林業会法
法令番号: 法律第35号
公布年月日: 昭和21年10月10日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦時中の木材需要増加による山林の過伐を受け、国土保安と森林資源維持の観点から復旧が急務となっている。一方で戦災復興や産業再建のため、木材需要は依然として高い。この状況下で森林の維持造成と林産物の生産確保・適正配給を図るため、政府の行政施策に加え、民間当業者の自主的団結が必要である。そこで木材統制法を廃止し、地方木材会社・日本木材会社を解散。代わりに林産組合を組織し、これと森林組合を統合した林業会を府県・全国単位で結成することで、森林の維持造成と林産物の生産配給の自治的統制を図ることを目的とする。

参照した発言:
第90回帝国議会 衆議院 本会議 第25号

審議経過

第90回帝国議会

衆議院
(昭和21年8月6日)
(昭和21年8月8日)
(昭和21年8月19日)
(昭和21年8月20日)
(昭和21年8月21日)
(昭和21年8月23日)
(昭和21年8月27日)
(昭和21年8月28日)
(昭和21年8月29日)
(昭和21年8月30日)
(昭和21年8月31日)
(昭和21年9月3日)
(昭和21年9月4日)
(昭和21年9月5日)
(昭和21年9月6日)
(昭和21年9月7日)
(昭和21年9月10日)
(昭和21年9月11日)
(昭和21年9月12日)
(昭和21年9月25日)
(昭和21年9月27日)
貴族院
(昭和21年9月30日)
(昭和21年10月3日)
朕は、帝國議會の協贊を經た林業會法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十月九日
内閣總理大臣 吉田茂
農林大臣 和田博雄
大藏大臣 石橋湛山
法律第三十五號
林業會法
第一條 林業會は、會員が協同して、自主的に林業の改良發達竝びに林産物の生産の確保及び配給の適正を圖ることを目的とする。
この法律において、林業とは、森林の維持造成の事業及び林産物の生産又は販賣の事業をいひ、林産物とは、木材、薪炭その他森林から産出する物で主務大臣の指定するものをいふ。
第二條 林業會は、都道府縣林業會及び日本林業會とする。
第三條 林業會は、法人とする。
第四條 林業會は、その目的を達するために、左の事業を行ふことができる。
一 林業の指導奬勵に關する施設
二 會員の林業の改良發達を圖るため必要な共同施設
三 林産物の檢査
四 林業に關する調査及び研究
五 前各號に掲げるものの外林業會の目的達成上必要な事業
林業會は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。
一 政府の指示に基く林産物の生産及び配給に關する割當
二 林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力
三 政府の指示に基く林業に必要な物資の割當
第五條 都道府縣林業會の地區は、都道府縣の區域により、日本林業會の地區は、全國の區域による。
第六條 都道府縣林業會の名稱中には、都、道、府若しくは縣林業會なる文字を用ひ、日本林業會の名稱中には、日本林業會なる文字を用ひなければならない。
林業會でない者は、その名稱中に、前項に掲げる文字を用ひてはならない。
第七條 林業會は、勅令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に對抗することができない。
第八條 林業會(會員に出資をさせるものを除く。)には、法人税及び營業税を課さない。
會員に出資をさせる林業會(以下出資林業會といふ。)には、所得税、法人税及び營業税を課さない。
第九條 都道府縣林業會の會員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 都道府縣の區域を地區とする森林組合聯合會
二 都道府縣の區域を地區とする林産組合
三 前二號に掲げる者を除く外林業を營む者若しくは林業に密接な關係を有する事業を營む者又はこれらの者の團體で定款で定めるもの
日本林業會の會員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 都道府縣林業會
二 前號に掲げる者を除く外林業を營む者若しくは林業に密接な關係を有する事業を營む者又はこれらの者の團體で定款で定めるもの
第十條 都道府縣林業會を設立するには、命令の定めるところにより、前條第一項第一號に掲げる者の同意及び同項第二號に掲げる者の三分の二以上の同意を得て、創立總會を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
日本林業會を設立するには、命令の定めるところにより、前條第二項第一號に掲げる者の三分の二以上の同意を得て、創立總會を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
第十一條 林業會の定款には、左の事項を記載しなければならない。
一 目的及び事業
二 名稱
三 地區
四 事務所の所在地
五 會員に關する規定
六 經費の分擔の方法
七 會議に關する規定
八 役員に關する規定
九 業務の執行及び會計に關する規定
十 公告の方法
出資林業會の定款には、前項の事項の外、左の事項を記載しなければならない。
一 出資一口の金額及びその拂込の方法
二 剩餘金の處分及び損失の處理に關する規定
三 準備金の額及びその積立の方法
第十二條 林業會は、主たる事務所の所在地において、設立の登記をすることに因つて成立する。
第十三條 會員たる資格を有する者が林業會に加入しようとするときは、林業會は、正當な理由がないのに、加入に困難な條件を附し、又はその加入を拒んではならない。
第十四條 林業會に、役員として理事及び監事を置く。
役員は、會員又は會員たる法人の業務を執行する役員の中から、總會において、これを選任する。但し、林業會設立當時の役員は、設立同意者又は設立同意者たる法人の業務を執行する役員の中から、創立總會において、これを選任する。
特別の事情があるときは、役員は、前項に該當しない者の中から、これを選任することができる。
第十五條 理事の任期は、三年とし、監事の任期は、二年とする。但し、定款で別段の定をすることができる。
役員は、任期中でも、總會において、これを解任することができる。
第十六條 林業會が理事と契約をするときは、監事が、林業會を代表する。林業會と理事との訴訟についても、亦同樣とする。
第十七條 理事の全員が缺けたとき、又はその職務を行ふことができないときは、監事が、その職務を行ふ。但し、その期間は、三箇月を超えてはならない。
理事の職務を行ふ者がないときは、行政官廳は、假理事を選任し、理事の職務を行はせることができる。
第十八條 監事は、理事又は林業會の使用人と相兼ねてはならない。
第十九條 理事は、定款及び總會の議事録を各事務所に、會員名簿を主たる事務所に備へて置かなければならない。
會員名簿には、各會員について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名稱及び住所
二 出資林業會にあつては、出資口數及び出資各口の取得の年月日竝びに拂込濟出資額及びその拂込の年月日
會員及び林業會の債權者は、第一項に掲げる書類の閲覽を求めることができる。
