都市計画法
法令番号: 法律第百号
公布年月日: 昭和43年6月15日
法令の形式: 法律
都市計画法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十三年六月十五日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百号
都市計画法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
都市計画
第一節
都市計画の内容(第七条―第十四条)
第二節
都市計画の決定及び変更(第十五条―第二十八条)
第三章
都市計画制限
第一節
開発行為等の規制(第二十九条―第五十二条)
第二節
都市計画施設等の区域内における建築の規制(第五十三条―第五十七条)
第三節
風致地区内における建築等の規制(第五十八条)
第四章
都市計画事業
第一節
都市計画事業の認可等(第五十九条―第六十四条)
第二節
都市計画事業の施行(第六十五条―第七十五条)
第五章
都市計画中央審議会等(第七十六条―第七十八条)
第六章
雑則(第七十九条―第八十八条)
第七章
罰則(第八十九条―第九十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(都市計画の基本理念)
第二条 都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。
(国、地方公共団体及び住民の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない。
2 都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し、良好な都市環境の形成に努めなければならない。
(定義)
第四条 この法律において「都市計画」とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画で、次章の規定に従い定められたものをいう。
2 この法律において「都市計画区域」とは、次条の規定により指定された区域をいう。
3 この法律において「地域地区」とは、第八条第一項各号に掲げる地域、地区又は街区をいう。
4 この法律において「都市施設」とは、都市計画において定められるべき第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。
5 この法律において「都市計画施設」とは、都市計画において定められた第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。
6 この法律において「市街地開発事業」とは、第十二条第一項各号に掲げる事業をいう。
7 この法律において「建築物」とは建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に定める建築物を、「建築」とは同条第十三号に定める建築をいう。
8 この法律において「開発行為」とは、主として建築物の建築の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。
9 この法律において「開発区域」とは、開発行為をする土地の区域をいう。
10 この法律において「公共施設」とは、道路、公園その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。
11 この法律において「都市計画事業」とは、この法律で定めるところにより第五十九条の規定による認可又は承認を受けて行なわれる都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業をいう。
12 この法律において「施行者」とは、都市計画事業を施行する者をいう。
(都市計画区域)
第五条 都道府県知事は、市又は人口、就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他建設省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。この場合において、必要があるときは、当該市町村の区域外にわたり、都市計画区域を指定することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定によるもののほか、首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)による都市開発区域、近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号)による都市開発区域、中部圏開発整備法(昭和四十一年法律第百二号)による都市開発区域その他新たに住居都市、工業都市その他の都市として開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。
3 都道府県知事は、前二項の規定により都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都市計画地方審議会の意見をきくとともに、建設省令で定めるところにより、建設大臣の認可を受けなければならない。
4 二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、建設大臣が、あらかじめ、関係都府県知事の意見をきいて指定するものとする。この場合において、関係都府県知事が意見を述べようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都市計画地方審議会の意見をきかなければならない。
5 都市計画区域の指定は、建設省令で定めるところにより、公告することによつて行なう。
6 前各項の規定は、都市計画区域の変更又は廃止について準用する。
(都市計画に関する基礎調査)
第六条 都道府県知事は、都市計画区域について、おおむね五年ごとに、建設省令で定めるところにより、人口規模、産業分類別の就業人口の規模、市街地の面積、土地利用、交通量その他建設省令で定める事項に関する現況及び将来の見通しについての調査を行なうものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定による基礎調査の結果を、建設省令で定めるところにより、建設大臣に報告するとともに、関係市町村長に通知しなければならない。
第二章 都市計画
第一節 都市計画の内容
(市街化区域及び市街化調整区域)
第七条 都市計画には、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、都市計画区域を区分して、市街化区域及び市街化調整区域を定めるものとする。
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
4 市街化区域及び市街化調整区域については、その区分及び各区域の整備、開発又は保全の方針を都市計画に定めるものとする。
(地域地区)
第八条 都市計画には、当該都市計画区域について、次の各号に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。
一 住居地域、商業地域、準工業地域又は工業地域(以下「用途地域」と総称する。)
二 住居専用地区又は工業専用地区
三 特別工業地区、文教地区その他政令で定める特別用途地区
四 空地地区、高度地区、容積地区又は特定街区
五 防火地域又は準防火地域
六 美観地区
七 風致地区
八 駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第三条第一項の規定による駐車場整備地区
九 臨港地区
十 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和四十一年法律第一号)第六条第一項の規定による歴史的風土特別保存地区
十一 首都圏近郊緑地保全法(昭和四十一年法律第百一号)第五条第一項の規定による近郊緑地特別保全地区又は近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和四十二年法律第百三号)第六条第一項の規定による近郊緑地特別保全地区
十二 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四十一年法律第百十号)第四条第一項の規定による流通業務地区
2 地域地区については、次に掲げる事項を都市計画に定めるものとする。
一 地域地区の種類(空地地区にあつては建築基準法別表第四(い)欄の、容積地区にあつては同法別表第五(い)欄の種別)、位置及び区域
二 次に掲げる地域地区については、それぞれ次に定める事項
イ 高度地区 建築物の高さの最高限度又は最低限度
ロ 特定街区 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限
三 その他政令で定める事項
第九条 住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域とする。
2 商業地域は、主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域とする。
3 準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域とする。
4 工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とする。
5 住居専用地区は、住居地域内において特に良好な住居の環境を保護するため定める地区とする。
6 工業専用地区は、工業地域内において特に工業の利便を増進するため定める地区とする。
7 特別用途地区は、用途地域内において特別の目的からする土地利用の増進、環境の保護等を図るため定める地区とする。
8 空地地区は、住居地域内において住居の良好な環境を保護するため、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合又は建築物の建築面積の敷地面積に対する割合を定める地区とする。
9 高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。
10 容積地区は、用途地域内において良好な都市空間を確保するため、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合を定める地区とする。
11 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行なわれる地区について、その街区内における建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。
12 防火地域又は準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。
13 美観地区は、市街地の美観を維持するため定める地区とする。
14 風致地区は、都市の風致を維持するため定める地区とする。
15 臨港地区は、港湾を管理運営するため定める地区とする。
第十条 地域地区内における建築物その他の工作物に関する制限については、この法律に特に定めるもののほか、別に法律で定める。
(都市施設)
第十一条 都市計画には、当該都市計画区域における次の各号に掲げる施設で必要なものを定めるものとする。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。
一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
二 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
三 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
四 河川、運河その他の水路
五 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
六 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
七 市場、と畜場又は火葬場
八 一団地の住宅施設(一ヘクタール以上の一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
九 一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
十 流通業務団地
十一 その他政令で定める施設
2 都市施設については、都市施設の種類、名称、位置及び区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする。
3 流通業務団地について都市計画に定めるべき事項は、前項に定めるもののほか、別に法律で定める。
(市街地開発事業)
第十二条 都市計画には、当該都市計画区域における次の各号に掲げる事業で必要なものを定めるものとする。
一 土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業
二 新住宅市街地開発法(昭和三十八年法律第百三十四号)による新住宅市街地開発事業
三 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和三十三年法律第九十八号)による工業団地造成事業又は近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)による工業団地造成事業
四 都市再開発法(昭和▲▲▲年法律第▲▲▲号)による市街地再開発事業
2 市街地開発事業については、市街地開発事業の種類、名称及び施行区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする。
3 土地区画整理事業については、前項に定めるもののほか、公共施設の配置及び宅地の整備に関する事項を都市計画に定めるものとする。
9 土地区画整理事業以外の市街地開発事業について都市計画に定めるべき事項は、第二項に定めるもののほか、別に法律で定める。
(都市計画基準)
第十三条 都市計画は、全国総合開発計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、地方総合開発計画、都府県総合開発計画その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次の各号に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。この場合において、当該都市について公害防止計画が定められているときは、都市計画は、当該公害防止計画に適合したものでなければならない。
一 市街化区域と市街化調整区域との区分は、当該都市の発展の動向、当該都市計画区域における人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、産業活動の利便と居住環境の保全との調和を図りつつ、国土の合理的利用を確保し、効率的な公共投資を行なうことができるように定めること。
二 地域地区は、土地の自然的条件及び土地利用の動向を勘案して、住居、商業、工業その他の用途を適正に配分することにより、都市機能を維持増進し、かつ、住居の環境を保護し、商業、工業等の利便を増進し、美観風致を維持し、公害を防止する等適正な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。
三 都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする。
四 市街地開発事業は、市街化区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めること。
五 前各号の基準を適用するについては、第六条第一項の規定による都市計画に関する基礎調査の結果に基づき、かつ、政府が法律に基づき行なう人口、産業、住宅、建築、交通、工場立地その他の調査の結果について配慮すること。
2 都市計画は、当該都市の住民が建康で文化的な都市生活を享受することができるように、住宅の建設及び居住環境の整備に関する計画を定めなければならない。
3 第八条第一項第八号及び第十号から第十二号までに掲げる地域地区、流通業務団地並びに市街開発事業に関する都市計画の策定に関し必要な基準は、前二項に定めるもののほか、別に法律で定める。
4 都市計画の策定に関し必要な技術的基準は、政令で定める。
(都市計画の図書)
第十四条 都市計画は、建設省令で定めるところにより、総括図、計画図及び計画書によつて表示するものとする。
2 計画図及び計画書における市街化区域の区域、地域地区の区域、都市計画施設の区域及び市街地開発事業の施行区域の表示は、土地に関し権利を有する者が自己の権利に係る土地がこれらの区域に含まれるかどうかを容易に判断することができるものでなければならない。
第二節 都市計画の決定及び変更
(都市計画を定める者)
第十五条 次の各号に掲げる都市計画は都道府県知事が、その他の都市計画は市町村が定める。
一 市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画
二 第八条第一項第九号から第十二号までに掲げる地域地区に関する都市計画
三 一の市町村の区域をこえる広域の見地から決定すべき地域地区若しくは都市施設として政令で定めるもの又は根幹的都市施設として政令で定めるものに関する都市計画
四 市街地開発事業(政令で定める小規模な土地区画整理事業を除く。)に関する都市計画
2 市町村の合併その他の理由により、前項第三号に該当する都市計画が同号に該当しないこととなつたとき、又は同号に該当しない都市計画が同号に該当することとなつたときは、当該都市計画は、それぞれ市町村又は都道府県知事が決定したものとみなす。
3 市町村が定める都市計画は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即し、かつ、都道府県知事が定めた都市計画に適合したものでなければならない。
4 市町村が定めた都市計画が、都道府県知事が定めた都市計画と抵触するときは、その限りにおいて、都道府県知事が定めた都市計画が優先するものとする。
(公聴会の開催等)
第十六条 都道府県知事又は市町村は、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
(都市計画の案の縦覧等)
第十七条 都道府県知事又は市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、建設省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該都市計画の案を、当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
2 前項の規定による公告があつたときは、関係市町村の住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された都市計画の案について、都道府県知事の作成に係るものにあつては都道府県知事に、市町村の作成に係るものにあつては市町村に、意見書を提出することができる。
3 特定街区に関する都市計画の案については、政令で定める利害関係を有する者の同意を得なければならない。
(都道府県知事の都市計画の決定)
第十八条 都道府県知事は、関係市町村の意見をきき、かつ、都市計画地方審議会の議を経て、都市計画を決定するものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定により都市計画の案を都市計画地方審議会に付議しようとするときは、前条第二項の規定により提出された意見書の要旨を都市計画地方審議会に提出しなければならない。
3 都道府県知事は、大都市及びその周辺の都市に係る都市計画区域その他の政令で定める都市計画区域に係る都市計画(政令で定める軽易なものを除く。)又は国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画の決定をしようとするときは、あらかじめ、建設省令で定めるところにより、建設大臣の認可を受けなければならない。
(市町村の都市計画の決定)
第十九条 市町村は、都道府県知事の承認を受けて、都市計画を決定するものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、都市計画地方審議会の議を経なければならない。
(都市計画の告示等)
第二十条 都道府県知事又は市町村は、都市計画を決定したときは、その旨を告示し、かつ、都道府県知事にあつては建設大臣及び関係市町村長に、市町村にあつては建設大臣及び都道府県知事に、第十四条第一項に規定する図書の写しを送付しなければならない。
2 都道府県知事及び市町村長は、建設省令で定めるところにより、前項の図書又はその写しを当該都道府県又は市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。
3 都市計画は、第一項の規定による告示があつた日から、その効力を生ずる。
(都市計画の変更)
第二十一条 都道府県知事又は市町村は、都市計画区域が変更されたとき、第六条第一項の規定による都市計画に関する基礎調査又は第十三条第一項第五号に規定する政府が行なう調査の結果都市計画を変更する必要が明らかとなつたとき、その他都市計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく、当該都市計画を変更しなければならない。
2 第十七条から前条までの規定は、都市計画の変更について準用する。ただし、第十七条並びに第十八条第二項及び第三項の規定については、政令で定める軽易な変更をしようとする場合を除く。
(建設大臣の定める都市計画)
第二十二条 二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域に係る都市計画は、建設大臣及び市町村が定めるものとする。この場合においては、第十五条、第十七条第一項及び第二項、第十八条第一項及び第二項、第十九条並びに前条第一項中「都道府県知事」とあるのは「建設大臣」と、第二十条第一項中「都道府県知事又は」とあるのは「建設大臣又は」と、「都道府県知事にあつては建設大臣」とあるのは「建設大臣にあつては関係都府県知事」と、同条第二項中「前項の図書又はその」とあるのは「前項の図書の」とする。
2 建設大臣は、都府県知事が作成する案に基づいて都市計画を定めるものとする。
