医療法
法令番号: 法律第205号
公布年月日: 昭和23年7月30日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

医療法案は、国民医療法改正に伴う新たな医事法規の一環として提案された。主な内容は、病院の規格引き上げ、診療所の患者収容制限、助産所に関する法的規制の整備、総合病院制度の新設、診療所開設の届出制への変更、医療機関整備審議会の設置と公的医療機関の整備、医療広告の厳重な制限などである。特に病院については、20人以上の収容施設を必要とし、施設基準を従来より高度化。また、メディカル・センターとして公的医療機関を開業医にも開放し、医療の普及向上を図ることを企図している。

参照した発言:
第2回国会 衆議院 厚生委員会 第14号

審議経過

第2回国会

衆議院
(昭和23年6月24日)
参議院
(昭和23年6月24日)
衆議院
(昭和23年6月25日)
(昭和23年6月26日)
(昭和23年6月28日)
(昭和23年6月28日)
参議院
(昭和23年6月30日)
(昭和23年7月1日)
衆議院
(昭和23年7月5日)
参議院
(昭和23年7月5日)
医療法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月三十日
内閣総理大臣 芦田均
法律第二百五号
医療法
第一章 総則
第一條 この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業をなす場所であつて、患者二十人以上の收容施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的で且つ適正な診療を受けることができる便宜を與えることを主たる目的として組織され、且つ、運営されるものでなければならない。
2 この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業をなす場所であつて、患者の收容施設を有しないもの又は患者十九人以下の收容施設を有するものをいう。
第二條 この法律において、「助産所」とは、助産婦が公衆又は特定多数人のためその業務(病院又は診療所においてなすものを除く。)をなす場所をいう。
2 助産所は、妊婦、産婦又はじよく婦十人以上の收容施設を有してはならない。
第三條 疾病の治療(助産を含む。)をなす場所であつて、病院又は診療所でないものは、これに病院、病院分院、産院、療養所、診療所、診察所、医院その他病院又は診療所に紛らわしい名称を附けてはならない。
2 診療所は、これに病院、病院分院、産院その他病院に紛らわしい名称を附けてはならない。
3 助産所でないものは、これに助産所その他助産婦がその業務をなす場所に紛らわしい名称を附けてはならない。
第四條 病院であつて、患者百人以上の收容施設を有し、その診療科名中に内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科を含み、且つ、第二十二條各号に規定する施設を有するものは、その所在地の都道府縣知事の承認を得て総合病院と称することができる。
2 総合病院でないものは、これに総合病院又はこれに紛らわしい名称を附けてはならない。
第五條 公衆又は特定多数人のため往診のみによつて診療に從事する医師若しくは歯科医師又は出張のみによつてその業務に從事する助産婦については、それぞれその住所をもつて診療所又は助産所とみなし、第八條、第九條及び第三十九條又は第四十一條の規定を適用する。
第六條 國の開設する病院、診療所及び助産所に関しては、この法律の規定の適用について、政令で特別の定をすることができる。
第二章 病院、診療所及び助産所
第七條 病院を開設しようとするとき、医師及び歯科医師でないものが診療所を開設しようとするとき、又は助産婦でないものが助産所を開設しようとするときは、開設地の都道府縣知事の許可を受けなければならない。
2 営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、前項の許可は、これを與えないことがある。
第八條 医師、歯科医師又は助産婦が診療所又は助産所を開設したときは、開設後十日以内に、診療所又は助産所所在地の都道府縣知事に届け出なければならない。
第九條 病院、診療所又は助産所の開設者が、その病院、診療所又は助産所を休止し、又は廃止したときは、十日以内に、都道府縣知事に届け出なければならない。休止した病院、診療所又は助産所を再開したときも同様である。
2 病院、診療所又は助産所の開設者が死亡し、又は失そうの宣告を受けたときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡又は失そうの届出義務者は、十日以内に、その旨をその所在地の都道府縣知事に届け出なければならない。
第十條 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は医師に、歯科医業をなすものである場合は歯科医師に、これを管理させなければならない。
2 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が、医業及び歯科医業を併せ行うものである場合は、それが主として医業を行うものであるときは医師に、主として歯科医業を行うものであるときは歯科医師に、これを管理させなければならない。
第十一條 助産所の開設者は、助産婦に、これを管理させなければならない。
第十二條 病院、診療所又は助産所の開設者が、病院、診療所又は助産所の管理者となることができる者である場合は、自らその病院、診療所又は助産所を管理しなければならない。但し、病院、診療所又は助産所所在地の都道府縣知事の許可を受けた場合は、他の者にこれを管理させて差支ない。
