建築基準法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第六十六号
公布年月日: 昭和62年6月5日
法令の形式: 法律
建築基準法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和六十二年六月五日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第六十六号
建築基準法の一部を改正する法律
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項第二号中「第五十四条第一項」の下に「、第五十五条第一項」を加える。
第六条第一項第二号中「五百平方メートル」の下に「、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートル」を加える。
第二十一条第二項中「高さ」を「高さが」に、「こえる」を「超える」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項中「高さ十三メートル、軒の高さ九メートル又は延べ面積」を「延べ面積が」に、「こえる」を「超える」に改め、同項を同条第二項とし、同項の前に次の一項を加える。
高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超える建築物は、主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を木造としてはならない。ただし、構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について安全上及び防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物(政令で定める用途に供するものを除く。)は、この限りでない。
第二十六条中「こえる」を「超える」に改め、同条ただし書を次のように改める。
ただし、次の各号の一に該当する建築物については、この限りでない。
一 耐火建築物又は簡易耐火建築物
二 卸売市場の上家、機械製作工場その他これらと同等以上に火災の発生のおそれが少ない用途に供する建築物で、イ又はロのいずれかに該当するもの
イ 主要構造部が不燃材料で造られたものその他これに類する構造のもの
ロ 構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合するもの
三 畜舎その他の政令で定める用途に供する建築物で、その周辺地域が農業上の利用に供され、又はこれと同様の状況にあつて、特定行政庁がその構造及び用途並びに周囲の状況により避難上及び延焼防止上支障がないと認めるもの
第四十一条中「因り」を「より」に改め、「第二十一条第一項」の下に「及び第二項」を加え、「及び第三十六条」を「並びに第三十六条」に改める。
第五十二条第五項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第四項中「及び第二項」を「から第三項まで」に改め、同項を同条第六項とし、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同項の次に次の一項を加える。
5 前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が次に掲げる基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなして、第一項から第三項までの規定を適用するものとする。この場合においては、当該建築物の敷地のうち前面道路と壁面線との間の部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。
一 当該建築物がある街区内における土地利用の状況等からみて、その街区内において、前面道路と壁面線との間の敷地の部分が当該前面道路と一体的かつ連続的に有効な空地として確保されており、又は確保されることが確実と見込まれること。
二 交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないこと。
第五十二条第二項の次に次の一項を加える。
3 建築物の敷地が、幅員十五メートル以上の道路(以下この項において「特定道路」という。)に接続する幅員六メートル以上十二メートル未満の前面道路のうち当該特定道路からの延長が七十メートル以内の部分において接する場合における当該建築物に対する前二項の規定の適用については、第一項中「幅員」とあるのは、「幅員(第三項の特定道路に接続する同項の前面道路のうち当該特定道路からの延長が七十メートル以内の部分にあつては、その幅員に、当該特定道路から当該建築物の敷地が接する当該前面道路の部分までの延長に応じて政令で定める数値を加えたもの)」とする。
第五十四条第一項中「第八十六条第四項」を「第八十六条第八項」に改める。
第五十五条を次のように改める。
(第一種住居専用地域内における建築物の高さの限度)
第五十五条 第一種住居専用地域内においては、建築物の高さは、十メートル又は十二メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
2 前項の都市計画において建築物の高さの限度が十メートルと定められた第一種住居専用地域内においては、その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、十二メートルとする。
3 前二項の規定は、次の各号の一に該当する建築物については、適用しない。
一 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの
二 学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの
4 第四十四条第二項の規定は、前項各号の規定による許可をする場合に準用する。
第五十六条第一項第一号を次のように改める。
一 別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域又は区域及び割合の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
第五十六条第一項第二号中「従い」の下に「、イに掲げる建築物で高さが二十メートルを超える部分を有するもの又はロ若しくはハに掲げる建築物で高さが三十一メートルを超える部分を有するものにあつては、それぞれその部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたものに」を加え、同項第三号中「別表第三」を「別表第四」に改め、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項第二号及び第三号」に、「同項各号」を「これらの規定」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前面道路の境界線から後退した建築物に対する前項第一号の規定の適用については、同号中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは、「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。)に相当する距離だけ外側の線」とする。
