地方公営企業法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百二十号
公布年月日: 昭和41年7月5日
法令の形式: 法律
地方公営企業法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十一年七月五日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百二十号
地方公営企業法の一部を改正する法律
地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
目次中「第六章 雑則(第四十条―第四十一条)」を
第六章
雑則(第四十条―第四十二条)
第七章
財政の再建(第四十三条―第五十一条)
に改める。
第一条中「根本基準並びに」を「根本基準、」に改め、「一部事務組合に関する特例」の下に「並びに企業の財政の再建に関する措置」を加える。
第二条第一項を次のように改める。
この法律は、地方公共団体の経営する企業のうち次に掲げる事業(これらに附帯する事業を含む。以下「地方公営企業」という。)に適用する。
一 水道事業(簡易水道事業を除く。)
二 工業用水道事業
三 軌道事業
四 自動車運送事業
五 地方鉄道事業
六 電気事業
七 ガス事業
第二条第二項中「前項の表の上欄に掲げる事業で、常時雇用される職員の数がそれぞれ二十人以上同表の下欄に掲げる数未満のもの」を「病院事業」に改め、同条第三項を削り、同条第四項中「前三項」を「前二項」に改め、「条例」の下に「(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の規定による一部事務組合(以下「一部事務組合」という。)にあつては、規約)」を加え、「当該地方公共団体の」を「その」に改め、同項を同条第三項とする。
第四条を次のように改める。
(地方公営企業の設置)
第四条 地方公共団体は、地方公営企業の設置及びその経営の基本に関する事項は、条例で定めなければならない。
第五条の次に次の一条を加える。
(国の配慮)
第五条の二 国の行政機関の長は、地方公営企業の業務に関する処分その他の事務の執行にあたつては、すみやかに適切な措置を講ずる等地方公営企業の健全な運営が図られるように配慮するものとする。
第六条中「(昭和二十二年法律第六十七号)」を削る。
第七条第一項中「当該地方公共団体の長の指揮監督の下に」を削り、「条例で定めるところにより、」の下に「政令で定める地方公営企業について」を、「水道事業」の下に「(簡易水道事業を除く。)」を加え、同条第二項を削り、同条の次に次の一条を加える。
(管理者の選任及び身分取扱い)
第七条の二 管理者は、地方公営企業の経営に関し識見を有する者のうちから、地方公共団体の長が任命する。
2 次の各号の一に該当する者は、管理者となることができない。
一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
二 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
3 管理者は、衆議院議員若しくは参議院議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは常勤の職員と兼ねることができない。
4 管理者の任期は、四年とする。
5 管理者は、再任されることができる。
6 管理者は、常勤とする。
7 地方公共団体の長は、管理者が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合又は管理者の業務の執行が適当でないため経営の状況が悪化したと認める場合その他管理者がその職に必要な適格性を欠くと認める場合には、これを罷免することができる。
8 地方公共団体の長は、管理者に職務上の義務違反その他管理者たるに適しない非行があると認める場合には、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
9 管理者は、前二項の規定による場合を除くほか、その意に反して罷免され、又は懲戒処分を受けることがない。
10 管理者は、第二項各号の一に該当するに至つたときは、その職を失う。
11 地方自治法第百五十九条、第百六十五条第二項及び第百八十条の五第六項から第八項まで並びに地方公務員法第三十条から第三十七条まで及び第三十八条第一項の規定は、管理者について準用する。
第八条第一項中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号から第五号までを一号ずつ繰り上げ、同条第二項中「前条第一項の」を「第七条」に改める。
第九条第三号及び第四号を削り、同条第五号中「見積に関する書類」を「原案」に改め、同号を同条第三号とし、同条第六号中「予算の実施計画及び資金計画その他財政計画の参考となるべき事項に関する書類」を「予算に関する説明書」に改め、同号を同条第四号とし、同条第七号中「作成」を「調製」に改め、同号を同条第五号とし、同号の次に次の一号を加える。
