船員法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百三十号
公布年月日: 昭和37年5月12日
法令の形式: 法律
船員法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年五月十二日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百三十号
船員法の一部を改正する法律
船員法(昭和二十二年法律第百号)の一部を次のように改正する。
船員法目次中「雇入契約」を「雇入契約等」に改め、「食料」の下に「並びに安全」を加える。
本則中「属員」を「部員」に改める。
第一条第一項及び第二条第二項中「予備員」を「予備船員」に改める。
第一条第二項第三号中「漁船」の下に「(政令の定める総トン数二十トン以上の漁船及び政令の定めるまき網漁業に従事する漁船の附属漁船を除く。)」を加える。
第八条中「船長は」の下に「、命令の定めるところにより」を加える。
第十四条の見出しを「(遭難船舶等の救助)」に改め、同条本文中「船舶」の下に「又は航空機」を加え、同条の次に次の三条を加える。
(異常気象等)
第十四条の二 命令の定める船舶の船長は、暴風雨、流氷その他の異常な気象、海象若しくは地象又は漂流物若しくは沈没物であつて、船舶の航行に危険を及ぼすおそれのあるものに遭遇したときは、命令の定めるところにより、その旨を附近にある船舶及び海上保安機関その他の関係機関に通報しなければならない。
(非常配置表及び操練)
第十四条の三 命令の定める船舶の船長は、第十二条乃至第十四条に規定する場合その他非常の場合における海員の作業に関し、命令の定めるところにより、非常配置表を定め、これを船員室その他適当な場所に掲示して置かなければならない。
命令の定める船舶の船長は、命令の定めるところにより、海員及び旅客について、防火操練、端艇操練その他非常の場合のために必要な操練を実施しなければならない。
(航海の安全の確保)
第十四条の四 第八条乃至前条に規定するものの外、船舶の火災の予防、水密の保持その他航海の安全に関し船長の遵守すべき事項は、命令でこれを定める。
「第四章 雇入契約」を「第四章 雇入契約等」に改める。
第三十一条前段中「雇入契約」の下に「(予備船員については、雇用契約。以下第三十四条まで、第五十八条、第八十四条及び第百条において同じ。)」を加える。
第三十二条中「締結に際し」の下に「、命令の定めるところにより」を加える。
第三十四条の見出しを「(貯蓄金の管理等)」に改め、同条第二項を次のように改める。
船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金を管理しようとする場合においては、命令の定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。
第三十四条に次の二項を加える。
船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金の管理をする場合において、貯蓄金の管理が預金の受入れであるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利率が金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して命令の定める利率を下るときは、その命令の定める利率による利子をつけることとしたものとみなす。
船員は、船舶所有者に管理を委託した貯蓄金については、いつでも、返還を請求することができる。
第三十九条第三項後段を削り、同条に次の二項を加える。
前項の規定により応急救助の作業に従事する場合には、第一項の規定にかかわらず、その作業が終了するまでは、雇入契約は、なお存続する。船員がその作業の終了後引き続き遺留品の保全、船員の送還その他必要な残務の処理に従事する場合において、その処理が終了するまでの間についても、同様とする。
前項後段の規定により雇入契約が存続する間においては、船舶所有者又は船員は、いつでも、当該雇入契約を解除することができる。
第四十四条の次に次の二条を加える。
(解雇制限)
第四十四条の二 船舶所有者は、船員が職務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため作業に従事しない期間及びその後三十日間並びに産前産後の女子が第八十六条の規定によつて作業に従事しない期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。但し、療養のため作業に従事しない期間が三年を超えた場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
