(遺族年金の支給)
第二十三條 左に掲げる遺族には、遺族年金を支給する。
一 在職期間内に公務上負傷し、又は疾病にかかり、在職期間内又は在職期間経過後に、これにより死亡した軍人軍属又は軍人軍属であつた者の遺族
二 障害年金又は軍人たるによる増加恩給(その支給事由である負傷又は疾病による不具廃疾の程度が第七條第一項に規定する程度であるものに限る。)を受ける権利を有するに至つた後、その権利を失うことなく、当該障害年金又は増加恩給の支給事由である負傷又は疾病以外の事由により死亡した軍人軍属又は軍人軍属であつた者の遺族
2 軍属又は軍属であつた者の遺族に対しては、前項第一号に規定する負傷又は疾病が昭和二十年九月二日前に生じたものであるときは、当該負傷又は疾病が戦時災害によるものである場合に限り、遺族年金を支給する。
(遺族の範囲)
第二十四條 遺族年金を受けるべき遺族の範囲は、死亡した者の死亡の当時における配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、子、父、母、孫、祖父及び祖母で、死亡した者の死亡の当時日本の国籍を有し、且つ、その者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていたもの(死亡した者の死亡の当時、その者の軍人軍属たることによる勤務がなかつたならば、これらの條件に該当していたものと認められるものを含む。以下同じ。)とする。
2 死亡した者の死亡の当時胎児であつた子が出生し、且つ、出生によつて日本の国籍を取得したときは、将来に向つて、その子は、死亡した者の死亡の当時日本の国籍を有し、且つ、その者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていた子とみなす。
(夫、子、父、母、孫、祖父及び祖母に対する遺族年金の支給條件)
第二十五條 夫、子、父、母、孫、祖父又は祖母については、遺族年金は、これらの遺族が昭和二十七年四月一日(死亡した者の死亡の日が、昭和二十七年四月二日以後であるときは、その死亡の日)において、それぞれ左の各号に規定する條件に該当する場合及びその後はじめてそれぞれこれらの條件に該当するに至つた場合に支給する。
一 夫については、不具廃疾であつて、生活資料を得ることができないこと。
二 子については、十八歳未満であつて、配偶者がないこと、又は不具廃疾であつて、生活資料を得ることができないこと。
三 父及び母については、六十歳以上であること、不具廃疾であつて生活資料を得ることができないこと、又は配偶者がなく、且つ、その者を扶養することができる直系血族がないこと。
四 孫については、十八歳未満であつて、配偶者がなく、且つ、その者を扶養することができる直系血族がないこと、又は不具廃疾であつて、生活資料を得ることができず、且つ、その者を扶養することができる直系血族がないこと。
五 祖父及び祖母については、六十歳以上であつて、その者を扶養することができる直系血族がないこと、又は不具廃疾であつて、生活資料を得ることができず、且つ、その者を扶養することができる直系血族がないこと。
2 昭和二十八年三月三十一日までの間に六十歳に達した父、母、祖父又は祖母は、前項の規定の適用については、昭和二十七年四月一日(死亡した者の死亡の日が昭和二十七年四月二日以後であるときは、その死亡の日)において六十歳であるものとみなす。
(遺族年金の額)
第二十六條 遺族年金の額は、配偶者については、一万円、子、父、母、孫、祖父及び祖母については、一人につき五千円とする。
(遺族年金の額の特例)
第二十七條 前條の規定にかかわらず、第二十三條第一項第二号に掲げる遺族に支給する遺族年金の額は、前條に定める額の十分の六に相当する額とする。
2 前項に規定する遺族に遺族年金を支給する場合において、遺族全員に対して支給すべき遺族年金の総額が死亡した者が死亡の当時受けるべき障害年金の額をこえるときは、各遺族に支給すべき遺族年金の額は、同項の規定にかかわらず、死亡した者が死亡の当時受けるべき障害年金の額に相当する額を、同項の規定により各遺族に支給すべき遺族年金の額の割合にあん分して得た額とする。
(遺族年金を受ける権利を有する者が数人ある場合の請求)
第二十八條 同一の支給事由により遺族年金を受ける権利を有する者が数人ある場合においては、これらの者は、全員のために、そのうち一人を選定して、当該遺族年金の請求又はその支給の請求を行わなければならない。但し、世帯を異にする等やむを得ない事情があるときは、この限りでない。
(遺族年金の支給を受けることができない者)
第二十九條 左に掲げる遺族には、遺族年金を支給しない。
一 重大な過失によつて公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した者の遺族
二 死亡した者の死亡の日以後、昭和二十七年三月三十一日以前又は第二十五條第一項各号の一に規定する條件に該当するに至る日前に、第三十一條第二号、第三号又は第五号から第七号までの一に該当した遺族
(遺族年金の始期及び終期)
第三十條 遺族年金の支給は、昭和二十七年四月(死亡した者の死亡の日が昭和二十七年四月一日以後であるときは、その死亡の日の属する月の翌月)から始め、権利が消滅した日の属する月で終る。
2 前項の規定にかかわらず、遺族が死亡した者の死亡の日の属する月の翌月以後第二十五條第一項各号の一に規定する條件に該当するに至つたことによつて支給する遺族年金については、その支給は、同條第一項各号の一に規定する條件に該当するに至つた日の属する月から始める。
(遺族年金を受ける権利の消滅)
第三十一條 遺族年金を受ける権利を有する者が、左の各号の一に該当するときは、当該遺族年金を受ける権利は、消滅する。
三 離縁によつて、死亡した者との親族関係が終了したとき。
四 夫、子、父、母、孫、祖父及び祖母については、第二十五條第一項各号に規定する條件に該当しなくなつたとき。
五 配偶者については、婚姻(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情に入つていると認められる場合を含む。以下同じ。)したとき、又は第二十四條第一項に規定する者及び死亡した者の兄弟姉妹で、死亡した者の死亡の当時、その者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていたもの以外の者の養子となつたとき。
