第十條 市町村農業會及道府縣農業會(以下地方農業會ト稱ス)ハ農業ニ關スル國策ニ卽應シ農業ノ整備發達ヲ圖リ且會員ノ農業及經濟ノ發達ニ必要ナル事業ヲ行フコトヲ目的トス
第十一條 地方農業會ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ノ事業ヲ行フ
三 會員ノ販賣スル物ノ賣却又ハ其ノ加工ニ關スル施設
四 會員ニ必要ナル農業用物資ノ購買又ハ其ノ加工若ハ生產ニ關スル施設
五 會員ニ必要ナル農業資金ノ貸付又ハ農業用設備ノ利用ニ關スル施設
地方農業會ハ其ノ目的ヲ達スル爲前項ノ事業ノ外左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 會員ニ必要ナル物ノ購買又ハ其ノ加工若ハ生產ニ關スル施設
二 會員ニ必要ナル資金ノ貸付又ハ設備ノ利用ニ關スル施設
地方農業會前項第四號又ハ第五號ノ事業ヲ行ハントスルトキハ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
地方農業會ノ施設ハ命令ノ定ムル所ニ依リ會員以外ノ者ヲシテ之ヲ利用セシムルコトヲ得
道府縣農業會ハ命令ヲ以テ定ムル金融機關ニ對シ會員ノ爲ニ債務ノ保證ヲ爲シ又ハ當該金融機關ノ委任ヲ受ケ其ノ債權ノ取立ヲ爲スコトヲ得
道府縣農業會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ會員ニ對シ手形ノ割引ヲ爲スコトヲ得
第十二條 地方農業會ノ地區ハ市町村農業會ニ在リテハ市町村(町村ニ準ズベキモノヲ含ム以下同ジ)、道府縣農業會ニ在リテハ道府縣ノ區域ニ依ル
特別ノ事由アルトキハ市町村農業會ノ地區ハ市町村ノ區域ニ依ラザルコトヲ得
第十三條 地方農業會ハ其ノ名稱中ニ市、町若ハ村農業會又ハ道、府若ハ縣農業會ナル文字ヲ用フベシ但シ前條第二項ノ場合ニ於テハ市町村農業會ハ其ノ名稱中ニ市、町又ハ村ナル文字ヲ用ヒザルコトヲ得
地方農業會ニ非ザルモノハ其ノ名稱中ニ前項ニ揭グル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第十四條 市町村農業會ハ左ニ揭グル者ヲ以テ其ノ會員トス但シ國、公共團體及勅令ヲ以テ定ムル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
三 前二號ノ者ニ準ズル者ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノ
道府縣農業會ハ其ノ地區內ノ市町村農業會ヲ以テ其ノ會員トス
第十五條 左ニ揭グル者ハ市町村農業會ノ會員ト爲ルコトヲ得但シ其ノ者ガ法人ナルトキハ命令ヲ以テ定ムル法人ニシテ行政官廳ノ認可ヲ受ケタルモノニ限ル
一 其ノ地區內ニ住所ヲ有スル者ニシテ農業ニ密接ナル關係ヲ有スルモノ
道府縣農業會ノ地區內ニ住所ヲ有スル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ行政官廳ノ認可ヲ受ケ當該道府縣農業會ノ會員ト爲ルコトヲ得
第十六條 地方農業會ヲ設立セントスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ第十四條ノ規定ニ依リ會員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ會則其ノ他設立ニ必要ナル事項ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第十七條 地方農業會ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第十八條 地方農業會成立シタルトキハ第十四條ノ規定ニ依リ會員タル資格ヲ有スル者ハ總テ其ノ會員トス
會員ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス但シ會則ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
前項第一號及第二號ノ事項ノ決議ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十四條 總會ノ議事ハ命令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外出席者ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十五條 總會ノ議決ヲ經ベキ事項ニシテ臨時急施ヲ要シ總會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルモノハ會長之ヲ專決處分スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ會長ハ次ノ總會ニ於テ其ノ承認ヲ求ムベシ
第二十六條 地方農業會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ總會ニ代ルベキ總代會ヲ設クルコトヲ得
道府縣農業會ニハ前項ノ役員ノ外會則ノ定ムル所ニ依リ評議員若干人ヲ置クコトヲ得
副會長ハ會長ヲ輔佐シ會則ノ定ムル所ニ依リ業務ヲ掌理シ豫メ會長ノ定ムル順位ニ依リ會長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ會長及副會長ノ指揮ヲ受ケ業務ヲ執行シ豫メ會長ノ定ムル順位ニ依リ會長及副會長共ニ事故アルトキハ會長ノ職務ヲ代理シ會長及副會長共ニ缺員ノトキハ會長ノ職務ヲ行フ
評議員ハ會長ノ諮問ニ對シ答申シ又ハ會長ニ對シ意見ヲ具申ス
第二十九條 會長ハ總會ニ於テ推薦シタル者ニ就キ市町村農業會ニ在リテハ市町村長(町村長ニ準ズベキモノヲ含ム)ノ意見ヲ徵シ地方長官、道府縣農業會ニ在リテハ地方長官ノ推薦ニ依リ主務大臣之ヲ命ズ
副會長及理事(支部長タル道府縣農業會ノ理事ヲ除ク)ハ總會ニ於テ推薦シタル者ニ就キ會長之ヲ選任ス
支部長タル道府縣農業會ノ理事ハ支部區域內ノ市町村農業會ノ會長ヲ以テ組織スル會議ニ於テ推薦シタル者ニ就キ會長之ヲ選任ス
評議員ハ農業ニ關シ學識經驗アル者ノ中ヨリ會長之ヲ選任ス
道府縣農業會ノ副會長及理事ノ選任ハ地方長官ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
會長必要アリト認ムルトキハ任期中ト雖モ副會長又ハ理事ヲ解任スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル副會長又ハ理事ノ解任ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第三十一條 地方農業會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ經費ヲ賦課スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル經費賦課ハ第十一條第一項第一號、第二號及同條第二項第三號、第四號ノ事業竝ニ此等ノ事業ニ關係アル範圍內ニ於ケル同項第五號ノ事業ニ關シ勅令ヲ以テ定ムル經費ニ限ル