2 病院、診療所又は助産所を管理する医師、歯科医師又は助産婦は、その病院、診療所又は助産所所在地の都道府縣知事の許可を受けた場合を除く外、他の病院、診療所又は助産所を管理しない者でなければならない。
第十三條 診療所の管理者は、同一の患者を、四十八時間を超えて收容してはならない。但し、臨時應急の処置を施した患者であつて四十八時間以内に移送することが著しく困難であるものについては、この限りでない。
2 前項但書の規定によつて、四十八時間を超えて患者を收容した場合には、当該診療所の管理者は、遅滯なく、その診療所所在地を管轄する保健所の長にその旨を届け出なければならない。
第十四條 助産所の管理者は、同時に十人以上の妊婦、産婦又はじよく婦を收容してはならない。但し、他に收容すべき適当な施設がない場合において、臨時應急のため收容するときは、この限りでない。
2 前項但書の規定によつて同時に十人以上の妊婦、産婦又はじよく婦を收容した場合には、当該助産所の管理者は、遅滯なく、その助産所所在地を管轄する保健所の長にその旨を届け出なければならない。
第十五條 病院又は診療所の管理者は、その病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、藥剤師その他の從業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならない。
2 助産所の管理者は、助産所に勤務する助産婦その他の從業者を監督し、その業務遂行に遺憾のないよう必要な注意をしなければならない。
第十六條 医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。但し、病院に勤務する医師が、その病院に隣接した場所に居住する場合において、病院所在地の都道府縣知事の許可を受けたときは、この限りでない。
第十七條 前四條に定めるものの外、病院、診療所又は助産所の管理者が、その構造設備、医藥品その他の物品の管理並びに患者、妊婦、産婦及びじよく婦の收容につき遵守すべき事項については、省令でこれを定める。
第十八條 病院又は医師が常時三人以上勤務する診療所にあつては、開設者は、專属の藥剤師を置かなければならない。但し、病院又は診療所所在地の都道府縣知事の許可を受けた場合は、この限りでない。
第十九條 助産所の開設者は、嘱託医師を定めて置かなければならない。
第二十條 病院、診療所又は助産所は、清潔を保持するものとし、その構造設備は、衞生上、防火上及び保安上安全と認められるようなものでなければならない。
第二十一條 病院は、省令の定めるところにより、左の各号に掲げる人員及び施設を有し、且つ、記録を備えて置かなければならない。
一 省令を以て定める員数の医師、歯科医師、看護婦その他の從業者
二 各科專門の診察室
三 手術室
四 処置室
五 臨床檢査施設
六 エツクス線裝置
七 調剤所
八 消毒施設
九 給食施設
十 給水施設
十一 暖房施設
十二 洗たく施設
十三 汚物処理施設
十四 診療に関する諸記録
十五 その他省令をもつて定める施設
2 前項第一号又は第十五号の規定に基く省令の規定によつて定められた人員又は施設を有しない者については、政令で五千円以下の罰金の刑を科する旨の規定を設けることができる。
第二十二條 総合病院は、前條に定めるものの外、左の各号に掲げる施設を有しなければならない。
一 化学、細菌及び病理の檢査施設
二 病理解剖室
三 研究室
四 講義室
五 図書室
六 その他省令をもつて定める施設
2 前項第六号の規定に基く省令の規定によつて定められた施設を有しない者については、政令で五千円以下の罰金の刑を科する旨の規定を設けることができる。
第二十三條 前二條に定めるものの外、病院、診療所又は助産所の構造設備について、換氣、採光、照明、防濕、保安、避難及び清潔その他衞生上遺憾のないように必要な基準を省令で定める。
2 前項の規定に基く省令の規定に違反した者については、政令で五千円以下の罰金の刑を科する旨の規定を設けることができる。
第二十四條 都道府縣知事は、病院、診療所又は助産所が清潔を欠くとき、又はその構造設備が第二十一條若しくは第二十二條の規定若しくは前條に基く省令の規定に違反し、若しくは衞生上有害若しくは保安上危險と認めるときは、その開設者に対し、期間を定めて、その全部若しくは一部の使用を制限し、若しくは禁止し、又は修繕若しくは改築を命ずることができる。
第二十五條 厚生大臣又は都道府縣知事は、必要があると認めるときは、病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該官吏若しくは吏員に、病院、診療所若しくは助産所に立ち入り、その清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録その他の帳簿書類を檢査させることができる。
2 前項の規定によつて立入檢査をする当該官吏又は吏員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第二十六條 前條第一項に規定する当該官吏又は吏員の職権を行わせるために、國及び都道府縣に医療監視員を置く。
2 医療監視員は、官吏又は都道府縣の吏員のうちから、厚生大臣又は都道府縣知事がこれを命ずる。
3 前二項に定めるものの外、医療監視員に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第二十七條 病院、又は收容施設を有する診療所若しくは助産所は、その構造設備について、その所在地を管轄する都道府縣知事の檢査を受け、許可証の交付を受けた後でなければ、これを使用してはならない。
第二十八條 都道府縣知事は、病院、診療所又は助産所の管理者に、犯罪若しくは医事に関する不正行爲があり、又はその者が管理をなすのに適しないと認めるときは、開設者に対し、その変更を命ずることができる。