前項但書の天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
(解雇の予告)
第四十四条の三 船舶所有者は、予備船員を解雇しようとする場合においては、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない船舶所有者は、一箇月分の給料の額と同額の予告手当を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は予備船員の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。
前項の予告の日数は、一日について、命令の定めるところにより算定する給料の額と同額の予告手当を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
第一項但書の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
第四十五条中「二箇月」を「その翌日(行方不明となつた船員については、その生存が知れた日)から二箇月(その行方不明について行方不明手当の支払を受くべき船員については、二箇月から行方不明中の期間を控除した期間)」に改める。
第四十六条第五号中「第八十一条」を「第八十三条」に改める。
第四十七条本文中「雇入港又は船員の希望する地」を「、船員の希望により、雇入港又は雇入港までの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地(雇入のため雇入港に招致した船員及び未成年者又は女子の船員にあつては、雇入港若しくは雇入契約の成立の時における船員の居住地又はこれらのいずれかまでの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地)」に改め、同条第八号中「第八十一条」を「第八十三条」に改める。
第五十八条第一項中「船舶所有者の定める一定額」を「雇入契約に定める一定額」に改め、同条第三項中「支払われるときは」の下に「、第四十四条の三」を加え、「船舶所有者の別に定める額」を「雇入契約に定める額」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(報酬支払簿)
第五十八条の二 船舶所有者は、命令の定めるところにより、報酬支払簿を備え置いて、船員に対する給料その他の報酬の支払に関する事項を記載しなければならない。
第六十条第一項中「左の者」を「総トン数七百トン以上の船舶に乗り組む甲板部、機関部及び無線部の職員並びに甲板部及び機関部の部員」に改め、同項各号を削る。
第六十七条第一項及び第二項中「八時間」を「所定時間」に改め、同条第一項に後段として次のように加える。
第七十二条の二の規定により発する命令の規定による労働時間及び休息時間についても、同様とする。
第六十八条中「前条の規定」の下に「並びに第七十二条の二の規定により発する命令の規定」を加える。
第六十九条第一項中「第六十六条の規定」の下に「又は第七十二条の二の規定により発する命令の規定」を加える。
第七十条第一項を次のように改める。
総トン数七百トン以上の船舶に乗り組む甲板部の部員で航海当直をすべき職務を有する者の定員は、六人以上としなければならない。
第七十一条第一号中「千トン」を「七百トン」に改める。
第七十二条の次に次の一条を加える。
第七十二条の二 定期的に短距離の航路に就航するため入出港が頻繁である船舶その他の第六十条及び第六十二条乃至第六十六条の規定によることが著しく不適当であると認められる主務大臣の指定する船舶に関しては、船員の労働時間又は休息時間について、命令で別段の定めをすることができる。但し、労働時間は、一日平均八時間以内でなければならない。
第七十四条第一項ただし書を次のように改める。
但し、船舶が航海の途中にあるとき、又は船舶の工事のため特に必要がある場合において行政官庁の許可を受けたときは、当該航海又は工事に必要な期間(工事の場合にあつては、三箇月以内に限る。)、有給休暇を与えることを延期することができる。
第七十五条第一項に次のただし書を加える。
但し、前条第一項但書の規定により有給休暇の付与を延期したときは、その延期した期間一箇月を増すごとに二日を加える。
第七十五条第二項中「二日」の下に「(前項但書に規定する期間については、一箇月を増すごとに一日)」を加える。
第八章の章名中「食料」の下に「並びに安全」を加える。
第八十二条及び第八十三条を削り、第八章中第八十一条を第八十三条とし、第八十条の次に次の三条を加える。
(安全及び衛生)
