厚生年金保険及び船員保険交渉法
法令番号: 法律第117号
公布年月日: 昭和29年5月19日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

厚生年金保険法と船員保険法の改正案において、老齢年金及び遺族年金の給付基準を原則として同一とすることに伴い、両保険の被保険者期間を通算して年金を支給できるようにすることで、被保険者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上を図るものである。通算は老齢年金支給、老齢年金受給資格期間を満たした者の死亡による遺族年金支給、任意継続被保険者となるための期間計算の三つの場合に適用され、最後に被保険者であった保険において給付を行う。両保険の受給資格期間の違いを考慮した調整や、両保険間での年金受給権の調整も行い、費用は両特別会計で按分して負担する。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 厚生委員会 第33号

審議経過

第19回国会

衆議院
(昭和29年4月8日)
参議院
(昭和29年4月9日)
衆議院
(昭和29年4月10日)
(昭和29年4月13日)
参議院
(昭和29年4月13日)
衆議院
(昭和29年4月14日)
(昭和29年4月16日)
(昭和29年4月20日)
(昭和29年4月21日)
(昭和29年4月23日)
参議院
(昭和29年4月26日)
衆議院
(昭和29年4月27日)
参議院
(昭和29年4月30日)
(昭和29年5月6日)
(昭和29年5月7日)
(昭和29年5月11日)
(昭和29年5月14日)
衆議院
(昭和29年5月15日)
(昭和29年6月15日)
厚生年金保険及び船員保険交渉法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年五月十九日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百十七号
厚生年金保険及び船員保険交渉法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、被保険者の老齢又は死亡による保険給付に関して、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)による被保険者であつた期間と船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)による被保険者であつた期間とを通算することにより、これらの保険給付を受けることを容易ならしめ、もつて被保険者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
(被保険者期間の合算)
第二条 船員保険の被保険者又は船員保険の被保険者であつた者が、厚生年金保険の被保険者となつたときは、厚生年金保険法による老齢年金又は同法第五十八条第一号の規定による遺族年金に関しては、その者の船員保険の被保険者であつた期間は、厚生年金保険の第三種被保険者であつた期間とみなす。但し、左の各号に掲げる期間は、この限りでない。
一 船員保険法による脱退手当金の支給を受けた場合におけるその脱退手当金の計算の基礎となつた期間
二 国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)による共済組合の組合員(以下単に「組合員」という。)たる船員保険の被保険者であつた期間
三 組合員たる船員保険の被保険者となる前の船員保険の被保険者であつた期間
2 前項の者につき厚生年金保険の被保険者期間を計算する場合においては、その者の厚生年金保険の被保険者期間と、同項の規定によつて厚生年金保険の第三種被保険者であつた期間とみなされる期間に係る船員保険の被保険者であつた期間に三分の四を乗じて得た期間とを合算するものとする。
3 船員保険法第二十条の規定による被保険者(以下「船員保険の任意継続被保険者」という。)であつたことがある者については、前二項の規定は、適用しない。但し、船員保険の任意継続被保険者であつた期間を基礎として計算された脱退手当金の支給を受けた者については、この限りでない。
第三条 厚生年金保険の被保険者又は厚生年金保険の被保険者であつた者が、船員保険の被保険者(組合員たる船員保険の被保険者を除く。)となつたときは、船員保険法による老齢年金又は同法第五十条第一号の規定による遺族年金に関しては、その者の厚生年金保険の第四種被保険者以外の被保険者であつた期間(厚生年金保険法附則第四条第二項の規定により第一種被保険者であつた期間、第二種被保険者であつた期間又は第三種被保険者であつた期間とみなされる期間を含む。)は、漁船(船員保険法第三十四条第一項第二号に規定する漁船を除く。)以外の船舶に乗り組んだ船員保険の被保険者であつた期間とみなし、厚生年金保険の第四種被保険者であつた期間(厚生年金保険法附則第四条第三項の規定により第四種被保険者であつた期間とみなされる期間を含む。)は、船員保険の任意継続被保険者であつた期間とみなす。但し、厚生年金保険法による脱退手当金の支給を受けた場合におけるその脱退手当金の計算の基礎となつた期間は、この限りでない。