3 都府県の合併その他の理由により、二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域が一の都府県の区域内の区域となり、又は一の都府県の区域内の都市計画区域が二以上の都府県の区域にわたることとなつた場合における必要な経過措置については、政令で定める。
(他の行政機関等との調整等)
第二十三条 建設大臣が市街化区域に関する都市計画を定め、若しくは認可しようとするとき、又は都道府県知事が市街化区域に関する都市計画を定めようとするとき(建設大臣の認可を要するときを除く。)は、建設大臣又は都道府県知事は、あらかじめ、農林大臣に協議しなければならない。
2 建設大臣は、市街化区域に関する都市計画を定め、又は認可しようとするときは、あらかじめ、通商産業大臣及び運輸大臣の意見をきかなければならない。
3 厚生大臣は、必要があると認めるときは、市街化区域に関する都市計画及び用途地域に関する都市計画に関し、建設大臣に意見を述べることができる。
4 臨港地区に関する都市計画は、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第一項の港湾管理者が申し出た案に基づいて定めるものとする。
5 建設大臣は、都市施設に関する都市計画を定め、又は認可しようとするときは、あらかじめ、当該都市施設の設置又は経営について、免許、許可、認可等の処分をする権限を有する国の行政機関の長に協議しなければならない。
6 建設大臣、都道府県知事又は市町村は、都市施設に関する都市計画を定めようとするときは、あらかじめ、当該都市施設を管理することとなる者その他政令で定める者に協議しなければならない。
(建設大臣の指示等)
第二十四条 建設大臣は、国の利害に重大な関係がある事項に関し、必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、又は都道府県知事を通じて市町村に対し、期限を定めて、都市計画区域の指定又は都市計画の決定若しくは変更のため必要な措置をとるべきことを指示することができる。この場合においては、都道府県知事又は市町村は、正当な理由がない限り、当該指示に従わなければならない。
2 国の行政機関の長は、その所管に係る事項で国の利害に重大な関係があるものに関し、前項の指示をすべきことを建設大臣に対し要請することができる。
3 前条第一項及び第二項の規定は、市街化区域に関する都市計画に関し第一項の指示をする場合に、同条第五項の規定は、都市施設に関する都市計画に関し第一項の指示をする場合に準用する。
4 建設大臣は、都道府県知事又は市町村が所定の期限までに正当な理由がなく第一項の規定により指示された措置をとらないときは、正当な理由がないことについて都市計画中央審議会の確認を得たうえで、みずから当該措置をとることができるものとする。ただし、市町村がとるべき措置については、建設大臣がみずから行なう必要があると認める場合を除き、都道府県知事に行なわせるものとする。
5 都道府県知事は、必要があると認めるときは、市町村に対し、期限を定めて、都市計画の決定又は変更のため必要な措置をとるべきことを求めることができる。
6 都道府県知事は、都市計画の決定又は変更のため必要があるときは、みずから、又は市町村の要請に基づいて、国の関係行政機関の長に対して、都市計画区域に係る第十三条第一項に規定する国土計画若しくは地方計画又は施設に関する国の計画の策定又は変更について申し出ることができる。
7 国の行政機関の長は、前項の申出があつたときは、当該申出に係る事項について決定し、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。
(調査のための立入り等)
第二十五条 建設大臣、都道府県知事又は市町村は、都市計画の決定又は変更のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、みずから立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により、建築物が所在し、又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとするときは、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前又は日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(障害物の伐除及び土地の試掘等)
第二十六条 前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう者は、その測量又は調査を行なうにあたり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行なおうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行なうことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都道府県知事が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行なおうとする日の三日前までに、その旨を当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、建設大臣、都道府県知事若しくは市町村又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、ただちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
(証明書等の携帯)
第二十七条 第二十五条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。
2 前条第一項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、その身分を示す証明書及び市町村長又は都道府県知事の許可書を携帯しなければならない。
3 前二項に規定する証明書又は許可証は、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
(土地の立入り等に伴う損失の補償)
第二十八条 建設大臣、都道府県知事又は市町村は、第二十五条第一項又は第二十六条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しないときは、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
第三章 都市計画制限
第一節 開発行為等の規制
(開発行為の許可)
第二十九条 市街化区域又は市街化調整区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りではない。
一 市街化区域内において行なう開発行為で、その規模が政令で定める規模未満であるもの
二 市街化調整区域内において行なう開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行なうもの
三 駅舎その他の鉄道の施設、社会福祉施設、医療施設、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による学校(大学及び各種学校を除く。)、公民館、変電所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
四 国、都道府県、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下単に「指定都市」という。)、都道府県若しくは指定都市がその組織に加わつている一部事務組合若しくは港務局又は都道府県若しくは指定都市が設置団体である地方開発事業団が行なう開発行為
五 都市計画事業の施行として行なう開発行為
六 土地区画整理事業の施行として行なう開発行為
七 公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条の免許を受けた埋立地であつて、まだ同法第二十二条の竣功認可を受けていないものにおいて行なう開発行為
八 非常災害のため必要な応急措置として行なう開発行為
九 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
(許可申請の手続)
第三十条 前条の許可(以下「開発許可」という。)を受けようとする者は、建設省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
一 開発区域(開発区域を工区に分けたときは、開発区域及び工区)の位置、区域及び規模
二 開発区域内において予定される建築物(以下「予定建築物」という。)の用途
三 開発行為に関する設計(以下「設計」という。)
四 工事施行者(開発行為に関する工事の請負人又は請負契約によらないでみずからその工事を施行する者をいう。以下同じ。)
五 その他建設省令で定める事項
2 前項の申請書には、第三十二条に規定する同意を得たことを証する書面、同条に規定する協議の経過を示す書面その他建設省令で定める図書を添附しなければならない。
(設計者の資格)
第三十一条 前条の場合において、設計に係る設計図書(開発行為に関する工事のうち建設省令で定めるものを実施するため必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう。)は、建設省令で定める資格を有する者の作成したものでなければならない。
(公共施設の管理者の同意等)
第三十二条 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者の同意を得、かつ、当該開発行為又は当該開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない。
(開発許可の基準)
第三十三条 都道府県知事は、開発許可の申請があつた場合において、当該申請に係る開発行為が次の各号(主として、自己の居住の用に供する住宅又は住宅以外の建築物で自己の業務の用に供するものの建築の用に供する目的で行なう開発行為にあつては、第一号、第三号、第六号、第八号及び第十一号)に規定する基準に適合しており、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならない。
一 当該申請に係る開発区域内の土地について、用途地域、流通業務地区又は港湾法第三十九条第一項の分区(以下「用途地域等」という。)が定められているときは、予定建築物の用途がこれに適合していること。
二 道路、公園、広場その他の公共の用に供する空地(消防に必要な水利が十分でない場合に設置する消防の用に供する貯水施設を含む。)が、次に掲げる事項を勘案して、環境の保全上、災害の防止上、通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置され、かつ、開発区域内の主要な道路が、開発区域外の相当規模の道路に接続するように設計が定められていること。この場合において、当該空地に関する都市計画が定められているときは、設計がこれに適合していること。
イ 開発区域の規模、形状及び周辺の状況
ロ 開発区域内の土地の地形及び地盤の性質
ハ 予定建築物の用途
ニ 予定建築物の敷地の規模及び配置
三 排水路その他の排水施設が、次に掲げる事項を勘案して、開発区域内の下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第一号に規定する下水を有効に排出するとともに、その排出によつて開発区域及びその周辺の区域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること。この場合において、当該排水施設に関する都市計画が定められているときは、設計がこれに適合していること。
イ 当該地域における降水量
ロ 前号イからニまでに掲げる事項及び放流先の状況
四 水道その他の給水施設が、第二号イからニまでに掲げる事項を勘案して、当該開発区域について規定される需要に支障をきたさないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること。この場合において、当該給水施設に関する都市計画が定められているときは、設計がこれに適合していること。
五 当該開発行為の目的に照らして、開発区域における利便の増進と開発区域及びその周辺の地域における環境の保全とが図られるように公共施設、学校その他の公益的施設及び予定建築物の用途の配分が定められていること。
六 開発区域内の土地が、地盤の軟弱な土地、がけくずれ又は出水のおそれが多い土地その他これらに類する土地であるときは、地盤の改良、擁壁の設置等安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていること。
七 開発区域内に建築基準法第三十九条第一項の災害危険区域、地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第三条第一項の地すべり防止区域その他政令で定める開発行為を行なうのに適当でない区域内の土地を含まないこと。ただし、開発区域及びその周辺の地域の状況等により支障がないと認められるときは、この限りでない。
八 政令で定める規模以上の開発行為にあつては、当該開発行為が道路、鉄道等による輸送の便等からみて支障がないと認められること。
九 申請者に当該開発行為を行なうために必要な資力及び信用があること。
十 工事施行者に当該開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があること。
十一 当該開発行為をしようとする土地若しくは当該開発行為に関する工事をしようとする土地の区域内の土地又はこれらの土地にある工作物につき当該開発行為の施行又は当該開発行為に関する工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていること。
2 前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は、政令で定める。
3 公有水面埋立法第二十二条の竣功認可を受けた埋立地であつて同法第二十七条の処分の制限の登記がされているものにおいて行なう開発行為については、当該埋立地に関する同法第二条の免許の条件において第一項各号に規定する事項に関する定めがあるときは、その定めをもつて開発許可の基準とし、同項各号に規定する基準は、当該条件に抵触しない限度において適用する。
第三十四条 前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が同条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号の一に該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。
一 当該開発区域の周辺の地域において居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
二 市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源その他の資源の有効な利用上必要な建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
三 温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とする政令で定める事業の用に供する建築物で、当該特別の条件を必要とするため市街化区域内において建築することが困難なものの建築の用に供する目的で行なう開発行為
四 農業、林業若しくは漁業の用に供する建築物で第二十九条第二号の政令で定める建築物以外のもの又は市街化調整区域内において生産される農産物、林産物若しくは水産物の処理、貯蔵若しくは加工に必要な建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
五 都道府県が国又は中小企業振興事業団と一体となつて助成する中小企業の事業の共同化又は工場、店舗等の集団化に寄与する事業の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
六 市街化調整区域内において現に工業の用に供されている工場施設における事業と密接な関連を有する事業の用に供する建築物で、これらの事業活動の効率化を図るため市街化調整区域内において建築することが必要なものの建築の用に供する目的で行なう開発行為
七 政令で定める危険物の貯蔵又は処理に供する建築物で、市街化区域内において建築することが不適当なものとして政令で定めるものの建築の用に供する目的で行なう開発行為
八 前各号に規定する建築物のほか、市街化区域内において建築することが困難又は不適当なものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
九 市街化調整区域に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更してその区域が拡張された際、自己の居住又は業務の用に供する建築物を建築する目的で土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者で、当該都市計画の決定又は変更の日から起算して六月以内に建設省令で定める事項を都道府県知事に届け出たものが、当該目的に従つて、当該土地に関する権利の行使として行なう開発行為(政令で定める期間内に行なうものに限る。)
十 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する開発行為で、都道府県知事があらかじめ開発審査会の議を経たもの
イ 開発区域の面積(開発区域が市街化調整区域の内外にわたるときは、その全体の面積)が政令で定める面積を下らない開発行為で、市街化区域における市街化の状況等からみて当該申請に係る開発区域内において行なうことが当該都市計画区域における計画的な市街化を図るうえに支障がないと認められるもの
ロ 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行なうことが困難又は著しく不適当と認められるもの
(許可又は不許可の通知)
第三十五条 都道府県知事は、開発許可の申請があつたときは、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければならない。
2 前項の処分をするには、文書をもつて当該申請者に通知しなければならない。この場合において、不許可の処分をするときは、その理由をあわせて通知しなければならない。
(工事完了の検査)
第三十六条 開発許可を受けた者は、当該開発区域(開発区域を工区に分けたときは、工区)の全部について当該開発行為に関する工事(当該開発行為に関する工事のうち公共施設に関する部分については、当該公共施設に関する工事)を完了したときは、建設省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該開発許可の内容に適合していると認めたときは、建設省令で定める様式の検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の規定により検査済証を交付したときは、遅滞なく、建設省令で定めるところにより、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。
(建築制限)
第三十七条 開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第三項の公告があるまでの間は、建築物を建築してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 当該開発行為に関する工事用の仮設建築物を建築するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき。
二 第三十三条第一項第十一号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築するとき。
(開発行為の廃止)
第三十八条 開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、建設省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(開発行為等により設置された公共施設の管理)
第三十九条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、第三十六条第三項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属するものとする。ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、又は第三十二条の協議により管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属するものとする。
(公共施設の用に供する土地の帰属)
第四十条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合においては、従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、第三十六条第三項の公告の日の翌日において当該開発許可を受けた者に帰属するものとし、これに代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地は、その日においてそれぞれ国又は当該地方公共団体に帰属するものとする。
2 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地は、前項に規定するもの及び開発許可を受けた者がみずから管理するものを除き、第三十六条第三項の公告の日の翌日において、前条の規定により当該公共施設を管理すべき者(その者が、国の機関であるときは国、地方公共団体の機関であるときは当該地方公共団体)に帰属するものとする。
3 市街化区域内における都市計画施設である幹線街路その他の主要な公共施設で政令で定めるものの用に供する土地が前項の規定により国又は地方公共団体に帰属することとなる場合においては、当該帰属に伴う費用の負担について第三十二条の協議において別段の定めをした場合を除き、従前の所有者(第三十六条第三項の公告の日において当該土地を所有していた者をいう。)は、国又は地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、当該土地の取得に要すべき費用の額の全部又は一部を負担すべきことを求めることができる。
