医療法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第122号
公布年月日: 昭和25年5月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

社会保障制度の実施にあたり、国民医療の保証のために医療機関、特に病院の普及整備が必要である。現行の医療法は病院に20床以上の病床と近代医療に適した設備を要求しているが、現下の経済情勢では私人による病院建設や維持が困難である。また、商法上の会社による病院経営は想定されておらず、全ての病院が公益法人資格を取得することも難しい。そこで、医療事業の非営利性を考慮しつつ、経営主体が容易に法人格を取得できるよう、医療法人の章を追加する改正を行うものである。

参照した発言:
第7回国会 衆議院 厚生委員会 第21号

審議経過

第7回国会

衆議院
(昭和25年4月3日)
参議院
(昭和25年4月4日)
衆議院
(昭和25年4月7日)
(昭和25年4月10日)
(昭和25年4月12日)
参議院
(昭和25年4月12日)
(昭和25年4月18日)
衆議院
(昭和25年4月19日)
参議院
(昭和25年4月19日)
衆議院
(昭和25年4月25日)
(昭和25年5月3日)
参議院
(昭和25年5月2日)
医療法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十二号
医療法の一部を改正する法律
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第五條第一項中「第三十九條又は第四十一條」を「第六十九條又は第七十一條」に改める。
第三十九條第一項第二号中「第四十條第一項」を「第七十條第一項」に改め、同條を第六十九條とする。
第四十條を第七十條とし、第四十一條を第七十一條とする。
第四十二條第一号中「第三十九條」を「第六十九條」に、「第四十條第三項又は第四十一條第一項」を「第七十條第三項又は第七十一條第一項」に改め、同條を第七十二條とする。
第四十三條を第七十三條とし、第四十四條を第七十四條とする。
第四十五條中「第四十二條」を「第七十二條」に改め、同條を第七十五條とし、第五章中同條の次に次の二條を加える。
第七十六條 左の各号の一に該当する場合においては、医療法人の理事、監事又は清算人は、これを一万円以下の過料に処する。但し、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律に基く政令の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。
二 第五十二條第一項の規定による書類の備付を怠り、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当の理由がないのに同條第二項の規定による閲覽を拒んだとき。
三 第五十四條の規定に違反して剰余金の配当をしたとき。
四 第五十八條又は第五十九條第一項若しくは第三項の規定に違反したとき。
五 第六十四條の規定による命令に違反して業務を行つたとき。
六 第六十八條において準用する民法第五十一條第一項の規定による財産目録の備付を怠り、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
七 第六十八條において準用する民法第七十條又は第八十一條第一項の規定による破産の宣告の請求を怠つたとき。
八 第六十八條において準用する民法第七十九條第一項又は第八十一條第一項の規定による公告を怠り、又は不実の公告をしたとき。
第七十七條 第四十條の規定に違反した者は、これを五千円以下の過料に処する。
第四十六條を第七十八條とし、第四十七條を第七十九條とする。
第四十八條中「第三十九條、第四十條第三項又は第四十一條」を「第六十九條、第七十條第三項又は第七十一條」に改め、同條を第八十條とし、第四十九條を第八十一條とする。
第五十條第二項中「旧規則第三十六條第一項第一号」を「旧規則第三十六條第一項第二号」に、「第四十條第一項第三号」を「第七十條第一項第三号」に改め、同條を第八十二條とし、以下五十三條まで順次三十二條ずつ繰り下げる。
第四章を第五章とし、第五章を第六章とし、第三章の次に次の一章を加える。
第四章 医療法人
第三十九條 病院又は医師若しくは歯科医師が常時三人以上勤務する診療所を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。
2 前項の規定による法人は、医療法人と称する。
第四十條 医療法人でない者は、その名称中に、医療法人という文字を用いてはならない。
第四十一條 医療法人は、その開設する病院若しくは診療所に必要な施設又はこれに要する資金を有しなければならない。
第四十二條 医療法人は、その開設する病院又は診療所の業務に支障のない限り、定款又は寄附行為の定めるところにより、左に掲げる業務の全部又は一部を行うことができる。
一 医療関係者の養成又は再教育
二 医学又は歯学に関する研究所の設置
三 第三十九條第一項に規定する診療所以外の診療所の開設
四 その他保健衛生に関する業務
