下請中小企業振興法
法令番号: 法律第145号
公布年月日: 昭和45年12月26日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

下請中小企業は日本経済の重要な担い手として発展を支えてきたが、受注の不安定性や体質改善の遅れ、労働力不足、親事業者からの合理化要請強化など、厳しい環境に直面している。このような状況に対処し、下請中小企業が自主的に事業を運営し、能力を効果的に発揮できるようにすることは、日本経済の均衡ある発展のために重要である。そこで、下請中小企業の近代化促進と下請取引のあっせん等を推進するため、振興基準の制定と指導助言、特別な近代化制度の創設による金融・税制上の助成措置、下請企業振興協会への指導助言を柱とする本法案を提出する。

参照した発言:
第63回国会 衆議院 本会議 第16号

審議経過

第63回国会

衆議院
(昭和45年4月3日)
(昭和45年4月7日)
参議院
(昭和45年4月14日)

第64回国会

衆議院
(昭和45年12月10日)
(昭和45年12月11日)
参議院
(昭和45年12月15日)
(昭和45年12月17日)
(昭和45年12月18日)
(昭和45年12月18日)
(昭和45年12月18日)
下請中小企業振興法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十五年十二月二十六日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百四十五号
下請中小企業振興法
(目的)
第一条 この法律は、下請中小企業の近代化を効率的に促進するための措置を講ずるとともに、下請企業振興協会による下請取引のあつせん等を推進することにより、下請関係を近代化して、下請関係にある中小企業者が自主的にその事業を運営し、かつ、その能力を最も有効に発揮することができるよう下請中小企業の振興を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「中小企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。
一 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、次号の政令で定める業種以外の業種に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であつて、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
三 企業組合
四 協業組合
2 この法律において「親事業者」とは、法人にあつては資本の額若しくは出資の総額が自己より小さい法人たる中小企業者又は常時使用する従業員の数が自己より小さい個人たる中小企業者に対し第一号又は第二号に掲げる行為を委託することを業として行なうもの、個人にあつては常時使用する従業員の数が自己より小さい中小企業者に対し第一号又は第二号に掲げる行為を委託することを業として行なうものをいう。
一 その者が業として行なう販売又は業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品又はその半製品、部品、附属品若しくは原材料の製造
二 その者が業として行なう販売又は業として請け負う製造の目的物たる物品又はその半製品、部品、附属品若しくは原材料の製造のための設備又はこれに類する器具の製造又は修理
3 この法律において「下請事業者」とは、中小企業者のうち、法人にあつては資本の額若しくは出資の総額が自己より大きい法人又は常時使用する従業員の数が自己より大きい個人から委託を受けて前項第一号又は第二号に掲げる行為を業として行なうもの、個人にあつては常時使用する従業員の数が自己より大きい法人又は個人から委託を受けて同項第一号又は第二号に掲げる行為を業として行なうものをいう。
(振興基準)
第三条 通商産業大臣は、下請中小企業の振興を図るため下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準(以下「振興基準」という。)を定めなければならない。
2 振興基準には、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
一 下請事業者の生産性の向上及び製品の品質又は性能の改善に関する事項
二 親事業者の発注分野の明確化及び発注方法の改善に関する事項
三 下請事業者の設備の近代化、技術の向上及び事業の共同化に関する事項
四 単価の決定の方法、納品の検査の方法その他取引条件の改善に関する事項
五 下請事業者の組織化の推進に関する事項
六 その他下請中小企業の振興のため必要な事項
3 通商産業大臣は、振興基準を定めたときは、遅滞なく、その要旨を公表しなければならない。
(指導及び助言)
第四条 主務大臣は、下請中小企業の振興を図るため必要があると認めるときは、下請事業者又は親事業者に対し、振興基準に定める事項について指導及び助言を行なうものとする。
(振興事業計画)
第五条 政令で指定する業種に属する事業(以下「指定事業」という。)を営む法人たる親事業者(以下「特定親事業者」という。)及び事業協同組合であつてその組合員の大部分が当該特定親事業者の営む指定事業について第二条第二項第一号又は第二号に掲げる行為を行ない、かつ、その行為を委託した親事業者との取引に関し主務省令で定める要件を備えている下請事業者(以下「特定下請事業者」という。)であるもの(以下「特定下請組合」という。)は、当該特定親事業者が当該特定下請組合の組合員である場合を除き、当該特定親事業者の発注分野の明確化、当該特定下請組合の組合員たる特定下請事業者の設備の近代化、技術の向上及び事業の共同化その他の下請中小企業の振興に関する事業(以下「振興事業」という。)について下請中小企業振興事業計画(以下「振興事業計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、当該振興事業計画が適当である旨の承認を受けることができる。
2 振興事業計画には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
一 振興事業の目標及び内容
二 振興事業の実施時期
三 振興事業を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法
3 振興事業の内容に当該特定下請組合がその組合員たる特定下請事業者及び当該特定親事業者に対して経費を賦課し、当該賦課に基づいて納付された金額を費用の全部又は一部に充てて共同利用施設を設置する事業(以下「共同利用施設事業」という。)がある場合において、当該共同利用施設事業を実施するのに準備金を積み立てる必要があるときは、振興事業計画には、前項各号に掲げる事項のほか、当該準備金に充てるための経費の賦課の基準を記載しなければならない。
4 特定親事業者は、特定下請組合が振興事業計画の作成について協議したい旨を申し出たときは、当該特定下請組合と協議し、振興事業計画の作成に協力しなければならない。
5 第一項の規定による業種の指定にあたつては、親事業者の下請事業者に対する依存度と、下請中小企業の振興を図ることによる産業の国際競争力の強化又は産業構造の高度化の見通しとを考慮しなければならない。
(承認の基準)
第六条 主務大臣は、前条第一項の承認の申請があつた場合において、当該振興事業計画が次の各号に該当するものであると認めるときは、同項の承認をするものとする。
一 前条第二項第一号に掲げる事項が振興基準に照らして適切なものであり、かつ、当該特定親事業者及び特定下請組合がその事項を達成するのに必要な適格性を有するものであること。
二 前条第二項第二号及び第三号に掲げる事項並びに同条第三項に規定する場合にあつては同項に規定する賦課の基準が当該振興事業を確実に遂行するため適切なものであること。
三 当該特定下請組合の組合員が当該振興事業に参加することについて不当に差別されないものであること。
四 当該特定下請組合の組合員たる特定下請事業者の大部分が当該振興事業に参加するものであること。
(振興事業計画の変更等)
第七条 第五条第一項の承認を受けた特定親事業者及び特定下請組合は、当該承認に係る振興事業計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 主務大臣は、第五条第一項の承認を受けた特定親事業者又は特定下請組合が当該承認に係る振興事業計画(前項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のものとし、以下「承認計画」という。)に従つて振興事業を実施していないと認めるときは、当該承認を取り消すことができる。
3 前条の規定は、第一項の承認に準用する。
(資金の確保)
第八条 政府は、承認計画に従つて振興事業を実施するのに必要な資金の確保又はその融通のあつせんに努めるものとする。
(下請中小企業振興準備金)
第九条 第五条第一項の承認を受けた特定下請組合が承認計画で定める同条第三項に規定する賦課の基準に基づいてその組合員たる特定下請事業者及び当該特定親事業者に対して経費を賦課した場合において、当該特定下請組合が当該賦課に基づいて納付された金額を下請中小企業振興準備金として積み立てたとき、又は当該特定下請事業者若しくは特定親事業者が当該賦課に基づき納付すべき金額を納付したときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、当該特定下請組合又は特定下請事業者若しくは特定親事業者に対する法人税又は所得税の課税について特別の措置を講ずる。
(報告の徴収)
第十条 主務大臣は、第五条第一項の承認を受けた特定親事業者又は特定下請組合に対し、振興事業の実施状況について報告を求めることができる。
(下請企業振興協会)
第十一条 国及び都道府県は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人であつて次の各号に掲げる業務を行なうもの(以下「下請企業振興協会」という。)に対し、下請取引の円滑化を促進して下請中小企業の振興を図るため、その業務に関し必要な指導及び助言を行なうように努めるものとする。
一 下請取引のあつせんを行なうこと。
二 下請取引に関する苦情又は紛争について相談に応じ、その解決についてあつせん又は調停を行なうこと。
三 下請中小企業の振興のために必要な調査又は情報の収集若しくは提供を行なうこと。
第十二条 下請企業振興協会は、その業務を公正的確に、かつ、広域にわたり効率的に遂行するように努めるものとする。
(主務大臣等)
第十三条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第四条の規定による指導又は助言については、当該下請事業者又は親事業者の事業を所管する大臣とする。
二 第五条第一項、第六条若しくは第七条第一項の規定による承認、同条第二項の規定による承認の取消し又は第十条の規定による報告の徴収については、当該振興事業計画に従つて振興事業を実施すべき事業者の事業を所管する大臣とする。
2 この法律における主務省令は、指定事業及びその指定事業について第二条第二項第一号又は第二号に掲げる行為を行なう下請事業者の事業を所管する大臣の発する命令とする。
3 通商産業大臣は、振興基準を定めようとするときは、下請事業者及び親事業者の事業を所管する大臣に協議するとともに、中小企業近代化審議会の意見をきかなければならない。
(罰則)
第十四条 第十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して同項の刑を科する。
附 則
1 この法律は公布の日から施行する。
2 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第七号の三中「中小企業業種別振興臨時措置法(昭和三十五年法律第七十一号)」を「下請中小企業振興法(昭和四十五年法律第百四十五号)」に改める。
3 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項に次の一号を加える。
十 下請中小企業振興法(昭和四十五年法律第百四十五号)第五条第一項の承認を受けた事業協同組合であつてその承認に係る同項の振興事業を行なうもの及びその構成員であつて当該振興事業に参加するもの(第一号から第三号の二まで及び第六号から前号までに掲げるものを除く。)
第三条の四第二項中「第二号の事業」の下に「若しくは同項第十号の振興事業」を加える。
法務大臣 小林武治
大蔵大臣 福田赳夫
厚生大臣 内田常雄
農林大臣 倉石忠雄
通商産業大臣 宮澤喜一
運輸大臣 橋本登美三郎
内閣総理大臣 佐藤栄作
下請中小企業振興法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十五年十二月二十六日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百四十五号
下請中小企業振興法
(目的)
第一条 この法律は、下請中小企業の近代化を効率的に促進するための措置を講ずるとともに、下請企業振興協会による下請取引のあつせん等を推進することにより、下請関係を近代化して、下請関係にある中小企業者が自主的にその事業を運営し、かつ、その能力を最も有効に発揮することができるよう下請中小企業の振興を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「中小企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。
一 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、次号の政令で定める業種以外の業種に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であつて、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
三 企業組合
四 協業組合
2 この法律において「親事業者」とは、法人にあつては資本の額若しくは出資の総額が自己より小さい法人たる中小企業者又は常時使用する従業員の数が自己より小さい個人たる中小企業者に対し第一号又は第二号に掲げる行為を委託することを業として行なうもの、個人にあつては常時使用する従業員の数が自己より小さい中小企業者に対し第一号又は第二号に掲げる行為を委託することを業として行なうものをいう。
一 その者が業として行なう販売又は業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品又はその半製品、部品、附属品若しくは原材料の製造
二 その者が業として行なう販売又は業として請け負う製造の目的物たる物品又はその半製品、部品、附属品若しくは原材料の製造のための設備又はこれに類する器具の製造又は修理
3 この法律において「下請事業者」とは、中小企業者のうち、法人にあつては資本の額若しくは出資の総額が自己より大きい法人又は常時使用する従業員の数が自己より大きい個人から委託を受けて前項第一号又は第二号に掲げる行為を業として行なうもの、個人にあつては常時使用する従業員の数が自己より大きい法人又は個人から委託を受けて同項第一号又は第二号に掲げる行為を業として行なうものをいう。
(振興基準)
第三条 通商産業大臣は、下請中小企業の振興を図るため下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準(以下「振興基準」という。)を定めなければならない。
2 振興基準には、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
一 下請事業者の生産性の向上及び製品の品質又は性能の改善に関する事項
二 親事業者の発注分野の明確化及び発注方法の改善に関する事項
三 下請事業者の設備の近代化、技術の向上及び事業の共同化に関する事項
四 単価の決定の方法、納品の検査の方法その他取引条件の改善に関する事項
五 下請事業者の組織化の推進に関する事項
六 その他下請中小企業の振興のため必要な事項
3 通商産業大臣は、振興基準を定めたときは、遅滞なく、その要旨を公表しなければならない。
(指導及び助言)
第四条 主務大臣は、下請中小企業の振興を図るため必要があると認めるときは、下請事業者又は親事業者に対し、振興基準に定める事項について指導及び助言を行なうものとする。
(振興事業計画)
第五条 政令で指定する業種に属する事業(以下「指定事業」という。)を営む法人たる親事業者(以下「特定親事業者」という。)及び事業協同組合であつてその組合員の大部分が当該特定親事業者の営む指定事業について第二条第二項第一号又は第二号に掲げる行為を行ない、かつ、その行為を委託した親事業者との取引に関し主務省令で定める要件を備えている下請事業者(以下「特定下請事業者」という。)であるもの(以下「特定下請組合」という。)は、当該特定親事業者が当該特定下請組合の組合員である場合を除き、当該特定親事業者の発注分野の明確化、当該特定下請組合の組合員たる特定下請事業者の設備の近代化、技術の向上及び事業の共同化その他の下請中小企業の振興に関する事業(以下「振興事業」という。)について下請中小企業振興事業計画(以下「振興事業計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、当該振興事業計画が適当である旨の承認を受けることができる。
2 振興事業計画には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
一 振興事業の目標及び内容
二 振興事業の実施時期
三 振興事業を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法
3 振興事業の内容に当該特定下請組合がその組合員たる特定下請事業者及び当該特定親事業者に対して経費を賦課し、当該賦課に基づいて納付された金額を費用の全部又は一部に充てて共同利用施設を設置する事業(以下「共同利用施設事業」という。)がある場合において、当該共同利用施設事業を実施するのに準備金を積み立てる必要があるときは、振興事業計画には、前項各号に掲げる事項のほか、当該準備金に充てるための経費の賦課の基準を記載しなければならない。
4 特定親事業者は、特定下請組合が振興事業計画の作成について協議したい旨を申し出たときは、当該特定下請組合と協議し、振興事業計画の作成に協力しなければならない。
5 第一項の規定による業種の指定にあたつては、親事業者の下請事業者に対する依存度と、下請中小企業の振興を図ることによる産業の国際競争力の強化又は産業構造の高度化の見通しとを考慮しなければならない。
(承認の基準)
第六条 主務大臣は、前条第一項の承認の申請があつた場合において、当該振興事業計画が次の各号に該当するものであると認めるときは、同項の承認をするものとする。
一 前条第二項第一号に掲げる事項が振興基準に照らして適切なものであり、かつ、当該特定親事業者及び特定下請組合がその事項を達成するのに必要な適格性を有するものであること。
二 前条第二項第二号及び第三号に掲げる事項並びに同条第三項に規定する場合にあつては同項に規定する賦課の基準が当該振興事業を確実に遂行するため適切なものであること。