(建築物の敷地面積に対する建築面積の割合等の指定)
第四十一条 都道府県知事は、市街化調整区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、当該開発区域内の土地について、建築物の敷地面積に対する建築面積の割合、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができる。
2 前項の規定により建築物の敷地、構造及び設備に関する制限が定められた土地の区域内においては、建築物は、これらの制限に違反して建築してはならない。ただし、都道府県知事が当該区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可したときは、この限りでない。
(開発許可を受けた土地における建築等の制限)
第四十二条 何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、第三十六条第三項の公告があつた後は、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を新築してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物としてはならない。ただし、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているとき、又は都道府県知事が当該開発区域における利便の増進上若しくは開発区域及びその周辺の地域における環境の保全土支障がないと認めて許可したときは、この限りでない。
2 国が行なう行為については、当該国の機関と都道府県知事との協議が成立することをもつて、前項ただし書の規定による許可があつたものとみなす。
(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)
第四十三条 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第二号又は第三号に規定する建築物以外の建築物を新築してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して第二十九条第二号又は第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。ただし、次に掲げる建築物の新築、改築又は用途の変更については、この限りでない。
一 国又は第二十九条第四号に規定する地方公共団体若しくは港務局が行なう建築物の新築、改築又は用途の変更
二 都市計画事業の施行として行なう建築物の新築、改築又は用途の変更
三 非常災害のため必要な応急措置として行なう建築物の新築、改築又は用途の変更
四 仮設建築物の新築
五 第二十九条第七号に掲げる開発行為その他の政令で定める開発行為が行なわれた土地の区域内において行なう建築物の新築、改築又は用途の変更
六 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
2 前項の規定による許可の基準は、第三十三条及び第三十四条に規定する開発許可の基準の例に準じて、政令で定める。
(許可に基づく地位の承継)
第四十四条 開発許可又は前条第一項の許可を受けた者の相続人その他の一般承継人は、被承継人が有していた当該許可に基づく地位を承継する。
第四十五条 開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権その他当該開発行為に関する工事を施行する権原を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。
(開発登録簿)
第四十六条 都道府県知事は、開発登録簿(以下「登録簿」という。)を調製し、保管しなければならない。
第四十七条 都道府県知事は、開発許可をしたときは、当該許可に係る土地について、次に掲げる事項を登録簿に登録しなければならない。
一 開発許可の年月日
二 予定建築物(用途地域等の区域内のものを除く。)の用途
三 公共施設の種類、位置及び区域
四 前三号に掲げるもののほか、開発許可の内容
五 第四十一条第一項の規定による制限の内容
六 前各号に定めるもののほか、建設省令で定める事項
2 都道府県知事は、第三十六条の規定による完了検査を行なつた場合において、当該工事が当該開発許可の内容に適合すると認めたときは、登録簿にその旨を附記しなければならない。
3 都道府県知事は、第八十一条第一項の規定による処分により第一項各号に掲げる事項について変動を生じたときは、登録簿に必要な修正を加えなければならない。
4 都道府県知事は、登録簿をつねに公衆の閲覧に供するように保管し、かつ、請求があつたときは、その写しを交付しなければならない。
5 登録簿の調製、閲覧その他登録簿に関し必要な事項は、建設省令で定める。
(国及び地方公共団体の援助)
第四十八条 国及び地方公共団体は、市街化区域内における良好な市街地の開発を促進するため、市街化区域内において開発許可を受けた者に対する必要な技術上の助言又は資金上その他の援助に努めるものとする。
(開発許可手数料)
第四十九条 開発許可に関し地方自治法第二百二十七条第二項の規定により徴収することができる手数料の額は、一件につき十万円をこえることができない。
(不服申立て)
第五十条 第二十九条、第四十一条第二項ただし書、第四十二条第一項ただし書若しくは第四十三条第一項の規定に基づく処分若しくはこれに係る不作為(行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第二条第二項に規定する不作為をいう。)又はこれらの規定に違反した者に対する第八十一条第一項の規定に基づく監督処分についての審査請求は、開発審査会に対してするものとする。
2 開発審査会は、前項の規定による審査請求を受理した場合においては、審査請求を受理した日から二月以内に、裁決をしなければならない。
3 開発審査会は、前項の裁決を行なう場合においては、あらかじめ、審査請求人、処分庁その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審理を行なわなければならない。
4 開発審査会の裁決に不服がある者は、建設大臣に対して再審査請求をすることができる。
第五十一条 第二十九条、第四十二条第一項ただし書又は第四十三条第一項の規定による処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、土地調整委員会に裁定の申請をすることができる。この場合においては、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
2 行政不服審査法第十八条の規定は、前項に規定する処分につき、処分庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合に準用する。
(審査請求と訴訟との関係)
第五十二条 第五十条第一項に規定する処分の取消しの訴え(前条第一項の規定により土地調整委員会に裁定の申請をすることができる事項に関する訴えを除く。)は、当該処分についての審査請求に対する開発審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
第二節 都市計画施設等の区域内における建築の規制
(建築の許可)
第五十三条 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、都市計画事業の施行として行なう行為(これに準ずる行為として政令で定めるものを含む。)、非常災害のため必要な応急措置として行なう行為又はその他の政令で定める軽易な行為については、この限りでない。
2 第四十二条第二項の規定は、前項の規定による許可について準用する。
3 第一項の規定は、第六十五条第一項に規定する告示があつた後は、当該告示に係る土地の区域内においては、適用しない。
(許可の基準)
第五十四条 都道府県知事は、前条第一項の規定による許可の申請があつた場合において、当該建築が都市計画施設若しくは市街地開発事業に関する都市計画に適合し、又は当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、若しくは除却することができるものであると認めるときは、その許可をしなければならない。
一 階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。
二 主要構造部(建築基準法第二条第五号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。
(許可の基準の特例等)
第五十五条 都道府県知事は、都市計画施設の区域内の土地でその指定したものの区域又は市街地開発事業(土地区画整理事業を除く。)の施行区域(以下次条及び第五十七条において「事業予定地」という。)内において行なわれる建築物の建築については、前条の規定にかかわらず、第五十三条第一項の許可をしないことができる。ただし、次条第二項の規定により買い取らない旨の通知があつた土地における建築物の建築については、この限りでない。
2 都市計画事業を施行しようとする者その他政令で定める者は、都道府県知事に対し、前項の規定による土地の指定をすべきこと又は次条第一項の規定による土地の買取りの申出及び第五十七条第二項本文の規定による届出の相手方として定めるべきことを申し出ることができる。
3 都道府県知事は、前項の規定により土地の指定をすべきことを申し出た者を次条第一項の規定による土地の買取りの申出及び第五十七条第二項本文の規定による届出の相手方として定めることができる。
4 都道府県知事は、第一項の規定による土地の指定をするとき、又は第二項の規定による申出に基づき、若しくは前項の規定により、次条第一項の規定による土地の買取りの申出及び第五十七条第二項本文の規定による届出の相手方を定めるときは、建設省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
(土地の買取り)
第五十六条 都道府県知事(前条第四項の規定により、土地の買取りの申出の相手方として公告された者があるときは、その者)は、事業予定地内の土地の所有者から、前条第一項本文の規定により建築物の建築が許可されないときはその土地の利用に著しい支障をきたすこととなることを理由として、当該土地を買い取るべき旨の申出があつた場合においては、特別の事情がない限り、当該土地を時価で買い取るものとする。
2 前項の規定による申出を受けた者は、遅滞なく、当該土地を買い取る旨又は買い取らない旨を当該土地の所有者に通知しなければならない。
3 前条第四項の規定により土地の買取りの申出の相手方として公告された者は、前項の規定により土地を買い取らない旨の通知をしたときは、ただちに、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。
4 第一項の規定により土地を買い取つた者は、当該土地に係る都市計画に適合するようにこれを管理しなければならない。
(土地の先買い等)
第五十七条 市街地開発事業に係る第二十条第一項(第二十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示又は市街地開発事業若しくは市街化区域内の都市計画施設に係る第五十五条第四項の規定による公告があつたときは、都道府県知事(同項の規定により、次項本文の規定による届出の相手方として公告された者があるときは、その者。以下この条において同じ。)は、すみやかに、建設省令で定める事項を公告するとともに、建設省令で定めるところにより、事業予定地内の土地の有償譲渡について、次項から第四項までの規定による制限があることを関係権利者に周知させるため必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定による公告の日の翌日から起算して十日を経過した後に事業予定地内の土地を有償で譲り渡そうとする者(土地及びこれに定着する建築物その他の工作物を有償で譲り渡そうとする者を除く。)は、当該土地、その予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積つた額。以下この条において同じ。)及び当該土地を譲り渡そうとする相手方その他建設省令で定める事項を書面で都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該土地の全部又は一部が、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第四十六条(同法第五十六条の十四において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものであるとき、又は第六十六条の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後における当該公告に係る都市計画事業を施行する土地に含まれるものであるときは、この限りでない。
3 前項の規定による届出があつた後三十日以内に都道府県知事が届出をした者に対し届出に係る土地を買い取るべき旨の通知をしたときは、当該土地について、都道府県知事と届出をした者との間に届出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
4 第二項の届出をした者は、前項の期間(その期間内に都道府県知事が届出に係る土地を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該土地を譲り渡してはならない。
5 前条第四項の規定は、第三項の規定により土地を買い取つた者について準用する。
第三節 風致地区内における建築等の規制
(建築等の規制)
第五十八条 風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。
2 第五十一条の規定は、前項の規定に基づく条例の規定による処分に対する不服について準用する。
第四章 都市計画事業
第一節 都市計画事業の認可等
(施行者)
第五十九条 都市計画事業は、市町村が、都道府県知事の認可を受けて施行する。
2 都の特別区は、主として当該特別区の住民の用に供する都市施設に関する都市計画事業に限り、都知事の認可を受けて、これを施行することができる。
3 都道府県は、市町村が施行することが困難又は不適当な場合、前項の規定により都の特別区が施行することができない都市計画事業に係る場合その他特別な事情がある場合においては、建設大臣の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。
4 国の機関は、建設大臣の承認を受けて、国の利害に重大な関係を有する都市計画事業を施行することができる。
5 国の機関、都道府県及び市町村以外の者は、事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においてこれらの処分を受けているとき、その他特別な事情がある場合においては、都道府県知事の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。
6 都道府県知事は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見をきかなければならない。
7 建設大臣又は都道府県知事は、第一項から第五項までの規定による認可又は承認をしようとする場合において、当該都市計画事業が、用排水施設その他農用地の保全若しくは利用上必要な公共の用に供する施設を廃止し、若しくは変更するものであるとき、又はこれらの施設の管理、新設若しくは改良に係る土地改良事業計画に影響を及ぼすおそれがあるものであるときは、当該都市計画事業について、当該施設を管理する者又は当該土地改良事業計画による事業を行なう者の意見をきかなければならない。ただし、政令で定める軽易なものについては、この限りでない。
(認可又は承認の申請)
第六十条 前条の認可又は承認を受けようとする者は、建設省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を建設大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
一 施行者の名称
二 都市計画事業の種類
三 事業計画
四 その他建設省令で定める事項
2 前項第三号の事業計画には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 収用又は使用の別を明らかにした事業地(都市計画事業を施行する土地をいう。以下同じ。)
二 設計の概要
三 事業施行期間
3 第一項の申請書には、建設省令で定めるところにより、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 事業地を表示する図面
二 設計の槻要を表示する図書
三 資金計画書
四 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたことを証明する書類又は当該行政機関の意見書
五 その他建設省令で定める図書
4 第十四条第二項の規定は、第二項第一号及び前項第一号の事業地の表示について準用する。
(認可等の基準)
第六十一条 建設大臣又は都道府県知事は、申請手続が法令に違反せず、かつ、申請に係る事業が次の各号に該当するときは、第五十九条の認可又は承認をすることができる。
一 事業の内容が都市計画に適合し、かつ、事業施行期間が適切であること。
二 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたこと又はこれらの処分がされることが確実であること。
(都市計画事業の認可等の告示)
第六十二条 建設大臣又は都道府県知事は、第五十九条の認可又は承認をしたときは、遅滞なく、建設省令で定めるところにより、施行者の名称、都市計画事業の種類、事業施行期間及び事業地を告示し、かつ、建設大臣にあつては関係都道府県知事及び関係市町村長に、都道府県知事にあつては建設大臣及び関係市町村長に、第六十条第三項第一号及び第二号に掲げる図書の写しを送付しなければならない。
2 市町村長は、前項の告示に係る事業施行期間の終了の日又は第六十九条の規定により適用される土地収用法第三十条の二の規定により準用される同法第三十条第二項の告示の日まで、建設省令で定めるところにより、前項の図書を当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。
(事業計画の変更)
第六十三条 第六十条第一項第三号の事業計画を変更しようとする者は、国の機関にあつては建設大臣の承認を、都道府県にあつては建設大臣の認可を、その他の者にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。ただし、設計の概要について建設省令で定める軽易な変更をしようとするときは、この限りでない。
2 第五十九条第七項及び前三条の規定は、前項の認可又は承認について準用する。
(認可に基づく地位の承継)
第六十四条 第五十九条第五項の認可に基づく地位は、相続その他の一般承継による場合のほか、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の承認を受けて承継することができる。
2 第五十九条第五項の認可に基づく地位が承継された場合においては、この法律又はこの法律に基づく命令の規定により被承継人がした処分、手続その他の行為は、承継人がしたものとみなし、被承継人に対してした処分、手続その他の行為は、承継人に対してしたものとみなす。
第二節 都市計画事業の施行
(建築等の制限)
第六十五条 第六十二条第一項の規定による告示又は新たな事業地の編入に係る第六十三条第二項において準用する第六十二条第一項の規定による告示があつた後においては、当該事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、その許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。
3 第四十二条第二項の規定は、第一項の規定による許可について準用する。
(事業の施行について周知させるための措置)
第六十六条 前条第一項に規定する告示があつたときは、施行者は、すみやかに、建設省令で定める事項を公告するとともに、建設省令で定めるところにより、事業地内の土地又は土地及びこれに定着する建築物その他の工作物(以下「土地建物等」という。)の有償譲渡について、次条の規定による制限があることを関係権利者に周知させるため必要な措置を講じ、かつ、自己が施行する都市計画事業の概要について、事業地及びその附近地の住民に説明し、これらの者から意見を聴取する等の措置を講ずることにより、事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならない。
(土地建物等の先買い)
第六十七条 前条の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後に事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、当該土地建物等、その予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積もつた額。以下この条において同じ。)及び当該土地建物等を譲り渡そうとする相手方その他建設省令で定める事項を書面で施行者に届け出なければならない。ただし、当該土地建物等の全部又は一部が文化財保護法第四十六条(同法第五十六条の十四において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定による届出があつた後三十日以内に施行者が届出をした者に対し届出に係る土地建物等を買い取るべき旨の通知をしたときは、当該土地建物等について、施行者と届出をした者との間に届出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
3 第一項の届出をした者は、前項の期間(その期間内に施行者が届出に係る土地建物等を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該土地建物等を譲り渡してはならない。
(土地の買取請求)