第二十條 林業會の會員に對してする通知又は催告は、會員名簿に記載したその者の住所に、その者が別に通知又は催告を受ける場所を林業會に通知したときは、その場所に宛てることを以て足りる。
前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に、到達したものとみなす。
第二十一條 出資林業會の理事は、通常總會の會日から一週間前に、事業報告書、財産目録、貸借對照表及び剩餘金處分案又は損失處理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備へて置かなければならない。
會員及び林業會の債權者は、前項に掲げる書類の閲覽を求めることができる。
第一項に掲げる書類を通常總會に提出するときは、監事の意見書を添附しなければならない。
第二十二條 林業會の總會は、議員及び特別議員で、これを組織する。
議員は、都道府縣林業會にあつては、會員たる森林組合聯合會若しくはその所屬組合の業務を執行する役員の中から、その聯合會の總會において、これを選任し、又は會員たる林産組合で第九條第一項第二號の資格を有するものの業務を執行する役員の中から、その組合が、これを選擧し、日本林業會にあつては、會員たる都道府縣林業會の業務を執行する役員の中から、會員たる都道府縣林業會が、これを選擧する。
特別議員は、第九條第一項第三號又は同條第二項第二號の會員たる資格を有する會員又は會員たる法人の業務を執行する役員及び林業に關し學識經驗のある者の中から、總會において、これを選任する。
第二十三條 理事は、少くとも毎事業年度一囘通常總會を招集しなければならない。
第二十四條 議員又は特別議員は、總議員及び總特別議員の五分の一以上の同意を得て、會議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して、總會の招集を請求することができる。
理事が、前項の規定による請求があつた日から二週間以内に、正當な理由がないのに、總會招集の手續をしないときは、監事が、その總會を招集しなければならない。
第二十五條 左の事項は、總會の議決によらなければならない。
一 定款の變更
二 毎事業年度の事業計畫の設定及び變更
三 賦課金の賦課徴收方法
四 借入金の最高限度
五 事業報告書の承認
出資林業會にあつては、前項の事項の外、左の事項は、總會の議決によらなければならない。
一 財産目録及び貸借對照表の承認
二 剩餘金の處分及び損失の處理
第二十六條 議員及び特別議員は、總會において、各ゝ一箇の議決權を有する。
第二十七條 總會の議事は、この法律又は定款に特別の定のある場合を除いては、出席者の議決權の過半數でこれを決し、可否同數のときは、議長の決するところによる。
第二十八條 左の事項は、總會を組織する者の半數以上が出席し、出席者の議決權の三分の二以上の多數による議決を必要とする。
一 定款の變更
二 理事又は監事の選任及び解任
三 統制規程の設定、變更及び廢止
前項第一號の事項の決議は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第二十九條 會員は、總會の招集手續又はその議決の方法が法令又は定款に違反すると認めるときは、議決の日から一箇月以内に、その決議の取消を行政官廳に請求することができる。
第三十條 日本林業會に、林業委員會を置く。
林業委員會は、左に掲げる者の中から、日本林業會が、定款の定めるところにより、選任した委員を以て、これを組織する。
一 林業會の業務を執行する役員
二 森林組合又は森林組合聯合會の業務を執行する役員
三 林産組合の業務を執行する役員
四 林業に密接な關係を有する事業を營む者又はその團體の業務を執行する役員
五 林業に關し學識經驗のある者
第三十一條 日本林業會は、林産物の生産、配給、消費及び價格に關する施策に關し、政府にその意見を述べることができる。
日本林業會は、前項の規定により意見を述べるには、豫め林業委員會に諮問しなければならない。
第三十二條 林産物の檢査を行ふ林業會には、檢査員を置かなければならない。
檢査員の選任及び解任は、行政官廳の認可を受けなければならない。
行政官廳は、必要があると認めるときは、檢査員を選任し、又は解任することができる。
第一項の林業會は、檢査員の服務に關する規程を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
第三十三條 林業會が第四條第二項の事業を行ふときは、統制規程を定めなければならない。
統制規程の設定、變更及び廢止は、總會の議決によらなければならない。
第三十四條 林業會は、定款の定めるところにより、その會員に對して經費を賦課することができる。
林業會は、特に必要があるときは、定款の定めるところにより、その會員の全部又は一部に對して、前項の規定による賦課金の外、特別の賦課金を課することができる。
第三十五條 林業會は、定款の定めるところにより、定款又は統制規程に違反した會員に對して過怠金を課することができる。
第三十六條 林業會の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
第三十七條 第四條第一項第二號に掲げる事業を行ふ林業會は、定款の定めるところにより、會員に出資をさせることができる。
第三十八條 出資林業會の會員は、出資一口以上を有しなければならない。
出資一口の金額は、均一でなければならない。
第三十九條 出資林業會の會員の責任は、第三十四條の規定による經費負擔の外、その出資額を限度とする。
第四十條 會員は、出資の拂込について、相殺を以て出資林業會に對抗することができない。
第四十一條 會員は、出資林業會の承認を得なければ、その持分を讓り渡すことができない。
會員でない者が持分を讓り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
第四十二條 出資林業會の會員は、持分を共有してはならない。
第四十三條 出資林業會は、會員の持分を取得し、又は質權の目的としてこれを受けてはならない。
第四十四條 出資林業會は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剩餘金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
前項の定款で定める準備金の額は、出資總額の二分の一を下つてはならない。
第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合を除いては、これを使用してはならない。
第四十五條 出資林業會は、損失を填補し、前條第一項の準備金を控除した後でなければ、剩餘金の配當をしてはならない。
剩餘金の配當に關する制限は、命令でこれを定める。
第四十六條 出資林業會は、定款の定めるところにより、會員が出資の拂込を終るまでは、會員に配當する剩餘金をその拂込に充てることができる。
第四十七條 會員に配當する剩餘金又は持分の計算については、計算の基礎となるべき金額について計算上不便な端數金額は、これを切り捨てることができる。
第四十八條 出資林業會は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に、財産目録及び貸借對照表を作らなければならない。
