農林中央金庫法
法令番号: 法律第九十三号
公布年月日: 平成13年6月29日
法令の形式: 法律
農林中央金庫法をここに公布する。
御名御璽
平成十三年六月二十九日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第九十三号
農林中央金庫法
農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の全部を改正する。
目次
第一章
総則(第一条─第七条)
第二章
会員(第八条─第十九条)
第三章
管理(第二十条─第五十三条)
第四章
業務(第五十四条─第五十九条)
第五章
農林債券(第六十条─第七十一条)
第六章
子会社等(第七十二条・第七十三条)
第七章
計算(第七十四条─第八十一条)
第八章
監督(第八十二条─第九十条)
第九章
解散及び清算(第九十一条─第九十五条)
第十章
雑則(第九十六条・第九十七条)
第十一章
罰則(第九十八条─第百二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 農林中央金庫は、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関としてこれらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資することを目的とする。
(法人格)
第二条 農林中央金庫は、法人とする。
(事務所等)
第三条 農林中央金庫は、主たる事務所を東京都に置く。
2 民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十条の規定は、農林中央金庫について準用する。
3 農林中央金庫は、日本において従たる事務所の設置、移転、又は廃止をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣に届け出なければならない。
4 農林中央金庫は、外国において従たる事務所の設置、移転、又は廃止をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認可を受けなければならない。
5 農林中央金庫は、次に掲げる者にその業務を代理させることができる。
一 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合
二 農業協同組合法第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会
三 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合
四 水産業協同組合法第八十七条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合連合会
五 水産業協同組合法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合
六 水産業協同組合法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
(資本金)
第四条 農林中央金庫の資本金は、政令で定める額以上でなければならない。
2 前項の政令で定める額は、百億円を下回ってはならない。
3 農林中央金庫は、その資本金を減少しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。
4 農林中央金庫は、その資本金を増加しようとするときは、主務大臣に届け出なければならない。
(名称の使用制限)
第五条 農林中央金庫でない者は、その名称中に農林中央金庫という文字を用いてはならない。
(登記)
第六条 農林中央金庫は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、第三者に対抗することができない。
3 第一項の規定により登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。
(農林中央金庫の行為等についての商法の準用)
第七条 商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百四条から第五百二十二条までの規定は農林中央金庫の行う行為について、同法第五百二十四条から第五百二十八条までの規定は農林中央金庫が行う売買について、同法第五百二十九条から第五百三十四条までの規定は農林中央金庫が平常取引をする者との間で行う相殺に係る契約について、同法第五百四十三条、第五百四十四条及び第五百四十六条から第五百五十条までの規定は農林中央金庫が行う他人間の商行為の媒介について、同法第五百五十一条から第五百五十七条まで及び第五百九十三条の規定は農林中央金庫について準用する。
第二章 会員
(会員の資格)
第八条 農林中央金庫の会員の資格を有する者は、農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、生産森林組合、森林組合連合会、漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、共済水産業協同組合連合会、農業共済組合、農業共済組合連合会、漁船保険組合、農林漁業信用基金、農業信用基金協会、漁業信用基金協会、漁業共済組合、漁業共済組合連合会、野菜供給安定基金、土地改良区、土地改良区連合及び蚕糸業、林業又は塩業に関する中小企業等協同組合であって定款で定めるものとする。
(出資)
第九条 農林中央金庫の会員(以下「会員」という。)は、出資一口以上を有しなければならない。
2 出資一口の金額は、均一でなければならない。
3 一会員の有する出資口数は、主務省令で定める口数を超えてはならない。
4 会員の責任は、その出資額を限度とする。
5 会員は、出資の払込みについて、相殺をもって農林中央金庫に対抗することができない。
(持分の譲渡)
第十条 会員は、農林中央金庫の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。
2 会員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
4 会員は、持分を共有することができない。
(議決権)
第十一条 会員は、各一個の議決権を有する。
2 農林中央金庫は、前項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、定款で定めるところにより、その会員に対して、当該会員を直接に構成する者の数又は当該会員を直接若しくは間接に構成する法人を構成する者の数及び当該法人の当該会員構成上の関連度に基づき、二個以上の議決権を与えることができる。
3 会員は、定款で定めるところにより、第四十七条第三項の規定によりあらかじめ通知のあった事項につき、書面又は代理人をもって議決権を行うことができる。この場合には、他の会員でなければ、代理人となることができない。
4 会員は、定款で定めるところにより、前項の規定による書面をもってする議決権の行使に代えて、議決権を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により行うことができる。
5 前二項の規定により議決権を行う者は、出席者とみなす。
6 代理人は、代理権を証する書面を農林中央金庫に提出しなければならない。この場合において、電磁的方法により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面の提出に代えて、代理権を当該電磁的方法により証明することができる。
(過怠金)
第十二条 農林中央金庫は、定款で定めるところにより、会員に対して過怠金を課することができる。
(加入の自由)
第十三条 会員の資格を有する者が農林中央金庫に加入しようとするときは、農林中央金庫は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の会員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない。
(脱退の自由)
第十四条 会員は、六月前までに予告し、事業年度末において脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。ただし、その期間は二年を超えてはならない。
(法定脱退)
第十五条 会員は、次に掲げる事由によって脱退する。
一 会員の資格の喪失
二 解散
三 破産
四 除名
2 除名は、次の各号のいずれかに該当する会員につき、総会の議決によってすることができる。この場合において、農林中央金庫は、その総会の日の十日前までにその会員に対しその旨を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
一 長期間にわたって農林中央金庫の事業を利用しない会員
二 出資の払込みその他農林中央金庫に対する義務を怠った会員
三 その他定款で定める事由に該当する会員
3 前項の除名は、除名した会員にその旨を通知しなければ、これをもってその会員に対抗することができない。
(脱退者の持分の払戻し)
第十六条 会員は、脱退したときは、定款で定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻しを請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度末における農林中央金庫の財産によってこれを定める。ただし、定款で定めるところにより、脱退の時における農林中央金庫の財産によってこれを定めることができる。
(持分の払戻しの時期)
第十七条 持分の払戻しは、脱退した事業年度の終了後三月以内(脱退の時における農林中央金庫の財産によって払戻しに係る持分を定める場合には、その時から三月以内)にこれをしなければならない。
2 前条第一項の規定による請求権は、前項の期間が経過した後二年間行わないときは、時効によって消滅する。
(持分の払戻しの停止)
第十八条 農林中央金庫は、脱退した会員が農林中央金庫に対する債務を完済するまでは、その持分の払戻しを停止することができる。
(持分の払戻しの禁止)
第十九条 農林中央金庫は、会員の脱退の場合を除くほか、持分の払戻しをしてはならない。
第三章 管理
(定款)
第二十条 農林中央金庫は、定款を定め、これに次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 会員の資格に関する規定
五 会員の加入及び脱退に関する規定
六 出資一口の金額及びその払込みの方法
七 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
八 準備金の額及びその積立ての方法
九 業務及びその執行に関する規定
十 農林債券の発行に関する規定
十一 役員の定数及びその選任に関する規定
十二 総会及び総代会に関する規定
十三 公告の方法
(役員)
第二十一条 農林中央金庫に、役員として、理事五人以上、経営管理委員十人以上及び監事三人以上を置く。
(理事)
第二十二条 理事は、定款で定めるところにより、経営管理委員会が選任する。
2 理事は、業務を的確、公正かつ効率的に遂行できる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者でなければならない。
3 農林中央金庫は、定款で定めるところにより、経営管理委員会の決議をもって、農林中央金庫を代表すべき理事を定めなければならない。
4 商法第二百六十一条第二項及び第三項の規定は、前項の理事について準用する。この場合において、同条第三項中「第二百五十八条」とあるのは、「第二百五十八条第一項」と読み替えるものとする。
(経営管理委員)
第二十三条 経営管理委員は、定款で定めるところにより、総会において選任する。
2 経営管理委員は、会員である法人の役員、農林水産業者又は金融に関して高い識見を有する者でなければならない。
(監事)
第二十四条 監事は、定款で定めるところにより、総会において選任する。
2 監事のうち一人以上は、農林中央金庫の会員である法人の役員又は使用人以外の者であって、その就任の前五年間農林中央金庫の理事、経営管理委員若しくは職員又はその子会社の取締役若しくは使用人でなかったものでなければならない。
3 前項に規定する「子会社」とは、農林中央金庫がその発行済株式(議決権のあるものに限る。)の総数又は出資の総額(以下「発行済株式の総数等」という。)の百分の五十を超える数又は額の株式(議決権のあるものに限る。)又は持分(以下「株式等」という。)を所有する会社をいう。この場合において、農林中央金庫及びその一若しくは二以上の子会社又は農林中央金庫の一若しくは二以上の子会社がその発行済株式の総数等の百分の五十を超える数又は額の株式等を所有する他の会社は、農林中央金庫の子会社とみなす。
4 前項の場合において、農林中央金庫又はその子会社が所有する株式等には、金銭又は有価証券の信託に係る信託財産として所有する株式等(委託者又は受益者が、議決権を行使し、又は議決権の行使について農林中央金庫又はその子会社に指図を行うことができるものに限る。)その他主務省令で定める株式等を含まないものとし、信託財産である株式等で、農林中央金庫又はその子会社が委託者若しくは受益者として議決権を行使し、又は議決権の行使について指図を行うことができるもの(主務省令で定める株式等を除く。)を含むものとする。
5 農林中央金庫は、監事の互選をもって常勤の監事を定めなければならない。
(役員の任期)
第二十五条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
(役員の兼職等の制限)
第二十六条 理事及び常勤の監事は、報酬を得て他の職務に従事し、又は事業を営んではならない。
2 経営管理委員は、監事又は農林中央金庫の職員を兼ねてはならない。
3 監事は、理事又は農林中央金庫の職員を兼ねてはならない。
(理事会)
第二十七条 理事会は、農林中央金庫の業務執行を決し、理事の職務の執行を監督する。
(経営管理委員会)
第二十八条 経営管理委員会は、この法律で別に定めるもののほか、農林中央金庫の業務の基本方針その他の農林中央金庫の業務執行のうち農林水産業者の協同組織に係る重要事項として定款で定めるものを決定する。
2 理事会は、経営管理委員会が行う前項の規定による決定に従わなければならない。
3 経営管理委員会は、理事をその会議に出席させて、必要な説明を求めることができる。
4 理事会は、必要があるときは、経営管理委員会を招集することができる。
5 商法第二百五十九条ノ二の規定は、前項の規定による招集について準用する。
6 経営管理委員会は、理事が第三十条第一項の規定に違反した場合には、当該理事の解任を総会に請求することができる。
7 経営管理委員会は、総会の日から七日前までに、前項の規定による請求に係る理事に解任の理由を記載した書面を送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
8 第六項の規定による請求につき同項の総会において出席者の過半数の同意があったときは、その請求に係る理事は、その時にその職を失う。
(監事会)
第二十九条 監事会は、この法律で別に定めるもののほか、その決議をもって、監査の方針、農林中央金庫の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監事の職務の執行に関する事項を定めることができる。ただし、監事の権限の行使を妨げることはできない。
2 監事は、監事会の求めがあるときは、いつでもその職務の執行の状況を監事会に報告しなければならない。
(役員の忠実義務)
第三十条 理事及び経営管理委員は、法令、定款、法令に基づいてする主務大臣の処分並びに総会及び経営管理委員会の決議を遵守し、農林中央金庫のため忠実にその職務を遂行しなければならない。
2 理事又は経営管理委員がその任務を怠ったときは、その理事又は経営管理委員は、農林中央金庫に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。
3 理事又は経営管理委員がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったときは、その理事又は経営管理委員は、第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。
4 理事が第三十三条第一項又は第六十五条第二項の書類に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、前項と同様とする。ただし、理事がその記載、登記又は公告をしたことについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
5 商法第二百六十六条第二項、第三項及び第五項の規定は、第二項の理事及び経営管理委員の責任について準用する。
6 第二項から前項までの規定は、監事について準用する。この場合において、第四項中「第三十三条第一項又は第六十五条第二項の書類に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告」とあるのは「監査報告書に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載」と、「記載、登記又は公告」とあるのは「記載」と、前項において準用する商法第二百六十六条第二項中「取締役会」とあるのは「監事会」と読み替えるものとする。
(理事又は経営管理委員と農林中央金庫との契約)
第三十一条 理事又は経営管理委員は、経営管理委員会の承認を受けた場合に限り、農林中央金庫と契約することができる。この場合には、民法第百八条の規定は、適用しない。
(定款その他の書類の備付け及び閲覧等)
第三十二条 理事は、定款を各事務所に、会員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、総会及び経営管理委員会の議事録を十年間主たる事務所に、その謄本を五年間従たる事務所に備えて置かなければならない。
3 会員名簿には、各会員について次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 名称及び住所
二 加入の年月日
三 出資口数及び出資各口の取得の年月日
四 払込済出資額及びその払込みの年月日
4 会員及び農林中央金庫の債権者は、いつでも、理事に対し第一項及び第二項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(決算関係書類の作成)
第三十三条 理事は、事業年度ごとに、事業報告書、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案及び附属明細書を作成し、理事会及び経営管理委員会の承認を受けなければならない。
2 前項の書類については、監事及び会計監査人の監査を受けなければならない。ただし、事業報告書及びその附属明細書の会計監査人の監査については、会計に関する部分に限る。
3 第一項の事業報告書、貸借対照表、損益計算書及び附属明細書の記載方法は、主務省令で定める。
4 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号。以下「商法特例法」という。)第三条第一項から第三項まで及び第四条から第十一条までの規定は、第二項の会計監査人について準用する。この場合において、同法第三条第二項及び第三項中「取締役」とあるのは「経営管理委員」と、同法第四条第二項第一号(同法第六条の四第二項において準用する場合を含む。)中「第二条」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第二項」と、同法第四条第二項第二号中「商法第二百十一条ノ二に規定する子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項に規定する子会社」と、同法第七条第一項中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と、同条第五項中「会社又はその子会社の取締役、監査役又は」とあるのは「農林中央金庫の理事、経営管理委員、監事若しくは職員又はその子会社の取締役、監査役若しくは」と、同法第八条第一項中「取締役」とあるのは「理事又は経営管理委員」と、同法第十条中「第十三条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十五条第一項」と、同法第十一条中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と読み替えるものとする。
(決算関係書類の提出期限)
第三十四条 理事は、通常総会の日の八週間前までに、前条第一項の書類(附属明細書を除く。)を監事会及び会計監査人に提出しなければならない。
2 理事は、前項の書類を提出した日から三週間以内に、前条第一項の附属明細書を監事会及び会計監査人に提出しなければならない。
(会計監査人の監査報告書)
第三十五条 会計監査人は、前条第一項の書類を受領した日から四週間以内に、監査報告書を監事会及び理事に提出しなければならない。
2 商法第二百八十一条ノ三第二項(同項第八号及び第十号を除き、同項第六号、第九号及び第十一号に掲げる事項については、会計に関する部分に限る。)の規定は、前項の監査報告書について準用する。この場合において、同条第二項第九号中「第二百八十一条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第一項」と、同項第十一号中「第二百七十四条ノ三第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第四項ニ於テ準用スル株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第七条第三項」と、「子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と読み替えるものとする。
3 監事は、会計監査人に対して、第一項の監査報告書について説明を求めることができる。
4 第一項の監査報告書の記載方法は、主務省令で定める。
(監事会の監査報告書)
第三十六条 監事は、前条第一項の監査報告書の調査その他の監査を終えたときは、監事会に対し、第四項各号に掲げる事項について報告しなければならない。
2 監事会は、前条第一項の監査報告書を受領した日から一週間以内に、監査報告書を理事に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に送付しなければならない。
3 商法第二百八十一条ノ三第二項(同項第一号から第五号まで及び第七号を除き、同項第六号、第九号及び第十一号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る。)の規定は、前項の監査報告書について準用する。この場合において、同条第二項第九号中「第二百八十一条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第一項」と、同項第十号中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、同項第十一号中「第二百七十四条ノ三第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十九条第二項ニ於テ準用スル第二百七十四条ノ三第一項」と、「子会社」とあるのは「同法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と読み替えるものとする。
4 第二項の監査報告書には、第一項の規定による監事の報告に基づき、次に掲げる事項を記載しなければならない。この場合において、各監事の意見を付記することができる。
一 会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及び理由並びに監事の監査の方法の概要又は結果
二 会計以外の業務の監査の方法の概要
三 前項において第二項の監査報告書について準用する商法第二百八十一条ノ三第二項第六号及び第八号から第十二号までに掲げる事項(同項第六号、第九号及び第十一号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る。)
5 前条第四項の規定は、第二項の監査報告書について準用する。
(決算関係書類の報告、承認等)
第三十七条 理事は、監事会の監査報告書及び会計監査人の監査報告書を添えて第三十三条第一項の書類を通常総会に提出して、附属明細書にあってはその内容を報告し、事業報告書、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案にあってはその承認を求めなければならない。
2 理事は、通常総会の日の二週間前から、第三十三条第一項の書類、監事会の監査報告書及び会計監査人の監査報告書を五年間主たる事務所に、その謄本を三年間従たる事務所に備えて置かなければならない。