第五十六条の二第一項中「別表第三」を「別表第四」に改める。
第五十七条第二項及び第五十九条第四項中「第五十六条第一項第一号」の下に「及び第二項」を加える。
第五十九条の二第一項中「及び第二項」を「から第三項まで」に改める。
第六十二条第一項中「こえる」を「超える」に改め、「地階を除く階数が三である建築物又は」を削り、「が五百平方メートルをこえ」を「が五百平方メートルを超え」に改め、「簡易耐火建築物」の下に「とし、地階を除く階数が三である建築物は耐火建築物、簡易耐火建築物又は外壁の開口部の構造及び面積、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物」を加える。
第六十八条の五中「第四項及び第五項」を「第六項及び第七項」に改める。
第八十六条第一項中「第四項」を「第六項」に、「第五十五条第二項第三号」を「第五十五条第二項」に、「若しくは第三項」を「、第二項若しくは第四項」に改め、同条中第五項を第九項とし、第四項を第八項とし、第三項を第七項とし、同条第二項中「前項」を「第一項(第四項において準用する場合を含む。)」に改め、同項を同条第六項とし、同条第一項の次に次の四項を加える。
2 特定行政庁は、前項の規定により同一敷地内にあるものとみなされる二以上の構えをなす建築物(以下この条において「総合的設計による同一敷地内建築物」という。)について建築主事が第六条第三項又は第十八条第三項の規定による通知をしたときは、遅滞なく、これらの建築物について、建設省令で定める事項を公告しなければならない。
3 前項の規定による公告があつた日以後、総合的設計による同一敷地内建築物に係る一団地内において総合的設計による同一敷地内建築物以外の建築物を建築しようとする者は、建設省令で定めるところにより、当該建築物の位置及び構造が当該一団地内の他の建築物の位置及び構造との関係において安全上、防火上及び衛生上支障がない旨の特定行政庁の認定を受けなければならない。
4 第一項の規定は、前項の規定による認定を受けた建築物及び当該一団地内の他の建築物について準用する。
5 総合的設計による同一敷地内建築物に係る一団地内に第三項の規定による認定を受けた建築物がある場合における同項の規定の適用については、当該建築物を総合的設計による同一敷地内建築物とみなす。
第八十六条の二中「若しくは第二項」を「から第三項まで」に改める。
第九十一条中「第五十六条の二まで」の下に「及び別表第三」を加える。
第九十八条中「二十万円」を「三十万円」に改める。
第九十九条第一項中「十万円」を「二十万円」に改める。
第百条中「三万円」を「十万円」に改める。
第百二条中「十万円」を「二十万円」に改める。
別表第一中「別表第一 耐火建築物又は簡易耐火建築物としなければならない特殊建築物」を「別表第一 耐火建築物又は簡易耐火建築物としなければならない特殊建築物(第六条、第二十七条、第二十八条、第三十五条―第三十五条の三、第九十条の三関係)」に改める。
別表第二中「別表第二 用途地域内の建築物の制限」を「別表第二 用途地域内の建築物の制限(第二十七条、第四十八条関係)」に改める。
別表第三中「別表第三 日影による中高層の建築物の制限」を「別表第三 日影による中高層の建築物の制限(第五十六条、第五十六条の二関係)」に改め、同表を別表第四とし、別表第二の次に次の一表を加える。
別表第三
前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限
(第五十六条、第九十一条関係)
(い)
(ろ)
(は)
(に)
建築物がある地域又は区域
第五十二条第一項から第三項までの規定による延べ面積の敷地面積に対する割合の限度
距離
数値
第一種住居専用地域、第二種住居専用地域又は住居地域内の建築物
十分の二十以下の場合
二十メートル
一・二五
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合
二十五メートル
十分の三十を超える場合
三十メートル
近隣商業地域又は商業地域内の建築物
十分の四十以下の場合
二十メートル
一・五
十分の四十を超え、十分の六十以下の場合
二十五メートル
十分の六十を超え、十分の八十以下の場合
三十メートル
十分の八十を超える場合
三十五メートル
準工業地域、工業地域又は工業専用地域内の建築物
十分の二十以下の場合
二十メートル
一・五
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合
二十五メートル
十分の三十を超える場合
三十メートル
用途地域の指定のない区域内の建築物
十分の二十以下の場合
二十メートル
一・五
十分の二十を超え、十分の三十以下の場合
二十五メートル
十分の三十を超える場合
三十メートル
備考
一 建築物がこの表(い)欄に掲げる地域又は区域の二以上にわたる場合においては、同欄中「建築物」とあるのは、「建築物の部分」とする。
二 建築物の敷地がこの表(い)欄に掲げる地域又は区域の二以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる距離の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(総合的設計による一団地の建築物の取扱いに関する経過措置)
第二条 特定行政庁は、この法律の施行の際現に改正前の建築基準法(以下「旧法」という。)第八十六条第一項の規定により同一敷地内にあるものとみなされている二以上の構えをなす建築物でこの法律の施行前に建築主事が建築基準法第六条第三項又は第十八条第三項の規定による通知をしたものについて、この法律の施行の日から起算して六月以内に、建設省令で定める事項を公告しなければならない。
2 前項の規定によりされた公告は、改正後の建築基準法(以下「新法」という。)第八十六条第二項の規定によりされた公告とみなす。
(処分又は手続に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に旧法の規定によりされた許可、申請等の処分又は手続は、それぞれ新法の相当規定によりされた処分又は手続とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(建築士法の一部改正)
第五条 建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 木造の建築物又は建築物の部分で、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの
第三条の二第一項第一号中「前条第一項第二号」を「前条第一項第三号」に改める。
(都市計画法の一部改正)
第六条 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第八条第二項第二号ロ中「及び同法第五十四条」を「、同法第五十四条」に改め、「同条に規定する外壁の後退距離の限度にあつては、」を削り、「限る。)」の下に「及び同法第五十五条第一項に規定する建築物の高さの限度」を加える。
(第一種住居専用地域内における建築物の高さの限度に関する経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に存する第一種住居専用地域については、当該第一種住居専用地域内における建築物の高さの限度は、十メートルと定められているものとみなす。
建設大臣 天野光晴
内閣総理大臣 中曽根康弘