出資林業會は、前項の期間内に、その債權者に對して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を定款で定める方法に從つて公告し、且つ、知れてゐる債權者には、各別にこれを催告しなければならない。
前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第四十九條 債權者が、前條第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
債權者が異議を述べたときは、出資林業會は、辨濟し、若しくは相當の擔保を供し、又は債權者に辨濟を受けさせることを目的として、信託會社若しくは信託債務を營む銀行に相當の財産を信託しなければならない。
第五十條 會員は、定款の定めるところにより、一定の期間前に豫告し、事業年度の終において脱退することができる。
前項の豫告期間は、一年を超えてはならない。
第五十一條 會員は、左の事由に因つて脱退する。
一 會員たる資格の喪失
二 死亡又は法人の解散
三 破産
四 禁治産
五 除名
第五十二條 除名の事由は、定款でこれを定める。
除名は、總會の議決による。但し、除名した會員に、その旨を通知しなければ、これを以てその會員に對抗することができない。
前項の議決には、第二十八條第一項の規定を準用する。
第五十三條 出資林業會の會員が脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の拂戻を請求することができる。
前項の持分は、脱退した事業年度の終における當該出資林業會の財産によつて、これを定める。
第五十四條 前條第二項の規定により持分の計算をするにあたり、出資林業會の財産を以てその債務を完濟するに足りないときは、當該出資林業會は、脱退した會員に對して、その負擔に歸すべき損失額の拂込を請求することができる。
第五十五條 前二條の請求權は、二年間これを行はないときは、時效に因つて消滅する。
第五十六條 脱退した會員が出資林業會に對する債務を完濟するまでは、出資林業會は、その持分の拂戻を停止することができる。
第五十七條 出資林業會の會員は、定款の定めるところにより、その出資口數を減少することができる。
前項の場合には、第五十三條乃至第五十五條の規定を準用する。
第五十八條 行政官廳は、必要があると認めるときは、林業會に對して、監督上必要な命令を發し、又は處分をすることができる。
第五十九條 行政官廳は、必要があると認めるときは、林業會からその事業に關して報告を徴し、又は當該官吏に、林業會の事務所、事業場その他の場所に臨檢し、業務の状況又は帳簿書類、設備その他の物件を檢査させることができる。
第六十條 林業會の事業若しくは財産の状況によつてその事業の繼續が困難であるとき、又は林業會の決議若しくは役員の行爲が、法令、法令に基いてする行政官廳の處分若しくは定款に違反し、若しくは公益を害し、若しくは害する虞があるときは、行政官廳は、その決議を取り消し、役員の改選を命じ、林業會の事業を停止し、又はその解散を命ずることができる。
第六十一條 林業會は、左の事由に因つて解散する。
一 總會の議決
二 前條の規定による解散の命令
三 會員が一人になつたこと
四 破産
前項第一號の總會の議決には、第二十八條第一項の規定を準用する。
第六十二條 清算人は、就職の後遲滯なく、林業會の財産の現況を調査し、財産目録及び貸借對照表を作り、財産處分の方法を定め、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十三條 清算人は、林業會の債務を辨濟した後でなければ、林業會の財産を處分してはならない。
第六十四條 清算事務が終つたときは、清算人は、遲滯なく決算報告書を作り、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十五條 林業會には、民法第四十四條第一項、第五十條、第五十二條第二項、第五十三條乃至第五十五條、第五十九條、第六十一條第一項、第六十二條、第六十四條、第六十六條、第七十條、第七十三條乃至第七十六條及び第七十八條乃至第八十三條竝びに非訟事件手續法第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十五條ノ二十五第二項第三項、第百三十六條第一項、第百三十七條及び第百三十八條の規定を準用する。
第六十六條 林産組合は、組合員が協同して、自主的に林産物の生産又は販賣の事業(以下林産業といふ。)の改良發達竝びに林産物の生産の確保及び配給の適正を圖ることを目的とする。
第六十七條 林産組合は、その目的を達するために、左の事業を行ふことができる。
一 林産業の指導奬勵に關する施設
二 組合員の生産し、又は販賣する林産物の加工、運搬、保管又は販賣
三 組合員の林産業に必要な物資の供給又は資金の貸付
四 前二號に掲げるものを除く外組合員の林産業に必要な共同設備の設置その他組合員の林産業に關する共同施設
五 前各號に掲げるものの外組合の目的達成上必要な事業
林産組合は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。
一 政府の指示に基く林産物の生産及び配給に關する割當
二 林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力
三 政府の指示に基く林産業に必要な物資の割當
第六十八條 林産組合は、組合員の林産業の種類別に、これを設立するものとする。但し、特別の事情があるときは、二種以上の林産業につき、これを設立することができる。
第六十九條 林産組合は、その名稱中に、林産組合なる文字を用ひなければならない。
林産組合でない者は、その名稱中に、林産組合なる文字を用ひてはならない。
第七十條 林産組合には、營業税を課さない。
第七十一條 林産組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 林産業を營む者又はその團體
二 林産業に密接な關係を有する事業を營む者又はその團體で定款で定めるもの
第七十二條 林産組合を設立するには、豫め地區を定め、命令の定めるところにより、その地區内において前條第一號の組合員たる資格を有する者の三分の二以上の同意を得て、創立總會を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。但し、組合員たる資格を有する者の林産業の種類が二以上であるときは、各ゝその三分の二以上の同意を得なければならない。
第七十三條 第六十七條第一項第二號乃至第四號に掲げる事業を行ふ林産組合は、定款の定めるところにより、組合員に出資をさせることができる。
第七十四條 組合員は、總會において各ゝ一箇の議決權を有する。但し、前條の規定により組合員に出資をさせる林産組合(以下出資林産組合といふ。)においては、定款の定めるところにより、一人につき、議決權總數の十分の三を超えない範圍内において、出資口數に應じ、二箇以上の議決權を有せしめることができる。
第七十五條 定款の變更が、地區の擴張又は縮少に關するものであるときは、第二十八條第一項の規定による議決の外、地區の擴張に因りあらたに第七十一條第一號の組合員たる資格を有するに至る者の三分の二以上、又は地區の縮少に因りその組合員でなくなる者の三分の二以上の同意を必要とする。
第七十六條 林産組合は、左の事由に因つて解散する。
一 總會の議決
二 組合の合併
三 第八十二條において準用する第六十條の規定による解散の命令
