国税通則法
法令番号: 法律第六十六号
公布年月日: 昭和37年4月2日
法令の形式: 法律
国税通則法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年四月二日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第六十六号
国税通則法
目次
第一章
総則
第一節
通則(第一条―第四条)
第二節
国税の納付義務の承継等(第五条―第九条)
第三節
期間及び期限(第十条・第十一条)
第四節
送達(第十二条―第十四条)
第二章
国税の納付義務の確定
第一節
通則(第十五条・第十六条)
第二節
申告納税方式による国税に係る税額等の確定手続
第一款
納税申告(第十七条―第二十二条)
第二款
更正の請求(第二十三条)
第三款
更正又は決定(第二十四条―第三十条)
第三節
賦課課税方式による国税に係る税額等の確定手続(第三十一条―第三十三条)
第三章
国税の納付及び徴収
第一節
国税の納付(第三十四条・第三十五条)
第二節
国税の徴収
第一款
納税の請求(第三十六条―第三十九条)
第二款
滞納処分(第四十条)
第三節
雑則(第四十一条―第四十五条)
第四章
納税の猶予及び担保
第一節
納税の猶予(第四十六条―第四十九条)
第二節
担保(第五十条第―第五十五条)
第五章
国税の還付及び還付加算金(第五十六条―第五十九条)
第六章
附帯税
第一節
延滞税及び利子税(第六十条―第六十四条)
第二節
加算税(第六十五条―第六十九条)
第七章
国税の更正、決定、徴収、還付等の期間制限
第一節
国税の更正、決定等の期間制限(第七十条・第七十一条)
第二節
国税の徴収権の消滅時効(第七十二条・第七十三条)
第三節
還付金等の消滅時効(第七十四条)
第八章
不服審査及び訴訟
第一節
不服審査
第一款
通則(第七十五条)
第二款
異議申立て(第七十六条―第七十八条)
第三款
審査請求(第七十九条―第八十一条)
第四款
雑則(第八十二条―第八十五条)
第二節
訴訟(第八十六条―第八十八条)
第九章
雑則(第八十九条―第九十六条)
附則
第一章 総則
第一節 通則
(目的)
第一条 この法律は、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、税法の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運営を図り、もつて国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国税 国が課する税のうち関税、とん税及び特別とん税以外のものをいう。
二 源泉徴収等による国税 源泉徴収に係る所得税、有価証券取引税法(昭和二十八年法律第百二号)に規定する証券業者が同法の規定により徴収して納付すべき有価証券取引税及び通行税(これらの税に係る附帯税を除く。)をいう。
三 消費税 酒税、砂糖消費税、揮発油税、地方道路税、物品税、トランプ類税及び入場税をいう。
四 附帯税 国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう。
五 納税者 国税に関する法律の規定により国税(源泉徴収等による国税を除く。)を納める義務がある者(国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)に規定する第二次納税義務者及び国税の保証人を除く。)及び源泉徴収等による国税を徴収して国に納付しなければならない者をいう。
六 納税申告書 申告納税方式による国税に関し国税に関する法律の規定により次に掲げるいずれかの事項その他当該事項に関し必要な事項を記載した申告書をいい、国税に関する法律の規定による国税の還付金(以下「還付金」という。)の還付を受けるための申告書でこれらのいずれかの事項を記載したものを含むものとする。ただし、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)第三章第二節及び第三節(予定申告・予定納税額の更正及び修正)の規定による申告書を除く。
イ 課税標準(国税に関する法律に課税標準額又は課税標準数量の定めがある国税については、課税標準額又は課税標準数量。以下同じ。)
ロ 課税標準から控除する金額
ハ 所得税法又は法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)に規定する純損失の金額若しくは雑損失の金額又は欠損金額で、これらの法律の規定により翌年以後の年分若しくは翌事業年度以後の事業年度分の所得の計算上繰り越して控除し、又は前年分若しくは前事業年度以前の事業年度分の所得につき繰り戻して控除することができるもの(以下「純損失等の金額」という。)
ニ 納付すべき税額
ホ 還付金の額に相当する税額
ヘ ニの税額の計算上控除する金額又は還付金の額の計算の基礎となる税額
七 法定申告期限 国税に関する法律の規定により納税申告書を提出すべき期限をいう。ただし、法人税法第十八条第一項ただし書又は第二十一条第一項ただし書(決算が遅延した場合の申告期限の延長)の規定による納税申告書の提出期限を除く。
八 法定納期限 国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限(次に掲げる期限を除くものとし、国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている賦課課税方式による国税については、当該事実の生じた日とする。)をいい、附帯税又は国税の滞納処分費については、その納付又は徴収の基因となつた国税の当該期限をいう。
イ 第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定による納期限
ロ 第三十六条第二項(納税の告知)に規定する納期限
ハ 第三十八条第二項(繰上請求)に規定する繰上げに係る期限
ニ 所得税法、法人税法又は相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定による延納(以下「延納」という。)、第四十七条第一項(納税の猶予)に規定する納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限
九 課税期間 国税に関する法律の規定により国税の課税標準の計算の基礎となる期間をいう。
十 強制換価手続 滞納処分(その例による処分を含む。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続及び破産手続をいう。
(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
第三条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下「人格のない社団等」という。)は、法人とみなして、この法律の規定を適用する。
(他の国税に関する法律との関係)
第四条 この法律に規定する事項で他の国税に関する法律に別段の定めがあるものは、その定めるところによる。
第二節 国税の納付義務の承継等
(相続による国税の納付義務の承継)
第五条 相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた場合には、相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百五十一条(相続財産法人)の法人は、その被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その滞納処分費を含む。第二章(国税の納付義務の確定)、第三章第一節(国税の納付)、第六章(附帯税)及び第七章第一節(国税の更正、決定等の期間制限)を除き、以下同じ。)を納める義務を承継する。この場合において、相続人が限定承認をしたときは、その相続人は、相続によつて得た財産の限度においてのみその国税を納付する責めに任ずる。
2 前項前段の場合において、相続人が二人以上あるときは、各相続人が同項前段の規定により承継する国税の額は、同項の国税の額を民法第九百条から第九百二条まで(法定相続分・代襲相続分・指定相続分)の規定によるその相続分によりあん分して計算した額とする。
3 前項の場合において、相続人のうちに相続によつて得た財産の価額が同項の規定により計算した国税の額をこえる者があるときは、その相続人は、そのこえる価額を限度として、他の相続人が前二項の規定により承継する国税を納付する責めに任ずる。
(法人の合併による国税の納付義務の承継)
第六条 法人が合併した場合には、合併後存続する法人又は合併により設立した法人(以下「合併法人」という。)は、合併により消滅した法人(以下「被合併法人」という。)に課されるべき、又は被合併法人が納付し、若しくは徴収されるべき国税を納める義務を承継する。
(人格のない社団等に係る国税の納付義務の承継)
第七条 法人が人格のない社団等の財産に属する権利義務を包括して承継した場合には、その法人は、その人格のない社団等に課されるべき、又はその人格のない社団等が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その承継が権利義務の一部についてされたときは、その国税の額にその承継の時における人格のない社団等の財産のうちにその法人が承継した財産の占める割合を乗じて計算した額の国税)を納める義務を承継する。
(国税の連帯納付義務についての民法の準用)
第八条 国税に関する法律の規定により国税を連帯して納付する義務については、民法第四百三十二条から第四百三十四条まで、第四百三十七条及び第四百三十九条から第四百四十四条まで(連帯債務の効力等)の規定を準用する。
(共有物等に係る国税の連帯納付義務)
第九条 共有物、共同事業又は当該事業に属する財産に係る国税は、その納税者が連帯して納付する義務を負う。
第三節 期間及び期限
(期間の計算及び期限の特例)
第十条 国税に関する法律に定める期間の計算は、次に定めるところによる。
一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。
三 前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
2 国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日その他一般の休日に当たるときは、その休日の翌日をもつてその期限とみなす。
(災害等による期限の延長)
第十一条 国税庁長官、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。
第四節 送達
(書類の送達)
第十二条 国税に関する法律の規定に基づいて税務署長その他の行政機関の長又はその職員が発する書類は、郵便による送達又は交付送達により、その送達を受けるべき者の住所又は居所(事務所及び事業所を含む。以下同じ。)に送達する。ただし、その送達を受けるべき者に納税管理人があるときは、その住所又は居所に送達する。
2 通常の取扱いによる郵便によつて前項に規定する書類を発送した場合には、その郵便物は、通常到達すべきであつた時に送達があつたものと推定する。
3 税務署長その他の行政機関の長は、前項に規定する場合には、その書類の名称、その送達を受けるべき者(第一項ただし書の場合にあつては、納税管理人。以下この節において同じ。)の氏名(法人については、名称。以下第十四条第二項(公示送達)において同じ。)、あて先及び発送の年月日を確認するに足りる記録を作成して置かなければならない。
4 交付送達は、当該行政機関の職員が、第一項の規定により送達すべき場所において、その送達を受けるべき者に書類を交付して行なう。ただし、その者に異議がないときは、その他の場所において交付することができる。
5 次の各号の一に掲げる場合には、交付送達は、前項の規定による交付に代え、当該各号に掲げる行為により行なうことができる。
一 送達すべき場所において書類の送達を受けるべき者に出会わない場合 その使用人その他の従業者又は同居の者で書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付すること。
二 書類の送達を受けるべき者その他前号に規定する者が送達すべき場所にいない場合又はこれらの者が正当な理由がなく書類の受領を拒んだ場合 送達すべき場所に書類を差し置くこと。
(相続人に対する書類の送達の特例)
第十三条 相続があつた場合において、相続人が二人以上あるときは、これらの相続人は、国税に関する法律の規定に基づいて税務署長又は税関長が発する書額(滞納処分(その例による処分を含む。)に関するものを除く。)で被相続人の国税に関するものを受領する代表者をその相続人のうちから指定することができる。この場合において、その指定に係る相続人は、その旨を当該税務署長又は税関長に届け出なければならない。
2 前項前段の場合において、相続人のうちにその氏名が明らかでないものがあり、かつ、相当の期間内に同項後段の届出がないときは、同項の税務署長又は税関長は、相続人の一人を指定し、その者を同項に規定する代表者とすることができる。この場合において、その指定をした税務署長又は税関長は、その旨をその指定に係る相続人に通知しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、第一項に規定する代表者の指定に関し必要な事項は、政令で定める。
4 被相続人の国税につき、その者の死亡後その死亡を知らないでその者の名義でした国税に関する法律に基づく処分で書類の送達を要するものは、その相続人の一人にその書類が送達された場合には、当該国税につきすべての相続人に対してされたものとみなす。
(公示送達)
第十四条 第十二条(書類の送達)の規定により送達すべき書類について、その送達を受けるべき者の住所及び居所が明らかでない場合又は外国においてすべき送達につき困難な事情があると認められる場合には、税務署長その他の行政機関の長は、その送達に代えて公示送達をすることができる。
2 公示送達は、送達すべき書類の名称、その送達を受けるべき者の氏名及び税務署長その他の行政機関の長がその書類をいつでも送達を受けるべき者に交付する旨を当該行政機関の掲示場に掲示して行なう。
3 前項の場合において、掲示を始めた日から起算して七日を経過したときは、書類の送達があつたものとみなす。