第二十九條 都道府縣知事は、左の各号の一に該当する場合においては、病院、診療所若しくは助産所の開設の許可を取り消し、又は開設者に対し、期間を定めて、その閉鎖を命ずることができる。
一 開設の許可を受けた後正当の理由がないのに、六月以上その業務を開始しないとき。
二 開設者が第二十四條又は前條の規定に基く命令に違反したとき。
三 開設者に犯罪又は医事に関する不正の行爲があつたとき。
2 都道府縣知事は、総合病院が第四條第一項に掲げる要件を欠くに至つたときは、その承認を取り消すことができる。
第三十條 第二十四條、第二十八條又は前條に規定する処分がなされるに当つては、当該処分を受ける者に、都道府縣知事の指定した吏員又は其の他の者に対して弁明する機会が與えられなければならない。この場合においては、都道府縣知事は、当該処分を受ける者に対し、あらかじめ、書面をもつて、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をなすべき事由を通知しなければならない。
2 前項の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、且つ、自己に有利な証拠を提出することができる。
3 弁明の聽取をした者は、聽取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、且つ、処分の決定について都道府縣知事に意見を述べなければならない。
4 都道府縣知事は、衞生上又は保安上緊急の必要があると認めるときは、第一項の規定にかかわらず、直ちに当該処分をなすことができる。この場合においては、当該処分をなした後三日以内に、当該処分を受けた者に対し弁明の機会が與えられなければならない。
第三章 公的医療機関
第三十一條 この章において、「公的医療機関」とは、都道府縣、市町村その他厚生大臣の定める者の開設する病院又は診療所をいう。
第三十二條 厚生大臣又は都道府縣知事の諮問に應じて、医療機関の整備に関する重要事項を調査審議させるために、厚生省及び各都道府縣に、厚生大臣又は都道府縣知事の監督に属する医療機関整備審議会を置く。
2 構成、委員の任期、議決方法その他都道府縣に置かれる医療機関整備審議会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第三十三條 國庫は医療の普及をはかるため特に必要があると認めるときは、都道府縣、市町村その他厚生大臣の定める者に対し、その開設する公的医療機関について、予算の定める範囲内においてその設置に要する費用の一部を補助することができる。
第三十四條 厚生大臣は、医療の普及をはかるため特に必要があると認めるときは、医療機関整備審議会の意見を聽いた上、前條に規定する者に対し、公的医療機関の設置を命ずることができる。
2 前項の場合においては、國庫は、予算の定める範囲内において、その設置に要する費用の一部を補助する。
第三十五條 厚生大臣又は都道府縣知事は、公的医療機関の開設者又は管理者に対して、左の事項を命ずることができる。
一 当該病院又は診療所の医療業務に差支ない限り、その建物の全部又は一部、設備、器械及び器具を当該公的医療機関に勤務しない医師又は歯科医師の診療又は研究のために利用させること。
二 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十一條又は歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第十一條の規定による実地修練を行わせるのに必要な條件を整備すること。
2 前項各号に掲げる事項の外、厚生大臣又は都道府縣知事は、公的医療機関の開設者に対して、その運営に関して必要な指示をすることができる。
第三十六條 都道府縣知事の諮問に應じて、公的医療機関の運営に関する重要事項を調査審議させるために、都道府縣知事の監督に属する公的医療機関運営審議会を置く。
2 構成、委員の任期、議決の方法その他公的医療機関運営審議会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第三十七條 厚生大臣は、公的医療機関の開設者が請求することのできる診療の報酬に関して必要な定をなすことができる。
第三十八條 厚生大臣の諮問に應じて、前條に規定する診療の報酬に関する事項を審議させるために、厚生大臣の監督に属する診療報酬審議会を置く。
第四章 医業、歯科医業又は助産婦の業務等の廣告
第三十九條 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては、文書その他如何なる方法によるを問わず、何人も左に掲げる事項を除く外、これを廣告してはならない。
一 医師又は歯科医師である旨
二 第四十條第一項の規定による診療科名
三 病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
四 診療に從事する医師又は歯科医師の氏名
五 診療日又は診療時間
六 入院設備の有無
七 その他都道府縣知事の許可を受けた事項
2 前項第四号に掲げる事項を廣告するに当つては、その医師又は歯科医師が、常時診療に從事しない者である場合には、その医師又は歯科医師の診療日及び診療時間を併せて廣告しなければならない。
3 第一項各号に掲げる事項を廣告するに当つても、医師又は歯科医師の技能、治療方法、経歴又は学位に関する事項にわたつてはならない。
第四十條 前條第一項第二号の規定による診療科名は左に掲げるものとする。
一 医業については内科、精神科、小兒科、外科、整形外科、皮膚ひ尿器科(又は皮膚科、ひ尿器科)、産婦人科(又は産科、婦人科)、眼科、耳鼻いんこう科、理学診療科(又は放射線科)
二 歯科医業については歯科
三 前二号以外の診療科名であつて当該診療に從事する医師又は歯科医師において厚生大臣の許可を受けたもの
2 厚生大臣は、前項第三号の規定による許可をなすに当つては、あらかじめ医道審議会の意見を聽かなければならない。
