(合併)
第三条 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会とは、合併を行うことができる。この場合において、合併後存続する法人は、農林中央金庫とする。
(合併契約書の承認)
第四条 農林中央金庫及び信用農業協同組合連合会は、合併を行うには、合併契約書を作成して、それぞれ総会の承認を受けなければならない。
2 農林中央金庫における前項の承認の決議(以下「合併決議」という。)については、総出資者(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)に規定する優先出資者を除く。以下同じ。)の半数以上が出席し、その議決権の四分の三以上の多数による議決を必要とする。
3 農林中央金庫は、合併決議を総代会で行うことができる。この場合には、総代の半数以上が出席し、その議決権の四分の三以上の多数による議決を必要とする。
4 信用農業協同組合連合会における合併決議については、農業協同組合法第四十六条の規定を準用する。
(総会招集の手続)
第五条 農林中央金庫及び信用農業協同組合連合会が合併決議を行う場合には、前条第一項の総会(同条第三項の総代会を含む。以下「合併総会」という。)の招集は、合併総会の日の二週間前までに、会議の目的たる事項のほか、合併契約書の要領を示してしなければならない。
(農林中央金庫の総代会における合併決議の通知)
第六条 農林中央金庫は、総代会において合併決議をしたときは、当該決議の日から十日以内に、出資者(協同組織金融機関の優先出資に関する法律に規定する優先出資者を除く。以下同じ。)に当該決議の内容を通知しなければならない。
2 出資者が総出資者の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して、総会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日から三週間以内に総会を招集すべきことを決しなければならない。この場合において、書面の提出は、前項の通知に係る事項についての総代会の合併決議の日から一月以内にしなければならない。
3 前項の請求の日から二週間以内に理事長が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
4 第一項の通知に係る事項についての前二項の総会の承認の決議については、第四条第二項の規定を準用する。
5 第二項又は第三項の総会において第一項の通知に係る事項を承認しなかった場合には、当該事項についての総代会の合併決議は、その効力を失う。
(債権者の異議)
第七条 農林中央金庫及び信用農業協同組合連合会は、合併決議の日から二週間以内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、農林債券の権利者、預金者又は貯金者、定期積金の積金者その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 債権者が第一項の期間内に異議を述べなかったときは、合併を承認したものとみなす。
4 債権者が第一項の期間内に異議を述べたときは、農林中央金庫又は信用農業協同組合連合会は、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託業務を営む銀行若しくは信託会社に相当の財産を信託しなければならない。
(合併に反対する出資者の持分払戻請求権)
第八条 農林中央金庫の出資者で、合併総会に先立って農林中央金庫に対し書面をもつて合併に反対の意思を通知したものは、合併決議の日から二十日以内に書面をもって持分の払戻しを請求することにより、合併の日に農林中央金庫を脱退することができる。
2 農林中央金庫の出資者は、前項の規定により脱退したときは、定款で定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻しを請求することができる。
3 前項の持分は、合併の日における農林中央金庫の財産によってこれを定める。
(合併に反対する会員等の持分払戻請求権)
第九条 信用農業協同組合連合会の会員で、合併総会に先立って当該信用農業協同組合連合会に対し書面をもって合併に反対の意思を通知したもの(第三項の規定に該当するものを除く。)は、合併決議の日から二十日以内に書面をもって持分の払戻しを請求することにより、合併の日に当該信用農業協同組合連合会を脱退することができる。
2 農業協同組合法第二十三条の規定は、前項の規定により脱退する場合について準用する。この場合には、合併の日を同条第二項に規定する脱退した事業年度の終わりとみなす。
3 信用農業協同組合連合会の会員で、農林中央金庫の出資者となる資格を有しないものは、合併の日に当該信用農業協同組合連合会を脱退したものとみなして、農業協同組合法第二十三条の規定を適用する。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
(合併の認可)
第十条 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 主務大臣は、前項の認可をしようとするときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 合併が農業者の協同組織を基盤とする系統団体による金融業務の効率化及び健全な発展に資するものであること。
二 合併を行う信用農業協同組合連合会の地区内における農業者その他の信用事業の利用者の利便に支障を生じないこと。
三 合併後の農林中央金庫の経営の健全性が確保されること。
3 主務大臣は、その必要の限度において、第一項の認可に条件を付することができる。
(合併の登記)
第十一条 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会とが合併を行うときは、農林中央金庫については変更の登記を、当該信用農業協同組合連合会については解散の登記をしなければならない。
2 前項の登記の申請書に添付すべき書類については、政令で別段の定めをすることができる。
(合併の効力発生及び効果)
第十二条 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併は、農林中央金庫が、その主たる事務所の所在地において、合併による変更の登記をすることによってその効力を生ずる。
2 農林中央金庫は、合併する信用農業協同組合連合会の権利義務を承継する。
(業務の継続の特例)
第十三条 信用農業協同組合連合会と合併した農林中央金庫は、農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条の規定にかかわらず、合併の日において当該信用農業協同組合連合会の会員であった者に対し、貸付け又は手形の割引を行うことができる。
2 前項に規定するもののほか、農林中央金庫は、農林中央金庫法その他の農林中央金庫の業務に関する法令により行うことができない業務に属する契約又は制限されている契約に係る権利義務を合併により承継した場合には、これらの契約のうち、期限の定めのあるものについては期限満了まで、期限の定めのないものについては承継の日から一年以内の期間に限り、これらの契約に関する業務を継続することができる。
3 第一項の信用農業協同組合連合会が信託業務を営んでいる場合には、前項の規定は、当該信託業務については、適用しない。
4 農林中央金庫は、第二項に規定する契約に関する業務の利用者の利便等に照らし特別の事情がある場合において、合併の日における当該契約の総額を超えない範囲内において、かつ、期間を定めて当該業務を整理することを内容とする計画を作成し、当該計画につき主務大臣の承認を受けたときは、当該計画に従い同項の期限が満了した契約を更新して、又は同項の期間を超えて、当該業務を継続することができる。
(農林中央金庫の持分取得の特例)
第十四条 農林中央金庫は、その出資者たる信用農業協同組合連合会と合併したときは、農林中央金庫法第八条において準用する産業組合法(明治三十三年法律第三十四号)第四十八条の規定にかかわらず、当該出資者の持分を取得することができる。
2 農林中央金庫が前項の規定によってその出資者の持分を取得したときは、速やかに、これを処分しなければならない。
(準備金の積立て)
第十五条 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会とが合併を行った場合において、当該信用農業協同組合連合会から承継した財産の価額が、当該信用農業協同組合連合会から承継した債務の額及び当該信用農業協同組合連合会の会員に支払った金額並びに農林中央金庫の増加した資本金の額を超えるときは、その超える額については、政令で定める額を除くほか、農林中央金庫が農林中央金庫法第二十三条ノ二の規定により積み立てるべき準備金として積み立てなければならない。
(商法等の準用)
第十六条 商法(明治三十二年法律第四十八号)第四百八条ノ二の規定は、合併を行う農林中央金庫及び信用農業協同組合連合会について準用する。
2 商法第百四条第一項及び第三項、第百五条、第百六条、第百八条から第百十一条まで並びに第四百十五条並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百三十五条ノ八の規定は、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併について準用する。
(信用農業協同組合連合会の合併に関する適用法規の原則)
第十七条 この法律に定めるものを除くほか、信用農業協同組合連合会の合併に関する事項については、農業協同組合法に定める合併の場合の例による。