2 前項の者につき船員保険の被保険者であつた期間を計算する場合においては、その者の船員保険の被保険者であつた期間と、同項の規定によつて船員保険の被保険者であつた期間とみなされる期間に係る厚生年金保険の被保険者期間に四分の三を乗じて得た期間とを合算するものとする。
第四条 船員保険の任意続継被保険者であつたことがある者が、厚生年金保険の被保険者となつたときは、船員保険法による老齢年金又は同法第五十条第一号の規定による遺族年金に関しては、その者の厚生年金保険の被保険者の資格の取得及び喪失を船員保険の被保険者の資格の取得及び喪失とみなすほか、前条第一項の規定を準用する。
2 前条第二項の規定は、前項の者につき船員保険の被保険者であつた期間を計算する場合に準用する。
第五条 船員保険の被保険者又は船員保険の被保険者であつた者が、厚生年金保険の被保険者となり、その資格を喪失したときは、厚生年金保険の第四種被保険者の資格の取得及び喪失に関しては、その者の船員保険の被保険者であつた期間は、厚生年金保険の第三種被保険者であつた期間とみなす。但し、第二条第一項各号に掲げる期間は、この限りでない。
2 第二条第二項の規定は、前項の者につき厚生年金保険の被保険者期間を計算する場合に準用する。
第六条 厚生年金保険の被保険者又は厚生年金保険の被保険者であつた者が、船員保険の被保険者(組合員たる船員保険の被保険者を除く。)となり、その資格を喪失したときは、船員保険の任意継続被保険者の資格の取得及び喪失に関しては、その者の厚生年金保険の被保険者であつた期間(厚生年金保険法附則第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間とみなされる期間を含むものとし、厚生年金保険法による脱退手当金の支給を受けた場合におけるその脱退手当金の計算の基礎となつた期間を除く。)は、船員保険の被保険者であつた期間とみなす。但し、男子であつて、船員保険の被保険者の資格を喪失した際船員保険の被保険者であつた期間が七年六箇月以上であるものについては、その者の厚生年金保険の第一種被保険者又は第四種被保険者であつた期間(厚生年金保険法附則第四条第二項又は第三項の規定によりこれらの期間とみなされる期間を含む。)は、この限りでない。
2 第三条第二項の規定は、前項の者につき船員保険の被保険者であつた期間を計算する場合に準用する。
(第四種被保険者又は任意継続被保険者の資格に関する特例)
第七条 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した者が、厚生年金保険法第十五条第二項の期間内に船員保険の被保険者(組合員たる船員保険の被保険者を除く。)となつたときは、その者は、同法同条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の第四種被保険者となることができない。
2 厚生年金保険の第四種被保険者は、船員保険の被保険者(組合員たる船員保険の被保険者を除く。)となつたときは、その日に、厚生年金保険の被保険者の資格を喪失する。
3 船員保険の被保険者の資格を喪失した者が、船員保険法第二十条第一項の期間内に厚生年金保険の被保険者となつたときは、その者は、同法同条同項の規定にかかわらず、船員保険の任意継続被保険者となることができない。
(被保険者期間の計算の特例)
第八条 船員保険の被保険者が、その資格を喪失すべき事実があつた日に、さらに厚生年金保険の被保険者の資格を取得したときは、第二条第二項(第五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四条第二項において準用する第三条第二項の規定の適用については、船員保険法第十九条の規定にかかわらず、その者は、その日に船員保険の被保険者の資格を喪失したものとみなす。
2 厚生年金保険の被保険者が、その被保険者の資格を喪失すべき事実があつた日に、さらに船員保険の被保険者の資格を取得したときは、第三条第二項(第六条第二項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、厚生年金保険法第十四条の規定にかかわらず、その者は、その日に厚生年金保険の被保険者の資格を喪失したものとみなす。
第九条 船員保険の被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失し、その月にさらに厚生年金保険の被保険者の資格を取得したときは、第二条第二項(第五条第二項において準用する場合を含む。)又は第四条第二項において準用する第三条第二項の規定の適用については、船員保険法第二十二条第二項の規定にかかわらず、その月は、船員保険の被保険者であつた期間に算入しない。