第六十八条 事業地内の土地で、次条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定により収用の手続が保留されているものの所有者は、施行者に対し、建設省令で定めるところにより、当該土地を時価で買い取るべきことを請求することができる。ただし、当該土地が他人の権利の目的となつているとき、及び当該土地に建築物その他の工作物又は立木に関する法律(明治四十二年法律第二十二号)第一条第一項に規定する立木があるときは、この限りでない。
2 前項の規定により買い取るべき土地の価額は、施行者と土地の所有者とが協議して定める。
3 第二十八条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
(都市計画事業のための土地等の収用又は使用)
第六十九条 都市計画事業については、これを土地収用法第三条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。
第七十条 都市計画事業については、土地収用法第二十条(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定は行なわず、第五十九条の規定による認可又は承認をもつてこれに代えるものとし、第六十二条第一項の規定による告示をもつて同法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示とみなす。
2 事業計画を変更して新たに事業地に編入した土地については、前項中「第五十九条」とあるのは「第六十三条第一項」と、「第六十二条第一項」とあるのは「第六十三条第二項において準用する第六十二条第一項」とする。
第七十一条 都市計画事業については、土地収用法第二十九条及び第三十四条の六(同法第百三十八条第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定は適用せず、同法第二十九条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により事業の認定が効力を失なうべき理由に該当する理由があるときは、前条第一項の規定にかかわらず、その理由の生じた時に同法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつたものとみなして、同法第八条第三項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十九条第一項、第四十六条の二第一項、第七十一条第一項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)及び第八十九条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を適用する。
2 権利取得裁決があつた後、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示に係る事業施行期間を経過するまでに明渡裁決の申立てがないときは、その期間を経過した時に、すでにされた裁決手続開始の決定及び権利取得裁決は、取り消されたものとみなす。
第七十二条 施行者は、第六十九条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定によつて収用又は使用の手続を保留しようとするときは、建設省令で定めるところにより、第五十九条又は第六十三条第一項の規定による認可又は承認を受けようとする際、その旨及び手続を保留する事業地の範囲を記載した申立書を提出しなければならない。この場合においては、第六十条第三項第一号(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる図面に手続を保留する事業地の範囲を表示しなければならない。
2 第十四条第二項の規定は、前項の規定による事業地の範囲の表示について準用する。
3 建設大臣又は都道府県知事は、第一項の申立てがあつたときは、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示の際、あわせて、事業の認可又は承認後の収用又は使用の手続が保留される旨及び手続が保留される事業地の範囲を告示しなければならない。
第七十三条 前四条に定めるもののほか、都市計画事業に対する土地収用法の適用に関しては、次の各号に定めるところによる。
一 土地収用法第二十八条の三(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)及び第百四十二条の規定は適用せず、同法第八十九条第三項中「第二十八条の三第一項」とあるのは、「都市計画法第六十五条第一項」とする。
二 土地収用法第三十四条及び第百条第二項後段に定める期間の終期は、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示に係る事業施行期間の経過の時とする。
三 土地収用法第三十四条の四第二項中「第二十六条の二第二項の図面」とあるのは、「都市計画法第六十二条第二項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の図書」とする。
四 土地収用法第九十二条第一項中「第二十九条若しくは第三十四条の六の規定によつて事業の認定が失効し」とあるのは、「第三十九条第一項の規定による収用又は使用の裁決の申請の期限を徒過し」とする。
(生活再建のための措置)
第七十四条 都市計画事業の施行に必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者は、その受ける補償と相まつて実施されることを必要とする場合においては、生活再建のための措置で次の各号に掲げるものの実施のあつせんを施行者に申し出ることができる。
一 宅地、開発して農地とすることが適当な土地その他の土地の取得に関すること。
二 住宅、店舗その他の建物の取得に関すること。
三 職業の紹介、指導又は訓練に関すること。
2 施行者は、前項の規定による申出があつた場合においては、事情の許す限り、当該申出に係る措置を講ずるように努めるものとする。
(受益者負担金)
第七十五条 国、都道府県又は市町村は、都市計画事業によつて著しく利益を受ける者があるときは、その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる。
2 前項の場合において、その負担金の徴収を受ける者の範囲及び徴収方法については、国が負担させるものにあつては政令で、都道府県又は市町村が負担させるものにあつては当該都道府県又は市町村の条例で定める。
3 前二項の規定による受益者負担金(以下この条において「負担金」という。)を納付しない者があるときは、国、都道府県又は市町村(以下この条において「国等」という。)は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
4 前項の場合においては、国等は、政令(都道府県又は市町村にあつては、条例)で定めるところにより、百円につき一日四銭の割合を乗じて計算した額をこえない範囲内の延滞金を徴収することができる。
5 第三項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しない場合においては、国等は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
6 延滞金は、負担金に先だつものとする。
7 負担金及び延滞金を徴収する権利は、五年間行なわないときは、時効により消滅する。
第五章 都市計画中央審議会等
(都市計画中央審議会)
第七十六条 この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議させ、及び建設大臣の諮問に応じ都市計画に関する重要事項を調査審議させるため、建設省の附属機関として、都市計画中央審議会を置く。
2 都市計画中央審議会は、都市計画に関する重要事項について、関係行政機関に建議することができる。
3 都市計画中央審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(都市計画地方審議会)
第七十七条 この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議させ、及び都道府県知事の諮問に応じ都市計画に関する事項を調査審議させるため、都道府県に、都市計画地方審議会を置く。
2 都市計画地方審議会は、都市計画に関する事項について、関係行政機関に建議することができる。
3 都市計画地方審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で定める。
(開発審査会)
第七十八条 第五十条第一項に規定する審査請求に対する裁決その他この法律によりその権限に属させられた事項を行なわせるため、都道府県に、開発審査会を置く。
2 開発審査会は、委員七人をもつて組織する。
3 委員は、法律、経済、都市計画、建築、公衆衛生又は行政に関しすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県知事が任命する。
4 次の各号の一に該当する者は、委員となることができない。
一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
5 都道府県知事は、委員の前項各号の一に該当するに至つたときは、その委員を解任しなければならない。
6 都道府県知事は、その任命に係る委員が次の各号の一に該当するときは、その委員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。
7 委員は、自己又は三親等以内の親族の利害に関係のある事件については、第五十条第一項に規定する審査請求に対する裁決に関する議事に加わることができない。
8 第二項から前項までに定めるもののほか、開発審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で定める。
第六章 雑則
(許可等の条件)
第七十九条 この法律の規定による許可、認可又は承認には、都市計画上必要な条件を附することができる。この場合において、その条件は、当該許可、認可又は承認を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
(報告、勧告、援助等)
第八十条 建設大臣は国の機関以外の施行者に対し、都道府県知事は施行者である市町村又はこの法律の規定による許可、認可若しくは承認を受けた者に対し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な勧告若しくは助言をすることができる。
2 市町村又は施行者は、建設大臣又は都道府県知事に対し、都市計画の決定若しくは変更又は都市計画事業の施行の準備若しくは施行のため、それぞれ都市計画又は都市計画事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。
(監督処分)
第八十一条 建設大臣又は都道府県知事は、次の各号の一に該当する者に対して、都市計画上必要な限度において、この法律の規定によつてした許可、認可若しくは承認(都市計画の決定又は変更に係るものを除く。以下この条において同じ。)を取り消し、変更し、その効力を停止し、その条件を変更し、若しくは新たに条件を附し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建築物その他の工作物若しくは物件の改築、移転若しくは除却その他違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。
一 この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反した者
二 この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないでみずからその工事をしている者若しくはした者
三 この法律の規定による許可、認可又は承認に附した条件に違反している者
四 詐欺その他不正な手段により、この法律の規定による許可、認可又は承認を受けた者
2 建設大臣又は都道府県知事は、前項の規定により処分をし、又は必要な措置をとることを命じようとするときは、あらかじめ、当該処分又は措置を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。
3 第一項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、建設大臣又は都道府県知事は、その者の負担において、当該措置をみずから行ない、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行なうべき旨及びその期限までに当該措置を行なわないときは、建設大臣若しくは都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行なう旨を、あらかじめ、公告しなければならない。
(立入検査)
第八十二条 建設大臣若しくは都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、前条の規定による権限を行なうため必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地若しくは当該土地にある物件又は当該土地において行なわれている工事の状況を検査することができる。
2 前項の規定により他人の土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。
3 前項に規定する証明書は、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
4 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(国の補助)
第八十三条 国は、地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、重要な都市計画又は都市計画事業に要する費用の一部を補助することができる。
(土地基金)
第八十四条 都道府県又は指定都市は、第五十六条及び第五十七条の規定による土地の買取りを行なうほか、都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内の土地、都市開発資金の貸付けに関する法律(昭和四十一年法律第二十号)第一条各号に掲げる土地その他政令で定める土地の買取りを行なうため、地方自治法第二百四十一条の基金として、土地基金を設けることができる。
2 国は、前項の規定による土地基金の財源を確保するため、都道府県又は指定都市に対し、必要な資金の融通又はあつせんその他の援助に努めるものとする。
(税制上の措置等)
第八十五条 国又は地方公共団体は、都市計画の適切な遂行を図るため、市街化区域内の土地について、その有効な利用の促進及びその投機的取引の抑制に関し、税制上の措置その他の適切な措置を講ずるものとする。
(都道府県知事の権限の委任)
第八十六条 都道府県知事は、第三章第一節の規定によりその権限に属する事務については、地方自治法第百五十三条第二項の規定にかかわらず、人口十万以上の市の長に限り、これを委任することができる。
2 都道府県知事は、前項の事務で臨港地区に係るものを、政令で定めるところにより、港務局の長又は港湾管理者である地方公共団体の長に委任することができる。
(大都市の特例)
第八十七条 建設大臣又は都道府県知事は、指定都市の区域を含む都市計画区域に係る都市計画を決定し、又は変更しようとするときは、当該指定都市の長と協議するものとする。
2 第二十六条、第二十七条、第三章及び第六十五条第一項の規定により都道府県が処理することとされている事務又は都道府県知事の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、指定都市においては、政令で定めるところにより、当該指定都市が処理し、又は当該指定都市の長が行なう。この場合においては、この法律の規定中都道府県又は都道府県知事に関する規定は、指定都市又は指定都市の長に関する規定として指定都市又は指定都市の長に適用があるものとする。
(政令への委任)
第八十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第七章 罰則
第八十九条 第五十九条第五項の規定により認可を受けて都市計画事業を施行する者(以下「特別施行者」という。)又は特別施行者である法人の役員若しくは職員が、当該都市計画事業に係る職務に関し、賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、七年以下の懲役に処する。
2 特別施行者又は特別施行者である法人の役員若しくは職員であつた者が、その在職中に請託を受けて当該都市計画事業に係る職務上不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたことにつき賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。
3 特別施行者又は特別施行者である法人の役員若しくは職員が、当該都市計画事業に係る職務に関し、請託を受けて第三者に賄賂を供与させ、又はその供与を約束したときは、三年以下の懲役に処する。
4 犯人又は情を知つた第三者の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第九十条 前条第一項から第三項までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二十五万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第九十一条 第八十一条第一項の規定による建設大臣又は都道府県知事の命令に違反した者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第九十二条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第二十五条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による土地の立入りを拒み、又は妨げた者
二 第二十六条第一項に規定する場合において、市町村長の許可を受けないで障害物を伐除した者又は都道府県知事の許可を受けないで土地に試掘等を行なつた者
三 第二十九条の規定に違反して、開発行為をした者
四 第三十七条、第四十一条第二項、第四十二条第一項又は第四十三条第一項の規定に違反して、建築物を建築した者
五 第四十二条第一項又は第四十三条第一項の規定に違反して、建築物の用途を変更した者
第九十三条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第八十条第一項の規定による報告又は資料の提出を求められて、報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
二 第八十二条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第九十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第九十五条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第五十七条第二項又は第六十七条第一項の規定に違反して、届出をしないで土地又は土地建物等を有償で譲り渡した者
二 第五十七条第二項又は第六十七条第一項の届出について、虚偽の届出をした者
三 第五十七条第四項又は第六十七条第三項の規定に違反して、同項の期間内に土地建物等を譲り渡した者
第九十六条 第三十八条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の過料に処する。
第九十七条 第五十八条第一項の規定に基づく条例には、罰金のみを科する規定を設けることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、別に法律で定める日から施行する。
(都市計画法等の廃止)
2 次に掲げる法律は、廃止する。
一 都市計画法(大正八年法律第三十六号)
二 住宅地造成事業に関する法律(昭和三十九年法律第百六十号)
(開発行為の規制等の適用除外)
3 この法律中市街化区域、市街化調整区域及び第三章第一節の規定による開発行為等の規制に関する規定は、当分の間、大都市及びその周辺の都市に係る都市計画区域その他の政令で定める都市計画区域以外の都市計画区域については、適用しない。
(農地法の一部改正)
4 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第五号を次のように改める。
五 市街化区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の市街化区域と定められた区域で、同法第二十三条第一項の規定による協議がととのつたものをいう。)内にある農地を、省令で定めるところによりあらかじめ都道府県知事に届け出て、農地以外のものにする場合
第五条第一項第三号を次のように改める。
三 前条第一項第五号に規定する市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、省令で定めるところによりあらかじめ都道府県知事に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合
第七条第一項第十号を次のように改める。
十 第五条第一項第三号の届出をして農地若しくは採草放牧地を取得した者又はその一般承継人が所有する当該届出に係る農地又は採草放牧地で、小作地又は小作採草放牧地であるもの
第七十三条第一項中第三号を削り、第四号を第三号とする。
(経過措置等)
5 前三項に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置その他の事項については、別に法律で定める。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 赤間文三
外務大臣 三木武夫
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 灘尾弘吉
厚生大臣 園田直
農林大臣 西村直己
通商産業大臣 椎名悦三郎
運輸大臣 中曾根康弘
郵政大臣 小林武治
労働大臣 小川平二