第四十三條 医療法人は、政令の定めるところにより、その設立、従たる事務所の新設、事務所の移転、その他登記事項の変更、解散、合併、清算人の就任又はその変更及び清算の結了の各場合に、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することはできない。
3 登記所は、医療法人に関して登記をしたときは、その登記した事項を遅滯なく公告しなければならない。
第四十四條 医療法人は、都道府県知事の認可を受けなければ、これを設立することができない。
2 医療法人を設立しようとする者は、定款又は寄附行為をもつて、少くとも左に掲げる事項を定めなければならない。
一 目的
二 名称
三 その開設しようとする病院又は診療所の名称及び開設場所
四 事務所の所在地
五 資産及び会計に関する規定
六 役員に関する規定
七 社団たる医療法人にあつては、社員たる資格の得喪に関する規定
八 解散に関する規定
九 定款又は寄附行為の変更に関する規定
十 公告の方法
3 医療法人の設立当初の役員は、定款又は寄附行為をもつて定めなければならない。
4 この章に定めるものの外、医療法人の設立認可の申請に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
第四十五條 都道府県知事は、前條第一項の規定による認可の申請があつた場合には、当該申請にかかる医療法人の資産が第四十一條の要件に該当しているかどうか及びその定款又は寄附行為の内容が法令の規定に違反していないかどうかを審査した上で、その認可を決定しなければならない。
2 都道府県知事は、前條第一項の規定による認可をし、又は認可をしない処分をするに当つては、あらかじめ、医療機関整備審議会の意見をきかなければならない。
第四十六條 医療法人は、その主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより設立の登記をすることによつて、成立する。
第四十七條 医療法人は、理事数人を有する場合には、その開設する病院又は診療所の管理者を理事に加えなければならない。但し、医療法人が病院又は診療所を二以上開設する場合には、定款又は寄附行為の定めるところにより、管理者のうち、一人又は数人を理事に加えるをもつて足りる。
2 前項の理事は、管理者の職を退いたときは、理事の職を失うものとする。
第四十八條 医療法人に監事を置いた場合には、監事は、理事又は医療法人の職員(当該医療法人の開設する病院又は診療所の管理者その他の職員を含む。)を兼ねてはならない。
第四十九條 理事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内にこれを補充しなければならない。
第五十條 定款又は寄附行為の変更は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 都道府県知事は、前項の規定による認可の申請があつた場合には、第四十五條に規定する事項及び定款又は寄附行為の変更の手続が法令又は定款若しくは寄附行為に違反していないかどうかを審査した上で、その認可を決定しなければならない。
第五十一條 医療法人は、毎会計年度の終了後二月以内に、決算を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定により届け出るべき事項の細目及び届出の手続は、厚生省令で定める。
第五十二條 医療法人は、毎会計年度終了後二月以内に、財産目録、貸借対照表及び收支計算書を作り、常にこれを各事務所に備えて置かなければならない。
2 医療法人の債権者は、医療法人の執務時間内はいつでも、前項の書類の閲覽を求めることができる。
第五十三條 医療法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。
第五十四條 医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。
第五十五條 社団たる医療法人は、左の事由によつて解散する。
一 定款をもつて定めた解散事由の発生
二 目的たる業務の成功の不能
三 総会の決議
四 他の医療法人との合併
五 社員の欠亡
六 破産
七 設立認可の取消
2 財団たる医療法人は、左の事由によつて解散する。
一 寄附行為をもつて定めた解散事由の発生
二 前項第二号、第四号、第六号又は第七号に掲げる事由
3 第一項第二号又は第三号に掲げる事由による解散は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4 都道府県知事は、前項の認可をし、又は認可をしない処分をするに当つては、あらかじめ、医療機関整備審議会の意見をきかなければならない。
5 清算人は、第一項第一号若しくは第五号又は第二項第一号に掲げる事由によつて医療法人が解散した場合には、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
第五十六條 解散した医療法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除くほか、定款又は寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する