六 議会の議決を経るべき事件について、その議案の作成に関する資料を作成し、地方公共団体の長に送付すること。
第九条中第八号を第七号とし、第九号を第八号とし、同条第十号中「その他の使用料又は手数料」を「又は料金以外の使用料、手数料、分担金若しくは加入金」に改め、同号を同条第九号とし、同条中第十一号を第十号とし、第十二号を第十一号とし、第十三号を第十二号とし、同条第十四号中「その権限の範囲内において」を削り、同号を同条第十三号とし、同条中第十五号を第十四号とし、第十六号を第十五号とする。
第十一条及び第十二条を次のように改める。
第十一条及び第十二条 削除
第十三条第一項中「事故があるとき」の下に「、又は管理者が欠けたとき」を加え、「企業管理規程で定める」を「管理者が当該地方公共団体の長の同意を得てあらかじめ指定する」に改める。
第十三条の二後段を削る。
第十五条第一項中「補助する職員」の下に「(以下「企業職員」という。)」を加え、同条第二項中「前項の職員」を「企業職員」に改める。
第十六条を次のように改める。
(管理者と地方公共団体の長との関係)
第十六条 地方公共団体の長は、当該地方公共団体の住民の福祉に重大な影響がある地方公営企業の業務の執行に関しその福祉を確保するため必要があるとき、又は当該管理者以外の地方公共団体の機関の権限に属する事務の執行と当該地方公営企業の業務の執行との間の調整を図るため必要があるときは、当該管理者に対し、当該地方公営企業の業務の執行について必要な指示をすることができる。
第十七条ただし書中「議会の議決を経て」を「政令で定めるところにより条例で」に改める。
第十七条の二の見出しを「(経費の負担の原則)」に改め、同条第二項を削り、同条第一項中「その経費は」の下に「、前項の規定により地方公共団体の一般会計又は他の特別会計において負担するものを除き」を加え、同項を同条第二項とし、同項の前に次の一項を加える。
次に掲げる地方公営企業の経費で政令で定めるものは、地方公共団体の一般会計又は他の特別会計において、出資、長期の貸付け、負担金の支出その他の方法により負担するものとする。
一 その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが適当でない経費
二 当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費
第十七条の二の次に次の一条を加える。
(補助)
第十七条の三 地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。
第十八条を次のように改める。
(出資)
第十八条 地方公共団体は、第十七条の二第一項の規定によるもののほか、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に出資をすることができる。
2 地方公営企業の特別会計は、前項の規定による出資を受けた場合には、利益の状況に応じ、納付金を一般会計又は当該他の特別会計に納付するものとする。
第十八条の二第一項中「予算の定めるところにより」を「第十七条の二第一項の規定によるもののほか」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 地方公営企業の特別会計は、前項の規定による長期の貸付けを受けた場合には、適正な利息を一般会計又は当該他の特別会計に支払わなければならない。
第二十一条第二項中「且つ、これを決定するに当つては、地方公営企業の収支の均衡を保持させるように適切な考慮が払われ」を「かつ、能率的な経営の下における適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるもので」に改め、同条第三項を削る。
第二十二条の次に次の一条を加える。
(企業債についての配慮)
第二十二条の二 国は、地方公営企業の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、企業債の償還の繰延べ、借換え等につき、法令の範囲内において、資金事情が許す限り、特別の配慮をするものとする。
第二十四条第二項を同条第三項とし、同条第一項中「見積」を「原案」に改め、同項を同条第二項とし、同項の前に次の一項を加える。
地方公営企業の予算は、地方公営企業の毎事業年度における業務の予定量並びにこれに関する収入及び支出の大綱を定めるものとする。
第二十五条の見出しを「(予算に関する説明書)」に改め、同条中「当該予算の実施計画、当該年度の事業計画及び資金計画その他財政計画の参考となるべき事項に関する書類」を「政令で定める予算に関する説明書」に改める。
第二十六条第二項中「、当該地方公共団体の長の承認を得て」を削る。
第二十七条の見出し中「及び現金の保管」を削り、同条第一項中「次項の規定により当該地方公共団体の長が指定した金融機関に」を「政令で定める金融機関で地方公共団体の長の同意を得て指定したものに」に、「現金」を「公金」に改め、同条第二項を削り、同条の次に次の一条を加える。
(公金の収納等の監査)