四 組合員が一人になつたこと
五 破産
前項第一號の總會の議決には、第二十八條第一項の規定を準用する。
第七十七條 林産組合が合併しようとするときは、總會において合併を議決しなければならない。
前項の總會の議決には、第二十八條第一項の規定を準用する。
合併は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第七十八條 出資林産組合の合併には、第四十八條及び第四十九條の規定を準用する。
第七十九條 合併に因つて林産組合を設立するには、各林産組合の總會において組合員の中から選任した者が共同して、定款を作成し、理事及び監事を選任し、その他設立に必要な行爲をしなければならない。
前項の總會における選任には、第二十八條第一項の規定を準用する。
第八十條 林産組合の合併は、合併後存續する組合又は合併に因つて設立する組合が、その主たる事務所の所在地において、變更又は設立の登記をすることに因つて、その效力を生ずる。
第八十一條 合併後存續する林産組合又は合併に因つて設立した林産組合は、合併に因つて消滅した林産組合の權利義務(當該林産組合がその行ふ事業に關し行政官廳の許可、認可その他の處分に基いて有する權利義務を含む。)を承繼する。
第八十二條 林産組合には、第三條、第七條、第十一條乃至第二十一條、第二十三條乃至第二十五條、第二十七條乃至第二十九條、第三十三條乃至第三十六條、第三十八條乃至第六十條及び第六十二條乃至第六十五條の規定を準用する。但し、第二十四條第一項中「議員又は特別議員」とあるのは、「組合員」と、「總議員及び總特別議員」とあるのは、「總組合員」と、第三十三條第一項中「第四條第二項」とあるのは、「第六十七條第二項」と讀み替へるものとする。
第八十三條 第五十九條(前條において準用する場合を含む。)の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを千圓以下の罰金に處する。
第八十四條 林業會又は林産組合が、この法律若しくはこの法律に基いて發する命令又はこれに基いてする行政官廳の處分に違反したときは、理事、監事、清算人又は第十七條(第八十二條において準用する場合を含む。)の規定による理事の職務を行ふ者を五千圓以下の過料に處する。
第八十五條 第六條第二項又は第六十九條第二項の規定に違反した者は、これを千圓以下の過料に處する。
附 則
第八十六條 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第八十七條 木材統制法は、これを發止する。
第八十八條 日本木材株式會社及び地方木材株式會社(前條の規定施行前に解散したものを除く。)は、同條の規定施行の際解散する。
前項の規定により解散した會社の清算については、商法第四百二十一條第一項但書の規定中「二月」とあるのは、「三週間」と讀み替へるものとする。
前項に規定するものの外、第一項の規定により解散した會社の清算に關し必要な事項は、勅令でこれを定める。
日本木材株式會社又は地方木材株式會社で前條の規定施行の際現に清算中のものについては、前二項の規定を準用する。
第八十九條 木材統制法第六條、第七條及び第三十八條の規定竝びに第四十條乃至第四十二條中第六條の規定による命令の違反に關する部分の規定は、第八十七條の規定施行後でも勅令で定める期間を限り、同條の規定にかかはらず、なほその效力を有する。
第九十條 第八十七條の規定施行前(前條の場合には、同條の勅令で定める期間内)にした行爲に關する罰則の適用については、第八十七條の規定施行後(前條の場合には、同條の勅令で定める期間經過後)でも、なほ從前の例による。
第九十一條 日本林業會が成立したときは、社團法人日本林業會(昭和二十年五月三十一日にその設立の許可を受けたものをいふ。以下同じ。)は、日本林業會成立の時に解散するものとし、その權利義務(社團法人日本林業會がその行ふ事業に關し行政官廳の許可、認可その他の處分に基いて有する權利義務を含む。)は、日本林業會において、これを承繼する。この場合には、社團法人日本林業會には、他の法令中清算に關する規定は、これに適用しない。
日本林業會は、前項の規定により承繼した債務については、その承繼に因つて得た財産の限度において、その辨濟の責に任ずる。
第九十二條 日本林業會が、前條の規定により承繼した不動産に關する權利の取得につき登記を受けるときは、その登録税の額は、不動産の價格の千分の四とする。但し、登録税法により算出した登録税の額がこの法律により算出した税額より少いときは、その額による。
第九十三條 日本林業會が第九十一條の規定により承繼した財産は、特別法人税法による剩餘金の計算上これを益金に算入しない。
第九十四條 商工組合法により設立された林産業に關する商工組合で行政官廳の指定するもの(以下指定組合といふ。)は、命令の定めるところにより、總會の決議を以て、林産組合と爲ることができる。
前項の場合には、第十二條の規定を準用する。
前項において準用する第十二條の規定による林業組合の成立に因つて、當該指定組合は、これに吸收されるものとし、當該指定組合の權利義務(當該指定組合がその行ふ事業に關し行政官廳の許可、認可その他の處分に基いて有する權利義務を含む。)は、林産組合において、これを承繼する。
第二項において準用する第十二條の規定により、指定組合が林産組合と爲つたときは、指定組合の組合員の出資は、當該林産組合に對する出資とみなす。
前項の場合において、指定組合に對する出資の持分の上に存在する質權は、林産組合に對する出資の持分の上に存在する。
第三項の場合には、第九十二條の規定を準用する。
第九十五條 前條第二項において準用する第十二條の規定により、指定組合が林産組合と爲つたときは、所得税法、法人税法及び臨時利得税法又は特別法人税法の適用に關しては、當該指定組合は、これを合併に因つて消滅した法人又は特別の法人とみなし、當該林産組合は、これを合併に因つて設立した法人とみなす。
第九十六條 林産組合が第九十四條第三項の規定により承繼した財産については、法人税法による所得、臨時利得税法による利益又は特別法人税法による剩餘金の計算上これを益金に算入しない。
第九十七條 第六條又は第六十九條の規定施行の際、現に第六條第一項又は第六十九條第一項に掲げる文字をその名稱中に用ひてゐる者は、これらの規定施行後六箇月以内にその名稱を變更しなければならない。
第八十五條の規定は、前項の期間内には、同項の者にこれを適用しない。
第九十八條 森林法の一部を次のやうに改正する。
第六十二條に左の二項を加へる。
組合ハ前項ノ事業ノ外左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 政府ノ指示ニ基ク森林産物ノ生産及配給ニ關スル割當
二 森林産物ノ價格統制ニ關スル政府ノ施策ニ對スル協力
三 政府ノ指示ニ基ク森林生産ニ必要ナル物資ノ割當
組合前項ノ事業ヲ行フトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ統制規程ヲ定ムベシ
第七十條第二項中「第六十二條第二項」を「第六十二條第二項及第三項」に改め、同項第二號中「必要ナル」の下に「物資ノ供給又ハ」を加へる。
第七十四條ノ五中「第六十三條」の上に「第六十二條第三項第四項、」を加へる。
第九十九條 特別法人税法の一部を次のやうに改正する。
第二條第五號の二の次に左の一號を加へる。
五ノ三 都道府縣林業會及日本林業會(所屬ノ會員ヲシテ出資ヲ爲サシメザルモノヲ除ク)
