都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第35号
公布年月日: 昭和55年5月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年の都市化に伴い、良好な居住環境への住民要請が強まっている一方で、市街地の小規模地域において、街路や公園等の施設整備、建築物の敷地等の状況に関して、良好な都市環境の形成上の問題が生じている。このため、良好な環境の街区の整備及び保全を図るという観点から、都市計画の一つとして地区計画を新たに創設し、現行の開発許可制度及び建築確認制度と合わせて、地区計画に従った秩序ある開発行為や建築物の建築等が行われるよう、誘導・規制するための制度を設ける必要がある。

参照した発言:
第91回国会 衆議院 建設委員会 第6号

審議経過

第91回国会

参議院
(昭和55年3月18日)
衆議院
(昭和55年3月19日)
(昭和55年4月2日)
(昭和55年4月4日)
(昭和55年4月8日)
参議院
(昭和55年4月8日)
(昭和55年4月15日)
(昭和55年4月23日)
都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十五年五月一日
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 倉石忠雄
法律第三十五号
都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律
(都市計画法の一部改正)
第一条 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三節 風致地区内における建築等の規制(第五十八条)」を
第三節
風致地区内における建築等の規制(第五十八条)
第四節
地区計画等の区域内における建築等の規制(第五十八条の二・第五十八条の三)
に、「第八十八条」を「第八十八条の二」に改める。
第四条中第十五項を第十六項とし、第九項から第十四項までを一項ずつ繰り下げ、第八項の次に次の一項を加える。
9 この法律において「地区計画等」とは、第十二条の四第一項各号に掲げる計画をいう。
第十二条の四を次のように改める。
(地区計画等)
第十二条の四 都市計画には、当該都市計画区域について、次の各号に掲げる計画で必要なものを定めるものとする。
一 地区計画
二 幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和五十五年法律第三十四号)第九条第一項の規定による沿道整備計画
2 地区計画等については、地区計画等の種類、名称、位置及び区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする。
3 地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、及び保全するための計画とし、次の各号の一に該当する土地の区域について定めるものとする。
一 市街地開発事業その他相当規模の建築物若しくはその敷地の整備又はこれらと併せて行う公共施設の整備に関する事業が行われる、又は行われた土地の区域
二 現に市街化しつつあり、又は市街化することが確実と見込まれる土地の区域で、公共施設の整備の状況、土地利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれがあるもの
三 健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域
4 地区計画については、第二項に定めるもののほか、当該地区計画の目標その他当該区域の整備、開発及び保全に関する方針並びに主として街区内の居住者等の利用に供される道路、公園その他の政令で定める施設(次項及び第十九条第二項において「地区施設」という。)及び建築物その他の工作物(次項において「建築物等」という。)の整備並びに土地の利用に関する計画(以下「地区整備計画」という。)を都市計画に定めるものとする。
5 地区整備計画においては、次の各号に掲げる事項のうち、地区計画の目的を達成するため必要な事項を定めるものとする。
一 地区施設の配置及び規模
二 建築物等の用途の制限、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度又は最低限度、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度、建築物の敷地面積又は建築面積の最低限度、壁面の位置の制限、建築物等の高さの最高限度又は最低限度その他建築物等に関する事項で政令で定めるもの
三 前二号に掲げるもののほか、土地の利用の制限に関する事項で政令で定めるもの
6 地区計画を都市計画に定める際、当該地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない。この場合において、地区計画の区域の一部について地区整備計画を定めるときは、当該地区計画については、地区整備計画の区域をも都市計画に定めなければならない。
7 沿道整備計画について都市計画に定めるべき事項は、第二項に定めるもののほか、別に法律で定める。
第十三条第一項中第八号を第九号とし、第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。
七 地区計画は、市街化区域内において、公共施設の整備、建築物の建築その他の土地利用の現状及び将来の見通しを勘案し、当該区域の各街区における防災、安全、衛生等に関する機能が確保され、かつ、その良好な環境の形成又は保持のためその区域の特性に応じて合理的な土地利用が行われることを目途として、当該計画に従つて秩序ある開発行為、建築又は施設の整備が行われることとなるように定めること。
第十三条中第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。
4 地区計画を都市計画に定めるについて必要な基準は、第一項及び第二項に定めるもののほか、政令で定める。
第十四条第二項中「市街地開発事業等予定区域の区域」の下に「、地区計画の区域(地区計画の区域の一部について地区整備計画が定められているときは、地区計画の区域及び地区整備計画の区域)」を加える。
第十六条中「市町村は」の下に「、次項の規定による場合を除くのほか」を加え、同条に次の一項を加える。
2 都市計画に定める地区計画等の案は、意見の提出方法その他の政令で定める事項について条例で定めるところにより、その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成するものとする。
第十九条第一項中「市町村は」の下に「、次項の規定による場合を除き」を加え、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 市町村は、地区計画について都市計画を決定しようとするときは、当該都市計画に定めようとする事項のうち、政令で定める地区施設の配置及び規模その他の事項について、都道府県知事の承認を受けなければならない。
第二十一条第一項中「第八号」を「第九号」に改める。
第三十条第一項第三号中「以下」の下に「この節において」を加える。
第三十三条第一項第五号中「について」の下に「地区計画(当該土地について地区整備計画が定められているものに限る。)又は」を加え、「沿道整備計画に」を「地区計画又は沿道整備計画に」に改める。
第三章に次の一節を加える。
第四節 地区計画等の区域内における建築等の規制
(建築等の届出等)
第五十八条の二 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、建設省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他建設省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 国又は地方公共団体が行う行為
四 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
五 第二十九条の許可を要する行為その他政令で定める行為
2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち建設省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、建設省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。
