(農業協同組合法の制定に伴う農業団体の整理等に関する法律)
法令番号: 法律第133号
公布年月日: 昭和22年11月19日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

農地改革と並び、農業・農村の基本政策として、農業団体制度を根本的に刷新し、農民の自主的な協同組織の確立を目指すものである。従来の農業会等の農業団体を整理し、新たな農業協同組合への円滑な移行を図るため、農業会は法施行後8ヶ月以内に解散することとし、その財産は新設される農業協同組合に引き継がれる。これにより、農業会員が新協同組合の構成員となり、旧農業会に対して有していた権利の割合に応じて財産の引継を要求できるようにする。農業の近代化と生産性向上、農村の民主化を実現するための法整備である。

参照した発言:
第1回国会 衆議院 農林委員会 第14号

審議経過

第1回国会

参議院
(昭和22年8月19日)
衆議院
(昭和22年8月22日)
(昭和22年8月25日)
参議院
(昭和22年8月26日)
衆議院
(昭和22年8月27日)
(昭和22年8月28日)
参議院
(昭和22年8月28日)
衆議院
(昭和22年8月30日)
(昭和22年9月17日)
参議院
(昭和22年9月17日)
衆議院
(昭和22年9月18日)
参議院
(昭和22年9月23日)
衆議院
(昭和22年10月4日)
参議院
(昭和22年10月7日)
衆議院
(昭和22年10月13日)
(昭和22年10月16日)
(昭和22年10月18日)
参議院
(昭和22年11月4日)
(昭和22年11月7日)
農業協同組合法の制定に伴う農業團体の整理等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十一月十九日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百三十三号
第一條 農業團体法及び蚕糸業組合法は、これを廃止する。
この法律施行の際現に存する市町村農業会、都道府縣農業会及び全國農業会(以下農業團体と総称する。)並びに生糸輸出業組合及び養蚕実行組合については、前項に掲げる法律は、この法律施行後でも、なおその効力を有する。
前項の農業團体、生糸輸出業組合及び養蚕実行組合でこの法律施行の日から八箇月を経過した時に現に存するもの(清算中のものを除く。)は、その時に解散する。
行政廳は、必要があると認めるときは、何時でも第二項の農業團体又は養蚕実行組合に対し、解散を命ずることができる。この場合には、当該農業團体又は養蚕実行組合は、当該命令に因つて解散する。
第二項の農業團体で第三項の期間満了までに金融機関再建整備法第三十四條第二項の規定により新勘定及び旧勘定の区分の消滅しないものについては、第三項の規定を適用しない。
前項の農業團体は、同項の区分の消滅があつたときは、遅滯なく解散の議決をしなければならない。
第五項の農業團体は、第三項の期間満了の後は、その事業を行うことができない。
主務大臣は、第五項の農業團体に対し、その財産の処分、保全その他管理に関し必要な命令又は処分をすることができる。
主務大臣は、第六項の規定による解散の議決及び第三項、第四項又は第六項の規定による解散に因る清算の結了を農業團体に速かにさせることに関し責任があるものとする。
第二條 農業團体は、行政廳の認可を受けなければ、その資産を処分してはならない。但し、通常の業務として行う処分は、この限りでない。
前項の規定施行前に農業團体のした資産の処分に関する契約で同項の規定施行の日までに当該契約に係る資産の引渡又は代金の受領のいずれかが完了しているものについては、同項の規定を適用しない。
第一項の規定に違反する処分は、これを無効とする。
第一項の規定施行前に農業團体のした資産の処分に関する契約に係る資産の引渡及び代金の受領につき、同項の規定施行の日から二箇月以内に同項の認可がなかつたときは、当該契約は、解除されたものとみなす。
農業團体が第一項の規定に違反してその資産を処分したときは、その行爲をした農業團体の代表者又は代理人、使用人、その他の從業者は、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
第三條 農業協同組合及び農業協同組合連合会は、農業團体の会員となることができない。
都道府縣農業会又は全國農業会は、農業協同組合又は農業協同組合連合会に、その施設を利用させることができる。
