(目的)
第一條 この法律は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、金融機関の中小企業者に対する貸付につき政府が信用保險を行う制度を確立し、もつて中小企業の振興を図ることを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「金融機関」とは、銀行(日本銀行を除く。)、無盡会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫及び信用協同組合をいう。
2 この法律において「中小企業者」とは、資本金額(株金総額、出資総額又は株金総額及び出資総額の合計額)が五百万円以下の会社、常時使用する従業員の数が二百人以下の会社若しくは個人、中小企業等協同組合、農業協同組合、農業協同組合連合会又は水産業協同組合であつて、政令で定める業種に属する事業を行うものをいう。
(保險契約)
第三條 政府は、会計年度の半期ごとに、金融機関を相手方として、当該金融機関が中小企業者に対し貸付を行つたことを政府に通知することにより、貸付金の総額が一定の金額に達するまで、その貸付につき、政府と当該金融機関との間に保險関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
2 前項の保險関係においては、貸付金の額を保險価額とし、弁済期における債務の不履行による貸付金の回收未済を保險事故とし、保險価額に百分の七十五を乘じて得た金額を保險金額とする。
3 政府は、第一項の保險関係が成立する貸付金の総額の金融機関を通ずる合計額が、会計年度ごとに国会の議決を経た金額をこえない範囲内でなければ、同項の契約を締結することができない。
(保險関係が成立する貸付金)
第四條 前條第一項の保險関係が成立する貸付金は、中小企業者の行う事業の振興に必要なものであつて、その貸付期間が六月以上のものに限る。
2 前項の貸付金の額は、中小企業者一人につき、合計三百万円(その中小企業者が中小企業等協同組合であるときは、一千万円)をこえてはならない。
(保險料)
第五條 保險料の額は、保險金額に年百分の三以内において政令で定める率を乘じて得た額とする。
(保險金)
第六條 政府が第三條第一項の保險関係に基いて支拂うべき保險金の額は、保險価額から金融機関がその支拂の請求をする時までに回收した額を控除した残額に、百分の七十五を乘じて得た額とする。
第七條 金融機関は、保險事故の発生の日から六月を経過した後でなければ、保險金の支拂の請求をすることができない。
2 金融機関は、保險事故の発生の日から一年六月を経過した後は、前項の請求をすることができない。
(保險金支拂に伴う代位)
第八條 政府は、金融機関の貸付金の回收未済があつた場合において、保險金の全額を支拂つたときは、金融機関がその支拂の請求をしたときに有していた当該貸付金債権について、百分の七十五の割合で金融機関に代位するものとし、当該貸付金債権の効力及び担保として金融機関が有していた一切の権利を行うことができる。
(貸付金の回收)
第九條 金融機関は、第三條第一項の保險関係が成立した貸付金の回收に努めなければならない。
(契約の解除等)
第十條 政府は、金融機関がこの法律(これに基く命令を含む。)の規定又は第三條第一項の契約の條項に違反したときは、同項の保險関係に基く保險金の全部若しくは一部を支拂わず、保險金の全部若しくは一部を返還させ、又は将来にわたつて同項の契約を解除することができる。
(業務の委託)
第十一條 政府は、政令で定めるところにより、第三條第一項の規定による通知の受理、保險金の支拂その他この法律の規定に基く業務の一部を商工組合中央金庫に取り扱わせることができる。
2 政府は、金融機関の貸付金債権に関する第八條の規定による権利の行使の業務を当該金融機関に委託することができる。
3 前二項の場合において、その業務に従事する金融機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の規定の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務の管掌)
第十二條 この法律に規定する政府の業務は、通商産業大臣が管掌する。
2 通商産業大臣は、第三條第一項の契約を締結しようとするときは、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。