建設大臣 保利茂
自治大臣 赤澤正道
都市計画法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十三年六月十五日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百号
都市計画法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
都市計画
第一節
都市計画の内容(第七条―第十四条)
第二節
都市計画の決定及び変更(第十五条―第二十八条)
第三章
都市計画制限
第一節
開発行為等の規制(第二十九条―第五十二条)
第二節
都市計画施設等の区域内における建築の規制(第五十三条―第五十七条)
第三節
風致地区内における建築等の規制(第五十八条)
第四章
都市計画事業
第一節
都市計画事業の認可等(第五十九条―第六十四条)
第二節
都市計画事業の施行(第六十五条―第七十五条)
第五章
都市計画中央審議会等(第七十六条―第七十八条)
第六章
雑則(第七十九条―第八十八条)
第七章
罰則(第八十九条―第九十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(都市計画の基本理念)
第二条 都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。
(国、地方公共団体及び住民の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない。
2 都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し、良好な都市環境の形成に努めなければならない。
(定義)
第四条 この法律において「都市計画」とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画で、次章の規定に従い定められたものをいう。
2 この法律において「都市計画区域」とは、次条の規定により指定された区域をいう。
3 この法律において「地域地区」とは、第八条第一項各号に掲げる地域、地区又は街区をいう。
4 この法律において「都市施設」とは、都市計画において定められるべき第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。
5 この法律において「都市計画施設」とは、都市計画において定められた第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。
6 この法律において「市街地開発事業」とは、第十二条第一項各号に掲げる事業をいう。
7 この法律において「建築物」とは建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に定める建築物を、「建築」とは同条第十三号に定める建築をいう。
8 この法律において「開発行為」とは、主として建築物の建築の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。
9 この法律において「開発区域」とは、開発行為をする土地の区域をいう。
10 この法律において「公共施設」とは、道路、公園その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。
11 この法律において「都市計画事業」とは、この法律で定めるところにより第五十九条の規定による認可又は承認を受けて行なわれる都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業をいう。
12 この法律において「施行者」とは、都市計画事業を施行する者をいう。
(都市計画区域)
第五条 都道府県知事は、市又は人口、就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他建設省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。この場合において、必要があるときは、当該市町村の区域外にわたり、都市計画区域を指定することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定によるもののほか、首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)による都市開発区域、近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号)による都市開発区域、中部圏開発整備法(昭和四十一年法律第百二号)による都市開発区域その他新たに住居都市、工業都市その他の都市として開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。
3 都道府県知事は、前二項の規定により都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都市計画地方審議会の意見をきくとともに、建設省令で定めるところにより、建設大臣の認可を受けなければならない。
4 二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、建設大臣が、あらかじめ、関係都府県知事の意見をきいて指定するものとする。この場合において、関係都府県知事が意見を述べようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都市計画地方審議会の意見をきかなければならない。
5 都市計画区域の指定は、建設省令で定めるところにより、公告することによつて行なう。
6 前各項の規定は、都市計画区域の変更又は廃止について準用する。
(都市計画に関する基礎調査)
第六条 都道府県知事は、都市計画区域について、おおむね五年ごとに、建設省令で定めるところにより、人口規模、産業分類別の就業人口の規模、市街地の面積、土地利用、交通量その他建設省令で定める事項に関する現況及び将来の見通しについての調査を行なうものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定による基礎調査の結果を、建設省令で定めるところにより、建設大臣に報告するとともに、関係市町村長に通知しなければならない。
第二章 都市計画
第一節 都市計画の内容
(市街化区域及び市街化調整区域)
第七条 都市計画には、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、都市計画区域を区分して、市街化区域及び市街化調整区域を定めるものとする。
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
4 市街化区域及び市街化調整区域については、その区分及び各区域の整備、開発又は保全の方針を都市計画に定めるものとする。
(地域地区)
第八条 都市計画には、当該都市計画区域について、次の各号に掲げる地域、地区又は街区で必要なものを定めるものとする。
一 住居地域、商業地域、準工業地域又は工業地域(以下「用途地域」と総称する。)
二 住居専用地区又は工業専用地区
三 特別工業地区、文教地区その他政令で定める特別用途地区
四 空地地区、高度地区、容積地区又は特定街区
五 防火地域又は準防火地域
六 美観地区
七 風致地区
八 駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第三条第一項の規定による駐車場整備地区
九 臨港地区
十 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和四十一年法律第一号)第六条第一項の規定による歴史的風土特別保存地区
十一 首都圏近郊緑地保全法(昭和四十一年法律第百一号)第五条第一項の規定による近郊緑地特別保全地区又は近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和四十二年法律第百三号)第六条第一項の規定による近郊緑地特別保全地区
十二 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四十一年法律第百十号)第四条第一項の規定による流通業務地区
2 地域地区については、次に掲げる事項を都市計画に定めるものとする。
一 地域地区の種類(空地地区にあつては建築基準法別表第四(い)欄の、容積地区にあつては同法別表第五(い)欄の種別)、位置及び区域
二 次に掲げる地域地区については、それぞれ次に定める事項
イ 高度地区 建築物の高さの最高限度又は最低限度
ロ 特定街区 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限
三 その他政令で定める事項
第九条 住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域とする。
2 商業地域は、主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域とする。
3 準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域とする。
4 工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とする。
5 住居専用地区は、住居地域内において特に良好な住居の環境を保護するため定める地区とする。
6 工業専用地区は、工業地域内において特に工業の利便を増進するため定める地区とする。
7 特別用途地区は、用途地域内において特別の目的からする土地利用の増進、環境の保護等を図るため定める地区とする。
8 空地地区は、住居地域内において住居の良好な環境を保護するため、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合又は建築物の建築面積の敷地面積に対する割合を定める地区とする。
9 高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。
10 容積地区は、用途地域内において良好な都市空間を確保するため、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合を定める地区とする。
11 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行なわれる地区について、その街区内における建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。
12 防火地域又は準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。
13 美観地区は、市街地の美観を維持するため定める地区とする。
14 風致地区は、都市の風致を維持するため定める地区とする。
15 臨港地区は、港湾を管理運営するため定める地区とする。
第十条 地域地区内における建築物その他の工作物に関する制限については、この法律に特に定めるもののほか、別に法律で定める。
(都市施設)
第十一条 都市計画には、当該都市計画区域における次の各号に掲げる施設で必要なものを定めるものとする。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。
一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
二 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
三 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設
四 河川、運河その他の水路
五 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
六 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設
七 市場、と畜場又は火葬場
八 一団地の住宅施設(一ヘクタール以上の一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
九 一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)
十 流通業務団地
十一 その他政令で定める施設
2 都市施設については、都市施設の種類、名称、位置及び区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする。
3 流通業務団地について都市計画に定めるべき事項は、前項に定めるもののほか、別に法律で定める。
(市街地開発事業)
第十二条 都市計画には、当該都市計画区域における次の各号に掲げる事業で必要なものを定めるものとする。
一 土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業
二 新住宅市街地開発法(昭和三十八年法律第百三十四号)による新住宅市街地開発事業
三 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和三十三年法律第九十八号)による工業団地造成事業又は近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)による工業団地造成事業
四 都市再開発法(昭和▲▲▲年法律第▲▲▲号)による市街地再開発事業
2 市街地開発事業については、市街地開発事業の種類、名称及び施行区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする。
3 土地区画整理事業については、前項に定めるもののほか、公共施設の配置及び宅地の整備に関する事項を都市計画に定めるものとする。
9 土地区画整理事業以外の市街地開発事業について都市計画に定めるべき事項は、第二項に定めるもののほか、別に法律で定める。
(都市計画基準)
第十三条 都市計画は、全国総合開発計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、地方総合開発計画、都府県総合開発計画その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次の各号に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。この場合において、当該都市について公害防止計画が定められているときは、都市計画は、当該公害防止計画に適合したものでなければならない。
一 市街化区域と市街化調整区域との区分は、当該都市の発展の動向、当該都市計画区域における人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、産業活動の利便と居住環境の保全との調和を図りつつ、国土の合理的利用を確保し、効率的な公共投資を行なうことができるように定めること。
二 地域地区は、土地の自然的条件及び土地利用の動向を勘案して、住居、商業、工業その他の用途を適正に配分することにより、都市機能を維持増進し、かつ、住居の環境を保護し、商業、工業等の利便を増進し、美観風致を維持し、公害を防止する等適正な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。
三 都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めること。この場合において、市街化区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする。
四 市街地開発事業は、市街化区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めること。
五 前各号の基準を適用するについては、第六条第一項の規定による都市計画に関する基礎調査の結果に基づき、かつ、政府が法律に基づき行なう人口、産業、住宅、建築、交通、工場立地その他の調査の結果について配慮すること。
2 都市計画は、当該都市の住民が建康で文化的な都市生活を享受することができるように、住宅の建設及び居住環境の整備に関する計画を定めなければならない。
3 第八条第一項第八号及び第十号から第十二号までに掲げる地域地区、流通業務団地並びに市街開発事業に関する都市計画の策定に関し必要な基準は、前二項に定めるもののほか、別に法律で定める。
4 都市計画の策定に関し必要な技術的基準は、政令で定める。
(都市計画の図書)
第十四条 都市計画は、建設省令で定めるところにより、総括図、計画図及び計画書によつて表示するものとする。
2 計画図及び計画書における市街化区域の区域、地域地区の区域、都市計画施設の区域及び市街地開発事業の施行区域の表示は、土地に関し権利を有する者が自己の権利に係る土地がこれらの区域に含まれるかどうかを容易に判断することができるものでなければならない。
第二節 都市計画の決定及び変更
(都市計画を定める者)
第十五条 次の各号に掲げる都市計画は都道府県知事が、その他の都市計画は市町村が定める。
一 市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画
二 第八条第一項第九号から第十二号までに掲げる地域地区に関する都市計画
三 一の市町村の区域をこえる広域の見地から決定すべき地域地区若しくは都市施設として政令で定めるもの又は根幹的都市施設として政令で定めるものに関する都市計画
四 市街地開発事業(政令で定める小規模な土地区画整理事業を除く。)に関する都市計画
2 市町村の合併その他の理由により、前項第三号に該当する都市計画が同号に該当しないこととなつたとき、又は同号に該当しない都市計画が同号に該当することとなつたときは、当該都市計画は、それぞれ市町村又は都道府県知事が決定したものとみなす。
3 市町村が定める都市計画は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即し、かつ、都道府県知事が定めた都市計画に適合したものでなければならない。
4 市町村が定めた都市計画が、都道府県知事が定めた都市計画と抵触するときは、その限りにおいて、都道府県知事が定めた都市計画が優先するものとする。
(公聴会の開催等)
第十六条 都道府県知事又は市町村は、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
(都市計画の案の縦覧等)
第十七条 都道府県知事又は市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、建設省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該都市計画の案を、当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
2 前項の規定による公告があつたときは、関係市町村の住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された都市計画の案について、都道府県知事の作成に係るものにあつては都道府県知事に、市町村の作成に係るものにあつては市町村に、意見書を提出することができる。
3 特定街区に関する都市計画の案については、政令で定める利害関係を有する者の同意を得なければならない。
(都道府県知事の都市計画の決定)
第十八条 都道府県知事は、関係市町村の意見をきき、かつ、都市計画地方審議会の議を経て、都市計画を決定するものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定により都市計画の案を都市計画地方審議会に付議しようとするときは、前条第二項の規定により提出された意見書の要旨を都市計画地方審議会に提出しなければならない。
3 都道府県知事は、大都市及びその周辺の都市に係る都市計画区域その他の政令で定める都市計画区域に係る都市計画(政令で定める軽易なものを除く。)又は国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画の決定をしようとするときは、あらかじめ、建設省令で定めるところにより、建設大臣の認可を受けなければならない。
(市町村の都市計画の決定)
第十九条 市町村は、都道府県知事の承認を受けて、都市計画を決定するものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、都市計画地方審議会の議を経なければならない。
(都市計画の告示等)
第二十条 都道府県知事又は市町村は、都市計画を決定したときは、その旨を告示し、かつ、都道府県知事にあつては建設大臣及び関係市町村長に、市町村にあつては建設大臣及び都道府県知事に、第十四条第一項に規定する図書の写しを送付しなければならない。
2 都道府県知事及び市町村長は、建設省令で定めるところにより、前項の図書又はその写しを当該都道府県又は市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。
3 都市計画は、第一項の規定による告示があつた日から、その効力を生ずる。
(都市計画の変更)
第二十一条 都道府県知事又は市町村は、都市計画区域が変更されたとき、第六条第一項の規定による都市計画に関する基礎調査又は第十三条第一項第五号に規定する政府が行なう調査の結果都市計画を変更する必要が明らかとなつたとき、その他都市計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく、当該都市計画を変更しなければならない。
2 第十七条から前条までの規定は、都市計画の変更について準用する。ただし、第十七条並びに第十八条第二項及び第三項の規定については、政令で定める軽易な変更をしようとする場合を除く。
(建設大臣の定める都市計画)
第二十二条 二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域に係る都市計画は、建設大臣及び市町村が定めるものとする。この場合においては、第十五条、第十七条第一項及び第二項、第十八条第一項及び第二項、第十九条並びに前条第一項中「都道府県知事」とあるのは「建設大臣」と、第二十条第一項中「都道府県知事又は」とあるのは「建設大臣又は」と、「都道府県知事にあつては建設大臣」とあるのは「建設大臣にあつては関係都府県知事」と、同条第二項中「前項の図書又はその」とあるのは「前項の図書の」とする。
2 建設大臣は、都府県知事が作成する案に基づいて都市計画を定めるものとする。