第四條 農業團体の財産の分配は、各会員に平等にその持分に應じてこれをしなければならない。
第五條 市町村農業会の会員たる者の一部を組合員とする農業協同組合は、行政廳の認可を受けて、当該市町村農業会に対し、その財産の分割を請求することができる。
前項の場合には、市町村農業会の財産は、当該市町村農業会の会員の持分の総額のうち、当該市町村農業会の会員で同項の農業協同組合の組合員たるものの持分の総額の占める割合に應じて当該農業協同組合に帰屬する。
前項の場合における市町村農業会の会員の地位及び持分その他前二項の規定施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
金融機関再建整備法第三十四條第二項の規定により新勘定及び旧勘定の区分の消滅しない市町村農業会については、前三項の規定は、これを適用しない。
第六條 市町村農業会の会員たる者の一部を組合員とする農業協同組合は、行政廳の認可を受けて、当該市町村農業会に対し、その資産の讓渡又は債務の引受に関する協議を求めることができる。
前項の場合において協議が調わないときは、行政廳は、当事者又はその一方の申請に因り、当事者の意見を聽き、当該市町村農業会に対し、讓渡の條件を定めてその資産の讓渡を命ずることができる。
前二項の規定により市町村農業会の讓渡する資産の額の当該市町村農業会の資産の総額に対する割合は、当該市町村農業会の会員の持分の総額のうち、当該市町村農業会の会員で当該農業協同組合の組合員たるものの持分の額の占める割合を超えてはならない。
第一項の規定による認可又は第二項の規定による命令の取消又は変更を求める訴は、当該認可又は命令を受けた日から一箇月を経過したときは、これを提起することができない。
第二項乃至前項に規定するものの外、第一項の規定施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第七條 命令で定める農業協同組合連合会は、行政廳の認可を受けて、都道府縣農業会又は全國農業会に対し、その資産の讓渡又は債務の引受に関する協議を求めることができる。
前項の場合には、前條第二項、第四項及び第五項の規定を準用する。
第八條 この法律施行の際現に存する農業團体は、この法律施行後二箇月以内に総会を招集しなければならない。
前項の総会の招集は、少くとも会日から十日前までに会議の目的たる事項、日時及び場所を公告してこれをしなければならない。
第一項の総会は、会員の三分の二以上の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
行政廳は、第一項の農業團体の理事又は清算人に対し、前項の規定する会員の出席を得るため必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
第一項の総会の招集があつた場合において、第三項の規定する会員の出席がないときは、農業團体は、第一項の期間経過後でも、第三項に規定する会員の出席があるまで総会を招集しなければならない。この場合には、第二項乃至前項の規定を準用する。
前項の規定は、第一條第三項、第四項及び第六項の規定の適用を妨げない。
第九條 前條第一項の農業團体の理事又は清算人は、同項又は同條第五項の総会の会日から一週間前までに事業報告書及び財産目録を監事に提出し、且つ、その総会に監事の意見書とともにこれらの書類を提出してその承認を求めなければならない。
前項の理事又は清算人は、同項の総会において、農業協同組合法及びこの法律に関し詳細な報告をしなければならない。
第一項の総会においては、資産処理委員会の委員を選任しなければならない。
前項の委員の定数は、五人乃至九人とし、少くともその四分の三は、農業協同組合法第九條第一項に規定する農民でなければならない。
第一項の農業團体の理事又は清算人は、第五條の規定による財産の分割並びに第六條又は第七條の規定による資産の讓渡(第六條第二項及びその準用規定の場合にあつては、行政廳に述べるべき意見)及び債務の引受については、資産処理委員会の意見を聽き、これに從わなければならない。但し、総会の決議に違反することができない。
第十條 第五條第二項の規定により市町村農業会の財産のうち農業協同組合に帰屬した財産の價額は、特別法人税法による剩余金の計算上、当該農業協同組合の益金及び当該市町村農業会の損金にこれを算入しない。
