朝鮮総督府地方官官制
法令番号: 勅令第三百五十七號
公布年月日: 明治43年9月30日
法令の形式: 勅令
朕朝鮮總督府地方官官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年九月二十九日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
勅令第三百五十七號
朝鮮總督府地方官官制
第一條 朝鮮ニ左ノ道ヲ置ク
京畿道
忠淸北道
忠淸南道
全羅北道
全羅南道
慶尙北道
慶尙南道
黃海道
平安南道
平安北道
江原道
咸鏡南道
咸鏡北道
道ノ位置及管轄區域ハ朝鮮總督之ヲ定ム
第二條 各道ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 勅任
參與官 一人 勅任又ハ奏任
事務官 奏任
通譯官 奏任
技師 奏任
技手
通譯生
判任
長官ハ當分ノ內奏任ト爲スコトヲ得
第三條 各道ヲ通シテ事務官ハ專任二十六人、技師ハ專任六人、書記技手及通譯生ハ專任四百二十三人トス
通譯官ハ道ノ須要ニ依リ俸給豫算定額內ニ於テ之ヲ置ク
第四條 各道ニ於ケル事務官、通譯官、技師、書記、技手及通譯生ノ定員ハ朝鮮總督之ヲ定ム
第五條 道長官ハ朝鮮總督ニ隸シ法令ヲ執行シ管內ノ行政事務ヲ管理シ所屬官吏ヲ指揮監督ス
道長官ハ道行政ノ執行ニ關シ管內ノ警察官ヲ使用スルコトヲ得
道長官ハ地方警察事務ニ關シ道警務部長ヲシテ必要ナル命令ヲ發セシメ又ハ之ニ對シ必要ナル處分ヲ命スルコトヲ得
第六條 道長官ハ管內ノ行政事務ニ關シ職權又ハ委任ノ範圍內ニ於テ道令ヲ發スルコトヲ得
第七條 道長官ハ府尹又ハ郡守ノ命令又ハ處分ニシテ制規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第八條 道長官ハ安寧秩序ヲ保持スル爲兵力ヲ要スルトキハ之ヲ朝鮮總督ニ具狀スヘシ但シ非常急變ノ場合ニ際シテハ直ニ當該地方駐在軍隊ノ司令官ニ出兵ヲ要求スルコトヲ得
第九條 道長官事故アルトキハ內務部長タル事務官其ノ職務ヲ代理ス
第十條 道長官ハ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ府尹又ハ郡守ニ委任スルコトヲ得
第十一條 參與官ハ道長官ノ諮問ニ應シ又ハ臨時命ヲ承ケ事務ニ服ス
第十二條 各道ニ長官官房、內務部及財務部ヲ置ク
官房及各部ノ事務分掌ハ朝鮮總督之ヲ定ム
第十三條 內務部長及財務部長ハ事務官ヲ以テ之ニ充ツ
內務部長及財務部長ハ道長官ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十四條 部長ニ非サル事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ道務ヲ掌ル
第十五條 通譯官ハ上官ノ命ヲ承ケ通譯ヲ掌ル
技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十六條 書記、技手及通譯生ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務、技術及通譯ニ從事ス
第十七條 各道ニ府及郡ヲ置ク
府及郡ノ名稱、位置及管轄區域ハ朝鮮總督之ヲ定ム
第十八條 各府郡ニ左ノ職員ヲ置ク
府尹又ハ郡守 奏任
書記
通譯生
判任
府ニ事務官及通譯官ヲ置クコトヲ得
府事務官及府通譯官ハ奏任トス
第十九條 各府ヲ通シテ事務官及通譯官ハ專任四人、各府郡ヲ通シテ書記及通譯生ハ專任二千二十二人トス
第二十條 各府郡ニ於ケル事務官、通譯官、書記及通譯生ノ定員ハ朝鮮總督之ヲ定ム
