(目的)
第一条 この法律は、金融機関の破綻が相次いで発生し、我が国の金融の機能が大きく低下している状況にかんがみ、破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、当分の間、中堅事業者の債務の保証につき公的な信用保険を行う特例措置を講ずることにより、中堅事業者に係る信用の収縮を防止し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「破綻金融機関等」とは、次に掲げるものをいう。
一 預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第四項に規定する破綻金融機関
二 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号。以下「金融再生法」という。)第二条第五項に規定する被管理金融機関
四 金融再生法第二条第八項に規定する特別公的管理銀行
2 この法律において「特定会社」とは、資本の額又は出資の総額が五億円未満の会社(中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第二条第一項第一号又は第一号の二に掲げるものを除く。)のうち、政令で定める業種に属する事業を行うものであって、破綻金融機関等(この法律の施行の日の一年前の日以後において破綻金融機関等であったものを含む。)と金融取引を行っていたことにより銀行その他の金融機関との金融取引に支障が生じていることについて、その住所地を管轄する都道府県知事の認定を受けたものをいう。
(破綻金融機関等関連特別保険)
第三条 当分の間、中小企業信用保険公庫(以下「公庫」という。)は、事業年度の半期ごとに、信用保証協会を相手方として、当該信用保証協会が特定会社の銀行その他の政令で定める金融機関(以下単に「金融機関」という。)からの借入れ(手形の割引又は給付(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第四項の契約に基づく給付をいう。以下同じ。)を受けることを含む。)による債務の保証(保証契約で定める期間内に生じる債務について、当該特定会社が履行しない場合に、利息及び費用その他の損害の賠償として履行する額を除いた額が保証契約で定める額(以下「限度額」という。)に達するまで、その履行をする責めに任ずる保証(以下「特殊保証」という。)を含む。)をすることにより、特定会社一社についての保険価額の合計額が五億円を超えることができない保険(以下「破綻金融機関等関連特別保険」という。)について、借入金の額のうち保証をした額(手形の割引の場合は手形金額のうち保証をした額、給付の場合は当該給付に係る契約に基づいて給付後において払い込むべき掛金の額のうち保証をした額、特殊保証の場合は限度額。第三項並びに次条第一項及び第二項において同じ。)の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、公庫と当該信用保証協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
2 前項の保険関係においては、保険価額に百分の九十を乗じて得た金額を保険金額とする。
3 第一項の保険関係においては、借入金の額のうち保証をした額を保険価額とし、特定会社に代わってする借入金の弁済(手形の割引の場合は手形の支払、給付の場合は掛金の払込み)を保険事故とする。
4 第一項の保険関係が成立する保証をした借入金(手形の割引の場合は手形の割引により融通を受けた資金、給付の場合は給付金)は、特定会社の行う事業の振興に必要なものに限る。
(破綻金融機関等関連特別無担保保険)
第四条 当分の間、公庫は、事業年度の半期ごとに、信用保証協会を相手方として、当該信用保証協会が特定会社の金融機関からの借入れ(手形の割引又は給付を受けることを含む。)による債務の保証(特殊保証を含む。)であってその保証について担保(保証人の保証を除く。)を提供させないものをすることにより、特定会社一社についての保険価額の合計額が一億円を超えることができない保険(以下「破綻金融機関等関連特別無担保保険」という。)について、借入金の額のうち保証をした額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、公庫と当該信用保証協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
2 公庫と破綻金融機関等関連特別無担保保険の契約を締結し、かつ、破綻金融機関等関連特別保険の契約を締結している信用保証協会が前項に規定する債務の保証をした場合において、当該借入金の額のうち保証をした額が一億円(当該債務者たる特定会社について既に破綻金融機関等関連特別無担保保険の保険関係が成立している場合にあっては、一億円から当該保険関係における保険価額の合計額を控除した残額)を超えないときは、当該保証については、破綻金融機関等関連特別無担保保険の保険関係が成立するものとする。
3 前条第二項から第四項までの規定は、第一項の保険関係について準用する。
(保険料)
第五条 保険料の額は、保険金額に年百分の三以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
(契約の限度)
第六条 公庫は、一事業年度内に締結する第三条第一項及び第四条第一項の保険契約に基づいて成立する保険関係の保険価額の総額が事業年度ごとに国会の議決を経た金額を超えない範囲内でなければ、これらの保険契約を締結することができない。
(公庫の破綻金融機関等関連特別保険等の業務)
第七条 公庫は、中小企業信用保険公庫法(昭和三十三年法律第九十三号)第十八条第一項に規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、その業務として破綻金融機関等関連特別保険及び破綻金融機関等関連特別無担保保険(以下「破綻金融機関等関連特別保険等」という。)を行う。