第十一條 農業協同組合又は農業協同組合連合会が第五條、第六條又は第七條の規定により農業團体から不動産又は船舶に関する権利を承継する場合において、その取得につき登記を受けるときは、その登録税の額は、不動産又は船舶の價格の千分の四とする。但し、登録税法により算出した登録税の額がこの法律により算出した税額より少いときは、その額による。
農業協同組合が農事実行組合又は養蚕実行組合から不動産に関する権利を承継する場合において、その取得につき登記を受けるときも、また前項と同樣とする。
第十二條 農業協同組合法施行の際現にその名称中に農業協同組合又は農業協同組合連合会なる文字を用いている者は、同法施行後三箇月以内に、その名称を変更しなければならない。
農業協同組合法第百二條の規定は、前項の期間内は、これを同項の者に適用しない。
第十三條 農業協同組合及び農業協同組合連合会は、金融機関再建整備法第二十六條第二項、第四十條第一項又は第四十一條第一項若しくは第二項の規定の適用に関しては、これをこれらの規定に定める他の金融機関とみなす。
都道府縣農業会は、金融機関再建整備法第四十條第一項又は第四十一條第一項若しくは第二項の規定により、政令で定める金融に関する事業を讓り渡す場合には、同法第四十二條第一項の規定にかかわらず、新勘定及び旧勘定の区分消滅前における農林中央金庫をその讓渡の相手方として選ぶことができる。
前項の場合において、農林中央金庫は、金融機関再建整備法第四十二條第一項の規定にかかわらず、前項に規定する事業を讓り受けることができる。
第十四條 産業組合法の一部を次のように改正する。
第十條ノ二第一項中「農事實行組合、養蠶實行組合其ノ他」を削る。
第十條ノ三及第十條ノ四 削除
第七十六條第二項中「市町村農業會、道府縣農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
改正前の産業組合法第十條ノ三の規定により設立され、この法律施行の際現に存する農事実行組合については、改正前の産業組合法中農事実行組合に関する規定は、この法律施行後でも、なおその効力を有する。
前項の農事実行組合については、第一條第三項及び第四項の規定を準用する。
第十五條 印紙税法の一部を次のように改正する。
第四條第一項第十一号中「市町村農業會、道府縣農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に、同項第十二号中「道府縣農業會、全國農業會」を「農業協同組合連合会」に改める。
第五條第六号中「市町村農業會」を「農業協同組合」に、同條第九号中「市町村農業會、道府縣農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第十六條 牧野法の一部を次のように改正する。
第二條ノ二第一項中「又ハ馬匹組合聯合會」を「、馬匹組合連合会、農業協同組合又ハ農業協同組合連合会」に改める。
第九條及び第二十五條中「馬匹組合聯合會」の下に「、農業協同組合、農業協同組合連合会」を加える。
第二十七條中「若ハ馬匹組合連合会」を「、馬匹組合連合会、農業協同組合若ハ農業協同組合連合会」に改める。
第十七條 登録税法の一部を次のように改正する。
第十九條第七号中「農業團體」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に、「農業團體法」を「農業協同組合法」に改める。
同條第十五号及び第十六号中「市町村農業會」を「農業協同組合」に改める。
第十八條 特別法人税法の一部を次のように改正する。
第二條第一号を次のように改める。
一 農業協同組合及農業協同組合連合会(所屬ノ組合員、組合又ハ連合会ヲシテ出資ヲ爲サシメザルモノヲ除ク)
第十九條 貯蓄銀行法の一部を次のように改正する。
第五條第四号及び第五号中「市町村農業會」を「農業協同組合」に改める。
第二十條 臨時資金調整法の一部を次のように改正する。
第二條中「、道府縣農業會」を削り、「ヲ区域トスル信用組合聯合會」を「ノ区域又ハ其ノ区域ヲ超ユル区域ヲ地区又ハ区域トスル農業協同組合連合会又ハ産業組合連合会ニシテ信用事業ヲ行フモノ」に改める。
第二十一條 臨時農村負債処理法の一部を次のように改正する。
第十一條第二項中「所屬市町村農業會」を「所屬農業協同組合」に、「市町村農業會」を「農業協同組合」に改め、「會員若ハ」を削る。
第二十二條 家畜市場法の一部を次のように改正する。
第三條第二項及び第四條中「市町村農業會」を「農業協同組合」に、「道府縣農業會」を「農業協同組合連合会」に改める。
第二十三條 農林中央金庫法の一部を次のように改正する。
第二條第三項中「道府縣農業會」を「農業協同組合連合会」に改める。