第二十七条の二 監査委員は、必要があると認めるとき、又は管理者の要求があるときは、前条の規定により指定された金融機関が取り扱う地方公営企業の業務に係る公金の収納又は支払の事務について監査することができる。
2 監査委員は、前項の規定により監査をしたときは、その結果を地方公共団体の議会及び長並びに管理者に報告しなければならない。
第二十八条第二項中「第十五条の職員」を「企業職員」に改め、同条第五項を削る。
第三十条第一項中「作成」を「調製」に改め、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「前項」を「第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 監査委員は、前項の審査をするにあたつては、地方公営企業の運営が第三条の規定の趣旨に従つてされているかどうかについて、特に意を用いなければならない。
第三十三条ただし書を削り、同条に次の二項を加える。
2 前項の資産のうちその種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める重要なものの取得及び処分については、予算で定めなければならない。
3 地方公営企業の用に供する行政財産を地方自治法第二百三十八条の四第三項の規定により使用させる場合に徴収する使用料に関する事項については、管理者が定める。
第三十三条の次に次の一条を加える。
(公金の徴収又は収納の委託)
第三十三条の二 管理者は、地方公営企業の業務に係る公金の徴収又は収納の事務については、収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認める場合に限り、政令で定めるところにより、私人に委託することができる。
第三十四条を次のように改める。
(職員の賠償責任)
第三十四条 地方自治法第二百四十三条の二の規定は、地方公営企業の業務に従事する職員の賠償責任について準用する。この場合において、同条第一項中「規則」とあるのは「規則又は企業管理規程」と、同条第四項中「議会の同意を得て」とあるのは「条例で定める場合には議会の同意を得て」と読み替えるほか、第七条の規定により管理者が置かれている地方公営企業の業務に従事する職員の賠償責任について準用する場合に限り、同法第二百四十三条の二第三項中「普通地方公共団体の長」とあるのは「管理者」と、同条第四項中「普通地方公共団体の長」とあるのは「管理者」と、「あらかじめ監査委員の意見をきき、その意見」とあるのは「管理者があらかじめ監査委員の意見をきき、普通地方公共団体の長が当該意見」と、同条第六項中「処分に不服がある者は」とあるのは「処分に不服がある者は、当該普通地方公共団体の長に審査請求をすることができ、その裁決に不服がある者は」と、「した処分」とあるのは「した裁決」と、「審査請求をすることができる。この場合においては、異議申立てをすることができる」とあるのは「再審査請求をすることもできる」と、同条第七項中「異議申立て」とあるのは「審査請求」と読み替えるものとする。
第三十四条の二の見出し中「場合等」を「場合」に改め、同条中「第二項から第四項まで」を「第二項又は第三項」に改め、「又は財務規定等の一部」を削る。
第三十六条中「地方公営企業に従事する職員」を「企業職員」に改める。
第三十七条第一項中「第十五条の職員(政令で定める基準に従い地方公共団体の長が定める職にある者を除く。以下「企業職員」という。)」を「企業職員」に改める。
第三十八条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「生計費並びに国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情」を「生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与、当該地方公営企業の経営の状況その他の事情」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項中「と責任に応ずる」を「に必要とされる技能、職務遂行の困難度等職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ、職員の発揮した能率が充分に考慮される」に改め、同項を同条第二項とし、同項の前に次の一項を加える。
企業職員の給与は、給料及び手当とする。
第三十九条第一項中「第三十六条の職員」を「企業職員」に、「第三十七条」を「第五条、第八条(第一項第五号、第三項及び第四項を除く。)、第二十三条から第二十六条まで、第三十七条、第三十九条第三項、第四十条第二項、第四十五条第二項から第四項まで」に改め、同条第二項中「企業職員」の下に「(政令で定める基準に従い地方公共団体の長が定める職にある者を除く。)」を加え、「第五条、第八条(第一項第五号、第三項及び第四項を除く。)、第二十三条から第二十六条まで、」及び「、第三十九条第三項、第四十条第二項及び第四十五条第二項から第四項まで」を削る。
第三十九条の二を次のように改める。
(組織に関する特例)
第三十九条の二 地方公営企業の経営に関する事務を共同処理する一部事務組合(これを企業団という。)の管理者の名称は、企業長とする。
