被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法
法令番号: 法律第八十七号
公布年月日: 平成元年12月22日
法令の形式: 法律
被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
平成元年十二月二十二日
内閣総理大臣 海部俊樹
法律第八十七号
被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、被用者年金制度間の給付と負担の両面にわたる調整を図るための被用者年金制度全体の見直しの措置が完了するまでの間において、当面講ずべき措置として、厚生年金保険の管掌者たる政府及び共済組合が支給する老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付に要する費用に係る負担に関して各制度の共通性等に配意して算定される金額について被用者年金保険者間において調整するための特別の措置を講じ、もって被用者年金制度全体の安定と整合性ある発展に資することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 旧厚生年金保険法 国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年国民年金改正法」という。)第三条の規定による改正前の厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)をいう。
二 旧交渉法 昭和六十年国民年金改正法附則第二条第一項の規定による廃止前の厚生年金保険及び船員保険交渉法(昭和二十九年法律第百十七号)をいう。
三 共済各法 次に掲げる法律をいう。
イ 国家公務員等共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)
ロ 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)
ハ 私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)
ニ 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)
四 共済組合 法律によって組織された共済組合をいう。
五 年金保険者たる共済組合 国家公務員等共済組合連合会及び国家公務員等共済組合法第百十一条の三第一項に規定する適用法人の組合、地方公務員共済組合連合会、私立学校教職員共済組合並びに農林漁業団体職員共済組合をいう。
六 被用者年金保険者 厚生年金保険の管掌者たる政府又は年金保険者たる共済組合をいう。
(管掌)
第三条 制度間調整事業(被用者年金保険者が第七条、第八条及び第十条に定めるところにより負担し、又は納付する調整拠出金をもって、次条、第五条及び第九条に定めるところにより調整交付金を負担し、又は交付する事業をいう。以下同じ。)は、政府が管掌する。
(調整交付金)
第四条 政府は、政令で定めるところにより、次に掲げる金額を調整交付金として負担する。
一 その受給権者が六十歳以上である老齢厚生年金等(厚生年金保険法による老齢厚生年金及び特例老齢年金をいう。以下この号及び次号において同じ。)の給付に要する額(その受給権者が厚生年金保険の被保険者であることその他政令で定める事由によりその全部又は一部の支給が停止されている老齢厚生年金等の給付に要する額にあっては、その支給が停止されていないとしたならば支給されるべき老齢厚生年金等の給付に要する額とし、厚生年金基金の加入員であった厚生年金保険の被保険者期間(昭和六十年国民年金改正法附則第四十七条第一項の規定又は他の法令の規定により厚生年金保険の被保険者であった期間とみなされる期間に係る被保険者期間を含み、その計算について同条第二項から第四項までの規定の適用があった場合には、その適用がないものとして計算した被保険者期間とする。以下この号及び次号において同じ。)を有する老齢厚生年金等の受給権者に係る当該老齢厚生年金等の給付に要する額にあっては、当該期間が厚生年金基金の加入員でなかった厚生年金保険の被保険者期間であるとしたならば支給されるべき老齢厚生年金等の給付に要する額とする。)のうち、昭和三十六年四月一日以後の厚生年金保険の被保険者期間に係る部分の給付に要する額から、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)による老齢基礎年金の給付に要する額に相当するものとして政令で定める額(以下この条及び次条において「老齢基礎年金相当額」という。)を控除して得た額に相当する金額
