厚生保険特別会計法
法令番号: 法律第十號
公布年月日: 昭和19年2月15日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル厚生保險特別會計法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年二月十四日
內閣總理大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
大藏大臣 賀屋興宣
運輸通信大臣 八田嘉明
內務大臣 安藤紀三郞
大東亞大臣 靑木一男
法律第十號
厚生保險特別會計法
第一條 健康保險事業、厚生年金保險事業及船員保險事業ヲ經營スル爲通ジテ一ノ特別會計ヲ設置シ其ノ歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ充ツ
朝鮮、臺灣及關東州ニ於ケル船員保險事業ノ歲入歲出竝ニ朝鮮、臺灣及關東州ニ於テ爲サルル當該地域以外ノ地域ニ於ケル船員保險事業ノ歲入歲出ハ前項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ夫々朝鮮總督府、臺灣總督府及關東局ノ各特別會計ニ所屬セシムルコトヲ得
第二條 本會計ハ之ヲ健康勘定、年金勘定、船員勘定及業務勘定ニ區分ス
第三條 健康勘定ニ於テハ健康保險事業經營上ノ保險料、積立金ヨリ生ズル收入、借入金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ同事業經營上ノ保險給付費、借入金ノ償還金及利子、一時借入金ノ利子其ノ他ノ諸費竝ニ同事業ノ業務取扱ニ關スル諸費、療養所費、保健施設費又ハ營繕費ニ充ツル爲ノ業務勘定ヘノ繰入金及保健施設ニ關スル經費ニ充ツル爲ノ一般會計ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歲出トス
第四條 年金勘定ニ於テハ厚生年金保險事業經營上ノ保險料、一般會計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル收入及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ同事業經營上ノ保險給付費其ノ他ノ諸費竝ニ同事業ノ福祉施設費又ハ營繕費ニ充ツル爲ノ業務勘定ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歲出トス
第五條 船員勘定ニ於テハ船員保險事業經營上ノ保險料、一般會計ヨリノ受入金、朝鮮總督府、臺灣總督府及關東局ノ各特別會計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル收入、借入金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ同事業經營上ノ保險給付費、朝鮮總督府、臺灣總督府及關東局ノ各特別會計ヘノ繰入金、借入金ノ償還金及利子其ノ他ノ諸費竝ニ同事業ノ療養所費、福祉施設費又ハ營繕費ニ充ツル爲ノ業務勘定ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歲出トス
第六條 業務勘定ニ於テハ健康保險事業ノ業務取扱ニ關スル諸費、療養所費、保健施設費又ハ營繕費ニ充ツル爲ノ健康勘定ヨリノ受入金、厚生年金保險事業ノ福祉施設費又ハ營繕費ニ充ツル爲ノ年金勘定ヨリノ受入金、船員保險事業ノ療養所費、福祉施設費又ハ營繕費ニ充ツル爲ノ船員勘定ヨリノ受入金、健康保險事業、厚生年金保險事業及船員保險事業ノ業務取扱ニ關スル諸費ニ充ツル爲ノ一般會計ヨリノ受入金竝ニ此等ノ事業ノ業務取扱ニ關シ生ズル收入ヲ以テ其ノ歲入トシ此等ノ事業ノ業務取扱ニ關スル諸費、健康保險事業ノ療養所費、保健施設費及營繕費、厚生年金保險事業ノ福祉施設費及營繕費竝ニ船員保險事業ノ療養所費、福祉施設費及營繕費ヲ以テ其ノ歲出トス
