法人税法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第32号
公布年月日: 昭和41年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

経済の安定的成長に対応する税制の在り方について税制調査会の答申を受け、当面の不況打開と経済成長の確保を目指し、法人税法の改正を行うものである。主な改正点として、普通法人の留保分に対する税率を2%引き下げ、特に資本金1億円以下の法人については年300万円以下の所得に対する税率引き下げ幅を3%とする。また、協同組合等に対する税率も同様に引き下げる。さらに、同族会社の留保所得課税について、控除率及び控除額を引き上げて負担軽減を図るほか、所要の規定整備を行うものである。これらの措置により、企業の内部留保の充実、資本構成の改善、産業体制の整備、輸出振興等を図ることを目的としている。

参照した発言:
第51回国会 衆議院 本会議 第19号

審議経過

第51回国会

衆議院
(昭和41年2月25日)
(昭和41年3月1日)
(昭和41年3月11日)
(昭和41年3月16日)
(昭和41年3月17日)
参議院
(昭和41年3月17日)
衆議院
(昭和41年3月18日)
参議院
(昭和41年3月18日)
衆議院
(昭和41年3月22日)
参議院
(昭和41年3月22日)
衆議院
(昭和41年3月24日)
参議院
(昭和41年3月24日)
(昭和41年3月25日)
(昭和41年3月28日)
(昭和41年3月29日)
(昭和41年3月30日)
(昭和41年3月31日)
(昭和41年4月15日)
法人税法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十一年三月三十一日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第三十二号
法人税法の一部を改正する法律
法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七十条」を「第七十条の三」に改める。
第三十七条第三項第三号中「又は教育」を「若しくは教育」に改め、「寄与する法人」の下に「又は赤十字に関する諸条約に基づく業務を行なう法人」を加える。
第六十六条第一項を次のように改める。
内国法人である普通法人又は人格のない社団等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に百分の三十五の税率を乗じて計算した金額とする。
第六十六条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「第一項」を「第二項」に、「同項各号」を「同項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「百分の二十六」を「百分の二十三」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の場合において、普通法人のうち各事業年度終了の時において資本の金額若しくは出資金額が一億円以下であるもの若しくは資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社を除く。)又は人格のない社団等の各事業年度の所得の金額のうち年三百万円以下の金額については、同項の規定にかかわらず、百分の二十八の税率による。
第六十七条第一項中「前条第一項」の下に「又は第二項」を加え、「同項」を「これら」に改め、同条第二項中「前条第一項」の下に「又は第二項」を加え、「第七十条まで(所得税額等の控除)」を「第七十条の三まで(税額控除)」に改め、同条第三項第一号中「百分の二十五」を「百分の三十」に改め、同項第二号及び同条第四項中「百万円」を「百五十万円」に改める。
第七十条第一項中「又は第二項」を「から第三項まで」に改める。
第二編第一章第二節第二款中第七十条の次に次の二条を加える。
(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)
第七十条の二 内国法人の提出した確定申告書に記載された各事業年度の所得の金額が当該事業年度の課税標準とされるべき所得の金額をこえ、かつ、そのこえる金額のうちに事実を仮装して経理したところに基づくものがある場合において、税務署長が当該事業年度の所得に対する法人税につき更正をしたときは、当該事業年度の所得に対する法人税として納付された金額で政令で定めるもののうち当該更正により減少する部分の金額で当該仮装して経理した金額に係るものは、国税通則法第五十六条から第五十八条まで(還付・充当等)の規定にかかわらず、当該更正の日の属する事業年度開始の日から五年以内に開始する各事業年度の所得に対する法人税の額から順次控除する。
2 前項に規定する更正をしたことに伴い当該更正に係る事業年度後の各事業年度の所得の金額を減少させる更正があつた場合において、その更正により減少する部分の所得の金額のうちに同項に規定する更正に係る事業年度において仮装して経理した金額に係るものがあるときは、当該金額は、当該各事業年度において同項の内国法人が仮装して経理したところに基づく金額とみなして、同項の規定を適用する。
(税額控除の順序)
第七十条の三 この款の規定による法人税の額からの控除については、まず前条の規定による控除をした後において、第六十八条から第七十条まで(所得税額等の控除)の規定による控除をするものとする。