六 子及び孫については、第二十四條第一項に規定する者及び死亡した者の兄弟姉妹で、死亡した者の死亡の当時、その者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていたもの以外の者の養子となつたとき。
(併給の禁止)
第三十二條 二以上の遺族年金を受ける権利を有する者には、左の区別により、その一を支給する。
二 額が同じであるときは、当該遺族年金を受ける権利を有する者が選ぶもの
(準用規定)
第三十三條 第十五條及び第十六條の規定は、遺族年金の支給に準用する。
(弔慰金の支給)
第三十四條 昭和十六年十二月八日以後における在職期間内に、公務上負傷し、又は疾病にかかり、在職期間内又は在職期間経過後、これにより、死亡した軍人軍属又は軍人軍属であつた者の遺族には、弔慰のため、弔慰金を支給する。
2 前項の規定の適用については、旧国家総動員法(昭和十三年法律第五十五号)(旧南洋群島における国家総動員に関する件((昭和十三年勅令第三百十七号))及び旧関東州総動員令((昭和十四年勅令第六百九号))を含む。)に基いて徴用され、又は総動員業務につき協力をさせられた者で第二條第一項第二号に該当しないもの、及びもとの陸軍又は海軍の要請に基いて戦闘に参加した者(昭和二十年三月二十二日の閣議決定国民義勇隊組織に関する件に基いて組織された国民義勇隊の隊員となつた者を含む。)で第二條第一項第二号に該当しないものは、軍属とみなし、徴用若しくは協力に係る令書若しくは通知を受けた日から徴用若しくは協力を解除された日までの期間内における業務上の負傷若しくは疾病、又はその者の当該戦闘に参加した期間(国民義勇隊の隊員であつた者については、その業務に従事するため出動した期間)内における当該戦闘(国民義勇隊の隊員であつた者については、出動中において従事した業務)に基く負傷若しくは疾病を、在職期間内における公務上の負傷又は疾病とみなす。
3 第一項の規定の適用については、特別未帰還者給与法(昭和二十三年法律第二百七十九号)第一條に規定する特別未帰還者は、軍属とみなし、その者の昭和二十年九月二日以後海外にある間における自己の責に帰することのできない事由に基く負傷又は疾病を、在職期間内における公務上の負傷又は疾病とみなす。
4 第二十三條第二項の規定は、第一項及び第二項の場合に準用する。
(遺族の範囲)
第三十五條 弔慰金を受けるべき遺族の範囲は、死亡した者の死亡の当時における配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で、死亡した者の死亡の当時日本の国籍を有していたものとする。
2 第二十四條第二項の規定は、前項の場合に準用する。
(遺族の順位)
第三十六條 弔慰金を受けるべき遺族の順位は、左に掲げる順序による。但し、父母及び祖父母については、死亡した者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていたものを先にし、同順位の父母については、養父母を先にし実父母を後にし、同順位の祖父母については、養父母の父母を先にし実父母の父母を後にし、父母の養父母を先にし実父母を後にする。
一 配偶者(死亡の日以後昭和二十七年三月三十一日以前に、前條第一項に規定する遺族((以下本條において遺族という。))以外の者の養子となり、又は遺族以外の者と婚姻した者を除く。但し、遺族以外の者と婚姻した場合でも、死亡した者と同じ氏を称していた配偶者がその氏を改めないで婚姻したときは、本号の順位とする。)
二 子(昭和二十七年四月一日((死亡した者の死亡の日が同年四月二日以後であるときは、その死亡の日。以下本條において同じ。))において、遺族以外の者の養子となつている者を除く。)
四 孫(昭和二十七年四月一日において、遺族以外の者の養子となつている者を除く。)
六 兄弟姉妹(昭和二十七年四月一日において、遺族以外の者の養子となつている者を除く。)
九 第六号において同号の順位から除かれている兄弟姉妹
十 第一号において同号の順位から除かれている配偶者
(弔慰金の額及び記名国債の交付)
第三十七條 弔慰金の額は、死亡した者一人につき五万円(死亡した者が第三十四條第二項及び第三項に掲げるものである場合には、一人につき三万円)とし、十年以内に償還すべき記名国債をもつて交付する。
2 前項の規定により交付するため、政府は、必要な金額を限度として国債を発行することができる。
3 前項の規定により発行する国債の利率は、年六分とする。
4 第二項の規定により発行する国債については、政令で定める場合を除く外、譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができない。
5 前四項に定めるものの外、第二項の規定によつて発行する国債に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
(弔慰金の支給を受けることができない者)
第三十八條 左に掲げる遺族には、弔慰金を支給しない。
一 重大な過失によつて公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した者の遺族
二 死亡した者の死亡の日以後、昭和二十七年三月三十一日以前に、第三十一條第二号又は第三号に該当した遺族
三 禁こ以上の刑に処せられ、昭和二十七年四月一日(死亡した者の死亡の日が昭和二十七年四月二日以後であるときは、その死亡の日)において、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなるまでの遺族(刑の執行猶予の言渡を受けた遺族を除く。)
(準用規定)
第三十九條 第十六條第三項の規定は、弔慰金を受けるべき同順位の遺族が数人ある場合において、同條の規定は、弔慰金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、それぞれ弔慰金の請求又はその支給の請求について準用する。