(任命権者)
第六條 地方公共団体の長、議会の議長、選挙管理委員会、監査委員、公安委員会(特別区公安委員会を含む。)、教育委員会、人事委員会及び公平委員会並びに市町村の警察長及び消防長(特別区が連合して維持する警察の警察長及び特別区が連合して維持する消防の消防長を含む。)その他法令又は條例に基く任命権者は、法律に特別の定がある場合を除く外、この法律並びにこれに基く條例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、それぞれ職員の任命、休職、免職及び懲戒等を行う権限を有するものとする。
2 前項の任命権者は、同項に規定する権限の一部をその補助機関たる上級の地方公務員に委任することができる。
(人事委員会又は公平委員会の設置)
第七條 都道府県、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五條第二項の市及び特別市は、條例で人事委員会を置くものとする。
2 地方自治法第百五十五條第二項の市以外の市は、條例で人事委員会を置き、又は議会の議決を経て定める規約により地方自治法第百五十五條第二項の市以外の他の市と共同して人事委員会を置くことができる。
3 第一項又は前項の規定により人事委員会を置く地方公共団体(以下「人事委員会を置く地方公共団体」と総称する。)以外の地方公共団体(以下「人事委員会を置かない地方公共団体」という。)は、條例で公平委員会を置くものとする。但し、人事委員会を置かない地方公共団体は、議会の議決を経て定める規約により共同して公平委員会を置くことを妨げない。
(人事委員会又は公平委員会の権限)
第八條 人事委員会は、左に掲げる事務を処理する。
一 人事行政に関する事項について調査し、人事記録に関することを管理し、及びその他人事に関する統計報告を作成すること。
二 給與、勤務時間その他の勤務條件、厚生福利制度、公務災害補償その他職員に関する制度について絶えず研究を行い、その成果を地方公共団体の議会若しくは長又は任命権者に提出すること。
三 人事機関及び職員に関する條例の制定又は改廃に関し、地方公共団体の議会及び長に意見を申し出ること。
四 人事行政の運営に関し、任命権者に勧告すること。
五 職員の競争試験及び選考並びにこれらに関する事務を行うこと。
六 職階制に関する計画を立案し、及び実施すること。
七 職員の給與がこの法律及びこれに基く條例に適合して行われることを確保するため必要な範囲において、職員に対する給與の支拂を監理すること。
八 職員の研修及び勤務成績の評定に関する総合的企画を行うこと。
九 職員の給與、勤務時間その他の勤務條件に関する措置の要求を審査し、判定し、及び必要な措置を執ること。
十 職員に対する不利益な処分を審査し、及び必要な措置を執ること。
十一 前各号に掲げるものを除く外、法律又は條例に基きその権限に属せしめられた事務。
2 公平委員会は、左に掲げる事務を処理する。
一 職員の給與、勤務時間その他の勤務條件に関する措置の要求を審査し、判定し、及び必要な措置を執ること。
二 職員に対する不利益な処分を審査し、及び必要な措置を執ること。
3 人事委員会は、第一項第九号及び第十号並びに第四項に掲げるものを除き、この法律に基くその権限で人事委員会規則で定めるものを当該地方公共団体の他の機関又は人事委員会の事務局長に委任することができる。
4 人事委員会又は公平委員会は、法律又は條例に基きその権限に属せしめられた事項に関し、人事委員会規則又は公平委員会規則を制定することができる。
5 人事委員会又は公平委員会は、法律又は條例に基くその権限の行使に関し必要があるときは、証人を喚問し、又は書類若しくはその写の提出を求めることができる。
6 人事委員会又は公平委員会は、人事行政に関する技術的及び專門的な知識、資料その他の便宜の授受のため、国又は他の地方公共団体の機関との間に協定を結ぶことができる。
7 第一項第九号及び第十号又は第二項各号の規定により人事委員会又は公平委員会に属せしめられた権限に基く人事委員会又は公平委員会の決定(判定を含む。)及び処分は、人事委員会規則又は公平委員会規則で定める手続により、人事委員会又は公平委員会によつてのみ審査される。
8 前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。
(人事委員会又は公平委員会の委員)
第九條 人事委員会又は公平委員会は、三人の委員をもつて組織する。
2 委員は、人格が高潔で、地方自治の本旨及び民主的で能率的な事務の処理に理解があり、且つ、人事行政に関し識見を有する者のうちから、議会の同意を得て、地方公共団体の長が選任する。
3 第十六條各号(第四号を除く。)の一に該当する者又は第五章に規定する罪を犯し刑に処せられた者は、委員となることができない。
4 委員の選任については、そのうちの二人が、同一の政党に属する者となることとなつてはならない。
5 委員のうち二人以上が同一の政党に属することとなつた場合においては、これらの者のうち一人を除く他の者は、地方公共団体の長が議会の同意を得て罷免するものとする。但し、政党所属関係について異動のなかつた者を罷免することはできない。
6 地方公共団体の長は、委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、議会の同意を得て、これを罷免することができる。この場合においては、議会の常任委員会又は特別委員会において公聽会を開かなければならない。
7 委員は、前二項の規定による場合を除く外、その意に反して罷免されることがない。
8 委員は、第十六條各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、その職を失う。
9 委員は、他の地方公務員の職を兼ねることができない。
10 第三章第六節の規定は、委員の服務に準用する。
11 委員の任期は、四年とする。但し、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
12 人事委員会の委員は、常勤又は非常勤とし、公平委員会の委員は、非常勤とする。
13 地方自治法第二百四條から第二百六條までの規定は、常勤の人事委員会の委員に、同法第二百三條及び第二百六條の規定は、非常勤の人事委員会の委員及び公平委員会の委員に準用する。
(人事委員会又は公平委員会の委員長)
第十條 人事委員会又は公平委員会は、委員のうちから委員長を選挙しなければならない。
2 委員長は、委員会に関する事務を処理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、委員長の指定する委員が、その職務を代理する。
(人事委員会又は公平委員会の議事)
第十一條 人事委員会又は公平委員会は、委員全員が出席しなければ会議を開くことができない。
2 人事委員会又は公平委員会の議事は、出席委員の過半数で決する。
3 人事委員会又は公平委員会の議事は、議事録として記録して置かなければならない。
4 前三項に定めるものを除く外、人事委員会又は公平委員会の議事に関し必要な事項は、人事委員会又は公平委員会が定める。
(人事委員会の事務局及び事務職員並びに公平委員会の事務職員)
第十二條 人事委員会に事務局を置き、事務局に事務局長その他の事務職員を置く。
2 人事委員会は、第九條第九項の規定にかかわらず、委員長に事務局長の職を兼ねさせることができる。
3 事務局長は、人事委員会の指揮監督を受け、事務局の局務を掌理する。
5 第一項又は前項の事務職員は、人事委員会又は公平委員会がそれぞれ任免する。
7 第一項及び第四項の事務職員の定数は、條例で定める。
8 地方自治法第二百四條から第二百六條までの規定は、第一項及び第四項の事務職員に準用する。