第二章 国税の納付義務の確定
第一節 通則
(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)
第十五条 国税を納付する義務(源泉徴収等による国税については、これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。)が成立した場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き、国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする。
2 納税義務は、次の各号に掲げる国税(附帯税を除く。)については、当該各号に掲げる時(当該国税のうち政令で定めるものについては、政令で定める時)に成立する。
一 所得税(次号に掲げるものを除く。) 暦年の終了の時
二 源泉徴収による所得税 利子、配当、給与、報酬、料金その他源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時
三 法人税 事業年度の終了の時
四 相続税 相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)による財産の取得の時
五 贈与税 贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。)による財産の取得の時
六 消費税 課税物件の製造場からの移出又は保税地域(関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。以下同じ。)からの引取りの時(小売業者の小売した物品に課される物品税についてはその小売の時とし、入場税については入場料金の領収の時とする。)
七 有価証券取引税 有価証券の譲渡の時
八 通行税 運賃又は料金の領収の時
九 取引税 商品取引所における売買取引の時
3 納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税は、次に掲げる国税とする。
一 所得税法第三章(予定納税及び予定申告)の規定による予定納税に係る所得税
二 源泉徴収等による国税(所得税法第四十一条第二項(代位納付)の規定により納付すべき所得税を含む。)
三 印紙税その他納税義務の成立の際印紙をはることにより納付すべきものとされている国税(輸入される郵便物に係る消費税を除く。以下同じ。)
四 日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)第三十一条ノ二(発行税)の規定による発行税(以下「日本銀行券発行税」という。)
五 延滞税及び利子税
(国税についての納付すべき税額の確定の方式)
第十六条 国税についての納付すべき税額の確定の手続については、次の各号に掲げるいずれかの方式によるものとし、これらの方式の内容は、当該各号に掲げるところによる。
一 申告納税方式 納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつた場合その他当該税額が税務署長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長の処分により確定する方式をいう。
二 賦課課税方式 納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
2 国税(前条第三項各号に掲げるものを除く。)については納付すべき税額の確定が前項各号に掲げる方式のうちいずれの方式によりされるかは、次に定めるところによる。
一 納税義務が成立した場合において、納税者が、国税に関する法律の規定により、納付すべき税額を申告すべきものとされている国税 申告納税方式
二 前号に掲げる国税以外の国税 賦課課税方式
第二節 申告納税方式による国税に係る税額等の確定手続
第一款 納税申告
(期限内申告)
第十七条 申告納税方式による国税の納税者は、国税に関する法律の定めるところにより、納税申告書を法定申告期限までに税務署長に提出しなければならない。
2 前項の規定により提出する納税申告書は、期限内申告書という。
(期限後申告)
第十八条 期限内申告書を提出すべきであつた者(所得税法に規定する損失申告書を提出することができる者でその法定申告期限内に当該申告書を提出しなかつたもの及びこれらの者の相続人その他これらの者の財産に属する権利義務を包括して承継した者を含む。)は、法定申告期限後においても、第二十五条(決定)の規定による決定があるまでは、納税申告書を税務署長に提出することができる。
2 前項の規定により提出する納税申告書は、期限後申告書という。
3 期限後申告書には、その申告に係る国税の期限内申告書に記載すべきものとされている事項を記載し、その期限内申告書に添附すべきものとされている書類があるときは当該書類を添附しなければならない。
(修正申告)
第十九条 納税申告書を提出した者(その相続人その他当該提出した者の財産に属する権利義務を包括して承継した者を含む。以下第二十三条第一項(更正の請求)において同じ。)は、次の各号の一に該当する場合には、その申告について第二十四条(更正)の規定による更正があるまでは、その申告に係る課税標準等(第二条第六号イからハまで(定義)に掲げる事項をいう。以下同じ。)又は税額等(同号ニからへまでに掲げる事項をいう。以下同じ。)を修正する納税申告書を税務署長に提出することができる。
一 先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に不足額があるとき。
二 先の納税申告書に記載した純損失等の金額が過大であるとき。
三 先の納税申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過大であるとき。
四 先の納税申告書に当該申告書の提出により納付すべき税額を記載しなかつた場合において、その納付すべき税額があるとき。
2 第二十四条から第二十六条まで(更正・決定)の規定による更正又は決定を受けた者は、次の各号の一に該当する場合には、その更正又は決定について同条の規定による更正があるまでは、その更正又は決定に係る課税標準等又は税額等を修正する納税申告書を税務署長に提出することができる。
一 その更正又は決定により納付すべきものとしてその更正又は決定に係る更正通知書又は決定通知書に記載された税額に不足額があるとき。
二 その更正に係る更正通知書に記載された純損失等の金額が過大であるとき。
三 その更正又は決定に係る更正通知書又は決定通知書に記載された還付金の額に相当する税額が過大であるとき。
四 納付すべき税額がない旨の更正を受けた場合において、納付すべき税額があるとき。
3 前二項の規定により提出する納税申告書は、修正申告書という。
4 修正申告書には、次に掲げる事項を記載し、その申告に係る国税の期限内申告書に添附すべきものとされている書類があるときは当該書類に記載すべき事項のうちその申告に係るものを記載した書類を添附しなければならない。
一 その申告前の課税標準等及び税額等
二 その申告後の課税標準等及び税額等
三 その申告に係る次に掲げる金額
イ その申告前の納付すべき税額がその申告により増加するときは、その増加する部分の税額
ロ その申告前の還付金の額に相当する税額がその申告により減少するときは、その減少する部分の税額
ハ 所得税法第三十六条第四項(純損失の繰戻しによる還付)(同法第三十六条の二第二項(外国税額控除額の還付)において準用する場合を含む。)又は法人税法第二十六条の四第四項(欠損の繰戻しによる還付)の規定により還付する金額(以下「純損失の繰戻し等による還付金額」という。)に係る第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金があるときは、その還付加算金のうちロに掲げる税額に対応する部分の金額
四 前三号に掲げるもののほか、当該期限内申告書に記載すべきものとされている事項でその申告に係るものその他参考となるべき事項
(修正申告の効力)
第二十条 修正申告書で既に確定した納付すべき税額を増加させるものの提出は、既に確定した納付すべき税額に係る部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。
(納税申告書の提出先等)
第二十一条 納税申告書は、その提出の際におけるその国税の納税地(以下この条において「現在の納税地」という。)を所轄する税務署長に提出しなければならない。
2 所得税、法人税、相続税又は贈与税に係る納税申告書については、当該申告書に係る課税期間が開始した時(課税期間のない国税については、その納税義務の成立の時)以後にその納税地に異動があつた場合において、納税者が当該異動に係る納税地を所轄する税務署長で現在の納税地を所轄する税務署長以外のものに対し当該申告書を提出したときは、その提出を受けた税務署長は、当該申告書を受理することができる。この場合においては、当該申告書は、現在の納税地を所轄する税務署長に提出されたものとみなす。
3 前項の納税申告書を受理した税務署長は、当該申告書を現在の納税地を所轄する税務署長に送付し、かつ、その旨をその提出をした者に通知しなければならない。
(郵送に係る納税申告書の提出時期)
第二十二条 納税申告書(当該申告書に添附すべき書類その他当該申告書の提出に関連して提出するものとされている書類を含む。)が郵便により提出された場合には、その郵便物の通信日付印により表示された日(その表示がないとき、又はその表示が明瞭でないときは、その郵便物について通常要する郵送日数を基準とした場合にその日に相当するものと認められる日)にその提出がされたものとみなす。
第二款 更正の請求
(更正の請求)
第二十三条 納税申告書を提出した者は、次の各号の一に該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限(法人税法第十八条第一項ただし書又は第二十一条第一項ただし書(決算が遅延した場合の申告期限の延長)の規定による納税申告書については、その提出期限)から一月以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等につき次条の規定による更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとき。
二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額が過少であるとき、又は当該申告書に純損失等の金額を記載しなかつたとき。
三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過少であるとき、又は当該申告書に還付金の額に相当する税額を記載しなかつたとき。
2 前項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をしようとする者は、同項の申告に係る課税標準等又は税額等、更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。
3 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、次条の規定による更正をし、又はその更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。
4 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納税申告書の提出により納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
5 前二条の規定は、更正の請求について準用する。
第三款 更正又は決定
(更正)
第二十四条 税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。
(決定)
第二十五条 税務署長は、納税申告書を提出する義務があると認められる者が当該申告書を提出しなかつた場合には、その調査により、当該申告書に係る課税標準等及び税額等を決定する。ただし、決定により納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額が生じないときは、この限りでない。
(再更正)
第二十六条 税務署長は、前二条又はこの条の規定による更正又は決定をした後、その更正又は決定をした課税標準等又は税額等が過大又は過少であることを知つたときは、その調査により、当該更正又は決定に係る課税標準等又は税額等を更正する。
(国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定)
第二十七条 前三条の場合において、国税庁又は国税局の当該職員の調査があつたときは、税務署長は、当該調査したところに基づき、これらの規定による更正又は決定をすることができる。
(更正又は決定の手続)
第二十八条 第二十四条から第二十六条まで(更正・決定)の規定による更正又は決定(以下「更正又は決定」という。)は、税務署長が更正通知書又は決定通知書を送達して行なう。
2 更正通知書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。この場合において、その更正が前条の調査に基づくものであるときは、その旨を附記しなければならない。
一 その更正前の課税標準等及び税額等
二 その更正後の課税標準等及び税額等
三 その更正に係る次に掲げる金額
イ その更正前の納付すべき税額がその更正により増加するときは、その増加する部分の税額
ロ その更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額
ハ 純損失の繰戻し等による還付金額に係る第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金があるときは、その還付加算金のうちロに掲げる税額に対応する部分の金額
ニ その更正前の納付すべき税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額
ホ その更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により増加するときは、その増加する部分の税額