第二十一條 府尹又ハ郡守ハ道長官ノ指揮監督ヲ承ケ法令ヲ執行シ管內ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
府事務官ハ府尹ノ命ヲ承ケ府務ヲ掌ル
府通譯官ハ上官ノ命ヲ承ケ通譯ヲ掌ル
第二十二條 書記、技手及通譯生ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務、技術及通譯ニ從事ス
第二十三條 各道及各府郡ニ參事ヲ置クコトヲ得
參事ノ定員ハ朝鮮總督之ヲ定ム
參事ハ道、府郡管轄內ニ居住シ學識名望アル者ニ就キ朝鮮總督ノ認可ヲ受ケ道長官之ヲ命ス
第二十四條 參事ハ名譽職トス道長官又ハ府尹、郡守ノ諮問ニ應スルモノトス
參事ニハ朝鮮總督ノ定ムル所ニ依リ手當ヲ給スルコトヲ得
第二十五條 各府郡ニ面ヲ置ク
面ニ面長ヲ置ク判任官ノ待遇トス府尹又ハ郡守ノ指揮監督ヲ承ケ面內ノ行政事務ヲ補助執行ス面及面長ニ關スル規程ハ朝鮮總督之ヲ定ム
第二十六條 各道ニ慈惠醫院ヲ附置ス
慈惠醫院ハ疾病ノ診療ニ關スル事ヲ掌リ兼ネテ總督ノ指定ニ依リ醫師ノ養成ニ關スル事ヲ掌ル各醫院ニ左ノ職員ヲ置ク
院長
醫員 奏任又ハ判任
書記
助手
通譯生
判任
各醫院ヲ通シテ醫員ハ專任二十八人、書記助手及通譯生ハ專任四十一人トス
各醫院ニ於ケル醫員、書記、助手及通譯生ノ定員ハ朝鮮總督之ヲ定ム
第二十七條 院長ハ醫員ヲ以テ之ニ充ツ道長官ノ指揮監督ヲ承ケ院務ヲ掌理シ部下ノ職員ヲ監督ス
第二十八條 醫員ハ院長ノ指揮ヲ承ケ醫務及醫育ヲ掌ル
書記、助手及通譯生ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務、醫務及通譯ニ從事ス
附 則
本令ハ明治四十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕朝鮮総督府地方官官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年九月二十九日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
勅令第三百五十七号
朝鮮総督府地方官官制
第一条 朝鮮ニ左ノ道ヲ置ク
京畿道
忠清北道
忠清南道
全羅北道
全羅南道
慶尚北道
慶尚南道
黄海道
平安南道
平安北道
江原道
咸鏡南道
咸鏡北道
道ノ位置及管轄区域ハ朝鮮総督之ヲ定ム
第二条 各道ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 勅任
参与官 一人 勅任又ハ奏任
事務官 奏任
通訳官 奏任
技師 奏任
技手
通訳生
判任
長官ハ当分ノ内奏任ト為スコトヲ得
第三条 各道ヲ通シテ事務官ハ専任二十六人、技師ハ専任六人、書記技手及通訳生ハ専任四百二十三人トス
通訳官ハ道ノ須要ニ依リ俸給予算定額内ニ於テ之ヲ置ク
第四条 各道ニ於ケル事務官、通訳官、技師、書記、技手及通訳生ノ定員ハ朝鮮総督之ヲ定ム
第五条 道長官ハ朝鮮総督ニ隷シ法令ヲ執行シ管内ノ行政事務ヲ管理シ所属官吏ヲ指揮監督ス
道長官ハ道行政ノ執行ニ関シ管内ノ警察官ヲ使用スルコトヲ得
道長官ハ地方警察事務ニ関シ道警務部長ヲシテ必要ナル命令ヲ発セシメ又ハ之ニ対シ必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得
第六条 道長官ハ管内ノ行政事務ニ関シ職権又ハ委任ノ範囲内ニ於テ道令ヲ発スルコトヲ得