3 第一項第三号の規定による診療科名を廣告するときは、当該診療科名につき許可を受けた医師又は歯科医師の氏名を、併せて廣告しなければならない。
第四十一條 助産婦の業務又は助産所に関しては、文書その他如何なる方法によるを問わず、何人も左に掲げる事項を除く外、これを廣告してはならない。
一 助産婦である旨
二 助産所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
三 業務に從事する助産婦の氏名
四 就業の日時
五 收容施設の有無
六 その他都道府縣知事の許可を受けた事項
2 前項第三号に掲げる事項を廣告するに当つては、その助産婦が、その助産所において常時業務に從事する者でない場合には、その業務に從事する日時を併せて廣告しなければならない。
3 第一項各号に掲げる事項を廣告するに当つても、助産婦の技能又は経歴に関する事項にわたつてはならない。
第五章 罰則
第四十二條 左の各号の一に該当する者は、これを六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第七條第一項、第三十九條、第四十條第三項又は第四十一條の規定に違反した者
二 第十四條の規定に違反した者
三 第二十四條、第二十八條又は第二十九條の規定に基く命令又は処分に違反した者
第四十三條 当該官吏若しくは吏員又はその職にあつた者が、故なく第二十五條の規定による診療録又は助産録の檢査に関し知得した医師、歯科医師又は助産婦の業務上の祕密又は個人の祕密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 職務上前項の祕密を知得した他の公務員又は公務員であつた者が、故なくその祕密を漏らしたときも、前項と同様である。
第四十四條 左の各号の一に該当する者は、これを五千円以下の罰金に処する。
一 第三條、第四條第二項、第八條から第十三條まで、第十六條、第十八條、第十九條、第二十一條第二号から第十四号まで、第二十二條第一号から第五号まで又は第二十七條の規定に違反した者
二 第二十五條第一項の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をし、又は当該官吏若しくは吏員の檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第四十五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関して第四十二條又は前條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対しても各本條の罰金刑を科する。
附 則
第四十六條 この法律は、医師法施行の日から、これを施行する。
第四十七條 國民医療法(昭和十七年法律第七十号、以下旧法という。)第二十一條の規定により開設の許可を受け、又は國民医療法施行規則(昭和十七年厚生省令第四十八号、以下旧規則という。)第七十四條の規定により許可を受けたとみなされた診療所又は患者二十人以上の收容施設を有する病院であつて、この法律施行の際現に存するものは、これを第七條又は第八條の規定により病院又は診療所の開設の許可を受け、又は診療所の開設の届出をしたものとみなす。
2 旧法第二十一條の規定により開設の許可を受け、又は旧規則第七十四條の規定により許可を受けたとみなされた患者十九人以下の收容施設を有する病院であつて、この法律施行の際現に存するものは、これを第七條又は第八條の規定により診療所の開設の許可を受け、又は開設の届出をしたものとみなす。但し、この法律施行の日から六月間は、第三條第二項の規定にかかわらず、なお從來の名称を用いることができる。
3 前二項に該当する病院又は診療所の構造設備については、この法律施行の日から三年間は、なお旧法の規定によることができる。但し、構造設備に重大な変更を加える必要がある場合において、その病院又は診療所所在地の都道府縣知事の許可を受けたときは、更に二年間は、なお旧法の規定によることができる。
4 第一項又は第二項の規定により診療所の開設の許可を受け、又は届出をしたとみなされたものについては、この法律施行の日から三年間は、第十三條の規定によらないことができる。但し、病院の普及が充分でない地域にある診療所について、その所在地の都道府縣知事の許可を受けたときは、さらに二年間、第十三條の規定によらないことができる。
第四十八條 この法律施行の際現に存する医業、歯科医業若しくは助産婦の業務又は病院若しくは診療所に関する廣告であつて、第三十九條、第四十條第三項又は第四十一條の規定に違反するものについては、この法律施行の日から六月間は、なお旧法の規定によることができる。
第四十九條 この法律の規定による助産所に該当するものであつて、この法律施行の際現に存するものについては、この法律施行の日から六月間は、なおこの法律の規定によらないことができる。
2 前項の規定に該当する助産所であつて、この法律施行の日から六月内に、第七條又は第八條の規定により助産所の開設の許可を受け、又は開設の届出をしたものの構造設備については、この法律施行の日から二年間は、なおこの法律の規定によらないことができる。
第五十條 旧規則第四十五條第一項但書、第二項、若しくは第五十一條但書の規定によつて都道府縣知事の許可を受けた者又は旧規則第七十五條の規定によつて許可を受けたとみなされた者は、第十二條第一項但書若しくは第二項又は第十八條但書の規定によつて許可を受けた者とみなす。
2 旧規則第三十六條第一項第一号の規定によつて厚生大臣の許可を受けた者は、これを第四十條第一項第三号の規定によつて許可を受けたものとみなす。
第五十一條 この法律施行前から引き続き休止をしている病院又は診療所については、旧法の規定による休止の届出は、これをこの法律の相当規定によつてしたものとみなす。