3 決定通知書には、その決定に係る課税標準等及び税額等を記載しなければならない。この場合において、その決定が前条の調査に基づくものであるときは、その旨を附記しなければならない。
(更正等の効力)
第二十九条 第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下「更正」という。)で既に確定した納付すべき税額を増加させるものは、既に確定した納付すべき税額に係る部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。
2 既に確定した納付すべき税額を減少させる更正は、その更正により減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。
3 更正又は決定を取り消す処分又は判決は、その処分又は判決により減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。
(更正又は決定の所轄庁)
第三十条 更正又は決定は、これらの処分をする際におけるその国税の納税地(以下この条において「現在の納税地」という。)を所轄する税務署長が行なう。
2 所得税、法人税、相続税又は贈与税については、これらの国税の課税期間が開始した時(課税期間のない国税については、その納税義務の成立の時)以後にその納税地に異動があつた場合において、その異動に係る納税地で現在の納税地以外のもの(以下この項において「旧納税地」という。)を所轄する税務署長においてその異動の事実が知れず、又はその異動後の納税地が判明せず、かつ、その知れないこと又は判明しないことにつきやむを得ない事情があるときは、その旧納税地を所轄する税務署長は、前項の規定にかかわらず、これらの国税について更正又は決定をすることができる。
3 前二項に規定する税務署長は、更正又は決定をした後、当該更正又は決定に係る国税につき既に適法に、他の税務署長に対し納税申告書が提出され、又は他の税務署長が決定をしていたため、当該更正又は決定をすべきでなかつたものであることを知つた場合には、遅滞なく、当該更正又は決定を取り消さなければならない。
第三節 賦課課税方式による国税に係る税額等の確定手続
(課税標準申告)
第三十一条 賦課課税方式による国税の納税者は、国税に関する法律の定めるところにより、その国税の課税標準を記載した申告書をその提出期限までに税務署長に提出しなければならない。
2 第二十一条第一項(納税申告書の提出先)及び第二十二条(郵送に係る納税申告書の提出時期)の規定は、前項の申告書(以下「課税標準申告書」という。)について準用する。
(賦課決定)
第三十二条 税務署長は、賦課課税方式による国税については、その調査により、課税標準申告書を提出すべき期限(課税標準申告書の提出を要しない国税については、その納税義務の成立の時)後に、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を決定する。
一 課税標準申告書の提出があつた場合において、当該申告書に記載された課税標準が税務署長の調査したところと同じであるとき。 納付すべき税額
二 課税標準申告書を提出すべきものとされている国税につき当該申告書の提出がないとき、又は当該申告書の提出があつた場合において、当該申告書に記載された課税標準が税務署長の調査したところと異なるとき。課税標準及び納付すべき税額
三 課税標準申告書の提出を要しないとき。課税標準及び納付すべき税額
2 税務署長は、前項又はこの項による決定をした後、その決定をした課税標準(前項第一号に掲げる場合にあつては、同号の課税標準申告書に記載された課税標準)又は納付すべき税額が過大又は過少であることを知つたときは、その調査により、当該決定に係る課税標準及び納付すべき税額を変更する決定をする。
3 第一項の規定による決定は、税務署長がその決定に係る課税標準及び納付すべき税額を記載した賦課決定通知書(第一項第一号に掲げる場合にあつては、納税告知書)を送達して行なう。
4 第二項の規定による決定は、税務署長が次に掲げる事項を記載した賦課決定通知書を送達して行なう。
一 その決定前の課税標準及び納付すべき税額
二 その決定後の課税標準及び納付すべき税額
三 その決定前の納付すべき税額がその決定により増加し、又は減少するときは、その増加し、又は減少する納付すべき税額
5 第二十七条(国税庁又は国税局の職員の調査に基づく更正又は決定)、第二十八条第三項後段(決定通知書の附記事項)及び第二十九条(更正等の効力)の規定は、第一項又は第二項の規定による決定(以下「賦課決定」という。)について準用する。
(賦課決定の所轄庁)
第三十三条 賦課決定は、その賦課決定の際におけるその国税の税納地(以下この条において「現在の納税地」という。)を所轄する税務署長が行なう。
2 所得税、法人税、相続税又は贈与税に係る第六十九条(加算税の税目)に規定する加算税については、次の各号の一に該当する場合には、当該各号に掲げる税務署長は、前項の規定にかかわらず、当該各号に規定する更正若しくは決定又は期限後申告書若しくは修正申告書の提出により納付すべき国税に係る当該加算税についての賦課決定をすることができる。
一 第三十条第二項(更正又は決定の所轄庁の特例)の更正又は決定があつたとき。 当該更正又は決定をした税務署長
二 更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定で前号に規定するもの以外のもの又は期限後申告書若しくは修正申告書の提出(第二十一条第二項(納税申告書の提出先の特例)の規定に該当する場合にあつては、同条第三項の規定による当該申告書の送付)があつた後に当該国税の納税地に異動があつた場合において、その異動に係る納税地で現在の納税地以外のもの(以下この号において「旧納税地」という。)を所轄する税務署長においてその異動の事実が知れず、又はその異動後の納税地が判明せず、かつ、その知れないこと又は判明しないことにつきやむを得ない事情があるとき。 旧納税地を所轄する税務署長
3 保税地域からの引取りに係る消費税その他政令で定める消費税についての賦課決定は、第一項の規定にかかわらず、その保税地域(当該政令で定める消費税については、政令で定める場所)の所在地の所轄税関長が行なう。この場合においては、前二条の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは「税関長」と、前条第一項第二号及び第三号、第二項、第三項並びに第四項第一号及び第二号中「納付すべき税額」とあるのは「税額等」とする。
第三章 国税の納付及び徴収
第一節 国税の納付
(納付の手続)
第三十四条 国税を納付しようとする者は、その税額に相当する金銭に納付書(納税告知書の送達を受けた場合には、納税告知書)を添えて、これを日本銀行(国税の収納を行なう代理店を含む。)、郵便局又はその国税の収納を行なう税務署の職員に納付しなければならない。ただし、証券をもつてする歳入納付に関する法律(大正五年法律第十号)の定めるところにより、証券で納付することを妨げない。
2 印紙で納付すべきものとされている国税は、前項の規定にかかわらず、国税に関する法律の定めるところにより、その税額に相当する印紙をはることにより納付するものとする。
3 物納の許可があつた国税は、第一項の規定にかかわらず、国税に関する法律の定めるところにより、物納をすることができる。
(申告納税方式による国税等の納付)
第三十五条 期限内申告書を提出した者は、国税に関する法律に定めるところにより、当該申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に相当する国税をその法定納期限(延納に係る国税については、その延納に係る納期限)までに国に納付しなければならない。
2 次の各号に掲げる金額に相当する国税の納税者は、その国税を当該各号に掲げる日(延納に係る国税、第二条第七号ただし書(定義)に規定する納税申告書の提出により納付すべき国税その他国税に関する法律に別段の納期限の定めがある国税については、当該法律に定める納期限)までに国に納付しなければならない。
一 期限後申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額又は修正申告書に記載した第十九条第四項第三号(修正申告により納付すべき税額)に掲げる金額(その修正申告書の提出により納付すべき税額が新たにあることとなつた場合には、当該納付すべき税額) その期限後申告書又は修正申告書を提出した日
二 更正通知書に記載された第二十八条第二項第三号イからハまで(更正により納付すべき税額)に掲げる金額(その更正により納付すべき税額が新たにあることとなつた場合には、当該納付すべき税額)又は決定通知書に記載された納付すべき税額 その更正通知書又は決定通知書が発せられた日の翌日から起算して一月を経過する日
3 過少申告加算税、無申告加算税又は重加算税(第六十八条第一項又は第二項(申告納税方式による国税の重加算税)の規定によるものに限る。以下この項において同じ。)に係る賦課決定通知書を受けた者は、当該通知書に記載された金額の過少申告加算税、無申告加算税又は重加算税を当該通知書が発せられた日の翌日から起算して一月を経過する日までに納付しなければならない。
第二節 国税の徴収
第一款 納税の請求
(納税の告知)
第三十六条 税務署長は、国税に関する法律の規定により次に掲げる国税(その滞納処分費を除く。以下次条において同じ。)を徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならない。
一 賦課課税方式による国税(過少申告加算税、無申告加算税及び前条第三項に規定する重加算税を除く。)
二 源泉徴収等による国税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
三 納税義務の成立の際印紙をはることにより納付すべきものとされている国税(印紙税を除く。)でその成立の際納付されなかつたもの
四 日本銀行券発行税
2 前項の規定による納税の告知は、税務署長が、政令で定めるところにより、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して行なう。ただし、担保として提供された金銭をもつて消費税を納付させる場合その他政令で定める場合には、納税告知書の送達に代え、当該職員に口頭で当該告知をさせることができる。
(督促)
第三十七条 納税者がその国税を第三十五条(申告納税方式による国税の納付)又は前条第二項の納期限(所得税法第三章(予定納税及び予定申告)の規定により納付すべき所得税については、同章に規定する納期限とし、延滞税及び利子税については、その計算の基礎となる国税のこれらの納期限とする。以下「納期限」という。)までに完納しない場合には、税務署長は、その国税が次に掲げる国税である場合を除き、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない。
一 次条第一項若しくは第三項又は国税徴収法第百五十九条(保全差押)の規定の適用を受けた国税
二 国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている国税
2 前項の督促状は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その国税の納期限から二十日以内に発するものとする。
3 第一項の督促をする場合において、その督促に係る国税についての延滞税又は利子税があるときは、その延滞税又は利子税につき、あわせて督促しなければならない。
(繰上請求)
第三十八条 税務署長は、次の各号の一に該当する場合において、納付すべき税額の確定した国税でその納期限までに完納されないと認められるものがあるときは、その納期限を繰り上げ、その納付を請求することができる。
一 納税者の財産につき強制換価手続が開始されたとき。
二 納税者が死亡した場合において、その相続人が限定承認をしたとき。
三 法人である納税者が解散したとき。
四 納税者が納税管理人を定めないでこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるとき。
五 納税者が偽りその他不正の行為により国税を免れ、若しくは免れようとし、若しくは国税の還付を受け、若しくは受けようとしたと認められるとき、又は納税者が国税の滞納処分の執行を免れ、若しくは免れようとしたと認められるとき。
2 前項の規定による請求は、税務署長が、納付すべき税額、その繰上げに係る期限及び納付場所を記載した繰上請求書(源泉徴収等による国税で納税の告知がされていないものについて同項の規定による請求をする場合には、当該請求をする旨を附記した納税告知書)を送達して行なう。
3 第一項各号の一に該当する場合において、納税義務の成立した国税(納付すべき税額が確定したものを除く。)でその確定後においては当該国税の徴収を確保することができないと認められるものがあるときは、税務署長は、その国税の法定申告期限(課税標準申告書の提出期限を含む。)前に、その確定すると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するため、あらかじめ、滞納処分を執行することを要すると認める金額を決定することができる。この場合においては、その税務署の当該職員は、その金額を限度として、直ちにその者の財産を差し押えることができる。
4 国税徴収法第百五十九条第二項から第十一項まで(保全差押)の規定は、前項の決定があつた場合について準用する。
(強制換価の場合の消費税の徴収の特例)
第三十九条 税務署長は、消費税の課される物品が強制換価手続により換価された場合において、国税に関する法律の規定によりその物品につき消費税(その滞納処分費を含む。以下この項、次項及び第四十三条第一項(国税の徴収の所轄庁)において同じ。)の納税義務が成立するときは、その売却代金のうちからその消費税を徴収することができる。
2 税務署長は、前項の規定により消費税を徴収するときは、あらかじめその執行機関(国税徴収法第二条(用語の定義)に規定する執行機関をいう。以下同じ。)及び納税者に対し、同項の規定により徴収すべき税額その他必要な事項を通知しなければならない。
