恩給法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第200号
公布年月日: 昭和29年6月30日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

本法案の主な改正点は三点である。第一に、公務傷病関係恩給の金額計算および多額所得者の普通恩給の一部停止に関する規定について、国家公務員の給与水準引上げに伴い、現行の給与水準の俸給金額を基礎とするよう改める。第二に、恩給受給資格を失った者の届出が十分に励行されていないことによる混乱を防ぐため、届出義務を法律で規定し、行政上の秩序維持を図る。第三に、恩給法の一部を改正する法律附則第二十九条第四項による恩給停止者に留守家族がある場合、その生活実情を考慮し、停止を受けた者が指定する留守家族が支給を受けられるようにする。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 内閣委員会 第32号

審議経過

第19回国会

参議院
(昭和29年5月8日)
衆議院
(昭和29年5月13日)
(昭和29年5月17日)
(昭和29年5月19日)
(昭和29年5月20日)
(昭和29年5月21日)
参議院
(昭和29年6月3日)
(昭和29年6月9日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
恩給法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年六月三十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百号
恩給法の一部を改正する法律
恩給法(大正十二年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
第九条ノ二の次に次の一条を加える。
第九条ノ三 恩給権者第九条、第五十八条、第五十八条ノ二、第七十七条又ハ第八十条ノ規定に該当シ其ノ他法律ノ規定ニ依リ恩給ノ給与ヲ受クルコトヲ得ザルニ至リタルトキハ本人又ハ其ノ遺族ハ其ノ旨ヲ遅滞ナク裁定庁ニ届出ヅベシ
第五十八条ノ四第一項中「八万円」を「九万五千円」に、「四十六万円」を「五十万円」に、「五十四万円」を「五十九万五千円」に、「六十二万円」を「六十九万円」に、「七十八万円」を「八十八万円」に、「百万円」を「百二十万円」に改める。
本則中第八十二条ノ三の次に次の一条を加える。
第八十二条ノ四 第九条ノ三ニ規定スル者故ナク同条ノ規定ニ依ル届出ヲ為サズ又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタルトキハ一万円以下ノ過料ニ処ス
別表第二号表中「三八二、八〇〇円」を「四二三、六〇〇円」に、「二一三、六〇〇円」を「二四六、〇〇〇円」に、「一一八、二〇〇円」を「一三九、二〇〇円」に、「九七、八〇〇円」を「一一一、六〇〇円」に、「七九、八〇〇円」を「九〇、〇〇〇円」に改める。
別表第三号表中「一一八、二〇〇円」を「一三九、二〇〇円」に、「九七、八〇〇円」を「一一一、六〇〇円」に、「七九、八〇〇円」を「九〇、〇〇〇円」に改める。
別表第四号表及び第五号表の退職当時ノ俸給年額の欄中「四六五、六〇〇円」を「五一二、四〇〇円」に、「三九八、四〇〇円」を「四四〇、四〇〇円」に、「二五九、二〇〇円」を「二九二、八〇〇円」に、「二四九、六〇〇円」を「二八三、二〇〇円」に、「一一八、二〇〇円」を「一三九、二〇〇円」に、「一一四、六〇〇円」を「一三四、四〇〇円」に、「九七、八〇〇円」を「一一一、六〇〇円」に、「九四、八〇〇円」を「一〇八、〇〇〇円」に、「九一、八〇〇円」を「一〇四、四〇〇円」に、「八八、八〇〇円」を「一〇〇、八〇〇円」に、「七九、八〇〇円」を「九〇、〇〇〇円」に、「七六、八〇〇円」を「八六、四〇〇円」に改め、これらの表の率の欄中「四六五、六〇〇円」を「五一二、四〇〇円」に、「一五、六〇〇円」を「一六、八〇〇円」に、「二六八、八〇〇円」を「三〇三、六〇〇円」に、「一一八、二〇〇円ト退職当時ノ俸給年額トノ差額三、〇〇〇円」を「一三九、二〇〇円ト退職当時ノ俸給年額トノ差額四、八〇〇円」に、「九一、八〇〇円ト退職当時ノ俸給年額トノ差額三、〇〇〇円」を「一〇四、四〇〇円ト退職当時ノ俸給年額トノ差額三、六〇〇円」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(適用区分)