第八十一条 船舶所有者は、作業用具の整備、医薬品の備付け、安全及び衛生に関する教育その他の船内作業による危害の防止及び船内衛生の保持に関し命令の定める事項を遵守しなければならない。
船舶所有者は、命令の定める危険な船内作業については、命令の定める経験又は技能を有しない船員を従事させてはならない。
船舶所有者は、伝染病、精神病又は命令の定める労働のために病勢の増悪するおそれのある疾病にかかつた船員を作業に従事させてはならない。
船員は、船内作業による危害の防止及び船内衛生の保持に関し命令の定める事項を遵守しなければならない。
(医師)
第八十二条 船舶所有者は、左の船舶には、医師を乗り組ませなければならない。但し、国内各港間を航海するとき、命令の定める区域のみを航海するとき、又は命令の定める短期間の航海を行なう場合若しくはやむを得ない事由がある場合において行政官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
一 遠洋区域又は近海区域を航行区域とする総トン数三千トン以上の船舶で最大とう載人員百人以上のもの
二 前号に掲げる船舶以外の遠洋区域を航行区域とする命令の定める船舶で主務大臣の指定する航路に就航するもの
三 命令の定める母船式漁業に従事する漁船
(衛生管理者)
第八十二条の二 船舶所有者は、左の船舶(前条各号に掲げるものを除く。)については、乗組員の中から衛生管理者を選任しなければならない。但し、国内各港間を航海する場合又は命令の定める区域のみを航海する場合は、この限りでない。
一 遠洋区域又は近海区域を航行区域とする総トン数三千トン以上の船舶
二 命令の定める漁船
衛生管理者は、衛生管理者適任証書を受有する者でなければならない。但し、やむを得ない事由がある場合において、行政官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
主務大臣は、左に掲げる者に衛生管理者適任証書を交付する。
一 命令の定めるところにより主務大臣の行なう試験に合格した者
二 命令の定めるところにより主務大臣が前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者
衛生管理者は、命令の定めるところにより、船内の衛生管理に必要な業務に従事しなければならない。その業務については、衛生管理者は、必要に応じ、医師の指導を受けるように努めなければならない。
前各項に定めるものの外、衛生管理者及び衛生管理者適任証書に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第八十五条の見出しを「(就業制限)」に改め、同条第二項を次のように改める。
船舶所有者は、年齢十八年未満の船員及び女子の船員を第八十一条第二項の命令の定める危険な船内作業又は命令の定めるこれらの船員の安全及び衛生上有害な作業に従事させてはならない。
第九十二条の次に次の一条を加える。
(行方不明手当)
第九十二条の二 船舶所有者は、船員が職務上行方不明となつたときは、三箇月の範囲内において、行方不明期間中毎月一回、命令の定める被扶養者に標準報酬の月額に相当する額の行方不明手当を支払わなければならない。但し、行方不明の期間が一箇月に満たない場合は、この限りでない。
第九十六条第一項中「疾病」の下に「、行方不明」を加える。
第九十七条第二項第二号中「食料」の下に「並びに安全」を加える。
第百七条に次の一項を加える。
船員労務官の服制は、命令でこれを定める。
第百十三条中「及び就業規則」を「、就業規則及び船員の貯蓄金の管理に関する協定」に改め、「船内」の下に「及びその他の事業場内」を加える。
第百十四条第一項中「又は傷病手当」を「、傷病手当又は行方不明手当」に改める。
第百十五条前段中「送還の費用」の下に「、送還手当」を加え、同条後段中「及び傷病手当」を「及び前条に規定する手当」に、「傷病手当の額」を「これらの手当の額」に改める。
第百十六条第一項中「第四十五条」を「第四十四条の三」に改める。
第百十七条中「遺族手当」を「行方不明手当、遺族手当」に改める。
第百十八条を次のように改める。
(救命艇手)
第百十八条 船舶所有者は、命令の定める船舶については、乗組員の中から命令の定める員数の救命艇手を選任しなければならない。
救命艇手は、救命艇手適任証書を受有する者でなければならない。
行政官庁は、左に掲げる者に救命艇手適任証書を交付する。
一 命令の定めるところにより行政官庁の行なう試験に合格した者
二 命令の定めるところにより行政官庁が前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者
前項に規定するものの外、救命艇手及び救命艇手適任証書に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第百十九条の次に次の一条を加える。