二 老齢厚生年金等の受給権を有しない六十歳以上の厚生年金保険の被保険者が厚生年金保険の被保険者でないとしたならば受給権を有することができる老齢厚生年金等の給付に要する額(当該被保険者が厚生年金基金の加入員であった厚生年金保険の被保険者期間を有している場合にあっては、当該期間が厚生年金基金の加入員でなかった厚生年金保険の被保険者期間であるとしたならば支給されるべき老齢厚生年金等の給付に要する額)のうち、昭和三十六年四月一日以後の厚生年金保険の被保険者期間に係る部分の給付に要する額から、老齢基礎年金相当額を控除して得た額に相当する金額
三 その受給権者が六十歳以上である老齢年金等(旧厚生年金保険法による老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金をいう。以下この号及び次号において同じ。)の給付に要する額(その受給権者が厚生年金保険の被保険者であることその他政令で定める事由によりその全部又は一部の支給が停止されている老齢年金等の給付に要する額にあっては、その支給が停止されていないとしたならば支給されるべき老齢年金等の給付に要する額とし、厚生年金基金の加入員であった厚生年金保険の被保険者期間(昭和六十年国民年金改正法附則第四十七条第一項の規定又は他の法令の規定により厚生年金保険の被保険者であった期間とみなされる期間に係る被保険者期間を含み、その計算について旧厚生年金保険法第十九条第三項又は旧交渉法第二条第二項(旧交渉法第三条の二第二項及び第五条第二項において準用する場合を含む。)の規定の適用があった場合には、その適用がないものとして計算した被保険者期間とする。以下この号及び次号において同じ。)を有する老齢年金等の受給権者に係る当該老齢年金等の給付に要する額にあっては、当該期間が厚生年金基金の加入員でなかった厚生年金保険の被保険者期間であるとしたならば支給されるべき老齢年金等の給付に要する額とする。)のうち、昭和三十六年四月一日以後の厚生年金保険の被保険者期間に係る部分の給付に要する額から、老齢基礎年金相当額を控除して得た額に相当する金額
四 老齢年金等の受給権を有しない六十歳以上の厚生年金保険の被保険者が厚生年金保険の被保険者でないとしたならば受給権を有することができる老齢年金等の給付に要する額(当該被保険者が厚生年金基金の加入員であった厚生年金保険の被保険者期間を有している場合にあっては、当該期間が厚生年金基金の加入員でなかった厚生年金保険の被保険者期間であるとしたならば支給されるべき老齢年金等の給付に要する額)のうち、昭和三十六年四月一日以後の厚生年金保険の被保険者期間に係る部分の給付に要する額から、老齢基礎年金相当額を控除して得た額に相当する金額
五 その受給権者が六十歳以上である船員老齢年金等(昭和六十年国民年金改正法附則第八十七条第二項の規定により厚生年金保険の管掌者たる政府が支給するものとされた年金たる保険給付であって老齢を支給事由とするものをいう。以下この号及び次号において同じ。)の給付に要する額(その受給権者が厚生年金保険の被保険者であることその他政令で定める事由によりその全部又は一部の支給が停止されている船員老齢年金等の給付に要する額にあっては、その支給が停止されていないとしたならば支給されるべき船員老齢年金等の給付に要する額とし、厚生年金基金の加入員であった厚生年金保険の被保険者期間(昭和六十年国民年金改正法附則第四十七条第一項の規定又は他の法令の規定により厚生年金保険の被保険者であった期間とみなされる期間に係る被保険者期間を含み、その計算について同条第二項から第四項までの規定の適用があった場合(旧交渉法第三条第二項(旧交渉法第四条第二項及び第六条第二項において準用する場合を含む。)の規定の適用があった場合を除く。)には、その適用がないものとして計算した被保険者期間とする。以下この号及び次号において同じ。)を有する船員老齢年金等の受給権者に係る当該船員老齢年金等の給付に要する額にあっては、当該期間が厚生年金基金の加入員でなかった厚生年金保険の被保険者期間であるとしたならば支給されるべき船員老齢年金等の給付に要する額とする。)のうち、昭和三十六年四月一日以後の厚生年金保険の被保険者期間に係る部分の給付に要する額であって旧厚生年金保険法による老齢年金、通算老齢年金又は特例老齢年金の額に相当するものとして政令で定める部分から、老齢基礎年金相当額を控除して得た額に相当する金額
