(法律の目的)
第一條 この法律は、鉱業及び工業の科学技術に関する試驗研究等の業務を強力且つ総合的に遂行し、生産技術の向上とその成果の普及を図り、もつて経済の興隆に寄与することを目的とする。
(工業技術廳及び工業技術廳長官)
第二條 前條の目的のために、商工省の外局として、工業技術廳長官を長とする工業技術廳を設置する。
2 工業技術廳長官は、第三條に規定する事務を掌理する。
(所掌事務及び権限)
第三條 工業技術廳の所掌事務の範囲は左の通りとし、その権限の行使は、その範囲内で法律(法律に基く命令を含む。)に從つてなされなければならない。
一 鉱業及び工業に関する試驗、研究、分析、檢定、鑑定、技術調査、技術指導その他これらに附帶する業務を行うこと。
二 地質の調査その他これに附帶する業務を行うこと。
三 度量衡及び計量の標準を設定すること、度量衡の原器及び電氣の標準器を保管すること、度量衡器及び計量器の檢定に関する事務を処理すること並びに度量衡器及び計量器の檢定、比較檢査、試驗、研究、技術調査、技術指導その他これらに附帶する業務を行うこと。
四 工業標準及び工業品規格の制定及び普及に関する事務を処理すること。
五 科学技術に関して商工省の本省及び他の外局の事務を援助すること。
六 前各号に掲げるものの外、鉱業及び工業の科学技術の進歩及び改良並びにこれらに関する事業の発達、改善及び調整を図ること。
(内部部局及び機関)
第四條 工業技術廳に工業技術運営審議会、工業技術協議会及び左の二部並びに政令の定めるところにより試驗研究等を行う機関を置く。
(工業技術運営審議会)
第五條 工業技術廳長官は、左に掲げる事項については、工業技術運営審議会(以下本條中審議会という。)の議決に基いて、これを定めなければならない。但し、この議決は商工大臣をも拘束するものではない。
一 工業技術廳の運営方針の設定又は変更に関する事項
二 各年度の調査、研究、規格の制定及び技術指導に関する計画の設定又は変更に関する事項
四 前各号に掲げるものの外、工業技術廳の所掌事務に関する重要事項で、商工大臣の指定するもの
2 審議会は、前項に定めるところによりその権限に属させられた事項を審議する外、廳務に関して、商工大臣又は工業技術廳長官に対し、意見を提出することができる。
3 審議会は、必要があると認めたときは、工業技術廳長官に対し、廳務に関する必要な報告又は資料の提出を要求することができる。
4 審議会は、会長及び副会長各一人並びに委員四十人以内で、これを組織する。
5 前各項に定めるものの外、審議会について必要な事項は、政令で、これを定める。
(工業技術協議会)
第六條 工業技術協議会(以下本條中協議会という。)は、左の事項に関して、工業技術廳長官の諮問に基いて、これを審議する。
一 鉱業及び工業の科学技術に関する試驗研究の遂行に関する事項
二 鉱業及び工業に関する生産技術の向上に関する事項
2 協議会は、工業技術廳長官の諮問に答える外、前項各号に掲げる事項に関して、工業技術廳長官に対し、意見を提出することができる。
3 協議会は、工業技術廳長官に対し、審議に必要な報告又は資料の提出を請求することができる。
4 工業技術廳長官は、協議会の答申又は意見については、これに充分な考慮を拂わなければならない。
6 委員は、商工大臣の申出により、学識経驗のある者の中から、内閣が、これを命ずる。
7 協議会に、委員の互選による、会長及び副会長各一人を置く。
8 前各項に定めるものの外、協議会の運用について必要な事項は、政令で、これを定める。
(標準部)
第八條 標準部においては、工業標準及び工業品規格の制定及び普及に関する事務を掌る。
(報告の公表)
第九條 工業技術廳長官は、毎年少くとも一回、試驗研究等を行う機関の試驗研究等の状況及びその成果について、できるだけ詳細な報告を公表しなければならない。
(職員及び組織の細目)
第十條 工業技術廳の職員について必要な事項は、政令で、これを定める。
2 工業技術廳の組織の細目については、商工大臣が、これを定める。