(政令への委任)
第百十九条の二 第一条第二項第三号の規定に基づき、政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(年金制度、健康保険制度、失業保険制度その他の社会保障制度及びこれらに関する政府の特別会計、労働関係調整制度その他の労働関係制度並びに罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第十三章中第百二十一条の次に次の一条を加える。
(手数料の納付)
第百二十一条の二 雇入契約の公認、船員手帳の交付、訂正若しくは書換え若しくは衛生管理者適任証書若しくは救命艇手適任証書の再交付の申請をし、又は衛生管理者若しくは救命艇手の試験を受け、若しくはこれらの資格の認定を申請しようとする者は、五百円をこえない範囲内において政令の定める額の手数料を納めなければならない。
第百二十六条第一号中「第十一条」の下に「、第十四条の三第一項」を加え、「第十七条第一項」を「第十七条」に改める。
第百二十八条第二号中「船舶」の下に「、航空機」を加え、同条の次に次の一条を加える。
第百二十八条の二 船員が第八十一条第四項の規定に違反したときは、三千円以下の罰金に処する。
第百三十条中「第三十五条」の下に「、第四十四条の二第一項第二項、第四十四条の三第一項第三項」を加え、「第八十二条、第八十三条」を「第八十一条第一項乃至第三項、第八十二条」に改める。
第百三十一条第一号中「第八十一条第一項第二項」を「第五十八条の二、第八十二条の二第一項、第八十三条第一項第二項」に、「又は第百十三条」を「、第百十三条又は第百十八条第一項」に改め、同条第二号を次のように改める。
二 第三十四条第四項の規定による船員の請求にかかわらず、貯蓄金を返還しなかつたとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十七年十月一日から施行する。
(貯蓄金の管理に関する経過規定)
第二条 この法律の施行の際現に改正前の第三十四条第二項の認可を受けて貯蓄金の管理をしている船舶所有者についての当該認可に係る事項は、改正後の同項の規定による届け出をした協定とみなす。
(雇入契約の終了に関する経過規定)
第三条 改正後の第三十九条第四項後段の規定は、この法律の施行後に同条第一項各号に掲げる事由が生じた船舶の船員について適用し、この法律の施行前にその事由が生じた船舶の船員については、なお従前の例による。
(送還に関する経過規定)
第四条 改正後の第四十七条の規定は、この法律の施行後に生じた事由による船員の送還について適用し、この法律の施行前に生じた事由による船員の送還については、なお従前の例による。
(医師に関する経過規定)
第五条 第八十二条の規定の改正により新たに医師を乗り組ますべきこととなつた船舶であつて、この法律の施行の際現に航海中であるものについては、改正後の同条の規定にかかわらず、当該航海が終了するまでは、医師を乗り組ませることを要しない。
(衛生管理者に関する経過規定)
第六条 昭和三十九年三月三十一日までは、第八十二条の二第二項の規定にかかわらず、衛生管理者適任証書を受有する者以外の者を衛生管理者に選任することができる。
(行方不明手当に関する経過規定)
第七条 第九十二条の二の規定は、この法律の施行後に行方不明となつた船員について適用する。
(救命艇手に関する経過規定)
第八条 この法律の施行の際現に効力を有する船舶安全法(昭和八年法律第十一号)の規定に基づく命令の規定による救命艇手適任証書は、改正後の第百十八条第三項の規定により行政官庁が交付したものとみなす。
(罰則に関する経過規定)
第九条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりこの法律の施行後もなおその例によることとされている規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(船員職業安定法の一部改正)
第十条 船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
船員職業安定法目次及び本則中「属員職業補導」を「部員職業補導」に改める。
第六条第四項中「属員」を「部員」に改める。
(地方公務員法の一部改正)
第十一条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四十五条第一項中「又は公務」を「若しくは公務」に、「廃疾となつた場合」を「廃疾となり、又は船員である職員が公務に因り行方不明となつた場合」に改める。
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 水田三喜男
