(結核療養所の設置及び拡張の勧告)
第三十三條 厚生大臣は、必要があると認めるときは、都道府県、市その他必要と認める地方公共団体に対して、結核療養所の設置及び拡張を勧告することができる。
(一般患者に対する医療)
第三十四條 都道府県は、結核の適正な医療を普及するため、その区域内に居住する結核患者が第三十六條の規定により指定された病院又は診療所(以下「指定医療機関」という。)で省令で定める医療を受けるために必要な費用について、当該患者又はその保護者の申請により、その二分の一を負担することができる。但し、当該患者が、未復員者給與法(昭和二十二年法律第百八十二号)又は特別未帰還者給與法(昭和二十三年法律第二百七十九号)の規定によつて医療を受けることができる者であるときは、この限りでない。
2 前項の申請は、当該患者の住所地を管轄する保健所長を経由し、都道府県知事に対してしなければならない。
3 都道府県知事は、前項の申請に対して決定をするには、当該保健所に置かれた結核診査協議会の意見をきかなければならない。
4 第一項の申請があつてから六月を経過したときは、当該申請に基く費用の負担は、打ち切られるものとする。
(従業禁止、命令入所患者の医療)
第三十五條 都道府県は、都道府県知事が第二十八條の規定により従業を禁止し、又は第二十九條の規定により結核療養所に入所し、若しくは入所させることを命じた場合において、当該患者が生活保護法の適用を受ける者であるとき、その他経済的事情により医療を受けることが困難であると認められるときは、当該患者が指定医療機関で受ける医療に要する費用について、当該患者又はその保護者の申請により、その全部又は一部を負担することができる。但し、当該患者が、未復員者給與法又は特別未帰還者給與法の規定によつて医療を受けることができる者であるときは、この限りでない。
(指定医療機関)
第三十六條 厚生大臣は、国が開設した病院又は診療所について、その主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の病院又は診療所について、開設者の同意を得て、前二條に規定する医療を担当させる機関を指定する。
2 指定医療機関は、厚生大臣の定めるところにより、懇切丁寧に、前二條の規定により都道府県が費用を負担する結核患者の医療を担当しなければならない。
3 指定医療機関は、前二條に規定する医療について、省令で定めるところに従い都道府県知事の行う指導に従わなければならない。
4 指定医療機関は、三十日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
5 指定医療機関が第二項若しくは第三項の規定に違反したとき、又は診療科名の変更等により前二條に規定する医療を行うについて不適当であると認められるに至つたときは、厚生大臣が指定した医療機関については、厚生大臣、都道府県知事が指定した医療機関については、都道府県知事は、その指定を取り消すことができる。
6 厚生大臣又は都道府県知事は、前項の規定により指定を取り消す場合には、当該医療機関の開設者に対して、弁明の機会を與えなければならない。この場合においては、あらかじめ、書面をもつて、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をなすべき理由を通知しなければならない。
(社会保険及び生活保護との関係)
第三十七條 第三十四條第一項の規定による費用の負担を受ける結核患者が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)又は国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)(以下「社会保険各法」という。)の規定による被保険者、労働者、組合員又は被扶養者(以下「被保険者等」という。)である場合においては、保険者又は共済組合(以下「保険者等」という。)は、社会保険各法の規定によつてなすべき給付のうち、その医療に要する費用の二分の一をこえる部分については、給付をなすことを要しない。
2 第三十四條第一項の規定により費用の負担を受ける結核患者が、生活保護法の規定による医療扶助を受けることができる者であるときは、その医療に要する費用は、都道府県が同條同項の規定によりその二分の一を負担し、その残部につき同法の適用があるものとする。
3 第三十五條に規定する患者が、社会保険各法の規定による被保険者等である場合においては、都道府県は、当該患者が社会保険各法の規定により受けることができる給付の限度において、同條の費用を負担しない。
(診療報酬の請求)
第三十八條 指定医療機関は、診療報酬のうち、第三十四條第一項又は第三十五條の規定により都道府県が負担する費用を、都道府県に請求するものとする。
2 都道府県は、前項の費用を当該指定医療機関に支払わなければならない。
3 都道府県は、前項の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金又は省令で定める者に委託することができる。
(診療報酬の基準)
第三十九條 指定医療機関が行う第三十四條及び第三十五條に規定する医療に関する診療報酬は、指定医療機関が所在する市町村(特別区を含む。以下同じ。)に国民健康保険(特別国民健康保険組合又は社団法人の行うものを除く。以下同じ。)が行われているときは、その診療報酬の例により、指定医療機関が所在する市町村に国民健康保険が行われていないときは、健康保険の診療報酬の例によるものとする。
2 前項に規定する診療報酬の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療報酬は、厚生大臣が結核予防審議会に諮問して定めるところによる。
(保険者等の行う申請)
第四十條 結核患者が被保険者等である場合においては、第三十四條第一項の申請は、同條同項に規定する者の外、保険者等も行うことができる。
(急迫時の特例)
第四十一條 都道府県は、その区域内に居住する結核患者が、急迫した事情があるため、第三十四條第一項の申請をしないで同條同項の規定に基く省令で定める医療を受けた場合においては、当該患者又はその保護者の申請により、第三十九條の例により算定した診療報酬の額の二分の一をこえない限度において、当該医療に要した費用の二分の一に相当する額の医療費をこれに支給することができる。
2 第三十四條第二項及び第三項の規定は、前項の申請に準用する。
3 第一項の医療費は、当該患者が当該医療を受けた当時それが必要であつたと認められる場合に限り、支給するものとする。
4 第三十七條第一項の規定は、第一項の医療費の支給を受ける者が社会保険各法の規定による被保険者等である場合に準用する。
(報告の請求及び検査)
第四十二條 都道府県知事は、第三十四條第一項及び第三十五條に規定する費用の負担を適正ならしめるため必要があると認めるときは、指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員をして指定医療機関についてその管理者の同意を得て実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。
2 指定医療機関が、正当な理由がなく、前項の報告の求に応せず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、都道府県は、当該指定医療機関に対する診療報酬の支払を一時差し止めることができる。
(省令委任)
第四十三條 この法律に規定するものの外、第三十四條第一項及び第三十五條の申請の手続、第三十八條の診療報酬の請求並びに支払及びその事務の委託の手続その他この章で規定する費用の負担に関して必要な事項は、省令で定める。