第七條 健康勘定ニ於テ決算上剩餘ヲ生ジタルトキハ同勘定ノ積立金トシテ之ヲ積立ツベシ
健康勘定ノ歲計ニ不足アルトキハ同勘定ノ積立金ヨリ之ヲ補足スベシ
第八條 年金勘定又ハ船員勘定ニ於テ決算上生ズル過剩ハ當該勘定ノ積立金トシテ之ヲ積立ツベシ
年金勘定又ハ船員勘定ノ歲計ニ不足アルトキハ當該勘定ノ積立金ヨリ之ヲ補足スベシ
第九條 業務勘定ニ於テ決算上剩餘ヲ生ジタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ健康勘定、年金勘定及船員勘定ノ積立金ニ組入ルベシ
業務勘定ニ於テ決算上不足ヲ生ジタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ健康勘定、年金勘定及船員勘定ノ積立金ヨリ補足スベシ
第十條 健康勘定ニ屬スル經費ヲ支辨スル爲必要アルトキハ政府ハ同勘定ノ負擔ニ於テ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ借入金ヲ爲スコトヲ得ル金額ハ保險料ヲ以テ保險給付費竝ニ療養所費又ハ保健施設費ニ充ツル爲ノ業務勘定ヘノ繰入金及保健施設ニ關スル經費ニ充ツル爲ノ一般會計ヘノ繰入金ヲ支辨スルニ不足スル金額ヲ限度トス
第十一條 船員勘定ニ於テ保險給付費竝ニ朝鮮總督府、臺灣總督府及關東局ノ各特別會計ヘノ繰入金ヲ支辨スル爲必要アルトキハ政府ハ同勘定ノ負擔ニ於テ借入金ヲ爲スコトヲ得
第十二條 各勘定ニ於テ支拂上現金ニ餘裕アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ルベシ
健康勘定ニ於テ支拂上現金ニ不足アルトキハ同勘定ノ負擔ニ於テ一時借入金ヲ爲シ又ハ國庫餘裕金ヲ繰替使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金又ハ繰替金ハ當該年度內ニ之ヲ返還スベシ
第十三條 健康勘定、年金勘定及船員勘定ノ各積立金ハ國債ヲ以テ保有シ又ハ大藏省預金部ニ預入レ之ヲ運用スルコトヲ得
第十四條 政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第十五條 本會計ノ收入支出ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
第十六條 本法ハ昭和十九年度ヨリ之ヲ施行ス
第十七條 健康保險特別會計法、勞働者年金保險特別會計法及船員保險特別會計法ハ之ヲ廢止ス但シ昭和十八年度分ニ付テハ仍其ノ效力ヲ有ス
第十八條 簡易生命保險及郵便年金特別會計ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ厚生年金保險法第七十五條ノ規定又ハ之ニ準ズル他ノ法律ノ規定ニ基ク勅令ノ適用ニ關シ必要アル場合ニ於テ本會計ニ繰入金ヲ爲スコトヲ得
前項ニ規定スル繰入金ハ本會計ノ年金勘定ノ歲入トシ簡易生命保險及郵便年金特別會計ノ年金勘定ノ歲出トス
第十九條 健康保險、勞働者年金保險又ハ船員保險ノ各特別會計廢止ノ際之ニ屬スル積立金ハ之ヲ本會計ニ歸屬セシメ夫々健康勘定、年金勘定又ハ船員勘定ノ所屬トス
前項ニ規定スルモノノ外健康保險、勞働者年金保險又ハ船員保險ノ各特別會計廢止ノ際之ニ屬スル權利義務ハ之ヲ本會計ニ歸屬セシメ夫々健康勘定、年金勘定、船員勘定又ハ業務勘定ノ所屬トス
第二十條 健康保險特別會計ノ昭和十八年度歲出豫算ニシテ翌年度ニ繰越ヲ要スルモノハ之ヲ本會計ノ健康勘定又ハ業務勘定ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第二十一條 昭和十五年法律第十四號中左ノ通改正ス
第二條及第三條第一項中「船員保險特別會計」ヲ「厚生保險特別會計」ニ改ム