厚生大臣 灘尾弘吉
運輸大臣 齋藤昇
労働大臣 福永健司
自治大臣 安井謙
船員法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年五月十二日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百三十号
船員法の一部を改正する法律
船員法(昭和二十二年法律第百号)の一部を次のように改正する。
船員法目次中「雇入契約」を「雇入契約等」に改め、「食料」の下に「並びに安全」を加える。
本則中「属員」を「部員」に改める。
第一条第一項及び第二条第二項中「予備員」を「予備船員」に改める。
第一条第二項第三号中「漁船」の下に「(政令の定める総トン数二十トン以上の漁船及び政令の定めるまき網漁業に従事する漁船の附属漁船を除く。)」を加える。
第八条中「船長は」の下に「、命令の定めるところにより」を加える。
第十四条の見出しを「(遭難船舶等の救助)」に改め、同条本文中「船舶」の下に「又は航空機」を加え、同条の次に次の三条を加える。
(異常気象等)
第十四条の二 命令の定める船舶の船長は、暴風雨、流氷その他の異常な気象、海象若しくは地象又は漂流物若しくは沈没物であつて、船舶の航行に危険を及ぼすおそれのあるものに遭遇したときは、命令の定めるところにより、その旨を附近にある船舶及び海上保安機関その他の関係機関に通報しなければならない。
(非常配置表及び操練)
第十四条の三 命令の定める船舶の船長は、第十二条乃至第十四条に規定する場合その他非常の場合における海員の作業に関し、命令の定めるところにより、非常配置表を定め、これを船員室その他適当な場所に掲示して置かなければならない。
命令の定める船舶の船長は、命令の定めるところにより、海員及び旅客について、防火操練、端艇操練その他非常の場合のために必要な操練を実施しなければならない。
(航海の安全の確保)
第十四条の四 第八条乃至前条に規定するものの外、船舶の火災の予防、水密の保持その他航海の安全に関し船長の遵守すべき事項は、命令でこれを定める。
「第四章 雇入契約」を「第四章 雇入契約等」に改める。
第三十一条前段中「雇入契約」の下に「(予備船員については、雇用契約。以下第三十四条まで、第五十八条、第八十四条及び第百条において同じ。)」を加える。
第三十二条中「締結に際し」の下に「、命令の定めるところにより」を加える。
第三十四条の見出しを「(貯蓄金の管理等)」に改め、同条第二項を次のように改める。
船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金を管理しようとする場合においては、命令の定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。
第三十四条に次の二項を加える。
船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金の管理をする場合において、貯蓄金の管理が預金の受入れであるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利率が金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して命令の定める利率を下るときは、その命令の定める利率による利子をつけることとしたものとみなす。
船員は、船舶所有者に管理を委託した貯蓄金については、いつでも、返還を請求することができる。
第三十九条第三項後段を削り、同条に次の二項を加える。
前項の規定により応急救助の作業に従事する場合には、第一項の規定にかかわらず、その作業が終了するまでは、雇入契約は、なお存続する。船員がその作業の終了後引き続き遺留品の保全、船員の送還その他必要な残務の処理に従事する場合において、その処理が終了するまでの間についても、同様とする。
前項後段の規定により雇入契約が存続する間においては、船舶所有者又は船員は、いつでも、当該雇入契約を解除することができる。
第四十四条の次に次の二条を加える。
(解雇制限)
第四十四条の二 船舶所有者は、船員が職務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため作業に従事しない期間及びその後三十日間並びに産前産後の女子が第八十六条の規定によつて作業に従事しない期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。但し、療養のため作業に従事しない期間が三年を超えた場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
前項但書の天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
(解雇の予告)
第四十四条の三 船舶所有者は、予備船員を解雇しようとする場合においては、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない船舶所有者は、一箇月分の給料の額と同額の予告手当を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は予備船員の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。
前項の予告の日数は、一日について、命令の定めるところにより算定する給料の額と同額の予告手当を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
第一項但書の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
第四十五条中「二箇月」を「その翌日(行方不明となつた船員については、その生存が知れた日)から二箇月(その行方不明について行方不明手当の支払を受くべき船員については、二箇月から行方不明中の期間を控除した期間)」に改める。
第四十六条第五号中「第八十一条」を「第八十三条」に改める。
第四十七条本文中「雇入港又は船員の希望する地」を「、船員の希望により、雇入港又は雇入港までの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地(雇入のため雇入港に招致した船員及び未成年者又は女子の船員にあつては、雇入港若しくは雇入契約の成立の時における船員の居住地又はこれらのいずれかまでの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地)」に改め、同条第八号中「第八十一条」を「第八十三条」に改める。
第五十八条第一項中「船舶所有者の定める一定額」を「雇入契約に定める一定額」に改め、同条第三項中「支払われるときは」の下に「、第四十四条の三」を加え、「船舶所有者の別に定める額」を「雇入契約に定める額」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(報酬支払簿)
第五十八条の二 船舶所有者は、命令の定めるところにより、報酬支払簿を備え置いて、船員に対する給料その他の報酬の支払に関する事項を記載しなければならない。
第六十条第一項中「左の者」を「総トン数七百トン以上の船舶に乗り組む甲板部、機関部及び無線部の職員並びに甲板部及び機関部の部員」に改め、同項各号を削る。
第六十七条第一項及び第二項中「八時間」を「所定時間」に改め、同条第一項に後段として次のように加える。
第七十二条の二の規定により発する命令の規定による労働時間及び休息時間についても、同様とする。
第六十八条中「前条の規定」の下に「並びに第七十二条の二の規定により発する命令の規定」を加える。
第六十九条第一項中「第六十六条の規定」の下に「又は第七十二条の二の規定により発する命令の規定」を加える。
第七十条第一項を次のように改める。
総トン数七百トン以上の船舶に乗り組む甲板部の部員で航海当直をすべき職務を有する者の定員は、六人以上としなければならない。
第七十一条第一号中「千トン」を「七百トン」に改める。
第七十二条の次に次の一条を加える。
第七十二条の二 定期的に短距離の航路に就航するため入出港が頻繁である船舶その他の第六十条及び第六十二条乃至第六十六条の規定によることが著しく不適当であると認められる主務大臣の指定する船舶に関しては、船員の労働時間又は休息時間について、命令で別段の定めをすることができる。但し、労働時間は、一日平均八時間以内でなければならない。
第七十四条第一項ただし書を次のように改める。
但し、船舶が航海の途中にあるとき、又は船舶の工事のため特に必要がある場合において行政官庁の許可を受けたときは、当該航海又は工事に必要な期間(工事の場合にあつては、三箇月以内に限る。)、有給休暇を与えることを延期することができる。
第七十五条第一項に次のただし書を加える。
但し、前条第一項但書の規定により有給休暇の付与を延期したときは、その延期した期間一箇月を増すごとに二日を加える。
第七十五条第二項中「二日」の下に「(前項但書に規定する期間については、一箇月を増すごとに一日)」を加える。
第八章の章名中「食料」の下に「並びに安全」を加える。
第八十二条及び第八十三条を削り、第八章中第八十一条を第八十三条とし、第八十条の次に次の三条を加える。
(安全及び衛生)
第八十一条 船舶所有者は、作業用具の整備、医薬品の備付け、安全及び衛生に関する教育その他の船内作業による危害の防止及び船内衛生の保持に関し命令の定める事項を遵守しなければならない。
船舶所有者は、命令の定める危険な船内作業については、命令の定める経験又は技能を有しない船員を従事させてはならない。
船舶所有者は、伝染病、精神病又は命令の定める労働のために病勢の増悪するおそれのある疾病にかかつた船員を作業に従事させてはならない。
船員は、船内作業による危害の防止及び船内衛生の保持に関し命令の定める事項を遵守しなければならない。
(医師)
第八十二条 船舶所有者は、左の船舶には、医師を乗り組ませなければならない。但し、国内各港間を航海するとき、命令の定める区域のみを航海するとき、又は命令の定める短期間の航海を行なう場合若しくはやむを得ない事由がある場合において行政官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
一 遠洋区域又は近海区域を航行区域とする総トン数三千トン以上の船舶で最大とう載人員百人以上のもの
二 前号に掲げる船舶以外の遠洋区域を航行区域とする命令の定める船舶で主務大臣の指定する航路に就航するもの
三 命令の定める母船式漁業に従事する漁船
(衛生管理者)
第八十二条の二 船舶所有者は、左の船舶(前条各号に掲げるものを除く。)については、乗組員の中から衛生管理者を選任しなければならない。但し、国内各港間を航海する場合又は命令の定める区域のみを航海する場合は、この限りでない。
一 遠洋区域又は近海区域を航行区域とする総トン数三千トン以上の船舶
二 命令の定める漁船
衛生管理者は、衛生管理者適任証書を受有する者でなければならない。但し、やむを得ない事由がある場合において、行政官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
主務大臣は、左に掲げる者に衛生管理者適任証書を交付する。
一 命令の定めるところにより主務大臣の行なう試験に合格した者
二 命令の定めるところにより主務大臣が前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者
衛生管理者は、命令の定めるところにより、船内の衛生管理に必要な業務に従事しなければならない。その業務については、衛生管理者は、必要に応じ、医師の指導を受けるように努めなければならない。
前各項に定めるものの外、衛生管理者及び衛生管理者適任証書に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第八十五条の見出しを「(就業制限)」に改め、同条第二項を次のように改める。
船舶所有者は、年齢十八年未満の船員及び女子の船員を第八十一条第二項の命令の定める危険な船内作業又は命令の定めるこれらの船員の安全及び衛生上有害な作業に従事させてはならない。
第九十二条の次に次の一条を加える。
(行方不明手当)
第九十二条の二 船舶所有者は、船員が職務上行方不明となつたときは、三箇月の範囲内において、行方不明期間中毎月一回、命令の定める被扶養者に標準報酬の月額に相当する額の行方不明手当を支払わなければならない。但し、行方不明の期間が一箇月に満たない場合は、この限りでない。
第九十六条第一項中「疾病」の下に「、行方不明」を加える。
第九十七条第二項第二号中「食料」の下に「並びに安全」を加える。
第百七条に次の一項を加える。
船員労務官の服制は、命令でこれを定める。
第百十三条中「及び就業規則」を「、就業規則及び船員の貯蓄金の管理に関する協定」に改め、「船内」の下に「及びその他の事業場内」を加える。
第百十四条第一項中「又は傷病手当」を「、傷病手当又は行方不明手当」に改める。
第百十五条前段中「送還の費用」の下に「、送還手当」を加え、同条後段中「及び傷病手当」を「及び前条に規定する手当」に、「傷病手当の額」を「これらの手当の額」に改める。
第百十六条第一項中「第四十五条」を「第四十四条の三」に改める。
第百十七条中「遺族手当」を「行方不明手当、遺族手当」に改める。
第百十八条を次のように改める。
(救命艇手)
第百十八条 船舶所有者は、命令の定める船舶については、乗組員の中から命令の定める員数の救命艇手を選任しなければならない。
救命艇手は、救命艇手適任証書を受有する者でなければならない。
行政官庁は、左に掲げる者に救命艇手適任証書を交付する。
一 命令の定めるところにより行政官庁の行なう試験に合格した者
二 命令の定めるところにより行政官庁が前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者
前項に規定するものの外、救命艇手及び救命艇手適任証書に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第百十九条の次に次の一条を加える。
(政令への委任)
第百十九条の二 第一条第二項第三号の規定に基づき、政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(年金制度、健康保険制度、失業保険制度その他の社会保障制度及びこれらに関する政府の特別会計、労働関係調整制度その他の労働関係制度並びに罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第十三章中第百二十一条の次に次の一条を加える。
(手数料の納付)
第百二十一条の二 雇入契約の公認、船員手帳の交付、訂正若しくは書換え若しくは衛生管理者適任証書若しくは救命艇手適任証書の再交付の申請をし、又は衛生管理者若しくは救命艇手の試験を受け、若しくはこれらの資格の認定を申請しようとする者は、五百円をこえない範囲内において政令の定める額の手数料を納めなければならない。
第百二十六条第一号中「第十一条」の下に「、第十四条の三第一項」を加え、「第十七条第一項」を「第十七条」に改める。
第百二十八条第二号中「船舶」の下に「、航空機」を加え、同条の次に次の一条を加える。
第百二十八条の二 船員が第八十一条第四項の規定に違反したときは、三千円以下の罰金に処する。
第百三十条中「第三十五条」の下に「、第四十四条の二第一項第二項、第四十四条の三第一項第三項」を加え、「第八十二条、第八十三条」を「第八十一条第一項乃至第三項、第八十二条」に改める。
第百三十一条第一号中「第八十一条第一項第二項」を「第五十八条の二、第八十二条の二第一項、第八十三条第一項第二項」に、「又は第百十三条」を「、第百十三条又は第百十八条第一項」に改め、同条第二号を次のように改める。
二 第三十四条第四項の規定による船員の請求にかかわらず、貯蓄金を返還しなかつたとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十七年十月一日から施行する。
(貯蓄金の管理に関する経過規定)
第二条 この法律の施行の際現に改正前の第三十四条第二項の認可を受けて貯蓄金の管理をしている船舶所有者についての当該認可に係る事項は、改正後の同項の規定による届け出をした協定とみなす。
(雇入契約の終了に関する経過規定)
第三条 改正後の第三十九条第四項後段の規定は、この法律の施行後に同条第一項各号に掲げる事由が生じた船舶の船員について適用し、この法律の施行前にその事由が生じた船舶の船員については、なお従前の例による。
(送還に関する経過規定)
第四条 改正後の第四十七条の規定は、この法律の施行後に生じた事由による船員の送還について適用し、この法律の施行前に生じた事由による船員の送還については、なお従前の例による。
(医師に関する経過規定)
第五条 第八十二条の規定の改正により新たに医師を乗り組ますべきこととなつた船舶であつて、この法律の施行の際現に航海中であるものについては、改正後の同条の規定にかかわらず、当該航海が終了するまでは、医師を乗り組ませることを要しない。
(衛生管理者に関する経過規定)
第六条 昭和三十九年三月三十一日までは、第八十二条の二第二項の規定にかかわらず、衛生管理者適任証書を受有する者以外の者を衛生管理者に選任することができる。
(行方不明手当に関する経過規定)
第七条 第九十二条の二の規定は、この法律の施行後に行方不明となつた船員について適用する。
(救命艇手に関する経過規定)
第八条 この法律の施行の際現に効力を有する船舶安全法(昭和八年法律第十一号)の規定に基づく命令の規定による救命艇手適任証書は、改正後の第百十八条第三項の規定により行政官庁が交付したものとみなす。
(罰則に関する経過規定)
第九条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりこの法律の施行後もなおその例によることとされている規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(船員職業安定法の一部改正)
第十条 船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
船員職業安定法目次及び本則中「属員職業補導」を「部員職業補導」に改める。
第六条第四項中「属員」を「部員」に改める。
(地方公務員法の一部改正)
第十一条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四十五条第一項中「又は公務」を「若しくは公務」に、「廃疾となつた場合」を「廃疾となり、又は船員である職員が公務に因り行方不明となつた場合」に改める。
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 水田三喜男
厚生大臣 灘尾弘吉
運輸大臣 斎藤昇
労働大臣 福永健司
自治大臣 安井謙