第百條 登録税法の一部を次のやうに改正する。
第十九條第七號中「水産業團體、」の下に「林業會、」を、「水産業團體法、」の下に「林業會法、」を加へる。
第百一條 印紙税法の一部を次のやうに改正する。
第四條第一項第十二號中「蠶絲業會、」の下に「林産組合、林業會、」を加へる。
第百二條 農林中央金庫法の一部を次のやうに改正する。
第五條第一項中「森林組合、」の下に「林業會、林産組合、」を加へる。
第百三條 この法律に規定するものの外、この法律の施行に關し必要な規定は、勅令でこれを定める。
朕は、帝国議会の協賛を経た林業会法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十月九日
内閣総理大臣 吉田茂
農林大臣 和田博雄
大蔵大臣 石橋湛山
法律第三十五号
林業会法
第一条 林業会は、会員が協同して、自主的に林業の改良発達並びに林産物の生産の確保及び配給の適正を図ることを目的とする。
この法律において、林業とは、森林の維持造成の事業及び林産物の生産又は販売の事業をいひ、林産物とは、木材、薪炭その他森林から産出する物で主務大臣の指定するものをいふ。
第二条 林業会は、都道府県林業会及び日本林業会とする。
第三条 林業会は、法人とする。
第四条 林業会は、その目的を達するために、左の事業を行ふことができる。
一 林業の指導奨励に関する施設
二 会員の林業の改良発達を図るため必要な共同施設
三 林産物の検査
四 林業に関する調査及び研究
五 前各号に掲げるものの外林業会の目的達成上必要な事業
林業会は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。
一 政府の指示に基く林産物の生産及び配給に関する割当
二 林産物の価格統制に関する政府の施策に対する協力
三 政府の指示に基く林業に必要な物資の割当
第五条 都道府県林業会の地区は、都道府県の区域により、日本林業会の地区は、全国の区域による。
第六条 都道府県林業会の名称中には、都、道、府若しくは県林業会なる文字を用ひ、日本林業会の名称中には、日本林業会なる文字を用ひなければならない。
林業会でない者は、その名称中に、前項に掲げる文字を用ひてはならない。
第七条 林業会は、勅令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第八条 林業会(会員に出資をさせるものを除く。)には、法人税及び営業税を課さない。
会員に出資をさせる林業会(以下出資林業会といふ。)には、所得税、法人税及び営業税を課さない。
第九条 都道府県林業会の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 都道府県の区域を地区とする森林組合連合会
二 都道府県の区域を地区とする林産組合
三 前二号に掲げる者を除く外林業を営む者若しくは林業に密接な関係を有する事業を営む者又はこれらの者の団体で定款で定めるもの
日本林業会の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 都道府県林業会
二 前号に掲げる者を除く外林業を営む者若しくは林業に密接な関係を有する事業を営む者又はこれらの者の団体で定款で定めるもの
第十条 都道府県林業会を設立するには、命令の定めるところにより、前条第一項第一号に掲げる者の同意及び同項第二号に掲げる者の三分の二以上の同意を得て、創立総会を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官庁の認可を受けなければならない。
日本林業会を設立するには、命令の定めるところにより、前条第二項第一号に掲げる者の三分の二以上の同意を得て、創立総会を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官庁の認可を受けなければならない。
第十一条 林業会の定款には、左の事項を記載しなければならない。
一 目的及び事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在地
五 会員に関する規定
六 経費の分担の方法
七 会議に関する規定
八 役員に関する規定
九 業務の執行及び会計に関する規定
十 公告の方法
出資林業会の定款には、前項の事項の外、左の事項を記載しなければならない。
一 出資一口の金額及びその払込の方法
二 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
三 準備金の額及びその積立の方法
第十二条 林業会は、主たる事務所の所在地において、設立の登記をすることに因つて成立する。
第十三条 会員たる資格を有する者が林業会に加入しようとするときは、林業会は、正当な理由がないのに、加入に困難な条件を附し、又はその加入を拒んではならない。
第十四条 林業会に、役員として理事及び監事を置く。
役員は、会員又は会員たる法人の業務を執行する役員の中から、総会において、これを選任する。但し、林業会設立当時の役員は、設立同意者又は設立同意者たる法人の業務を執行する役員の中から、創立総会において、これを選任する。
特別の事情があるときは、役員は、前項に該当しない者の中から、これを選任することができる。
第十五条 理事の任期は、三年とし、監事の任期は、二年とする。但し、定款で別段の定をすることができる。
役員は、任期中でも、総会において、これを解任することができる。
第十六条 林業会が理事と契約をするときは、監事が、林業会を代表する。林業会と理事との訴訟についても、亦同様とする。
第十七条 理事の全員が欠けたとき、又はその職務を行ふことができないときは、監事が、その職務を行ふ。但し、その期間は、三箇月を超えてはならない。
理事の職務を行ふ者がないときは、行政官庁は、仮理事を選任し、理事の職務を行はせることができる。
第十八条 監事は、理事又は林業会の使用人と相兼ねてはならない。
第十九条 理事は、定款及び総会の議事録を各事務所に、会員名簿を主たる事務所に備へて置かなければならない。
会員名簿には、各会員について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 出資林業会にあつては、出資口数及び出資各口の取得の年月日並びに払込済出資額及びその払込の年月日
会員及び林業会の債権者は、第一項に掲げる書類の閲覧を求めることができる。
第二十条 林業会の会員に対してする通知又は催告は、会員名簿に記載したその者の住所に、その者が別に通知又は催告を受ける場所を林業会に通知したときは、その場所に宛てることを以て足りる。
前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に、到達したものとみなす。
第二十一条 出資林業会の理事は、通常総会の会日から一週間前に、事業報告書、財産目録、貸借対照表及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備へて置かなければならない。
会員及び林業会の債権者は、前項に掲げる書類の閲覧を求めることができる。
第一項に掲げる書類を通常総会に提出するときは、監事の意見書を添附しなければならない。
第二十二条 林業会の総会は、議員及び特別議員で、これを組織する。