2 厚生年金保険の被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失し、その月にさらに船員保険の被保険者の資格を取得したときは、第三条第二項(第六条第二項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、厚生年金保険法第十九条第二項本文の規定にかかわらず、その月は、厚生年金保険の被保険者期間に算入しない。
(標準報酬月額)
第十条 第二条第一項の規定により船員保険の被保険者であつた期間を厚生年金保険の被保険者であつた期間とみなす場合においては、その船員保険の被保険者であつた期間の各月の船員保険法による標準報酬月額を、それぞれその期間の各月の厚生年金保険法による標準報酬月額とみなす。
2 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間を船員保険の被保険者であつた期間とみなす場合においては、その厚生年金保険の被保険者であつた期間の各月の厚生年金保険法による標準報酬月額を、それぞれその期間の各月の船員保険法による標準報酬月額とみなす。
(船員保険法による老齢年金の受給資格の特例)
第十一条 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者については、船員保険法第三十四条中「五十五歳」とあるのは、「六十歳」と読み替えるものとする。但し、左の各号に掲げる者については、この限りでない。
一 厚生年金保険の第一種被保険者又は第四種被保険者であつた期間を計算に入れないで、船員保険の被保険者であつた期間が十五年以上である男子
二 厚生年金保険の第一種被保険者又は第四種被保険者であつた期間を計算に入れないで、三十五歳に達した後の船員保険の被保険者であつた期間が十一年三箇月以上(そのうち、七年六箇月以上は、船員保険の任意継続被保険者であつた期間以外の期間でなければならない。)である男子
三 女子
2 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者については、船員保険法第三十四条第一項第三号中「三十五歳」とあるのは、「四十歳」と読み替えるものとする。但し、前項第二号又は第三号に掲げる者については、この限りでない。
3 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者であつて、左の各号の一に該当するものは、船員保険法第三十四条第一項第三号の規定の適用については、四十歳(第二号に該当する者については、三十五歳)に達した後の同法第十七条の規定による被保険者であつた期間が七年六箇月以上であるものとみなす。
一 四十歳に達した後の厚生年金保険の第一種被保険者又は第三種被保険者としての被保険者期間が七年六箇月以上である者
二 三十五歳に達した後の厚生年金保険の第二種被保険者としての被保険者期間が七年六箇月以上である者
(船員保険法による老齢年金の額の特例)
第十二条 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者に対する船員保険法による老齢年金の額は、同法第三十五条の規定にかかわらず、左の各号に掲げる額を合算した額とする。
一 厚生年金保険法による基本年金額に相当する額
二 厚生年金保険の被保険者であつた期間を除外して船員保険法第三十五条の規定により計算した額から、二万四千円を控除した額
2 前項第一号に規定する厚生年金保険法による基本年金額を計算する場合においては、同法第三十四条第二項の規定は、適用しない。
第十三条 船員保険の任意継続被保険者であつた者であつて、船員保険法第二十一条第二号の規定に該当するに至る前に、第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の第一種被保険者又は第四種被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされるため、船員保険法第三十四条第一項第一号又は第三号に規定する期間を満たすに至つたにもかかわらず、同法第二十一条第二号の規定に該当するに至るまで船員保険の任意継続被保険者であつたものに支給する同法による老齢年金の額は、その者が六十歳に達するまでの間は、前条の規定にかかわらず、船員保険の被保険者であつた期間とみなされる厚生年金保険の第一種被保険者又は第四種被保険者であつた期間を除外して船員保険法第三十五条の規定により計算した額とする。
(老齢年金の失権)
第十四条 厚生年金保険法による老齢年金の受給権は、受給権者が船員保険の被保険者の資格を取得したときは、消滅する。但し、組合員たる船員保険の被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。
