産業組合中央金庫法
法令番号: 法律第四十二號
公布年月日: 大正12年4月6日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル產業組合中央金庫法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十二年四月五日
內閣總理大臣 男爵 加藤友三郞
大藏大臣 市來乙彥
農商務大臣 荒井賢太郞
法律第四十二號
產業組合中央金庫法
第一章 總則
第一條 產業組合中央金庫ハ法人トシ其ノ主タル事務所ヲ東京市ニ置ク
產業組合中央金庫ノ組織ハ有限責任トス
第二條 產業組合中央金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
主務大臣ニ於テ從タル事務所ヲ必要ナリトスルトキハ產業組合中央金庫ニ命シテ之ヲ設置セシムルコトヲ得
產業組合聯合會ハ產業組合中央金庫ノ業務ヲ代理スルコトヲ得
第三條 產業組合中央金庫ノ存立期間ハ設立許可ノ日ヨリ五十箇年トス但シ政府ノ認可ヲ經テ存立期間ヲ延長スルコトヲ得
第四條 產業組合中央金庫ノ資本金ハ三千萬圓トシ之ヲ三十萬口ニ分チ一口ノ金額ヲ百圓トス
產業組合中央金庫ハ資本金全額ノ拂込前ト雖出資者總會ノ決議ニ依リ政府ノ認可ヲ經テ資本金ヲ增加スルコトヲ得
第五條 政府、產業組合聯合會又ハ產業組合ノ外產業組合中央金庫ノ出資者タルコトヲ得ス
產業組合聯合會及產業組合ノ有スヘキ出資口數ハ二百口ヲ超ユルコトヲ得ス
第六條 政府ハ千五百萬圓ヲ限リ產業組合中央金庫ニ出資スヘシ政府ハ其ノ出資額ニ對シ設立當初ニ於テ五百萬圓ヲ拂込ミ爾後每年五百萬圓宛拂込ムモノトス政府以外ノ出資者ハ其ノ出資ニ對シ設立當初ニ於テ出資額ノ五分ノ一ヲ拂込ミ爾後十箇年間ニ其ノ殘餘ヲ拂込ムモノトス
政府ノ產業組合中央金庫ニ對シテ所有スヘキ持分ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條 產業組合法中產業組合ニ關スル規定ハ本法ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外產業組合中央金庫ニ付之ヲ準用ス
第八條 產業組合中央金庫ニハ所得稅及營業稅ヲ課セス
登錄稅法及印紙稅法中產業組合聯合會ニ關スル規定ハ產業組合中央金庫ニ付之ヲ準用ス
第二章 役員
第九條 產業組合中央金庫ニ理事長、副理事長各一人理事、監事各三人以上ヲ置ク
第十條 理事長ハ產業組合中央金庫ヲ代表シテ其ノ事務ヲ總理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理シ理事長缺員ノトキ其ノ職務ヲ行フ
副理事長及理事ハ理事長ヲ補助シ定款ノ定ムル所ニ從ヒ產業組合中央金庫ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ產業組合中央金庫ノ業務ヲ監查ス
第十一條 理事長、副理事長、理事及監事ハ主務大臣之ヲ任命ス
理事長、副理事長及理事ノ任期ハ五箇年監事ノ任期ハ三箇年トス但シ其ノ任期滿限ノ後再任ヲ命スルコトヲ得
第十二條 產業組合中央金庫ニ評議員二十名以內ヲ置キ主務大臣之ヲ任命ス但シ其ノ半數以上ハ產業組合關係者中ヨリ之ヲ選任スルコトヲ要ス
評議員ハ名譽職トシ定款ノ定ムル所ニ依リ業務經營ニ關スル重要ナル事項ニ就キ理事長ノ諮問ニ應スルモノトス
評議員ノ任期ハ三箇年トス
第三章 業務
第十三條 產業組合中央金庫ハ左ノ業務ヲ營ムモノトス
一 所屬產業組合聯合會又ハ所屬產業組合ニ對シ擔保ヲ徵セスシテ五箇年以內ノ定期償還貸付ヲ爲スコト
二 所屬產業組合聯合會又ハ所屬產業組合ニ對シ手形ノ割引又ハ當座預金貸越ヲ爲スコト
三 所屬產業組合聯合會又ハ所屬產業組合ノ爲ニ爲替業務ヲ爲スコト
四 產業組合聯合會、產業組合、公共團體其ノ他營利ヲ目的トセサル法人ヨリ預リ金ヲ爲スコト
第十四條 產業組合中央金庫ハ必要アリト認メタル場合ニ於テハ擔保ヲ徵シテ前條第一號及第二號ノ業務ヲ爲スコトヲ得
第十五條 產業組合中央金庫ハ左ノ方法ニ依ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコトヲ得ス
一 國債又ハ公債ノ買入、大藏省預金部若ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル銀行ヘノ預金又ハ郵便預金ト爲スコト
一 產業組合聯合會又ハ產業組合ニ對シ短期貸付ヲ爲スコト
第十六條 產業組合中央金庫ハ本法ニ記載セサル業務ヲ營ムコトヲ得ス
第四章 產業債券
第十七條 產業組合中央金庫ハ拂込金額ノ十倍ヲ限リ產業債券ヲ發行スルコトヲ得但シ貸付金現在高割引手形現在高及其ノ所有ニ係ル有價證券現在高ヲ超過スルコトヲ得ス
產業債券ノ發行ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
