(法律の目的)
第一條 この法律は、健全な独立の中小企業が、國民経済を健全にし、及び発達させ、経済力の集中を防止し、且つ、企業を営もうとする者に対し、公平な事業活動の機会を確保するものであるのに鑑み、中小企業を育成し、及び発展させ、且つ、その経営を向上させるに足る諸條件を確立することを目的とする。
(中小企業廳及び中小企業廳長官)
第二條 前條の目的のために、商工省の外局として、中小企業廳長官を長とする中小企業廳を設置する。
中小企業廳長官は、第三條に規定する事務を掌理する。
(中小企業廳の権限)
第三條 中小企業廳は、中小企業廳長官及びその職員をもつて左に掲げる事務を掌る。
一 中小企業に関する資材、動力、資金、生産方法、技術、経理、労働関係、輸送及び販賣等に関する事項その他中小企業の育成及び発展並びに経営の向上に必要な事項についての情報を収集し、分析し、及び供給すること。
二 中小企業の経営状況の調査及び診断並びにこれに基く必要な指示をすること。但し、その調査及び診断は、当該中小企業者の申請に基くことを必要とし、且つ、その指示は、当該中小企業者を拘束しないものとする。
三 中小企業の経営の向上に資することができる設備及び技術に関し、試驗研究機関の協力を求め、並びに中小企業者がその設備及び技術を利用することを奨励すること。
四 中小企業における新規で有益な製品又は製法等を奨励すること。
五 中小企業における製品又はその製法等を展示する会を開くこと。
中小企業廳は、中小企業に関係ある経済問題に関し調査研究し、又は國会に提出される議案につき、中小企業に関係ある事項に関し、意見を提出することができる。
中小企業廳は、中小企業に関係ある事項については、中央及び地方の行政廳の協力を求め総合的に処理することができる。
中小企業者は、行政廳の行爲により不当にその事業を阻害されたとき、又は他人の行爲により不当な取引制限を受け、若しくは他人の行爲が不公正な競爭方法であると認めるときは、中小企業廳にその事実を申し出ることができる。
前項後段の場合においては、中小企業廳は、当該事件を公正取引委員会に移さなければならない。
(組織)
長官官房においては、人事、会計その他庶務に関する事務を掌る。
振興局においては、前條第一項第一号及び第五号並びに第二項乃至第五項に規定する事務を掌る。
指導局においては、前條第一項第二号乃至第四号に規定する事務を掌る。
(職員)
第五條 中小企業廳の事務を行うため、中小企業廳に所要の職員を置く。
前項の職員の一部は、中小企業に関し学識経驗ある者の中から、これを命ずる。
この法律に定めるものの外、中小企業廳の職員に関して必要な事項は、政令でこれを定める。