2 第五十八条ノ四の改正規定は昭和二十九年七月分の恩給から、別表の改正規定及び附則第七項中恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号。以下本項、次項及び第五項において「法律第百五十五号」という。)附則別表第三の改正規定に係る部分は昭和二十九年一月一日から、附則第七項中法律第百五十五号附則第二十二条及び第二十九条第四項の改正規定に係る部分並びに附則第八項の規定は昭和二十九年四月一日から適用する。
3 昭和二十八年十二月三十一日以前に給与事由の生じた恩給については、別表の改正規定及び附則第七項中法律第百五十五号附則別表第三の改正規定に係る部分にかかわらず、なお従前の例による。
(戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律附則第二十項の規定による遺族年金又は弔慰金を受ける者がある場合の扶助料給与の特例)
4 公務員(公務員に準ずる者を含む。以下同じ。)の死亡につき戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百八十一号)附則第二十項の規定により遺族年金又は弔慰金を受ける者がある場合においては、当該公務員が普通恩給についての最短恩給年限に達しているときは、昭和二十八年四月(公務員が昭和二十八年四月一日以後死亡した場合においては、その死亡の日の属する月の翌月。以下本項において同じ。)分以降その公務員の遺族が受ける扶助料の年額を恩給法第七十五条第一項第二号に規定する場合の扶助料の年額に相当する年額に改正するものとし、当該公務員が普通恩給についての最短恩給年限に達していないときは、当該公務員が普通恩給についての最短恩給年限に達しているものとみなし、その公務員の遺族に対し、昭和二十八年四月から恩給法第七十五条第一項第二号に規定する場合の扶助料の年額に相当する金額の扶助料を給するものとする。
5 法律第百五十五号附則第二十三条第四項の規定は、前項の場合に準用する。
6 前二項の規定により扶助料を給する場合において、同一の事由により戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律の規定により遺族年金の支給を受ける者があるときに給する扶助料の額は、この法律の規定により給すべき扶助料の額から当該遺族年金の額(遺族年金の支給を受ける者が二人以上あるときは、これらの者が受ける遺族年金の合算額)に相当する額を控除した額とする。但し、遺族年金の支給を受ける者のうちに、当該公務員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者がある場合においては、これに一万円を加算した額とする。
(恩給法の一部を改正する法律の一部改正)
7 恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号)の一部を次のように改正する。
附則第二十二条に次の一項を加える。
4 旧勅令第六十八号施行の際法律第三十一号による改正前の恩給法第四十六条及び第四十九条第二項の規定による第七項症の増加恩給並びに同法第四十六条ノ二及び第四十九条第二項の規定による第一款症から第四款症までの傷病年金(同法第五十条第一項又は第三項の規定の適用を受けたものを除く。)を受けていた者に、第一項の規定を適用する場合には、その者が旧勅令第六十八号施行の際受けていた当該恩給の裁定に係る傷病の程度をその者の昭和二十九年四月一日における傷病の程度とみなす。但し、その者が、その傷病の程度につきこれと異なる意思を表示した場合は、この限りでない。
附則第二十九条第四項に次の但書を加える。
但し、その者に妻、子、父、母、祖父又は祖母があるときは、これらの者のうち、その者の指定する者に年金又は一時金を支給するものとする。
附則第三十五条の次に次の一条を加える。
(戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金又は弔慰金を受ける者がある場合の扶助料給与の特例)