第二十二條 船員保險事業ノ經營ニ伴フ關係各會計間ノ關涉ニ關シテハ昭和十八年度分ニ付テハ前條ノ規定ニ依ル昭和十五年法律第十四號第二條及第三條第一項ノ改正規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル厚生保険特別会計法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年二月十四日
内閣総理大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
大蔵大臣 賀屋興宣
運輸通信大臣 八田嘉明
内務大臣 安藤紀三郎
大東亜大臣 青木一男
法律第十号
厚生保険特別会計法
第一条 健康保険事業、厚生年金保険事業及船員保険事業ヲ経営スル為通ジテ一ノ特別会計ヲ設置シ其ノ歳入ヲ以テ其ノ歳出ニ充ツ
朝鮮、台湾及関東州ニ於ケル船員保険事業ノ歳入歳出並ニ朝鮮、台湾及関東州ニ於テ為サルル当該地域以外ノ地域ニ於ケル船員保険事業ノ歳入歳出ハ前項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ夫々朝鮮総督府、台湾総督府及関東局ノ各特別会計ニ所属セシムルコトヲ得
第二条 本会計ハ之ヲ健康勘定、年金勘定、船員勘定及業務勘定ニ区分ス
第三条 健康勘定ニ於テハ健康保険事業経営上ノ保険料、積立金ヨリ生ズル収入、借入金及附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ同事業経営上ノ保険給付費、借入金ノ償還金及利子、一時借入金ノ利子其ノ他ノ諸費並ニ同事業ノ業務取扱ニ関スル諸費、療養所費、保健施設費又ハ営繕費ニ充ツル為ノ業務勘定ヘノ繰入金及保健施設ニ関スル経費ニ充ツル為ノ一般会計ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歳出トス
第四条 年金勘定ニ於テハ厚生年金保険事業経営上ノ保険料、一般会計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル収入及附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ同事業経営上ノ保険給付費其ノ他ノ諸費並ニ同事業ノ福祉施設費又ハ営繕費ニ充ツル為ノ業務勘定ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歳出トス
第五条 船員勘定ニ於テハ船員保険事業経営上ノ保険料、一般会計ヨリノ受入金、朝鮮総督府、台湾総督府及関東局ノ各特別会計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル収入、借入金及附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ同事業経営上ノ保険給付費、朝鮮総督府、台湾総督府及関東局ノ各特別会計ヘノ繰入金、借入金ノ償還金及利子其ノ他ノ諸費並ニ同事業ノ療養所費、福祉施設費又ハ営繕費ニ充ツル為ノ業務勘定ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歳出トス
第六条 業務勘定ニ於テハ健康保険事業ノ業務取扱ニ関スル諸費、療養所費、保健施設費又ハ営繕費ニ充ツル為ノ健康勘定ヨリノ受入金、厚生年金保険事業ノ福祉施設費又ハ営繕費ニ充ツル為ノ年金勘定ヨリノ受入金、船員保険事業ノ療養所費、福祉施設費又ハ営繕費ニ充ツル為ノ船員勘定ヨリノ受入金、健康保険事業、厚生年金保険事業及船員保険事業ノ業務取扱ニ関スル諸費ニ充ツル為ノ一般会計ヨリノ受入金並ニ此等ノ事業ノ業務取扱ニ関シ生ズル収入ヲ以テ其ノ歳入トシ此等ノ事業ノ業務取扱ニ関スル諸費、健康保険事業ノ療養所費、保健施設費及営繕費、厚生年金保険事業ノ福祉施設費及営繕費並ニ船員保険事業ノ療養所費、福祉施設費及営繕費ヲ以テ其ノ歳出トス