3 都府県の合併その他の理由により、二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域が一の都府県の区域内の区域となり、又は一の都府県の区域内の都市計画区域が二以上の都府県の区域にわたることとなつた場合における必要な経過措置については、政令で定める。
(他の行政機関等との調整等)
第二十三条 建設大臣が市街化区域に関する都市計画を定め、若しくは認可しようとするとき、又は都道府県知事が市街化区域に関する都市計画を定めようとするとき(建設大臣の認可を要するときを除く。)は、建設大臣又は都道府県知事は、あらかじめ、農林大臣に協議しなければならない。
2 建設大臣は、市街化区域に関する都市計画を定め、又は認可しようとするときは、あらかじめ、通商産業大臣及び運輸大臣の意見をきかなければならない。
3 厚生大臣は、必要があると認めるときは、市街化区域に関する都市計画及び用途地域に関する都市計画に関し、建設大臣に意見を述べることができる。
4 臨港地区に関する都市計画は、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第一項の港湾管理者が申し出た案に基づいて定めるものとする。
5 建設大臣は、都市施設に関する都市計画を定め、又は認可しようとするときは、あらかじめ、当該都市施設の設置又は経営について、免許、許可、認可等の処分をする権限を有する国の行政機関の長に協議しなければならない。
6 建設大臣、都道府県知事又は市町村は、都市施設に関する都市計画を定めようとするときは、あらかじめ、当該都市施設を管理することとなる者その他政令で定める者に協議しなければならない。
(建設大臣の指示等)
第二十四条 建設大臣は、国の利害に重大な関係がある事項に関し、必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、又は都道府県知事を通じて市町村に対し、期限を定めて、都市計画区域の指定又は都市計画の決定若しくは変更のため必要な措置をとるべきことを指示することができる。この場合においては、都道府県知事又は市町村は、正当な理由がない限り、当該指示に従わなければならない。
2 国の行政機関の長は、その所管に係る事項で国の利害に重大な関係があるものに関し、前項の指示をすべきことを建設大臣に対し要請することができる。
3 前条第一項及び第二項の規定は、市街化区域に関する都市計画に関し第一項の指示をする場合に、同条第五項の規定は、都市施設に関する都市計画に関し第一項の指示をする場合に準用する。
4 建設大臣は、都道府県知事又は市町村が所定の期限までに正当な理由がなく第一項の規定により指示された措置をとらないときは、正当な理由がないことについて都市計画中央審議会の確認を得たうえで、みずから当該措置をとることができるものとする。ただし、市町村がとるべき措置については、建設大臣がみずから行なう必要があると認める場合を除き、都道府県知事に行なわせるものとする。
5 都道府県知事は、必要があると認めるときは、市町村に対し、期限を定めて、都市計画の決定又は変更のため必要な措置をとるべきことを求めることができる。
6 都道府県知事は、都市計画の決定又は変更のため必要があるときは、みずから、又は市町村の要請に基づいて、国の関係行政機関の長に対して、都市計画区域に係る第十三条第一項に規定する国土計画若しくは地方計画又は施設に関する国の計画の策定又は変更について申し出ることができる。
7 国の行政機関の長は、前項の申出があつたときは、当該申出に係る事項について決定し、その結果を都道府県知事に通知しなければならない。
(調査のための立入り等)
第二十五条 建設大臣、都道府県知事又は市町村は、都市計画の決定又は変更のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、みずから立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により、建築物が所在し、又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとするときは、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前又は日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(障害物の伐除及び土地の試掘等)
第二十六条 前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう者は、その測量又は調査を行なうにあたり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行なおうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行なうことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都道府県知事が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行なおうとする日の三日前までに、その旨を当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、建設大臣、都道府県知事若しくは市町村又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、ただちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
(証明書等の携帯)
第二十七条 第二十五条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。
2 前条第一項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、その身分を示す証明書及び市町村長又は都道府県知事の許可書を携帯しなければならない。
3 前二項に規定する証明書又は許可証は、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
(土地の立入り等に伴う損失の補償)
第二十八条 建設大臣、都道府県知事又は市町村は、第二十五条第一項又は第二十六条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しないときは、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
第三章 都市計画制限
第一節 開発行為等の規制
(開発行為の許可)
第二十九条 市街化区域又は市街化調整区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りではない。
一 市街化区域内において行なう開発行為で、その規模が政令で定める規模未満であるもの
二 市街化調整区域内において行なう開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行なうもの
三 駅舎その他の鉄道の施設、社会福祉施設、医療施設、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による学校(大学及び各種学校を除く。)、公民館、変電所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
四 国、都道府県、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下単に「指定都市」という。)、都道府県若しくは指定都市がその組織に加わつている一部事務組合若しくは港務局又は都道府県若しくは指定都市が設置団体である地方開発事業団が行なう開発行為
五 都市計画事業の施行として行なう開発行為
六 土地区画整理事業の施行として行なう開発行為
七 公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条の免許を受けた埋立地であつて、まだ同法第二十二条の竣功認可を受けていないものにおいて行なう開発行為
八 非常災害のため必要な応急措置として行なう開発行為
九 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
(許可申請の手続)
第三十条 前条の許可(以下「開発許可」という。)を受けようとする者は、建設省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
一 開発区域(開発区域を工区に分けたときは、開発区域及び工区)の位置、区域及び規模
二 開発区域内において予定される建築物(以下「予定建築物」という。)の用途
三 開発行為に関する設計(以下「設計」という。)
四 工事施行者(開発行為に関する工事の請負人又は請負契約によらないでみずからその工事を施行する者をいう。以下同じ。)
五 その他建設省令で定める事項
2 前項の申請書には、第三十二条に規定する同意を得たことを証する書面、同条に規定する協議の経過を示す書面その他建設省令で定める図書を添附しなければならない。
(設計者の資格)
第三十一条 前条の場合において、設計に係る設計図書(開発行為に関する工事のうち建設省令で定めるものを実施するため必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう。)は、建設省令で定める資格を有する者の作成したものでなければならない。
(公共施設の管理者の同意等)
第三十二条 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者の同意を得、かつ、当該開発行為又は当該開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない。
(開発許可の基準)
第三十三条 都道府県知事は、開発許可の申請があつた場合において、当該申請に係る開発行為が次の各号(主として、自己の居住の用に供する住宅又は住宅以外の建築物で自己の業務の用に供するものの建築の用に供する目的で行なう開発行為にあつては、第一号、第三号、第六号、第八号及び第十一号)に規定する基準に適合しており、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならない。
一 当該申請に係る開発区域内の土地について、用途地域、流通業務地区又は港湾法第三十九条第一項の分区(以下「用途地域等」という。)が定められているときは、予定建築物の用途がこれに適合していること。
二 道路、公園、広場その他の公共の用に供する空地(消防に必要な水利が十分でない場合に設置する消防の用に供する貯水施設を含む。)が、次に掲げる事項を勘案して、環境の保全上、災害の防止上、通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置され、かつ、開発区域内の主要な道路が、開発区域外の相当規模の道路に接続するように設計が定められていること。この場合において、当該空地に関する都市計画が定められているときは、設計がこれに適合していること。
イ 開発区域の規模、形状及び周辺の状況
ロ 開発区域内の土地の地形及び地盤の性質
ハ 予定建築物の用途
ニ 予定建築物の敷地の規模及び配置
三 排水路その他の排水施設が、次に掲げる事項を勘案して、開発区域内の下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第一号に規定する下水を有効に排出するとともに、その排出によつて開発区域及びその周辺の区域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること。この場合において、当該排水施設に関する都市計画が定められているときは、設計がこれに適合していること。
イ 当該地域における降水量
ロ 前号イからニまでに掲げる事項及び放流先の状況
四 水道その他の給水施設が、第二号イからニまでに掲げる事項を勘案して、当該開発区域について規定される需要に支障をきたさないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること。この場合において、当該給水施設に関する都市計画が定められているときは、設計がこれに適合していること。
五 当該開発行為の目的に照らして、開発区域における利便の増進と開発区域及びその周辺の地域における環境の保全とが図られるように公共施設、学校その他の公益的施設及び予定建築物の用途の配分が定められていること。
六 開発区域内の土地が、地盤の軟弱な土地、がけくずれ又は出水のおそれが多い土地その他これらに類する土地であるときは、地盤の改良、擁壁の設置等安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていること。
七 開発区域内に建築基準法第三十九条第一項の災害危険区域、地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第三条第一項の地すべり防止区域その他政令で定める開発行為を行なうのに適当でない区域内の土地を含まないこと。ただし、開発区域及びその周辺の地域の状況等により支障がないと認められるときは、この限りでない。
八 政令で定める規模以上の開発行為にあつては、当該開発行為が道路、鉄道等による輸送の便等からみて支障がないと認められること。
九 申請者に当該開発行為を行なうために必要な資力及び信用があること。
十 工事施行者に当該開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があること。
十一 当該開発行為をしようとする土地若しくは当該開発行為に関する工事をしようとする土地の区域内の土地又はこれらの土地にある工作物につき当該開発行為の施行又は当該開発行為に関する工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていること。
2 前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は、政令で定める。
3 公有水面埋立法第二十二条の竣功認可を受けた埋立地であつて同法第二十七条の処分の制限の登記がされているものにおいて行なう開発行為については、当該埋立地に関する同法第二条の免許の条件において第一項各号に規定する事項に関する定めがあるときは、その定めをもつて開発許可の基準とし、同項各号に規定する基準は、当該条件に抵触しない限度において適用する。
第三十四条 前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が同条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号の一に該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。
一 当該開発区域の周辺の地域において居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
二 市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源その他の資源の有効な利用上必要な建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
三 温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とする政令で定める事業の用に供する建築物で、当該特別の条件を必要とするため市街化区域内において建築することが困難なものの建築の用に供する目的で行なう開発行為
四 農業、林業若しくは漁業の用に供する建築物で第二十九条第二号の政令で定める建築物以外のもの又は市街化調整区域内において生産される農産物、林産物若しくは水産物の処理、貯蔵若しくは加工に必要な建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
五 都道府県が国又は中小企業振興事業団と一体となつて助成する中小企業の事業の共同化又は工場、店舗等の集団化に寄与する事業の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
六 市街化調整区域内において現に工業の用に供されている工場施設における事業と密接な関連を有する事業の用に供する建築物で、これらの事業活動の効率化を図るため市街化調整区域内において建築することが必要なものの建築の用に供する目的で行なう開発行為
七 政令で定める危険物の貯蔵又は処理に供する建築物で、市街化区域内において建築することが不適当なものとして政令で定めるものの建築の用に供する目的で行なう開発行為
八 前各号に規定する建築物のほか、市街化区域内において建築することが困難又は不適当なものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為
九 市街化調整区域に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更してその区域が拡張された際、自己の居住又は業務の用に供する建築物を建築する目的で土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者で、当該都市計画の決定又は変更の日から起算して六月以内に建設省令で定める事項を都道府県知事に届け出たものが、当該目的に従つて、当該土地に関する権利の行使として行なう開発行為(政令で定める期間内に行なうものに限る。)
十 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する開発行為で、都道府県知事があらかじめ開発審査会の議を経たもの
イ 開発区域の面積(開発区域が市街化調整区域の内外にわたるときは、その全体の面積)が政令で定める面積を下らない開発行為で、市街化区域における市街化の状況等からみて当該申請に係る開発区域内において行なうことが当該都市計画区域における計画的な市街化を図るうえに支障がないと認められるもの
ロ 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行なうことが困難又は著しく不適当と認められるもの
(許可又は不許可の通知)
第三十五条 都道府県知事は、開発許可の申請があつたときは、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければならない。
2 前項の処分をするには、文書をもつて当該申請者に通知しなければならない。この場合において、不許可の処分をするときは、その理由をあわせて通知しなければならない。
(工事完了の検査)
第三十六条 開発許可を受けた者は、当該開発区域(開発区域を工区に分けたときは、工区)の全部について当該開発行為に関する工事(当該開発行為に関する工事のうち公共施設に関する部分については、当該公共施設に関する工事)を完了したときは、建設省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該開発許可の内容に適合していると認めたときは、建設省令で定める様式の検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の規定により検査済証を交付したときは、遅滞なく、建設省令で定めるところにより、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。
(建築制限)
第三十七条 開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第三項の公告があるまでの間は、建築物を建築してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 当該開発行為に関する工事用の仮設建築物を建築するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき。
二 第三十三条第一項第十一号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築するとき。
(開発行為の廃止)
第三十八条 開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、建設省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(開発行為等により設置された公共施設の管理)
第三十九条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、第三十六条第三項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属するものとする。ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、又は第三十二条の協議により管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属するものとする。
(公共施設の用に供する土地の帰属)
第四十条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合においては、従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、第三十六条第三項の公告の日の翌日において当該開発許可を受けた者に帰属するものとし、これに代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地は、その日においてそれぞれ国又は当該地方公共団体に帰属するものとする。
2 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地は、前項に規定するもの及び開発許可を受けた者がみずから管理するものを除き、第三十六条第三項の公告の日の翌日において、前条の規定により当該公共施設を管理すべき者(その者が、国の機関であるときは国、地方公共団体の機関であるときは当該地方公共団体)に帰属するものとする。
3 市街化区域内における都市計画施設である幹線街路その他の主要な公共施設で政令で定めるものの用に供する土地が前項の規定により国又は地方公共団体に帰属することとなる場合においては、当該帰属に伴う費用の負担について第三十二条の協議において別段の定めをした場合を除き、従前の所有者(第三十六条第三項の公告の日において当該土地を所有していた者をいう。)は、国又は地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、当該土地の取得に要すべき費用の額の全部又は一部を負担すべきことを求めることができる。