議員は、都道府県林業会にあつては、会員たる森林組合連合会若しくはその所属組合の業務を執行する役員の中から、その連合会の総会において、これを選任し、又は会員たる林産組合で第九条第一項第二号の資格を有するものの業務を執行する役員の中から、その組合が、これを選挙し、日本林業会にあつては、会員たる都道府県林業会の業務を執行する役員の中から、会員たる都道府県林業会が、これを選挙する。
特別議員は、第九条第一項第三号又は同条第二項第二号の会員たる資格を有する会員又は会員たる法人の業務を執行する役員及び林業に関し学識経験のある者の中から、総会において、これを選任する。
第二十三条 理事は、少くとも毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第二十四条 議員又は特別議員は、総議員及び総特別議員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して、総会の招集を請求することができる。
理事が、前項の規定による請求があつた日から二週間以内に、正当な理由がないのに、総会招集の手続をしないときは、監事が、その総会を招集しなければならない。
第二十五条 左の事項は、総会の議決によらなければならない。
一 定款の変更
二 毎事業年度の事業計画の設定及び変更
三 賦課金の賦課徴収方法
四 借入金の最高限度
五 事業報告書の承認
出資林業会にあつては、前項の事項の外、左の事項は、総会の議決によらなければならない。
一 財産目録及び貸借対照表の承認
二 剰余金の処分及び損失の処理
第二十六条 議員及び特別議員は、総会において、各ゝ一箇の議決権を有する。
第二十七条 総会の議事は、この法律又は定款に特別の定のある場合を除いては、出席者の議決権の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第二十八条 左の事項は、総会を組織する者の半数以上が出席し、出席者の議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 理事又は監事の選任及び解任
三 統制規程の設定、変更及び廃止
前項第一号の事項の決議は、行政官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第二十九条 会員は、総会の招集手続又はその議決の方法が法令又は定款に違反すると認めるときは、議決の日から一箇月以内に、その決議の取消を行政官庁に請求することができる。
第三十条 日本林業会に、林業委員会を置く。
林業委員会は、左に掲げる者の中から、日本林業会が、定款の定めるところにより、選任した委員を以て、これを組織する。
一 林業会の業務を執行する役員
二 森林組合又は森林組合連合会の業務を執行する役員
三 林産組合の業務を執行する役員
四 林業に密接な関係を有する事業を営む者又はその団体の業務を執行する役員
五 林業に関し学識経験のある者
第三十一条 日本林業会は、林産物の生産、配給、消費及び価格に関する施策に関し、政府にその意見を述べることができる。
日本林業会は、前項の規定により意見を述べるには、予め林業委員会に諮問しなければならない。
第三十二条 林産物の検査を行ふ林業会には、検査員を置かなければならない。
検査員の選任及び解任は、行政官庁の認可を受けなければならない。
行政官庁は、必要があると認めるときは、検査員を選任し、又は解任することができる。
第一項の林業会は、検査員の服務に関する規程を定め、行政官庁の認可を受けなければならない。
第三十三条 林業会が第四条第二項の事業を行ふときは、統制規程を定めなければならない。
統制規程の設定、変更及び廃止は、総会の議決によらなければならない。
第三十四条 林業会は、定款の定めるところにより、その会員に対して経費を賦課することができる。
林業会は、特に必要があるときは、定款の定めるところにより、その会員の全部又は一部に対して、前項の規定による賦課金の外、特別の賦課金を課することができる。
第三十五条 林業会は、定款の定めるところにより、定款又は統制規程に違反した会員に対して過怠金を課することができる。
第三十六条 林業会の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
第三十七条 第四条第一項第二号に掲げる事業を行ふ林業会は、定款の定めるところにより、会員に出資をさせることができる。
第三十八条 出資林業会の会員は、出資一口以上を有しなければならない。
出資一口の金額は、均一でなければならない。
第三十九条 出資林業会の会員の責任は、第三十四条の規定による経費負担の外、その出資額を限度とする。
第四十条 会員は、出資の払込について、相殺を以て出資林業会に対抗することができない。
第四十一条 会員は、出資林業会の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。
会員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。
第四十二条 出資林業会の会員は、持分を共有してはならない。
第四十三条 出資林業会は、会員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けてはならない。
第四十四条 出資林業会は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。
前項の定款で定める準備金の額は、出資総額の二分の一を下つてはならない。
第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合を除いては、これを使用してはならない。
第四十五条 出資林業会は、損失を填補し、前条第一項の準備金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。
剰余金の配当に関する制限は、命令でこれを定める。
第四十六条 出資林業会は、定款の定めるところにより、会員が出資の払込を終るまでは、会員に配当する剰余金をその払込に充てることができる。
第四十七条 会員に配当する剰余金又は持分の計算については、計算の基礎となるべき金額について計算上不便な端数金額は、これを切り捨てることができる。
第四十八条 出資林業会は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
出資林業会は、前項の期間内に、その債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を定款で定める方法に従つて公告し、且つ、知れてゐる債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
前項の一定の期間は、一箇月を下つてはならない。
第四十九条 債権者が、前条第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
債権者が異議を述べたときは、出資林業会は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として、信託会社若しくは信託債務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
第五十条 会員は、定款の定めるところにより、一定の期間前に予告し、事業年度の終において脱退することができる。
