(市街化区域及び市街化調整区域)
第七条 都市計画には、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、都市計画区域を区分して、市街化区域及び市街化調整区域を定めるものとする。
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
4 市街化区域及び市街化調整区域については、その区分及び各区域の整備、開発又は保全の方針を都市計画に定めるものとする。
(地域地区)
第八条 都市計画には、当該都市計画区域について、次の各号に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。
一 住居地域、商業地域、準工業地域又は工業地域(以下「用途地域」と総称する。)
三 特別工業地区、文教地区その他政令で定める特別用途地区
八 駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第三条第一項の規定による駐車場整備地区
十 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和四十一年法律第一号)第六条第一項の規定による歴史的風土特別保存地区
十一 首都圏近郊緑地保全法(昭和四十一年法律第百一号)第五条第一項の規定による近郊緑地特別保全地区又は近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和四十二年法律第百三号)第六条第一項の規定による近郊緑地特別保全地区
十二 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四十一年法律第百十号)第四条第一項の規定による流通業務地区
2 地域地区については、次に掲げる事項を都市計画に定めるものとする。
一 地域地区の種類(空地地区にあつては建築基準法別表第四(い)欄の、容積地区にあつては同法別表第五(い)欄の種別)、位置及び区域
二 次に掲げる地域地区については、それぞれ次に定める事項
ロ 特定街区 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限
第九条 住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域とする。
2 商業地域は、主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域とする。
3 準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域とする。
4 工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とする。
5 住居専用地区は、住居地域内において特に良好な住居の環境を保護するため定める地区とする。
6 工業専用地区は、工業地域内において特に工業の利便を増進するため定める地区とする。
7 特別用途地区は、用途地域内において特別の目的からする土地利用の増進、環境の保護等を図るため定める地区とする。
8 空地地区は、住居地域内において住居の良好な環境を保護するため、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合又は建築物の建築面積の敷地面積に対する割合を定める地区とする。
9 高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。
10 容積地区は、用途地域内において良好な都市空間を確保するため、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合を定める地区とする。
11 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行なわれる地区について、その街区内における建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。
12 防火地域又は準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。
13 美観地区は、市街地の美観を維持するため定める地区とする。
14 風致地区は、都市の風致を維持するため定める地区とする。
15 臨港地区は、港湾を管理運営するため定める地区とする。
第十条 地域地区内における建築物その他の工作物に関する制限については、この法律に特に定めるもののほか、別に法律で定める。
(都市施設)
第十一条 都市計画には、当該都市計画区域における次の各号に掲げる施設で必要なものを定めるものとする。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。
一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
三 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
八 一団地の住宅施設(一ヘクタール以上の一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
九 一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
2 都市施設については、都市施設の種類、名称、位置及び区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする。
3 流通業務団地について都市計画に定めるべき事項は、前項に定めるもののほか、別に法律で定める。
(市街地開発事業)
第十二条 都市計画には、当該都市計画区域における次の各号に掲げる事業で必要なものを定めるものとする。
一 土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業
二 新住宅市街地開発法(昭和三十八年法律第百三十四号)による新住宅市街地開発事業
三 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和三十三年法律第九十八号)による工業団地造成事業又は近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)による工業団地造成事業
四 都市再開発法(昭和▲▲▲年法律第▲▲▲号)による市街地再開発事業
2 市街地開発事業については、市街地開発事業の種類、名称及び施行区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする。
3 土地区画整理事業については、前項に定めるもののほか、公共施設の配置及び宅地の整備に関する事項を都市計画に定めるものとする。
9 土地区画整理事業以外の市街地開発事業について都市計画に定めるべき事項は、第二項に定めるもののほか、別に法律で定める。
(都市計画基準)
第十三条 都市計画は、全国総合開発計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、地方総合開発計画、都府県総合開発計画その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次の各号に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。この場合において、当該都市について公害防止計画が定められているときは、都市計画は、当該公害防止計画に適合したものでなければならない。
一 市街化区域と市街化調整区域との区分は、当該都市の発展の動向、当該都市計画区域における人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、産業活動の利便と居住環境の保全との調和を図りつつ、国土の合理的利用を確保し、効率的な公共投資を行なうことができるように定めること。
二 地域地区は、土地の自然的条件及び土地利用の動向を勘案して、住居、商業、工業その他の用途を適正に配分することにより、都市機能を維持増進し、かつ、住居の環境を保護し、商業、工業等の利便を増進し、美観風致を維持し、公害を防止する等適正な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。
三 都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする。
四 市街地開発事業は、市街化区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めること。
五 前各号の基準を適用するについては、第六条第一項の規定による都市計画に関する基礎調査の結果に基づき、かつ、政府が法律に基づき行なう人口、産業、住宅、建築、交通、工場立地その他の調査の結果について配慮すること。
2 都市計画は、当該都市の住民が建康で文化的な都市生活を享受することができるように、住宅の建設及び居住環境の整備に関する計画を定めなければならない。
3 第八条第一項第八号及び第十号から第十二号までに掲げる地域地区、流通業務団地並びに市街開発事業に関する都市計画の策定に関し必要な基準は、前二項に定めるもののほか、別に法律で定める。
4 都市計画の策定に関し必要な技術的基準は、政令で定める。
(都市計画の図書)
第十四条 都市計画は、建設省令で定めるところにより、総括図、計画図及び計画書によつて表示するものとする。
2 計画図及び計画書における市街化区域の区域、地域地区の区域、都市計画施設の区域及び市街地開発事業の施行区域の表示は、土地に関し権利を有する者が自己の権利に係る土地がこれらの区域に含まれるかどうかを容易に判断することができるものでなければならない。