六 船員老齢年金等の受給権を有しない六十歳以上の厚生年金保険の被保険者が厚生年金保険の被保険者でないとしたならば受給権を有することができる船員老齢年金等の給付に要する額(当該被保険者が厚生年金基金の加入員であった厚生年金保険の被保険者期間を有している場合にあっては、当該期間が厚生年金基金の加入員でなかった厚生年金保険の被保険者期間であるとしたならば支給されるべき船員老齢年金等の給付に要する額)のうち、昭和三十六年四月一日以後の厚生年金保険の被保険者期間に係る部分の給付に要する額であって旧厚生年金保険法による老齢年金、通算老齢年金又は特例老齢年金の額に相当するものとして政令で定める部分から、老齢基礎年金相当額を控除して得た額に相当する金額
第五条 政府は、政令で定めるところにより、毎年度、次に掲げる金額を年金保険者たる共済組合に対して調整交付金として交付する。
一 その受給権者が六十歳以上である退職共済年金(共済組合が支給する退職共済年金をいう。以下この号及び次号において同じ。)の給付に要する額(その受給権者が共済組合の組合員又は農林漁業団体職員共済組合の任意継続組合員(以下「組合員等」という。)であることその他政令で定める事由によりその全部若しくは一部の支給が停止されている退職共済年金の給付に要する額又はその受給権者が所得(共済各法に規定する所得金額をいう。第三号において同じ。)を有する場合において当該所得があることを理由としてその一部の支給が停止されている退職共済年金の給付に要する額にあっては、その支給が停止されていないとしたならば支給されるべき退職共済年金の給付に要する額)のうち、昭和三十六年四月一日以後の共済組合の組合員期間(他の法令の規定により共済組合の組合員であった期間とみなされる期間に係る組合員期間、他の法令の規定により当該組合員期間に算入される期間その他政令で定める期間を含み、国家公務員等共済組合の組合員期間又は地方公務員共済組合の組合員期間の計算について国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第百五号)附則第三十二条第一項若しくは第二項又は地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第百八号)附則第三十五条第一項若しくは第二項の規定の適用があった場合には、それぞれその適用がないものとして計算した組合員期間とする。次号において同じ。)又は同日以後の農林漁業団体職員共済組合の任意継続組合員であった期間(他の法令の規定により農林漁業団体職員共済組合の任意継続組合員であった期間とみなされる期間に係るものを含む。以下この条において同じ。)に係る部分の給付に要する額であって厚生年金保険法による老齢厚生年金の額に相当するものとして政令で定める部分から、老齢基礎年金相当額を控除して得た額に相当する金額
二 退職共済年金の受給権を有しない六十歳以上の組合員等が組合員等でないとしたならば受給権を有することができる退職共済年金の給付に要する額のうち、昭和三十六年四月一日以後の共済組合の組合員期間又は同日以後の農林漁業団体職員共済組合の任意継続組合員であった期間に係る部分の給付に要する額であって厚生年金保険法による老齢厚生年金の額に相当するものとして政令で定める部分から、老齢基礎年金相当額を控除して得た額に相当する金額
三 その受給権者が六十歳以上である退職年金等(共済組合が支給する退職年金、減額退職年金及び通算退職年金をいう。以下この号において同じ。)の給付に要する額(その受給権者が組合員等であることその他政令で定める事由によりその全部若しくは一部の支給が停止されている退職年金等の給付に要する額又はその受給権者が所得を有する場合において当該所得があることを理由としてその一部の支給が停止されている退職年金等の給付に要する額にあっては、その支給が停止されていないとしたならば支給されるべき退職年金等の給付に要する額)のうち、昭和三十六年四月一日以後の共済組合の組合員期間(他の法令の規定により共済組合の組合員であった期間とみなされる期間に係る組合員期間、他の法令の規定により当該組合員期間に算入される期間その他政令で定める期間を含む。)又は同日以後の農林漁業団体職員共済組合の任意継続組合員であった期間に係る部分の給付に要する額であって旧厚生年金保険法による老齢年金又は通算老齢年金の額に相当するものとして政令で定める部分から、老齢基礎年金相当額を控除して得た額に相当する金額