3 前項の通知があつた場合において、第一項の換価がされたときは、その納税者につきその通知に係る税額に相当する消費税が第二十五条(決定)の規定による決定により確定されたものとみなし、その執行機関に対する通知は、国税徴収法に規定する交付要求(以下「交付要求」という。)とみなす。
第二款 滞納処分
(滞納処分)
第四十条 税務署長は、第三十七条(督促)の規定による督促に係る国税がその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納されない場合、第三十八条第一項(繰上請求)の規定による請求に係る国税がその請求に係る期限までに完納されない場合その他国税徴収法に定める場合には、同法その他の法律の規定により滞納処分を行なう。
第三節 雑則
(第三者の納付及びその代位)
第四十一条 国税は、これを納付すべき者のために第三者が納付することができる。
2 国税の納付について正当な利益を有する第三者又は国税を納付すべき者の同意を得た第三者が国税を納付すべき者に代わつてこれを納付した場合において、その国税を担保するため抵当権(根抵当であるものを除く。)が設定されているときは、これらの者は、その納付により、その抵当権につき国に代位することができる。
3 前項の場合において、第三者が同項の国税の一部を納付したときは、その残余の国税は、同項の規定による代位に係る第三者の債権に先だつて徴収する。
(債権者の代位及び詐害行為の取消し)
第四十二条 民法第四百二十三条(債権者の代位)及び第四百二十四条(詐害行為の取消し)の規定は、国税の徴収に関して準用する。
(国税の徴収の所轄庁)
第四十三条 国税の徴収は、その徴収に係る処分の際におけるその国税の納税地(以下この条において「現在の納税地」という。)を所轄する税務署長が行なう。ただし、保税地域からの引取りに係る消費税その他政令で定める消費税については、その保税地域(当該政令で定める消費税については、政令で定める場所)の所在地を所轄する税関長が行なう。
2 所得税、法人税、相続税又は贈与税については、次の各号の一に該当する場合には、当該各号に掲げる税務署長は、前項本文の規定にかかわらず、当該各号に規定する国税について徴収に係る処分をすることができる。
一 第三十条第二項(更正又は決定の所轄庁の特例)の更正若しくは決定(当該更正又は決定により納付すべき税額に係る第六十九条(加算税の税目)に規定する加算税の賦課決定を含む。)又は第三十三条第二項第二号(賦課決定の所轄庁の特例)の賦課決定があつた場合において、これらの処分に係る国税につき、これらの処分をした後においても引き続きこれらの項に規定する事由があるとき。 当該処分をした税務署長
二 これらの国税につき納付すべき税額が確定した時以後にその納税地に異動があつた場合において、その異動に係る納税地で現在の納税地以外のもの(以下この号において「旧納税地」という。)を所轄する税務署長においてその異動の事実が知れず、又はその異動後の納税地が判明せず、かつ、その知れないこと又は判明しないことにつきやむを得ない事情があるとき。 旧納税地を所轄する税務署長
3 国税局長は、必要があると認めるときは、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長からその徴収する国税について徴収の引継ぎを受けることができる。
4 前項の規定により徴収の引継ぎがあつたときは、その引継ぎを受けた国税局長は、遅滞なく、その旨をその国税を納付すべき者に通知するものとする。
(更生手続等が開始した場合の徴収の所轄庁の特例)
第四十四条 株式会社について更生手続又は企業担保権の実行手続の開始があつた場合には、当該会社の国税を徴収することができる国税局長、税務署長又は税関長は、当該会社の本店(外国に本店を有する株式会社については、この法律の施行地内にある主たる営業所。以下この項において同じ。)の所在地を所轄する国税局長、税務署長又は税関長に対し、その徴収することができる国税の徴収の引継ぎをすることができる。ただし、更生事件がその本店以外の営業所又は財産の所在地を管轄する地方裁判所に移送されたときは、その地方裁判所の所在地を所轄する国税局長、税務署長又は税関長に徴収の引継ぎをすることができる。
2 前条第四項の規定は、前項の規定により徴収の引継ぎがあつた場合について準用する。
(国税局長又は税関長が徴収する場合の読替規定)
第四十五条 第四十三条第一項ただし書(税関長による徴収)の規定により税関長が徴収する場合若しくは前条第一項の規定により税関長が徴収の引継ぎを受けた場合又は第四十三条第三項(徴収の引継ぎ)若しくは前条第一項の規定により国税局長が徴収の引継ぎを受けた場合におけるこの章(第三十八条第三項(繰上保全差押)、第三十九条(強制換価の場合の消費税の徴収の特例)及びこの節を除く。)の規定の適用については、「税務署長」又は「税務署」とあるのは、それぞれ「税関長」若しくは「税関」又は「国税局長」若しくは「国税局」とする。
第四章 納税の猶予及び担保
第一節 納税の猶予
(納税の猶予の要件等)
第四十六条 国税局長又は税務署長は、震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により納税者がその財産につき相当な損失を受けた場合において、その者がその損失を受けた日以後一年以内に納付すべき国税で次に掲げるものがあるときは、政令で定めるところにより、その災害のやんだ日から二月以内にされたその者の申請に基づき、その納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限)から一年以内の期間(第二号に掲げる国税については、政令で定める期間)を限り、その国税の全部又は一部の納税を猶予することができる。
一 その災害のやんだ日(源泉徴収等による国税並びに申告納税方式による有価証券取引税及び消費税については、その日の属する月の末日)以前に納税義務の成立した国税(政令で定めるものを除く。)でその納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限)がその損失を受けた日以後に到来するもののうちその申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの
二 所得税法第三章(予定納税及び予定申告)の規定による予定納税又は予定申告に係る所得税その他政令で定める国税でその納期限がその損失を受けた日以後に到来するもの
2 税務署長(第四十三条第一項ただし書若しくは第三項又は第四十四条第一項(国税の徴収の所轄庁)の規定により税関長又は国税局長が国税の徴収を行なう場合には、その税関長又は国税局長。以下この章において「税務署長等」という。)は、次の各号の一に該当する事実がある場合(前項の規定の適用を受ける場合を除く。)において、その該当する事実に基づき、納税者がその国税を一時に納付することができないと認められるときは、その納付することができないと認められる金額を限度として、納税者の申請に基づき、一年以内の期間を限り、その納税を猶予することができる。前項の規定による納税の猶予をした場合において、同項の災害を受けたことにより、その猶予期間内に猶予をした金額を納付することができないと認めるときも、また同様とする。
一 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかつたこと。
二 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと。
三 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと。
四 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと。
五 前各号の一に該当する事実に類する事実があつたこと。
3 税務署長等は、次の各号に掲げる国税(延納に係る国税を除く。)の納税者につき、当該各号に掲げる税額に相当する国税を一時に納付することができない理由があると認められる場合には、その納付することができないと認められる金額を限度として、その国税の納期限内にされたその者の申請に基づき、その納期限から一年以内の期間を限り、その納税を猶予することができる。
一 申告納税方式による国税(その附帯税を含む。) その法定申告期限から一年を経過した日以後に納付すべき税額が確定した場合における当該確定した部分の税額
二 賦課課税方式による国税(その延滞税を含み、第六十九条(加算税の税目)に規定する加算税を除く。) その課税標準申告書の提出期限(当該申告書の提出を要しない国税については、その納税義務の成立の日)から一年を経過した日以後に納付すべき税額が確定した場合における当該確定した部分の税額
三 源泉徴収等による国税(その附帯税を含む。) その法定納期限から一年を経過した日以後に納税告知書の送達があつた場合における当該告知書に記載された納付すべき税額
4 前二項の規定による納税の猶予をする場合には、その猶予に係る金額を適宜分割し、その分割した金額ごとに猶予期間を定めることを妨げない。
5 税務署長等は、第二項又は第三項の規定による納税の猶予をする場合には、その猶予に係る金額に相当する担保を徴さなければならない。ただし、その猶予に係る税額が五万円以下である場合又は担保を徴することができない特別の事情がある場合は、この限りでない。
6 税務署長等は、前項の規定により担保を徴する場合において、その猶予に係る国税につき滞納処分により差し押えた財産があるときは、その担保の額は、その猶予をする金額からその財産の価額を控除した額を限度とする。
7 税務署長等は、第二項又は第三項の規定により納税の猶予をした場合において、その猶予をした期間内にその猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、納税者の申請に基づき、その期間を延長することができる。ただし、その期間は、既にその者につきこれらの規定により納税の猶予をした期間とあわせて二年をこえることができない。
(納税の猶予の通知等)
第四十七条 税務署長等は、前条の規定による納税の猶予(以下「納税の猶予」という。)をし、又はその猶予の期間を延長したときは、その旨、猶予に係る金額、猶予期間その他必要な事項を納税者に通知しなければならない。
2 税務署長等は、前条第一項から第三項まで又は第七項の申請がされた場合において、納税の猶予又はその猶予の延長を認めないときは、その旨を納税者に通知しなければならない。
(納税の猶予の効果)
第四十八条 税務署長等は、納税の猶予をしたときは、その猶予期間内は、その猶予に係る金額に相当する国税につき、新たに督促及び滞納処分(交付要求を除く。)をすることができない。
2 税務署長等は、納税の猶予をした場合において、その猶予に係る国税につき既に滞納処分により差し押えた財産があるときは、その猶予を受けた者の申請に基づき、その差押えを解除することができる。
3 税務署長等は、納税の猶予をした場合において、その猶予に係る国税につき差し押えた財産のうちに天然果実を生ずるもの又は有価証券、債権若しくは国税徴収法第七十二条第一項(特許権等の差押手続)に規定する無体財産権等があるときは、第一項の規定にかかわらず、その取得した天然果実又は同条第一項に規定する第三債務者等から給付を受けた財産で金銭以外のものにつき滞納処分を執行し、その財産に係る同法第百二十九条第一項(配当の原則)に規定する換価代金等をその猶予に係る国税に充てることができる。
4 前項の場合において、同項の第三債務者等から給付を受けた財産のうちに金銭があるときは、第一項の規定にかかわらず、当該金銭をその猶予に係る国税に充てることができる。
(納税の猶予の取消し)
第四十九条 納税の猶予を受けた者が次の各号の一に該当する場合には、税務署長等は、その猶予を取り消し、又は猶予期間を短縮することができる。
一 第三十八条第一項各号(繰上請求)の一に該当する事実がある場合において、その者がその猶予に係る国税を猶予期間内に完納することができないと認められるとき。
二 第四十六条第四項(猶予税額の分納)の規定により分割した金額ごとに定められた猶予期間内にその金額に相当する国税を納付しないとき。
三 その猶予に係る国税につき提供された担保について税務署長等が第五十一条第一項(担保の変更等)の規定によつてした命令に応じないとき。
四 前三号に掲げる場合を除き、その者の財産の状況その他の事情の変化によりその猶予を継続することが適当でないと認められるとき。
2 税務署長等は、前項の規定により納税の猶予を取り消し、又は猶予期間を短縮する場合には、第三十八条第一項各号の一に該当する事実があるときを除き、あらかじめ、その猶予を受けた者の弁明を聞かなければならない。ただし、その者が正当な理由がなくその弁明をしないときは、この限りでない。
3 税務署長等は、第一項の規定により納税の猶予を取り消し、又は猶予期間を短縮したときは、その旨を納税者に通知しなければならない。
第二節 担保
(担保の種類)
第五十条 国税に関する法律の規定により提供される担保の種類は、次に掲げるものとする。
一 国債及び地方債
二 社債(特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む。)その他の有価証券で税務署長等(国税に関する法律の規定により国税庁長官又は国税局長が担保を徴するものとされている場合には、国税庁長官又は国税局長。以下この条及び次条において同じ。)が確実と認めるもの
三 土地
四 建物、立木及び登記される船舶並びに登録を受けた飛行機、回転翼航空機及び自動車並びに登記を受けた建設機械で、保険に附したもの
五 鉄道財団、工場財団、鉱業財団、軌道財団、運河財団、漁業財団、港湾運送事業財団及び道路交通事業財団
六 税務署長等が確実と認める保証人の保証
七 金銭
(担保の変更等)
第五十一条 税務署長等は、国税につき担保の提供があつた場合において、その担保として提供された財産の価額又は保証人の資力の減少その他の理由によりその国税の納付を担保することができないと認めるときは、その担保を提供した者に対し、増担保の提供、保証人の変更その他の担保を確保するため必要な行為をすべきことを命ずることができる。
2 国税について担保を提供した者は、税務署長等の承認を受けて、その担保を変更することができる。
3 国税の担保として金銭を提供した者は、政令で定めるところにより、その金銭をもつてその国税の納付に充てることができる。