所得稅法及登錄稅法中社債ニ關スル規定ハ產業債券ニ付之ヲ準用ス
第十八條 產業債券ハ券面金額五拾圓以上トシ無記名利札附トス但シ應募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲スコトヲ得
第十九條 產業組合中央金庫ハ產業債券借換ノ爲一時第十七條ノ制限ニ依ラス低利ノ產業債券ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ產業債券ヲ發行シタルトキハ發行後一箇月以內ニ抽籤ヲ以テ其ノ發行券面金額ニ相當スル舊產業債券ヲ償還スヘシ
第二十條 產業組合中央金庫ニ於テ產業債券ヲ發行セムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第二十一條 產業債券ノ消滅時效ハ元金ニ在リテハ十五箇年、利子ニ在リテハ五箇年ヲ以テ完成ス
第二十二條 產業債券ノ模造ニ關シテハ通貨及證券模造取締法ヲ準用ス
第五章 計算
第二十三條 產業組合中央金庫ノ事業年度ハ一箇年トス
第二十四條 產業組合中央金庫ハ每事業年度ニ於テ準備金トシテ剩餘金ノ十分ノ一以上ヲ積立ツヘシ
第六章 監督及補助
第二十五條 主務大臣ハ產業組合中央金庫ノ業務ヲ監督ス
本法中主務大臣トアルハ農商務大臣及大藏大臣トス
第二十六條 產業組合中央金庫ハ其ノ定款ヲ變更セムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第二十七條 產業組合中央金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ剩餘金ノ處分ヲ爲スコトヲ得ス
第二十八條 產業組合中央金庫ハ主務大臣ノ命令ニ從ヒ其ノ業務ニ關スル諸般ノ狀況及計算報告書ヲ差出スヘシ
第二十九條 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ產業組合中央金庫ノ貸付又ハ割引ノ金額若ハ方法ヲ制限スルコトヲ得
第三十條 產業組合中央金庫ノ貸付金利子ノ最高步合ハ每事業年度ノ初ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ經テ之ヲ定ムヘシ其ノ事業年度內ニ於テ之ヲ變更セムトスルトキ亦同シ
第三十一條 主務大臣ハ特ニ產業組合中央金庫監理官ヲ置キ產業組合中央金庫ノ業務ヲ監視セシム
第三十二條 產業組合中央金庫監理官ハ何時ニテモ產業組合中央金庫ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
產業組合中央金庫監理官ハ監視上必要ナリト認ムルトキハ何時ニテモ產業組合中央金庫ニ命シテ業務上諸般ノ計算及狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
產業組合中央金庫監理官ハ出資者總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得但シ議決ノ數ニ加ハルコトヲ得ス
第三十三條 產業組合中央金庫ハ創立初期ヨリ十五箇年間政府ノ出資ニ對シ剩餘金ノ配當ヲ爲スコト要セス
第七章 罰則
第三十四條 左ノ場合ニ於テハ產業組合中央金庫ノ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ百圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受クヘキ場合ニ其ノ認可ヲ受ケサルトキ
二 主務大臣ノ命令ニ反シタルトキ
三 第十五條ノ規定ニ反シ業務上ノ餘裕金ヲ使用シタルトキ
四 第十六條ノ規定ニ反シ本法ニ規定セサル業務ヲ營ミタルトキ
五 第十七條第一項及第十九條第二項ノ規定ニ反シタルトキ
第三十五條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前條ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第三十六條 主務大臣ハ設立委員ヲ置キ產業組合中央金庫ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
第三十七條 設立委員ハ定款ヲ作リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル後出資者ヲ募集ス
第三十八條 設立委員ハ出資者ノ募集ヲ終リタルトキハ出資申立者ヲ主務大臣ニ提出シ產業組合中央金庫設立ノ許可ヲ禀請スヘシ
前項ノ許可ヲ受ケタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資第一囘ノ拂込ヲ爲サシムルコトヲ要ス
第三十九條 創立總會終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ產業組合中央金庫理事長ニ引渡スヘシ