第六条 前二条及び第九条に定めるところにより政府が負担し、又は交付する調整交付金は、次条、第八条及び第十条に定めるところにより厚生年金保険の管掌者たる政府が負担し、又は年金保険者たる共済組合が納付する調整拠出金をもって充てる。
(調整拠出金)
第七条 厚生年金保険の管掌者たる政府は、毎年度、調整交付金の負担及び交付に要する費用に充てるため、調整拠出金を負担する。
2 年金保険者たる共済組合は、毎年度、調整交付金の負担及び交付に要する費用に充てるため、調整拠出金を納付する。
第八条 前条の規定により被用者年金保険者が負担し、又は納付する調整拠出金の額は、次の各号に掲げる被用者年金保険者につき、政令で定めるところにより算定した当該各号に定める総額(以下「標準報酬総額」という。)に共通負担率(厚生省令で定めるところにより、当該年度における第四条各号及び第五条各号に規定する金額の総額を標準報酬総額の合計額で除して得た率をいう。以下同じ。)を乗じて得た額とする。
一 厚生年金保険の管掌者たる政府 昭和六十三年度の六十歳未満の被保険者ごとの厚生年金保険法に規定する標準報酬月額(厚生年金保険の第四種被保険者にあっては昭和六十年国民年金改正法附則第五十条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた旧厚生年金保険法第二十六条に規定する標準報酬月額又は昭和六十年国民年金改正法附則第五十条第二項において準用する昭和六十年国民年金改正法附則第三十九条第三項に規定する額とし、厚生年金保険の船員任意継続被保険者にあっては昭和六十年国民年金改正法附則第五十条第三項に規定する標準報酬月額とする。)の同年度の合計額の総額
二 国家公務員等共済組合連合会 国家公務員等共済組合連合会を組織する共済組合の昭和六十三年度の六十歳未満の組合員(政令で定める者を除く。)ごとの国家公務員等共済組合法に規定する標準報酬の月額の同年度の合計額の総額
三 国家公務員等共済組合法第百十一条の三第一項に規定する適用法人の組合 各組合につき、昭和六十三年度の六十歳未満の組合員(政令で定める者を除く。)ごとの同法に規定する標準報酬の月額の同年度の合計額の総額
四 地方公務員共済組合連合会 地方公務員共済組合連合会を組織する共済組合の昭和六十三年度の六十歳未満の組合員(政令で定める者を除く。)ごとの地方公務員等共済組合法に規定する給料の月額を政令で定めるところにより補正した額の同年度の合計額の総額
五 私立学校教職員共済組合 昭和六十三年度の六十歳未満の組合員(政令で定める者を除く。)ごとの私立学校教職員共済組合法に規定する標準給与の月額の同年度の合計額の総額
六 農林漁業団体職員共済組合 昭和六十三年度の六十歳未満の組合員(任意継続組合員を含む。)ごとの農林漁業団体職員共済組合法に規定する標準給与(任意継続組合員にあっては、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律(昭和六十年法律第百七号)附則第三条第三項に規定する標準給与)の月額の同年度の合計額の総額
2 前項に規定するもののほか、年金保険者たる共済組合に係る調整拠出金の納付に関し必要な事項は、政令で定める。
(実質交付保険者に係る調整交付金の額の調整)
第九条 実質交付保険者(個別負担率が共通負担率を上回る被用者年金保険者をいう。以下この条において同じ。)が、当該実質交付保険者の実質交付率(当該実質交付保険者に係る個別負担率から共通負担率を控除して得た率をいう。以下同じ。)並びに年金たる給付に関する事業に係る財政状況及び当該事業の運営状況に関して政令で定める要件に該当するときは、当該実質交付保険者(以下この条において「調整対象交付保険者」という。)に係る調整交付金の額は、第四条又は第五条の規定にかかわらず、調整対象交付保険者ごとに、第四条各号又は第五条各号に規定する金額から調整額を控除して得た額とする。
2 前項の個別負担率は、厚生省令で定めるところにより、被用者年金保険者ごとに、第四条各号又は第五条各号に規定する金額を当該被用者年金保険者の標準報酬総額で除して得た率とする。
3 第一項の調整額は、調整対象交付保険者ごとに、第四条各号又は第五条各号に規定する金額から当該調整対象交付保険者に係る調整拠出金の額を控除して得た額とする。