前項の予告期間は、一年を超えてはならない。
第五十一条 会員は、左の事由に因つて脱退する。
一 会員たる資格の喪失
二 死亡又は法人の解散
三 破産
四 禁治産
五 除名
第五十二条 除名の事由は、定款でこれを定める。
除名は、総会の議決による。但し、除名した会員に、その旨を通知しなければ、これを以てその会員に対抗することができない。
前項の議決には、第二十八条第一項の規定を準用する。
第五十三条 出資林業会の会員が脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
前項の持分は、脱退した事業年度の終における当該出資林業会の財産によつて、これを定める。
第五十四条 前条第二項の規定により持分の計算をするにあたり、出資林業会の財産を以てその債務を完済するに足りないときは、当該出資林業会は、脱退した会員に対して、その負担に帰すべき損失額の払込を請求することができる。
第五十五条 前二条の請求権は、二年間これを行はないときは、時効に因つて消滅する。
第五十六条 脱退した会員が出資林業会に対する債務を完済するまでは、出資林業会は、その持分の払戻を停止することができる。
第五十七条 出資林業会の会員は、定款の定めるところにより、その出資口数を減少することができる。
前項の場合には、第五十三条乃至第五十五条の規定を準用する。
第五十八条 行政官庁は、必要があると認めるときは、林業会に対して、監督上必要な命令を発し、又は処分をすることができる。
第五十九条 行政官庁は、必要があると認めるときは、林業会からその事業に関して報告を徴し、又は当該官吏に、林業会の事務所、事業場その他の場所に臨検し、業務の状況又は帳簿書類、設備その他の物件を検査させることができる。
第六十条 林業会の事業若しくは財産の状況によつてその事業の継続が困難であるとき、又は林業会の決議若しくは役員の行為が、法令、法令に基いてする行政官庁の処分若しくは定款に違反し、若しくは公益を害し、若しくは害する虞があるときは、行政官庁は、その決議を取り消し、役員の改選を命じ、林業会の事業を停止し、又はその解散を命ずることができる。
第六十一条 林業会は、左の事由に因つて解散する。
一 総会の議決
二 前条の規定による解散の命令
三 会員が一人になつたこと
四 破産
前項第一号の総会の議決には、第二十八条第一項の規定を準用する。
第六十二条 清算人は、就職の後遅滞なく、林業会の財産の現況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作り、財産処分の方法を定め、これを総会に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十三条 清算人は、林業会の債務を弁済した後でなければ、林業会の財産を処分してはならない。
第六十四条 清算事務が終つたときは、清算人は、遅滞なく決算報告書を作り、これを総会に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十五条 林業会には、民法第四十四条第一項、第五十条、第五十二条第二項、第五十三条乃至第五十五条、第五十九条、第六十一条第一項、第六十二条、第六十四条、第六十六条、第七十条、第七十三条乃至第七十六条及び第七十八条乃至第八十三条並びに非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項第三項、第百三十六条第一項、第百三十七条及び第百三十八条の規定を準用する。
第六十六条 林産組合は、組合員が協同して、自主的に林産物の生産又は販売の事業(以下林産業といふ。)の改良発達並びに林産物の生産の確保及び配給の適正を図ることを目的とする。
第六十七条 林産組合は、その目的を達するために、左の事業を行ふことができる。
一 林産業の指導奨励に関する施設
二 組合員の生産し、又は販売する林産物の加工、運搬、保管又は販売
三 組合員の林産業に必要な物資の供給又は資金の貸付
四 前二号に掲げるものを除く外組合員の林産業に必要な共同設備の設置その他組合員の林産業に関する共同施設
五 前各号に掲げるものの外組合の目的達成上必要な事業
林産組合は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。
一 政府の指示に基く林産物の生産及び配給に関する割当
二 林産物の価格統制に関する政府の施策に対する協力
三 政府の指示に基く林産業に必要な物資の割当
第六十八条 林産組合は、組合員の林産業の種類別に、これを設立するものとする。但し、特別の事情があるときは、二種以上の林産業につき、これを設立することができる。
第六十九条 林産組合は、その名称中に、林産組合なる文字を用ひなければならない。
林産組合でない者は、その名称中に、林産組合なる文字を用ひてはならない。
第七十条 林産組合には、営業税を課さない。
第七十一条 林産組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 林産業を営む者又はその団体
二 林産業に密接な関係を有する事業を営む者又はその団体で定款で定めるもの
第七十二条 林産組合を設立するには、予め地区を定め、命令の定めるところにより、その地区内において前条第一号の組合員たる資格を有する者の三分の二以上の同意を得て、創立総会を開き、定款その他設立に必要な事項を定め、行政官庁の認可を受けなければならない。但し、組合員たる資格を有する者の林産業の種類が二以上であるときは、各ゝその三分の二以上の同意を得なければならない。
第七十三条 第六十七条第一項第二号乃至第四号に掲げる事業を行ふ林産組合は、定款の定めるところにより、組合員に出資をさせることができる。
第七十四条 組合員は、総会において各ゝ一箇の議決権を有する。但し、前条の規定により組合員に出資をさせる林産組合(以下出資林産組合といふ。)においては、定款の定めるところにより、一人につき、議決権総数の十分の三を超えない範囲内において、出資口数に応じ、二箇以上の議決権を有せしめることができる。
第七十五条 定款の変更が、地区の拡張又は縮少に関するものであるときは、第二十八条第一項の規定による議決の外、地区の拡張に因りあらたに第七十一条第一号の組合員たる資格を有するに至る者の三分の二以上、又は地区の縮少に因りその組合員でなくなる者の三分の二以上の同意を必要とする。
第七十六条 林産組合は、左の事由に因つて解散する。
一 総会の議決
二 組合の合併
三 第八十二条において準用する第六十条の規定による解散の命令
四 組合員が一人になつたこと
五 破産
前項第一号の総会の議決には、第二十八条第一項の規定を準用する。
第七十七条 林産組合が合併しようとするときは、総会において合併を議決しなければならない。
前項の総会の議決には、第二十八条第一項の規定を準用する。
合併は、行政官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第七十八条 出資林産組合の合併には、第四十八条及び第四十九条の規定を準用する。
第七十九条 合併に因つて林産組合を設立するには、各林産組合の総会において組合員の中から選任した者が共同して、定款を作成し、理事及び監事を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。
前項の総会における選任には、第二十八条第一項の規定を準用する。