第五條第一項中「全國農業會、道府縣農業會、市町村農業會」を「農業協同組合連合会、農業協同組合」に改める。
第二十四條 農林中央金庫特別融通及損失補償法の一部を次のように改正する。
第一條中「所屬道府縣農業會、所屬市町村農業會」を「所屬農業協同組合連合会、所屬農業協同組合」に改める。
第二十五條 農業團体自治監査法の一部を次のように改正する。
「農業團體自治監査法」を「農業協同組合自治監査法」に、「農業團體監査聯合會」を「農業協同組合監査連合会」に、「農業團體監査員」を「農業協同組合監査員」に改める。
第一條第一項中「農業團體」を「農業協同組合及農業協同組合連合会」に、同條第二項中「及」を「又ハ」に、「農業團體」を「農業協同組合又ハ農業協同組合連合会」に改める。
第二條第三項、第四條第三項、第五條及び第九條第一項中「農業團體」を「農業協同組合又ハ農業協同組合連合会」に改める。
第二十六條 農村負債整理組合法の一部を次のように改正する。
第八條第一項中「市町村農業會」を「農業協同組合」に改める。
第二十七條 農村負債整理資金特別融通及損失補償法の一部を次のように改正する。
第一條第二項中「所屬市町村農業會」を「所屬農業協同組合」に、「市町村農業會」を「農業協同組合」に改め、「会員若ハ」を削る。
第二十八條 農業保險法の一部を次のように改正する。
第一條中「市町村農業會」を「農業協同組合」に改める。
第十六條及び第五十三條中「市町村農業會及養蠶實行組合」を「農業協同組合」に改める。
第二十九條 農業動産信用法の一部を次のように改正する。
第三條及び第四條中「市町村農業會」を「農業協同組合」に改める。
第十二條中「農事實行組合、養蠶實行組合」を「農業協同組合」に、「市町村農業會」を「其ノ所屬スル農業協同組合」に改める。
第三十條 農業倉庫業法の一部を次のように改正する。
第一條第一項第二号中「市町村農業會、道府縣農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第四條第一項中「市町村農業會」を「農業協同組合」に、同條第二項中「道府縣農業會」を「農業協同組合連合会」に改める。
第五條中「市町村農業會若ハ道府縣農業會」を「農業協同組合若ハ農業協同組合連合会」に、「農業團體法」を「農業協同組合法」に改める。
第十九條中「市町村農業會、道府縣農業會、全國農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第二十條中「道府縣農業會、全國農業會」を「農業協同組合連合会」に改める。
第二十一條第一項中「道府縣農業會、全國農業會」を「農業協同組合連合会」に、「農業團體法」を「農業協同組合法」に、同條第二項中「道府縣農業會若ハ全國農業會」を「農業協同組合連合会」に、「市町村農業會、道府縣農業會、全國農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十一條 國民貯蓄組合法の一部を次のように改正する。
第一條及び第二條中「市町村農業會」を「農業協同組合」に改める。
第四條中「市町村農業會貯金」を「農業協同組合貯金」に改める。
第三十二條 蚕糸業法の一部を次のように改正する。
第二十九條中「農業團體」を「農業協同組合及農業協同組合連合会」に改める。
第三十三條 郵便貯金法の一部を次のように改正する。
第四條第三号中「市町村農業會、道府縣農業會、全國農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十四條 金融緊急措置令の一部を次のように改正する。
第八條中「地方農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十五條 所得税法の一部を次のように改正する。
附則第五條第一項中「市町村農業会貯金」を「農業協同組合貯金」に改める。
第三十六條 信託業法の一部を次のように改正する。
第十一條第一項第六号中「市町村農業會」を「農業協同組合」に改める。
第三十七條 製糸業法の一部を次のように改正する。
第一條第二項中「市町村農業會、道府縣農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十八條 昭和十五年法律第九十二号の一部を次のように改正する。
第二條中「市町村農業會、道府縣農業會」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十九條 この法律施行の際現に存する農業團体、農事実行組合、生糸輸出業組合及び養蚕実行組合については、第十五條乃至前條の規定にかかわらず、この法律施行後でも、なお從前の例による。