(実質拠出保険者に係る調整拠出金の額の調整)
第十条 実質拠出保険者(前条第二項の個別負担率が共通負担率を下回る被用者年金保険者をいう。以下同じ。)の実質拠出率(共通負担率から当該実質拠出保険者に係る同項の個別負担率を控除して得た率をいう。以下同じ。)が、すべての実質拠出保険者に係る実質拠出率の状況その他の事情を勘案して政令で定める率を上回るときは、当該実質拠出保険者(以下この条において「調整対象拠出保険者」という。)に係る調整拠出金の額は、第八条第一項の規定にかかわらず、調整対象拠出保険者ごとに、政令で定めるところにより、同項の規定により算定された額から、前条第三項の調整額の合計額にすべての調整対象拠出保険者の補正拠出額の合計額に対する当該調整対象拠出保険者の補正拠出額の割合を乗じて得た額を控除して得た額とする。
2 前項の補正拠出額は、調整対象拠出保険者ごとに、政令で定めるところにより、当該調整対象拠出保険者の標準報酬総額に、当該調整対象拠出保険者の実質拠出率から同項に規定する政令で定める率を控除して得た率を乗じて得た額とする。
(国庫負担)
第十一条 国庫は、毎年度、予算の範囲内で、制度間調整事業の事務の執行に要する費用を負担する。
(報告等)
第十二条 社会保険庁長官は、年金保険者たる共済組合に対し、当該年金保険者たる共済組合を所管する大臣を経由して、当該年金保険者たる共済組合に係る調整交付金及び調整拠出金の額の算定に必要な事項その他の制度間調整事業の運営に関し必要なものとして厚生省令で定める事項について報告を求めることができる。
2 各年金保険者たる共済組合は、厚生省令で定めるところにより、当該年金保険者たる共済組合を所管する大臣を経由して、前項の報告を行うものとする。
3 社会保険庁長官は、厚生省令で定めるところにより、第一項に規定する調整交付金及び調整拠出金の額の算定に必要な事項その他これに関連する事項で厚生省令で定めるものについて、年金保険者たる共済組合を所管する大臣に報告を行うものとする。
4 厚生大臣は、前三項に規定する厚生省令を定めるときは、年金保険者たる共済組合を所管する大臣に協議しなければならない。
第十三条 社会保険庁長官は、制度間調整事業の運営に関し必要があると認めるときは、年金保険者たる共済組合を所管する大臣に対し、当該年金保険者たる共済組合に係る前条第一項に規定する報告に関し監督上必要な命令を発し、又は当該職員に当該年金保険者たる共済組合の業務の状況を監査させることを求めることができる。
(政令への委任)
第十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二年四月一日から施行する。
(日本鉄道共済組合に係る調整交付金の特例減額措置)
第二条 平成二年度から平成四年度までの各年度の日本鉄道共済組合(国家公務員等共済組合法第八条第二項に規定する日本鉄道共済組合をいう。以下同じ。)に係る調整交付金の額は、第五条又は第九条の規定にかかわらず、これらの規定により算定された額から特例調整額を控除して得た額とする。
2 前項の特例調整額は、日本鉄道共済組合の標準報酬総額に、当該組合に係る実質交付率から当該組合の年金たる給付に関する事業に係る収入の状況その他の当該事業の財政状況を勘案して政令で定める率を控除して得た率を乗じて得た額とする。
(実質拠出保険者に係る調整拠出金の特例減額措置)
第三条 平成二年度から平成四年度までの各年度の実質拠出保険者に係る調整拠出金の額は、第八条又は第十条の規定にかかわらず、実質拠出保険者ごとに、これらの規定により算定された額から、前条第二項に規定する特例調整額にすべての実質拠出保険者の実質拠出額の合計額に対する当該実質拠出保険者の実質拠出額の割合を乗じて得た額を控除して得た額とする。
2 前項の実質拠出額は、実質拠出保険者ごとに、当該実質拠出保険者の第八条又は第十条の規定により算定された調整拠出金の額から当該実質拠出保険者の調整交付金の額を控除して得た額とする。
(適用)
第四条 第三条及び第六条の規定の平成二年度から平成四年度までの間における適用については、これらの規定中「及び第十条」とあるのは「、第十条及び附則第三条」と、「及び第九条」とあるのは「、第九条及び附則第二条」とする。