3 会員及び農林中央金庫の債権者は、いつでも、理事に対し前項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
4 商法特例法第十六条第一項の規定は理事について、同法第十七条の規定は第三十三条第二項の会計監査人について準用する。この場合において、同法第十六条第一項中「第十三条第二項の規定による」とあるのは「農林中央金庫法第三十五条第二項において準用する」と、「同法第二百八十三条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十七条第一項」と、「同法第二百八十一条第一項第一号及び第二号に掲げる書類」とあるのは「貸借対照表及び損益計算書」と、同法第十七条第一項中「第二条」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第二項」と読み替えるものとする。
(役員の解任の請求)
第三十八条 会員は、総会員の五分の一以上の連署をもって、その代表者から役員の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、理事の全員、経営管理委員の全員又は監事の全員について同時にしなければならない。ただし、法令、法令に基づいてする主務大臣の処分又は定款の違反を理由として解任を請求する場合は、この限りでない。
3 第一項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を経営管理委員に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による請求があったときは、経営管理委員は、これを総会の議に付さなければならない。この場合には、第四十五条第二項及び第四十六条第一項の規定を準用する。
5 第三項の規定による書類の提出があったときは、経営管理委員は、総会の日から七日前までに、その請求に係る役員にその書面又はその写しを送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
6 第一項の規定による請求につき第四項の総会において出席者の過半数の同意があったときは、その請求に係る役員は、その時にその職を失う。
(役員等に関する商法等の準用)
第三十九条 商法第二百五十四条第三項、第二百五十四条ノ二、第二百五十六条第三項、第二百五十八条第一項及び第二百六十七条から第二百六十八条ノ三までの規定は理事、経営管理委員及び監事について、同法第二百六十九条の規定は理事及び経営管理委員について準用する。この場合において、同法第二百五十四条ノ二第三号中「本法」とあるのは「農林中央金庫法、本法」と、同法第二百五十六条第三項中「前二項」とあるのは「農林中央金庫法第二十五条」と読み替えるものとする。
2 民法第五十五条並びに商法第二百六十二条及び第二百七十二条の規定は理事について、同法第二百七十四条、第二百七十四条ノ三から第二百七十五条ノ四まで及び第二百七十八条から第二百七十九条ノ二までの規定は監事について準用する。この場合において、民法第五十五条中「総会」とあるのは「総会若クハ経営管理委員会」と、商法第二百七十四条第一項中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、同条第二項中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と、同法第二百七十四条ノ三中「子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と、同法第二百七十五条中「取締役」とあるのは「理事又ハ経営管理委員」と、同法第二百七十五条ノ二中「取締役」とあるのは「理事」と、同法第二百七十五条ノ四中「取締役」とあるのは「理事若ハ経営管理委員」と、「第二百六十七条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十九条第一項ニ於テ準用スル第二百六十七条第一項」と、同法第二百七十八条中「取締役」とあるのは「理事又ハ経営管理委員」と読み替えるものとする。
3 商法第二百六十条ノ四第一項及び第二項の規定は理事会、経営管理委員会及び監事会について、同法第二百五十九条から第二百五十九条ノ三まで、第二百六十条ノ二及び第二百六十条ノ三の規定は理事会及び経営管理委員会について、同法第二百六十条ノ四第三項から第五項までの規定は理事会及び監事会について準用する。この場合において、同法第二百六十条ノ三第二項中「取締役」とあるのは、理事会について準用する場合には「理事」、経営管理委員会について準用する場合には「理事又ハ経営管理委員」と、同法第二百六十条ノ四第二項中「取締役及監査役」とあるのは、理事会について準用する場合には「理事及監事」、経営管理委員会について準用する場合には「経営管理委員及監事」、監事会について準用する場合には「監事」と、同条第四項中「株主又ハ親会社ノ株主」とあるのは「会員」と、同条第五項中「其ノ親会社若ハ子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と読み替えるものとする。
4 商法第二百五十九条第一項本文、第二百五十九条ノ二、第二百五十九条ノ三及び第二百七十四条ノ二並びに商法特例法第十八条の三第一項の規定は、監事会について準用する。この場合において、商法第二百五十九条第一項本文中「各取締役」とあるのは「各監事」と、同法第二百五十九条ノ二中「各取締役及各監査役」とあるのは「各監事」と、同法第二百五十九条ノ三中「取締役及監査役」とあるのは「監事」と、同法第二百七十四条ノ二中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、商法特例法第十八条の三第一項ただし書中「第六条の二第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第四項において準用する第六条の二第一項」と読み替えるものとする。
(主務大臣による仮理事の選任又は総会の招集)
第四十条 役員の職務を行う者がないため遅滞により損害を生ずるおそれがある場合において、会員その他の利害関係人の請求があったときは、主務大臣は、仮理事を選任し、又は役員(理事を除く。以下この項において同じ。)を選任するための総会を招集して役員を選任させることができる。
2 第四十七条の規定は、前項の総会の招集について準用する。
(支配人)
第四十一条 農林中央金庫は、理事会の決議により、支配人を置くことができる。
2 商法第三十八条第一項及び第三項、第三十九条、第四十一条並びに第四十二条の規定は、支配人について準用する。
(競争関係にある者の役員等への就任禁止)
第四十二条 農林中央金庫の営む業務と実質的に競争関係にある業務(会員の営む業務を除く。)を営み、又はこれに従事する者は、理事、経営管理委員、監事又は支配人になってはならない。
(支配人の解任)
第四十三条 会員は、総会員の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、支配人の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
3 第一項の規定による請求があったときは、理事会は、その支配人の解任の可否を決しなければならない。
4 理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、その支配人に対し、第二項の書面又はその写しを送付し、かつ、弁明する機会を与えなければならない。
(総会の招集)
第四十四条 通常総会は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回招集しなければならない。
第四十五条 臨時総会は、必要があるときは、定款で定めるところにより、いつでも招集することができる。
2 会員が総会員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を経営管理委員に提出して、総会の招集を請求したときは、経営管理委員会は、その請求のあった日から三週間以内に総会を招集すべきことを決しなければならない。
3 前項の場合において、電磁的方法により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面の提出に代えて、当該書面に記載すべき事項及び理由を当該電磁的方法により提出することができる。この場合において、当該会員は、当該書面を提供したものとみなす。
4 前項前段の電磁的方法(主務省令で定めるものを除く。)により行われた当該書面に記載すべき事項及び理由の提供は、経営管理委員の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該経営管理委員に到達したものとみなす。
第四十六条 経営管理委員の職務を行う者がないとき、又は前条第二項の請求の日から二週間以内に経営管理委員が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
2 経営管理委員及び監事の職務を行う者がないときは、理事は、総会を招集しなければならない。
(会員に対する通知又は催告)
第四十七条 農林中央金庫の会員に対してする通知又は催告は、会員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を農林中央金庫に通知したときは、その場所)にあててすれば足りる。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3 総会招集の通知は、その総会の日の一週間前までに、その会議の目的たる事項を示してしなければならない。
(総会の議事)
第四十八条 総会の議事は、この法律又は定款に特別の定めがある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決する。
2 総会においては、前条第三項の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。ただし、定款で別段の定めをしたときは、この限りでない。
(特別議決事項)
第四十九条 次に掲げる事項は、総会員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 解散
三 会員の除名
2 定款の変更(軽微な事項その他の主務省令で定める事項に係るものを除く。)は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 農林中央金庫は、前項の主務省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(総会についての商法の準用)
第五十条 商法第二百三十一条、第二百三十七条ノ三、第二百四十三条、第二百四十四条第一項及び第二項並びに第二百四十七条から第二百五十二条までの規定は、総会について準用する。この場合において、商法第二百三十一条中「本法」とあるのは「農林中央金庫法」と、「取締役会」とあるのは「経営管理委員会」と、同法第二百三十七条ノ三中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と、同法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「農林中央金庫法第四十七条第三項」と、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、同法第二百四十七条第一項中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と、同法第二百四十九条第一項(同法第二百五十二条において準用する場合を含む。)中「株主ガ」とあるのは「会員ガ」と、「其ノ株主」とあるのは「其ノ会員タル法人ノ役員」と、「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と読み替えるものとする。
(総代会)
第五十一条 農林中央金庫は、主務省令で定めるところにより、定款をもって、総会に代わるべき総代会を設けることができる。
2 総会に関する規定(第九十一条(第一項第一号に係る部分に限る。)の規定を除く。)は、総代会について準用する。
(出資一口の金額の減少)
第五十二条 農林中央金庫は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作成し、かつ、農林中央金庫の債権者の閲覧に供するため、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 農林中央金庫は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、農林債券の権利者、預金者又は定期積金の積金者その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下回ってはならない。
第五十三条 債権者が前条第二項の期間内に異議を述べなかったときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が前条第二項の期間内に異議を述べたときは、農林中央金庫は、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託業務を営む銀行若しくは信託会社に相当の財産を信託しなければならない。ただし、出資一口の金額の減少をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
3 商法第三百八十条の規定は、農林中央金庫の出資一口の金額の減少について準用する。この場合において、同条第二項中「取締役」とあるのは、「理事、経営管理委員」と読み替えるものとする。
第四章 業務
(業務の範囲)
第五十四条 農林中央金庫は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
一 会員の預金の受入れ
二 会員に対する資金の貸付け又は手形の割引
三 為替取引
2 農林中央金庫は、前項各号に掲げる業務のほか、次に掲げる業務を営むことができる。
一 会員以外の者の預金又は定期積金の受入れ
二 会員以外の者に対する資金の貸付け又は手形の割引
3 農林中央金庫は、前項第二号に掲げる業務を営もうとするときは、次に掲げる者を相手方とする場合を除き、主務大臣の認可を受けなければならない。
一 第八条に規定する者
二 農林水産業を営む者であって主務省令で定めるもの
三 
四 銀行その他の金融機関
五 証券業者
4 農林中央金庫は、前三項の規定により営む業務のほか、当該業務に付随する次に掲げる業務その他の業務を営むことができる。
一 債務の保証又は手形の引受け
二 有価証券(第五号に規定する証書をもって表示される金銭債権に該当するものを除く。第六号及び第七号において同じ。)の売買、有価証券店頭デリバティブ取引(有価証券先渡取引を除く。)、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引又は外国市場証券先物取引(投資の目的をもってするものに限る。)
三 有価証券の貸付け
四 国債、地方債若しくは政府保証債(以下この条において「国債等」という。)の引受け(売出しの目的をもってするものを除く。)又は当該引受けに係る国債等の募集の取扱い
五 金銭債権(譲渡性預金証書その他の主務省令で定める証書をもって表示されるものを含む。)の取得又は譲渡
六 特定目的会社が発行する特定社債(資産流動化計画において当該特定社債の発行により得られる金銭をもって指名金銭債権又は指名金銭債権を信託する信託の受益権のみを取得するものに限る。)その他これに準ずる有価証券として主務省令で定めるもの(以下この号において「特定社債等」という。)の引受け(売出しの目的をもってするものを除く。)又は当該引受けに係る特定社債等の募集の取扱い
七 有価証券の私募の取扱い
八 地方債又は社債その他の債券の募集又は管理の受託
九 担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)により営む担保附社債に関する信託業務
十 農林漁業金融公庫その他主務大臣の指定する者の業務の代理
十一 国、地方公共団体、会社等の金銭の収納その他金銭に係る事務の取扱い
十二 有価証券、貴金属その他の物品の保護預り
十三 両替
十四 金融先物取引等
十五 金融先物取引等の受託等
十六 金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引であって、主務省令で定めるもの(次号において「金融等デリバティブ取引」という。)のうち、第五号及び第十四号に掲げる業務に該当するもの以外のもの
十七 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理(第十五号に掲げる業務に該当するもの及び主務省令で定めるものを除く。)
十八 有価証券店頭デリバティブ取引(当該有価証券店頭デリバティブ取引に係る有価証券が第五号に規定する証書をもって表示される金銭債権に該当するもの以外のものである場合には、差金の授受によって決済されるものに限る。次号において同じ。)であって、第二号に掲げる業務に該当するもの以外のもの
十九 有価証券店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
5 前項第五号に掲げる業務には、同号に規定する証書をもって表示される金銭債権のうち有価証券に該当するものについて、証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第八項各号に掲げる行為を行う業務を含むものとする。
6 第四項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 有価証券店頭デリバティブ取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引又は有価証券先渡取引 それぞれ証券取引法第二条第八項第三号の二又は第十八項から第二十一項までに規定する有価証券店頭デリバティブ取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引又は有価証券先渡取引をいう。
二 政府保証債 政府が元本の償還及び利息の支払について保証している社債その他の債券をいう。
三 特定目的会社、資産流動化計画又は特定社債 それぞれ資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項、第四項又は第七項に規定する特定目的会社、資産流動化計画又は特定社債をいう。
四 有価証券の私募の取扱い 有価証券の私募(証券取引法第二条第三項に規定する有価証券の私募をいう。)の取扱いをいう。
五 金融先物取引等 金融先物取引法(昭和六十三年法律第七十七号)第二条第九項に規定する金融先物取引等をいう。
六 金融先物取引等の受託等 金融先物取引法第二条第十項に規定する金融先物取引等の受託等をいう。
7 農林中央金庫は、第一項から第四項までの規定により営む業務のほか、第一項各号に掲げる業務の遂行を妨げない限度において、証券取引法第六十五条第二項各号に掲げる有価証券又は取引について、同項各号に定める行為を行う業務(第四項の規定により営む業務を除く。)を営むことができる。
8 農林中央金庫は、第一項から第四項までの規定により営む業務のほか、第一項各号に掲げる業務の遂行を妨げない限度において、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項に規定する信託業務を営むことができる。
9 農林中央金庫が第七項の規定により同項に規定する業務を営もうとする場合には、農林中央金庫は、不特定かつ多数の者を相手方とする当該業務については、その内容及び方法を定めて、主務大臣の認可を受けなければならない。当該認可を受けた業務の内容及び方法を変更しようとするときも、同様とする。
10 農林中央金庫が第八項の規定により同項に規定する信託業務を営もうとする場合には、農林中央金庫は、当該信託業務の種類及び方法を定めて、主務大臣の認可を受けなければならない。当該認可を受けた信託業務の種類又は方法を変更しようとするときも、同様とする。
11 農林中央金庫は、第四項第八号及び第九号に規定する業務に関しては、商法、担保附社債信託法その他の政令で定める法令の適用については、政令で定めるところにより、会社又は銀行とみなす。
12 農林中央金庫は、第四項第十一号に掲げる業務を営む場合には、商法第百六十八条第一項第八号ただし書、第百七十条第二項、第百七十五条第二項第十号、同条第四項(同法第二百八十条ノ十四において準用する場合を含む。)、第百七十八条(同法第二百八十条ノ十四第一項及び第三百四十一条ノ十六第三項において準用する場合を含む。)、第百八十九条(同法第二百八十条ノ十四第一項及び第三百四十一条ノ十六第三項並びに有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)第十二条第三項(同法第五十七条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、第三百四十一条ノ十二第四号及び第三百四十一条ノ十六第二項、有限会社法第七条第四号ただし書及び第十二条第二項(同法第五十七条において準用する場合を含む。)並びに商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第八十条第十号、第八十二条第四号、第九十五条第六号及び第九十六条第二号(同法第八十二条第四号に係る部分に限る。)の規定の適用については、銀行とみなす。
第五十五条 農林中央金庫は、前条の規定により営む業務のほか、他の業務を営むことができない。
(経営の健全性の確保)
第五十六条 主務大臣は、農林中央金庫の業務の健全な運営に資するため、農林中央金庫がその経営の健全性を判断するための基準として次に掲げる基準その他の基準を定めることができる。
一 農林中央金庫の保有する資産等に照らし農林中央金庫の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
二 農林中央金庫及びその子会社(第二十四条第三項に規定する子会社をいう。以下同じ。)その他の農林中央金庫と主務省令で定める特殊の関係のある会社(以下この号、第七章及び第八章において「子会社等」という。)の保有する資産等に照らし農林中央金庫及びその子会社等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
(預金者等に対する情報の提供等)
第五十七条 農林中央金庫は、預金又は定期積金の受入れに関し、預金者及び定期積金の積金者(以下この項において「預金者等」という。)の保護に資するため、主務省令で定めるところにより、預金又は定期積金に係る契約の内容その他預金者等に参考となるべき情報の提供を行わなければならない。
2 前項及び他の法律に定めるもののほか、農林中央金庫は、主務省令で定めるところにより、その業務に係る重要な事項の顧客への説明その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならない。
(同一人に対する信用の供与等)
第五十八条 農林中央金庫の同一人(当該同一人と政令で定める特殊の関係のある者を含む。以下この条において同じ。)に対する信用の供与等(信用の供与又は出資として政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の額は、政令で定める区分ごとに、農林中央金庫の自己資本の額に政令で定める率を乗じて得た額(以下この条において「信用供与等限度額」という。)を超えてはならない。ただし、信用の供与等を受けている者が合併をし、共同新設分割(法人が他の法人と共同してする新設分割をいう。)若しくは吸収分割をし、又は営業を譲り受けたことにより農林中央金庫の同一人に対する信用の供与等の額が信用供与等限度額を超えることとなる場合その他政令で定めるやむを得ない理由がある場合において、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
2 農林中央金庫が子会社(主務省令で定める会社を除く。)その他の農林中央金庫と主務省令で定める特殊の関係のある者(以下この条において「子会社等」という。)を有する場合には、農林中央金庫及び当該子会社等又は当該子会社等の同一人に対する信用の供与等の額は、政令で定める区分ごとに、合算して、農林中央金庫及び当該子会社等の自己資本の純合計額に政令で定める率を乗じて得た額(以下この条において「合算信用供与等限度額」という。)を超えてはならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 前二項の規定は、国及び地方公共団体に対する信用の供与、政府が元本の返済及び利息の支払について保証している信用の供与その他これらに準ずるものとして政令で定める信用の供与等については、適用しない。