第四十條 この法律施行前(第一條第二項の農業團体については、同項の規定により効力を有する農業團体法の失効前)にした行爲に対する罰則の適用については、この法律施行後(同項の農業團体については、同項の規定により効力を有する農業團体法の失効後)でも、なお從前の例による。
附 則
この法律施行の期日は、公布の日から一箇月以内に政令でこれを定める。但し、第二條の規定は、公布の日から、これを施行する。
大藏大臣 栗栖赳夫
司法大臣 鈴木義男
農林大臣臨時代理 内閣総理大臣 片山哲
逓信大臣 三木武夫
内閣総理大臣 片山哲
農業協同組合法の制定に伴う農業団体の整理等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十一月十九日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百三十三号
第一条 農業団体法及び蚕糸業組合法は、これを廃止する。
この法律施行の際現に存する市町村農業会、都道府県農業会及び全国農業会(以下農業団体と総称する。)並びに生糸輸出業組合及び養蚕実行組合については、前項に掲げる法律は、この法律施行後でも、なおその効力を有する。
前項の農業団体、生糸輸出業組合及び養蚕実行組合でこの法律施行の日から八箇月を経過した時に現に存するもの(清算中のものを除く。)は、その時に解散する。
行政庁は、必要があると認めるときは、何時でも第二項の農業団体又は養蚕実行組合に対し、解散を命ずることができる。この場合には、当該農業団体又は養蚕実行組合は、当該命令に因つて解散する。
第二項の農業団体で第三項の期間満了までに金融機関再建整備法第三十四条第二項の規定により新勘定及び旧勘定の区分の消滅しないものについては、第三項の規定を適用しない。
前項の農業団体は、同項の区分の消滅があつたときは、遅滞なく解散の議決をしなければならない。
第五項の農業団体は、第三項の期間満了の後は、その事業を行うことができない。
主務大臣は、第五項の農業団体に対し、その財産の処分、保全その他管理に関し必要な命令又は処分をすることができる。
主務大臣は、第六項の規定による解散の議決及び第三項、第四項又は第六項の規定による解散に因る清算の結了を農業団体に速かにさせることに関し責任があるものとする。
第二条 農業団体は、行政庁の認可を受けなければ、その資産を処分してはならない。但し、通常の業務として行う処分は、この限りでない。
前項の規定施行前に農業団体のした資産の処分に関する契約で同項の規定施行の日までに当該契約に係る資産の引渡又は代金の受領のいずれかが完了しているものについては、同項の規定を適用しない。
第一項の規定に違反する処分は、これを無効とする。
第一項の規定施行前に農業団体のした資産の処分に関する契約に係る資産の引渡及び代金の受領につき、同項の規定施行の日から二箇月以内に同項の認可がなかつたときは、当該契約は、解除されたものとみなす。
農業団体が第一項の規定に違反してその資産を処分したときは、その行為をした農業団体の代表者又は代理人、使用人、その他の従業者は、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
第三条 農業協同組合及び農業協同組合連合会は、農業団体の会員となることができない。
都道府県農業会又は全国農業会は、農業協同組合又は農業協同組合連合会に、その施設を利用させることができる。
第四条 農業団体の財産の分配は、各会員に平等にその持分に応じてこれをしなければならない。
第五条 市町村農業会の会員たる者の一部を組合員とする農業協同組合は、行政庁の認可を受けて、当該市町村農業会に対し、その財産の分割を請求することができる。
前項の場合には、市町村農業会の財産は、当該市町村農業会の会員の持分の総額のうち、当該市町村農業会の会員で同項の農業協同組合の組合員たるものの持分の総額の占める割合に応じて当該農業協同組合に帰属する。
前項の場合における市町村農業会の会員の地位及び持分その他前二項の規定施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
金融機関再建整備法第三十四条第二項の規定により新勘定及び旧勘定の区分の消滅しない市町村農業会については、前三項の規定は、これを適用しない。