第五条 附則第八条の規定による改正後の国家公務員等共済組合法附則第二十条の三の規定の平成二年度から平成四年度までの間における適用については、同条中「以下「負担調整交付金」とあるのは「第三十五条の二第一項及び第九十九条第一項(同項第二号を除く。)において「負担調整交付金」と、「含み、負担調整交付金を除く。)」とあるのは「含み、負担調整交付金から被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法附則第二条第二項に規定する特例調整額を控除して得た額(第二号、附則第三条の二第三項、附則第十四条の十第一項及び附則第二十条第二項において「負担調整交付金」という。)を除く。)」とする。
2 附則第九条の規定による改正後の国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第百五号)附則第六十四条第三項の規定の平成二年度から平成四年度までの間における適用については、同項中「規定する額)」とあるのは、「規定する額)から同法附則第二条第二項に規定する特例調整額のうち同号に係るものを控除して得た額」とする。
(見直し)
第六条 政府は、平成四年度までの間に、制度間調整事業について、公的年金制度の一元化を展望しつつ、その運営の状況活等を勘案して見直しを行うものとする。
(厚生年金保険法の一部改正)
第七条 厚生年金保険法の一部を次のように改正する。
附則第十八条から第二十三条までを次のように改める。
(国庫負担及び保険料の特例)
第十八条 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第三条の制度間調整事業が同法の規定により行われる場合には、第八十条第二項中「基礎年金拠出金」とあるのは「基礎年金拠出金及び厚生年金保険の管掌者たる政府が被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法第七条第一項の規定により負担する調整拠出金(以下単に「調整拠出金」という。)」と、第八十一条第一項及び第四項中「基礎年金拠出金」とあるのは「基礎年金拠出金及び調整拠出金」と、同項中「及び国庫負担の額」とあるのは「、国庫負担及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法第四条(同法第九条の規定の適用がある場合には、同条第一項)の規定による調整交付金の額」とする。
第十九条から第二十三条まで 削除
(国家公務員等共済組合法の一部改正)
第八条 国家公務員等共済組合法の一部を次のように改正する。
附則第二十条の三を附則第二十条の四とし、附則第二十条の二の次に次の一条を加える。
(制度間調整事業が行われる場合における組合及び連合会の業務等の特例)
第二十条の三 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第三条の制度間調整事業が同法の規定により行われる場合には、第三条第四項中「及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第九十四条の二第二項に規定する基礎年金拠出金(以下「基礎年金拠出金」という。)」とあるのは「、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第九十四条の二第二項に規定する基礎年金拠出金(以下「基礎年金拠出金」という。)及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第七条第二項に規定する調整拠出金(以下「負担調整拠出金」という。)」と、第二十一条第二項第一号中「基礎年金拠出金」とあるのは「基礎年金拠出金及び負担調整拠出金」と、第二十四条第一項第七号中「を含む」とあるのは「及び負担調整拠出金を含み、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法第五条(同法第九条の規定の適用がある場合には、同条第一項)に規定する調整交付金(以下「負担調整交付金」という。)に係るものを除く」と、第三十五条の二第一項中「を含む」とあるのは「及び負担調整拠出金を含み、負担調整交付金に係るものを除く」と、同条第二項中「基礎年金拠出金」とあるのは「基礎年金拠出金及び負担調整拠出金」と、「の額に」とあるのは「の額から被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法に規定する厚生年金保険に係る調整交付金の額で当該保険給付に係るものを控除した額に」と、第九十九条第一項中「及び基礎年金拠出金」とあるのは「、基礎年金拠出金及び負担調整拠出金」と、「含む。)」