4 第二項の場合において、農林中央金庫及びその子会社等又はその子会社等の同一人に対する信用の供与等の合計額が合算信用供与等限度額を超えることとなったときは、その超える部分の信用の供与等の額は、農林中央金庫の信用の供与等の額とみなす。
5 前各項に定めるもののほか、信用の供与等の額、第一項に規定する自己資本の額、信用供与等限度額、第二項に規定する自己資本の純合計額及び合算信用供与等限度額の計算方法その他第一項及び第二項の規定の適用に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(特定関係者との間の取引等)
第五十九条 農林中央金庫は、その特定関係者(農林中央金庫の子会社その他の農林中央金庫と政令で定める特殊の関係のある者をいう。以下この条において同じ。)又はその特定関係者の顧客との間で、次に掲げる取引又は行為をしてはならない。ただし、当該取引又は行為をすることにつき主務省令で定めるやむを得ない理由がある場合において、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
一 当該特定関係者との間で行う取引で、その条件が農林中央金庫の取引の通常の条件に照らして農林中央金庫に不利益を与えるものとして主務省令で定める取引
二 当該特定関係者との間又は当該特定関係者の顧客との間で行う取引又は行為のうち前号に掲げるものに準ずる取引又は行為で、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な遂行に支障を及ぼすおそれのあるものとして主務省令で定める取引又は行為
第五章 農林債券
(農林債券の発行)
第六十条 農林中央金庫は、払込資本金及び準備金(準備金として政令で定めるものをいう。)の合計額の三十倍に相当する金額を限度として、農林債券を発行することができる。
(農林債券の種別等)
第六十一条 農林債券は、無記名式とする。ただし、応募者又は所有者の請求により記名式とすることができる。
2 農林中央金庫は、農林債券を発行する場合においては、割引の方法によることができる。
(農林債券の借換発行の場合の特例)
第六十二条 農林中央金庫は、その発行した農林債券の借換えのため、一時第六十条に規定する限度を超えて農林債券を発行することができる。
2 前項の規定により農林債券を発行したときは、発行後一月以内にその発行券面額に相当する額の旧農林債券を償還しなければならない。
(農林債券発行の届出)
第六十三条 農林中央金庫は、農林債券を発行しようとするときは、その都度、その金額及び条件をあらかじめ主務大臣に届け出なければならない。
(農林債券の発行方法)
第六十四条 農林中央金庫は、農林債券を発行する場合においては、募集又は売出しの方法によることができる。
(農林債券の申込証)
第六十五条 農林債券の募集に応じようとする者は、農林債券の申込証にその引き受けようとする農林債券の数及び住所を記載し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
2 前項の農林債券の申込証は、理事が作成し、これに政令で定める事項を記載しなければならない。
3 前二項の規定は、契約により農林債券の総額につき引受けが行われる場合には、適用しない。
(売出しの公告)
第六十六条 農林中央金庫は、売出しの方法により農林債券を発行しようとするときは、政令で定める事項を公告しなければならない。
(農林債券の記載事項)
第六十七条 農林債券には、政令で定める事項を記載し、理事が署名し、又は記名押印しなければならない。
(農林債券原簿)
第六十八条 理事は、主たる事務所に農林債券原簿を備えて置かなければならない。
2 前項の農林債券原簿には、政令で定める事項を記載しなければならない。
3 会員及び農林中央金庫の債権者は、いつでも、理事に対し農林債券原簿の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(農林債券の消滅時効)
第六十九条 農林債券の消滅時効は、元本については十五年、利子については五年で完成する。
(通貨及証券模造取締法の準用)
第七十条 通貨及証券模造取締法(明治二十八年法律第二十八号)は、農林債券の模造について準用する。
(政令への委任)
第七十一条 この章に定めるもののほか、農林債券に関し必要な事項は、政令で定める。
第六章 子会社等
(農林中央金庫の子会社の範囲等)
第七十二条 農林中央金庫は、次に掲げる会社(以下「子会社対象会社」という。)以外の会社を子会社としてはならない。
一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行のうち、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により同法第一条第一項に規定する信託業務を営むもの
二 証券取引法第二条第九項に規定する証券会社のうち、証券業(同条第八項各号に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。以下この条において同じ。)のほか、同法第三十四条第一項各号に掲げる業務その他の主務省令で定める業務を専ら営むもの(以下「証券専門会社」という。)
三 銀行業(銀行法第二条第二項に規定する銀行業をいう。)を営む外国の会社
四 証券業を営む外国の会社(前号に掲げる会社に該当するものを除く。)
五 次に掲げる業務を専ら営む会社(イに掲げる業務を営む会社にあっては主として農林中央金庫又はその子会社の営む業務のためにその業務を営んでいるものに限り、ロに掲げる業務を営む会社にあってはその会社が証券専門関連業務を営む会社である場合には農林中央金庫の証券子会社等が合算して所有する当該会社の株式等の数又は額が農林中央金庫又はその子会社(証券子会社等を除く。)が合算して所有する当該会社の株式等の数又は額を超えるものに限る。)
イ 従属業務
ロ 金融関連業務
六 新たな事業分野を開拓する会社として主務省令で定める会社(当該会社の株式等を、農林中央金庫の子会社のうち前号に掲げる会社で主務省令で定めるもの(次条第七項において「特定子会社」という。)以外の子会社又は農林中央金庫が、合算して、同条第一項に規定する基準株式数等を超えて所有していないものに限る。)
七 前各号に掲げる会社のみを子会社とする持株会社(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第九条第三項に規定する持株会社をいう。次項第二号において同じ。)で主務省令で定めるもの(当該持株会社になることを予定している会社を含む。)
2 前項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 証券専門関連業務 専ら証券業に付随し、又は関連する業務として主務省令で定めるもの
二 証券子会社等 農林中央金庫の子会社である次に掲げる会社
イ 証券専門会社又は証券業を営む外国の会社
ロ イに掲げる会社を子会社とする前項第七号に掲げる持株会社
ハ その他の会社であって、農林中央金庫の子会社である証券専門会社の子会社のうち主務省令で定めるもの
三 従属業務 農林中央金庫又は前項第一号から第四号までに掲げる会社の営む業務に従属する業務として主務省令で定めるもの
四 金融関連業務 第五十四条第一項各号に掲げる業務又は証券業に付随し、又は関連する業務として主務省令で定めるもの
3 第一項の規定は、子会社対象会社以外の会社が、農林中央金庫又はその子会社の担保権の実行による株式等の取得その他の主務省令で定める事由により農林中央金庫の子会社となる場合には、適用しない。ただし、農林中央金庫は、その子会社となった会社が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
4 農林中央金庫は、子会社対象会社のうち、第一項第一号から第五号まで又は第七号に掲げる会社(従属業務(第二項第三号に掲げる従属業務をいう。以下この項、第九項第一号及び第十項において同じ。)又は第五十四条第一項各号に掲げる業務に付随し、若しくは関連する業務として主務省令で定めるものを専ら営む会社(従属業務を営む会社にあっては、主として農林中央金庫の営む業務のためにその業務を営んでいる会社に限る。)を除く。以下「認可対象会社」という。)を子会社としようとするときは、農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律(平成八年法律第百十八号)第十五条第一項(同法第二十七条において準用する場合を含む。)の認可を受ける場合を除き、あらかじめ、主務大臣の認可を受けなければならない。
5 前項の規定は、認可対象会社が、農林中央金庫又はその子会社の担保権の実行による株式等の取得その他の主務省令で定める事由により農林中央金庫の子会社となる場合には、適用しない。ただし、農林中央金庫は、その子会社となった認可対象会社を引き続き子会社とすることについて主務大臣の認可を受けた場合を除き、当該認可対象会社が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
6 第四項の規定は、農林中央金庫が、その子会社としている第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(認可対象会社に限る。)に該当する子会社としようとするときについて準用する。
7 農林中央金庫は、第四項の規定により認可対象会社を子会社としようとするとき、又は前項の規定によりその子会社としている第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(認可対象会社に限る。)に該当する子会社としようとするときは、その旨を定款で定めなければならない。
8 農林中央金庫が認可対象会社を子会社としている場合には、理事は、当該認可対象会社の業務及び財産の状況を、主務省令で定めるところにより、総会に報告しなければならない。
9 農林中央金庫は、次の各号のいずれかに該当するときは、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
一 第一項第五号又は第六号に掲げる会社(同項第五号の会社にあっては、主として農林中央金庫の営む業務のために従属業務を営む会社に限る。)を子会社としようとするとき(農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律第十五条第一項(同法第二十七条において準用する場合を含む。)の認可を受ける場合を除く。)。
二 その子会社が子会社でなくなったとき、又は認可対象会社に該当する子会社が認可対象会社に該当しない子会社となったとき。
10 第一項第五号又は第四項の場合において、会社が主として農林中央金庫若しくはその子会社又は農林中央金庫の営む業務のために従属業務を営んでいるかどうかの基準は、主務大臣が定める。
(農林中央金庫等による株式の取得等の制限)
第七十三条 農林中央金庫又はその子会社は、国内の会社(前条第一項第一号、第二号、第五号及び第七号に掲げる会社を除く。以下この条において同じ。)の株式等については、合算して、その基準株式数等(当該国内の会社の発行済株式の総数等に百分の十を乗じて得た株式等の数又は額をいう。以下この条において同じ。)を超える数又は額の株式等を取得し、又は所有してはならない。
2 前項の規定は、農林中央金庫又はその子会社が、担保権の実行その他の主務省令で定める事由により、国内の会社の株式等をその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなる場合には、適用しない。ただし、農林中央金庫又はその子会社は、合算してその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなった部分の株式等については、農林中央金庫があらかじめ主務大臣の承認を受けた場合を除き、その取得し、又は所有することとなった日から一年を超えてこれを所有してはならない。
3 前項ただし書の場合において、主務大臣がする同項の承認の対象には、農林中央金庫又はその子会社が国内の会社の株式等を合算してその発行済株式の総数等の百分の五十を超えて取得し、又は所有することとなった株式等のうち当該百分の五十を超える部分の株式等は含まれないものとし、主務大臣が当該承認をするときは、農林中央金庫又はその子会社が合算してその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなった株式等のうちその基準株式数等を超える部分の株式等を速やかに処分することを条件としなければならない。
4 農林中央金庫又はその子会社は、次の各号に掲げる場合には、第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める日に所有することとなる国内の会社の株式等がその基準株式数等を超える場合であっても、同日以後、当該株式等をその基準株式数等を超えて所有することができる。ただし、主務大臣は、農林中央金庫又はその子会社が、次の各号に掲げる場合に国内の会社の株式等を合算してその発行済株式の総数等の百分の五十を超えて所有することとなるときは、当該各号に規定する認可をしてはならない。
一 農林中央金庫が農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律第十五条第一項の認可を受けて合併をしたとき その合併をした日
二 農林中央金庫が農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律第二十七条において準用する同法第十五条第一項の認可を受けて事業を譲り受けたとき その事業を譲り受けた日
5 主務大臣は、前項各号に規定する認可をするときは、当該各号に定める日に農林中央金庫又はその子会社が合算してその基準株式数等を超えて所有することとなる国内の会社の株式等のうちその基準株式数等を超える部分の株式等を、同日から五年を経過する日までに主務大臣が定める基準に従って処分することを条件としなければならない。
6 農林中央金庫又はその子会社が、国内の会社の株式等を合算してその基準株式数等を超えて所有することとなった場合には、その超える部分の数又は額の株式等は、農林中央金庫が取得し、又は所有するものとみなす。
7 前各項の場合において、新たな事業分野を開拓する会社として主務省令で定める会社の株式等の取得又は所有については、特定子会社は、農林中央金庫の子会社に該当しないものとみなす。
8 第二十四条第四項の規定は、前各項の場合において農林中央金庫又はその子会社が取得し、又は所有する株式等について準用する。
第七章 計算
(事業年度)
第七十四条 農林中央金庫の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
(帳簿等に関する商法の準用)
第七十五条 商法第三十二条から第三十六条までの規定は農林中央金庫の帳簿その他の書類について、同法第二百八十五条、第二百八十五条ノ二、第二百八十五条ノ四から第二百八十五条ノ六まで、第二百八十六条ノ三及び第二百八十六条ノ五から第二百八十七条ノ二までの規定は農林中央金庫の計算について準用する。この場合において、同法第二百八十五条中「第二百八十五条ノ七」とあるのは「第二百八十五条ノ六」と、同法第二百八十五条ノ六第二項中「子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と、同法第二百八十六条ノ五中「社債」とあるのは「農林債券」と、同法第二百八十七条中「社債権者」とあるのは「農林債券ノ権利者」と、「社債」とあるのは「当該農林債券」と読み替えるものとする。
(準備金の積立て)
第七十六条 農林中央金庫は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の五分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の定款で定める準備金の額は、資本金の額を下回ってはならない。
3 第一項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取り崩してはならない。
(剰余金の配当)
第七十七条 農林中央金庫の剰余金の配当は、事業年度終了の日における純資産の額(貸借対照表上の資産の額から負債の額を控除して得た額をいう。以下この項において同じ。)から次に掲げる金額を控除して得た額を限度として行うことができる。
一 資本金の額
二 前条第一項の準備金の額
三 前条第一項の規定によりその事業年度に積み立てなければならない準備金の額
四 第七十五条において準用する商法第二百八十六条ノ三の規定により貸借対照表の資産の部に計上した金額が前二号の準備金の合計額を超えるときは、その超過額
五 資産につき時価を付すものとした場合(第七十五条において準用する商法第二百八十五条ノ二第一項ただし書及び第二項(これらの規定を同法第二百八十五条ノ五第二項及び第二百八十五条ノ六第二項において準用する場合を含む。)の場合を除く。)において、その付した時価の総額がその取得価額の総額を超えるときは、時価を付したことにより増加した純資産の額
2 剰余金の配当は、定款で定めるところにより、払込済出資額又は会員の農林中央金庫の事業の利用分量に応じてしなければならない。
3 払込済出資額に応じてする剰余金の配当の率は、主務省令で定める割合を超えてはならない。
第七十八条 農林中央金庫は、定款で定めるところにより、会員が出資の払込みを終わるまでは、会員に配当する剰余金をその払込みに充てることができる。
(農林中央金庫の持分取得の禁止)
第七十九条 農林中央金庫は、会員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(業務報告書)
第八十条 農林中央金庫は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況を記載した業務報告書を作成し、主務大臣に提出しなければならない。
2 農林中央金庫が子会社等を有する場合には、農林中央金庫は、事業年度ごとに、前項の業務報告書のほか、農林中央金庫及び当該子会社等の業務及び財産の状況を連結して記載した業務報告書を作成し、主務大臣に提出しなければならない。
3 前二項の業務報告書の記載事項、提出期日その他業務報告書に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧等)
第八十一条 農林中央金庫は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項として主務省令で定めるものを記載した説明書類を作成し、農林中央金庫の主たる事務所及び従たる事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。
2 農林中央金庫が子会社等を有する場合には、農林中央金庫は、事業年度ごとに、前項の説明書類のほか、農林中央金庫及び当該子会社等の業務及び財産の状況に関する事項として主務省令で定めるものを農林中央金庫及び当該子会社等につき連結して記載した説明書類を作成し、農林中央金庫の主たる事務所及び従たる事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、前二項の説明書類を公衆の縦覧に供する期間その他これらの規定の適用に関し必要な事項は、主務省令で定める。
4 農林中央金庫は、第一項又は第二項に規定する事項のほか、預金者その他の顧客が農林中央金庫及びその子会社等の業務及び財産の状況を知るために参考となるべき事項の開示に努めなければならない。
第八章 監督
(主務大臣の監督)
第八十二条 主務大臣は、農林中央金庫の業務を監督する。
2 この法律における主務大臣は、農林水産大臣及び内閣総理大臣とする。ただし、第五十六条各号に掲げる基準及び第五十八条第一項に規定する同一人に対する信用の供与等(第六項において「信用の供与等」という。)の額に関する第八十四条第一項及び第二項の規定による検査に関する事項については、内閣総理大臣とする。
3 第八十四条第一項及び第二項に規定する主務大臣の権限(前項ただし書の規定により内閣総理大臣が単独で所管するものを除く。)は、前項本文の規定にかかわらず、農林水産大臣又は内閣総理大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。
4 内閣総理大臣は、第二項ただし書又は前項の規定により単独で検査を行ったときは、速やかに、その結果を農林水産大臣に通知するものとする。
5 農林水産大臣は、第三項の規定により単独で検査を行ったときは、速やかに、その結果を内閣総理大臣に通知するものとする。
6 第八十五条第一項に規定する主務大臣の権限は、農林中央金庫若しくは農林中央金庫及びその子会社等の自己資本の充実の状況又は信用の供与等の状況に照らし信用秩序の維持を図るため特に必要なものとして政令で定める事由に該当する場合には、第二項本文の規定にかかわらず、内閣総理大臣が単独に行使することを妨げない。
7 内閣総理大臣は、前項の規定によりその権限を単独に行使するときは、あらかじめ、農林水産大臣に協議しなければならない。
8 この法律における主務省令は、農林水産省令・内閣府令とする。ただし、第八十五条第二項に規定する主務省令は、農林水産省令・内閣府令・財務省令とする。
9 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
(報告又は資料の提出)
第八十三条 主務大臣は、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、農林中央金庫に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 主務大臣は、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、農林中央金庫の子会社に対し、農林中央金庫の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3 農林中央金庫の子会社は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。
(立入検査)
第八十四条 主務大臣は、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に農林中央金庫の事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に農林中央金庫の子会社の施設に立ち入らせ、農林中央金庫に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
5 前条第三項の規定は、第二項の規定による農林中央金庫の子会社に対する質問及び検査について準用する。
(業務の停止等)
第八十五条 主務大臣は、農林中央金庫の業務若しくは財産又は農林中央金庫及びその子会社等の財産の状況に照らして、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、農林中央金庫に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、農林中央金庫の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して農林中央金庫の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは農林中央金庫の財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)であって、農林中央金庫又は農林中央金庫及びその子会社等の自己資本の充実の状況によって必要があると認めるときにするものは、主務省令で定める農林中央金庫又は農林中央金庫及びその子会社等の自己資本の充実の状況に係る区分に応じ、それぞれ主務省令で定めるものでなければならない。
(違法行為等についての処分)
第八十六条 主務大臣は、農林中央金庫が法令、定款若しくは法令に基づいてする主務大臣の処分に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、総会の決議を取り消し、又はその業務の全部若しくは一部の停止、解散若しくは理事、経営管理委員、監事若しくは清算人の解任を命ずることができる。
(決議の取消し)
第八十七条 会員が総会員の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続又は議決の方法が法令、定款又は法令に基づいてする主務大臣の処分に違反することを理由として、その議決の日から一月以内に、その議決の取消しを請求した場合において、主務大臣は、その違反の事実があると認めるときは、当該決議を取り消すことができる。
(財務大臣への協議)
第八十八条 主務大臣は、第八十五条第一項又は第八十六条の規定による業務の全部若しくは一部の停止又は解散の命令をすることが信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、信用秩序の維持を図るために必要な措置に関し、財務大臣に協議しなければならない。