(建築物の敷地面積に対する建築面積の割合等の指定)
第四十一条 都道府県知事は、市街化調整区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、当該開発区域内の土地について、建築物の敷地面積に対する建築面積の割合、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができる。
2 前項の規定により建築物の敷地、構造及び設備に関する制限が定められた土地の区域内においては、建築物は、これらの制限に違反して建築してはならない。ただし、都道府県知事が当該区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可したときは、この限りでない。
(開発許可を受けた土地における建築等の制限)
第四十二条 何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、第三十六条第三項の公告があつた後は、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を新築してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物としてはならない。ただし、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているとき、又は都道府県知事が当該開発区域における利便の増進上若しくは開発区域及びその周辺の地域における環境の保全土支障がないと認めて許可したときは、この限りでない。
2 国が行なう行為については、当該国の機関と都道府県知事との協議が成立することをもつて、前項ただし書の規定による許可があつたものとみなす。
(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)
第四十三条 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第二号又は第三号に規定する建築物以外の建築物を新築してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して第二十九条第二号又は第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。ただし、次に掲げる建築物の新築、改築又は用途の変更については、この限りでない。
一 国又は第二十九条第四号に規定する地方公共団体若しくは港務局が行なう建築物の新築、改築又は用途の変更
二 都市計画事業の施行として行なう建築物の新築、改築又は用途の変更
三 非常災害のため必要な応急措置として行なう建築物の新築、改築又は用途の変更
四 仮設建築物の新築
五 第二十九条第七号に掲げる開発行為その他の政令で定める開発行為が行なわれた土地の区域内において行なう建築物の新築、改築又は用途の変更
六 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
2 前項の規定による許可の基準は、第三十三条及び第三十四条に規定する開発許可の基準の例に準じて、政令で定める。
(許可に基づく地位の承継)
第四十四条 開発許可又は前条第一項の許可を受けた者の相続人その他の一般承継人は、被承継人が有していた当該許可に基づく地位を承継する。
第四十五条 開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権その他当該開発行為に関する工事を施行する権原を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。
(開発登録簿)
第四十六条 都道府県知事は、開発登録簿(以下「登録簿」という。)を調製し、保管しなければならない。
第四十七条 都道府県知事は、開発許可をしたときは、当該許可に係る土地について、次に掲げる事項を登録簿に登録しなければならない。
一 開発許可の年月日
二 予定建築物(用途地域等の区域内のものを除く。)の用途
三 公共施設の種類、位置及び区域
四 前三号に掲げるもののほか、開発許可の内容
五 第四十一条第一項の規定による制限の内容
六 前各号に定めるもののほか、建設省令で定める事項
2 都道府県知事は、第三十六条の規定による完了検査を行なつた場合において、当該工事が当該開発許可の内容に適合すると認めたときは、登録簿にその旨を附記しなければならない。
3 都道府県知事は、第八十一条第一項の規定による処分により第一項各号に掲げる事項について変動を生じたときは、登録簿に必要な修正を加えなければならない。
4 都道府県知事は、登録簿をつねに公衆の閲覧に供するように保管し、かつ、請求があつたときは、その写しを交付しなければならない。
5 登録簿の調製、閲覧その他登録簿に関し必要な事項は、建設省令で定める。
(国及び地方公共団体の援助)
第四十八条 国及び地方公共団体は、市街化区域内における良好な市街地の開発を促進するため、市街化区域内において開発許可を受けた者に対する必要な技術上の助言又は資金上その他の援助に努めるものとする。
(開発許可手数料)
第四十九条 開発許可に関し地方自治法第二百二十七条第二項の規定により徴収することができる手数料の額は、一件につき十万円をこえることができない。
(不服申立て)
第五十条 第二十九条、第四十一条第二項ただし書、第四十二条第一項ただし書若しくは第四十三条第一項の規定に基づく処分若しくはこれに係る不作為(行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第二条第二項に規定する不作為をいう。)又はこれらの規定に違反した者に対する第八十一条第一項の規定に基づく監督処分についての審査請求は、開発審査会に対してするものとする。
2 開発審査会は、前項の規定による審査請求を受理した場合においては、審査請求を受理した日から二月以内に、裁決をしなければならない。
3 開発審査会は、前項の裁決を行なう場合においては、あらかじめ、審査請求人、処分庁その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審理を行なわなければならない。
4 開発審査会の裁決に不服がある者は、建設大臣に対して再審査請求をすることができる。
第五十一条 第二十九条、第四十二条第一項ただし書又は第四十三条第一項の規定による処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、土地調整委員会に裁定の申請をすることができる。この場合においては、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
2 行政不服審査法第十八条の規定は、前項に規定する処分につき、処分庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合に準用する。
(審査請求と訴訟との関係)
第五十二条 第五十条第一項に規定する処分の取消しの訴え(前条第一項の規定により土地調整委員会に裁定の申請をすることができる事項に関する訴えを除く。)は、当該処分についての審査請求に対する開発審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
第二節 都市計画施設等の区域内における建築の規制
(建築の許可)
第五十三条 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、都市計画事業の施行として行なう行為(これに準ずる行為として政令で定めるものを含む。)、非常災害のため必要な応急措置として行なう行為又はその他の政令で定める軽易な行為については、この限りでない。
2 第四十二条第二項の規定は、前項の規定による許可について準用する。
3 第一項の規定は、第六十五条第一項に規定する告示があつた後は、当該告示に係る土地の区域内においては、適用しない。
(許可の基準)
第五十四条 都道府県知事は、前条第一項の規定による許可の申請があつた場合において、当該建築が都市計画施設若しくは市街地開発事業に関する都市計画に適合し、又は当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、若しくは除却することができるものであると認めるときは、その許可をしなければならない。
一 階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。
二 主要構造部(建築基準法第二条第五号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。
(許可の基準の特例等)
第五十五条 都道府県知事は、都市計画施設の区域内の土地でその指定したものの区域又は市街地開発事業(土地区画整理事業を除く。)の施行区域(以下次条及び第五十七条において「事業予定地」という。)内において行なわれる建築物の建築については、前条の規定にかかわらず、第五十三条第一項の許可をしないことができる。ただし、次条第二項の規定により買い取らない旨の通知があつた土地における建築物の建築については、この限りでない。
2 都市計画事業を施行しようとする者その他政令で定める者は、都道府県知事に対し、前項の規定による土地の指定をすべきこと又は次条第一項の規定による土地の買取りの申出及び第五十七条第二項本文の規定による届出の相手方として定めるべきことを申し出ることができる。
3 都道府県知事は、前項の規定により土地の指定をすべきことを申し出た者を次条第一項の規定による土地の買取りの申出及び第五十七条第二項本文の規定による届出の相手方として定めることができる。
4 都道府県知事は、第一項の規定による土地の指定をするとき、又は第二項の規定による申出に基づき、若しくは前項の規定により、次条第一項の規定による土地の買取りの申出及び第五十七条第二項本文の規定による届出の相手方を定めるときは、建設省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
(土地の買取り)
第五十六条 都道府県知事(前条第四項の規定により、土地の買取りの申出の相手方として公告された者があるときは、その者)は、事業予定地内の土地の所有者から、前条第一項本文の規定により建築物の建築が許可されないときはその土地の利用に著しい支障をきたすこととなることを理由として、当該土地を買い取るべき旨の申出があつた場合においては、特別の事情がない限り、当該土地を時価で買い取るものとする。
2 前項の規定による申出を受けた者は、遅滞なく、当該土地を買い取る旨又は買い取らない旨を当該土地の所有者に通知しなければならない。
3 前条第四項の規定により土地の買取りの申出の相手方として公告された者は、前項の規定により土地を買い取らない旨の通知をしたときは、ただちに、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。
4 第一項の規定により土地を買い取つた者は、当該土地に係る都市計画に適合するようにこれを管理しなければならない。
(土地の先買い等)
第五十七条 市街地開発事業に係る第二十条第一項(第二十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示又は市街地開発事業若しくは市街化区域内の都市計画施設に係る第五十五条第四項の規定による公告があつたときは、都道府県知事(同項の規定により、次項本文の規定による届出の相手方として公告された者があるときは、その者。以下この条において同じ。)は、すみやかに、建設省令で定める事項を公告するとともに、建設省令で定めるところにより、事業予定地内の土地の有償譲渡について、次項から第四項までの規定による制限があることを関係権利者に周知させるため必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定による公告の日の翌日から起算して十日を経過した後に事業予定地内の土地を有償で譲り渡そうとする者(土地及びこれに定着する建築物その他の工作物を有償で譲り渡そうとする者を除く。)は、当該土地、その予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積つた額。以下この条において同じ。)及び当該土地を譲り渡そうとする相手方その他建設省令で定める事項を書面で都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該土地の全部又は一部が、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第四十六条(同法第五十六条の十四において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものであるとき、又は第六十六条の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後における当該公告に係る都市計画事業を施行する土地に含まれるものであるときは、この限りでない。
3 前項の規定による届出があつた後三十日以内に都道府県知事が届出をした者に対し届出に係る土地を買い取るべき旨の通知をしたときは、当該土地について、都道府県知事と届出をした者との間に届出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
4 第二項の届出をした者は、前項の期間(その期間内に都道府県知事が届出に係る土地を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該土地を譲り渡してはならない。
5 前条第四項の規定は、第三項の規定により土地を買い取つた者について準用する。
第三節 風致地区内における建築等の規制
(建築等の規制)
第五十八条 風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。
2 第五十一条の規定は、前項の規定に基づく条例の規定による処分に対する不服について準用する。
第四章 都市計画事業
第一節 都市計画事業の認可等
(施行者)
第五十九条 都市計画事業は、市町村が、都道府県知事の認可を受けて施行する。
2 都の特別区は、主として当該特別区の住民の用に供する都市施設に関する都市計画事業に限り、都知事の認可を受けて、これを施行することができる。
3 都道府県は、市町村が施行することが困難又は不適当な場合、前項の規定により都の特別区が施行することができない都市計画事業に係る場合その他特別な事情がある場合においては、建設大臣の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。
4 国の機関は、建設大臣の承認を受けて、国の利害に重大な関係を有する都市計画事業を施行することができる。
5 国の機関、都道府県及び市町村以外の者は、事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においてこれらの処分を受けているとき、その他特別な事情がある場合においては、都道府県知事の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。
6 都道府県知事は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見をきかなければならない。
7 建設大臣又は都道府県知事は、第一項から第五項までの規定による認可又は承認をしようとする場合において、当該都市計画事業が、用排水施設その他農用地の保全若しくは利用上必要な公共の用に供する施設を廃止し、若しくは変更するものであるとき、又はこれらの施設の管理、新設若しくは改良に係る土地改良事業計画に影響を及ぼすおそれがあるものであるときは、当該都市計画事業について、当該施設を管理する者又は当該土地改良事業計画による事業を行なう者の意見をきかなければならない。ただし、政令で定める軽易なものについては、この限りでない。
(認可又は承認の申請)
第六十条 前条の認可又は承認を受けようとする者は、建設省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を建設大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
一 施行者の名称
二 都市計画事業の種類
三 事業計画
四 その他建設省令で定める事項
2 前項第三号の事業計画には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 収用又は使用の別を明らかにした事業地(都市計画事業を施行する土地をいう。以下同じ。)
二 設計の概要
三 事業施行期間
3 第一項の申請書には、建設省令で定めるところにより、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 事業地を表示する図面
二 設計の槻要を表示する図書
三 資金計画書
四 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたことを証明する書類又は当該行政機関の意見書
五 その他建設省令で定める図書
4 第十四条第二項の規定は、第二項第一号及び前項第一号の事業地の表示について準用する。
(認可等の基準)
第六十一条 建設大臣又は都道府県知事は、申請手続が法令に違反せず、かつ、申請に係る事業が次の各号に該当するときは、第五十九条の認可又は承認をすることができる。
一 事業の内容が都市計画に適合し、かつ、事業施行期間が適切であること。
二 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたこと又はこれらの処分がされることが確実であること。
(都市計画事業の認可等の告示)
第六十二条 建設大臣又は都道府県知事は、第五十九条の認可又は承認をしたときは、遅滞なく、建設省令で定めるところにより、施行者の名称、都市計画事業の種類、事業施行期間及び事業地を告示し、かつ、建設大臣にあつては関係都道府県知事及び関係市町村長に、都道府県知事にあつては建設大臣及び関係市町村長に、第六十条第三項第一号及び第二号に掲げる図書の写しを送付しなければならない。
2 市町村長は、前項の告示に係る事業施行期間の終了の日又は第六十九条の規定により適用される土地収用法第三十条の二の規定により準用される同法第三十条第二項の告示の日まで、建設省令で定めるところにより、前項の図書を当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。
(事業計画の変更)
第六十三条 第六十条第一項第三号の事業計画を変更しようとする者は、国の機関にあつては建設大臣の承認を、都道府県にあつては建設大臣の認可を、その他の者にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。ただし、設計の概要について建設省令で定める軽易な変更をしようとするときは、この限りでない。
2 第五十九条第七項及び前三条の規定は、前項の認可又は承認について準用する。
(認可に基づく地位の承継)
第六十四条 第五十九条第五項の認可に基づく地位は、相続その他の一般承継による場合のほか、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の承認を受けて承継することができる。
2 第五十九条第五項の認可に基づく地位が承継された場合においては、この法律又はこの法律に基づく命令の規定により被承継人がした処分、手続その他の行為は、承継人がしたものとみなし、被承継人に対してした処分、手続その他の行為は、承継人に対してしたものとみなす。
第二節 都市計画事業の施行
(建築等の制限)
第六十五条 第六十二条第一項の規定による告示又は新たな事業地の編入に係る第六十三条第二項において準用する第六十二条第一項の規定による告示があつた後においては、当該事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、その許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。
3 第四十二条第二項の規定は、第一項の規定による許可について準用する。
(事業の施行について周知させるための措置)
第六十六条 前条第一項に規定する告示があつたときは、施行者は、すみやかに、建設省令で定める事項を公告するとともに、建設省令で定めるところにより、事業地内の土地又は土地及びこれに定着する建築物その他の工作物(以下「土地建物等」という。)の有償譲渡について、次条の規定による制限があることを関係権利者に周知させるため必要な措置を講じ、かつ、自己が施行する都市計画事業の概要について、事業地及びその附近地の住民に説明し、これらの者から意見を聴取する等の措置を講ずることにより、事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならない。
(土地建物等の先買い)
第六十七条 前条の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後に事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、当該土地建物等、その予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積もつた額。以下この条において同じ。)及び当該土地建物等を譲り渡そうとする相手方その他建設省令で定める事項を書面で施行者に届け出なければならない。ただし、当該土地建物等の全部又は一部が文化財保護法第四十六条(同法第五十六条の十四において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定による届出があつた後三十日以内に施行者が届出をした者に対し届出に係る土地建物等を買い取るべき旨の通知をしたときは、当該土地建物等について、施行者と届出をした者との間に届出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
3 第一項の届出をした者は、前項の期間(その期間内に施行者が届出に係る土地建物等を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該土地建物等を譲り渡してはならない。
(土地の買取請求)