とあるのは「含み、負担調整交付金を除く。)」と、同項第二号中「を含み、」とあるのは「及び負担調整拠出金の納付に要する費用を含み、負担調整交付金及び」と、附則第三条の二第三項中「を含む」とあるのは「及び負担調整拠出金を含み、負担調整交付金に係るものを除く」と、同条第四項中「基礎年金拠出金」とあるのは「基礎年金拠出金及び負担調整拠出金」と、「の額に」とあるのは「の額から被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法に規定する厚生年金保険に係る調整交付金の額で当該保険給付に係るものを控除した額に」と、附則第十四条の十第一項中「を含み、」とあるのは「及び負担調整拠出金の納付に要する費用を含み、負担調整交付金及び」と、附則第二十条第二項中「負担される金額」とあるのは「負担される金額、負担調整交付金の額」とする。
(国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律の一部改正)
第九条 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。
附則第六十四条第一項中「含む」の下に「。第三項において同じ」を加え、同条に次の一項を加える。
3 前二項に規定するもののほか、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第三条の制度間調整事業が行われる場合には、旧共済法による年金の給付に要する費用のうち、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法第五条第三号に掲げる金額(同法第九条の規定の適用がある場合には、同条第一項に規定する額)については、当該制度間調整事業の管掌者たる政府が負担する。この場合において、第一項第五号中「前各号」とあるのは、「前各号及び第三項」として、同号の規定を適用する。
(地方公務員等共済組合法の一部改正)
第十条 地方公務員等共済組合法の一部を次のように改正する。
附則第四十条の二の次に次の一条を加える。
(制度間調整事業が行われる場合の長期給付積立金等の特例)
第四十条の三 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第三条の制度間調整事業が同法の規定により行われる場合には、第二十四条中「の負担を含む」とあるのは「及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第七条第二項に規定する調整拠出金(以下「負担調整拠出金」という。)に係る負担を含み、同法第五条(同法第九条の規定の適用がある場合には、同条第一項)に規定する調整交付金(以下「負担調整交付金」という。)に係るものを除く」と、第三十八条の八第一項中「の負担を含む」とあるのは「及び負担調整拠出金に係る負担を含み、負担調整交付金に係るものを除く」と、同条第三項中「組合の請求に基づき、その」とあるのは「組合の」と、「の負担を含む」とあるのは「及び負担調整拠出金に係る負担を含み、負担調整交付金に係るものを除く」と、同条第五項中「基礎年金拠出金」とあるのは「基礎年金拠出金及び負担調整拠出金」と、「の額に」とあるのは「の額から被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法に規定する厚生年金保険に係る調整交付金の額で当該保険給付に係るものを控除した額に」と、第百十三条第一項中「に係る負担に要する費用を含む」とあるのは「及び負担調整拠出金に係る負担に要する費用を含み、負担調整交付金を除く」と、「除く。)を含む」とあるのは「除く。)及び負担調整拠出金に係る負担に要する費用を含み、負担調整交付金を除く」と、第百四十二条第三項中「基礎年金拠出金」とあるのは「基礎年金拠出金及び負担調整拠出金」と、「に相当する金額」とあるのは「の額から被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法に規定する厚生年金保険に係る調整交付金の額で当該保険給付に係るものを控除した額に相当する金額」とする。
(地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律の一部改正)
第十一条 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