(財務大臣への通知)
第八十九条 内閣総理大臣は、次に掲げる処分をしたときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。
一 第八十五条第一項又は第八十六条の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)
二 第九十一条第二項の規定による解散の認可
(財務大臣への資料提出等)
第九十条 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、農林中央金庫に係る制度の企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
第九章 解散及び清算
(解散の事由)
第九十一条 農林中央金庫は、次に掲げる事由によって解散する。
一 総会の決議
二 破産
三 第八十六条の規定による解散の命令
2 解散の決議は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(清算人)
第九十二条 農林中央金庫が解散したときは、破産による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(清算事務)
第九十三条 清算人は、就職の後遅滞なく、農林中央金庫の財産の状況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成し、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
2 清算人は、前項の承認を求める場合には、あらかじめ、財産目録、貸借対照表及び財産処分の方法について経営管理委員会の承認を受けなければならない。
3 清算人は、第一項の承認を得た後遅滞なく、財産目録及び貸借対照表を裁判所に提出しなければならない。
(決算報告書)
第九十四条 清算人は、清算事務を終了した後遅滞なく、決算報告書を作成し、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
2 清算人は、前項の承認を求める場合には、あらかじめ、決算報告書について経営管理委員会の承認を受けなければならない。
3 商法第四百二十七条第二項の規定は、第一項の承認について準用する。
(解散及び清算に関する商法等の準用)
第九十五条 商法第百十六条、第百二十四条、第百二十五条、第百二十九条第二項及び第三項、第百三十一条、第四百十七条第二項、第四百十八条、第四百二十一条から第四百二十四条まで並びに第四百二十六条並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項、第百三十六条、第百三十七条、第百三十八条並びに第百三十八条ノ三の規定は農林中央金庫の解散及び清算について、第二十六条第二項、第二十七条、第二十八条第四項及び第五項、第三十条第一項から第五項まで、第三十一条から第三十七条まで、第四十二条並びに第四十六条並びに商法第二百五十四条第三項、第二百五十四条ノ二、第二百五十八条第一項、第二百五十九条から第二百五十九条ノ三まで、第二百六十条ノ二、第二百六十条ノ三、第二百六十条ノ四第一項及び第二項、第二百六十一条、第二百六十七条から第二百六十九条まで並びに第二百七十二条の規定は農林中央金庫の清算人について準用する。この場合において、第三十三条第一項中「事業報告書、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案」とあるのは「事務報告書、貸借対照表」と、同条第三項中「事業報告書、貸借対照表、損益計算書」とあるのは「事務報告書、貸借対照表」と、第三十四条第一項中「八週間」とあるのは「五週間」と、同条第二項中「前項の書類を提出した日から三週間以内」とあるのは「通常総会の日の三週間前まで」と、第三十七条第二項中「二週間」とあるのは「一週間」と、「五年間主たる事務所に、その謄本を三年間従たる事務所に」とあるのは「主たる事務所に」と、商法第二百五十四条ノ二第三号中「本法」とあるのは「農林中央金庫法、本法」と、同法第二百六十一条第三項中「第二百五十八条」とあるのは「第二百五十八条第一項」と、同法第四百十七条第二項中「前項」とあるのは「農林中央金庫法第九十二条」と、同法第四百二十一条第一項中「官報ヲ以テ公告」とあるのは「公告」と、同法第四百二十六条第二項中「六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「総会員ノ五分ノ一以上ノ同意ヲ得タル会員」と読み替えるものとする。
第十章 雑則
(認可等の条件)
第九十六条 主務大臣は、この法律の規定による認可又は承認(次項において「認可等」という。)に条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、認可等の趣旨に照らして、又は認可等に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。
(経過措置)
第九十七条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第十一章 罰則
第九十八条 農林中央金庫の役員がいかなる名義をもってするを問わず、農林中央金庫の業務の範囲外において、貸付けをし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために農林中央金庫の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には、これを適用しない。
第九十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした農林中央金庫又はその子会杜の役員又は職員は、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第八十条第一項若しくは第二項の規定による業務報告書の提出をせず、又は当該業務報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしてその書類を提出したとき。
二 第八十一条第一項又は第二項の規定に違反して、これらの規定に規定する説明書類を公衆の縦覧に供せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして公衆の縦覧に供したとき。
三 第八十三条第一項若しくは第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
四 第八十四条第一項若しくは第二項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して二億円以下の罰金刑(清算中の農林中央金庫にあっては、同項の罰金刑)を、その人に対して同項の罰金刑を科する。
第百条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした農林中央金庫の役員、支配人若しくは清算人又は第三十三条第二項の規定による監査をする会計監査人若しくはその職務を行うべき社員は、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律の規定により主務大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。
二 総会又は総代会に対し、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
三 この法律の規定による総会又は総代会の招集を怠ったとき。
四 この法律の規定(第八十一条第一項及び第二項を除く。)又はこの法律に基づいて発する命令により事務所に備えて置くべきものとされた書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当の理由がないのにその閲覧若しくは謄写を拒んだとき。
五 第四条第四項の規定に違反して届出をすることを怠り、又は不正の届出をしたとき。
六 第六条第一項の規定に基づく政令に違反して登記をすることを怠り、又は不正の登記をしたとき。
七 第十九条又は第七十九条の規定に違反したとき。
八 第二十四条第二項の規定に違反して同項に規定する者に該当する者を監事に選任しなかったとき。
九 第二十四条第五項に規定する常勤の監事を定める手続をしなかったとき。
十 第二十六条第一項の規定に違反して報酬を得て他の職務に従事し、又は事業を営んだとき。
十一 第二十六条第二項(第九十五条において準用する場合を含む。)又は第三項の規定に違反したとき。
十二 会計監査人又は一時会計監査人の職務を行うべき者の選任手続をしなかったとき。
十三 第三十三条第四項において準用する商法特例法(以下「準用商法特例法」という。)第六条の二第二項の規定により報告するに当たり、虚偽の陳述をし、又は事実を隠ぺいしたとき。
十四 準用商法特例法第七条第二項の規定又は第三十九条第二項において準用する商法第二百七十四条第二項若しくは第二百七十五条の規定による調査を妨げたとき。
十五 第三十七条第四項において準用する商法特例法第十七条第一項又は第二項の規定により意見を述べるに当たり、虚偽の陳述をし、又は事実を隠ぺいしたとき。
十六 第六十五条第二項の規定、第九十三条第一項若しくは第九十四条第一項の規定、第三十九条第三項若しくは第九十五条において準用する商法第二百六十条ノ四第一項若しくは第二項の規定、第五十条において準用する商法第二百四十四条第一項若しくは第二項の規定又は第七十五条において準用する商法第三十二条第一項の規定に違反して、農林債券の申込証、財産目録、貸借対照表、決算報告書、議事録若しくは会計帳簿を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。
十七 第五十条において準用する商法第二百三十七条ノ三の規定に違反して正当の理由がないのに説明をしなかったとき。
十八 第五十二条又は第五十三条第二項の規定に違反して出資一口の金額を減少したとき。
十九 第五十五条の規定に違反して他の業務を営んだとき。
二十 第六十条の規定に違反して農林債券を発行したとき。
二十一 第六十二条第二項又は第六十七条の規定に違反したとき。
二十二 第六十三条、第六十六条若しくは第七十二条第九項、第九十五条において準用する商法第百二十四条第三項において準用する民法第八十一条第一項又は第九十五条において準用する商法第四百二十一条第一項に規定する届出若しくは公告をすることを怠り、又は不正の届出若しくは公告をしたとき。
二十三 第七十二条第一項の規定に違反して同項に規定する子会社対象会社以外の会社を子会社としたとき。
二十四 第七十二条第四項の規定による主務大臣の認可を受けないで認可対象会社を子会社としたとき、又は同条第六項において準用する同条第四項の規定による主務大臣の認可を受けないで同条第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(認可対象会社に限る。)に該当する子会社としたとき。
二十五 第七十三条第一項又は第二項ただし書の規定に違反したとき。
二十六 第七十三条第三項又は第五項の規定により付した条件に違反したとき。
二十七 第七十六条第一項の規定に違反して準備金を積み立てなかったとき。
二十八 第七十七条の規定に違反して剰余金を処分したとき。
二十九 第八十五条第一項の規定に違反して改善計画の提出をせず、又は同項若しくは第八十六条の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
三十 第九十五条において準用する商法第百二十四条第三項において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求をすることを怠ったとき。
三十一 第九十五条において準用する商法第百三十一条の規定に違反して農林中央金庫の財産を分配したとき。
三十二 第九十五条において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
三十三 第九十五条において準用する商法第四百二十三条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
三十四 第九十六条第一項の規定により付した条件(第三条第四項又は第七十二条第四項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定による認可に係るものに限る。)に違反したとき。
2 商法第四百九十八条第一項又は有限会社法第七十七条第一項若しくは第二項に規定する者が、第三十九条第二項において準用する商法第二百七十四条ノ三第一項又は準用商法特例法第七条第三項の規定による調査を妨げたときも、前項と同様とする。
第百一条 第四十二条の規定に違反した者は、二十万円以下の過料に処する。
第百二条 第五条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年一月一日から施行する。ただし、附則第五条及び第六条第二項の規定は、公布の日から施行する。
(農林中央金庫の同一性)
第二条 この法律の施行の際現に存する農林中央金庫は、改正後の農林中央金庫法(以下「新法」という。)の規定に基づく農林中央金庫として同一性をもって存続するものとする。
(総務省設置法の適用除外)
第三条 新法の規定に基づく農林中央金庫については、改正前の農林中央金庫法(以下「旧法」という。)第四十一条第一項の規定は、なおその効力を有する。
(従たる事務所に係る経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に日本に存する農林中央金庫の従たる事務所は、新法第三条第三項の規定により主務大臣に届け出て設置された従たる事務所とみなす。
2 この法律の施行の際現に外国に存する農林中央金庫の従たる事務所は、新法第三条第四項の規定による主務大臣の認可を受けて設置された従たる事務所とみなす。
(定款の変更に係る経過措置)
第五条 農林中央金庫は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)までに、新法第二十条の例により、この法律の施行に伴い必要となる定款の変更をし、主務大臣の認可を受けなければならない。
(役員に係る経過措置)
第六条 施行日の前日において農林中央金庫の理事長、副理事長又は理事である者の任期は、旧法第十一条第二項の規定にかかわらず、その日に満了する。
2 農林中央金庫は、施行日までに、あらかじめ、新法第二十二条及び第二十三条の例により、理事及び経営管理委員を選任しておかなければならない。この場合において、その選任された理事及び経営管理委員の任期は、新法第二十五条の規定にかかわらず、施行日から起算して三年を超えない範囲内において総会の決議により定める日までとする。
3 この法律の施行の際現に旧法第十一条第一項に規定する監事である者は、施行日に新法第二十四条第一項の規定により監事として選任されたものとみなす。この場合において、その選任されたものとみなされる者の任期は、新法第二十五条の規定にかかわらず、施行日から起算して二年を超えない範囲内において総会の決議により定める日までとする。
(支配人に係る経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に旧法第八条において準用する産業組合法(明治三十三年法律第三十四号)第五条において準用する商法第三十七条の規定により置かれている支配人である者は、施行日に新法第四十一条第一項の規定により支配人として置かれたものとみなす。
(会員外貸付けの認可に関する経過措置)
第八条 新法第五十四条第三項の規定は、施行日前に農林中央金庫が旧法第十四条ノ二第五号及び第六号の規定により行った貸付けについては、適用しない。
(農林債券に係る経過措置)
第九条 旧法第十七条第一項の規定により発行された農林債券は、新法第六十条の規定により発行された農林債券とみなす。
(旧法の規定に基づく処分又は手続の効力)
第十条 施行日前に旧法又はこれに基づく命令の規定によってした認可、承認その他の処分又は申請その他の手続で新法又はこれに基づく命令に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、新法又はこれに基づく命令の相当の規定によってした認可、承認その他の処分又は申請その他の手続とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第十一条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第十二条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(消費生活協同組合法の一部改正)
第十三条 消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)の一部を次のように改正する。
第百九条第一号及び第二号を次のように改める。
一及び二 削除
(農林漁業金融公庫法の一部改正)
第十四条 農林漁業金融公庫法(昭和二十七年法律第三百五十五号)の一部を次のように改正する。
第十九条第三項を削る。
(農林漁業団体職員共済組合法の一部改正)
第十五条 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項第三号の二を次のように改める。
三の二 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)
(農業近代化資金助成法の一部改正)
第十六条 農業近代化資金助成法(昭和三十六年法律第二百二号)の一部を次のように改正する。
第三条の三中「農林中央金庫が」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第三項の規定は、農林中央金庫が」に、「場合における当該貸付けについての農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十四条ノ二の規定の適用については、同条第二号中「主務大臣ノ認可ヲ受ケ貸付」とあるのは、「貸付」とする」を「場合には、適用しない」に改める。
(法人税法の一部改正)
第十七条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第三農林中央金庫の項中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)」に改める。
(漁業近代化資金助成法の一部改正)
第十八条 漁業近代化資金助成法(昭和四十四年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
第五条中「農林中央金庫が」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第三項の規定は、農林中央金庫が」に、「場合における当該貸付けについての農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十四条ノ二の規定の適用については、同条第二号中「主務大臣ノ認可ヲ受ケ貸付」とあるのは、「貸付」とする」を「場合には、適用しない」に改める。
(農村地域工業等導入促進法の一部改正)
第十九条 農村地域工業等導入促進法(昭和四十六年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
第十三条を次のように改める。
第十三条 削除
(農村地域工業等導入促進法の一部改正に伴う経過措置)
第二十条 前条の規定による改正前の農村地域工業等導入促進法第十三条第一項の規定によってした認可は、新法第五十四条第三項の規定によってした認可とみなす。
(協同組織金融機関の優先出資に関する法律の一部改正)
第二十一条 協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項第一号を次のように改める。
一 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)
第二条第四項中「農林中央金庫法第五条第一項(出資者)及び」を「農林中央金庫の会員、」に、「出資者並びに」を「出資者及び」に改め、同条第七項中「(第二十一条第二項を除く。)」を削り、「農林中央金庫及び」を「農林中央金庫の理事、」に改め、「農林中央金庫法第十条第二項(副理事長)又は」を削り、「若しくは」を「又は」に、「並びに」を「及び」に改める。
第十四条中「第二百八十条ノ十一第一項中「取締役」とあるのは「理事」を「第二百八十条ノ十一第一項中「取締役」とあるのは「理事又ハ経営管理委員」に、「第二百八十条ノ十三中「取締役」とあるのは「理事」を「第二百八十条ノ十三中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」に改め、「優先出資者、理事」の下に「、経営管理委員」を加える。
第二十一条第二項中「定める訴え」の下に「又は請求」を加え、同項第三号中「理事長、副理事長、理事」を「理事、経営管理委員」に改め、同項中第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 商法第二百七十二条(株主の差止請求権) 理事の行為に対する差止請求
第三十四条第二項中「理事」を「理事(農林中央金庫にあっては、経営管理委員)」に改める。
第三十五条中「第二百三十七条ノ三中「取締役」とあるのは「理事」を「第二百三十七条ノ三中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」に、「第二百四十四条第二項及び第三項」を「第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、同条第三項」に、「、理事」を「、理事、経営管理委員」に、「、「取締役」とあるのは「理事」を「、「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」に改める。
第三十六条第一項中「理事が」を「理事(農林中央金庫にあっては、経営管理委員を含む。以下この条において同じ。)が」に改め、同条第二項中「連合会等」を「農林中央金庫及び連合会等」に改める。
第三十八条第二項第一号中「資本金の最低限度等)、第十七条第一項(債券の発行限度)、第二十三条ノ二第二項(準備金の積立限度)及び第二十四条第一項第一号」を「資本金)、第六十条(農林債券の発行)、第七十六条第二項(準備金の積立て)及び第七十七条第一項第一号」に改め、同条第三項第一号中「第二十四条第一項」を「第七十七条第一項」に改める。
(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部改正)
第二十二条 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号)の一部を次のように改正する。
第六十五条第三項中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第三項」に改め、「対し」の下に「、同項の規定による農林水産大臣及び内閣総理大臣の認可を受けないで」を加える。
(金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部改正)
第二十三条 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百四十三号)の一部を次のように改正する。
第十六条第三項中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第三項」に改め、「対し」の下に「、同項の規定による農林水産大臣及び内閣総理大臣の認可を受けないで」を加える。
(食糧管理特別会計法等の一部改正)
第二十四条 次に掲げる法律の規定中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十五条」に改める。
一 食糧管理特別会計法(大正十年法律第三十七号)第四条ノ三第三項
二 中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第四十二条第三項
三 農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)第十三条第三項
四 漁業災害補償法(昭和三十九年法律第百五十八号)第百九十六条の四第三項
五 農林漁業信用基金法(昭和六十二年法律第七十九号)第四条第五項
(資産の流動化に関する法律及び中間法人法の一部改正)
第二十五条 次に掲げる法律の規定中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十三条第一項第十号」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第四項第十一号」に改める。
一 資産の流動化に関する法律第百三十二条第二項第六号
二 中間法人法(平成十三年法律第四十九号)第百五十五条第一号
内閣総理大臣 小泉純一郎