第三十二條 地方農業會ハ前條第二項ノ事業ヲ行フ爲特ニ必要アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ノ全部又ハ一部ニ對シ同條ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第三十三條 地方農業會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ會則又ハ統制規程ニ違反シタル會員ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第三十四條 市町村農業會ノ賦課金又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ當該市町村農業會ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ市町村農業會ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
市町村ガ前項ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ其ノ處分ニ着手セズ又ハ九十日以內ニ之ヲ結了セザルトキハ會長ハ地方長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ處分スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村制第百十一條第一項及第四項ノ規定ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次ギ其ノ時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル
市町村農業會ノ賦課金ノ賦課又ハ過怠金ノ徵收ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ異議ノ申立、訴願及行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第三十五條 地方農業會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ第三十一條第二項ノ事業ニ關シ使用料及手數料ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ使用料及手數料ノ徵收ニ關シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三十六條 會員ハ出資一口以上ヲ有スベシ但シ第十四條第一項ノ規定ニ依ル會員ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第三十七條 地方農業會ノ會員ニシテ出資ヲ有スルモノノ責任ハ第三十一條及第三十二條ノ規定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第三十八條 道府縣農業會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ郡ノ區域(北海道ニ在リテハ北海道廳支廳長ノ管轄區域トス)若ハ之ニ準ズベキ區域又ハ主務大臣ノ指定スル市ノ區域ニ支部ヲ設置スルコトヲ得
第三十九條 地方農業會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ總會ノ議決ヲ經テ農業ノ統制ニ關スル規程ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更シ又ハ廢止セントスルトキ亦同ジ
第四十條 行政官廳農業ノ整備發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ地方農業會ニ對シ必要ナル事業ノ施行ヲ命ジ又ハ會則ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第四十一條 行政官廳農業ノ整備發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ市町村農業會ノ會員ニ對シ當該農業會ノ行フ農業ニ關スル統制ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
行政官廳農業ノ整備發達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ市町村農業會ノ會員以外ノ者ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノニ對シ當該農業會ノ行フ農業ニ關スル統制ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四十二條 行政官廳農業ノ整備發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ勅令ヲ以テ定ムル農業ニ關スル團體ニ對シ市町村農業會ノ事業ニ付協力スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四十三條 行政官廳ハ地方農業會ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十四條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ地方農業會ノ事務所、事業場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況又ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
第四十五條 會長ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ行政官廳ハ會員其ノ他適當ナル者ヲ指定シテ會長ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第四十六條 行政官廳ハ會長ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害シタルトキ其ノ他農業ノ整備發達上會長ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
行政官廳ハ副會長、理事、監事又ハ評議員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害シタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第四十七條 行政官廳ハ地方農業會ノ決議又ハ會長、副會長、理事若ハ監事ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害シタルトキハ其ノ決議ヲ取消シ、地方農業會ノ業務ヲ停止シ又ハ地方農業會ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
第四十八條 地方農業會ニハ所得稅、法人稅及營業稅ヲ課セズ