(他人の土地の立入又は一時使用)
第三十二条 公共下水道管理者若しくは都市下水路管理者又はその命じた者若しくは委任を受けた者は、公共下水道又は都市下水路に関する調査、測量若しくは工事又は公共下水道若しくは都市下水路の維持のためやむを得ない必要があるときは、他人の土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。
2 前項の規定により他人の土地に立ち入ろうとするときは、あらかじめ当該土地の占有者にその旨を通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
3 第一項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとするときは、立入の際あらかじめその旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前又は日没後においては、占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5 第一項の規定により他人の土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
6 第一項の規定により特別の用途のない他人の土地を材料置場又は作業場として一時使用しようとするときは、あらかじめ、当該土地の占有者及び所有者に通知して、その者の意見をきかなければならない。
7 土地の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。
8 公共下水道管理者又は都市下水路管理者は、第一項の規定による立入又は一時使用によつて損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
9 前項の規定による損失の補償については、公共下水道管理者又は都市下水路管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
10 前項の協議が成立しないときは、公共下水道管理者又は都市下水路管理者は、自己の見積つた金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金額の支払を受けた日から三十日以内に収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条の規定による裁決を申請することができる。
(許可又は承認の条件)
第三十三条 この法律の規定による許可又は承認には、条件を附することができる。
2 前項の条件は、許可又は承認に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可又は承認を受けた者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
(公共下水道及び都市下水路に関する費用の補助)
第三十四条 国は、公共下水道又は都市下水路の設置若しくは改築又は災害の復旧を行う地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その設置若しくは改築又は災害の復旧に要する費用の一部を補助することができる。
(公共下水道に関する資金の融通)
第三十五条 国は、公共下水道の設置又は改築を行う地方公共団体に対し、これに必要な資金の融通に努めるものとする。
(国有地の無償貸付等)
第三十六条 普通財産である国有地は、公共下水道又は都市下水路の用に供する場合においては、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十二条又は第二十八条の規定にかかわらず、当該公共下水道管理者又は都市下水路管理者である地方公共団体に無償で貸し付け、又は譲与することができる。
(主務大臣の工事に関する監督等)
第三十七条 主務大臣は、公共下水道管理者のする工事が次の各号の一に該当する場合においては、当該公共下水道管理者に対し、その工事の中止、変更その他の必要な措置を命ずることができる。
一 第四条の認可を受けないで公共下水道に関する工事を施行する場合
二 第四条の認可を受けた事業計画に違反して公共下水道に関する工事を施行する場合
2 主務大臣は、公共下水道又は都市下水路の構造が第七条又は第二十八条第二項の技術上の基準に適合していない場合においては、当該公共下水道管理者又は都市下水路管理者に対し、期間を定めて、当該公共下水道又は都市下水路を改善すべき旨を命ずることができる。
(公共下水道管理者又は都市下水路管理者の監督処分等)
第三十八条 公共下水道管理者又は都市下水路管理者は、次の各号の一に該当する者に対し、この法律の規定によつてした許可若しくは承認を取り消し、若しくはその条件を変更し、又は行為若しくは工事の中止、変更その他の必要な措置を命ずることができる。
一 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反している者
二 この法律の規定による許可又は承認に附した条件に違反している者
三 偽りその他不正な手段により、この法律の規定による許可又は承認を受けた者
2 公共下水道管理者又は都市下水路管理者は、次の各号の一に該当する場合においては、この法律の規定による許可又は承認を受けた者に対し、前項に規定する処分をし、又は同項に規定する必要な措置を命ずることができる。
一 公共下水道又は都市下水路に関する工事のためやむを得ない必要が生じた場合
二 公共下水道又は都市下水路の保全上又は一般の利用上著しい支障が生じた場合
三 前二号に掲げる場合のほか、公共下水道又は都市下水路の管理上の理由以外の理由に基く公益上やむを得ない必要が生じた場合
3 公共下水道管理者又は都市下水路管理者は、前二項の規定により、処分をし、又は必要な措置を命じようとするときは、あらかじめ当該処分をされ、又は当該措置を命ぜられるべき者について聴聞を行わなければならない。ただし、その者が聴聞に応じないとき、又は緊急やむを得ないときは、この限りでない。
4 第一項又は第二項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないときは、公共下水道管理者又は都市下水路管理者は、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、公共下水道管理者若しくは都市下水路管理者又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公示しなければならない。
5 公共下水道管理者又は都市下水路管理者は、第二項の規定による処分又は命令により損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
6 第三十二条第九項及び第十項の規定は、前項の補償について準用する。
7 公共下水道管理者又は都市下水路管理者は、第五項の規定による補償の原因となつた損失が第二項第三号の規定による処分又は命令によるものであるときは、当該補償金額を当該理由を生じさせた者に負担させることができる。
(報告の徴収)
第三十九条 主務大臣は、この法律を施行するため必要な限度において、公共下水道管理者又は都市下水路管理者から必要な報告を徴することができる。
(権限の委任)
第四十条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
(国等の特例)
第四十一条 国又は地方公共団体が第二十四条第一項又は第二十九条第一項に規定する行為をしようとするときは、これらの規定にかかわらず、公共下水道管理者又は都市下水路管理者とあらかじめ協議することをもつて足りる。
(特別区に関する読替)
第四十二条 特別区の存する区域においては、この法律中「市町村」とあるのは、「都」と読み替えるものとする。
(異議の申立)
第四十三条 この法律の規定により公共下水道管理者又は都市下水路管理者がした処分について不服のある者は、当該処分のあつた日から三十日以内に、当該処分をした公共下水道管理者又は都市下水路管理者である地方公共団体の長に異議の申立をすることができる。
2 前項の異議の申立があつたときは、公共下水道管理者又は都市下水路管理者である地方公共団体の長は、申立を受理した日から三十日以内に、文書をもつて決定しなければならない。
3 訴願法(明治二十三年法律第百五号)第十二条の規定は、第一項の異議の申立について準用する。
(主務大臣)
第四十四条 この法律において主務大臣は、建設大臣(終末処理場に関する事項については、厚生大臣)とする。
2 この法律において主務省令は、厚生省令、建設省令とする。