第六十八条 事業地内の土地で、次条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定により収用の手続が保留されているものの所有者は、施行者に対し、建設省令で定めるところにより、当該土地を時価で買い取るべきことを請求することができる。ただし、当該土地が他人の権利の目的となつているとき、及び当該土地に建築物その他の工作物又は立木に関する法律(明治四十二年法律第二十二号)第一条第一項に規定する立木があるときは、この限りでない。
2 前項の規定により買い取るべき土地の価額は、施行者と土地の所有者とが協議して定める。
3 第二十八条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
(都市計画事業のための土地等の収用又は使用)
第六十九条 都市計画事業については、これを土地収用法第三条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。
第七十条 都市計画事業については、土地収用法第二十条(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定は行なわず、第五十九条の規定による認可又は承認をもつてこれに代えるものとし、第六十二条第一項の規定による告示をもつて同法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示とみなす。
2 事業計画を変更して新たに事業地に編入した土地については、前項中「第五十九条」とあるのは「第六十三条第一項」と、「第六十二条第一項」とあるのは「第六十三条第二項において準用する第六十二条第一項」とする。
第七十一条 都市計画事業については、土地収用法第二十九条及び第三十四条の六(同法第百三十八条第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定は適用せず、同法第二十九条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により事業の認定が効力を失なうべき理由に該当する理由があるときは、前条第一項の規定にかかわらず、その理由の生じた時に同法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつたものとみなして、同法第八条第三項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十九条第一項、第四十六条の二第一項、第七十一条第一項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)及び第八十九条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を適用する。
2 権利取得裁決があつた後、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示に係る事業施行期間を経過するまでに明渡裁決の申立てがないときは、その期間を経過した時に、すでにされた裁決手続開始の決定及び権利取得裁決は、取り消されたものとみなす。
第七十二条 施行者は、第六十九条の規定により適用される土地収用法第三十一条の規定によつて収用又は使用の手続を保留しようとするときは、建設省令で定めるところにより、第五十九条又は第六十三条第一項の規定による認可又は承認を受けようとする際、その旨及び手続を保留する事業地の範囲を記載した申立書を提出しなければならない。この場合においては、第六十条第三項第一号(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる図面に手続を保留する事業地の範囲を表示しなければならない。
2 第十四条第二項の規定は、前項の規定による事業地の範囲の表示について準用する。
3 建設大臣又は都道府県知事は、第一項の申立てがあつたときは、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示の際、あわせて、事業の認可又は承認後の収用又は使用の手続が保留される旨及び手続が保留される事業地の範囲を告示しなければならない。
第七十三条 前四条に定めるもののほか、都市計画事業に対する土地収用法の適用に関しては、次の各号に定めるところによる。
一 土地収用法第二十八条の三(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)及び第百四十二条の規定は適用せず、同法第八十九条第三項中「第二十八条の三第一項」とあるのは、「都市計画法第六十五条第一項」とする。
二 土地収用法第三十四条及び第百条第二項後段に定める期間の終期は、第六十二条第一項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による告示に係る事業施行期間の経過の時とする。
三 土地収用法第三十四条の四第二項中「第二十六条の二第二項の図面」とあるのは、「都市計画法第六十二条第二項(第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の図書」とする。
四 土地収用法第九十二条第一項中「第二十九条若しくは第三十四条の六の規定によつて事業の認定が失効し」とあるのは、「第三十九条第一項の規定による収用又は使用の裁決の申請の期限を徒過し」とする。
(生活再建のための措置)
第七十四条 都市計画事業の施行に必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者は、その受ける補償と相まつて実施されることを必要とする場合においては、生活再建のための措置で次の各号に掲げるものの実施のあつせんを施行者に申し出ることができる。
一 宅地、開発して農地とすることが適当な土地その他の土地の取得に関すること。
二 住宅、店舗その他の建物の取得に関すること。
三 職業の紹介、指導又は訓練に関すること。
2 施行者は、前項の規定による申出があつた場合においては、事情の許す限り、当該申出に係る措置を講ずるように努めるものとする。
(受益者負担金)
第七十五条 国、都道府県又は市町村は、都市計画事業によつて著しく利益を受ける者があるときは、その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させることができる。
2 前項の場合において、その負担金の徴収を受ける者の範囲及び徴収方法については、国が負担させるものにあつては政令で、都道府県又は市町村が負担させるものにあつては当該都道府県又は市町村の条例で定める。
3 前二項の規定による受益者負担金(以下この条において「負担金」という。)を納付しない者があるときは、国、都道府県又は市町村(以下この条において「国等」という。)は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
4 前項の場合においては、国等は、政令(都道府県又は市町村にあつては、条例)で定めるところにより、百円につき一日四銭の割合を乗じて計算した額をこえない範囲内の延滞金を徴収することができる。
5 第三項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しない場合においては、国等は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
6 延滞金は、負担金に先だつものとする。
7 負担金及び延滞金を徴収する権利は、五年間行なわないときは、時効により消滅する。
第五章 都市計画中央審議会等
(都市計画中央審議会)
第七十六条 この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議させ、及び建設大臣の諮問に応じ都市計画に関する重要事項を調査審議させるため、建設省の附属機関として、都市計画中央審議会を置く。
2 都市計画中央審議会は、都市計画に関する重要事項について、関係行政機関に建議することができる。
3 都市計画中央審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(都市計画地方審議会)
第七十七条 この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議させ、及び都道府県知事の諮問に応じ都市計画に関する事項を調査審議させるため、都道府県に、都市計画地方審議会を置く。
2 都市計画地方審議会は、都市計画に関する事項について、関係行政機関に建議することができる。
3 都市計画地方審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で定める。
(開発審査会)
第七十八条 第五十条第一項に規定する審査請求に対する裁決その他この法律によりその権限に属させられた事項を行なわせるため、都道府県に、開発審査会を置く。
2 開発審査会は、委員七人をもつて組織する。
3 委員は、法律、経済、都市計画、建築、公衆衛生又は行政に関しすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県知事が任命する。
4 次の各号の一に該当する者は、委員となることができない。
一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
5 都道府県知事は、委員の前項各号の一に該当するに至つたときは、その委員を解任しなければならない。
6 都道府県知事は、その任命に係る委員が次の各号の一に該当するときは、その委員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。
7 委員は、自己又は三親等以内の親族の利害に関係のある事件については、第五十条第一項に規定する審査請求に対する裁決に関する議事に加わることができない。
8 第二項から前項までに定めるもののほか、開発審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で定める。
第六章 雑則
(許可等の条件)
第七十九条 この法律の規定による許可、認可又は承認には、都市計画上必要な条件を附することができる。この場合において、その条件は、当該許可、認可又は承認を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
(報告、勧告、援助等)
第八十条 建設大臣は国の機関以外の施行者に対し、都道府県知事は施行者である市町村又はこの法律の規定による許可、認可若しくは承認を受けた者に対し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な勧告若しくは助言をすることができる。
2 市町村又は施行者は、建設大臣又は都道府県知事に対し、都市計画の決定若しくは変更又は都市計画事業の施行の準備若しくは施行のため、それぞれ都市計画又は都市計画事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。
(監督処分)
第八十一条 建設大臣又は都道府県知事は、次の各号の一に該当する者に対して、都市計画上必要な限度において、この法律の規定によつてした許可、認可若しくは承認(都市計画の決定又は変更に係るものを除く。以下この条において同じ。)を取り消し、変更し、その効力を停止し、その条件を変更し、若しくは新たに条件を附し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建築物その他の工作物若しくは物件の改築、移転若しくは除却その他違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。
一 この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反した者
二 この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないでみずからその工事をしている者若しくはした者
三 この法律の規定による許可、認可又は承認に附した条件に違反している者
四 詐欺その他不正な手段により、この法律の規定による許可、認可又は承認を受けた者
2 建設大臣又は都道府県知事は、前項の規定により処分をし、又は必要な措置をとることを命じようとするときは、あらかじめ、当該処分又は措置を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。
3 第一項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、建設大臣又は都道府県知事は、その者の負担において、当該措置をみずから行ない、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行なうべき旨及びその期限までに当該措置を行なわないときは、建設大臣若しくは都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行なう旨を、あらかじめ、公告しなければならない。
(立入検査)
第八十二条 建設大臣若しくは都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、前条の規定による権限を行なうため必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地若しくは当該土地にある物件又は当該土地において行なわれている工事の状況を検査することができる。
2 前項の規定により他人の土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。
3 前項に規定する証明書は、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
4 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(国の補助)
第八十三条 国は、地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、重要な都市計画又は都市計画事業に要する費用の一部を補助することができる。
(土地基金)
第八十四条 都道府県又は指定都市は、第五十六条及び第五十七条の規定による土地の買取りを行なうほか、都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内の土地、都市開発資金の貸付けに関する法律(昭和四十一年法律第二十号)第一条各号に掲げる土地その他政令で定める土地の買取りを行なうため、地方自治法第二百四十一条の基金として、土地基金を設けることができる。
2 国は、前項の規定による土地基金の財源を確保するため、都道府県又は指定都市に対し、必要な資金の融通又はあつせんその他の援助に努めるものとする。
(税制上の措置等)
第八十五条 国又は地方公共団体は、都市計画の適切な遂行を図るため、市街化区域内の土地について、その有効な利用の促進及びその投機的取引の抑制に関し、税制上の措置その他の適切な措置を講ずるものとする。
(都道府県知事の権限の委任)
第八十六条 都道府県知事は、第三章第一節の規定によりその権限に属する事務については、地方自治法第百五十三条第二項の規定にかかわらず、人口十万以上の市の長に限り、これを委任することができる。
2 都道府県知事は、前項の事務で臨港地区に係るものを、政令で定めるところにより、港務局の長又は港湾管理者である地方公共団体の長に委任することができる。
(大都市の特例)
第八十七条 建設大臣又は都道府県知事は、指定都市の区域を含む都市計画区域に係る都市計画を決定し、又は変更しようとするときは、当該指定都市の長と協議するものとする。
2 第二十六条、第二十七条、第三章及び第六十五条第一項の規定により都道府県が処理することとされている事務又は都道府県知事の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、指定都市においては、政令で定めるところにより、当該指定都市が処理し、又は当該指定都市の長が行なう。この場合においては、この法律の規定中都道府県又は都道府県知事に関する規定は、指定都市又は指定都市の長に関する規定として指定都市又は指定都市の長に適用があるものとする。
(政令への委任)
第八十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第七章 罰則
第八十九条 第五十九条第五項の規定により認可を受けて都市計画事業を施行する者(以下「特別施行者」という。)又は特別施行者である法人の役員若しくは職員が、当該都市計画事業に係る職務に関し、賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、七年以下の懲役に処する。
2 特別施行者又は特別施行者である法人の役員若しくは職員であつた者が、その在職中に請託を受けて当該都市計画事業に係る職務上不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたことにつき賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。
3 特別施行者又は特別施行者である法人の役員若しくは職員が、当該都市計画事業に係る職務に関し、請託を受けて第三者に賄賂を供与させ、又はその供与を約束したときは、三年以下の懲役に処する。
4 犯人又は情を知つた第三者の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第九十条 前条第一項から第三項までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二十五万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第九十一条 第八十一条第一項の規定による建設大臣又は都道府県知事の命令に違反した者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第九十二条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第二十五条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による土地の立入りを拒み、又は妨げた者
二 第二十六条第一項に規定する場合において、市町村長の許可を受けないで障害物を伐除した者又は都道府県知事の許可を受けないで土地に試掘等を行なつた者
三 第二十九条の規定に違反して、開発行為をした者
四 第三十七条、第四十一条第二項、第四十二条第一項又は第四十三条第一項の規定に違反して、建築物を建築した者
五 第四十二条第一項又は第四十三条第一項の規定に違反して、建築物の用途を変更した者
第九十三条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第八十条第一項の規定による報告又は資料の提出を求められて、報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
二 第八十二条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第九十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第九十五条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第五十七条第二項又は第六十七条第一項の規定に違反して、届出をしないで土地又は土地建物等を有償で譲り渡した者
二 第五十七条第二項又は第六十七条第一項の届出について、虚偽の届出をした者
三 第五十七条第四項又は第六十七条第三項の規定に違反して、同項の期間内に土地建物等を譲り渡した者
第九十六条 第三十八条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の過料に処する。
第九十七条 第五十八条第一項の規定に基づく条例には、罰金のみを科する規定を設けることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、別に法律で定める日から施行する。
(都市計画法等の廃止)
2 次に掲げる法律は、廃止する。
一 都市計画法(大正八年法律第三十六号)
二 住宅地造成事業に関する法律(昭和三十九年法律第百六十号)
(開発行為の規制等の適用除外)
3 この法律中市街化区域、市街化調整区域及び第三章第一節の規定による開発行為等の規制に関する規定は、当分の間、大都市及びその周辺の都市に係る都市計画区域その他の政令で定める都市計画区域以外の都市計画区域については、適用しない。
(農地法の一部改正)
4 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第五号を次のように改める。
五 市街化区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の市街化区域と定められた区域で、同法第二十三条第一項の規定による協議がととのつたものをいう。)内にある農地を、省令で定めるところによりあらかじめ都道府県知事に届け出て、農地以外のものにする場合
第五条第一項第三号を次のように改める。
三 前条第一項第五号に規定する市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、省令で定めるところによりあらかじめ都道府県知事に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合
第七条第一項第十号を次のように改める。
十 第五条第一項第三号の届出をして農地若しくは採草放牧地を取得した者又はその一般承継人が所有する当該届出に係る農地又は採草放牧地で、小作地又は小作採草放牧地であるもの
第七十三条第一項中第三号を削り、第四号を第三号とする。
(経過措置等)
5 前三項に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置その他の事項については、別に法律で定める。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 赤間文三
外務大臣 三木武夫
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 灘尾弘吉
厚生大臣 園田直
農林大臣 西村直己
通商産業大臣 椎名悦三郎
運輸大臣 中曽根康弘
郵政大臣 小林武治
労働大臣 小川平二
建設大臣 保利茂
自治大臣 赤沢正道