(担保の処分)
第五十二条 税務署長等は、担保の提供されている国税がその納期限(第三十八条第二項(繰上請求)に規定する繰上げに係る期限及び納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限を含む。以下次条及び第六十三条第二項(延滞税の免除)において同じ。)までに完納されないとき、又は担保の提供がされている国税についての延納、納税の猶予若しくは徴収若しくは滞納処分に関する猶予を取り消したときは、その担保として提供された金銭をその国税に充て、若しくはその提供された金銭以外の財産を滞納処分の例により処分してその国税及び当該財産の処分費に充て、又は保証人にその国税を納付させる。
2 税務署長等は、前項の規定により保証人に同項の国税を納付させる場合には、政令で定めるところにより、その者に対し、納付させる金額、納付の期限、納付場所その他必要な事項を記載した納付通知書による告知をしなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所の所在地を所轄する税務署長に対し、その旨を通知しなければならない。
3 保証人がその国税を前項の納付の期限までに完納しない場合には、税務署長等は、第六項において準用する第三十八条第一項の規定により納付させる場合を除き、その者に対し、納付催告書によりその納付を督促しなければならない。この場合においては、その納付催告書は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その納付の期限から二十日以内に発するものとする。
4 第一項の場合において、担保として提供された金銭又は担保として提供された財産の処分の代金を同項の国税及び処分費に充ててなお不足があると認めるときは、税務署長等は、当該担保を提供した者の他の財産について滞納処分を執行し、また、保証人がその納付すべき金額を完納せず、かつ、当該担保を提供した者に対して滞納処分を執行してもなお不足があると認めるときは、保証人に対して滞納処分を執行する。
5 前項の規定により保証人に対して滞納処分を執行する場合には、税務署長等は、同項の担保を提供した者の財産を換価に付した後でなければ、その保証人の財産を換価に付することができない。
6 第三十八条第一項及び第二項並びに前節の規定は、保証人に第一項の国税を納付させる場合について準用する。
(国税庁長官等が徴した担保の処分)
第五十三条 国税庁長官又は国税局長は、国税に関する法律の規定により担保を徴した場合(第四十三条第三項又は第四十四条第一項(徴収の引継ぎ)の規定により徴収の引継ぎを受けた国税局長がその引継ぎに係る国税につき担保を徴した場合を除く。)において、その担保の提供されている国税がその納期限までに完納されないときは、政令で定める税務署長にその担保として提供された財産の処分その他前条に規定する処分を行なわせるものとする。
(担保の提供等に関する細目)
第五十四条 この法律に定めるもののほか、担保の提供の手続その他担保に関し必要な手続については、政令で定める。
(納付委託)
第五十五条 納税の猶予又は滞納処分に関する猶予を受けた者がその猶予に係る国税を納付するため、国税の納付に使用することができる証券以外の有価証券を提供して、その証券の取立てとその取り立てた金銭による当該国税の納付を委託しようとする場合には、税務署(第四十三条第一項ただし書若しくは第三項又は第四十四条第一項(国税の徴収の所轄庁)の規定により税関長又は国税局長が国税の徴収を行なう場合には、その税関又は国税局。以下この条において同じ。)の当該職員は、その証券が最近において確実に取り立てることができるものであると認められるときに限り、その委託を受けることができる。この場合において、その証券の取立てにつき費用を要するときは、その委託をしようとする者は、その費用の額に相当する金額をあわせて提供しなければならない。
2 税務署の当該職員は、前項の委託を受けたときは、納付受託証書を交付しなければならない。
3 第一項の委託があつた場合において、必要があるときは、税務署の当該職員は、確実と認める金融機関にその取立て及び納付の再委託をすることができる。
4 第一項の委託があつた場合において、その委託に係る有価証券の提出により同項の国税につき国税に関する法律の規定による担保の提供の必要がないと認められるに至つたときは、その認められる限度において当該担保の提供があつたものとすることができる。
第五章 国税の還付及び還付加算金
(還付)
第五十六条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下「還付金等」という。)があるときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、金銭で還付しなければならない。
(充当)
第五十七条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金等がある場合において、その還付を受けるべき者につき納付すべきこととなつている国税があるときは、前条の規定による還付に代えて、還付金等をその国税に充当しなければならない。この場合において、その国税のうちに延滞税又は利子税があるときは、その還付金等は、まず延滞税又は利子税の計算の基礎となる国税に充当しなければならない。
2 前項の規定による充当があつた場合には、政令で定める充当をするのに適することとなつた時に、その充当をした還付金等に相当する額の国税の納付があつたものとみなす。
3 国税局長、税務署長又は税関長は、第一項の規定による充当をしたときは、その旨をその充当に係る国税を納付すべき者に通知しなければならない。
(還付加算金)
第五十八条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金等を還付し、又は充当する場合には、その還付金等に係る国税の納付があつた日の翌日からその還付のための支払決定の日又はその充当の日(同日前に充当するのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日。以下第六十条第二項(延滞税の額の計算)において同じ。)までの期間(他の国税に関する法律に別段の定めがある場合には、その定める期間)に応じ、その金額百円につき一日二銭の割合を乗じて計算した金額(以下「還付加算金」という。)をその還付し、又は充当すべき金額に加算しなければならない。
2 前項の場合において、次の各号の一に該当するときは、当該各号に掲げる期間を同項に規定する期間から控除する。
一 還付金等の請求権につき民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)第五百九十四条(差押命令)の規定による差押えがされた場合において、当該差押えの日に同法第六百条第一項(移付命令)の命令がなかつたとき。 その差押えの日の翌日からその差押えの取消し又は同項の命令があつた日までの期間
二 還付金等の請求権につき仮差押えがされたとき。 その仮差押えがされている期間
三 国税局長、税務署長又は税関長が国税に係る過誤納金のあることをその還付を受けるべき者に通知した場合において、その通知書を発した日の翌日から起算して一月を経過する日までにその還付の請求がなかつたとき。 その日の翌日から還付の請求があつた日までの期間
四 申告納税方式による国税で過誤納に係るものの納付がその国税の法定納期限前にあつたとき。 その納付の日の翌日から当該法定納期限までの期間
3 二以上の納期又は二回以上の分割納付に係る国税につき過誤納が生じた場合には、その過誤納の金額に達するまで、納付の日の順序に従い最後に納付された金額から順次さかのぼつて求めた金額の過誤納がそれぞれの納付の日に生じたものとみなして、第一項の規定を適用する。
4 適法に納付された国税が、その適法な納付に影響を及ぼすことなくその納付すべき額を変更する法律の規定に基づき過納となつたときは、その過納の金額に相当する国税は、その過納となつた日に納付があつたものとみなして、第一項の規定を適用する。
5 申告納税方式による国税の納付があつた場合において、その課税標準の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたこと、当該事実のうちに含まれていた取り消しうべき行為が取り消されたことその他これらに準ずる政令で定める理由に基づきその国税について更正が行なわれたときは、その更正により過納となつた金額に相当する国税(その附帯税で当該更正に伴い過納となつたものを含む。)は、その更正があつた日(当該理由に基づき国税に関する法律の規定により更正の請求があつた場合には、当該請求があつた日)に納付されたものとみなして、第一項の規定を適用する。
(国税の予納額の還付の特例)
第五十九条 納税者は、次に掲げる国税として納付する旨を税務署長に申し出て納付した金額があるときは、その還付を請求することができない。
一 納付すべき税額の確定した国税で、その納期が到来していないもの
二 最近において納付すべき税額の確定することが確実であると認められる国税
2 前項の規定に該当する納付があつた場合において、その納付に係る国税の全部又は一部につき国税に関する法律の改正その他の理由によりその納付の必要がないこととなつたときは、その時に国税に係る過誤納があつたものとみなして、前三条の規定を適用する。
第六章 附帯税
第一節 延滞税及び利子税
(延滞税)
第六十条 納税者は、次の各号の一に該当するときは、延滞税を納付しなければならない。
一 期限内申告書を提出をした場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税を法定納期限までに完納しないとき。
二 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、又は更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定を受けた場合において、第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき国税があるとき。
三 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税(第五号及び第六号に規定する国税並びに不納付加算税及び重加算税を除く。)をその法定納期限後に納付するとき。
四 所得税法第三章(予定納税及び予定申告)の規定による予定納税又は予定申告に係る所得税を法定納期限までに完納しないとき。
五 源泉徴収等による国税(所得税法第四十一条第二項(代位納付)の規定により納付すべき所得税を含む。以下次条第二項において同じ。)をその法定納期限までに完納しないとき。
六 納税義務の成立の際印紙をはることにより納付すべきものとされている国税(印紙税を除く。以下次項において同じ。)をその成立の際完納しないとき。
2 延滞税の額は、前項各号に規定する国税の法定納期限(純損失の繰戻し等による還付金額が過大であつたことにより納付すべきこととなつた国税その他政令で定める国税については、政令で定める日)の翌日からその国税を完納する日までの期間に応じ、その未納の税額百円につき一日四銭の割合を乗じて計算した額とする。ただし、督促状を発する前の期間又は督促状を発した日から起算して十日を経過した日以前の期間については、その未納の税額百円につき一日二銭の割合を乗じて計算した額とする。
3 第一項の納税者は、延滞税をその額の計算の基礎となる国税にあわせて納付しなければならない。
4 延滞税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。
(延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)
第六十一条 修正申告書(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者が当該国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知して提出した当該申告書を除く。)の提出又は更正(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者についてされた当該国税に係る更正を除く。)があつた場合において、次の各号の一に該当するときは、当該申告書の提出又は更正により納付すべき国税については、前条第二項に規定する期間から当該各号に掲げる期間を控除して、同項の規定を適用する。
一 その申告又は更正に係る国税について期限内申告書が提出されている場合において、その法定申告期限から一年を経過する日後に当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられたとき。 その法定申告期限から一年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間
二 その申告又は更正に係る国税について期限後申告書(還付金の還付を受けるための納税申告書で政令で定めるもの(以下「還付請求申告書」という。)を含む。以下この号において同じ。)が提出されている場合において、その期限後申告書の提出があつた日の翌日から起算して一年を経過する日後に当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられたとき。 その期限後申告書の提出があつた日の翌日から起算して一年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間
2 源泉徴収等による国税で次の各号の一に該当するものについては、前条第二項に規定する期間から当該各号に掲げる期間を控除して、同項の規定を適用する。ただし、その国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて偽りその他不正の行為がある場合(第二号に掲げる国税については、当該国税についての調査があつたことにより当該国税について第三十六条第一項(納税の告知)の規定による納税の告知があるべきことを予知して納付されたときに限る。)は、この限りでない。
一 法定納期限から一年を経過する日後に納税告知書が発せられた国税 その法定納期限から一年を経過する日の翌日から当該告知書が発せられた日までの期間