第七条 健康勘定ニ於テ決算上剰余ヲ生ジタルトキハ同勘定ノ積立金トシテ之ヲ積立ツベシ
健康勘定ノ歳計ニ不足アルトキハ同勘定ノ積立金ヨリ之ヲ補足スベシ
第八条 年金勘定又ハ船員勘定ニ於テ決算上生ズル過剰ハ当該勘定ノ積立金トシテ之ヲ積立ツベシ
年金勘定又ハ船員勘定ノ歳計ニ不足アルトキハ当該勘定ノ積立金ヨリ之ヲ補足スベシ
第九条 業務勘定ニ於テ決算上剰余ヲ生ジタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ健康勘定、年金勘定及船員勘定ノ積立金ニ組入ルベシ
業務勘定ニ於テ決算上不足ヲ生ジタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ健康勘定、年金勘定及船員勘定ノ積立金ヨリ補足スベシ
第十条 健康勘定ニ属スル経費ヲ支弁スル為必要アルトキハ政府ハ同勘定ノ負担ニ於テ借入金ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ借入金ヲ為スコトヲ得ル金額ハ保険料ヲ以テ保険給付費並ニ療養所費又ハ保健施設費ニ充ツル為ノ業務勘定ヘノ繰入金及保健施設ニ関スル経費ニ充ツル為ノ一般会計ヘノ繰入金ヲ支弁スルニ不足スル金額ヲ限度トス
第十一条 船員勘定ニ於テ保険給付費並ニ朝鮮総督府、台湾総督府及関東局ノ各特別会計ヘノ繰入金ヲ支弁スル為必要アルトキハ政府ハ同勘定ノ負担ニ於テ借入金ヲ為スコトヲ得
第十二条 各勘定ニ於テ支払上現金ニ余裕アルトキハ之ヲ大蔵省預金部ニ預入ルベシ
健康勘定ニ於テ支払上現金ニ不足アルトキハ同勘定ノ負担ニ於テ一時借入金ヲ為シ又ハ国庫余裕金ヲ繰替使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金又ハ繰替金ハ当該年度内ニ之ヲ返還スベシ
第十三条 健康勘定、年金勘定及船員勘定ノ各積立金ハ国債ヲ以テ保有シ又ハ大蔵省預金部ニ預入レ之ヲ運用スルコトヲ得
第十四条 政府ハ毎年本会計ノ歳入歳出予算ヲ調製シ歳入歳出ノ総予算ト共ニ之ヲ帝国議会ニ提出スベシ
第十五条 本会計ノ収入支出ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
第十六条 本法ハ昭和十九年度ヨリ之ヲ施行ス
第十七条 健康保険特別会計法、労働者年金保険特別会計法及船員保険特別会計法ハ之ヲ廃止ス但シ昭和十八年度分ニ付テハ仍其ノ効力ヲ有ス
第十八条 簡易生命保険及郵便年金特別会計ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ厚生年金保険法第七十五条ノ規定又ハ之ニ準ズル他ノ法律ノ規定ニ基ク勅令ノ適用ニ関シ必要アル場合ニ於テ本会計ニ繰入金ヲ為スコトヲ得
前項ニ規定スル繰入金ハ本会計ノ年金勘定ノ歳入トシ簡易生命保険及郵便年金特別会計ノ年金勘定ノ歳出トス
第十九条 健康保険、労働者年金保険又ハ船員保険ノ各特別会計廃止ノ際之ニ属スル積立金ハ之ヲ本会計ニ帰属セシメ夫々健康勘定、年金勘定又ハ船員勘定ノ所属トス
前項ニ規定スルモノノ外健康保険、労働者年金保険又ハ船員保険ノ各特別会計廃止ノ際之ニ属スル権利義務ハ之ヲ本会計ニ帰属セシメ夫々健康勘定、年金勘定、船員勘定又ハ業務勘定ノ所属トス
第二十条 健康保険特別会計ノ昭和十八年度歳出予算ニシテ翌年度ニ繰越ヲ要スルモノハ之ヲ本会計ノ健康勘定又ハ業務勘定ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第二十一条 昭和十五年法律第十四号中左ノ通改正ス
第二条及第三条第一項中「船員保険特別会計」ヲ「厚生保険特別会計」ニ改ム
第二十二条 船員保険事業ノ経営ニ伴フ関係各会計間ノ関渉ニ関シテハ昭和十八年度分ニ付テハ前条ノ規定ニ依ル昭和十五年法律第十四号第二条及第三条第一項ノ改正規定ニ拘ラズ仍従前ノ例ニ依ル