(目的)
第一條 この法律は、郵便貯金(郵便振替貯金を含む。以下同じ。)、米国対日援助見返資金特別会計以外の政府の特別会計の積立金及び余裕金その他の資金で法律又は政令の規定による資金運用部に預託されたもの並びに資金運用部特別会計の積立金及び余裕金を資金運用部資金として統合管理し、その資金を確実且つ有利な方法で運用することにより、公共の利益の増進に寄與せしめることを目的とする。
(資金運用部への預託の義務)
第二條 郵便貯金として受け入れた資金は、郵便貯金の日常の払いもどしに必要な資金を除く外、資金運用部に預託しなければならない。
2 政府の特別会計(資金運用部特別会計を除く。)の歳入歳出の決算上の剰余金を積み立てた積立金は、すべて資金運用部に預託しなければならない。但し、簡易生命保險及郵便年金特別会計の積立金を簡易生命保險法(昭和二十四年法律第六十八号)の規定に基き保險契約者に貸し付ける場合及び郵便年金法(昭和二十四年法律第六十九号)の規定に基き年金契約者、年金受取人又は年金継続受取人に貸し付ける場合においては、この限りでない。
(国庫余裕金及び特別会計の余裕金の運用)
第三條 国庫余裕金は、資金運用部に預託することができる。
2 政府の特別会計(米国対日援助見返資金特別会計及び資金運用部特別会計を除く。)の余裕金は、資金運用部への預託の方法による外、運用してはならない。但し、国債整理基金特別会計において国債を保有する場合は、この限りでない。
(資金運用部預託金)
第四條 第二條若しくは前條第一項又は他の法律若しくは政令の規定により資金運用部に預託された資金(以下「資金運用部預託金」という。)の契約上の預託期間(以下本條中「約定期間」という。)は、三月を下らないものとする。
2 資金運用部預託金の約定期間満了前の払いもどしを受けようとするときは、預託者は、その払いもどしを受けようとする日前三十日をこえない範囲内で大蔵大臣が定める期間以前に、あらかじめその旨を大蔵大臣に通知しなければならない。
3 資金運用部預託金には、左の利率により利子を附する。
一 約定期間三月以上一年未満のもの |
年三分五厘 |
二 約定期間一年以上三年未満のもの |
年四分五厘 |
三 約定期間三年以上五年未満のもの |
年五分 |
四 約定期間五年以上のもの |
年五分五厘 |
4 第二項の規定により約定期間満了前に払いもどしを行つた金額に対しては、その金額の預託されていた期間が三月未満のときは利子を附さず、三月以上のときは、前項の規定にかかわらず、その期間に応じ左の利率により利子を附する。
一 預託されていた期間が三月以上一年未満のとき |
年三分 |
二 預託されていた期間が一年以上三年未満のとき |
年四分 |
三 預託されていた期間が三年以上のとき |
年四分五厘 |
5 資金運用部預託金に対しては、その約定期間満了の日又は第二項の規定により期限前の払いもどしをした日の外、約定期間一年以上の資金運用部預託金については、毎年三月三十一日及び九月三十日に、当該預託金の経過預託期間に対する第三項又は前項の規定による利子を支払う。
6 資金運用部預託金に対しては、預託金証書を発行する。
(資金運用部預託金の取扱手続)
第五條 前條に規定するものを除く外、資金運用部預託金の取扱手続は、大蔵大臣が定める。
(資金運用部資金の管理及び運用並びに区分経理)
第六條 資金運用部預託金並びに資金運用部特別会計の積立金及び余裕金は、資金運用部資金とし、大蔵大臣が管理及び運用する。
2 資金運用部資金は、他の政府資金と区分して経理するものとする。
(資金運用部資金の運用)
第七條 資金運用部資金は、左に掲げるものに運用することができる。
三 法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経、又は承認を得なければならない法人の発行する債券
七 特別の法律により設立された法人(第三号に規定する法人を除く。)で国、第三号に規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行し得るものの発行する債券
九 銀行、農林中央金庫又は商工組合中央金庫(以下本條中「金融機関」という。)の発行する債券(以下「金融債」という。)
2 前項の規定により金融債に運用する資金運用部資金の額は、資金運用部資金の総額の三分の一をこえてはならない。
3 資金運用部資金を金融債に運用する場合においては、一の金融機関の発行する金融債の五割又は一の金融機関の一回に発行する金融債の六割をこえる割合の金融債の引受、応募又は買入を行つてはならない。又、資金運用部が引受、応募又は買入を行う金融債は、利率、担保、償還の方法、期限その他の條件において、資金運用部以外の者の引受、応募又は買入に係るものとその種類を同じくするものでなければならない。
(資金運用部資金運用審議会の設置)
第八條 資金運用部資金の運用を適正にするため、総理府の附属機関として資金運用部資金運用審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の権限)
第九條 審議会は、大蔵大臣の諮問に応じ、資金運用部資金の運用の方針及び條件その他の資金運用部資金の運用に関する重要事項を調査審議する。
2 審議会は、資金運用部資金の運用に関し、大蔵大臣に随時意見を述べることができる。
(審議会の組織)
第十條 審議会は、内閣総理大臣、大蔵大臣、郵政大臣及び委員十人以内で組織する。
3 前項第八号の委員は、内閣総理大臣が任命し、その任期は、二年とする。
(審議会の会長及び副会長)
第十一條 内閣総理大臣は、審議会の会長として、会務を総理する。
2 大蔵大臣及び郵政大臣は、審議会の副会長として、会長を補佐し、会長に事故があるときは、会長の指名する副会長が会長の職務を行う。
(資金運用部資金運用計画の諮問)
第十二條 大蔵大臣は、毎年度資金運用部資金の運用に関して必要な計画を定め、あらかじめ審議会の議に付さなければならない。その計画を変更しようとするときも、また同様とする。
(資金運用部資金運用報告書)
第十三條 大蔵大臣は、毎年度資金運用部資金運用報告書を作成し、当該年度経過後四月以内に、審議会に提出しなければならない。
2 前項の報告書には、当該年度の資金運用部資金の運用の状況及び運用資産の異動に関する重要な事項を記載するとともに、当該年度末現在の資金運用部の貸借対照表を添附しなければならない。
(審議会の運営に関する細目の政令への委任)
第十四條 前五條に定めるものを除く外、審議会の運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(資金運用部資金の出納執行命令権の委任)
第十五條 大蔵大臣は、資金運用部資金の出納執行の命令を部下の部局の長に行わせることができる。
(資金運用部資金の運用に関する事務の委任)
第十六條 大蔵大臣は、大蔵省令で定めるところにより、資金運用部資金の運用に関する事務の一部を日本銀行に取り扱わせることができる。