第六条 市町村農業会の会員たる者の一部を組合員とする農業協同組合は、行政庁の認可を受けて、当該市町村農業会に対し、その資産の譲渡又は債務の引受に関する協議を求めることができる。
前項の場合において協議が調わないときは、行政庁は、当事者又はその一方の申請に因り、当事者の意見を聴き、当該市町村農業会に対し、譲渡の条件を定めてその資産の譲渡を命ずることができる。
前二項の規定により市町村農業会の譲渡する資産の額の当該市町村農業会の資産の総額に対する割合は、当該市町村農業会の会員の持分の総額のうち、当該市町村農業会の会員で当該農業協同組合の組合員たるものの持分の額の占める割合を超えてはならない。
第一項の規定による認可又は第二項の規定による命令の取消又は変更を求める訴は、当該認可又は命令を受けた日から一箇月を経過したときは、これを提起することができない。
第二項乃至前項に規定するものの外、第一項の規定施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
第七条 命令で定める農業協同組合連合会は、行政庁の認可を受けて、都道府県農業会又は全国農業会に対し、その資産の譲渡又は債務の引受に関する協議を求めることができる。
前項の場合には、前条第二項、第四項及び第五項の規定を準用する。
第八条 この法律施行の際現に存する農業団体は、この法律施行後二箇月以内に総会を招集しなければならない。
前項の総会の招集は、少くとも会日から十日前までに会議の目的たる事項、日時及び場所を公告してこれをしなければならない。
第一項の総会は、会員の三分の二以上の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
行政庁は、第一項の農業団体の理事又は清算人に対し、前項の規定する会員の出席を得るため必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
第一項の総会の招集があつた場合において、第三項の規定する会員の出席がないときは、農業団体は、第一項の期間経過後でも、第三項に規定する会員の出席があるまで総会を招集しなければならない。この場合には、第二項乃至前項の規定を準用する。
前項の規定は、第一条第三項、第四項及び第六項の規定の適用を妨げない。
第九条 前条第一項の農業団体の理事又は清算人は、同項又は同条第五項の総会の会日から一週間前までに事業報告書及び財産目録を監事に提出し、且つ、その総会に監事の意見書とともにこれらの書類を提出してその承認を求めなければならない。
前項の理事又は清算人は、同項の総会において、農業協同組合法及びこの法律に関し詳細な報告をしなければならない。
第一項の総会においては、資産処理委員会の委員を選任しなければならない。
前項の委員の定数は、五人乃至九人とし、少くともその四分の三は、農業協同組合法第九条第一項に規定する農民でなければならない。
第一項の農業団体の理事又は清算人は、第五条の規定による財産の分割並びに第六条又は第七条の規定による資産の譲渡(第六条第二項及びその準用規定の場合にあつては、行政庁に述べるべき意見)及び債務の引受については、資産処理委員会の意見を聴き、これに従わなければならない。但し、総会の決議に違反することができない。
第十条 第五条第二項の規定により市町村農業会の財産のうち農業協同組合に帰属した財産の価額は、特別法人税法による剰余金の計算上、当該農業協同組合の益金及び当該市町村農業会の損金にこれを算入しない。
第十一条 農業協同組合又は農業協同組合連合会が第五条、第六条又は第七条の規定により農業団体から不動産又は船舶に関する権利を承継する場合において、その取得につき登記を受けるときは、その登録税の額は、不動産又は船舶の価格の千分の四とする。但し、登録税法により算出した登録税の額がこの法律により算出した税額より少いときは、その額による。
農業協同組合が農事実行組合又は養蚕実行組合から不動産に関する権利を承継する場合において、その取得につき登記を受けるときも、また前項と同様とする。
第十二条 農業協同組合法施行の際現にその名称中に農業協同組合又は農業協同組合連合会なる文字を用いている者は、同法施行後三箇月以内に、その名称を変更しなければならない。
農業協同組合法第百二条の規定は、前項の期間内は、これを同項の者に適用しない。
第十三条 農業協同組合及び農業協同組合連合会は、金融機関再建整備法第二十六条第二項、第四十条第一項又は第四十一条第一項若しくは第二項の規定の適用に関しては、これをこれらの規定に定める他の金融機関とみなす。