法務大臣 森山眞弓
財務大臣 塩川正十郎
厚生労働大臣 坂口力
農林水産大臣 武部勤
経済産業大臣 平沼赳夫
国土交通大臣 林寛子
農林中央金庫法をここに公布する。
御名御璽
平成十三年六月二十九日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第九十三号
農林中央金庫法
農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の全部を改正する。
目次
第一章
総則(第一条─第七条)
第二章
会員(第八条─第十九条)
第三章
管理(第二十条─第五十三条)
第四章
業務(第五十四条─第五十九条)
第五章
農林債券(第六十条─第七十一条)
第六章
子会社等(第七十二条・第七十三条)
第七章
計算(第七十四条─第八十一条)
第八章
監督(第八十二条─第九十条)
第九章
解散及び清算(第九十一条─第九十五条)
第十章
雑則(第九十六条・第九十七条)
第十一章
罰則(第九十八条─第百二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 農林中央金庫は、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関としてこれらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資することを目的とする。
(法人格)
第二条 農林中央金庫は、法人とする。
(事務所等)
第三条 農林中央金庫は、主たる事務所を東京都に置く。
2 民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十条の規定は、農林中央金庫について準用する。
3 農林中央金庫は、日本において従たる事務所の設置、移転、又は廃止をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣に届け出なければならない。
4 農林中央金庫は、外国において従たる事務所の設置、移転、又は廃止をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認可を受けなければならない。
5 農林中央金庫は、次に掲げる者にその業務を代理させることができる。
一 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合
二 農業協同組合法第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会
三 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合
四 水産業協同組合法第八十七条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合連合会
五 水産業協同組合法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合
六 水産業協同組合法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
(資本金)
第四条 農林中央金庫の資本金は、政令で定める額以上でなければならない。
2 前項の政令で定める額は、百億円を下回ってはならない。
3 農林中央金庫は、その資本金を減少しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。
4 農林中央金庫は、その資本金を増加しようとするときは、主務大臣に届け出なければならない。
(名称の使用制限)
第五条 農林中央金庫でない者は、その名称中に農林中央金庫という文字を用いてはならない。
(登記)
第六条 農林中央金庫は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、第三者に対抗することができない。
3 第一項の規定により登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。
(農林中央金庫の行為等についての商法の準用)
第七条 商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百四条から第五百二十二条までの規定は農林中央金庫の行う行為について、同法第五百二十四条から第五百二十八条までの規定は農林中央金庫が行う売買について、同法第五百二十九条から第五百三十四条までの規定は農林中央金庫が平常取引をする者との間で行う相殺に係る契約について、同法第五百四十三条、第五百四十四条及び第五百四十六条から第五百五十条までの規定は農林中央金庫が行う他人間の商行為の媒介について、同法第五百五十一条から第五百五十七条まで及び第五百九十三条の規定は農林中央金庫について準用する。
第二章 会員
(会員の資格)
第八条 農林中央金庫の会員の資格を有する者は、農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、生産森林組合、森林組合連合会、漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、共済水産業協同組合連合会、農業共済組合、農業共済組合連合会、漁船保険組合、農林漁業信用基金、農業信用基金協会、漁業信用基金協会、漁業共済組合、漁業共済組合連合会、野菜供給安定基金、土地改良区、土地改良区連合及び蚕糸業、林業又は塩業に関する中小企業等協同組合であって定款で定めるものとする。
(出資)
第九条 農林中央金庫の会員(以下「会員」という。)は、出資一口以上を有しなければならない。
2 出資一口の金額は、均一でなければならない。
3 一会員の有する出資口数は、主務省令で定める口数を超えてはならない。
4 会員の責任は、その出資額を限度とする。
5 会員は、出資の払込みについて、相殺をもって農林中央金庫に対抗することができない。
(持分の譲渡)
第十条 会員は、農林中央金庫の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。
2 会員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
4 会員は、持分を共有することができない。
(議決権)
第十一条 会員は、各一個の議決権を有する。
2 農林中央金庫は、前項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、定款で定めるところにより、その会員に対して、当該会員を直接に構成する者の数又は当該会員を直接若しくは間接に構成する法人を構成する者の数及び当該法人の当該会員構成上の関連度に基づき、二個以上の議決権を与えることができる。
3 会員は、定款で定めるところにより、第四十七条第三項の規定によりあらかじめ通知のあった事項につき、書面又は代理人をもって議決権を行うことができる。この場合には、他の会員でなければ、代理人となることができない。
4 会員は、定款で定めるところにより、前項の規定による書面をもってする議決権の行使に代えて、議決権を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により行うことができる。
5 前二項の規定により議決権を行う者は、出席者とみなす。
6 代理人は、代理権を証する書面を農林中央金庫に提出しなければならない。この場合において、電磁的方法により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面の提出に代えて、代理権を当該電磁的方法により証明することができる。
(過怠金)
第十二条 農林中央金庫は、定款で定めるところにより、会員に対して過怠金を課することができる。
(加入の自由)
第十三条 会員の資格を有する者が農林中央金庫に加入しようとするときは、農林中央金庫は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の会員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない。
(脱退の自由)
第十四条 会員は、六月前までに予告し、事業年度末において脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。ただし、その期間は二年を超えてはならない。
(法定脱退)
第十五条 会員は、次に掲げる事由によって脱退する。
一 会員の資格の喪失
二 解散
三 破産
四 除名
2 除名は、次の各号のいずれかに該当する会員につき、総会の議決によってすることができる。この場合において、農林中央金庫は、その総会の日の十日前までにその会員に対しその旨を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
一 長期間にわたって農林中央金庫の事業を利用しない会員
二 出資の払込みその他農林中央金庫に対する義務を怠った会員
三 その他定款で定める事由に該当する会員
3 前項の除名は、除名した会員にその旨を通知しなければ、これをもってその会員に対抗することができない。
(脱退者の持分の払戻し)
第十六条 会員は、脱退したときは、定款で定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻しを請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度末における農林中央金庫の財産によってこれを定める。ただし、定款で定めるところにより、脱退の時における農林中央金庫の財産によってこれを定めることができる。
(持分の払戻しの時期)
第十七条 持分の払戻しは、脱退した事業年度の終了後三月以内(脱退の時における農林中央金庫の財産によって払戻しに係る持分を定める場合には、その時から三月以内)にこれをしなければならない。
2 前条第一項の規定による請求権は、前項の期間が経過した後二年間行わないときは、時効によって消滅する。
(持分の払戻しの停止)
第十八条 農林中央金庫は、脱退した会員が農林中央金庫に対する債務を完済するまでは、その持分の払戻しを停止することができる。
(持分の払戻しの禁止)
第十九条 農林中央金庫は、会員の脱退の場合を除くほか、持分の払戻しをしてはならない。
第三章 管理
(定款)
第二十条 農林中央金庫は、定款を定め、これに次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 会員の資格に関する規定
五 会員の加入及び脱退に関する規定
六 出資一口の金額及びその払込みの方法
七 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
八 準備金の額及びその積立ての方法
九 業務及びその執行に関する規定
十 農林債券の発行に関する規定
十一 役員の定数及びその選任に関する規定
十二 総会及び総代会に関する規定
十三 公告の方法
(役員)
第二十一条 農林中央金庫に、役員として、理事五人以上、経営管理委員十人以上及び監事三人以上を置く。
(理事)
第二十二条 理事は、定款で定めるところにより、経営管理委員会が選任する。
2 理事は、業務を的確、公正かつ効率的に遂行できる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者でなければならない。
3 農林中央金庫は、定款で定めるところにより、経営管理委員会の決議をもって、農林中央金庫を代表すべき理事を定めなければならない。
4 商法第二百六十一条第二項及び第三項の規定は、前項の理事について準用する。この場合において、同条第三項中「第二百五十八条」とあるのは、「第二百五十八条第一項」と読み替えるものとする。
(経営管理委員)
第二十三条 経営管理委員は、定款で定めるところにより、総会において選任する。
2 経営管理委員は、会員である法人の役員、農林水産業者又は金融に関して高い識見を有する者でなければならない。
(監事)
第二十四条 監事は、定款で定めるところにより、総会において選任する。
2 監事のうち一人以上は、農林中央金庫の会員である法人の役員又は使用人以外の者であって、その就任の前五年間農林中央金庫の理事、経営管理委員若しくは職員又はその子会社の取締役若しくは使用人でなかったものでなければならない。
3 前項に規定する「子会社」とは、農林中央金庫がその発行済株式(議決権のあるものに限る。)の総数又は出資の総額(以下「発行済株式の総数等」という。)の百分の五十を超える数又は額の株式(議決権のあるものに限る。)又は持分(以下「株式等」という。)を所有する会社をいう。この場合において、農林中央金庫及びその一若しくは二以上の子会社又は農林中央金庫の一若しくは二以上の子会社がその発行済株式の総数等の百分の五十を超える数又は額の株式等を所有する他の会社は、農林中央金庫の子会社とみなす。
4 前項の場合において、農林中央金庫又はその子会社が所有する株式等には、金銭又は有価証券の信託に係る信託財産として所有する株式等(委託者又は受益者が、議決権を行使し、又は議決権の行使について農林中央金庫又はその子会社に指図を行うことができるものに限る。)その他主務省令で定める株式等を含まないものとし、信託財産である株式等で、農林中央金庫又はその子会社が委託者若しくは受益者として議決権を行使し、又は議決権の行使について指図を行うことができるもの(主務省令で定める株式等を除く。)を含むものとする。
5 農林中央金庫は、監事の互選をもって常勤の監事を定めなければならない。
(役員の任期)
第二十五条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
(役員の兼職等の制限)
第二十六条 理事及び常勤の監事は、報酬を得て他の職務に従事し、又は事業を営んではならない。
2 経営管理委員は、監事又は農林中央金庫の職員を兼ねてはならない。
3 監事は、理事又は農林中央金庫の職員を兼ねてはならない。
(理事会)
第二十七条 理事会は、農林中央金庫の業務執行を決し、理事の職務の執行を監督する。
(経営管理委員会)
第二十八条 経営管理委員会は、この法律で別に定めるもののほか、農林中央金庫の業務の基本方針その他の農林中央金庫の業務執行のうち農林水産業者の協同組織に係る重要事項として定款で定めるものを決定する。
2 理事会は、経営管理委員会が行う前項の規定による決定に従わなければならない。
3 経営管理委員会は、理事をその会議に出席させて、必要な説明を求めることができる。
4 理事会は、必要があるときは、経営管理委員会を招集することができる。
5 商法第二百五十九条ノ二の規定は、前項の規定による招集について準用する。
6 経営管理委員会は、理事が第三十条第一項の規定に違反した場合には、当該理事の解任を総会に請求することができる。
7 経営管理委員会は、総会の日から七日前までに、前項の規定による請求に係る理事に解任の理由を記載した書面を送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
8 第六項の規定による請求につき同項の総会において出席者の過半数の同意があったときは、その請求に係る理事は、その時にその職を失う。
(監事会)
第二十九条 監事会は、この法律で別に定めるもののほか、その決議をもって、監査の方針、農林中央金庫の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監事の職務の執行に関する事項を定めることができる。ただし、監事の権限の行使を妨げることはできない。
2 監事は、監事会の求めがあるときは、いつでもその職務の執行の状況を監事会に報告しなければならない。
(役員の忠実義務)
第三十条 理事及び経営管理委員は、法令、定款、法令に基づいてする主務大臣の処分並びに総会及び経営管理委員会の決議を遵守し、農林中央金庫のため忠実にその職務を遂行しなければならない。
2 理事又は経営管理委員がその任務を怠ったときは、その理事又は経営管理委員は、農林中央金庫に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。
3 理事又は経営管理委員がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったときは、その理事又は経営管理委員は、第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。
4 理事が第三十三条第一項又は第六十五条第二項の書類に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、前項と同様とする。ただし、理事がその記載、登記又は公告をしたことについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
5 商法第二百六十六条第二項、第三項及び第五項の規定は、第二項の理事及び経営管理委員の責任について準用する。
6 第二項から前項までの規定は、監事について準用する。この場合において、第四項中「第三十三条第一項又は第六十五条第二項の書類に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告」とあるのは「監査報告書に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載」と、「記載、登記又は公告」とあるのは「記載」と、前項において準用する商法第二百六十六条第二項中「取締役会」とあるのは「監事会」と読み替えるものとする。
(理事又は経営管理委員と農林中央金庫との契約)
第三十一条 理事又は経営管理委員は、経営管理委員会の承認を受けた場合に限り、農林中央金庫と契約することができる。この場合には、民法第百八条の規定は、適用しない。
(定款その他の書類の備付け及び閲覧等)
第三十二条 理事は、定款を各事務所に、会員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、総会及び経営管理委員会の議事録を十年間主たる事務所に、その謄本を五年間従たる事務所に備えて置かなければならない。
3 会員名簿には、各会員について次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 名称及び住所
二 加入の年月日
三 出資口数及び出資各口の取得の年月日
四 払込済出資額及びその払込みの年月日
4 会員及び農林中央金庫の債権者は、いつでも、理事に対し第一項及び第二項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(決算関係書類の作成)
第三十三条 理事は、事業年度ごとに、事業報告書、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案及び附属明細書を作成し、理事会及び経営管理委員会の承認を受けなければならない。
2 前項の書類については、監事及び会計監査人の監査を受けなければならない。ただし、事業報告書及びその附属明細書の会計監査人の監査については、会計に関する部分に限る。
3 第一項の事業報告書、貸借対照表、損益計算書及び附属明細書の記載方法は、主務省令で定める。
4 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号。以下「商法特例法」という。)第三条第一項から第三項まで及び第四条から第十一条までの規定は、第二項の会計監査人について準用する。この場合において、同法第三条第二項及び第三項中「取締役」とあるのは「経営管理委員」と、同法第四条第二項第一号(同法第六条の四第二項において準用する場合を含む。)中「第二条」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第二項」と、同法第四条第二項第二号中「商法第二百十一条ノ二に規定する子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項に規定する子会社」と、同法第七条第一項中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と、同条第五項中「会社又はその子会社の取締役、監査役又は」とあるのは「農林中央金庫の理事、経営管理委員、監事若しくは職員又はその子会社の取締役、監査役若しくは」と、同法第八条第一項中「取締役」とあるのは「理事又は経営管理委員」と、同法第十条中「第十三条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十五条第一項」と、同法第十一条中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と読み替えるものとする。
(決算関係書類の提出期限)
第三十四条 理事は、通常総会の日の八週間前までに、前条第一項の書類(附属明細書を除く。)を監事会及び会計監査人に提出しなければならない。
2 理事は、前項の書類を提出した日から三週間以内に、前条第一項の附属明細書を監事会及び会計監査人に提出しなければならない。
(会計監査人の監査報告書)
第三十五条 会計監査人は、前条第一項の書類を受領した日から四週間以内に、監査報告書を監事会及び理事に提出しなければならない。
2 商法第二百八十一条ノ三第二項(同項第八号及び第十号を除き、同項第六号、第九号及び第十一号に掲げる事項については、会計に関する部分に限る。)の規定は、前項の監査報告書について準用する。この場合において、同条第二項第九号中「第二百八十一条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第一項」と、同項第十一号中「第二百七十四条ノ三第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第四項ニ於テ準用スル株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第七条第三項」と、「子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と読み替えるものとする。
3 監事は、会計監査人に対して、第一項の監査報告書について説明を求めることができる。
4 第一項の監査報告書の記載方法は、主務省令で定める。
(監事会の監査報告書)
第三十六条 監事は、前条第一項の監査報告書の調査その他の監査を終えたときは、監事会に対し、第四項各号に掲げる事項について報告しなければならない。
2 監事会は、前条第一項の監査報告書を受領した日から一週間以内に、監査報告書を理事に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に送付しなければならない。
3 商法第二百八十一条ノ三第二項(同項第一号から第五号まで及び第七号を除き、同項第六号、第九号及び第十一号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る。)の規定は、前項の監査報告書について準用する。この場合において、同条第二項第九号中「第二百八十一条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第一項」と、同項第十号中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、同項第十一号中「第二百七十四条ノ三第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十九条第二項ニ於テ準用スル第二百七十四条ノ三第一項」と、「子会社」とあるのは「同法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と読み替えるものとする。
4 第二項の監査報告書には、第一項の規定による監事の報告に基づき、次に掲げる事項を記載しなければならない。この場合において、各監事の意見を付記することができる。
一 会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及び理由並びに監事の監査の方法の概要又は結果
二 会計以外の業務の監査の方法の概要
三 前項において第二項の監査報告書について準用する商法第二百八十一条ノ三第二項第六号及び第八号から第十二号までに掲げる事項(同項第六号、第九号及び第十一号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る。)
5 前条第四項の規定は、第二項の監査報告書について準用する。
(決算関係書類の報告、承認等)
第三十七条 理事は、監事会の監査報告書及び会計監査人の監査報告書を添えて第三十三条第一項の書類を通常総会に提出して、附属明細書にあってはその内容を報告し、事業報告書、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案にあってはその承認を求めなければならない。
2 理事は、通常総会の日の二週間前から、第三十三条第一項の書類、監事会の監査報告書及び会計監査人の監査報告書を五年間主たる事務所に、その謄本を三年間従たる事務所に備えて置かなければならない。