第四十條 產業組合中央金庫設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル産業組合中央金庫法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十二年四月五日
内閣総理大臣 男爵 加藤友三郎
大蔵大臣 市来乙彦
農商務大臣 荒井賢太郎
法律第四十二号
産業組合中央金庫法
第一章 総則
第一条 産業組合中央金庫ハ法人トシ其ノ主タル事務所ヲ東京市ニ置ク
産業組合中央金庫ノ組織ハ有限責任トス
第二条 産業組合中央金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ従タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
主務大臣ニ於テ従タル事務所ヲ必要ナリトスルトキハ産業組合中央金庫ニ命シテ之ヲ設置セシムルコトヲ得
産業組合連合会ハ産業組合中央金庫ノ業務ヲ代理スルコトヲ得
第三条 産業組合中央金庫ノ存立期間ハ設立許可ノ日ヨリ五十箇年トス但シ政府ノ認可ヲ経テ存立期間ヲ延長スルコトヲ得
第四条 産業組合中央金庫ノ資本金ハ三千万円トシ之ヲ三十万口ニ分チ一口ノ金額ヲ百円トス
産業組合中央金庫ハ資本金全額ノ払込前ト雖出資者総会ノ決議ニ依リ政府ノ認可ヲ経テ資本金ヲ増加スルコトヲ得
第五条 政府、産業組合連合会又ハ産業組合ノ外産業組合中央金庫ノ出資者タルコトヲ得ス
産業組合連合会及産業組合ノ有スヘキ出資口数ハ二百口ヲ超ユルコトヲ得ス
第六条 政府ハ千五百万円ヲ限リ産業組合中央金庫ニ出資スヘシ政府ハ其ノ出資額ニ対シ設立当初ニ於テ五百万円ヲ払込ミ爾後毎年五百万円宛払込ムモノトス政府以外ノ出資者ハ其ノ出資ニ対シ設立当初ニ於テ出資額ノ五分ノ一ヲ払込ミ爾後十箇年間ニ其ノ残余ヲ払込ムモノトス
政府ノ産業組合中央金庫ニ対シテ所有スヘキ持分ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七条 産業組合法中産業組合ニ関スル規定ハ本法ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外産業組合中央金庫ニ付之ヲ準用ス
第八条 産業組合中央金庫ニハ所得税及営業税ヲ課セス
登録税法及印紙税法中産業組合連合会ニ関スル規定ハ産業組合中央金庫ニ付之ヲ準用ス
第二章 役員
第九条 産業組合中央金庫ニ理事長、副理事長各一人理事、監事各三人以上ヲ置ク
第十条 理事長ハ産業組合中央金庫ヲ代表シテ其ノ事務ヲ総理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理シ理事長欠員ノトキ其ノ職務ヲ行フ
副理事長及理事ハ理事長ヲ補助シ定款ノ定ムル所ニ従ヒ産業組合中央金庫ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ産業組合中央金庫ノ業務ヲ監査ス
第十一条 理事長、副理事長、理事及監事ハ主務大臣之ヲ任命ス
理事長、副理事長及理事ノ任期ハ五箇年監事ノ任期ハ三箇年トス但シ其ノ任期満限ノ後再任ヲ命スルコトヲ得
第十二条 産業組合中央金庫ニ評議員二十名以内ヲ置キ主務大臣之ヲ任命ス但シ其ノ半数以上ハ産業組合関係者中ヨリ之ヲ選任スルコトヲ要ス
評議員ハ名誉職トシ定款ノ定ムル所ニ依リ業務経営ニ関スル重要ナル事項ニ就キ理事長ノ諮問ニ応スルモノトス
評議員ノ任期ハ三箇年トス
第三章 業務
第十三条 産業組合中央金庫ハ左ノ業務ヲ営ムモノトス
一 所属産業組合連合会又ハ所属産業組合ニ対シ担保ヲ徴セスシテ五箇年以内ノ定期償還貸付ヲ為スコト
二 所属産業組合連合会又ハ所属産業組合ニ対シ手形ノ割引又ハ当座預金貸越ヲ為スコト
三 所属産業組合連合会又ハ所属産業組合ノ為ニ為替業務ヲ為スコト
四 産業組合連合会、産業組合、公共団体其ノ他営利ヲ目的トセサル法人ヨリ預リ金ヲ為スコト
第十四条 産業組合中央金庫ハ必要アリト認メタル場合ニ於テハ担保ヲ徴シテ前条第一号及第二号ノ業務ヲ為スコトヲ得
第十五条 産業組合中央金庫ハ左ノ方法ニ依ルノ外業務上ノ余裕金ヲ運用スルコトヲ得ス
一 国債又ハ公債ノ買入、大蔵省預金部若ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル銀行ヘノ預金又ハ郵便預金ト為スコト
一 産業組合連合会又ハ産業組合ニ対シ短期貸付ヲ為スコト
第十六条 産業組合中央金庫ハ本法ニ記載セサル業務ヲ営ムコトヲ得ス
第四章 産業債券
第十七条 産業組合中央金庫ハ払込金額ノ十倍ヲ限リ産業債券ヲ発行スルコトヲ得但シ貸付金現在高割引手形現在高及其ノ所有ニ係ル有価証券現在高ヲ超過スルコトヲ得ス
産業債券ノ発行ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
所得税法及登録税法中社債ニ関スル規定ハ産業債券ニ付之ヲ準用ス