附則第百二十条中「含む」の下に「。次項において同じ」を加え、同条に次の一項を加える。
2 前項に規定するもののほか、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第三条の制度間調整事業が行われる場合には、旧共済法による年金である給付に要する費用のうち、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法第五条第三号に掲げる金額(同法第九条の規定の適用がある場合には、同条第一項に規定する額)については、当該制度間調整事業の管掌者たる政府が負担する。この場合において、前項第五号中「前各号」とあるのは、「前各号及び次項」として、同号の規定を適用する。
(私立学校教職員共済組合法の一部改正)
第十二条 私立学校教職員共済組合法の一部を次のように改正する。
附則第三十四項を附則第三十五項とし、附則第三十三項の次に次の一項を加える。
(制度間調整事業が行われる場合における組合の業務の特例)
34 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第三条の制度間調整事業が同法の規定により行われる場合には、第十八条第二項中「及び国民年金法の規定による基礎年金拠出金」とあるのは、「、国民年金法の規定による基礎年金拠出金及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の規定による調整拠出金」とする。
(農林漁業団体職員共済組合法の一部改正)
第十三条 農林漁業団体職員共済組合法の一部を次のように改正する。
附則に次の一条を加える。
(制度間調整事業が行われる場合における掛金の特例)
第十九条 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)第三条の制度間調整事業が同法の規定により行われる場合には、第五十四条第一項中「基礎年金拠出金」とあるのは、「基礎年金拠出金及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の規定による調整拠出金」とする。
(厚生保険特別会計法の一部改正)
第十四条 厚生保険特別会計法(昭和十九年法律第十号)の一部を次のように改正する。
第二十三条の次に次の五条を加える。
第二十四条 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号以下特別措置法ト称ス)ニ依ル制度間調整事業ノ経理ハ当分ノ間第一条ノ規定ニ拘ラズ之ヲ本会計ニ於テ行フモノトス
第二十五条 本会計ニ前条ノ制度間調整事業ノ経理ヲ明確ニスル為第二条ニ規定スル各勘定ノ外制度間調整勘定ヲ設ク
第二十六条 年金勘定ニ於テハ第五条ノ規定ニ依ルモノノ外制度間調整勘定ヨリノ受入金ヲ以テ其ノ歳入トシ同勘定へノ繰入金ヲ以テ其ノ歳出トス
第二十七条 制度間調整勘定ニ於テハ年金勘定ヨリノ受入金、特別措置法第二条第五号ニ規定スル年金保険者タル共済組合(以下単ニ共済組合ト称ス)ヨリノ拠出金及附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ年金勘定へノ繰入金、共済組合へノ交付金及附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
第二十八条 業務勘定ニ於テハ第六条ノ規定ニ依ルモノノ外制度間調整事業ノ業務取扱ニ関スル諸費ニ充ツル為ノ一般会計ヨリノ受入金ヲ以テ其ノ歳入トシ同事業ノ業務取扱ニ関スル諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
(厚生省設置法の一部改正)
第十五条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第九十四号の次に次の一号を加える。
九十四の二 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法(平成元年法律第八十七号)を施行すること。
第十一条第一項中「及び国民年金事業」を「、国民年金事業及び制度間調整事業」に改める。
第十二条中「掲げる事務」の下に「並びに制度間調整事業の実施に関する事務」を加える。
内閣総理大臣 海部俊樹
大蔵大臣 橋本龍太郎
文部大臣 石橋一弥
厚生大臣 戸井田三郎
農林水産大臣 鹿野道彦
自治大臣 渡部恒三