第五十二條 この法律施行前死亡し、又は失そうの宣告を受けた病院又は診療所の開設者がある場合において、この法律施行の日までに旧規則第四十三條第二項の規定による届出をなさず、且つ、届出期間の満了していないものについては、なお從前の規定により、これを届け出なければならない。
第五十三條 旧規則第五十七條又は第五十八條の規定によつて都道府縣知事がなし、又は旧規則第八十條の規定によつてなしたものとみなされた処分は、これをこの法律の相当規定によつてなしたものとみなす。
大藏大臣 北村徳太郎
厚生大臣 竹田儀一
内閣総理大臣 芦田均
医療法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月三十日
内閣総理大臣 芦田均
法律第二百五号
医療法
第一章 総則
第一条 この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業をなす場所であつて、患者二十人以上の収容施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的で且つ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、且つ、運営されるものでなければならない。
2 この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業をなす場所であつて、患者の収容施設を有しないもの又は患者十九人以下の収容施設を有するものをいう。
第二条 この法律において、「助産所」とは、助産婦が公衆又は特定多数人のためその業務(病院又は診療所においてなすものを除く。)をなす場所をいう。
2 助産所は、妊婦、産婦又はじよく婦十人以上の収容施設を有してはならない。
第三条 疾病の治療(助産を含む。)をなす場所であつて、病院又は診療所でないものは、これに病院、病院分院、産院、療養所、診療所、診察所、医院その他病院又は診療所に紛らわしい名称を附けてはならない。
2 診療所は、これに病院、病院分院、産院その他病院に紛らわしい名称を附けてはならない。
3 助産所でないものは、これに助産所その他助産婦がその業務をなす場所に紛らわしい名称を附けてはならない。
第四条 病院であつて、患者百人以上の収容施設を有し、その診療科名中に内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科を含み、且つ、第二十二条各号に規定する施設を有するものは、その所在地の都道府県知事の承認を得て総合病院と称することができる。
2 総合病院でないものは、これに総合病院又はこれに紛らわしい名称を附けてはならない。
第五条 公衆又は特定多数人のため往診のみによつて診療に従事する医師若しくは歯科医師又は出張のみによつてその業務に従事する助産婦については、それぞれその住所をもつて診療所又は助産所とみなし、第八条、第九条及び第三十九条又は第四十一条の規定を適用する。
第六条 国の開設する病院、診療所及び助産所に関しては、この法律の規定の適用について、政令で特別の定をすることができる。
第二章 病院、診療所及び助産所
第七条 病院を開設しようとするとき、医師及び歯科医師でないものが診療所を開設しようとするとき、又は助産婦でないものが助産所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、前項の許可は、これを与えないことがある。
第八条 医師、歯科医師又は助産婦が診療所又は助産所を開設したときは、開設後十日以内に、診療所又は助産所所在地の都道府県知事に届け出なければならない。
第九条 病院、診療所又は助産所の開設者が、その病院、診療所又は助産所を休止し、又は廃止したときは、十日以内に、都道府県知事に届け出なければならない。休止した病院、診療所又は助産所を再開したときも同様である。
2 病院、診療所又は助産所の開設者が死亡し、又は失そうの宣告を受けたときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡又は失そうの届出義務者は、十日以内に、その旨をその所在地の都道府県知事に届け出なければならない。
第十条 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は医師に、歯科医業をなすものである場合は歯科医師に、これを管理させなければならない。
2 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が、医業及び歯科医業を併せ行うものである場合は、それが主として医業を行うものであるときは医師に、主として歯科医業を行うものであるときは歯科医師に、これを管理させなければならない。
第十一条 助産所の開設者は、助産婦に、これを管理させなければならない。
第十二条 病院、診療所又は助産所の開設者が、病院、診療所又は助産所の管理者となることができる者である場合は、自らその病院、診療所又は助産所を管理しなければならない。但し、病院、診療所又は助産所所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は、他の者にこれを管理させて差支ない。
2 病院、診療所又は助産所を管理する医師、歯科医師又は助産婦は、その病院、診療所又は助産所所在地の都道府県知事の許可を受けた場合を除く外、他の病院、診療所又は助産所を管理しない者でなければならない。
第十三条 診療所の管理者は、同一の患者を、四十八時間を超えて収容してはならない。但し、臨時応急の処置を施した患者であつて四十八時間以内に移送することが著しく困難であるものについては、この限りでない。
2 前項但書の規定によつて、四十八時間を超えて患者を収容した場合には、当該診療所の管理者は、遅滞なく、その診療所所在地を管轄する保健所の長にその旨を届け出なければならない。