2 社団たる医療法人の財産で、前項の規定により処分されないものは、清算人が総社員の同意を経、且つ、都道府県知事の認可を受けて、これを処分する。
3 財団たる医療法人の財産で、第一項の規定により処分されないものは、理事が都道府県知事の認可を受けて他の医療事業を行う者にこれを帰属させる。
4 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
第五十七條 社団たる医療法人は、総社員の同意があるときは、他の社団たる医療法人と合併をすることができる。
2 財団たる医療法人は、寄附行為に合併することができる旨の定がある場合に限り、他の財団たる医療法人と合併をすることができる。
3 財団たる医療法人が合併をするには、理事の三分の二以上の同意がなければならない。但し、寄附行為に別段の定がある場合は、この限りでない。
4 合併は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
5 第五十五條第四項の規定は、前項の認可について準用する。
第五十八條 医療法人は、前條第四項に規定する都道府県知事の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
第五十九條 医療法人は、前條の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、且つ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。但し、その期間は、二月を下ることができない。
2 債権者が前項の期間内に合併に対して異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。
3 債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
第六十條 合併により医療法人を設立する場合においては、定款の作製又は寄附行為その他医療法人の設立に関する事務は、各医療法人において選任した者が共同して行わなければならない。
第六十一條 合併後存続する医療法人又は合併によつて設立した医療法人は、合併によつて消滅した医療法人の権利義務(当該医療法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
第六十二條 合併は、合併後存続する医療法人又は合併によつて設立した医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより登記をすることによつて、その効力を生ずる。
第六十三條 都道府県知事は、医療法人に、法令、法令に基いてする都道府県知事の処分又は定款若しくは寄附行為を遵守させるために必要があると認めるときは、医療法人から、その業務又は会計の状況に関し報告を徴することができる。
第六十四條 都道府県知事は、医療法人が定款又は寄附行為に定められた業務以外の業務を行つていると認めるときは、当該医療法人に対して、業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。第四十二條に掲げられた業務の継続が、当該医療法人の開設する病院又は第三十九條第一項に規定する診療所の運営に支障がある場合においては、その業務の全部又は一部について、また同様とする。
第六十五條 都道府県知事は、医療法人が、成立した後一年以内に正当の理由がないのに病院又は第三十九條第一項に規定する診療所を開設しないときは、設立の認可を取り消すことができる。
第六十六條 都道府県知事は、医療法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基く都道府県知事の命令に違反した場合においては、他の方法により監督の目的を達することができないときに限り、設立の認可を取り消すことができる。
第六十七條 第三十條第一項から第三項までの規定は、都道府県知事が、第四十四條第一項、第五十五條第三項若しくは第五十七條第四項の規定による認可をしない処分をする場合又は前三條の規定により業務の停止を命じ、若しくは設立の認可を取り消す場合に、これを準用する。
第六十八條 民法(明治二十九年法律第八十九條)第四十條から第四十四條まで、第五十條、第五十一條第一項(法人の設立のときに関する部分に限る。)及び第二項、第五十二條から第六十六條まで、第六十九條、第七十條、第七十三條から第七十六條まで、第七十七條第二項(届出に関する部分に限る。)、第七十八條から第八十三條まで、商法(明治三十二年法律第四十八号)第百二十五條及び第百三十一條並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五條第二項、第三十六條から第三十七條ノ二まで、第百三十六條から第百三十七條まで、第百三十八條及び第百三十八條ノ三の規定は、医療法人についてこれを準用する。この場合において、民法第四十條及び第五十六條中「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは「都道府県知事ハ、利害関係人ノ請求ニ因リ、又ハ職権ヲ以テ」と、同法第四十二條第一項中「法人設立ノ許可アリタル時」とあるのは「医療法人成立ノ時」と、同法第五十九條第三号、第七十七條第二項及び第八十三條中「主務官庁」とあるのは「都道府県知事」と、同法第七十四條中「破産ノ場合」とあるのは「合併及破産ノ場合」と読み替えるものとする。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。