二 前号に掲げるものを除き、法定納期限から一年を経過する日後に納付された国税 その法定納期限から一年を経過する日の翌日から当該納付の日までの期間
(一部納付が行なわれた場合の延滞税の額の計算等)
第六十二条 延滞税の額の計算の基礎となる国税の一部が納付されたときは、その納付の日の翌日以後の期間に係る延滞税の額の計算の基礎となる税額は、その納付された税額を控除した金額とする。
2 第六十条第三項(延滞税の納付)の規定により延滞税をあわせて納付すべき場合において、納税者の納付した金額がその延滞税の額の計算の基礎となる国税の額に達するまでは、その納付した金額は、まずその計算の基礎となる国税に充てられたものとする。
(納税の猶予の場合の延滞税の免除)
第六十三条 第四十六条第一項若しくは第二項第一号、第二号若しくは第五号(同項第一号又は第二号に該当する事実に類する事実に係る部分に限る。)(災害等による納税の猶予)の規定による納税の猶予又は国税徴収法第百五十三条第一項(滞納処分の停止)の規定による滞納処分の執行の停止をした場合には、その猶予又は停止をした国税に係る延滞税のうちその猶予又は停止をした期間に対応する部分の金額は、免除する。ただし、第四十九条第一項(納税の猶予の取消し)又は同法第百五十四条第一項(滞納処分の停止の取消し)の規定による取消しの基因となるべき事実が生じた場合には、その生じた日以後の期間に対応する部分の金額については、国税局長、税務署長又は税関長は、その免除をしないことができる。
2 第九条(期限の延長)の規定により国税の納期限を延長した場合には、その国税に係る延滞税のうちその延長をした期間に対応する部分の金額は、免除する。
3 第四十六条第二項第三号、第四号若しくは第五号(同項第三号又は第四号に該当する事実に類する事実に係る部分に限る。)(事業の廃止等による納税の猶予)の規定による納税の猶予又は国税徴収法第百五十一条第一項(換価の猶予)の規定による換価の猶予をした場合において、納税者が次の各号の一に該当するときは、国税局長、税務署長又は税関長は、その猶予をした国税に係る延滞税につき、猶予をした期間に対応する部分の金額でその納付が困難と認められるものを限度として、免除することができる。
一 納税者の財産の状況が著しく不良で、納期又は弁済期の到来した地方税若しくは公課又は債務について軽減又は免除をしなければ、その事業の継続又は生活の維持が著しく困難になると認められる場合において、その軽減又は免除がされたとき。
二 納税者の事業又は生活の状況によりその延滞税の納付を困難とするやむを得ない理由があると認められるとき。
(利子税)
第六十四条 延納に係る国税の納税者は、国税に関する法律の定めるところにより、その延納に係る国税にあわせて利子税を納付しなければならない。
2 利子税の額の計算の基礎となる期間は、第六十条第二項(延滞税の額の計算)に規定する期間に算入しない。
3 第六十条第四項(延滞税の属する税目)及び第六十二条(一部納付が行なわれた場合の延滞税の額の計算等)の規定は、利子税について準用する。
第二節 加算税
(過少申告加算税)
第六十五条 期限内申告書(還付請求申告書を含む)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第一項ただし書の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。
2 前項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となつた事実のうちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかつたことについて正当な理由があると認められるものがある場合には、同項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して、同項の規定を適用する。
3 第一項の規定は、修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、適用しない。
(無申告加算税)
第六十六条 次の各号の一に該当する場合には、当該納税者に対し、当該各号に規定する申告、更正又は決定に基づき第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課する。ただし、期限内申告書の提出がなかつたことについて正当な理由があると認められる場合(当該各号に規定する期限後申告書が法人税法第十八条第一項ただし書又は第二十一条第一項ただし書(決算が遅延した場合の申告期限の延長)の規定による納税申告書である場合を含む。)は、この限りでない。
一 期限後申告書の提出又は第二十五条(決定)の規定による決定があつた場合
二 期限後申告書の提出又は第二十五条の規定による決定があつた後に修正申告書の提出又は更正があつた場合
2 前条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
3 期限後申告書又は第一項第二号の修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、その申告に基づき第三十五条第二項の規定により納付すべき税額に係る第一項の無申告加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付すべき税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額とする。
(不納付加算税)
第六十七条 源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長は、当該納税者から、第三十六条第一項第二号(源泉徴収等による国税の納税の告知)の規定による納税の告知に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
2 源泉徴収等による国税が第三十六条第一項第二号の規定による納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があつたことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないときは、その納付された税額に係る前項の不納付加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付された税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額とする。
(重加算税)
第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(同条第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ペいし、又は仮装し、その隠ペいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ペいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠ペいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ペいし、又は仮装し、その隠ペいし、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ペいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠ペいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
3 前条第一項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第二項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者が事実の全部又は一部を隠ペいし、又は仮装し、その隠ペいし、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは、税務署長は、当該納税者から、不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ペいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠ペいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る不納付加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。
4 第一項又は第二項の規定は、消費税については、適用しない。
(加算税の税目)
第六十九条 過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税(以下「加算税」という。)は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。
第七章 国税の更正、決定、徴収、還付等の期間制限
第一節 国税の更正、決定等の期間制限
(国税の更正、決定等の期間制限)
第七十条 次の各号に掲げる更正又は賦課決定は、当該各号に掲げる期限又は日から三年を経過した日(同日前に期限後申告書の提出があつた場合には、同日とその提出があつた日から二年を経過した日とのいずれか遅い日)以後においては、することができない。
一 更正(第三項の規定に該当するものを除く。) その更正に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る当該更正については、当該申告書を提出した日)
二 課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定 当該申告書の提出期限
2 前項各号に掲げる更正又は賦課決定で次に掲げるものは、同項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる期限又は日から五年を経過する日まで、することができる。
一 納付すべき税額を減少させる更正又は賦課決定
二 純損失等の金額で当該課税期間において生じたもの若しくは還付金の額を増加させる更正又はこれらの金額があるものとする更正
三 純損失等の金額で当該課税期間において生じたものを減少させる更正
四 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税についての更正又は賦課決定
五 前各号に掲げるものを除き、法定申告期限から三年を経過した日以後に期限後申告書の提出があつた国税についての更正
3 第二十五条(決定)の規定による決定又はその決定後にする更正は、その決定又は更正に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書の提出がない場合にする当該決定又は更正については、政令で定める日)から五年を経過した日以後においては、することができない。
4 次の各号に掲げる国税に係る賦課決定は、当該各号に掲げる期限又は日から五年を経過した日以後においては、することができない。
一 課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出がなかつたもの 当額申告書の提出期限
二 課税標準申告書の提出を要しない賦課課税方式による国税 その納税義務の成立の日
(国税の更正、決定等の期間制限の特例)
第七十一条 更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は賦課決定(以下「更正決定等」という。)で次の各号に掲げるものは、当該各号に掲げる期間の満了する日が前条の規定により更正決定等をすることができる期間(以下「通常の除斥期間」という。)の満了する日後に到来する場合には、前条の規定にかかわらず、当該各号に掲げる期間においても、することができる。
一 更正決定等に係る不服申立て若しくは訴えについての裁決、決定若しくは判決(以下この号において「裁決等」という。)による原処分の異動又は更正の請求に基づく更正に伴つて課税標準等又は税額等に異動を生ずべき国税(当該裁決等又は更正に係る国税の属する税目に属するものに限る。)で当該裁決等又は更正を受けた者に係るものについての更正決定等 当該裁決等又は更正があつた日から六月間
二 申告納税方式による国税につき、その課税標準の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたこと、当該事実のうちに含まれていた取り消しうべき行為が取り消されたことその他これらに準ずる政令で定める理由に基づいてする更正(前条第二項第一号又は第二号の規定に該当するものに限る。)又は当該更正に伴い当該国税に係る加算税についてする賦課決定 当該理由が生じた日から三年間
第二節 国税の徴収権の消滅時効
(国税の徴収権の消滅時効)
第七十二条 国税の徴収を目的とする国の権利(以下この節において「国税の徴収権」という。)は、その国税(その滞納処分費を除く。)の法定納期限(前条第一号に掲げる更正決定等により納付すべきものについては、同号に規定する裁決等又は更正があつた日とし、国税に関する法律に法定納期限の定めがない国税(国税の滞納処分費を含む。)については、その国税の徴収権を行使することができる日とする。)から五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
2 国税の徴収権の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。
3 国税の徴収権の時効については、この節に別段の定めがあるものを除き、民法の規定を準用する。
(時効の中断及び停止)
第七十三条 国税の徴収権の時効は、次の各号に掲げる処分に係る部分の国税については、その処分の効力が生じた時に中断し、当該各号に掲げる期間を経過した時から更に進行する。
一 更正又は決定 その更正又は決定により納付すべき国税の第三十五条第二項第二号(更正又は決定による納付)の規定による納期限までの期間
二 過少申告加算税、無申告加算税又は重加算税(第六十八条第一項又は第二項(申告納税方式による国税の重加算税)の規定によるものに限る。)に係る賦課決定 その賦課決定により納付すべきこれらの国税の第三十五条第三項の規定による納期限までの期間