第七十二条第一項第二号中「第六十七条(同族会社の特別税率)」の下に「及び第七十条の二(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)」を加える。
第七十四条第一項第三号中「(税額控除)」を「(所得税額等の控除)」に改める。
第八十一条第一項中「第七十条」を「第七十条の三」に改める。
第八十二条中「一月以内」を「二月以内」に改める。
第九十九条第一項第二号中「百分の四十三」を「百分の四十一」に改め、同条第二項第二号中「百分の三十八」を「百分の三十五」に改める。
第百二条第一項第二号中「第六十七条(同族会社の特別税率)」の下に「及び第七十条の二(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)」を加え、同項第三号中「百分の三十七」を「百分の三十五」に、「百分の二十六」を「百分の二十三」に改め、同項第五号中「(税額控除)」を「(所得税額等の控除)」に改める。
第百十五条第一項第二号中「百分の四十三」を「百分の四十一」に改め、同条第二項第二号中「百分の三十八」を「百分の三十五」に改める。
第百二十九条の見出しを「(更正に関する特例)」に改め、同条に次の二項を加える。
2 内国法人の提出した確定申告書に記載された各事業年度の所得の金額が当該事業年度の課税標準とされるべき所得の金額をこえている場合において、そのこえる金額のうちに事実を仮装して経理したところに基づくものがあるときは、税務署長は、当該事業年度の所得に対する法人税につき、その内国法人が当該事業年度後の各事業年度の確定した決算において当該事実に係る修正の経理をし、かつ、当該決算に基づく確定申告書を提出するまでの間は、更正をしないことができる。
3 税務署長が第七十条の二第一項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)に規定する更正をする場合における国税通則法第二十八条第二項の規定の適用については、同項第三号ニ中「その減少する部分の税額」とあるのは、「その減少する部分の税額及びその税額のうち法人税法第七十条の二第一項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)又は第百三十四条の二(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付)の規定の適用を受けるべき金額」とする。
第百三十四条の次に次の一条を加える。
(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付)
第百三十四条の二 内国法人につき第七十条の二(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)の規定の適用がある場合において、同条第一項に規定する更正の日の属する事業年度開始の日前一年以内に開始する各事業年度の所得に対する法人税の額(附帯税の額を除く。)で当該更正の日の前日において確定しているものがあるときは、税務署長は、その内国法人に対し、同項の規定により控除することができる金額のうち当該法人税の額(既にこの項の規定により還付をすべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)に達するまでの金額を還付する。この場合において、当該還付する金額については、同項の規定による控除は、しないものとする。
2 前項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、前項の更正の日の翌日以後一月を経過した日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。
第百四十三条第一項を次のように改める。
外国法人である普通法人又は人格のない社団等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、第百四十一条(外国法人に係る法人税の課税標準)に規定する国内源泉所得に係る所得の金額に百分の三十五の税率を乗じて計算した金額とする。
第百四十三条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「第一項」を「第二項」に、「同項各号」を「同項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「百分の二十六」を「百分の二十三」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の場合において、普通法人のうち各事業年度終了の時において資本の金額若しくは出資金額が一億円以下であるもの若しくは資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社に準ずるものとして政令で定めるものを除く。)又は人格のない社団等の第百四十一条に規定する国内源泉所得に係る所得の金額のうち年三百万円以下の金額については、同項の規定にかかわらず、百分の二十八の税率による。
第百四十五条第二項の表第七十四条第一項(確定申告)の項中「(税額控除)」を「(所得税額等の控除)」に改め、同表第八十一条第一項(欠損金の繰戻しによる還付)の項中「第七十条」を「第七十条の三」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和四十一年四月一日から施行する。
(寄付金の損金算入に関する経過規定)