3 会員及び農林中央金庫の債権者は、いつでも、理事に対し前項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
4 商法特例法第十六条第一項の規定は理事について、同法第十七条の規定は第三十三条第二項の会計監査人について準用する。この場合において、同法第十六条第一項中「第十三条第二項の規定による」とあるのは「農林中央金庫法第三十五条第二項において準用する」と、「同法第二百八十三条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十七条第一項」と、「同法第二百八十一条第一項第一号及び第二号に掲げる書類」とあるのは「貸借対照表及び損益計算書」と、同法第十七条第一項中「第二条」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第二項」と読み替えるものとする。
(役員の解任の請求)
第三十八条 会員は、総会員の五分の一以上の連署をもって、その代表者から役員の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、理事の全員、経営管理委員の全員又は監事の全員について同時にしなければならない。ただし、法令、法令に基づいてする主務大臣の処分又は定款の違反を理由として解任を請求する場合は、この限りでない。
3 第一項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を経営管理委員に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による請求があったときは、経営管理委員は、これを総会の議に付さなければならない。この場合には、第四十五条第二項及び第四十六条第一項の規定を準用する。
5 第三項の規定による書類の提出があったときは、経営管理委員は、総会の日から七日前までに、その請求に係る役員にその書面又はその写しを送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
6 第一項の規定による請求につき第四項の総会において出席者の過半数の同意があったときは、その請求に係る役員は、その時にその職を失う。
(役員等に関する商法等の準用)
第三十九条 商法第二百五十四条第三項、第二百五十四条ノ二、第二百五十六条第三項、第二百五十八条第一項及び第二百六十七条から第二百六十八条ノ三までの規定は理事、経営管理委員及び監事について、同法第二百六十九条の規定は理事及び経営管理委員について準用する。この場合において、同法第二百五十四条ノ二第三号中「本法」とあるのは「農林中央金庫法、本法」と、同法第二百五十六条第三項中「前二項」とあるのは「農林中央金庫法第二十五条」と読み替えるものとする。
2 民法第五十五条並びに商法第二百六十二条及び第二百七十二条の規定は理事について、同法第二百七十四条、第二百七十四条ノ三から第二百七十五条ノ四まで及び第二百七十八条から第二百七十九条ノ二までの規定は監事について準用する。この場合において、民法第五十五条中「総会」とあるのは「総会若クハ経営管理委員会」と、商法第二百七十四条第一項中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、同条第二項中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と、同法第二百七十四条ノ三中「子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と、同法第二百七十五条中「取締役」とあるのは「理事又ハ経営管理委員」と、同法第二百七十五条ノ二中「取締役」とあるのは「理事」と、同法第二百七十五条ノ四中「取締役」とあるのは「理事若ハ経営管理委員」と、「第二百六十七条第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十九条第一項ニ於テ準用スル第二百六十七条第一項」と、同法第二百七十八条中「取締役」とあるのは「理事又ハ経営管理委員」と読み替えるものとする。
3 商法第二百六十条ノ四第一項及び第二項の規定は理事会、経営管理委員会及び監事会について、同法第二百五十九条から第二百五十九条ノ三まで、第二百六十条ノ二及び第二百六十条ノ三の規定は理事会及び経営管理委員会について、同法第二百六十条ノ四第三項から第五項までの規定は理事会及び監事会について準用する。この場合において、同法第二百六十条ノ三第二項中「取締役」とあるのは、理事会について準用する場合には「理事」、経営管理委員会について準用する場合には「理事又ハ経営管理委員」と、同法第二百六十条ノ四第二項中「取締役及監査役」とあるのは、理事会について準用する場合には「理事及監事」、経営管理委員会について準用する場合には「経営管理委員及監事」、監事会について準用する場合には「監事」と、同条第四項中「株主又ハ親会社ノ株主」とあるのは「会員」と、同条第五項中「其ノ親会社若ハ子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と読み替えるものとする。
4 商法第二百五十九条第一項本文、第二百五十九条ノ二、第二百五十九条ノ三及び第二百七十四条ノ二並びに商法特例法第十八条の三第一項の規定は、監事会について準用する。この場合において、商法第二百五十九条第一項本文中「各取締役」とあるのは「各監事」と、同法第二百五十九条ノ二中「各取締役及各監査役」とあるのは「各監事」と、同法第二百五十九条ノ三中「取締役及監査役」とあるのは「監事」と、同法第二百七十四条ノ二中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、商法特例法第十八条の三第一項ただし書中「第六条の二第一項」とあるのは「農林中央金庫法第三十三条第四項において準用する第六条の二第一項」と読み替えるものとする。
(主務大臣による仮理事の選任又は総会の招集)
第四十条 役員の職務を行う者がないため遅滞により損害を生ずるおそれがある場合において、会員その他の利害関係人の請求があったときは、主務大臣は、仮理事を選任し、又は役員(理事を除く。以下この項において同じ。)を選任するための総会を招集して役員を選任させることができる。
2 第四十七条の規定は、前項の総会の招集について準用する。
(支配人)
第四十一条 農林中央金庫は、理事会の決議により、支配人を置くことができる。
2 商法第三十八条第一項及び第三項、第三十九条、第四十一条並びに第四十二条の規定は、支配人について準用する。
(競争関係にある者の役員等への就任禁止)
第四十二条 農林中央金庫の営む業務と実質的に競争関係にある業務(会員の営む業務を除く。)を営み、又はこれに従事する者は、理事、経営管理委員、監事又は支配人になってはならない。
(支配人の解任)
第四十三条 会員は、総会員の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、支配人の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
3 第一項の規定による請求があったときは、理事会は、その支配人の解任の可否を決しなければならない。
4 理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、その支配人に対し、第二項の書面又はその写しを送付し、かつ、弁明する機会を与えなければならない。
(総会の招集)
第四十四条 通常総会は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回招集しなければならない。
第四十五条 臨時総会は、必要があるときは、定款で定めるところにより、いつでも招集することができる。
2 会員が総会員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を経営管理委員に提出して、総会の招集を請求したときは、経営管理委員会は、その請求のあった日から三週間以内に総会を招集すべきことを決しなければならない。
3 前項の場合において、電磁的方法により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面の提出に代えて、当該書面に記載すべき事項及び理由を当該電磁的方法により提出することができる。この場合において、当該会員は、当該書面を提供したものとみなす。
4 前項前段の電磁的方法(主務省令で定めるものを除く。)により行われた当該書面に記載すべき事項及び理由の提供は、経営管理委員の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該経営管理委員に到達したものとみなす。
第四十六条 経営管理委員の職務を行う者がないとき、又は前条第二項の請求の日から二週間以内に経営管理委員が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
2 経営管理委員及び監事の職務を行う者がないときは、理事は、総会を招集しなければならない。
(会員に対する通知又は催告)
第四十七条 農林中央金庫の会員に対してする通知又は催告は、会員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を農林中央金庫に通知したときは、その場所)にあててすれば足りる。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3 総会招集の通知は、その総会の日の一週間前までに、その会議の目的たる事項を示してしなければならない。
(総会の議事)
第四十八条 総会の議事は、この法律又は定款に特別の定めがある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決する。
2 総会においては、前条第三項の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。ただし、定款で別段の定めをしたときは、この限りでない。
(特別議決事項)
第四十九条 次に掲げる事項は、総会員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 解散
三 会員の除名
2 定款の変更(軽微な事項その他の主務省令で定める事項に係るものを除く。)は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 農林中央金庫は、前項の主務省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(総会についての商法の準用)
第五十条 商法第二百三十一条、第二百三十七条ノ三、第二百四十三条、第二百四十四条第一項及び第二項並びに第二百四十七条から第二百五十二条までの規定は、総会について準用する。この場合において、商法第二百三十一条中「本法」とあるのは「農林中央金庫法」と、「取締役会」とあるのは「経営管理委員会」と、同法第二百三十七条ノ三中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と、同法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「農林中央金庫法第四十七条第三項」と、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、同法第二百四十七条第一項中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と、同法第二百四十九条第一項(同法第二百五十二条において準用する場合を含む。)中「株主ガ」とあるのは「会員ガ」と、「其ノ株主」とあるのは「其ノ会員タル法人ノ役員」と、「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」と読み替えるものとする。
(総代会)
第五十一条 農林中央金庫は、主務省令で定めるところにより、定款をもって、総会に代わるべき総代会を設けることができる。
2 総会に関する規定(第九十一条(第一項第一号に係る部分に限る。)の規定を除く。)は、総代会について準用する。
(出資一口の金額の減少)
第五十二条 農林中央金庫は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作成し、かつ、農林中央金庫の債権者の閲覧に供するため、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 農林中央金庫は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、農林債券の権利者、預金者又は定期積金の積金者その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下回ってはならない。
第五十三条 債権者が前条第二項の期間内に異議を述べなかったときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が前条第二項の期間内に異議を述べたときは、農林中央金庫は、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託業務を営む銀行若しくは信託会社に相当の財産を信託しなければならない。ただし、出資一口の金額の減少をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
3 商法第三百八十条の規定は、農林中央金庫の出資一口の金額の減少について準用する。この場合において、同条第二項中「取締役」とあるのは、「理事、経営管理委員」と読み替えるものとする。
第四章 業務
(業務の範囲)
第五十四条 農林中央金庫は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
一 会員の預金の受入れ
二 会員に対する資金の貸付け又は手形の割引
三 為替取引
2 農林中央金庫は、前項各号に掲げる業務のほか、次に掲げる業務を営むことができる。
一 会員以外の者の預金又は定期積金の受入れ
二 会員以外の者に対する資金の貸付け又は手形の割引
3 農林中央金庫は、前項第二号に掲げる業務を営もうとするときは、次に掲げる者を相手方とする場合を除き、主務大臣の認可を受けなければならない。
一 第八条に規定する者
二 農林水産業を営む者であって主務省令で定めるもの
三 
四 銀行その他の金融機関
五 証券業者
4 農林中央金庫は、前三項の規定により営む業務のほか、当該業務に付随する次に掲げる業務その他の業務を営むことができる。
一 債務の保証又は手形の引受け
二 有価証券(第五号に規定する証書をもって表示される金銭債権に該当するものを除く。第六号及び第七号において同じ。)の売買、有価証券店頭デリバティブ取引(有価証券先渡取引を除く。)、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引又は外国市場証券先物取引(投資の目的をもってするものに限る。)
三 有価証券の貸付け
四 国債、地方債若しくは政府保証債(以下この条において「国債等」という。)の引受け(売出しの目的をもってするものを除く。)又は当該引受けに係る国債等の募集の取扱い
五 金銭債権(譲渡性預金証書その他の主務省令で定める証書をもって表示されるものを含む。)の取得又は譲渡
六 特定目的会社が発行する特定社債(資産流動化計画において当該特定社債の発行により得られる金銭をもって指名金銭債権又は指名金銭債権を信託する信託の受益権のみを取得するものに限る。)その他これに準ずる有価証券として主務省令で定めるもの(以下この号において「特定社債等」という。)の引受け(売出しの目的をもってするものを除く。)又は当該引受けに係る特定社債等の募集の取扱い
七 有価証券の私募の取扱い
八 地方債又は社債その他の債券の募集又は管理の受託
九 担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)により営む担保附社債に関する信託業務
十 農林漁業金融公庫その他主務大臣の指定する者の業務の代理
十一 国、地方公共団体、会社等の金銭の収納その他金銭に係る事務の取扱い
十二 有価証券、貴金属その他の物品の保護預り
十三 両替
十四 金融先物取引等
十五 金融先物取引等の受託等
十六 金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引であって、主務省令で定めるもの(次号において「金融等デリバティブ取引」という。)のうち、第五号及び第十四号に掲げる業務に該当するもの以外のもの
十七 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理(第十五号に掲げる業務に該当するもの及び主務省令で定めるものを除く。)
十八 有価証券店頭デリバティブ取引(当該有価証券店頭デリバティブ取引に係る有価証券が第五号に規定する証書をもって表示される金銭債権に該当するもの以外のものである場合には、差金の授受によって決済されるものに限る。次号において同じ。)であって、第二号に掲げる業務に該当するもの以外のもの
十九 有価証券店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
5 前項第五号に掲げる業務には、同号に規定する証書をもって表示される金銭債権のうち有価証券に該当するものについて、証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第八項各号に掲げる行為を行う業務を含むものとする。
6 第四項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 有価証券店頭デリバティブ取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引又は有価証券先渡取引 それぞれ証券取引法第二条第八項第三号の二又は第十八項から第二十一項までに規定する有価証券店頭デリバティブ取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引又は有価証券先渡取引をいう。
二 政府保証債 政府が元本の償還及び利息の支払について保証している社債その他の債券をいう。
三 特定目的会社、資産流動化計画又は特定社債 それぞれ資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項、第四項又は第七項に規定する特定目的会社、資産流動化計画又は特定社債をいう。
四 有価証券の私募の取扱い 有価証券の私募(証券取引法第二条第三項に規定する有価証券の私募をいう。)の取扱いをいう。
五 金融先物取引等 金融先物取引法(昭和六十三年法律第七十七号)第二条第九項に規定する金融先物取引等をいう。
六 金融先物取引等の受託等 金融先物取引法第二条第十項に規定する金融先物取引等の受託等をいう。
7 農林中央金庫は、第一項から第四項までの規定により営む業務のほか、第一項各号に掲げる業務の遂行を妨げない限度において、証券取引法第六十五条第二項各号に掲げる有価証券又は取引について、同項各号に定める行為を行う業務(第四項の規定により営む業務を除く。)を営むことができる。
8 農林中央金庫は、第一項から第四項までの規定により営む業務のほか、第一項各号に掲げる業務の遂行を妨げない限度において、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項に規定する信託業務を営むことができる。
9 農林中央金庫が第七項の規定により同項に規定する業務を営もうとする場合には、農林中央金庫は、不特定かつ多数の者を相手方とする当該業務については、その内容及び方法を定めて、主務大臣の認可を受けなければならない。当該認可を受けた業務の内容及び方法を変更しようとするときも、同様とする。
10 農林中央金庫が第八項の規定により同項に規定する信託業務を営もうとする場合には、農林中央金庫は、当該信託業務の種類及び方法を定めて、主務大臣の認可を受けなければならない。当該認可を受けた信託業務の種類又は方法を変更しようとするときも、同様とする。
11 農林中央金庫は、第四項第八号及び第九号に規定する業務に関しては、商法、担保附社債信託法その他の政令で定める法令の適用については、政令で定めるところにより、会社又は銀行とみなす。
12 農林中央金庫は、第四項第十一号に掲げる業務を営む場合には、商法第百六十八条第一項第八号ただし書、第百七十条第二項、第百七十五条第二項第十号、同条第四項(同法第二百八十条ノ十四において準用する場合を含む。)、第百七十八条(同法第二百八十条ノ十四第一項及び第三百四十一条ノ十六第三項において準用する場合を含む。)、第百八十九条(同法第二百八十条ノ十四第一項及び第三百四十一条ノ十六第三項並びに有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)第十二条第三項(同法第五十七条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、第三百四十一条ノ十二第四号及び第三百四十一条ノ十六第二項、有限会社法第七条第四号ただし書及び第十二条第二項(同法第五十七条において準用する場合を含む。)並びに商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第八十条第十号、第八十二条第四号、第九十五条第六号及び第九十六条第二号(同法第八十二条第四号に係る部分に限る。)の規定の適用については、銀行とみなす。
第五十五条 農林中央金庫は、前条の規定により営む業務のほか、他の業務を営むことができない。
(経営の健全性の確保)
第五十六条 主務大臣は、農林中央金庫の業務の健全な運営に資するため、農林中央金庫がその経営の健全性を判断するための基準として次に掲げる基準その他の基準を定めることができる。
一 農林中央金庫の保有する資産等に照らし農林中央金庫の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
二 農林中央金庫及びその子会社(第二十四条第三項に規定する子会社をいう。以下同じ。)その他の農林中央金庫と主務省令で定める特殊の関係のある会社(以下この号、第七章及び第八章において「子会社等」という。)の保有する資産等に照らし農林中央金庫及びその子会社等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
(預金者等に対する情報の提供等)
第五十七条 農林中央金庫は、預金又は定期積金の受入れに関し、預金者及び定期積金の積金者(以下この項において「預金者等」という。)の保護に資するため、主務省令で定めるところにより、預金又は定期積金に係る契約の内容その他預金者等に参考となるべき情報の提供を行わなければならない。
2 前項及び他の法律に定めるもののほか、農林中央金庫は、主務省令で定めるところにより、その業務に係る重要な事項の顧客への説明その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならない。
(同一人に対する信用の供与等)
第五十八条 農林中央金庫の同一人(当該同一人と政令で定める特殊の関係のある者を含む。以下この条において同じ。)に対する信用の供与等(信用の供与又は出資として政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の額は、政令で定める区分ごとに、農林中央金庫の自己資本の額に政令で定める率を乗じて得た額(以下この条において「信用供与等限度額」という。)を超えてはならない。ただし、信用の供与等を受けている者が合併をし、共同新設分割(法人が他の法人と共同してする新設分割をいう。)若しくは吸収分割をし、又は営業を譲り受けたことにより農林中央金庫の同一人に対する信用の供与等の額が信用供与等限度額を超えることとなる場合その他政令で定めるやむを得ない理由がある場合において、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
2 農林中央金庫が子会社(主務省令で定める会社を除く。)その他の農林中央金庫と主務省令で定める特殊の関係のある者(以下この条において「子会社等」という。)を有する場合には、農林中央金庫及び当該子会社等又は当該子会社等の同一人に対する信用の供与等の額は、政令で定める区分ごとに、合算して、農林中央金庫及び当該子会社等の自己資本の純合計額に政令で定める率を乗じて得た額(以下この条において「合算信用供与等限度額」という。)を超えてはならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 前二項の規定は、国及び地方公共団体に対する信用の供与、政府が元本の返済及び利息の支払について保証している信用の供与その他これらに準ずるものとして政令で定める信用の供与等については、適用しない。