三 当該特定下請組合の組合員が当該振興事業に参加することについて不当に差別されないものであること。
四 当該特定下請組合の組合員たる特定下請事業者の大部分が当該振興事業に参加するものであること。
(振興事業計画の変更等)
第七条 第五条第一項の承認を受けた特定親事業者及び特定下請組合は、当該承認に係る振興事業計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 主務大臣は、第五条第一項の承認を受けた特定親事業者又は特定下請組合が当該承認に係る振興事業計画(前項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のものとし、以下「承認計画」という。)に従つて振興事業を実施していないと認めるときは、当該承認を取り消すことができる。
3 前条の規定は、第一項の承認に準用する。
(資金の確保)
第八条 政府は、承認計画に従つて振興事業を実施するのに必要な資金の確保又はその融通のあつせんに努めるものとする。
(下請中小企業振興準備金)
第九条 第五条第一項の承認を受けた特定下請組合が承認計画で定める同条第三項に規定する賦課の基準に基づいてその組合員たる特定下請事業者及び当該特定親事業者に対して経費を賦課した場合において、当該特定下請組合が当該賦課に基づいて納付された金額を下請中小企業振興準備金として積み立てたとき、又は当該特定下請事業者若しくは特定親事業者が当該賦課に基づき納付すべき金額を納付したときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、当該特定下請組合又は特定下請事業者若しくは特定親事業者に対する法人税又は所得税の課税について特別の措置を講ずる。
(報告の徴収)
第十条 主務大臣は、第五条第一項の承認を受けた特定親事業者又は特定下請組合に対し、振興事業の実施状況について報告を求めることができる。
(下請企業振興協会)
第十一条 国及び都道府県は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人であつて次の各号に掲げる業務を行なうもの(以下「下請企業振興協会」という。)に対し、下請取引の円滑化を促進して下請中小企業の振興を図るため、その業務に関し必要な指導及び助言を行なうように努めるものとする。
一 下請取引のあつせんを行なうこと。
二 下請取引に関する苦情又は紛争について相談に応じ、その解決についてあつせん又は調停を行なうこと。
三 下請中小企業の振興のために必要な調査又は情報の収集若しくは提供を行なうこと。
第十二条 下請企業振興協会は、その業務を公正的確に、かつ、広域にわたり効率的に遂行するように努めるものとする。
(主務大臣等)
第十三条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第四条の規定による指導又は助言については、当該下請事業者又は親事業者の事業を所管する大臣とする。
二 第五条第一項、第六条若しくは第七条第一項の規定による承認、同条第二項の規定による承認の取消し又は第十条の規定による報告の徴収については、当該振興事業計画に従つて振興事業を実施すべき事業者の事業を所管する大臣とする。
2 この法律における主務省令は、指定事業及びその指定事業について第二条第二項第一号又は第二号に掲げる行為を行なう下請事業者の事業を所管する大臣の発する命令とする。
3 通商産業大臣は、振興基準を定めようとするときは、下請事業者及び親事業者の事業を所管する大臣に協議するとともに、中小企業近代化審議会の意見をきかなければならない。
(罰則)
第十四条 第十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して同項の刑を科する。
附 則
1 この法律は公布の日から施行する。
2 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第七号の三中「中小企業業種別振興臨時措置法(昭和三十五年法律第七十一号)」を「下請中小企業振興法(昭和四十五年法律第百四十五号)」に改める。
3 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項に次の一号を加える。
十 下請中小企業振興法(昭和四十五年法律第百四十五号)第五条第一項の承認を受けた事業協同組合であつてその承認に係る同項の振興事業を行なうもの及びその構成員であつて当該振興事業に参加するもの(第一号から第三号の二まで及び第六号から前号までに掲げるものを除く。)
第三条の四第二項中「第二号の事業」の下に「若しくは同項第十号の振興事業」を加える。
法務大臣 小林武治
大蔵大臣 福田赳夫
厚生大臣 内田常雄
農林大臣 倉石忠雄
通商産業大臣 宮沢喜一
運輸大臣 橋本登美三郎
内閣総理大臣 佐藤栄作