中小企業信用保険法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第80号
公布年月日: 昭和28年7月24日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

中小企業者への事業資金融通の円滑化を目的とする中小企業信用保険法について、現在の金融情勢下における中小企業金融の一層の促進のため、制度改善を図る必要がある。主な改正点は、中小企業者の定義拡大、医業法人と調整組合の対象追加、相互銀行等の給付の保険対象化、保険金てん補率の引上げ、貸付金限度額の引上げ、保険金支払請求権行使の始期繰上げ、回収金納付規定への改正、代理貸における債務保証の保険制度新設等である。これにより制度の能率的運用と利用促進を図り、中小企業金融の円滑化に寄与する。

参照した発言:
第16回国会 参議院 通商産業委員会 第8号

審議経過

第16回国会

参議院
(昭和28年7月1日)
衆議院
(昭和28年7月2日)
(昭和28年7月8日)
(昭和28年7月10日)
参議院
(昭和28年7月13日)
衆議院
(昭和28年7月14日)
参議院
(昭和28年7月15日)
(昭和28年7月15日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年七月二十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第八十号
中小企業信用保険法の一部を改正する法律
中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)の一部を次のように改正する。
目次中
第二章
金融機関を相手方とする保険(第三条―第九条)
第三章
指定法人を相手方とする保険(第九条の二―第九条の五)
第二章
融資保険(第三条―第九条)
第三章
保証保険
第一節
指定法人を相手方とするもの(第九条の二―第九条の五)
第二節
金融機関を相手方とするもの(第九条の六・第九条の七)
に改める。
第一条中「金融機関の」、「指定法人の」及び「金融機関に対する」を削る。
第二条第三項を次のように改める。
3 この法律において「中小企業者」とは、左に掲げるものをいう。
一 資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については三十人、鉱業を主たる事業とする事業者については千人)以下の会社及び個人であつて、政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行うもの
二 中小企業等協同組合、農業協同組合、農業協同組合連合会、水産業協同組合、森林組合及び森林組合連合会であつて、特定事業を行うもの又はその構成員の三分の二以上が特定事業を行う者であるもの
三 医業を主たる事業とする法人であつて、常時使用する従業員の数が三百人以下のもの(前二号に掲げるものを除く。)
四 調整組合及び調整組合連合会
「第二章 金融機関を相手方とする保険」を「第二章 融資保険」に改める。
第三条第一項中「貸付を行つたこと」を「貸付(相互銀行法(昭和二十六年法律第百九十九号)第二条第一項第一号の契約に基く給付及び同法附則第三項の規定によりなおその効力を有する改正前の無尽業法(昭和六年法律第四十二号)第一条の無尽による給付(以下「給付」と総称する。)を含む。以下同じ。)を行つたこと」に、「貸付金」を「貸付金の額(給付の場合は、給付金の額から当該給付に係る契約に基いて既に受け入れた掛金の額を控除した残額。以下同じ。)」に改め、同条第二項中「弁済期」の下に「(給付の場合は、当該給付に係る契約の期間の満了の時。以下同じ。)」を、「回収未済」の下に「(給付の場合は、掛金の受入未済)」を加え、「百分の七十五」を「百分の八十」に改め、同条第三項中「保険関係が成立する貸付金」を「保険関係における保険価額」に改める。
第四条第一項中「貸付金」の下に「(給付の場合は、給付金)」を、「貸付期間」の下に「(給付の場合は、給付の時から当該給付に係る契約の期間の満了の時までの期間)」を加え、同条第二項を次のように改める。
2 前条第一項の保険関係における保険価額は、中小企業者一人につき、合計一千万円(その中小企業者が中小企業等協同組合、調整組合又は調整組合連合会であるときは、三千万円)をこえてはならない。
第六条中「百分の七十五」を「百分の八十」に改める。
第七条第一項中「六月」を「三月」に改める。
第八条を次のように改める。
(回収金の納付)
