(立地適正化計画)
第八十一条 市町村は、都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域内の区域について、都市再生基本方針に基づき、住宅及び都市機能増進施設(医療施設、福祉施設、商業施設その他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するものをいう。以下同じ。)の立地の適正化を図るための計画(以下「立地適正化計画」という。)を作成することができる。
2 立地適正化計画には、その区域を記載するほか、おおむね次に掲げる事項を記載するものとする。
一 住宅及び都市機能増進施設の立地の適正化に関する基本的な方針
二 都市の居住者の居住を誘導すべき区域(以下「居住誘導区域」という。)及び居住環境の向上、公共交通の確保その他の当該居住誘導区域に都市の居住者の居住を誘導するために市町村が講ずべき施策に関する事項
三 都市機能増進施設の立地を誘導すべき区域(以下「都市機能誘導区域」という。)及び当該都市機能誘導区域ごとにその立地を誘導すべき都市機能増進施設(以下「誘導施設」という。)並びに必要な土地の確保、費用の補助その他の当該都市機能誘導区域に当該誘導施設の立地を誘導するために市町村が講ずべき施策に関する事項(次号に掲げるものを除く。)
四 都市機能誘導区域に誘導施設の立地を図るために必要な次に掲げる事業等に関する事項
ロ イに掲げる事業の施行に関連して必要となる公共公益施設の整備に関する事業、土地区画整理事業その他国土交通省令で定める事業
ハ イ又はロに掲げる事業と一体となってその効果を増大させるために必要な事務又は事業
五 第二号若しくは第三号の施策又は前号の事業等の推進に関連して必要な事項
六 前各号に掲げるもののほか、住宅及び都市機能増進施設の立地の適正化を図るために必要な事項
3 前項第四号に掲げる事項には、市町村が実施する事業等に係るものを記載するほか、必要に応じ、当該市町村以外の者が実施する事業等に係るものを記載することができる。
4 市町村は、立地適正化計画に当該市町村以外の者が実施する事業等に係る事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、その者の同意を得なければならない。
5 第二項第五号に掲げる事項には、次に掲げる事項を記載することができる。
一 都市機能誘導区域内の区域であって、歩行者の移動上の利便性及び安全性の向上のための駐車場の配置の適正化を図るべき区域(以下「駐車場配置適正化区域」という。)
二 前号の区域における路外駐車場(駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第二条第二号に規定する路外駐車場をいう。第百六条第一項において同じ。)の配置及び規模の基準(同条において「路外駐車場配置等基準」という。)に関する事項
三 第一号の区域における駐車施設(駐車場法第二十条第一項に規定する駐車施設をいう。以下この号において同じ。)の機能を集約するために整備する駐車施設(第百七条において「集約駐車施設」という。)の位置及び規模に関する事項
6 市町村は、立地適正化計画に前項各号に掲げる事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、都道府県公安委員会に協議しなければならない。
7 市町村は、立地適正化計画に第五項第三号に掲げる事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、都道府県知事(駐車場法第二十条第一項若しくは第二項又は第二十条の二第一項の規定に基づき条例を定めている都道府県の知事に限る。)に協議しなければならない。
8 第二項第五号に掲げる事項には、居住誘導区域外の区域のうち、住宅が相当数存在し、跡地(建築物の敷地であった土地で現に建築物が存しないものをいう。以下この項において同じ。)の面積が現に増加しつつある区域で、良好な生活環境の確保及び美観風致の維持のために当該区域内の跡地及び跡地に存する樹木(以下「跡地等」という。)の適正な管理が必要となると認められる区域(以下「跡地等管理区域」という。)並びに当該跡地等管理区域における跡地等の適正な管理を図るための指針(第百十条において「跡地等管理指針」という。)に関する事項を記載することができる。
9 立地適正化計画は、議会の議決を経て定められた市町村の建設に関する基本構想並びに都市計画法第六条の二の都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即するとともに、同法第十八条の二の市町村の都市計画に関する基本的な方針との調和が保たれたものでなければならない。
10 立地適正化計画は、都市の防災に関する機能の確保が図られるように配慮されたものでなければならない。
11 第二項第二号の居住誘導区域は、立地適正化計画の区域における人口、土地利用及び交通の現状及び将来の見通しを勘案して、良好な居住環境が確保され、公共投資その他の行政運営が効率的に行われるように定めるものとし、都市計画法第七条第一項に規定する市街化調整区域(以下「市街化調整区域」という。)、建築基準法第三十九条第一項に規定する災害危険区域(同条第二項の規定に基づく条例により住居の用に供する建築物の建築が禁止されているものに限る。)その他政令で定める区域については定めないものとする。
12 第二項第三号の都市機能誘導区域及び誘導施設は、立地適正化計画の区域における人口、土地利用及び交通の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な都市機能増進施設の立地を必要な区域に誘導することにより、住宅の立地の適正化が効果的に図られるように定めるものとする。
13 市町村は、立地適正化計画の作成に当たっては、第二項第二号及び第三号の施策並びに同項第四号の事業等において市町村の所有する土地又は建築物が有効に活用されることとなるよう努めるものとする。
14 市町村は、立地適正化計画を作成しようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、市町村都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは、都道府県都市計画審議会。第八十四条において同じ。)の意見を聴かなければならない。
15 市町村は、立地適正化計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県に立地適正化計画の写しを送付しなければならない。
16 第二項から前項までの規定は、立地適正化計画の変更(第十四項の規定については、国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)について準用する。
(都市計画法の特例)
第八十二条 前条第二項第一号に掲げる事項が記載された立地適正化計画が同条第十五項(同条第十六項において準用する場合を含む。)の規定により公表されたときは、当該事項は、都市計画法第十八条の二第一項の規定により定められた市町村の都市計画に関する基本的な方針の一部とみなす。
(都市再生整備計画に係る交付金の特例)
第八十三条 市町村は、国土交通省令で定めるところにより、第八十一条第二項第四号に掲げる事項(第四十六条第一項の土地の区域における同条第二項第二号又は第三号に掲げる事業等であって当該市町村又は特定非営利活動法人等が実施するものに係るものに限る。)を記載した立地適正化計画を国土交通大臣に提出することができる。
2 前項の規定により立地適正化計画が提出されたときは、第四十七条第一項の規定による都市再生整備計画の提出があったものとみなして、同条第二項から第四項まで及び第四十八条から第五十条までの規定を適用する。この場合において、第四十七条第二項中「事業等の実施」とあるのは、「第八十三条第一項に規定する事業等の実施(特定非営利活動法人等が実施する同項に規定する事業等に要する費用の一部の負担を含む。)」とする。
(立地適正化計画の評価等)
第八十四条 市町村は、立地適正化計画を作成した場合においては、おおむね五年ごとに、当該立地適正化計画の区域における住宅及び都市機能増進施設の立地の適正化に関する施策の実施の状況についての調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、立地適正化計画及びこれに関連する都市計画を変更するものとする。
2 市町村は、前項の調査、分析及び評価を行ったときは、速やかに、その結果を市町村都市計画審議会に報告しなければならない。
3 市町村都市計画審議会は、必要に応じ、市町村に対し、立地適正化計画の進捗状況について報告を求めることができる。
4 市町村都市計画審議会は、第二項又は前項の規定による報告を受けたときは、その報告に係る事項について、市町村に対し、意見を述べることができる。
(都市計画における配慮)
第八十五条 都市計画決定権者は、都市計画の見直しについての検討その他の都市計画についての検討、都市計画の案の作成その他の都市計画の策定の過程において、立地適正化計画が円滑に実施されるよう配慮するものとする。