3 市町村長は、第一項又は前項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置を執ることを勧告することができる。
4 市町村長は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、土地に関する権利の処分についてのあつせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(他の法律による建築等の規制)
第五十八条の三 地区計画等の区域内における建築物の建築その他の行為に関する制限については、前条に定めるもののほか、別に法律で定める。
第六章中第八十八条の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第八十八条の二 この法律の規定に基づき政令又は建設省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、政令又は建設省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第九十条第一項中「三十万円」を「百万円」に改める。
第九十一条及び第九十二条中「二十万円」を「三十万円」に改める。
第九十三条中「三万円」を「十万円」に改め、第二号を第三号とし、第一号を第二号とし、同号の前に次の一号を加える。
一 第五十八条の二第一項又は第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第九十五条中「二十万円」を「三十万円」に改める。
第九十六条中「三万円」を「十万円」に改める。
附則第六項中「二十万円」を「三十万円」に改める。
附則第八項中「三万円」を「十万円」に改める。
(建築基準法の一部改正)
第二条 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七節 沿道整備計画の区域(第六十八条の二)」を「第七節 地区計画等の区域(第六十八条の二―第六十八条の五)」に、「第九十七条の三」を「第九十七条の四」に改める。
第二条第二十三号を同条第二十五号とし、同条第二十二号中「に規定する」を「第二号に掲げる」に改め、同号を同条第二十四号とし、同条第二十一号の次に次の二号を加える。
二十二 地区計画 都市計画法第十二条の四第一項第一号に掲げる地区計画をいう。
二十三 地区整備計画 都市計画法第十二条の四第四項に規定する地区整備計画をいう。
「第七節 沿道整備計画の区域」を「第七節 地区計画等の区域」に改める。
第六十八条の二第一項中「沿道整備計画の区域」を「地区計画又は沿道整備計画の区域(地区計画の区域にあつては、地区整備計画が定められている区域に限る。以下この節において「地区計画等の区域」という。)」に、「当該沿道整備計画」を「当該地区計画又は沿道整備計画」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第一項の規定に基づく条例で建築物の敷地面積に関する制限を定める場合においては、当該条例に、当該条例の規定の施行又は適用の際、現に建築物の敷地として使用されている土地で当該規定に適合しないもの又は現に存する所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば当該規定に適合しないこととなる土地について、その全部を一の敷地として使用する場合の適用の除外に関する規定(第三条第三項第一号及び第五号の規定に相当する規定を含む。)を定めるものとする。
第三章第七節中第六十八条の二の次に次の三条を加える。
(道路の位置の指定に関する特例)
第六十八条の三 地区計画又は沿道整備計画に道の配置及び規模が定められている場合には、当該地区計画等の区域における第四十二条第一項第五号の規定による位置の指定は、これらの計画に定められた道の配置に即して行わなければならない。ただし、建築物の敷地として利用しようとする土地の位置と現に存する道路の位置との関係その他の事由によりこれにより難いと認められる場合においては、この限りでない。
(予定道路の指定)
第六十八条の四 特定行政庁は、地区計画又は沿道整備計画に道の配置及び規模が定められている場合で、次の各号の一に該当するときは、当該地区計画等の区域において、これらの計画に定められた道の配置及び規模に即して、政令で定める基準に従い、予定道路の指定を行うことができる。ただし、第二号又は第三号に該当する場合で当該指定に伴う制限により当該指定の際現に当該予定道路の敷地となる土地を含む土地について所有権その他の権利を有する者が当該土地をその権利に基づいて利用することが著しく妨げられることとなるときは、この限りでない。
一 当該指定について、当該予定道路の敷地となる土地の所有者その他の政令で定める利害関係を有する者の同意を得たとき。
二 土地区画整理法による土地区画整理事業又はこれに準ずる事業により主要な区画道路が整備された区域において、当該指定に係る道が新たに当該区画道路に接続した細街路網を一体的に形成するものであるとき。
三 地区計画又は沿道整備計画においてその配置及び規模が定められた道の相当部分の整備が既に行われている場合で、整備の行われていない道の部分に建築物の建築等が行われることにより整備された道の機能を著しく阻害するおそれがあるとき。
2 特定行政庁は、前項の規定により予定道路の指定を行う場合(同項第一号に該当する場合を除く。)においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
3 第四十六条第一項後段、第二項及び第三項の規定は、前項に規定する場合について準用する。
4 第一項の規定により予定道路が指定された場合においては、当該予定道路を第四十二条第一項に規定する道路とみなして、第四十四条の規定を適用する。
(建築物の敷地が地区計画等の区域の内外にわたる場合の措置)
第六十八条の五 第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度又は建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度が定められた場合において、建築物の敷地が当該条例による制限を受ける区域の内外にわたるときは、当該条例で定められた建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度又は建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度を、それぞれ第五十二条第一項の規定による建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の限度又は第五十三条第一項の規定による建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の限度とみなして、第五十二条第二項、第四項及び第五項又は第五十三条第二項及び第四項の規定を適用する。
第六章中第九十七条の三の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第九十七条の四 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(土地区画整理法の一部改正)
2 土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)の一部を次のように改正する。
第九条第二項及び第二十一条第二項中「行なわれる」を「行われる」に、「第四条第十一項」を「第四条第十二項」に改める。
(都市再開発法の一部改正)
3 都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)の一部を次のように改正する。
第七条の八中「第四条第十項」を「第四条第十二項」に改める。
(生産緑地法の一部改正)
4 生産緑地法(昭和四十九年法律第六十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「第四条第十項」を「第四条第十一項」に改める。
建設大臣 渡辺栄一
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 倉石忠雄