第八十条 林産組合の合併は、合併後存続する組合又は合併に因つて設立する組合が、その主たる事務所の所在地において、変更又は設立の登記をすることに因つて、その効力を生ずる。
第八十一条 合併後存続する林産組合又は合併に因つて設立した林産組合は、合併に因つて消滅した林産組合の権利義務(当該林産組合がその行ふ事業に関し行政官庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
第八十二条 林産組合には、第三条、第七条、第十一条乃至第二十一条、第二十三条乃至第二十五条、第二十七条乃至第二十九条、第三十三条乃至第三十六条、第三十八条乃至第六十条及び第六十二条乃至第六十五条の規定を準用する。但し、第二十四条第一項中「議員又は特別議員」とあるのは、「組合員」と、「総議員及び総特別議員」とあるのは、「総組合員」と、第三十三条第一項中「第四条第二項」とあるのは、「第六十七条第二項」と読み替へるものとする。
第八十三条 第五十九条(前条において準用する場合を含む。)の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを千円以下の罰金に処する。
第八十四条 林業会又は林産組合が、この法律若しくはこの法律に基いて発する命令又はこれに基いてする行政官庁の処分に違反したときは、理事、監事、清算人又は第十七条(第八十二条において準用する場合を含む。)の規定による理事の職務を行ふ者を五千円以下の過料に処する。
第八十五条 第六条第二項又は第六十九条第二項の規定に違反した者は、これを千円以下の過料に処する。
附 則
第八十六条 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第八十七条 木材統制法は、これを発止する。
第八十八条 日本木材株式会社及び地方木材株式会社(前条の規定施行前に解散したものを除く。)は、同条の規定施行の際解散する。
前項の規定により解散した会社の清算については、商法第四百二十一条第一項但書の規定中「二月」とあるのは、「三週間」と読み替へるものとする。
前項に規定するものの外、第一項の規定により解散した会社の清算に関し必要な事項は、勅令でこれを定める。
日本木材株式会社又は地方木材株式会社で前条の規定施行の際現に清算中のものについては、前二項の規定を準用する。
第八十九条 木材統制法第六条、第七条及び第三十八条の規定並びに第四十条乃至第四十二条中第六条の規定による命令の違反に関する部分の規定は、第八十七条の規定施行後でも勅令で定める期間を限り、同条の規定にかかはらず、なほその効力を有する。
第九十条 第八十七条の規定施行前(前条の場合には、同条の勅令で定める期間内)にした行為に関する罰則の適用については、第八十七条の規定施行後(前条の場合には、同条の勅令で定める期間経過後)でも、なほ従前の例による。
第九十一条 日本林業会が成立したときは、社団法人日本林業会(昭和二十年五月三十一日にその設立の許可を受けたものをいふ。以下同じ。)は、日本林業会成立の時に解散するものとし、その権利義務(社団法人日本林業会がその行ふ事業に関し行政官庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)は、日本林業会において、これを承継する。この場合には、社団法人日本林業会には、他の法令中清算に関する規定は、これに適用しない。
日本林業会は、前項の規定により承継した債務については、その承継に因つて得た財産の限度において、その弁済の責に任ずる。
第九十二条 日本林業会が、前条の規定により承継した不動産に関する権利の取得につき登記を受けるときは、その登録税の額は、不動産の価格の千分の四とする。但し、登録税法により算出した登録税の額がこの法律により算出した税額より少いときは、その額による。
第九十三条 日本林業会が第九十一条の規定により承継した財産は、特別法人税法による剰余金の計算上これを益金に算入しない。
第九十四条 商工組合法により設立された林産業に関する商工組合で行政官庁の指定するもの(以下指定組合といふ。)は、命令の定めるところにより、総会の決議を以て、林産組合と為ることができる。
前項の場合には、第十二条の規定を準用する。
前項において準用する第十二条の規定による林業組合の成立に因つて、当該指定組合は、これに吸収されるものとし、当該指定組合の権利義務(当該指定組合がその行ふ事業に関し行政官庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)は、林産組合において、これを承継する。
第二項において準用する第十二条の規定により、指定組合が林産組合と為つたときは、指定組合の組合員の出資は、当該林産組合に対する出資とみなす。
前項の場合において、指定組合に対する出資の持分の上に存在する質権は、林産組合に対する出資の持分の上に存在する。
第三項の場合には、第九十二条の規定を準用する。
第九十五条 前条第二項において準用する第十二条の規定により、指定組合が林産組合と為つたときは、所得税法、法人税法及び臨時利得税法又は特別法人税法の適用に関しては、当該指定組合は、これを合併に因つて消滅した法人又は特別の法人とみなし、当該林産組合は、これを合併に因つて設立した法人とみなす。
第九十六条 林産組合が第九十四条第三項の規定により承継した財産については、法人税法による所得、臨時利得税法による利益又は特別法人税法による剰余金の計算上これを益金に算入しない。
第九十七条 第六条又は第六十九条の規定施行の際、現に第六条第一項又は第六十九条第一項に掲げる文字をその名称中に用ひてゐる者は、これらの規定施行後六箇月以内にその名称を変更しなければならない。
第八十五条の規定は、前項の期間内には、同項の者にこれを適用しない。
第九十八条 森林法の一部を次のやうに改正する。
第六十二条に左の二項を加へる。
組合ハ前項ノ事業ノ外左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 政府ノ指示ニ基ク森林産物ノ生産及配給ニ関スル割当
二 森林産物ノ価格統制ニ関スル政府ノ施策ニ対スル協力
三 政府ノ指示ニ基ク森林生産ニ必要ナル物資ノ割当
組合前項ノ事業ヲ行フトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ統制規程ヲ定ムベシ
第七十条第二項中「第六十二条第二項」を「第六十二条第二項及第三項」に改め、同項第二号中「必要ナル」の下に「物資ノ供給又ハ」を加へる。
第七十四条ノ五中「第六十三条」の上に「第六十二条第三項第四項、」を加へる。
第九十九条 特別法人税法の一部を次のやうに改正する。
第二条第五号の二の次に左の一号を加へる。
五ノ三 都道府県林業会及日本林業会(所属ノ会員ヲシテ出資ヲ為サシメザルモノヲ除ク)
第百条 登録税法の一部を次のやうに改正する。
第十九条第七号中「水産業団体、」の下に「林業会、」を、「水産業団体法、」の下に「林業会法、」を加へる。
第百一条 印紙税法の一部を次のやうに改正する。
第四条第一項第十二号中「蚕糸業会、」の下に「林産組合、林業会、」を加へる。
第百二条 農林中央金庫法の一部を次のやうに改正する。
第五条第一項中「森林組合、」の下に「林業会、林産組合、」を加へる。
第百三条 この法律に規定するものの外、この法律の施行に関し必要な規定は、勅令でこれを定める。