2 企業団には、第七条の規定にかかわらず、同条の管理者を置かず、当該管理者の権限は、企業長が行なう。
3 企業長は、企業団の規約で別段の定めをしない限り、地方公営企業の経営に関し識見を有する者のうちから、企業団を組織する地方公共団体の長が共同して任命するものとする。
4 第七条の二第二項及び第四項から第十項まで、地方自治法第百八十条の五第六項から第八項まで並びに地方公務員法第三十四条の規定は、企業長について準用する。この場合において、第七条の二第七項及び第八項中「地方公共団体の長は」とあるのは、前項に規定する方法により選任される企業長について準用する場合にあつては「企業団を組織する地方公共団体の長は、共同して」と、前項の別段の定めにより選任される企業長について準用する場合にあつては「企業団の規約で定める者は、その規約で定めるところにより」と読み替えるものとする。
5 企業団の監査委員の定数は、企業団の規約で定めるところにより二人又は一人とする。
6 前項の監査委員は、企業長が企業団の議会の同意を得て、事業の経営管理について専門の知識又は経験を有する者のうちから選任する。
7 企業団の議会の議員の定数は、十五人をこえることができない。
8 企業団の設置があつた場合における企業長の選任の時期その他必要な事項は、政令で定める。
第三十九条の三第一項中「組合」を「企業団」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 第十七条の二から第十八条の二までの規定は、企業団を組織する地方公共団体の当該企業団に対する経費の負担、補助、出資及び長期の貸付けについて準用する。
第三十九条の三第三項中「第二項から第四項まで」を「第二項又は第三項」に改め、「又は財務規定等の一部」及び「地方自治法第二百八十四条第一項の規定による」を削る。
第四十条の二を第四十条の三とし、第四十条を第四十条の二とし、第六章中同条の前に次の一条を加える。
(地方自治法の適用除外)
第四十条 地方公営企業の業務に関する契約の締結並びに財産の取得、管理及び処分については、地方自治法第九十六条第一項第五号から第七号まで及び第二百三十七条第二項の規定は、適用しない。
2 地方公営企業の業務に関する負担附きの寄附又は贈与の受領、地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起、和解、あつせん、調停及び仲裁並びに法律上地方公共団体の義務に属する損害賠償の額の決定については、条例で定めるものを除き、地方自治法第九十六条第一項第八号、第十一号及び第十二号の規定は、適用しない。
本則に次の一条及び一章を加える。
(地方公共企業体)
第四十二条 地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、地方公営企業を経営するための地方公共企業体を設けることができる。
第七章 財政の再建
(財政再建計画の策定等)
第四十三条 この法律を適用している水道事業、工業用水道事業(その布設に要する経費について国から補助金の交付を受けたものを除く。第四十九条において同じ。)、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業、ガス事業又は病院事業のうち実質上収支が均衡していないもので、昭和四十一年三月三十一日(同年四月一日に新たにこの法律を適用した事業にあつては、同日)において不良債務(政令で定めるところにより計算した流動負債の額が政令で定めるところにより計算した流動資産の額をこえる場合において、そのこえる額をいう。以下同じ。)を有するもの(同年四月一日においてこの法律を適用していなかつた事業にあつては、昭和四十年度において実質赤字を有するもの。以下「昭和四十年度の赤字企業」と総称する。)について、この章の規定によつて財政の再建を行なおうとする地方公共団体は、当該地方公共団体の議会の議決を経て、その旨を政令で定める日までに自治大臣に申し出て、自治大臣の指定する日(以下「指定日」という。)現在により、当該企業の財政の再建に関する計画(以下「財政再建計画」という。)を定めなければならない。
2 財政再建計画は、指定日の属する年度及びこれに続くおおむね七年度以内に不良債務を解消し、財政の健全性を回復するように次の事項について定めるものとする。
一 財政の再建の基本方針
二 各年度において解消する不良債務
三 不良債務を解消し、財政の健全性を回復するための具体的措置
四 第四十五条の規定による企業債の各年度ごとの償還額
3 第一項に規定する実質赤字とは、次に掲げる金額をいう。
一 歳入が歳出に不足するため翌年度の歳入を繰り上げて充用した額に相当する金額
二 実質上歳入が歳出に不足するため当該年度に支払うべき債務の支払を翌年度に繰り延べた額又は当該年度に執行すべき事業に係る歳出予算の額のうち翌年度に繰り越した額から、これらの支払又は事業の財源に充当することができる特定の歳入で当該年度に収入されなかつた部分に相当する額を控除した金額
(財政再建計画の承認)