第十八条 産業債券ハ券面金額五拾円以上トシ無記名利札附トス但シ応募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト為スコトヲ得
第十九条 産業組合中央金庫ハ産業債券借換ノ為一時第十七条ノ制限ニ依ラス低利ノ産業債券ヲ発行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ産業債券ヲ発行シタルトキハ発行後一箇月以内ニ抽籤ヲ以テ其ノ発行券面金額ニ相当スル旧産業債券ヲ償還スヘシ
第二十条 産業組合中央金庫ニ於テ産業債券ヲ発行セムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第二十一条 産業債券ノ消滅時効ハ元金ニ在リテハ十五箇年、利子ニ在リテハ五箇年ヲ以テ完成ス
第二十二条 産業債券ノ模造ニ関シテハ通貨及証券模造取締法ヲ準用ス
第五章 計算
第二十三条 産業組合中央金庫ノ事業年度ハ一箇年トス
第二十四条 産業組合中央金庫ハ毎事業年度ニ於テ準備金トシテ剰余金ノ十分ノ一以上ヲ積立ツヘシ
第六章 監督及補助
第二十五条 主務大臣ハ産業組合中央金庫ノ業務ヲ監督ス
本法中主務大臣トアルハ農商務大臣及大蔵大臣トス
第二十六条 産業組合中央金庫ハ其ノ定款ヲ変更セムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第二十七条 産業組合中央金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ剰余金ノ処分ヲ為スコトヲ得ス
第二十八条 産業組合中央金庫ハ主務大臣ノ命令ニ従ヒ其ノ業務ニ関スル諸般ノ状況及計算報告書ヲ差出スヘシ
第二十九条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ産業組合中央金庫ノ貸付又ハ割引ノ金額若ハ方法ヲ制限スルコトヲ得
第三十条 産業組合中央金庫ノ貸付金利子ノ最高歩合ハ毎事業年度ノ初ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ経テ之ヲ定ムヘシ其ノ事業年度内ニ於テ之ヲ変更セムトスルトキ亦同シ
第三十一条 主務大臣ハ特ニ産業組合中央金庫監理官ヲ置キ産業組合中央金庫ノ業務ヲ監視セシム
第三十二条 産業組合中央金庫監理官ハ何時ニテモ産業組合中央金庫ノ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
産業組合中央金庫監理官ハ監視上必要ナリト認ムルトキハ何時ニテモ産業組合中央金庫ニ命シテ業務上諸般ノ計算及状況ヲ報告セシムルコトヲ得
産業組合中央金庫監理官ハ出資者総会其ノ他諸般ノ会議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得但シ議決ノ数ニ加ハルコトヲ得ス
第三十三条 産業組合中央金庫ハ創立初期ヨリ十五箇年間政府ノ出資ニ対シ剰余金ノ配当ヲ為スコト要セス
第七章 罰則
第三十四条 左ノ場合ニ於テハ産業組合中央金庫ノ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ百円以上千円以下ノ過料ニ処ス
一 本法ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受クヘキ場合ニ其ノ認可ヲ受ケサルトキ
二 主務大臣ノ命令ニ反シタルトキ
三 第十五条ノ規定ニ反シ業務上ノ余裕金ヲ使用シタルトキ
四 第十六条ノ規定ニ反シ本法ニ規定セサル業務ヲ営ミタルトキ
五 第十七条第一項及第十九条第二項ノ規定ニ反シタルトキ
第三十五条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前条ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第三十六条 主務大臣ハ設立委員ヲ置キ産業組合中央金庫ノ設立ニ関スル一切ノ事務ヲ処理セシム
第三十七条 設立委員ハ定款ヲ作リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル後出資者ヲ募集ス
第三十八条 設立委員ハ出資者ノ募集ヲ終リタルトキハ出資申立者ヲ主務大臣ニ提出シ産業組合中央金庫設立ノ許可ヲ禀請スヘシ
前項ノ許可ヲ受ケタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク出資第一回ノ払込ヲ為サシムルコトヲ要ス
第三十九条 創立総会終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ産業組合中央金庫理事長ニ引渡スヘシ
第四十条 産業組合中央金庫設立ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム