 協議会は、委員二十人以内で、これを組織する。
6 委員は、商工大臣の申出により、学識経験のある者の中から、内閣が、これを命ずる。
7 協議会に、委員の互選による、会長及び副会長各一人を置く。
8 前各項に定めるものの外、協議会の運用について必要な事項は、政令で、これを定める。
(調整部)
第七条 調整部の所掌事務は、左の通りとする。
一 所管行政に関する企画及び調査一般並びに総合調整に関する事項
二 試験研究等の成果の普及及びこれに基く技術指導の総括に関する事項
三 度量衡及び計量に関する標準の設定及び検定の総括に関する事項
四 人事会計その他庶務に関する事項
五 その他、他部及び他の機関の所掌に属しない事項
(標準部)
第八条 標準部においては、工業標準及び工業品規格の制定及び普及に関する事務を掌る。
(報告の公表)
第九条 工業技術庁長官は、毎年少くとも一回、試験研究等を行う機関の試験研究等の状況及びその成果について、できるだけ詳細な報告を公表しなければならない。
(職員及び組織の細目)
第十条 工業技術庁の職員について必要な事項は、政令で、これを定める。
2 工業技術庁の組織の細目については、商工大臣が、これを定める。
附 則
第十一条 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第十二条 商工省官制(昭和二十年勅令第四百八十六号)の一部を次のように改正する。
第一条中「度量衡及計量並ニアルコールノ専売ニ関スル事務」の下に「(度量衡及計量ニ関スル標準及検定ニ関スル事務ヲ除ク)」を、第五条中「度量衡及計量ニ関スル事務」の下に「(度量衡及計量ニ関スル標準及検定ニ関スル事務ヲ除ク)」を加える。
第十条及第十一条 削除
第十三条 特許標準局官制(昭和二十年勅令第五百十八号)の一部を次のように改正する。
「特許標準局官制」を「特許局官制」に、「特許標準局」を「特許局」に改める。
第一条中「意匠、商標、工業標準化及工業品ノ規格統一」を「意匠及商標」に改める。
第三条中「五部」を「四部」に改める。
第十一条中「並ニ工業標準化及工業品ノ規格統一ニ関スル資料」を削る。
第十四条 左に掲げる規定中「特許標準局長官」を「特許局長官」に改める。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第百条第二項及び第三項
昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く連合国人の特許発明等の実施状況調査に関する勅令(昭和二十二年勅令第三十六号)第一条
第十五条 電気試験所官制(大正七年勅令第二百十九号)の一部を次のように改正する。
「電気試験所官制」を「電気通信研究所官制」に、「電気試験所」を「電気通信研究所」に改める。
第一条中「電気ノ」を「電気通信ノ」に改める。
商工大臣 水谷長三郎
内閣総理大臣 芦田均