第十四条 助産所の管理者は、同時に十人以上の妊婦、産婦又はじよく婦を収容してはならない。但し、他に収容すべき適当な施設がない場合において、臨時応急のため収容するときは、この限りでない。
2 前項但書の規定によつて同時に十人以上の妊婦、産婦又はじよく婦を収容した場合には、当該助産所の管理者は、遅滞なく、その助産所所在地を管轄する保健所の長にその旨を届け出なければならない。
第十五条 病院又は診療所の管理者は、その病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならない。
2 助産所の管理者は、助産所に勤務する助産婦その他の従業者を監督し、その業務遂行に遺憾のないよう必要な注意をしなければならない。
第十六条 医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。但し、病院に勤務する医師が、その病院に隣接した場所に居住する場合において、病院所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
第十七条 前四条に定めるものの外、病院、診療所又は助産所の管理者が、その構造設備、医薬品その他の物品の管理並びに患者、妊婦、産婦及びじよく婦の収容につき遵守すべき事項については、省令でこれを定める。
第十八条 病院又は医師が常時三人以上勤務する診療所にあつては、開設者は、専属の薬剤師を置かなければならない。但し、病院又は診療所所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は、この限りでない。
第十九条 助産所の開設者は、嘱託医師を定めて置かなければならない。
第二十条 病院、診療所又は助産所は、清潔を保持するものとし、その構造設備は、衛生上、防火上及び保安上安全と認められるようなものでなければならない。
第二十一条 病院は、省令の定めるところにより、左の各号に掲げる人員及び施設を有し、且つ、記録を備えて置かなければならない。
一 省令を以て定める員数の医師、歯科医師、看護婦その他の従業者
二 各科専門の診察室
三 手術室
四 処置室
五 臨床検査施設
六 エツクス線装置
七 調剤所
八 消毒施設
九 給食施設
十 給水施設
十一 暖房施設
十二 洗たく施設
十三 汚物処理施設
十四 診療に関する諸記録
十五 その他省令をもつて定める施設
2 前項第一号又は第十五号の規定に基く省令の規定によつて定められた人員又は施設を有しない者については、政令で五千円以下の罰金の刑を科する旨の規定を設けることができる。
第二十二条 総合病院は、前条に定めるものの外、左の各号に掲げる施設を有しなければならない。
一 化学、細菌及び病理の検査施設
二 病理解剖室
三 研究室
四 講義室
五 図書室
六 その他省令をもつて定める施設
2 前項第六号の規定に基く省令の規定によつて定められた施設を有しない者については、政令で五千円以下の罰金の刑を科する旨の規定を設けることができる。
第二十三条 前二条に定めるものの外、病院、診療所又は助産所の構造設備について、換気、採光、照明、防湿、保安、避難及び清潔その他衛生上遺憾のないように必要な基準を省令で定める。
2 前項の規定に基く省令の規定に違反した者については、政令で五千円以下の罰金の刑を科する旨の規定を設けることができる。
第二十四条 都道府県知事は、病院、診療所又は助産所が清潔を欠くとき、又はその構造設備が第二十一条若しくは第二十二条の規定若しくは前条に基く省令の規定に違反し、若しくは衛生上有害若しくは保安上危険と認めるときは、その開設者に対し、期間を定めて、その全部若しくは一部の使用を制限し、若しくは禁止し、又は修繕若しくは改築を命ずることができる。
第二十五条 厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該官吏若しくは吏員に、病院、診療所若しくは助産所に立ち入り、その清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録その他の帳簿書類を検査させることができる。
2 前項の規定によつて立入検査をする当該官吏又は吏員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第二十六条 前条第一項に規定する当該官吏又は吏員の職権を行わせるために、国及び都道府県に医療監視員を置く。
2 医療監視員は、官吏又は都道府県の吏員のうちから、厚生大臣又は都道府県知事がこれを命ずる。
3 前二項に定めるものの外、医療監視員に関し必要な事項は、省令でこれを定める。
第二十七条 病院、又は収容施設を有する診療所若しくは助産所は、その構造設備について、その所在地を管轄する都道府県知事の検査を受け、許可証の交付を受けた後でなければ、これを使用してはならない。
第二十八条 都道府県知事は、病院、診療所又は助産所の管理者に、犯罪若しくは医事に関する不正行為があり、又はその者が管理をなすのに適しないと認めるときは、開設者に対し、その変更を命ずることができる。
第二十九条 都道府県知事は、左の各号の一に該当する場合においては、病院、診療所若しくは助産所の開設の許可を取り消し、又は開設者に対し、期間を定めて、その閉鎖を命ずることができる。
一 開設の許可を受けた後正当の理由がないのに、六月以上その業務を開始しないとき。
二 開設者が第二十四条又は前条の規定に基く命令に違反したとき。
三 開設者に犯罪又は医事に関する不正の行為があつたとき。
2 都道府県知事は、総合病院が第四条第一項に掲げる要件を欠くに至つたときは、その承認を取り消すことができる。