第二条 改正後の法人税法(以下「新法」という。)第三十七条第三項(寄付金の損金不算入に対する特例)の規定は、法人(新法第二条第八号(定義)に規定する人格のない社団等を含む。以下同じ。)がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に支出した寄付金の額について適用し、同日前に支出した寄付金の額については、なお従前の例による。
(各事業年度の所得に対する法人税の税率等に関する経過規定)
第三条 新法第六十六条(各事業年度の所得に対する法人税の税率)、第六十七条(同族会社の特別税率)及び第七十条(外国税額の控除)の規定は、内国法人の昭和四十一年一月一日以後に開始し、施行日以後に終了する事業年度及び同年一月一日前に開始し、同年六月三十日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用し、内国法人の同年一月一日前に開始し、同年六月三十日前に終了する事業年度及び同年一月一日以後に開始し、施行日前に終了した事業年度の所得に対する法人税については、なお従前の例による。この場合において、内国法人の同年一月一日前に開始し、同年六月三十日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税に係るこれらの規定の適用については、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句にそれぞれ読み替えるものとする。
第六十六条第一項
百分の三十五
百分の三十六(当該事業年度終了の時における資本の金額又は出資金額が一億円をこえる普通法人の当該事業年度の所得の金額のうち年三百万円以下の金額については、百分の三十三)
第六十六条第二項
百分の二十八
百分の二十九・五
第六十六条第三項
百分の二十三
百分の二十四・五
第六十六条第四項
第二項
第一項又は第二項
同項
これらの規定
第六十七条第三項第一号
百分の三十
百分の二十七・五
第六十七条第三項第二号及び第四項
百五十万円
百二十五万円
2 新法第百四十三条(外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の税率)の規定は、外国法人の昭和四十一年一月一日以後に開始し、施行日以後に終了する事業年度及び同年一月一日前に開始し、同年六月三十日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用し、外国法人の同年一月一日前に開始し、同年六月三十日前に終了する事業年度及び同年一月一日以後に開始し、施行日前に終了した事業年度の所得に対する法人税については、なお従前の例による。この場合において、外国法人の同年一月一日前に開始し、同年六月三十日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税に係る同条の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句にそれぞれ読み替えるものとする。
第百四十三条第一項
百分の三十五
百分の三十六(当該事業年度終了の時における資本の金額又は出資金額が一億円をこえる普通法人の当該事業年度の所得の金額のうち年三百万円以下の金額については、百分の三十三)
第百四十三条第二項
百分の二十八
百分の二十九・五
第百四十三条第三項
百分の二十三
百分の二十四・五
第百四十三条第四項
第二項
第一項又は第二項
同項
これらの規定
(仮決算をした場合の中間申告に関する経過規定)
第四条 普通法人の昭和四十一年一月一日前に開始し、同年六月三十日以後に終了する事業年度に係る新法第七十一条第一項(中間申告)(新法第百四十五条第一項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(新法第七十二条第一項各号(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項)(新法第百四十五条第一項において準用する場合を含む。)に掲げる事項を記載したものに限る。)の提出期限が施行日前である場合には、前条の規定にかかわらず、その法人の当該申告書に係る法人税として納付した、又は納付すべきであつた法人税については、なお従前の例による。
(更正の請求に関する経過規定)
第五条 新法第八十二条(前事業年度の法人税額等の更正等に伴う更正の請求の特例)(新法第百四十五条第一項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、法人が施行日以後に新法第八十二条各号に掲げる場合に該当することとなる場合について適用し、法人が同日前に同条各号に掲げる場合に該当することとなつた場合については、なお従前の例による。
(清算所得に対する法人税の税率に関する経過規定)
第六条 新法第九十九条(解散の場合の清算所得に対する法人税の税率)、第百二条(清算中の所得に係る予納申告)及び第百十五条(合併の場合の清算所得に対する法人税の税率)の規定は、内国法人である普通法人又は協同組合等の施行日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税(清算中の事業年度の所得に係る法人税及び残余財産の一部分配により納付すべき法人税を含む。以下この条において同じ。)について適用し、内国法人である普通法人又は協同組合等の同日前の解散又は合併による清算所得に対する法人税については、なお従前の例による。
(国税通則法の一部改正)
第七条 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。
第二十三条第一項中「所得税」の下に「又は法人税」を加える。
大蔵大臣 福田赳夫
内閣総理大臣 佐藤栄作