2 この法律の施行の際現にその名称中に医療法人という文字を用いている者は、第四十條の規定にかかわらず、この法律の施行の後三月間は、なお従前の名称を用いることができる。
法務総裁 殖田俊吉
厚生大臣 林讓治
内閣総理大臣 吉田茂
医療法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十二号
医療法の一部を改正する法律
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項中「第三十九条又は第四十一条」を「第六十九条又は第七十一条」に改める。
第三十九条第一項第二号中「第四十条第一項」を「第七十条第一項」に改め、同条を第六十九条とする。
第四十条を第七十条とし、第四十一条を第七十一条とする。
第四十二条第一号中「第三十九条」を「第六十九条」に、「第四十条第三項又は第四十一条第一項」を「第七十条第三項又は第七十一条第一項」に改め、同条を第七十二条とする。
第四十三条を第七十三条とし、第四十四条を第七十四条とする。
第四十五条中「第四十二条」を「第七十二条」に改め、同条を第七十五条とし、第五章中同条の次に次の二条を加える。
第七十六条 左の各号の一に該当する場合においては、医療法人の理事、監事又は清算人は、これを一万円以下の過料に処する。但し、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律に基く政令の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。
二 第五十二条第一項の規定による書類の備付を怠り、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当の理由がないのに同条第二項の規定による閲覧を拒んだとき。
三 第五十四条の規定に違反して剰余金の配当をしたとき。
四 第五十八条又は第五十九条第一項若しくは第三項の規定に違反したとき。
五 第六十四条の規定による命令に違反して業務を行つたとき。
六 第六十八条において準用する民法第五十一条第一項の規定による財産目録の備付を怠り、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
七 第六十八条において準用する民法第七十条又は第八十一条第一項の規定による破産の宣告の請求を怠つたとき。
八 第六十八条において準用する民法第七十九条第一項又は第八十一条第一項の規定による公告を怠り、又は不実の公告をしたとき。
第七十七条 第四十条の規定に違反した者は、これを五千円以下の過料に処する。
第四十六条を第七十八条とし、第四十七条を第七十九条とする。
第四十八条中「第三十九条、第四十条第三項又は第四十一条」を「第六十九条、第七十条第三項又は第七十一条」に改め、同条を第八十条とし、第四十九条を第八十一条とする。
第五十条第二項中「旧規則第三十六条第一項第一号」を「旧規則第三十六条第一項第二号」に、「第四十条第一項第三号」を「第七十条第一項第三号」に改め、同条を第八十二条とし、以下五十三条まで順次三十二条ずつ繰り下げる。
第四章を第五章とし、第五章を第六章とし、第三章の次に次の一章を加える。
第四章 医療法人
第三十九条 病院又は医師若しくは歯科医師が常時三人以上勤務する診療所を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。
2 前項の規定による法人は、医療法人と称する。
第四十条 医療法人でない者は、その名称中に、医療法人という文字を用いてはならない。
第四十一条 医療法人は、その開設する病院若しくは診療所に必要な施設又はこれに要する資金を有しなければならない。
第四十二条 医療法人は、その開設する病院又は診療所の業務に支障のない限り、定款又は寄附行為の定めるところにより、左に掲げる業務の全部又は一部を行うことができる。
一 医療関係者の養成又は再教育
二 医学又は歯学に関する研究所の設置
三 第三十九条第一項に規定する診療所以外の診療所の開設
四 その他保健衛生に関する業務
第四十三条 医療法人は、政令の定めるところにより、その設立、従たる事務所の新設、事務所の移転、その他登記事項の変更、解散、合併、清算人の就任又はその変更及び清算の結了の各場合に、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することはできない。
3 登記所は、医療法人に関して登記をしたときは、その登記した事項を遅滞なく公告しなければならない。
第四十四条 医療法人は、都道府県知事の認可を受けなければ、これを設立することができない。
2 医療法人を設立しようとする者は、定款又は寄附行為をもつて、少くとも左に掲げる事項を定めなければならない。
一 目的