第三十条 第二十四条、第二十八条又は前条に規定する処分がなされるに当つては、当該処分を受ける者に、都道府県知事の指定した吏員又は其の他の者に対して弁明する機会が与えられなければならない。この場合においては、都道府県知事は、当該処分を受ける者に対し、あらかじめ、書面をもつて、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をなすべき事由を通知しなければならない。
2 前項の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、且つ、自己に有利な証拠を提出することができる。
3 弁明の聴取をした者は、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、且つ、処分の決定について都道府県知事に意見を述べなければならない。
4 都道府県知事は、衛生上又は保安上緊急の必要があると認めるときは、第一項の規定にかかわらず、直ちに当該処分をなすことができる。この場合においては、当該処分をなした後三日以内に、当該処分を受けた者に対し弁明の機会が与えられなければならない。
第三章 公的医療機関
第三十一条 この章において、「公的医療機関」とは、都道府県、市町村その他厚生大臣の定める者の開設する病院又は診療所をいう。
第三十二条 厚生大臣又は都道府県知事の諮問に応じて、医療機関の整備に関する重要事項を調査審議させるために、厚生省及び各都道府県に、厚生大臣又は都道府県知事の監督に属する医療機関整備審議会を置く。
2 構成、委員の任期、議決方法その他都道府県に置かれる医療機関整備審議会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第三十三条 国庫は医療の普及をはかるため特に必要があると認めるときは、都道府県、市町村その他厚生大臣の定める者に対し、その開設する公的医療機関について、予算の定める範囲内においてその設置に要する費用の一部を補助することができる。
第三十四条 厚生大臣は、医療の普及をはかるため特に必要があると認めるときは、医療機関整備審議会の意見を聴いた上、前条に規定する者に対し、公的医療機関の設置を命ずることができる。
2 前項の場合においては、国庫は、予算の定める範囲内において、その設置に要する費用の一部を補助する。
第三十五条 厚生大臣又は都道府県知事は、公的医療機関の開設者又は管理者に対して、左の事項を命ずることができる。
一 当該病院又は診療所の医療業務に差支ない限り、その建物の全部又は一部、設備、器械及び器具を当該公的医療機関に勤務しない医師又は歯科医師の診療又は研究のために利用させること。
二 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十一条又は歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第十一条の規定による実地修練を行わせるのに必要な条件を整備すること。
2 前項各号に掲げる事項の外、厚生大臣又は都道府県知事は、公的医療機関の開設者に対して、その運営に関して必要な指示をすることができる。
第三十六条 都道府県知事の諮問に応じて、公的医療機関の運営に関する重要事項を調査審議させるために、都道府県知事の監督に属する公的医療機関運営審議会を置く。
2 構成、委員の任期、議決の方法その他公的医療機関運営審議会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第三十七条 厚生大臣は、公的医療機関の開設者が請求することのできる診療の報酬に関して必要な定をなすことができる。
第三十八条 厚生大臣の諮問に応じて、前条に規定する診療の報酬に関する事項を審議させるために、厚生大臣の監督に属する診療報酬審議会を置く。
第四章 医業、歯科医業又は助産婦の業務等の広告
第三十九条 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては、文書その他如何なる方法によるを問わず、何人も左に掲げる事項を除く外、これを広告してはならない。
一 医師又は歯科医師である旨
二 第四十条第一項の規定による診療科名
三 病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
四 診療に従事する医師又は歯科医師の氏名
五 診療日又は診療時間
六 入院設備の有無
七 その他都道府県知事の許可を受けた事項
2 前項第四号に掲げる事項を広告するに当つては、その医師又は歯科医師が、常時診療に従事しない者である場合には、その医師又は歯科医師の診療日及び診療時間を併せて広告しなければならない。
3 第一項各号に掲げる事項を広告するに当つても、医師又は歯科医師の技能、治療方法、経歴又は学位に関する事項にわたつてはならない。
第四十条 前条第一項第二号の規定による診療科名は左に掲げるものとする。
一 医業については内科、精神科、小児科、外科、整形外科、皮膚ひ尿器科(又は皮膚科、ひ尿器科)、産婦人科(又は産科、婦人科)、眼科、耳鼻いんこう科、理学診療科(又は放射線科)
二 歯科医業については歯科
三 前二号以外の診療科名であつて当該診療に従事する医師又は歯科医師において厚生大臣の許可を受けたもの
2 厚生大臣は、前項第三号の規定による許可をなすに当つては、あらかじめ医道審議会の意見を聴かなければならない。
3 第一項第三号の規定による診療科名を広告するときは、当該診療科名につき許可を受けた医師又は歯科医師の氏名を、併せて広告しなければならない。
第四十一条 助産婦の業務又は助産所に関しては、文書その他如何なる方法によるを問わず、何人も左に掲げる事項を除く外、これを広告してはならない。
一 助産婦である旨
二 助産所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
三 業務に従事する助産婦の氏名
四 就業の日時
五 収容施設の有無
六 その他都道府県知事の許可を受けた事項