4 第二項の場合において、農林中央金庫及びその子会社等又はその子会社等の同一人に対する信用の供与等の合計額が合算信用供与等限度額を超えることとなったときは、その超える部分の信用の供与等の額は、農林中央金庫の信用の供与等の額とみなす。
5 前各項に定めるもののほか、信用の供与等の額、第一項に規定する自己資本の額、信用供与等限度額、第二項に規定する自己資本の純合計額及び合算信用供与等限度額の計算方法その他第一項及び第二項の規定の適用に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(特定関係者との間の取引等)
第五十九条 農林中央金庫は、その特定関係者(農林中央金庫の子会社その他の農林中央金庫と政令で定める特殊の関係のある者をいう。以下この条において同じ。)又はその特定関係者の顧客との間で、次に掲げる取引又は行為をしてはならない。ただし、当該取引又は行為をすることにつき主務省令で定めるやむを得ない理由がある場合において、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
一 当該特定関係者との間で行う取引で、その条件が農林中央金庫の取引の通常の条件に照らして農林中央金庫に不利益を与えるものとして主務省令で定める取引
二 当該特定関係者との間又は当該特定関係者の顧客との間で行う取引又は行為のうち前号に掲げるものに準ずる取引又は行為で、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な遂行に支障を及ぼすおそれのあるものとして主務省令で定める取引又は行為
第五章 農林債券
(農林債券の発行)
第六十条 農林中央金庫は、払込資本金及び準備金(準備金として政令で定めるものをいう。)の合計額の三十倍に相当する金額を限度として、農林債券を発行することができる。
(農林債券の種別等)
第六十一条 農林債券は、無記名式とする。ただし、応募者又は所有者の請求により記名式とすることができる。
2 農林中央金庫は、農林債券を発行する場合においては、割引の方法によることができる。
(農林債券の借換発行の場合の特例)
第六十二条 農林中央金庫は、その発行した農林債券の借換えのため、一時第六十条に規定する限度を超えて農林債券を発行することができる。
2 前項の規定により農林債券を発行したときは、発行後一月以内にその発行券面額に相当する額の旧農林債券を償還しなければならない。
(農林債券発行の届出)
第六十三条 農林中央金庫は、農林債券を発行しようとするときは、その都度、その金額及び条件をあらかじめ主務大臣に届け出なければならない。
(農林債券の発行方法)
第六十四条 農林中央金庫は、農林債券を発行する場合においては、募集又は売出しの方法によることができる。
(農林債券の申込証)
第六十五条 農林債券の募集に応じようとする者は、農林債券の申込証にその引き受けようとする農林債券の数及び住所を記載し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
2 前項の農林債券の申込証は、理事が作成し、これに政令で定める事項を記載しなければならない。
3 前二項の規定は、契約により農林債券の総額につき引受けが行われる場合には、適用しない。
(売出しの公告)
第六十六条 農林中央金庫は、売出しの方法により農林債券を発行しようとするときは、政令で定める事項を公告しなければならない。
(農林債券の記載事項)
第六十七条 農林債券には、政令で定める事項を記載し、理事が署名し、又は記名押印しなければならない。
(農林債券原簿)
第六十八条 理事は、主たる事務所に農林債券原簿を備えて置かなければならない。
2 前項の農林債券原簿には、政令で定める事項を記載しなければならない。
3 会員及び農林中央金庫の債権者は、いつでも、理事に対し農林債券原簿の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(農林債券の消滅時効)
第六十九条 農林債券の消滅時効は、元本については十五年、利子については五年で完成する。
(通貨及証券模造取締法の準用)
第七十条 通貨及証券模造取締法(明治二十八年法律第二十八号)は、農林債券の模造について準用する。
(政令への委任)
第七十一条 この章に定めるもののほか、農林債券に関し必要な事項は、政令で定める。
第六章 子会社等
(農林中央金庫の子会社の範囲等)
第七十二条 農林中央金庫は、次に掲げる会社(以下「子会社対象会社」という。)以外の会社を子会社としてはならない。
一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行のうち、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により同法第一条第一項に規定する信託業務を営むもの
二 証券取引法第二条第九項に規定する証券会社のうち、証券業(同条第八項各号に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。以下この条において同じ。)のほか、同法第三十四条第一項各号に掲げる業務その他の主務省令で定める業務を専ら営むもの(以下「証券専門会社」という。)
三 銀行業(銀行法第二条第二項に規定する銀行業をいう。)を営む外国の会社
四 証券業を営む外国の会社(前号に掲げる会社に該当するものを除く。)
五 次に掲げる業務を専ら営む会社(イに掲げる業務を営む会社にあっては主として農林中央金庫又はその子会社の営む業務のためにその業務を営んでいるものに限り、ロに掲げる業務を営む会社にあってはその会社が証券専門関連業務を営む会社である場合には農林中央金庫の証券子会社等が合算して所有する当該会社の株式等の数又は額が農林中央金庫又はその子会社(証券子会社等を除く。)が合算して所有する当該会社の株式等の数又は額を超えるものに限る。)
イ 従属業務
ロ 金融関連業務
六 新たな事業分野を開拓する会社として主務省令で定める会社(当該会社の株式等を、農林中央金庫の子会社のうち前号に掲げる会社で主務省令で定めるもの(次条第七項において「特定子会社」という。)以外の子会社又は農林中央金庫が、合算して、同条第一項に規定する基準株式数等を超えて所有していないものに限る。)
七 前各号に掲げる会社のみを子会社とする持株会社(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第九条第三項に規定する持株会社をいう。次項第二号において同じ。)で主務省令で定めるもの(当該持株会社になることを予定している会社を含む。)
2 前項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 証券専門関連業務 専ら証券業に付随し、又は関連する業務として主務省令で定めるもの
二 証券子会社等 農林中央金庫の子会社である次に掲げる会社
イ 証券専門会社又は証券業を営む外国の会社
ロ イに掲げる会社を子会社とする前項第七号に掲げる持株会社
ハ その他の会社であって、農林中央金庫の子会社である証券専門会社の子会社のうち主務省令で定めるもの
三 従属業務 農林中央金庫又は前項第一号から第四号までに掲げる会社の営む業務に従属する業務として主務省令で定めるもの
四 金融関連業務 第五十四条第一項各号に掲げる業務又は証券業に付随し、又は関連する業務として主務省令で定めるもの
3 第一項の規定は、子会社対象会社以外の会社が、農林中央金庫又はその子会社の担保権の実行による株式等の取得その他の主務省令で定める事由により農林中央金庫の子会社となる場合には、適用しない。ただし、農林中央金庫は、その子会社となった会社が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
4 農林中央金庫は、子会社対象会社のうち、第一項第一号から第五号まで又は第七号に掲げる会社(従属業務(第二項第三号に掲げる従属業務をいう。以下この項、第九項第一号及び第十項において同じ。)又は第五十四条第一項各号に掲げる業務に付随し、若しくは関連する業務として主務省令で定めるものを専ら営む会社(従属業務を営む会社にあっては、主として農林中央金庫の営む業務のためにその業務を営んでいる会社に限る。)を除く。以下「認可対象会社」という。)を子会社としようとするときは、農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律(平成八年法律第百十八号)第十五条第一項(同法第二十七条において準用する場合を含む。)の認可を受ける場合を除き、あらかじめ、主務大臣の認可を受けなければならない。
5 前項の規定は、認可対象会社が、農林中央金庫又はその子会社の担保権の実行による株式等の取得その他の主務省令で定める事由により農林中央金庫の子会社となる場合には、適用しない。ただし、農林中央金庫は、その子会社となった認可対象会社を引き続き子会社とすることについて主務大臣の認可を受けた場合を除き、当該認可対象会社が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
6 第四項の規定は、農林中央金庫が、その子会社としている第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(認可対象会社に限る。)に該当する子会社としようとするときについて準用する。
7 農林中央金庫は、第四項の規定により認可対象会社を子会社としようとするとき、又は前項の規定によりその子会社としている第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(認可対象会社に限る。)に該当する子会社としようとするときは、その旨を定款で定めなければならない。
8 農林中央金庫が認可対象会社を子会社としている場合には、理事は、当該認可対象会社の業務及び財産の状況を、主務省令で定めるところにより、総会に報告しなければならない。
9 農林中央金庫は、次の各号のいずれかに該当するときは、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
一 第一項第五号又は第六号に掲げる会社(同項第五号の会社にあっては、主として農林中央金庫の営む業務のために従属業務を営む会社に限る。)を子会社としようとするとき(農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律第十五条第一項(同法第二十七条において準用する場合を含む。)の認可を受ける場合を除く。)。
二 その子会社が子会社でなくなったとき、又は認可対象会社に該当する子会社が認可対象会社に該当しない子会社となったとき。
10 第一項第五号又は第四項の場合において、会社が主として農林中央金庫若しくはその子会社又は農林中央金庫の営む業務のために従属業務を営んでいるかどうかの基準は、主務大臣が定める。
(農林中央金庫等による株式の取得等の制限)
第七十三条 農林中央金庫又はその子会社は、国内の会社(前条第一項第一号、第二号、第五号及び第七号に掲げる会社を除く。以下この条において同じ。)の株式等については、合算して、その基準株式数等(当該国内の会社の発行済株式の総数等に百分の十を乗じて得た株式等の数又は額をいう。以下この条において同じ。)を超える数又は額の株式等を取得し、又は所有してはならない。
2 前項の規定は、農林中央金庫又はその子会社が、担保権の実行その他の主務省令で定める事由により、国内の会社の株式等をその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなる場合には、適用しない。ただし、農林中央金庫又はその子会社は、合算してその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなった部分の株式等については、農林中央金庫があらかじめ主務大臣の承認を受けた場合を除き、その取得し、又は所有することとなった日から一年を超えてこれを所有してはならない。
3 前項ただし書の場合において、主務大臣がする同項の承認の対象には、農林中央金庫又はその子会社が国内の会社の株式等を合算してその発行済株式の総数等の百分の五十を超えて取得し、又は所有することとなった株式等のうち当該百分の五十を超える部分の株式等は含まれないものとし、主務大臣が当該承認をするときは、農林中央金庫又はその子会社が合算してその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなった株式等のうちその基準株式数等を超える部分の株式等を速やかに処分することを条件としなければならない。
4 農林中央金庫又はその子会社は、次の各号に掲げる場合には、第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める日に所有することとなる国内の会社の株式等がその基準株式数等を超える場合であっても、同日以後、当該株式等をその基準株式数等を超えて所有することができる。ただし、主務大臣は、農林中央金庫又はその子会社が、次の各号に掲げる場合に国内の会社の株式等を合算してその発行済株式の総数等の百分の五十を超えて所有することとなるときは、当該各号に規定する認可をしてはならない。
一 農林中央金庫が農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律第十五条第一項の認可を受けて合併をしたとき その合併をした日
二 農林中央金庫が農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律第二十七条において準用する同法第十五条第一項の認可を受けて事業を譲り受けたとき その事業を譲り受けた日
5 主務大臣は、前項各号に規定する認可をするときは、当該各号に定める日に農林中央金庫又はその子会社が合算してその基準株式数等を超えて所有することとなる国内の会社の株式等のうちその基準株式数等を超える部分の株式等を、同日から五年を経過する日までに主務大臣が定める基準に従って処分することを条件としなければならない。
6 農林中央金庫又はその子会社が、国内の会社の株式等を合算してその基準株式数等を超えて所有することとなった場合には、その超える部分の数又は額の株式等は、農林中央金庫が取得し、又は所有するものとみなす。
7 前各項の場合において、新たな事業分野を開拓する会社として主務省令で定める会社の株式等の取得又は所有については、特定子会社は、農林中央金庫の子会社に該当しないものとみなす。
8 第二十四条第四項の規定は、前各項の場合において農林中央金庫又はその子会社が取得し、又は所有する株式等について準用する。
第七章 計算
(事業年度)
第七十四条 農林中央金庫の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
(帳簿等に関する商法の準用)
第七十五条 商法第三十二条から第三十六条までの規定は農林中央金庫の帳簿その他の書類について、同法第二百八十五条、第二百八十五条ノ二、第二百八十五条ノ四から第二百八十五条ノ六まで、第二百八十六条ノ三及び第二百八十六条ノ五から第二百八十七条ノ二までの規定は農林中央金庫の計算について準用する。この場合において、同法第二百八十五条中「第二百八十五条ノ七」とあるのは「第二百八十五条ノ六」と、同法第二百八十五条ノ六第二項中「子会社」とあるのは「農林中央金庫法第二十四条第三項ニ規定スル子会社」と、同法第二百八十六条ノ五中「社債」とあるのは「農林債券」と、同法第二百八十七条中「社債権者」とあるのは「農林債券ノ権利者」と、「社債」とあるのは「当該農林債券」と読み替えるものとする。
(準備金の積立て)
第七十六条 農林中央金庫は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の五分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の定款で定める準備金の額は、資本金の額を下回ってはならない。
3 第一項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取り崩してはならない。
(剰余金の配当)
第七十七条 農林中央金庫の剰余金の配当は、事業年度終了の日における純資産の額(貸借対照表上の資産の額から負債の額を控除して得た額をいう。以下この項において同じ。)から次に掲げる金額を控除して得た額を限度として行うことができる。
一 資本金の額
二 前条第一項の準備金の額
三 前条第一項の規定によりその事業年度に積み立てなければならない準備金の額
四 第七十五条において準用する商法第二百八十六条ノ三の規定により貸借対照表の資産の部に計上した金額が前二号の準備金の合計額を超えるときは、その超過額
五 資産につき時価を付すものとした場合(第七十五条において準用する商法第二百八十五条ノ二第一項ただし書及び第二項(これらの規定を同法第二百八十五条ノ五第二項及び第二百八十五条ノ六第二項において準用する場合を含む。)の場合を除く。)において、その付した時価の総額がその取得価額の総額を超えるときは、時価を付したことにより増加した純資産の額
2 剰余金の配当は、定款で定めるところにより、払込済出資額又は会員の農林中央金庫の事業の利用分量に応じてしなければならない。
3 払込済出資額に応じてする剰余金の配当の率は、主務省令で定める割合を超えてはならない。
第七十八条 農林中央金庫は、定款で定めるところにより、会員が出資の払込みを終わるまでは、会員に配当する剰余金をその払込みに充てることができる。
(農林中央金庫の持分取得の禁止)
第七十九条 農林中央金庫は、会員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(業務報告書)
第八十条 農林中央金庫は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況を記載した業務報告書を作成し、主務大臣に提出しなければならない。
2 農林中央金庫が子会社等を有する場合には、農林中央金庫は、事業年度ごとに、前項の業務報告書のほか、農林中央金庫及び当該子会社等の業務及び財産の状況を連結して記載した業務報告書を作成し、主務大臣に提出しなければならない。
3 前二項の業務報告書の記載事項、提出期日その他業務報告書に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧等)
第八十一条 農林中央金庫は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項として主務省令で定めるものを記載した説明書類を作成し、農林中央金庫の主たる事務所及び従たる事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。
2 農林中央金庫が子会社等を有する場合には、農林中央金庫は、事業年度ごとに、前項の説明書類のほか、農林中央金庫及び当該子会社等の業務及び財産の状況に関する事項として主務省令で定めるものを農林中央金庫及び当該子会社等につき連結して記載した説明書類を作成し、農林中央金庫の主たる事務所及び従たる事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、前二項の説明書類を公衆の縦覧に供する期間その他これらの規定の適用に関し必要な事項は、主務省令で定める。
4 農林中央金庫は、第一項又は第二項に規定する事項のほか、預金者その他の顧客が農林中央金庫及びその子会社等の業務及び財産の状況を知るために参考となるべき事項の開示に努めなければならない。
第八章 監督
(主務大臣の監督)
第八十二条 主務大臣は、農林中央金庫の業務を監督する。
2 この法律における主務大臣は、農林水産大臣及び内閣総理大臣とする。ただし、第五十六条各号に掲げる基準及び第五十八条第一項に規定する同一人に対する信用の供与等(第六項において「信用の供与等」という。)の額に関する第八十四条第一項及び第二項の規定による検査に関する事項については、内閣総理大臣とする。
3 第八十四条第一項及び第二項に規定する主務大臣の権限(前項ただし書の規定により内閣総理大臣が単独で所管するものを除く。)は、前項本文の規定にかかわらず、農林水産大臣又は内閣総理大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。
4 内閣総理大臣は、第二項ただし書又は前項の規定により単独で検査を行ったときは、速やかに、その結果を農林水産大臣に通知するものとする。
5 農林水産大臣は、第三項の規定により単独で検査を行ったときは、速やかに、その結果を内閣総理大臣に通知するものとする。
6 第八十五条第一項に規定する主務大臣の権限は、農林中央金庫若しくは農林中央金庫及びその子会社等の自己資本の充実の状況又は信用の供与等の状況に照らし信用秩序の維持を図るため特に必要なものとして政令で定める事由に該当する場合には、第二項本文の規定にかかわらず、内閣総理大臣が単独に行使することを妨げない。
7 内閣総理大臣は、前項の規定によりその権限を単独に行使するときは、あらかじめ、農林水産大臣に協議しなければならない。
8 この法律における主務省令は、農林水産省令・内閣府令とする。ただし、第八十五条第二項に規定する主務省令は、農林水産省令・内閣府令・財務省令とする。
9 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
(報告又は資料の提出)
第八十三条 主務大臣は、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、農林中央金庫に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 主務大臣は、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、農林中央金庫の子会社に対し、農林中央金庫の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3 農林中央金庫の子会社は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。
(立入検査)
第八十四条 主務大臣は、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に農林中央金庫の事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に農林中央金庫の子会社の施設に立ち入らせ、農林中央金庫に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
5 前条第三項の規定は、第二項の規定による農林中央金庫の子会社に対する質問及び検査について準用する。
(業務の停止等)
第八十五条 主務大臣は、農林中央金庫の業務若しくは財産又は農林中央金庫及びその子会社等の財産の状況に照らして、農林中央金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、農林中央金庫に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、農林中央金庫の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して農林中央金庫の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは農林中央金庫の財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)であって、農林中央金庫又は農林中央金庫及びその子会社等の自己資本の充実の状況によって必要があると認めるときにするものは、主務省令で定める農林中央金庫又は農林中央金庫及びその子会社等の自己資本の充実の状況に係る区分に応じ、それぞれ主務省令で定めるものでなければならない。
(違法行為等についての処分)
第八十六条 主務大臣は、農林中央金庫が法令、定款若しくは法令に基づいてする主務大臣の処分に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、総会の決議を取り消し、又はその業務の全部若しくは一部の停止、解散若しくは理事、経営管理委員、監事若しくは清算人の解任を命ずることができる。
(決議の取消し)
第八十七条 会員が総会員の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続又は議決の方法が法令、定款又は法令に基づいてする主務大臣の処分に違反することを理由として、その議決の日から一月以内に、その議決の取消しを請求した場合において、主務大臣は、その違反の事実があると認めるときは、当該決議を取り消すことができる。
(財務大臣への協議)
第八十八条 主務大臣は、第八十五条第一項又は第八十六条の規定による業務の全部若しくは一部の停止又は解散の命令をすることが信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、信用秩序の維持を図るために必要な措置に関し、財務大臣に協議しなければならない。
(財務大臣への通知)