二 名称
三 その開設しようとする病院又は診療所の名称及び開設場所
四 事務所の所在地
五 資産及び会計に関する規定
六 役員に関する規定
七 社団たる医療法人にあつては、社員たる資格の得喪に関する規定
八 解散に関する規定
九 定款又は寄附行為の変更に関する規定
十 公告の方法
3 医療法人の設立当初の役員は、定款又は寄附行為をもつて定めなければならない。
4 この章に定めるものの外、医療法人の設立認可の申請に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
第四十五条 都道府県知事は、前条第一項の規定による認可の申請があつた場合には、当該申請にかかる医療法人の資産が第四十一条の要件に該当しているかどうか及びその定款又は寄附行為の内容が法令の規定に違反していないかどうかを審査した上で、その認可を決定しなければならない。
2 都道府県知事は、前条第一項の規定による認可をし、又は認可をしない処分をするに当つては、あらかじめ、医療機関整備審議会の意見をきかなければならない。
第四十六条 医療法人は、その主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより設立の登記をすることによつて、成立する。
第四十七条 医療法人は、理事数人を有する場合には、その開設する病院又は診療所の管理者を理事に加えなければならない。但し、医療法人が病院又は診療所を二以上開設する場合には、定款又は寄附行為の定めるところにより、管理者のうち、一人又は数人を理事に加えるをもつて足りる。
2 前項の理事は、管理者の職を退いたときは、理事の職を失うものとする。
第四十八条 医療法人に監事を置いた場合には、監事は、理事又は医療法人の職員(当該医療法人の開設する病院又は診療所の管理者その他の職員を含む。)を兼ねてはならない。
第四十九条 理事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内にこれを補充しなければならない。
第五十条 定款又は寄附行為の変更は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 都道府県知事は、前項の規定による認可の申請があつた場合には、第四十五条に規定する事項及び定款又は寄附行為の変更の手続が法令又は定款若しくは寄附行為に違反していないかどうかを審査した上で、その認可を決定しなければならない。
第五十一条 医療法人は、毎会計年度の終了後二月以内に、決算を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定により届け出るべき事項の細目及び届出の手続は、厚生省令で定める。
第五十二条 医療法人は、毎会計年度終了後二月以内に、財産目録、貸借対照表及び収支計算書を作り、常にこれを各事務所に備えて置かなければならない。
2 医療法人の債権者は、医療法人の執務時間内はいつでも、前項の書類の閲覧を求めることができる。
第五十三条 医療法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。
第五十四条 医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。
第五十五条 社団たる医療法人は、左の事由によつて解散する。
一 定款をもつて定めた解散事由の発生
二 目的たる業務の成功の不能
三 総会の決議
四 他の医療法人との合併
五 社員の欠亡
六 破産
七 設立認可の取消
2 財団たる医療法人は、左の事由によつて解散する。
一 寄附行為をもつて定めた解散事由の発生
二 前項第二号、第四号、第六号又は第七号に掲げる事由
3 第一項第二号又は第三号に掲げる事由による解散は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4 都道府県知事は、前項の認可をし、又は認可をしない処分をするに当つては、あらかじめ、医療機関整備審議会の意見をきかなければならない。
5 清算人は、第一項第一号若しくは第五号又は第二項第一号に掲げる事由によつて医療法人が解散した場合には、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
第五十六条 解散した医療法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除くほか、定款又は寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する
2 社団たる医療法人の財産で、前項の規定により処分されないものは、清算人が総社員の同意を経、且つ、都道府県知事の認可を受けて、これを処分する。
3 財団たる医療法人の財産で、第一項の規定により処分されないものは、理事が都道府県知事の認可を受けて他の医療事業を行う者にこれを帰属させる。
4 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
第五十七条 社団たる医療法人は、総社員の同意があるときは、他の社団たる医療法人と合併をすることができる。
2 財団たる医療法人は、寄附行為に合併することができる旨の定がある場合に限り、他の財団たる医療法人と合併をすることができる。
3 財団たる医療法人が合併をするには、理事の三分の二以上の同意がなければならない。但し、寄附行為に別段の定がある場合は、この限りでない。
4 合併は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
5 第五十五条第四項の規定は、前項の認可について準用する。
第五十八条 医療法人は、前条第四項に規定する都道府県知事の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
第五十九条 医療法人は、前条の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、且つ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。但し、その期間は、二月を下ることができない。
2 債権者が前項の期間内に合併に対して異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。
3 債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
第六十条 合併により医療法人を設立する場合においては、定款の作製又は寄附行為その他医療法人の設立に関する事務は、各医療法人において選任した者が共同して行わなければならない。
第六十一条 合併後存続する医療法人又は合併によつて設立した医療法人は、合併によつて消滅した医療法人の権利義務(当該医療法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
第六十二条 合併は、合併後存続する医療法人又は合併によつて設立した医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより登記をすることによつて、その効力を生ずる。
第六十三条 都道府県知事は、医療法人に、法令、法令に基いてする都道府県知事の処分又は定款若しくは寄附行為を遵守させるために必要があると認めるときは、医療法人から、その業務又は会計の状況に関し報告を徴することができる。
第六十四条 都道府県知事は、医療法人が定款又は寄附行為に定められた業務以外の業務を行つていると認めるときは、当該医療法人に対して、業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。第四十二条に掲げられた業務の継続が、当該医療法人の開設する病院又は第三十九条第一項に規定する診療所の運営に支障がある場合においては、その業務の全部又は一部について、また同様とする。
第六十五条 都道府県知事は、医療法人が、成立した後一年以内に正当の理由がないのに病院又は第三十九条第一項に規定する診療所を開設しないときは、設立の認可を取り消すことができる。
第六十六条 都道府県知事は、医療法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基く都道府県知事の命令に違反した場合においては、他の方法により監督の目的を達することができないときに限り、設立の認可を取り消すことができる。
第六十七条 第三十条第一項から第三項までの規定は、都道府県知事が、第四十四条第一項、第五十五条第三項若しくは第五十七条第四項の規定による認可をしない処分をする場合又は前三条の規定により業務の停止を命じ、若しくは設立の認可を取り消す場合に、これを準用する。
第六十八条 民法(明治二十九年法律第八十九条)第四十条から第四十四条まで、第五十条、第五十一条第一項(法人の設立のときに関する部分に限る。)及び第二項、第五十二条から第六十六条まで、第六十九条、第七十条、第七十三条から第七十六条まで、第七十七条第二項(届出に関する部分に限る。)、第七十八条から第八十三条まで、商法(明治三十二年法律第四十八号)第百二十五条及び第百三十一条並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条から第三十七条ノ二まで、第百三十六条から第百三十七条まで、第百三十八条及び第百三十八条ノ三の規定は、医療法人についてこれを準用する。この場合において、民法第四十条及び第五十六条中「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは「都道府県知事ハ、利害関係人ノ請求ニ因リ、又ハ職権ヲ以テ」と、同法第四十二条第一項中「法人設立ノ許可アリタル時」とあるのは「医療法人成立ノ時」と、同法第五十九条第三号、第七十七条第二項及び第八十三条中「主務官庁」とあるのは「都道府県知事」と、同法第七十四条中「破産ノ場合」とあるのは「合併及破産ノ場合」と読み替えるものとする。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。
2 この法律の施行の際現にその名称中に医療法人という文字を用いている者は、第四十条の規定にかかわらず、この法律の施行の後三月間は、なお従前の名称を用いることができる。
法務総裁 殖田俊吉
厚生大臣 林譲治
内閣総理大臣 吉田茂