第四十四条 財政再建計画は、昭和四十年度の赤字企業を経営する地方公共団体の長が当該企業の管理者の作成する資料に基づいて作成し、当該地方公共団体の議会の議決を経て、自治大臣の承認を得なければならない。この場合において、自治大臣は、その財政再建計画による財政の再建が合理的に達成できるように、当該財政再建計画に必要な条件を付けて、当該財政再建計画を承認することができる。
2 前項の規定は、財政再建計画について承認を得た地方公共団体(以下「財政再建団体」という。)が当該財政再建計画を変更する場合について準用する。
3 災害その他緊急やむを得ない理由により異常の支出を要することとなつたため、財政再建計画を変更する必要が生じた場合において、あらかじめその変更について、自治大臣の承認を得るいとまがないときは、財政再建団体は、事後において、遅滞なく、その変更につき前項において準用する第一項の自治大臣の承認を得なければならない。
4 財政再建団体の長は、財政再建計画に従つて予算を調製しなければならない。
5 再建企業(地方公共団体が財政再建計画について承認を得た昭和四十年度の赤字企業をいう。以下同じ。)の管理者は、財政再建計画に従つて当該再建企業の業務を執行しなければならない。
(財政再建債)
第四十五条 財政再建団体は、昭和四十一年三月三十一日(同年四月一日に新たにこの法律を適用した事業にあつては、同日)における不良債務又は昭和四十年度の実質赤字(第四十三条第三項に規定する実質赤字をいう。第四十九条において同じ。)の範囲内における一時借入金の償還及び未払金の支払に充てるため並びに前条第一項の規定による財政再建計画の承認のあつた日から財政再建計画による財政の再建が完了する年度の前年度の末日までの間に財政再建計画に基づく職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により退職した管理者及び企業職員に支給すべき退職手当の財源に充てるため、企業債を起こすことができる。
(財政再建債の償還)
第四十六条 前条の企業債(以下「財政再建債」という。)は、指定日の属する年度の翌年度以降おおむね七年度以内(同条の退職手当の財源に充てるため起こした財政再建債にあつては、その起こした日の属する年度の翌年度以降三年度以内)に、財政再建計画に基づき償還しなければならない。
(財政再建債の利子補給)
第四十七条 国は、毎年度予算の範囲内で、財政再建債で利息の定率が年三分五厘をこえるものにつき、政令で定める基準により、年四分五厘の定率を乗じて得た額を限度として、当該財政再建債の当該年度分の利子支払額のうち、利息の定率を年三分五厘として計算して得た額をこえる部分に相当する金額を当該財政再建団体に補給する。
(企業債の償還繰延べ等)
第四十八条 国は、財政再建団体が財政再建計画を実施するため必要があると認めるときは、企業債の償還の繰延べその他再建企業の財政の再建を促進するための措置について配慮するものとする。
(赤字の企業の財政再建)
第四十九条 水道事業、工業用水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業、ガス事業又は病院事業で昭和四十一年度以降の年度において不良債務又は実質赤字を有するもの(再建企業を除く。以下「赤字の企業」という。)のうちこの法律を適用しているものを経営する地方公共団体は、当分の間、第四十三条第一項の規定により当該赤字の企業について財政の再建を行なうことを申し出ることができる。
2 第四十三条第二項及び第四十四条の規定は、前項の規定により財政の再建を行なうことを申し出た地方公共団体の経営する赤字の企業に係る財政の再建について準用する。
(地方財政再建促進特別措置法の準用)
第五十条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)第四条、第五条第二項、第六条、第七条、第十一条、第十四条、第十八条から第二十一条まで及び第二十四条第一項の規定は、再建企業又は赤字の企業の財政の再建について準用する。
(自治大臣の権限の委任)
第五十一条 自治大臣は、政令で定めるところにより、この章に定める自治大臣の権限のうち市町村に係るものの一部を都道府県知事に委任することができる。
附則中第五項を第六項とし、第四項の次に次の一項を加える。
(退職手当債を財政再建債とみなす措置)
5 財政再建団体(財政再建債を起こさない財政再建団体を除く。)が第五十条において準用する地方財政再建促進特別措置法第二十四条第一項の規定により起こしている企業債がある場合には、当該企業債は、当該財政再建団体の財政再建計画について第四十四条第一項の自治大臣の承認を受けた日(同日以後に起こされた企業債については、その起こされた日)以後は、財政再建債とみなす。この場合において、財政再建債とみなされる企業債に係る第四十七条の規定による利子補給は、これらの日以後の分について行なうものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律の規定は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める日から施行する。