都道府県農業会は、金融機関再建整備法第四十条第一項又は第四十一条第一項若しくは第二項の規定により、政令で定める金融に関する事業を譲り渡す場合には、同法第四十二条第一項の規定にかかわらず、新勘定及び旧勘定の区分消滅前における農林中央金庫をその譲渡の相手方として選ぶことができる。
前項の場合において、農林中央金庫は、金融機関再建整備法第四十二条第一項の規定にかかわらず、前項に規定する事業を譲り受けることができる。
第十四条 産業組合法の一部を次のように改正する。
第十条ノ二第一項中「農事実行組合、養蚕実行組合其ノ他」を削る。
第十条ノ三及第十条ノ四 削除
第七十六条第二項中「市町村農業会、道府県農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
改正前の産業組合法第十条ノ三の規定により設立され、この法律施行の際現に存する農事実行組合については、改正前の産業組合法中農事実行組合に関する規定は、この法律施行後でも、なおその効力を有する。
前項の農事実行組合については、第一条第三項及び第四項の規定を準用する。
第十五条 印紙税法の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十一号中「市町村農業会、道府県農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に、同項第十二号中「道府県農業会、全国農業会」を「農業協同組合連合会」に改める。
第五条第六号中「市町村農業会」を「農業協同組合」に、同条第九号中「市町村農業会、道府県農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第十六条 牧野法の一部を次のように改正する。
第二条ノ二第一項中「又ハ馬匹組合連合会」を「、馬匹組合連合会、農業協同組合又ハ農業協同組合連合会」に改める。
第九条及び第二十五条中「馬匹組合連合会」の下に「、農業協同組合、農業協同組合連合会」を加える。
第二十七条中「若ハ馬匹組合連合会」を「、馬匹組合連合会、農業協同組合若ハ農業協同組合連合会」に改める。
第十七条 登録税法の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「農業団体」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に、「農業団体法」を「農業協同組合法」に改める。
同条第十五号及び第十六号中「市町村農業会」を「農業協同組合」に改める。
第十八条 特別法人税法の一部を次のように改正する。
第二条第一号を次のように改める。
一 農業協同組合及農業協同組合連合会(所属ノ組合員、組合又ハ連合会ヲシテ出資ヲ為サシメザルモノヲ除ク)
第十九条 貯蓄銀行法の一部を次のように改正する。
第五条第四号及び第五号中「市町村農業会」を「農業協同組合」に改める。
第二十条 臨時資金調整法の一部を次のように改正する。
第二条中「、道府県農業会」を削り、「ヲ区域トスル信用組合連合会」を「ノ区域又ハ其ノ区域ヲ超ユル区域ヲ地区又ハ区域トスル農業協同組合連合会又ハ産業組合連合会ニシテ信用事業ヲ行フモノ」に改める。
第二十一条 臨時農村負債処理法の一部を次のように改正する。
第十一条第二項中「所属市町村農業会」を「所属農業協同組合」に、「市町村農業会」を「農業協同組合」に改め、「会員若ハ」を削る。
第二十二条 家畜市場法の一部を次のように改正する。
第三条第二項及び第四条中「市町村農業会」を「農業協同組合」に、「道府県農業会」を「農業協同組合連合会」に改める。
第二十三条 農林中央金庫法の一部を次のように改正する。
第二条第三項中「道府県農業会」を「農業協同組合連合会」に改める。
第五条第一項中「全国農業会、道府県農業会、市町村農業会」を「農業協同組合連合会、農業協同組合」に改める。
第二十四条 農林中央金庫特別融通及損失補償法の一部を次のように改正する。
第一条中「所属道府県農業会、所属市町村農業会」を「所属農業協同組合連合会、所属農業協同組合」に改める。
第二十五条 農業団体自治監査法の一部を次のように改正する。
「農業団体自治監査法」を「農業協同組合自治監査法」に、「農業団体監査連合会」を「農業協同組合監査連合会」に、「農業団体監査員」を「農業協同組合監査員」に改める。
第一条第一項中「農業団体」を「農業協同組合及農業協同組合連合会」に、同条第二項中「及」を「又ハ」に、「農業団体」を「農業協同組合又ハ農業協同組合連合会」に改める。