第八条 保険金の支払を受けた金融機関は、その支払の請求をした後回収した額から弁済期以後保険金の支払を受けた日の前日までの利息を控除した残額に支払を受けた保険金の額の第六条に規定する残額に対する割合を乗じて得た額を政府に納付しなければならない。
第九条中「貸付金の回収」を「貸付について、貸付金の回収(給付の場合は、掛金の受入)」に改める。
「第三章 指定法人を相手方とする保険」を
第三章
保証保険
第一節
指定法人を相手方とするもの
に改める。
第九条の二第一項中「借入」の下に「(給付の受領を含む。)」を、「借入金の額」の下に「(給付の場合は、給付金の額から当該給付に係る契約に基いて既に払い込んだ掛金の額を控除した残額。次項において同じ。)」を加え、同条第二項中「全部又は一部の弁済」を「弁済(給付の場合は、掛金の払込)」に、「百分の五十」を「百分の六十」に改め、同条第三項中「保険関係が成立する保証をした借入金の額」を「保険関係における保険価額」に改める。
第九条の三第一項中「借入金」の下に「(給付の場合は、給付金)」を加え、同条第二項を削る。
第九条の四中「弁済をした借入金」を「弁済(給付の場合は、払込。以下同じ。)をした借入金(給付の場合は、掛金。以下同じ。)」に、「法定利息」を「利息」に改め、「又は費用」を削り、「総弁済額」の下に「(給付の場合は、総払込額)」を加え、「百分の五十」を「百分の六十」に改める。
第九条の五第一項中「第五条」を「第四条第二項及び第五条」に、「保険」を「保証保険」に改め、同条第二項を次のように改め、同条第三項を削る。
2 第七条から第九条までの規定は、指定法人に準用する。この場合において、第八条中「第六条」とあるのは「第九条の四」と読み替えるものとする。
第九条の五の次に次の一節を加える。
第二節 金融機関を相手方とするもの
(保険契約)
第九条の六 政府は、会計年度の半期ごとに、金融機関を相手方として、当該金融機関が中小企業金融公庫若しくは日本開発銀行の委託を受け、又は国民金融公庫を代理して中小企業者に対する貸付を行つたときは、当該金融機関が中小企業者の当該借入による債務を保証することとなつている場合において、当該金融機関がその貸付を行つたことを政府に通知することにより、借入金の額のうち保証をしたこととなる額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、政府と当該金融機関との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
2 前項の保険関係においては、借入金の額のうち保証をしたこととなる額を保険価額とし、中小企業者に代つてする借入金の弁済を保険事故とし、保険価額に百分の六十を乗じて得た金額を保険金額とする。
3 政府は、第一項の保険関係における保険価額の総額の金融機関を通ずる合計額が、会計年度ごとに国会の議決を経た金額をこえない範囲内でなければ、同項の契約を締結することができない。
(準用)
第九条の七 第四条第二項、第五条、第九条の三及び第九条の四の規定は、金融機関を相手方とする保証保険に準用する。
2 第七条から第九条までの規定は、金融機関に準用する。この場合において、第八条中「第六条」とあるのは「第九条の七第一項において準用する第九条の四」と読み替えるものとする。
第十条中「若しくは第九条の二第一項」を「、第九条の二第一項若しくは第九条の六第一項」に改める。
第十一条第一項中「又は第九条の二第一項」を「、第九条の二第一項又は第九条の六第一項」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「前二項」を「前項」に、「金融機関又は指定法人」を「商工組合中央金庫」に改め、同項を同条第二項とする。
第十二条第二項中「又は第九条の二第一項」を「、第九条の二第一項又は第九条の六第一項」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行前に成立している保険関係については、なお従前の例による。但し、第七条第一項及び第八条(これらの各規定を第九条の五第二項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。
3 中小企業信用保険特別会計法(昭和二十五年法律第二百六十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「第九条の五第三項」を「第九条の五第二項及び第九条の七第二項」に改め、「代位による」を削る。
第十二条中「基金に相当する金額を限度として、」を削る。
大蔵大臣 小笠原三九郎
厚生大臣 山県勝見
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 岡野清豪
内閣総理大臣 吉田茂