第十五条 船員保険法による老齢年金の受給権は、受給権者が厚生年金保険の被保険者の資格を取得したときは、消滅する。但し、同法第三十四条第一項第二号に該当する者に支給する老齢年金の受給権は、この限りでない。
2 船員保険法第三十四条第一項第二号に該当する者に支給する老齢年金の受給権は、受給権者が厚生年金保険法による老齢年金の受給権を取得したときは、消滅する。
3 厚生年金保険法第三十九条の規定は、前項の場合に準用する。
(老齢年金の支給停止)
第十六条 船員保険法第三十四条第一項第二号に該当する者に支給する老齢年金は、受給権者が厚生年金保険の被保険者である間は、その支給を停止する。
(老齢年金の受給資格の喪失)
第十七条 厚生年金保険法第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たしている者が、同法による老齢年金の受給権を取得する前に船員保険の被保険者の資格を取得したときは、その者は、その老齢年金を受ける資格を失う。但し、組合員たる船員保険の被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。
2 船員保険法第三十四条第一項第一号又は第三号に規定する期間を満たしている者が、同法による老齢年金の受給権を取得する前に厚生年金保険の被保険者の資格を取得したときは、その者は、その老齢年金を受ける資格を失う。
(任意継続被保険者であつたことがある者の老齢年金)
第十八条 第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者には、厚生年金保険法による老齢年金は、支給しない。
(老齢年金の受給資格を有する者が組合員となつた場合)
第十九条 第二条第一項の規定により船員保険の被保険者であつた期間が厚生年金保険の被保険者であつた期間とみなされ、又は第三条第一項若しくは第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者が、組合員たる船員保険の被保険者となつた場合において、その者が組合員たる船員保険の被保険者となる前に厚生年金保険法第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間又は船員保険法第三十四条第一項第一号若しくは第三号に規定する期間を満たしているときは、船員保険法第三十四条及び第三十七条の規定の適用については、その者は、船員保険の被保険者とならなかつたものとみなす。
2 前項の者に関しては、老齢年金及び遺族年金並びに組合員たる船員保険の被保険者となる前に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病に係る障害年金及び障害手当金については、船員保険法第十五条第一項、第二項及び第四項の規定は、適用しない。
(老齢年金と障害年金との調整)
第二十条 厚生年金保険法による老齢年金(同法第四十六条の規定により支給を停止されている老齢年金を除く。)及び船員保険法による障害年金(同法第四十三条第一項の規定により支給を停止されている障害年金を除く。)の受給権者には、左の区別によつて、その一を支給し、他の支給を停止する。船員保険法による老齢年金(同法第三十四条第一項第二号の規定による老齢年金及び同法第三十八条の規定により支給を停止されている老齢年金を除く。)及び厚生年金保険法による障害年金(同法第四十九条第一項又は第五十四条の規定により支給を停止されている障害年金を除く。)の受給権者についても、同様とする。
一 年金の額が異なるときは、高額の年金
二 年金の額が同じであるときは、障害年金
2 前項の規定により年金の額を比較する場合においては、船員保険法による老齢年金又は障害年金については、加給金の額を加算した額によるものとする。
3 第一項前段に規定する者が、同時に厚生年金保険法による障害年金の受給権を有するときは、同項の規定を適用しない。第一項後段に規定する者が、同時に船員保険法による障害年金の受給権を有するときも、同様とする。
4 厚生年金保険法第三十九条の規定は、第一項の場合に準用する。
(老齢年金と障害手当金との調整)
第二十一条 船員保険法による老齢年金の受給権者には、厚生年金保険法による障害手当金を支給しない。
2 厚生年金保険法による老齢年金の受給権者には、船員保険法による障害手当金を支給しない。但し、職務上の事由による障害手当金は、この限りでない。
(遺族年金の調整)
第二十二条 第二条第一項の規定により船員保険の被保険者であつた期間が厚生年金保険の被保険者であつた期間とみなされ、又は第三条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者が死亡した場合において、その者が最後に船員保険の被保険者であつたときは、その者が死亡前に厚生年金保険法第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たしていた場合においても、その者の遺族には、厚生年金保険法第五十八条第一号の規定による遺族年金を支給しない。第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者が死亡したときも、同様とする。