第三十五条の二 この法律施行前に死亡した旧軍人又は準軍人のその死亡につき、戦傷病者戦没者遺族等援護法第二十三条第一項第一号に規定する場合の遺族年金又は同法第三十四条第一項の規定による弔慰金(同法同条第二項の規定の適用による場合を除く。)を受ける者がある場合においては、当該死亡した旧軍人又は旧準軍人の遺族は、附則第十条第一項第二号イに掲げる者を除く外、同項同号ロに掲げる者に該当するものとみなす。
2 前項の規定は、旧軍属の遺族について準用する。
3 この法律施行前死亡した旧軍人、旧準軍人又は旧軍属の遺族の扶助料を受ける権利については、恩給法第十三条第一項の規定にかかわらず、当該旧軍人、旧準軍人又は旧軍属が公務に起因する傷病に因り死亡したかどうかの認否につき、総理府恩給局長に対しては同項に規定する具申をすることはできないものとする。
附則別表第三(イ)の上欄中「三八二、八〇〇円」を「四二三、六〇〇円」に、「二一三、六〇〇円」を「二四六、〇〇〇円」に、「一一八、二〇〇円」を「一三九、二〇〇円」に、「九七、八〇〇円」を「一一一、六〇〇円」に、「七九、八〇〇円」を「九〇、〇〇〇円」に改め、同表(ロ)の上欄中「一一八、二〇〇円」を「一三九、二〇〇円」に、「九七、八〇〇円」を「一一一、六〇〇円」に、「七九、八〇〇円」を「九〇、〇〇〇円」に改め、同表(ハ)の上欄中「四六五、六〇〇円」を「五一二、四〇〇円」に、「三九八、四〇〇円」を「四四〇、四〇〇円」に、「一五、六〇〇円」を「一六、八〇〇円」に、「二五九、二〇〇円」を「二九二、八〇〇円」に、「二四九、六〇〇円」を「二八三、二〇〇円」に、「二六八、八〇〇円」を「三〇三、六〇〇円」に、「一一八、二〇〇円ヲ超エ」を「一三九、二〇〇円ヲ超エ」に、「一一四、六〇〇円」を「一三四、四〇〇円」に、「一一八、二〇〇円以下」を「一三九、二〇〇円以下」に、「九七、八〇〇円」を「一一一、六〇〇円」に、「一一八、二〇〇円ト退職当時ノ俸給年額トノ差額三、〇〇〇円」を「一三九、二〇〇円ト退職当時ノ俸給年額トノ差額四、八〇〇円」に、「九四、八〇〇円」を「一〇八、〇〇〇円」に、「九一、八〇〇円ヲ超エ」を「一〇四、四〇〇円ヲ超エ」に、「八八、八〇〇円」を「一〇〇、八〇〇円」に、「九一、八〇〇円以下」を「一〇四、四〇〇円以下」に、「七九、八〇〇円」を「九〇、〇〇〇円」に、「九一、八〇〇円ト退職当時ノ俸給年額トノ差額三、〇〇〇円」を「一〇四、四〇〇円ト退職当時ノ俸給年額トノ差額三、六〇〇円」に、「七六、八〇〇円」を「八六、四〇〇円」に改める。
(未帰還者留守家族等援護法の一部改正)
8 未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
附則第二十九項を次のように改める。
(恩給法との調整)
29 未帰還者に関し、恩給法の規定による普通恩給の給与が行われる場合において、当該普通恩給の給与が始められた月分以降、当該普通恩給を受ける権利につき裁定のあつた日の属する月までの分として、留守家族手当又は特別手当が支給されたときは、その支給された額は、政令で定めるところにより、当該普通恩給の内払とみなす。
(戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律の一部改正)
9 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百八十一号)の一部を次のように改正する。
附則第二十一項中「この法律の施行の際(この法律の施行後被拘禁者が死亡した場合は、当該死亡の際)」を「恩給法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第二百号)の施行後被拘禁者が死亡した場合において、当該死亡の際」に改める。
附則第二十二項を次のように改める。
22 削除
10 この法律施行前に死亡した公務員に関する改正前の戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律附則第二十項から附則第二十三項までの規定による遺族年金の支給については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 小原直
外務大臣 岡崎勝男
大蔵大臣 小笠原三九郎
文部大臣 大達茂雄
厚生大臣 草葉隆円
農林大臣 保利茂
通商産業大臣 愛知揆一
運輸大臣 石井光次郎
郵政大臣 塚田十一郎
労働大臣 小坂善太郎
建設大臣 小沢佐重喜