(業務の方法)
第八条 公庫は、前条の規定による破綻金融機関等関連特別保険等の業務(以下「破綻金融機関等関連特別保険等業務」という。)について、当該業務の開始の際、業務の方法を定め、通商産業大臣及び大蔵大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務の方法には、保険関係が成立する保証の範囲、保険事故、保険金額の保険価額に対する割合、保険料及び保険金に関する事項その他破綻金融機関等関連特別保険等に関する業務の方法を定めておかなければならない。
(準備基金)
第九条 公庫は、破綻金融機関等関連特別保険等の事業に関して、破綻金融機関等関連特別保険等準備基金(以下「準備基金」という。)を設け、次項の規定により政府から出資された金額をもってこれに充てるものとする。
2 政府は、準備基金に充てるため必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、公庫に追加して出資することができる。
3 公庫は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
(特別勘定等)
第十条 公庫は、破綻金融機関等関連特別保険等業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。
2 公庫は、前項に規定する特別の勘定において、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、その利益の百分の五十に相当する額を積立金として積み立てなければならない。ただし、次項の規定による準備基金の減額がなされているときは、その利益を前条第一項の規定により準備基金に充てるものとされた金額に達するまで準備基金に組み入れるものとし、その組み入れた額を利益の額から控除してなお残余があるときは、その残余の百分の五十に相当する額は、積立金として積み立てなければならない。
3 公庫は、第一項に規定する特別の勘定において、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項に規定する積立金を取り崩して整理し、なお不足があるときは、その不足の額は、準備基金を減額して整理しなければならない。
4 第二項に規定する積立金は、前項の規定により損失をうめる場合を除いては、取り崩してはならない。
5 第二項の規定による準備基金への組入れ又は第三項の規定による準備基金の減額がなされたときは、公庫の資本金は、前条第三項、中小企業信用保険公庫法第四条第一項及び第三項、機械類信用保険法の一部を改正する法律(昭和五十九年法律第二十号)附則第三条第二項後段並びに機械類信用保険法(昭和三十六年法律第百五十六号)第十三条第三項の規定にかかわらず、その組入れ又は減額に相当する額により増加し又は減少するものとする。
6 公庫は、第一項に規定する特別の勘定における毎事業年度の損益計算上の利益の額から第二項の規定により積立金として積み立てた額(同項ただし書の規定により準備基金に組み入れたときは、その組み入れた額と積立金として積み立てた額との合計額)を控除した残額を翌事業年度の五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
7 前項の規定による国庫納付金は、同項に規定する日の属する会計年度の前年度の政府の歳入とする。
8 第二項の利益の計算の方法並びに第六項の規定による国庫納付金の納付の手続及びその帰属する会計については、政令で定める。
9 第一項の規定により特別の勘定が設けられている場合における次の表の上欄に掲げる中小企業信用保険公庫法の規定の適用については、同表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。
第二十三条第一項 |
及び機械類信用保険法(昭和三十六年法律第百五十六号)第十三条第一項の機械類信用保険運営基金(次項ただし書において「運営基金」という。) |
並びに機械類信用保険法(昭和三十六年法律第百五十六号)第十三条第一項の機械類信用保険運営基金(次項ただし書において「運営基金」という。)及び破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法(平成十年法律第百五十一号)第九条第一項の破綻金融機関等関連特別保険等準備基金(次項ただし書において「準備基金」という。) |
第二十三条第二項 |
運営基金 |
運営基金及び準備基金 |
第二十三条第四項 |
並びに機械類信用保険法第十三条第三項 |
、機械類信用保険法第十三条第三項並びに破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法第九条第三項 |
(破綻金融機関等関連特別保険等業務に係る中小企業信用保険公庫法の特例)
第十一条 破綻金融機関等関連特別保険等業務についての中小企業信用保険公庫法第二十六条第二項、第二十八条第一項及び第三十三条の規定の適用については、同法第二十六条第二項及び第二十八条第一項中「又は中小企業信用保険法」とあるのは「、中小企業信用保険法又は破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法」と、同法第三十三条第一号中「この法律」とあるのは「この法律又は破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法」と、同条第三号中「第十八条第一項」とあるのは「第十八条第一項及び破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に係る信用保険の特例に関する臨時措置法第七条」とする。
(中小企業信用保険法の準用)
第十二条 中小企業信用保険法第五条から第十一条までの規定は、破綻金融機関等関連特別保険等の保険関係について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。