第八十九条 内閣総理大臣は、次に掲げる処分をしたときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。
一 第八十五条第一項又は第八十六条の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)
二 第九十一条第二項の規定による解散の認可
(財務大臣への資料提出等)
第九十条 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、農林中央金庫に係る制度の企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
第九章 解散及び清算
(解散の事由)
第九十一条 農林中央金庫は、次に掲げる事由によって解散する。
一 総会の決議
二 破産
三 第八十六条の規定による解散の命令
2 解散の決議は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(清算人)
第九十二条 農林中央金庫が解散したときは、破産による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(清算事務)
第九十三条 清算人は、就職の後遅滞なく、農林中央金庫の財産の状況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成し、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
2 清算人は、前項の承認を求める場合には、あらかじめ、財産目録、貸借対照表及び財産処分の方法について経営管理委員会の承認を受けなければならない。
3 清算人は、第一項の承認を得た後遅滞なく、財産目録及び貸借対照表を裁判所に提出しなければならない。
(決算報告書)
第九十四条 清算人は、清算事務を終了した後遅滞なく、決算報告書を作成し、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。
2 清算人は、前項の承認を求める場合には、あらかじめ、決算報告書について経営管理委員会の承認を受けなければならない。
3 商法第四百二十七条第二項の規定は、第一項の承認について準用する。
(解散及び清算に関する商法等の準用)
第九十五条 商法第百十六条、第百二十四条、第百二十五条、第百二十九条第二項及び第三項、第百三十一条、第四百十七条第二項、第四百十八条、第四百二十一条から第四百二十四条まで並びに第四百二十六条並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項、第百三十六条、第百三十七条、第百三十八条並びに第百三十八条ノ三の規定は農林中央金庫の解散及び清算について、第二十六条第二項、第二十七条、第二十八条第四項及び第五項、第三十条第一項から第五項まで、第三十一条から第三十七条まで、第四十二条並びに第四十六条並びに商法第二百五十四条第三項、第二百五十四条ノ二、第二百五十八条第一項、第二百五十九条から第二百五十九条ノ三まで、第二百六十条ノ二、第二百六十条ノ三、第二百六十条ノ四第一項及び第二項、第二百六十一条、第二百六十七条から第二百六十九条まで並びに第二百七十二条の規定は農林中央金庫の清算人について準用する。この場合において、第三十三条第一項中「事業報告書、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案」とあるのは「事務報告書、貸借対照表」と、同条第三項中「事業報告書、貸借対照表、損益計算書」とあるのは「事務報告書、貸借対照表」と、第三十四条第一項中「八週間」とあるのは「五週間」と、同条第二項中「前項の書類を提出した日から三週間以内」とあるのは「通常総会の日の三週間前まで」と、第三十七条第二項中「二週間」とあるのは「一週間」と、「五年間主たる事務所に、その謄本を三年間従たる事務所に」とあるのは「主たる事務所に」と、商法第二百五十四条ノ二第三号中「本法」とあるのは「農林中央金庫法、本法」と、同法第二百六十一条第三項中「第二百五十八条」とあるのは「第二百五十八条第一項」と、同法第四百十七条第二項中「前項」とあるのは「農林中央金庫法第九十二条」と、同法第四百二十一条第一項中「官報ヲ以テ公告」とあるのは「公告」と、同法第四百二十六条第二項中「六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「総会員ノ五分ノ一以上ノ同意ヲ得タル会員」と読み替えるものとする。
第十章 雑則
(認可等の条件)
第九十六条 主務大臣は、この法律の規定による認可又は承認(次項において「認可等」という。)に条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、認可等の趣旨に照らして、又は認可等に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。
(経過措置)
第九十七条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第十一章 罰則
第九十八条 農林中央金庫の役員がいかなる名義をもってするを問わず、農林中央金庫の業務の範囲外において、貸付けをし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために農林中央金庫の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には、これを適用しない。
第九十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした農林中央金庫又はその子会杜の役員又は職員は、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第八十条第一項若しくは第二項の規定による業務報告書の提出をせず、又は当該業務報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしてその書類を提出したとき。
二 第八十一条第一項又は第二項の規定に違反して、これらの規定に規定する説明書類を公衆の縦覧に供せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして公衆の縦覧に供したとき。
三 第八十三条第一項若しくは第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
四 第八十四条第一項若しくは第二項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して二億円以下の罰金刑(清算中の農林中央金庫にあっては、同項の罰金刑)を、その人に対して同項の罰金刑を科する。
第百条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした農林中央金庫の役員、支配人若しくは清算人又は第三十三条第二項の規定による監査をする会計監査人若しくはその職務を行うべき社員は、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律の規定により主務大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。
二 総会又は総代会に対し、虚偽の申立てを行い、又は事実を隠ぺいしたとき。
三 この法律の規定による総会又は総代会の招集を怠ったとき。
四 この法律の規定(第八十一条第一項及び第二項を除く。)又はこの法律に基づいて発する命令により事務所に備えて置くべきものとされた書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当の理由がないのにその閲覧若しくは謄写を拒んだとき。
五 第四条第四項の規定に違反して届出をすることを怠り、又は不正の届出をしたとき。
六 第六条第一項の規定に基づく政令に違反して登記をすることを怠り、又は不正の登記をしたとき。
七 第十九条又は第七十九条の規定に違反したとき。
八 第二十四条第二項の規定に違反して同項に規定する者に該当する者を監事に選任しなかったとき。
九 第二十四条第五項に規定する常勤の監事を定める手続をしなかったとき。
十 第二十六条第一項の規定に違反して報酬を得て他の職務に従事し、又は事業を営んだとき。
十一 第二十六条第二項(第九十五条において準用する場合を含む。)又は第三項の規定に違反したとき。
十二 会計監査人又は一時会計監査人の職務を行うべき者の選任手続をしなかったとき。
十三 第三十三条第四項において準用する商法特例法(以下「準用商法特例法」という。)第六条の二第二項の規定により報告するに当たり、虚偽の陳述をし、又は事実を隠ぺいしたとき。
十四 準用商法特例法第七条第二項の規定又は第三十九条第二項において準用する商法第二百七十四条第二項若しくは第二百七十五条の規定による調査を妨げたとき。
十五 第三十七条第四項において準用する商法特例法第十七条第一項又は第二項の規定により意見を述べるに当たり、虚偽の陳述をし、又は事実を隠ぺいしたとき。
十六 第六十五条第二項の規定、第九十三条第一項若しくは第九十四条第一項の規定、第三十九条第三項若しくは第九十五条において準用する商法第二百六十条ノ四第一項若しくは第二項の規定、第五十条において準用する商法第二百四十四条第一項若しくは第二項の規定又は第七十五条において準用する商法第三十二条第一項の規定に違反して、農林債券の申込証、財産目録、貸借対照表、決算報告書、議事録若しくは会計帳簿を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。
十七 第五十条において準用する商法第二百三十七条ノ三の規定に違反して正当の理由がないのに説明をしなかったとき。
十八 第五十二条又は第五十三条第二項の規定に違反して出資一口の金額を減少したとき。
十九 第五十五条の規定に違反して他の業務を営んだとき。
二十 第六十条の規定に違反して農林債券を発行したとき。
二十一 第六十二条第二項又は第六十七条の規定に違反したとき。
二十二 第六十三条、第六十六条若しくは第七十二条第九項、第九十五条において準用する商法第百二十四条第三項において準用する民法第八十一条第一項又は第九十五条において準用する商法第四百二十一条第一項に規定する届出若しくは公告をすることを怠り、又は不正の届出若しくは公告をしたとき。
二十三 第七十二条第一項の規定に違反して同項に規定する子会社対象会社以外の会社を子会社としたとき。
二十四 第七十二条第四項の規定による主務大臣の認可を受けないで認可対象会社を子会社としたとき、又は同条第六項において準用する同条第四項の規定による主務大臣の認可を受けないで同条第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(認可対象会社に限る。)に該当する子会社としたとき。
二十五 第七十三条第一項又は第二項ただし書の規定に違反したとき。
二十六 第七十三条第三項又は第五項の規定により付した条件に違反したとき。
二十七 第七十六条第一項の規定に違反して準備金を積み立てなかったとき。
二十八 第七十七条の規定に違反して剰余金を処分したとき。
二十九 第八十五条第一項の規定に違反して改善計画の提出をせず、又は同項若しくは第八十六条の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
三十 第九十五条において準用する商法第百二十四条第三項において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求をすることを怠ったとき。
三十一 第九十五条において準用する商法第百三十一条の規定に違反して農林中央金庫の財産を分配したとき。
三十二 第九十五条において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
三十三 第九十五条において準用する商法第四百二十三条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
三十四 第九十六条第一項の規定により付した条件(第三条第四項又は第七十二条第四項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定による認可に係るものに限る。)に違反したとき。
2 商法第四百九十八条第一項又は有限会社法第七十七条第一項若しくは第二項に規定する者が、第三十九条第二項において準用する商法第二百七十四条ノ三第一項又は準用商法特例法第七条第三項の規定による調査を妨げたときも、前項と同様とする。
第百一条 第四十二条の規定に違反した者は、二十万円以下の過料に処する。
第百二条 第五条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年一月一日から施行する。ただし、附則第五条及び第六条第二項の規定は、公布の日から施行する。
(農林中央金庫の同一性)
第二条 この法律の施行の際現に存する農林中央金庫は、改正後の農林中央金庫法(以下「新法」という。)の規定に基づく農林中央金庫として同一性をもって存続するものとする。
(総務省設置法の適用除外)
第三条 新法の規定に基づく農林中央金庫については、改正前の農林中央金庫法(以下「旧法」という。)第四十一条第一項の規定は、なおその効力を有する。
(従たる事務所に係る経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に日本に存する農林中央金庫の従たる事務所は、新法第三条第三項の規定により主務大臣に届け出て設置された従たる事務所とみなす。
2 この法律の施行の際現に外国に存する農林中央金庫の従たる事務所は、新法第三条第四項の規定による主務大臣の認可を受けて設置された従たる事務所とみなす。
(定款の変更に係る経過措置)
第五条 農林中央金庫は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)までに、新法第二十条の例により、この法律の施行に伴い必要となる定款の変更をし、主務大臣の認可を受けなければならない。
(役員に係る経過措置)
第六条 施行日の前日において農林中央金庫の理事長、副理事長又は理事である者の任期は、旧法第十一条第二項の規定にかかわらず、その日に満了する。
2 農林中央金庫は、施行日までに、あらかじめ、新法第二十二条及び第二十三条の例により、理事及び経営管理委員を選任しておかなければならない。この場合において、その選任された理事及び経営管理委員の任期は、新法第二十五条の規定にかかわらず、施行日から起算して三年を超えない範囲内において総会の決議により定める日までとする。
3 この法律の施行の際現に旧法第十一条第一項に規定する監事である者は、施行日に新法第二十四条第一項の規定により監事として選任されたものとみなす。この場合において、その選任されたものとみなされる者の任期は、新法第二十五条の規定にかかわらず、施行日から起算して二年を超えない範囲内において総会の決議により定める日までとする。
(支配人に係る経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に旧法第八条において準用する産業組合法(明治三十三年法律第三十四号)第五条において準用する商法第三十七条の規定により置かれている支配人である者は、施行日に新法第四十一条第一項の規定により支配人として置かれたものとみなす。
(会員外貸付けの認可に関する経過措置)
第八条 新法第五十四条第三項の規定は、施行日前に農林中央金庫が旧法第十四条ノ二第五号及び第六号の規定により行った貸付けについては、適用しない。
(農林債券に係る経過措置)
第九条 旧法第十七条第一項の規定により発行された農林債券は、新法第六十条の規定により発行された農林債券とみなす。
(旧法の規定に基づく処分又は手続の効力)
第十条 施行日前に旧法又はこれに基づく命令の規定によってした認可、承認その他の処分又は申請その他の手続で新法又はこれに基づく命令に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、新法又はこれに基づく命令の相当の規定によってした認可、承認その他の処分又は申請その他の手続とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第十一条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第十二条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(消費生活協同組合法の一部改正)
第十三条 消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)の一部を次のように改正する。
第百九条第一号及び第二号を次のように改める。
一及び二 削除
(農林漁業金融公庫法の一部改正)
第十四条 農林漁業金融公庫法(昭和二十七年法律第三百五十五号)の一部を次のように改正する。
第十九条第三項を削る。
(農林漁業団体職員共済組合法の一部改正)
第十五条 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項第三号の二を次のように改める。
三の二 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)
(農業近代化資金助成法の一部改正)
第十六条 農業近代化資金助成法(昭和三十六年法律第二百二号)の一部を次のように改正する。
第三条の三中「農林中央金庫が」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第三項の規定は、農林中央金庫が」に、「場合における当該貸付けについての農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十四条ノ二の規定の適用については、同条第二号中「主務大臣ノ認可ヲ受ケ貸付」とあるのは、「貸付」とする」を「場合には、適用しない」に改める。
(法人税法の一部改正)
第十七条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第三農林中央金庫の項中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)」に改める。
(漁業近代化資金助成法の一部改正)
第十八条 漁業近代化資金助成法(昭和四十四年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
第五条中「農林中央金庫が」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第三項の規定は、農林中央金庫が」に、「場合における当該貸付けについての農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十四条ノ二の規定の適用については、同条第二号中「主務大臣ノ認可ヲ受ケ貸付」とあるのは、「貸付」とする」を「場合には、適用しない」に改める。
(農村地域工業等導入促進法の一部改正)
第十九条 農村地域工業等導入促進法(昭和四十六年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
第十三条を次のように改める。
第十三条 削除
(農村地域工業等導入促進法の一部改正に伴う経過措置)
第二十条 前条の規定による改正前の農村地域工業等導入促進法第十三条第一項の規定によってした認可は、新法第五十四条第三項の規定によってした認可とみなす。
(協同組織金融機関の優先出資に関する法律の一部改正)
第二十一条 協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項第一号を次のように改める。
一 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)
第二条第四項中「農林中央金庫法第五条第一項(出資者)及び」を「農林中央金庫の会員、」に、「出資者並びに」を「出資者及び」に改め、同条第七項中「(第二十一条第二項を除く。)」を削り、「農林中央金庫及び」を「農林中央金庫の理事、」に改め、「農林中央金庫法第十条第二項(副理事長)又は」を削り、「若しくは」を「又は」に、「並びに」を「及び」に改める。
第十四条中「第二百八十条ノ十一第一項中「取締役」とあるのは「理事」を「第二百八十条ノ十一第一項中「取締役」とあるのは「理事又ハ経営管理委員」に、「第二百八十条ノ十三中「取締役」とあるのは「理事」を「第二百八十条ノ十三中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」に改め、「優先出資者、理事」の下に「、経営管理委員」を加える。
第二十一条第二項中「定める訴え」の下に「又は請求」を加え、同項第三号中「理事長、副理事長、理事」を「理事、経営管理委員」に改め、同項中第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 商法第二百七十二条(株主の差止請求権) 理事の行為に対する差止請求
第三十四条第二項中「理事」を「理事(農林中央金庫にあっては、経営管理委員)」に改める。
第三十五条中「第二百三十七条ノ三中「取締役」とあるのは「理事」を「第二百三十七条ノ三中「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」に、「第二百四十四条第二項及び第三項」を「第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「理事及経営管理委員」と、同条第三項」に、「、理事」を「、理事、経営管理委員」に、「、「取締役」とあるのは「理事」を「、「取締役」とあるのは「理事、経営管理委員」に改める。
第三十六条第一項中「理事が」を「理事(農林中央金庫にあっては、経営管理委員を含む。以下この条において同じ。)が」に改め、同条第二項中「連合会等」を「農林中央金庫及び連合会等」に改める。
第三十八条第二項第一号中「資本金の最低限度等)、第十七条第一項(債券の発行限度)、第二十三条ノ二第二項(準備金の積立限度)及び第二十四条第一項第一号」を「資本金)、第六十条(農林債券の発行)、第七十六条第二項(準備金の積立て)及び第七十七条第一項第一号」に改め、同条第三項第一号中「第二十四条第一項」を「第七十七条第一項」に改める。
(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部改正)
第二十二条 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号)の一部を次のように改正する。
第六十五条第三項中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第三項」に改め、「対し」の下に「、同項の規定による農林水産大臣及び内閣総理大臣の認可を受けないで」を加える。
(金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部改正)
第二十三条 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百四十三号)の一部を次のように改正する。
第十六条第三項中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第三項」に改め、「対し」の下に「、同項の規定による農林水産大臣及び内閣総理大臣の認可を受けないで」を加える。
(食糧管理特別会計法等の一部改正)
第二十四条 次に掲げる法律の規定中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十五条」に改める。
一 食糧管理特別会計法(大正十年法律第三十七号)第四条ノ三第三項
二 中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第四十二条第三項
三 農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)第十三条第三項
四 漁業災害補償法(昭和三十九年法律第百五十八号)第百九十六条の四第三項
五 農林漁業信用基金法(昭和六十二年法律第七十九号)第四条第五項
(資産の流動化に関する法律及び中間法人法の一部改正)
第二十五条 次に掲げる法律の規定中「農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十三条第一項第十号」を「農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十四条第四項第十一号」に改める。
一 資産の流動化に関する法律第百三十二条第二項第六号
二 中間法人法(平成十三年法律第四十九号)第百五十五条第一号
内閣総理大臣 小泉純一郎
法務大臣 森山真弓
財務大臣 塩川正十郎
厚生労働大臣 坂口力
農林水産大臣 武部勤
経済産業大臣 平沼赳夫
国土交通大臣 林寛子