一 地方公営企業法(以下この条において「法」という。)目次及び第一条の改正規定、法第五条の次に一条を加える改正規定、法第二十二条の次に一条を加える改正規定、法本則に一章を加える改正規定、法附則に係る改正規定並びに附則第二条、第十一条及び第十七条の規定 この法律の公布の日
二 法第二条第四項中に加える改正規定、法第四条及び第六条の改正規定、法第二章から第六章までに係る改正規定(前号及び次号に掲げる改正規定を除く。)並びに附則第四条から第十条まで、第十四条、第十五条及び第十六条の規定 昭和四十二年一月一日
三 法第二条の改正規定(第四項中に加える改正規定を除く。)、法第七条第一項第三文の改正規定、法第十七条の二から第十八条の二までに係る改正規定、法第三十条、第三十四条の二並びに第三十九条の三第二項及び第三項の改正規定並びに附則第三条、第十二条及び第十三条の規定 昭和四十二年四月一日
(適用区分等)
第二条 改正後の地方公営企業法(以下「新法」という。)第十七条の規定は、昭和四十二年度の予算及び決算から適用し、前条第二号に掲げる規定の施行の際現に改正前の地方公営企業法(以下「旧法」という。)第十七条ただし書の規定により設けられている特別会計については、昭和四十一年度に限り、なお従前の例による。
2 新法の規定中予算及び決算に係る部分は、昭和四十二年度の予算及び決算から適用し、昭和四十一年度分以前の予算及び決算については、なお従前の例による。
3 昭和四十二年一月一日から同年三月三十一日までの間に行なわれる資産の取得及び処分に対する新法第三十三条第二項の規定の適用については、同項中「予算で定め」とあるのは、「議会の議決を経」とする。
4 昭和四十二年一月一日から同年三月三十一日までの間における地方公営企業法第三十九条の三第二項の規定の適用については、同項中「組合」とあるのは、「企業団」とする。
(新法の新規適用に関する特例等)
第三条 新法第二条第一項又は第二項の規定により新法の規定又は財務規定等の適用を受けることとなる水道事業(簡易水道事業を除く。)、工業用水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業若しくはガス事業(以下「水道事業等」という。)又は病院事業で常時雇用される職員の数がそれぞれ二十人未満又は百人未満のものを経営する地方公共団体は、条例(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の規定による一部事務組合(以下「一部事務組合」という。)にあつては、規約。以下この条において同じ。)で定める場合には、新法第二条第一項又は第二項の規定にかかわらず、昭和四十三年三月三十一日までの間は、当該事業に新法の規定又は財務規定等を適用しないことができる。
2 附則第一条第三号に掲げる規定の施行の際旧法第二条第三項の規定に基づき財務規定等の一部が適用されている事業(病院事業を除く。)については、引き続き新法第二条第二項に規定する財務規定等を適用する。ただし、条例で定めるところにより同項に規定する財務規定等を適用しないことができる。
3 附則第一条第三号に掲げる規定の施行の際旧法第二条第四項の規定に基づく地方公共団体の経営する事業に旧法の全部又は一部を適用する条例(旧法第十七条の二の規定を適用する条例を除く。)で現に効力を有するものは、政令で定めるところにより、新法第二条第三項の規定に基づく条例とみなす。
4 地方公共団体は、当分の間、新法第二条第二項の規定にかかわらず、条例で定めるところにより、その経営する病院事業に同法第十七条の二及び第十七条の三の規定を適用しないことができる。
(出納を取り扱う金融機関に関する経過措置)
第四条 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際現に旧法第二十七条第一項の規定に基づき地方公営企業の業務に係る現金の出納事務を取り扱つている金融機関は、新法第二十七条の規定により管理者が指定した金融機関とみなす。
(資産の取得及び処分に関する経過措置)
第五条 昭和四十二年四月一日前に地方自治法第九十六条第一項第六号若しくは第七号又は附則第二条第三項の規定により適用される新法第三十三条第二項の規定に基づきその取得又は処分について議会の議決を経ている資産で昭和四十二年三月三十一日までに取得又は処分が終わらなかつたものがあるときは、管理者は、昭和四十二年度に限り、同項の規定にかかわらず、当該議決に基づき、当該資産の取得又は処分をすることができる。
(契約に関する経過措置)
第六条 昭和四十二年一月一日前に行なわれた公告又は申込みに係る契約の手続については、なお従前の例による。
(職員の賠償責任に関する経過措置)
第七条 昭和四十二年一月一日前の事実に基づく地方公共団体の職員の賠償責任については、新法第三十四条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(給料に関する経過措置)
第八条 地方公共団体は、新法第三十八条の適用にあたつては、附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際現に地方公営企業に従事する職員の受ける給料に著しい変動を生ずることがないように、適切な考慮を払わなければならない。
(地方公共団体の長の指定する職に関する経過措置)
第九条 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際現に旧法第三十七条第一項の規定に基づき地方公共団体の長が定めている職は、新法第三十九条第二項の規定に基づき地方公共団体の長が定めた職とみなす。
(企業団に関する経過措置等)
第十条 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際現に存在する水道事業等又は地方公営企業法の規定の全部を適用しているその他の事業の経営に関する事務を共同処理する一部事務組合について新法第三十九条の二の規定が新たに適用される際現に在任する当該一部事務組合の管理者は、昭和四十四年十二月三十一日(当該管理者の任期が同日までに満了する場合にあつては、その任期が満了する日)までの間、引き続き新法の規定による企業団の企業長として在任することができる。
2 前項の一部事務組合について新法第三十九条の二の規定が新たに適用される際現に在任する当該一部事務組合の監査委員は、昭和四十四年十二月三十一日(当該監査委員の任期が同日までに満了する場合にあつては、その任期が満了する日)までの間、引き続き新法による監査委員として在任することができる。この場合において、監査委員として在任する者の数が同条第五項に規定する規約で定める定数をこえるときは、同項の規定にかかわらず、当該数をもつて当該企業団の監査委員の定数とし、これらの委員に欠員が生じたときは、これに応じて、その定数は、同項に規定する規約で定める定数に至るまで減少するものとする。
3 第一項の一部事務組合について新法第三十九条の二の規定が新たに適用される際現に当該一部事務組合の議会の議員の定数が十五人をこえているときは、同条第七項の規定にかかわらず、昭和四十五年十二月三十一日までの間、当該定数をもつて当該議会の議員の定数とすることができる。
(政令への委任)
第十一条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(地方財政法の一部改正)
第十二条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第六条の見出し中「公営企業等」を「公営企業」に改め、同条第一項中「(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第二条第一項及び第二項に規定する事業並びに同条第三項の規定に基づき政令で定める事業を除く。)」を削り、「その歳出は」を「その経費は、その性質上当該公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが適当でない経費及び当該公営企業の性質上能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費を除き」に改め、同条第二項を削る。
第七条第三項中「前条第一項」を「前条」に改める。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第十三条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項第一号中「並びに同法同条第二項から第四項まで」を「及び同条第二項又は第三項」に改める。
(地方公務員法の一部改正)
第十四条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項第一号の二の次に次の一号を加える。
一の三 地方公営企業の管理者及び企業団の企業長の職
(地方公営企業労働関係法の一部改正)
第十五条 地方公営企業労働関係法(昭和二十七年法律第二百八十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第八号中「第四項」を「第三項」に改め、「条例」の下に「又は規約」を加える。
第十七条の見出しを「(地方公営企業法の準用)」に改め、同条第一項中「地方公営企業法」の下に「第三十七条、第三十八条及び」を加え、同条第二項中「第三十七条、第三十八条及び」を削り、「第三十七条第一項」を「第三十九条第二項」に改める。
第十六条 前条の規定による改正後の地方公営企業労働関係法第三条第一項第八号中「第三項」とあるのは、附則第一条第三号に掲げる日までは、「第四項」と読み替えるものとする。
(自治省設置法の一部改正)
第十七条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第十七条第十五号の次に次の一号を加える。
十五の二 地方公営企業法第七章の規定による地方公営企業の財政再建計画及びその変更の承認並びに地方公営企業の財政運営の改善のための措置等に関すること。
第二十三条の五を削る。
附則中第六項を削り、第七項を第六項とする。
労働大臣 小平久雄
自治大臣 永山忠則
内閣総理大臣 佐藤栄作