第二条第三項、第四条第三項、第五条及び第九条第一項中「農業団体」を「農業協同組合又ハ農業協同組合連合会」に改める。
第二十六条 農村負債整理組合法の一部を次のように改正する。
第八条第一項中「市町村農業会」を「農業協同組合」に改める。
第二十七条 農村負債整理資金特別融通及損失補償法の一部を次のように改正する。
第一条第二項中「所属市町村農業会」を「所属農業協同組合」に、「市町村農業会」を「農業協同組合」に改め、「会員若ハ」を削る。
第二十八条 農業保険法の一部を次のように改正する。
第一条中「市町村農業会」を「農業協同組合」に改める。
第十六条及び第五十三条中「市町村農業会及養蚕実行組合」を「農業協同組合」に改める。
第二十九条 農業動産信用法の一部を次のように改正する。
第三条及び第四条中「市町村農業会」を「農業協同組合」に改める。
第十二条中「農事実行組合、養蚕実行組合」を「農業協同組合」に、「市町村農業会」を「其ノ所属スル農業協同組合」に改める。
第三十条 農業倉庫業法の一部を次のように改正する。
第一条第一項第二号中「市町村農業会、道府県農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第四条第一項中「市町村農業会」を「農業協同組合」に、同条第二項中「道府県農業会」を「農業協同組合連合会」に改める。
第五条中「市町村農業会若ハ道府県農業会」を「農業協同組合若ハ農業協同組合連合会」に、「農業団体法」を「農業協同組合法」に改める。
第十九条中「市町村農業会、道府県農業会、全国農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第二十条中「道府県農業会、全国農業会」を「農業協同組合連合会」に改める。
第二十一条第一項中「道府県農業会、全国農業会」を「農業協同組合連合会」に、「農業団体法」を「農業協同組合法」に、同条第二項中「道府県農業会若ハ全国農業会」を「農業協同組合連合会」に、「市町村農業会、道府県農業会、全国農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十一条 国民貯蓄組合法の一部を次のように改正する。
第一条及び第二条中「市町村農業会」を「農業協同組合」に改める。
第四条中「市町村農業会貯金」を「農業協同組合貯金」に改める。
第三十二条 蚕糸業法の一部を次のように改正する。
第二十九条中「農業団体」を「農業協同組合及農業協同組合連合会」に改める。
第三十三条 郵便貯金法の一部を次のように改正する。
第四条第三号中「市町村農業会、道府県農業会、全国農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十四条 金融緊急措置令の一部を次のように改正する。
第八条中「地方農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十五条 所得税法の一部を次のように改正する。
附則第五条第一項中「市町村農業会貯金」を「農業協同組合貯金」に改める。
第三十六条 信託業法の一部を次のように改正する。
第十一条第一項第六号中「市町村農業会」を「農業協同組合」に改める。
第三十七条 製糸業法の一部を次のように改正する。
第一条第二項中「市町村農業会、道府県農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十八条 昭和十五年法律第九十二号の一部を次のように改正する。
第二条中「市町村農業会、道府県農業会」を「農業協同組合、農業協同組合連合会」に改める。
第三十九条 この法律施行の際現に存する農業団体、農事実行組合、生糸輸出業組合及び養蚕実行組合については、第十五条乃至前条の規定にかかわらず、この法律施行後でも、なお従前の例による。
第四十条 この法律施行前(第一条第二項の農業団体については、同項の規定により効力を有する農業団体法の失効前)にした行為に対する罰則の適用については、この法律施行後(同項の農業団体については、同項の規定により効力を有する農業団体法の失効後)でも、なお従前の例による。
附 則
この法律施行の期日は、公布の日から一箇月以内に政令でこれを定める。但し、第二条の規定は、公布の日から、これを施行する。
大蔵大臣 栗栖赳夫
司法大臣 鈴木義男
農林大臣臨時代理 内閣総理大臣 片山哲
逓信大臣 三木武夫
内閣総理大臣 片山哲