第二十三条 第二条第一項の規定により船員保険の被保険者であつた期間が厚生年金保険の被保険者であつた期間とみなされ、又は第三条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者が死亡した場合において、その者が最後に厚生年金保険の被保険者であつたときは、船員保険法第五十条第一号の規定による遺族年金は、その者が死亡前に船員保険の被保険者であつた期間とみなされる厚生年金保険の被保険者であつた期間を計算に入れないで船員保険法第三十四条第一項第一号又は第三号に規定する期間を満たしていた場合におけるその期間に基くものに限り、支給する。
2 前項の規定により支給する船員保険法第五十条第一号の規定による遺族年金は、同項に規定する者の遺族が厚生年金保険法第五十八条第一号の規定による遺族年金の受給権を有する間、その支給を停止する。但し、厚生年金保険法第五十八条第一号の規定による遺族年金の受給権を有する遺族(その遺族が二人以上であるときは、その全員)が、その遺族年金の支給を停止されている間は、この限りでない。
3 厚生年金保険法第三十九条の規定は、前項の場合に準用する。
第二十四条 第三条又は第四条の規定により船員保険の被保険者であつた期間と厚生年金保険の被保険者期間とを合算した期間に基く船員保険法第五十条第一号の規定による遺族年金については、同法の規定にかかわらず、厚生年金保険法第五十九条、第六十一条、第六十三条及び第六十五条から第六十八条までの規定を準用する。
第二十五条 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者が、そのみなされる期間の計算に入れないで船員保険法第三十四条第一項第一号又は第三号に規定する期間を満たした後に死亡した場合において、船員保険の被保険者であつた期間と厚生年金保険の被保険者期間とを合算した期間に基く船員保険法第五十条第一号の規定による遺族年金について、前条の規定により厚生年金保険法の遺族年金に関する規定が準用されるため、遺族年金の受給権者がないか、又は遺族年金の受給権を有する遺族(その遺族が二人以上であるときは、その全員)がその遺族年金の支給を停止されているときは、その受給権者がないか、又はその遺族年金の支給を停止されている間、その者の遺族に対し、船員保険の被保険者であつた期間とみなされる厚生年金保険の被保険者であつた期間を除外して計算した遺族年金を支給する。
2 厚生年金保険法第三十九条の規定は、前項の場合に準用する。
(遺族年金の額の特例)
第二十六条 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者が死亡した場合において、その者が死亡前に厚生年金保険法第四十二条第一項第二号又は第三号に規定する被保険者期間を満たしていたときは、その者の遺族に支給する遺族年金の額は、船員保険法第五十条ノ二第一項第一号の規定にかかわらず、二万四千円に平均標準報酬月額の千分の五に相当する額に二百四十を乗じて得た額を加算した額の百分の五十に相当する額とする。但し、その者が死亡前に船員保険法第三十四条第一項第一号に規定する期間を満たしていたときは、この限りでない。
(厚生年金保険法による遺族年金と船員保険法による遺族年金等との調整)
第二十七条 厚生年金保険の被保険者若しくは厚生年金保険の被保険者であつた者が船員保険の被保険者となつた後に死亡し、又は船員保険の被保険者若しくは船員保険の被保険者であつた者が厚生年金保険の被保険者となった後に死亡した場合において、その者の遺族が、同時に、厚生年金保険法による遺族年金及び船員保険法による寡婦年金、かん夫年金若しくは遺児年金を受けることができるとき、又は厚生年金保険法第五十八条第二号、第三号若しくは第四号の規定による遺族年金及び船員保険法第五十条第一号の規定による遺族年金を受けることができるときは、その遺族には、左の区別によつて、その一を支給し、他を支給しない。
一 年金の額が異なるときは、高額の年金
二 年金の額が同じであるときは、死亡した者が最後に被保険者であつた保険の年金
2 第二十条第二項の規定は、前項の規定により年金の額を比較する場合に準用する。この場合において、同条同項中「老齢年金又は障害年金」とあるのは「遺族年金、寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金」と、「加給金」とあるのは「加給金又は増額金」と読み替えるものとする。
3 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者が死亡した場合において、その者の遺族が船員保険法第五十条第一号の規定による遺族年金を受けることができるときは、その遺族には、同法による寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金を支給しない。