2 前項第三号に掲げる事項を広告するに当つては、その助産婦が、その助産所において常時業務に従事する者でない場合には、その業務に従事する日時を併せて広告しなければならない。
3 第一項各号に掲げる事項を広告するに当つても、助産婦の技能又は経歴に関する事項にわたつてはならない。
第五章 罰則
第四十二条 左の各号の一に該当する者は、これを六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第七条第一項、第三十九条、第四十条第三項又は第四十一条の規定に違反した者
二 第十四条の規定に違反した者
三 第二十四条、第二十八条又は第二十九条の規定に基く命令又は処分に違反した者
第四十三条 当該官吏若しくは吏員又はその職にあつた者が、故なく第二十五条の規定による診療録又は助産録の検査に関し知得した医師、歯科医師又は助産婦の業務上の秘密又は個人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 職務上前項の秘密を知得した他の公務員又は公務員であつた者が、故なくその秘密を漏らしたときも、前項と同様である。
第四十四条 左の各号の一に該当する者は、これを五千円以下の罰金に処する。
一 第三条、第四条第二項、第八条から第十三条まで、第十六条、第十八条、第十九条、第二十一条第二号から第十四号まで、第二十二条第一号から第五号まで又は第二十七条の規定に違反した者
二 第二十五条第一項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は当該官吏若しくは吏員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第四十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第四十二条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
附 則
第四十六条 この法律は、医師法施行の日から、これを施行する。
第四十七条 国民医療法(昭和十七年法律第七十号、以下旧法という。)第二十一条の規定により開設の許可を受け、又は国民医療法施行規則(昭和十七年厚生省令第四十八号、以下旧規則という。)第七十四条の規定により許可を受けたとみなされた診療所又は患者二十人以上の収容施設を有する病院であつて、この法律施行の際現に存するものは、これを第七条又は第八条の規定により病院又は診療所の開設の許可を受け、又は診療所の開設の届出をしたものとみなす。
2 旧法第二十一条の規定により開設の許可を受け、又は旧規則第七十四条の規定により許可を受けたとみなされた患者十九人以下の収容施設を有する病院であつて、この法律施行の際現に存するものは、これを第七条又は第八条の規定により診療所の開設の許可を受け、又は開設の届出をしたものとみなす。但し、この法律施行の日から六月間は、第三条第二項の規定にかかわらず、なお従来の名称を用いることができる。
3 前二項に該当する病院又は診療所の構造設備については、この法律施行の日から三年間は、なお旧法の規定によることができる。但し、構造設備に重大な変更を加える必要がある場合において、その病院又は診療所所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、更に二年間は、なお旧法の規定によることができる。
4 第一項又は第二項の規定により診療所の開設の許可を受け、又は届出をしたとみなされたものについては、この法律施行の日から三年間は、第十三条の規定によらないことができる。但し、病院の普及が充分でない地域にある診療所について、その所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、さらに二年間、第十三条の規定によらないことができる。
第四十八条 この法律施行の際現に存する医業、歯科医業若しくは助産婦の業務又は病院若しくは診療所に関する広告であつて、第三十九条、第四十条第三項又は第四十一条の規定に違反するものについては、この法律施行の日から六月間は、なお旧法の規定によることができる。
第四十九条 この法律の規定による助産所に該当するものであつて、この法律施行の際現に存するものについては、この法律施行の日から六月間は、なおこの法律の規定によらないことができる。
2 前項の規定に該当する助産所であつて、この法律施行の日から六月内に、第七条又は第八条の規定により助産所の開設の許可を受け、又は開設の届出をしたものの構造設備については、この法律施行の日から二年間は、なおこの法律の規定によらないことができる。
第五十条 旧規則第四十五条第一項但書、第二項、若しくは第五十一条但書の規定によつて都道府県知事の許可を受けた者又は旧規則第七十五条の規定によつて許可を受けたとみなされた者は、第十二条第一項但書若しくは第二項又は第十八条但書の規定によつて許可を受けた者とみなす。
2 旧規則第三十六条第一項第一号の規定によつて厚生大臣の許可を受けた者は、これを第四十条第一項第三号の規定によつて許可を受けたものとみなす。
第五十一条 この法律施行前から引き続き休止をしている病院又は診療所については、旧法の規定による休止の届出は、これをこの法律の相当規定によつてしたものとみなす。
第五十二条 この法律施行前死亡し、又は失そうの宣告を受けた病院又は診療所の開設者がある場合において、この法律施行の日までに旧規則第四十三条第二項の規定による届出をなさず、且つ、届出期間の満了していないものについては、なお従前の規定により、これを届け出なければならない。
第五十三条 旧規則第五十七条又は第五十八条の規定によつて都道府県知事がなし、又は旧規則第八十条の規定によつてなしたものとみなされた処分は、これをこの法律の相当規定によつてなしたものとみなす。
大蔵大臣 北村徳太郎
厚生大臣 竹田儀一
内閣総理大臣 芦田均