三 納税に関する告知 その告知に指定された納付に関する期限までの期間
四 督促 督促状又は督促のための納付催告書を発した日から起算して十日を経過した日(同日前に国税徴収法第四十七条第二項(繰上差押)の規定により差押えがされた場合には、そのされた日)までの期間
五 交付要求 その交付要求がされている間期(国税徴収法第八十二条第二項(交付要求)の通知がされていない期間があるときは、その期間を除く。
2 前項第五号の規定により時効が中断された場合には、その交付要求に係る強制換価手続が取り消されたときにおいても、その時効中断の効力は、失われない。
3 国税の徴収権の時効は、延納、納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る部分の国税(当該部分の国税にあわせて納付すべき延滞税及び利子税を含む。)につき、その延納又は猶予がされている期間内は、進行しない。
4 国税(附帯税及び国税の滞納処分費を除く。)についての国税の徴収権の時効が中断し、又は当該国税が納付されたときは、その中断し、又は納付された部分の国税に係る延滞税又は利子税についての国税の徴収権につき、その時効が中断する。
第三節 還付金等の消滅時効
(還付金等の消滅時効)
第七十四条 還付金等に係る国に対する請求権は、その請求をすることができる日から五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
2 第七十二条第二項及び第三項(国税の徴収権の消滅時効の絶対的効力等)の規定は、前項の場合について準用する。
第八章 不服審査及び訴訟
第一節 不服審査
第一款 通則
(行政不服審査法との関係)
第七十五条 国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立てについては、この節及び他の国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、行政不服審査法(昭和三十七年法律第  号)の定めるところによる。
第二款 異議申立て
(異議申立て)
第七十六条 国税に関する法律に基づく処分(行政不服審査法第四条第一項第七号(不服申立てをすることができない処分)に掲げる処分に該当するものを含まないものとする。以下この節において同じ。)で国税庁長官、国税局長、税務署長又は税関長がしたものに不服がある者は、その処分があつたことを知つた日(その処分に係る通知を受けたときは、その受けた日。以下この節において同じ。)の翌日から起算して一月以内に、その処分をした国税庁長官、国税局長、税務署長又は税関長に対し、異議申立てをすることができる。
2 国税庁、国税局、税務署又は税関の職員がした処分は、それぞれその処分をした職員の所属する国税庁、国税局、税務署又は税関の長がした処分とみなして、前項の規定を適用する。
3 第一項の場合において、天災その他同項の期間内に異議申立てをしなかつたことについてやむを得ない理由があると認められるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して七日以内に同項の異議申立てをすることができる。
4 異議申立ては、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
5 次に掲げる処分については、第一項の規定にかかわらず、異議申立てをすることができない。
一 不服申立てについての決定又は裁決その他この節又は行政不服審査法の規定による処分
二 第七十九条第一項第一号(審査請求をすることができる処分)に掲げる処分
(納税地異動の場合における異議申立先等)
第七十七条 所得税、法人税、相続税又は贈与税に係る税務署長の処分(前条第五項各号に掲げる処分に該当するもの並びに督促及び滞納処分(その例による処分を含む。)を除く。以下この条及び次条第一項において同じ。)があつた時以後にその納税地に異動があつた場合において、その処分の際における納税地を所轄する税務署長と前条第一項の規定による異議申立てをする際における納税地(以下この条において「現在の納税地」という。)を所轄する税務署長とが異なることとなるときは、その異議申立ては、同項の規定にかかわらず、現在の納税地を所轄する税務署長に対してしなければならない。この場合においては、その処分は、現在の納税地を所轄する税務署長がしたものとみなす。
2 前項の異議申立てをする者は、異議申立書にその処分に係る税務署の名称を附記しなければならない。
3 第一項の場合において、異議申立書がその処分に係る税務署長に提出されたときは、当該税務署長は、その異議申立書を受理することができる。この場合においては、その異議申立書は、現在の納税地を所轄する税務署長に提出されたものとみなす。
4 前項の異議申立書を受理した税務署長は、その異議申立書を現在の納税地を所轄する税務署長に送付し、かつ、その旨を異議申立てをした者に通知しなければならない。
(異議申立事件の決定機関の特例)
第七十八条 所得税、法人税、相続税又は贈与税に係る税務署長の処分について異議申立てがされている場合において、その処分に係る国税の納税地に異動があり、その異議申立てがされている税務署長と異動後の納税地を所轄する税務署長とが異なることとなるときは、当該異議申立てがされている税務署長は、異議申立てをした者の申立てにより又は職権で、当該異議申立てに係る事件を異動後の納税地を所轄する税務署長に移送することができる。
2 前項の規定により異議申立てに係る事件の移送があつたときは、はじめからその移送を受けた税務署長に異議申立てがされたものとみなし、当該税務署長がその異議申立てについての決定を行なう。
3 第一項の規定により異議申立てに係る事件を移送したときは、その移送をした税務署長は、その異議申立てに係る異議申立書及び関係書類その他の物件(以下「異議申立書等」という。)をその移送を受けた税務署長に送付し、かつ、その旨を異議申立てをした者に通知しなければならない。
第三款 審査請求
(審査請求)
第七十九条 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、その処分があつたことを知つた日の翌日から起算して一月以内に、当該各号に掲げる者に対し、審査請求をすることができる。
一 税務署長がした処分で、その処分に係る事項に関する調査が国税庁又は国税局の当該職員によつてされた旨の記載がある書面により通知されたもの 国税庁長官又はその処分をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長
二 国税庁、国税局、税務署及び税関以外の行政機関の職員がした処分 その処分をした職員の所属する行政機関の所在地を所轄する国税局長
2 税務署長がした処分(第七十六条第二項(異議申立て)の規定により税務署長がした処分とみなされるものを含むものとし、前項第一号に掲げる処分に該当するものを除くものとする。以下この項、次条及び第八十七条第一項第二号(不服申立ての前置の特例)において同じ。)に不服がある者は、次の各号の一に該当するときは、異議申立てをしないで、当該税務署長の管轄区域を所轄する国税局長に対し、審査請求をすることができる。この場合において、その審査請求は、その処分があつたことを知つた日の翌日から起算して一月以内にしなければならない。
一 その処分をした者がその処分につき異議申立てをすることができる旨の行政不服審査法の規定による教示をしなかつたとき、その他異議申立てについての決定を経ないことにつき正当な理由があるとき。
二 その処分が所得税法又は法人税法に規定する青色申告書に係る更正であるとき。
3 第七十六条第一項の規定による税務署長に対する異議申立て(同項に規定する期間経過後にされたものその他その申立てが適法にされていないものを除く。)についての決定があつた場合において、当該異議申立てをした者がその決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、その決定の通知を受けた日の翌日から起算して一月以内に、その決定をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長に対し、審査請求をすることができる。
4 国税局長又は税関長がした処分(第七十六条第二項の規定によりこれらの者がした処分とみなされるものを含む。)については、審査請求をすることができない。
5 第七十六条第三項、第四項又び第五項第一号並びに前二条の規定は、第一項から第三項までの規定による審査請求について準用する。
(決定が遅延した場合等のみなす審査請求)
第八十条 税務署長がした処分について異議申立てがされた場合において、次の各号の一に該当するときは、当該各号に掲げる日において、その異議申立てがされている税務署長の管轄区域を所轄する国税局長に対し、審査請求がされたものとみなす。
一 異議申立てがされた日の翌日から起算して三月を経過する日までに、その異議申立てについて決定がされないとき(異議申立てをした者がその期間内に別段の申出をしたときを除く。)。 その経過する日の翌日
二 異議申立てがされている税務署長においてその異義申立てを審査請求として取り扱うことを適当と認め、かつ、その異議申立てをした者がこれに同意したとき。 その同意があつた日
2 前項の規定に該当するときは、同項に規定する異議申立てがされている税務署長は、その異議申立てに係る異議申立書等を同項に規定する国税局長に送付し、かつ、その旨を異議申立てをした者に通知しなければならない。
3 第七十八条(異議申立事件の決定機関の特例)の規定は、第一項の場合について準用する。
(他の審査請求に伴うみなす審査請求)
第八十一条 更正決定等について国税局長に対し審査請求がされている場合において、当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正又は賦課決定について税務署長に対し異議申立てがされたときは、当該異議申立てを受けた税務署長は、その異議申立書等を当該国税局長に送付し、かつ、その旨を異議申立てをした者に通知しなければならない。
2 更正決定等について税務署長に対し異議申立てがされている場合において、当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正又は賦課決定について国税局長に対し審査請求がされたときは、当該異議申立てがされている税務署長は、その異議申立書等を当該国税局長に送付し、かつ、その旨を異議申立てをした者に通知しなければならない。
3 前二項の規定により異議申立書等がこれらの規定に規定する国税局長に送付された場合には、その送付された日に、当該国税局長に対して当該異議申立てに係る処分についての審査請求がされたものとみなす。
4 第七十八条(異議申立事件の決定機関の特例)の規定は、前項の場合について準用する。
第四款 雑則
(併合審理等)
第八十二条 更正決定等について不服申立てがされている場合において、当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等があるときは、その不服申立てを受けた者は、行政不服審査法の規定によるもののほか、当該他の更正決定等についてあわせて審理することができる。ただし、当該他の更正決定等について不服申立ての決定又は裁決がされているときは、この限りでない。
2 前項の規定の適用がある場合には、その不服申立てを受けた者は、当該不服申立てについての決定又は裁決において当該他の更正決定等の全部又は一部を取り消すことができる。
(協議団による審理)
第八十三条 国税庁長官又は国税局長は、国税に関する法律の規定に基づく処分に対する不服申立てについて決定又は裁決をする場合には、国税庁又は当該国税局に附置された協議団の議決に基づいてこれをしなければならない。
2 協議団の運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(不服申立てと国税の徴収との関係)
第八十四条 国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、その目的となつた処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。ただし、その国税の徴収のため差し押えた財産の滞納処分(その例による処分を含む。以下この条において同じ。)による換価及び配当は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまで、することができない。
2 国税庁長官、国税局長、税務署長又は税関長は、必要があると認めるときは、前項の不服申立てをした者の申立てにより又は職権で、不服申立ての目的となつた処分に係る国税の全部若しくは一部の徴収を猶予し、又は滞納処分の続行を停止することができる。
3 国税庁長官、国税局長、税務署長又は税関長は、第一項の不服申立てをした者が、担保を提供して、不服申立ての目的となつた処分に係る国税につき、滞納処分による差押えをしないこと又は既にされている滞納処分による差押えを解除することを求めた場合において、相当と認めるときは、政令で定めるところにより、その差押えをしないこと若しくはその差押えを解除することを命じ、又は自らその差押えをせず、若しくはその差押えを解除することができる。
4 第四十九条第一項第一号及び第三項(繰上請求の理由がある場合の納税の猶予の取消し)の規定は、第二項の規定による徴収の猶予又は滞納処分の続行の停止の取消しについて準用する。
(不服申立てに関する規定の適用除外)
第八十五条 第七十六条から前条まで(異議申立て及び審査請求)の規定は、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章(酒類の製造免許及び酒類の販売業免許等)の規定による処分については、適用しない。
第二節 訴訟
(行政事件訴訟法との関係)
第八十六条 国税に関する法律に基づく処分に関する訴訟については、この節及び他の国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第  号)その他の一般の行政事件訴訟に関する法律の定めるところによる。
(不服申立ての前置等)