第七条 道長官ハ府尹又ハ郡守ノ命令又ハ処分ニシテ制規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ処分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第八条 道長官ハ安寧秩序ヲ保持スル為兵力ヲ要スルトキハ之ヲ朝鮮総督ニ具状スヘシ但シ非常急変ノ場合ニ際シテハ直ニ当該地方駐在軍隊ノ司令官ニ出兵ヲ要求スルコトヲ得
第九条 道長官事故アルトキハ内務部長タル事務官其ノ職務ヲ代理ス
第十条 道長官ハ其ノ職権ニ属スル事務ノ一部ヲ府尹又ハ郡守ニ委任スルコトヲ得
第十一条 参与官ハ道長官ノ諮問ニ応シ又ハ臨時命ヲ承ケ事務ニ服ス
第十二条 各道ニ長官官房、内務部及財務部ヲ置ク
官房及各部ノ事務分掌ハ朝鮮総督之ヲ定ム
第十三条 内務部長及財務部長ハ事務官ヲ以テ之ニ充ツ
内務部長及財務部長ハ道長官ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十四条 部長ニ非サル事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ道務ヲ掌ル
第十五条 通訳官ハ上官ノ命ヲ承ケ通訳ヲ掌ル
技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十六条 書記、技手及通訳生ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務、技術及通訳ニ従事ス
第十七条 各道ニ府及郡ヲ置ク
府及郡ノ名称、位置及管轄区域ハ朝鮮総督之ヲ定ム
第十八条 各府郡ニ左ノ職員ヲ置ク
府尹又ハ郡守 奏任
書記
通訳生
判任
府ニ事務官及通訳官ヲ置クコトヲ得
府事務官及府通訳官ハ奏任トス
第十九条 各府ヲ通シテ事務官及通訳官ハ専任四人、各府郡ヲ通シテ書記及通訳生ハ専任二千二十二人トス
第二十条 各府郡ニ於ケル事務官、通訳官、書記及通訳生ノ定員ハ朝鮮総督之ヲ定ム
第二十一条 府尹又ハ郡守ハ道長官ノ指揮監督ヲ承ケ法令ヲ執行シ管内ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
府事務官ハ府尹ノ命ヲ承ケ府務ヲ掌ル
府通訳官ハ上官ノ命ヲ承ケ通訳ヲ掌ル
第二十二条 書記、技手及通訳生ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務、技術及通訳ニ従事ス
第二十三条 各道及各府郡ニ参事ヲ置クコトヲ得
参事ノ定員ハ朝鮮総督之ヲ定ム
参事ハ道、府郡管轄内ニ居住シ学識名望アル者ニ就キ朝鮮総督ノ認可ヲ受ケ道長官之ヲ命ス
第二十四条 参事ハ名誉職トス道長官又ハ府尹、郡守ノ諮問ニ応スルモノトス
参事ニハ朝鮮総督ノ定ムル所ニ依リ手当ヲ給スルコトヲ得
第二十五条 各府郡ニ面ヲ置ク
面ニ面長ヲ置ク判任官ノ待遇トス府尹又ハ郡守ノ指揮監督ヲ承ケ面内ノ行政事務ヲ補助執行ス面及面長ニ関スル規程ハ朝鮮総督之ヲ定ム
第二十六条 各道ニ慈恵医院ヲ附置ス
慈恵医院ハ疾病ノ診療ニ関スル事ヲ掌リ兼ネテ総督ノ指定ニ依リ医師ノ養成ニ関スル事ヲ掌ル各医院ニ左ノ職員ヲ置ク
院長
医員 奏任又ハ判任
書記
助手
通訳生
判任
各医院ヲ通シテ医員ハ専任二十八人、書記助手及通訳生ハ専任四十一人トス
各医院ニ於ケル医員、書記、助手及通訳生ノ定員ハ朝鮮総督之ヲ定ム
第二十七条 院長ハ医員ヲ以テ之ニ充ツ道長官ノ指揮監督ヲ承ケ院務ヲ掌理シ部下ノ職員ヲ監督ス
第二十八条 医員ハ院長ノ指揮ヲ承ケ医務及医育ヲ掌ル
書記、助手及通訳生ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務、医務及通訳ニ従事ス
附 則
本令ハ明治四十三年十月一日ヨリ之ヲ施行ス