(脱退手当金の調整)
第二十八条 第二条第一項の規定により船員保険の被保険者であつた期間が厚生年金保険の被保険者であつた期間とみなされ、又は第三条第一項若しくは第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者であつて、厚生年金保険法第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間又は船員保険法第三十四条第一項第一号若しくは第三号に規定する期間を満たしたものに対しては、厚生年金保険法又は船員保険法による脱退手当金は、支給しない。
第二十九条 厚生年金保険法による脱退手当金の受給権者が船員保険の被保険者(組合員たる船員保険の被保険者を除く。)となつたとき、又は船員保険法による脱退手当金の受給権者が厚生年金保険の被保険者となつたときは、その被保険者である間は、当該脱退手当金を支給せず、その受給権者が船員保険法第三十四条第一項第一号若しくは第三号に規定する期間又は厚生年金保険法第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たすに至つたときは、当該脱退手当金の受給権は、消滅する。
2 前項の規定により脱退手当金を支給しない間は、当該脱退手当金の受給権の消滅時効は、その進行を停止する。
(保険給付費の負担の特例)
第三十条 第二条から第四条までの規定により合算された厚生年金保険の被保険者期間及び船員保険の被保険者であつた期間に基く厚生年金保険法又は船員保険法による保険給付については、当該保険給付に要する費用は、政令の定めるところにより、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計において負担する。
(国庫負担の特例)
第三十一条 第三条第一項又は第四条第一項の規定により厚生年金保険の第三種被保険者以外の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者に関する船員保険法による老齢年金及び同法第五十条第一号の規定による遺族年金に要する費用について国庫が負担する額は、同法第五十八条第一項の規定にかかわらず、保険給付に要する費用の百分の二十に相当する額から、保険給付に要する費用の百分の五に相当する額に第一号に掲げる額の同号から第三号までに掲げる額の合算額に対する割合を乗じて得た額を控除した額とする。
一 厚生年金保険の第三種被保険者以外の被保険者であつた期間の厚生年金保険法による平均標準報酬月額に厚生年金保険の第三種被保険者以外の被保険者としての被保険者期間の月数を乗じて得た額
二 厚生年金保険の第三種被保険者であつた期間の厚生年金保険法による平均標準報酬月額に厚生年金保険の第三種被保険者としての被保険者期間の月数を乗じて得た額
三 船員保険の被保険者であつた期間とみなされる厚生年金保険の被保険者であつた期間を計算に入れないで、船員保険法による平均標準報酬月額に船員保険の被保険者であつた期間の月数を乗じて得た額
(船員保険の積立金の移換の特例)
第三十二条 第二条第一項の規定により船員保険の被保険者であつた期間が厚生年金保険の被保険者であつた期間とみなされ、又は第三条第一項若しくは第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間が船員保険の被保険者であつた期間とみなされる者が組合員たる船員保険の被保険者となつた場合において、その者が組合員たる船員保険の被保険者となる前に厚生年金保険法第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間又は船員保険法第三十四条第一項第一号若しくは第三号に規定する期間を満たしているときは、船員保険法第十五条ノ四の規定は、適用しない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和二十九年五月一日から適用する。
2 第二条から第六条まで、第八条及び第九条の規定は、昭和二十九年五月一日において現に厚生年金保険又は船員保険の被保険者である者については、同日前に生じた事項に関しても、適用する。
3 この法律の適用については、厚生年金保険法附則第十六条第一項の規定により旧厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)による障害年金の例によつて支給する保険給付又は同条第四項の規定により支給する旧厚生年金保険法による脱退手当金は、それぞれ厚生年金保険法による障害年金又は脱退手当金とみなし、船員保険法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第百十六号)附則第七条の規定により従前の養老年金の例によつて支給する保険給付又は同法附則第十七条の規定により従前の例によつて支給する脱退手当金は、それぞれ船員保険法による老齢年金又は脱退手当金とみなす。