第八十七条 国税に関する法律に基づく処分(第八十五条(不服申立てに関する規定の適用除外)に規定する処分を除く。以下この節において同じ。)で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは、異議申立てをすることができる処分(審査請求をすることもできるもの(異議申立てについての決定を経た後審査請求をすることができるものを含む。)を除く。)にあつては異議申立てについての決定を、審査請求をすることができる処分にあつては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ、提起することができない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 異議申立て(税務署長に対してされたものを除く。)又は審査請求がされた日の翌日から起算して三月を経過しても決定又は裁決がないとき。
二 税務署長がした処分について異議申立てをした者が第八十条第一項第一号(みなす審査にしない旨の申出)に規定する申出をした場合において、その異議申立てをした日の翌日から起算して六月を経過しても決定がないとき。
三 更正決定等の取消しを求める訴えを提起した者が、その訴訟の係属している間に当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等の取消しを求めようとするとき。
四 異議申立てについての決定又は審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他その決定又は裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
2 国税に関する法律に基づく処分についてされた異議申立て又は審査請求について決定又は裁決をした者は、その決定又は裁決をした時にその処分についての訴訟が係属している場合には、その決定書又は裁決書の謄本をその訴訟が係属している裁判所に送付するものとする。
(証拠申出の順序)
第八十八条 国税に関する法律に基づく処分に係る行政事件訴訟法第三条第一項(抗告訴訟)に規定する抗告訴訟においては、裁判所が相手方当事者となつた国税庁長官、国税局長、税務署長、税関長その他の行政機関の長の主張を合理的と認めたときは、その訴えを提起した者がまず証拠の申出をし、その後に相手方当事者が証拠の申出をするものとする。
2 相手方当事者は、前項の規定にかかわらず、随時証拠の申出をすることができる。
第九章 雑則
(納税管理人)
第八十九条 個人である納税者がこの法律の施行地に住所及び居所(事務所及び事業所を除く。)を有せず、若しくは有しないこととなる場合又はこの法律の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人である納税者がこの法律の施行地にその事務所及び事業所を有せず、若しくは有しないこととなる場合において、納税申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要があるときは、その者は、当該事項を処理させるため、この法律の施行地に住所又は居所を有する者で当該事項の処理につき便宜を有するもののうちから納税管理人を定めなければならない。
2 納税者は、前項の規定により納税管理人を定めたときは、当該納税管理人に係る国税の納税地を所轄する税務署長にその旨を届け出なければならない。その納税管理人を解任したときも、また同様とする。
(国税の課税標準の端数計算等)
第九十条 国税(印紙税及び附帯税を除く。以下この条及び次条において同じ。)の課税標準(その税率の適用上課税標準から控除する金額があるときは、これを控除した金額。以下この条において同じ。)を計算する場合において、その額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が百円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
2 政令で定める国税の課税標準については、前項の規定にかかわらず、その課税標準に一円未満の端数があるとき、又はその全額が一円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
3 附帯税の額を計算する場合において、その計算の基礎となる税額に千円未満の端数があるとき、又はその税額の全額が二千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
(国税の確定金額の端数計算等)
第九十一条 国税の確定金額に十円未満の端数があるとき、又はその全額が百円(国税の滞納処分費については、十円)未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
2 政令で定める国税の確定金額については、前項の規定にかかわらず、その確定金額に一円未満の端数があるとき、又はその全額が一円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
3 国税の確定金額を、二以上の納付の期限を定め、一定の金額に分割して納付することとされている場合において、その納付の期限ごとの分割金額に十円未満(前項に規定する国税に係るものについては、一円未満)の端数があるときは、その端数金額は、すべて最初の納付の期限に係る分割金額に合算するものとする。
4 附帯税の確定金額に十円未満の端教があるとき、又はその全額が五百円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
(還付金等の端数計算等)
第九十二条 還付金等の額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てる。
2 還付金等の額が一円未満であるときは、その額を一円として計算する。
3 還付加算金の確定金額に十円未満の端数があるとき、又はその全額が三百円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
4 還付加算金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる還付金等の額に千円未満の端数があるとき、又はその還付金等の額の全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
(供託)
第九十三条 民法第四百九十四条(供託による免責)並びに第四百九十五条第一項及び第三項(供託の方法)の規定は、国税に関する法律の規定により納税者その他の者に金銭その他の物件を交付し、又は引き渡すべき場合について準用する。
(国税に関する相殺)
第九十四条 国税と国に対する債権で金銭の給付を目的とするものとは、法律の別段の規定によらなければ、相殺することができない。還付金等に係る債権と国に対する債務で金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
(納税証明書の交付等)
第九十五条 国税局長、税務署長又は税関長は、国税に関する事項のうち納付すべき税額その他政令で定めるものについての証明書の交付を請求する者があるときは、その者に関するものに限り、政令で定めるところにより、これを交付しなければならない。
2 前項の証明書の交付を請求する者は、政令で定めるところにより、証明書の枚数を基準として定められる手数料を納付しなければならない。
(政令への委任)
第九十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の規定による通知に係る事項及び納税の猶予に関する申請の手続その他のこの法律の実施のための手続その他その執行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十七年四月一日から施行する。ただし、第八章(不服審査及び訴訟)の規定は、昭和三十七年十月一日から施行する。
(従前の税法に基づく処分又は手続の効力)
第二条 この法律の施行前に、この法律の施行前の国税に関する法律(以下「従前の税法」という。)の規定又はこれに基づき若しくはこれを実施するための命令の規定によつてした更正、告知、督促、徴収猶予、担保の徴取又は申告、申請、請求、証明、納付委託その他の処分又は手続で、この法律に相当規定があるものは、この附則又は他の国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、この法律の相当の規定によつてした相当の処分又は手続とみなす。
(申告納税方式による国税の加算税の納付に関する経過措置)
第三条 第三十五条第三項(加算税の納付)の規定は、この法律の施行後に賦課決定通知書を発した場合について適用する。
(繰上保全差押に関する経過措置)
第四条 第三十八条第三項及び第四項(繰上保全差押)の規定は、この法律の施行後に納税義務が成立した国税について適用する。
(還付加算金に関する経過措置)
第五条 第五十八条(還付加算金)の規定は、この法律の施行後に支払決定又は充当をする還付金等に加算すべき金額について適用する。ただし、当該加算すべき金額の全部又は一部でこの法律の施行前の期間に対応するものの計算については、従前の税法の例による。
(延滞税に関する経過措置)
第六条 第六章第一節(延滞税)の規定は、この条又は他の法律に別段の定めがあるものを除き、この法律の施行後に納付する国税について適用する。この場合において、この法律の施行前の期間に対応する部分の延滞税は、納付することを要しない。
2 前項前段の規定を適用する場合において、延滞税の納付の基因となる国税につき、この法律の施行前に、従前の税法の規定により督促状が発せられているときは、当該国税につき納付すべき延滞税の額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。
一 当該国税につき、この法律の施行後の期間に応じ、従前の税法の規定により納付すべき利子税額の計算に準じて計算した金額(従前の税法の簡易利子税額表に関する規定を適用しないものとし、その額の計算上の割合は、その計算の基礎となる国税の額百円につき一日二銭とする。)
二 当該国税につき、この法律の施行後の期間(その督促状を発した日から起算して十日を経過した日の翌日がこの法律の施行後であるときは、同日以後の期間)に応じ、従前の税法の規定により徴収すべき延滞加算税額の計算に準じて計算した金額(従前の税法の簡易延滞加算税額表に関する規定を適用しないものとし、その額の計算上の割合は、その計算の基礎となる国税の額百円につき一日二銭とする。)
3 前項第二号に掲げる金額を計算する場合において、同号の規定により計算した金額が、同号の督促状を発した日から起算して十日を経過した日における滞納税額に対して百分の五の割合を乗じて計算した金額から次条の規定により徴収する延滞加算税額を控除した金額をこえるときは、そのこえる金額を控除するものとする。
4 前三項の規定による延滞税については、その納付の基因となつた国税に係る利子税額又は延滞加算税額につき従前の税法の規定によりされた督促又は滞納処分をもつて、当該延滞税の督促又は滞納処分がされたものとみなす。
(利子税額及び延滞加算税額に関する経過措置)
第七条 この法律の施行前に課した、又は課すべきであつた国税につき従前の税法の規定により納付し、又は徴収すべきであつた利子税額及び延滞加算税額(延滞加算税額については、この法律の施行前に従前の税法の規定による督促がされた国税に係るものに限る。)については、従前の税法の例による。ただし、これらの額の計算上の期間は、この法律の施行の日の前日までとする。
2 前項の場合において、同項の利子税額でこの法律の施行後において更正又は決定により納付すべきこととなるものについては、従前の税法の例による納税の告知に代えて、その額をその計算の基礎となつた国税の額にあわせて納付すべき旨を更正通知書又は決定通知書に記載するものとする。
(利子税額等の徴収に関する経過措置)
第八条 前条の規定により納付し、又は徴収すべき利子税額及び延滞加算税額は、国税の徴収に関する法律の規定の適用については、延滞税の額とみなす。
(加算税に関する経過措置)
第九条 第六章第二節(加算税)の規定は、この法律の施行後に法定申告期限(不納付加算税については法定納期限とし、これらの期限のない国税については政令で定める日とする。以下この条において同じ。)が到来する国税について適用し、この法律の施行前に法定申告期限が到来した国税に係る過少申告加算税額、無申告加算税額、軽加算税額、源泉徴収加算税額及び重加算税額の賦課については、従前の税法の例による。
2 前項の規定により徴収すべき過少申告加算税額、無申告加算税額、軽加算税額、源泉徴収加算税額及び重加算税額は、国税の徴収に関する法律の規定の適用については、第六章第二節に規定する加算税とみなす。
(国税の更正、決定等の期間制限の特例に関する経過措置)
第十条 第七十一条(国税の更正、決定等の期間制限の特例)の規定は、この法律の施行後に法定申告期限又は課税標準申告書の提出期限(これらの期限のない国税については、政令で定める日。以下この条において同じ。)が到来する国税について適用し、この法律の施行前に法定納期限又は課税標準申告書の提出期限に相当する期限又は時が到来した国税につき更正又は決定をすることができる期間については、従前の税法の例による。
(不服申立てに関する経過措置)
第十一条 従前の税法に規定する再調査の請求、審査の請求及び訴訟については、附則第一条ただし書(施行期日の特例)に規定する日の前日までは、従前の税法の例による。
2 附則第一条ただし書に規定する日前にされた再調査の請求又は審査の請求(同日前にされた再調査の請求に係るものを含む。)については、同日後も、従前の税法の例による。
3 再調査の請求又は審査の請求につき、附則第一条ただし書に規定する日前にされた国税庁長官、国税局長、税務署長又は税関長の決定については、この法律又は行政不服審査法の規定による不服申立てをすることができない。前項の規定によりこの法律の施行後にされる決定についても、同様とする。
(国税の確定金額の端数計算に関する経過措置)
第十二条 第九十一条(国税の確定金額の端数計算等)の規定は、この法律の施行後に計算する国税の確定金額(附則第六条第二項の規定により計算する延滞税の額を除く。)について適用し、この法律の施行前に計算した国税の確定金額については、従前の税法の規定により計算したところによる。
大蔵大臣 水田三喜男
内閣総理大臣 池田勇人