4 昭和二十九年五月一日において現に厚生年金保険の被保険者であつて船員保険法による養老年金の受給権を有する者又は同日において現に船員保険の被保険者であつて旧厚生年金保険法による養老年金の受給権を有する者が、厚生年金保険又は船員保険の被保険者の資格を喪失したときは、その者は、船員保険法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第百十六号)附則第七条の規定により従前の養老年金の例によつて支給する保険給付又は厚生年金保険法附則第十一条第一項の規定により支給する老齢年金の受給権を失う。
5 第二十条の規定は、昭和二十九年五月一日において現に船員保険法による養老年金及び旧厚生年金保険法による障害年金の受給権を有する者については、適用しない。
6 厚生年金保険法附則第九条の規定は、昭和二十九年五月一日前に船員保険の被保険者であつた者について、船員保険法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第百十六号)附則第十二条第一項の規定は、厚生年金保険法附則第四条第二項の規定により第三種被保険者であつた期間とみなされる期間がある者について、それぞれ準用する。
7 厚生年金保険法附則第九条第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定により同法第四十二条第一項第一号中「六十歳」とあるのが「五十五歳」、「五十六歳」、「五十七歳」、「五十八歳」又は「五十九歳」と読み替えられる者については、この法律の第十一条第一項及び第十三条中「六十歳」とあるのも、同じように読み替えるものとする。但し、船員保険法第三十四条第一項第一号に規定する期間を満たした者に限る。
8 船員保険法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第百十六号)附則第七条の規定により従前の養老年金の例によつて支給する保険給付を受ける権利を有する者については、厚生年金保険法第四十二条第一項第一号中「五十五歳」とあるのは、「五十歳」と読み替えるものとする。
9 船員保険法中改正法律(昭和二十年法律第二十四号)附則第二条第二項又は船員保険法の一部を改正する法律(昭和二十二年法律第百三号)附則第三条の規定により加算された期間がある者は、この法律の適用については、船員保険の任意継続被保険者であつたことがある者とみなす。但し、その期間を基礎として計算された脱退手当金の支給を受けた者は、この限りでない。
10 厚生保険特別会計法(昭和十九年法律第十号)の一部を次のように改正する。
第五条中「一般会計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル収入及」を「一般会計及船員保険特別会計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル収入並ニ」に、「並ニ同事業ノ福祉施設費又ハ営繕費ニ充ツル為ノ業務勘定へノ繰入金」を「、同事業ノ福祉施設費又ハ営繕費ニ充ツル為ノ業務勘定ヘノ繰入金及船員保険特別会計へノ繰入金」に改める。
11 船員保険特別会計法(昭和二十二年法律第二百三十六号)の一部を次のように改正する。
第三条中「一般会計」を「一般会計及び厚生保険特別会計年金勘定」に、「及び附属雑収入」を「並びに附属雑収入」に改め、「保険給付費」の下に「、厚生保険特別会計年金勘定への繰入金」を加える。
12 国家公務員共済組合法の一部を次のように改正する。
第八十二条第二号中「船員として」の上に「その者が組合員とならなかつたならば、」を加え、同条に次の一項を加える。
2 前項に規定する場合の外、船員たる組合員若しくは船員たる組合員であつた者又はこれらの者の遺族に対する給付は、組合員若しくは組合員であつた者又はこれらの者の遺族として受けるべき給付と、その者が組合員とならなかつたならば、船員保険の被保険者若しくは被保険者であつた者又はこれらの者の遺族として受けるべき船員保険法に規定する給付(失業に関する給付を除く。)とのうち、これらの者に有利ないずれか一つを支給するものとする。
第八十三条を次のように改める。
第八十三条 厚生年金保険及び船員保険交渉法(昭和二十九年法律第百十七号)第二条から第四条までの規定により厚生年金保険又は船員保険の老齢年金の受給資格期間を満たした者が、船員たる組合員となつたときは、船員たる組合員でない船員保険の被保険者であつた期間は、これを船員保険の被保険者でなかつたものとみなして、前条の規定を適用する。
第八十三条の二中「船員たる組合員」を「船員たる組合員若しくは船員たる組合員であつた者又はこれらの者の遺族」に改める。
第九十六条の三中「第八十二条」を「第八十二条第一項」に、「同条」を「同条同項」に改める。
大蔵大臣 小笠原三九郎
厚生大臣 草葉隆円
内閣総理大臣 吉田茂