身体障害者福祉法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第六十三号
公布年月日: 昭和59年8月7日
法令の形式: 法律
身体障害者福祉法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十九年八月七日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第六十三号
身体障害者福祉法の一部を改正する法律
身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)の一部を次のように改正する。
第二条の見出しを「(自立への努力及び機会の確保)」に改め、同条中「すみやかに」を「その有する能力を活用することにより、」に、「参与」を「参加」に改め、同条に次の一項を加える。
2 すべて身体障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。
第三条第一項中「地方公共団体は」の下に「、前条第二項に規定する理念が具現されるように配慮して」を加え、同条第二項中「国民は」の下に「、社会連帯の理念に基づき」を加え、「参与」を「参加」に改める。
第五条第一項中「 肢体不自由者更生施設、失明者更生施設、ろうあ者更生施設、内部障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者授産施設」を「身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉ホーム、身体障害者授産施設、身体障害者福祉センター」に改める。
第十一条第二項を次のように改める。
2 身体障害者更生相談所は、身体障害者の福祉に関し、主として次の業務を行うものとする。
一 身体障害者に関する相談及び指導のうち、特に専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
二 身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うこと。
三 必要に応じ、補装具の処方及び適合判定を行うこと。
第十六条第二項中「左の」を「次に掲げる」に改め、第三号を削り、第四号を第三号とする。
第十八条第一項中「左の」を「次の」に、「取らなければ」を「採らなければ」に改め、同項第二号中「行なう」を「行う」に、「あつ旋」を「あつせん」に改め、同項第三号中「収容若しくは通所」を「入所」に、「に収容し、若しくは通所させ」を「に入所させ」に、「を収容し、若しくは通所させること」を「の入所」に改め、同項第四号中「の外」を「のほか」に改め、同条第二項中「肢体不自由者更生施設、失明者更生施設、ろうあ者更生施設、内部障害者更生施設」を「身体障害者更生施設」に、「厚生大臣の指定する」を「第二十八条第一項の規定による基準に適合する」に、「を収容し、又は通所させること」を「の入所」に改め、同項第一号中「とる」を「採る」に改め、同項第二号中「収容し、又は通所させること」を「入所」に、「とる」を「採る」に改める。
第十八条の二第一項中「収容し、若しくは通所させ、又は収容し、若しくは通所させること」を「入所させ、又は入所」に改め、同条第二項中「に収容し、又は通所させること」を「への入所」に、「行なう」を「行う」に改める。
第二十五条第一項中「ほうき、はたき、ぞうきんその他」を削る。
第二十九条から第三十条の二までを次のように改める。
(身体障害者更生施設)
第二十九条 身体障害者更生施設は、身体障害者を入所させて、その更生に必要な治療又は指導を行い、及びその更生に必要な訓練を行う施設とする。
(身体障害者療護施設)
第三十条 身体障害者療護施設は、身体障害者であつて常時の介護を必要とするものを入所させて、治療及び養護を行う施設とする。
(身体障害者福祉ホーム)
第三十条の二 身体障害者福祉ホームは、低額な料金で、身体上の障害のため家庭において日常生活を営むのに支障のある身体障害者に対し、その日常生活に適するような居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を供与する施設とする。
第三十条の三及び第三十条の四を削る。
第三十一条中「身体障害者授産施設とは」を「身体障害者授産施設は」に、「収容し、又は通所させて」を「入所させて」に、「且つ」を「かつ」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(身体障害者福祉センター)
第三十一条の二 身体障害者福祉センターは、無料又は低額な料金で、身体障害者に関する各種の相談に応じ、身体障害者に対し、機能訓練、教養の向上、社会との交流の促進及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設とする。
第三十三条中「点字刊行物を盲人の求に応じて閲覧させる」を「点字刊行物及び盲人用の録音物を盲人の利用に供する」に改める。
第三十六条の二中「を収容し、又は通所させること」を「の入所」に改め、同条を第三十六条の三とし、第三十六条の次に次の一条を加える。
(国の支弁)
第三十六条の二 国は、都道府県知事又は市町村長が、第十八条第一項第三号の規定により国の設置する身体障害者更生援護施設に身体障害者の入所を委託した場合におけるその委託後に要する費用を支弁する。
第三十七条中「設置に要する費用」の下に「(身体障害者福祉ホーム及び身体障害者福祉センターの設置に要する費用を除く。)」を加える。
第三十七条の二中「左に」を「次に」に改め、同条第一号中「運営に要する費用」の下に「(身体障害者福祉ホーム及び身体障害者福祉センターの運営に要する費用を除く。)」を加え、同条第三号中「設置に要する費用」の下に「(身体障害者福祉ホーム及び身体障害者福祉センターの設置に要する費用を除く。)」を、「運営に要する費用」の下に「(身体障害者福祉ホーム及び身体障害者福祉センターの運営に要する費用を除く。)」を加える。
第三十八条第四項中「補装具の交付又は」を「身体障害者更生援護施設への入所若しくは入所の委託(国の設置する身体障害者更生援護施設への入所の委託を除く。)が行われた場合又は補装具の交付若しくは」に改め、同条に次の一項を加える。
5 都道府県知事又は市町村長により国の設置する身体障害者更生援護施設への入所の委託が行われた場合においては、主務大臣は、当該身体障害者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる。
第四十六条中「左の」を「次の」に、「三千円」を「十万円」に改める。
第四十七条中「詐欺」を「偽り」に、「六箇月」を「六月」に、「一万円」を「二十万円」に改める。
第四十八条中「基く」を「基づく」に、「三箇月」を「三月」に、「五千円」を「十万円」に改める。
第四十九条の二第二項中「及び第三十五条から第三十六条の二まで」を「、第三十五条から第三十六条の三まで及び第三十八条」に改める。
別表中「身体障害の範囲」を「第四条、第十五条、第十六条関係」に改め、同表第一号中「左に」を「次に」に、「きよう正視力」を「矯正視力」に改め、同表第二号中「左に」を「次に」に、「聴力損失」を「聴力レベル」に、「六〇デシベル」を「七〇デシベル」に、「八〇デシベル」を「九〇デシベル」に、「四〇デシベル」を「五〇デシベル」に改め、同表第三号中「左に」を「次に」に、「又は言語機能」を「、言語機能又はそしやく機能」に、「そう失」を「喪失」に改め、同表第四号中「左に」を「次に」に、「ゆび」を「指」に、「前各号」を「1から5まで」に、「の外」を「のほか」に改め、同表第五号中「障害」の下に「その他政令で定める障害」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十九年十月一日から施行する。ただし、第三十六条の二を第三十六条の三とし、第三十六条の次に一条を加える改正規定、第三十八条第四項の改正規定、同条に一項を加える改正規定及び第四十九条の二第二項の改正規定は、昭和六十一年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行前にこの法律による改正前の身体障害者福祉法(次条第一項において「旧法」という。)第十六条第二項第三号に該当することを理由に同項の規定によりなされた返還命令については、なお従前の例による。
第三条 この法律の施行の際現に旧法第二十七条第三項の規定による届出をして肢体不自由者更生施設、失明者更生施設、ろうあ者更生施設又は内部障害者更生施設を設置している市町村は、身体障害者更生施設の設置に関し、この法律による改正後の身体障害者福祉法(以下この条において「新法」という。)第二十七条第三項の規定による届出をしたものとみなす。
2 この法律の施行の際現に身体障害者福祉ホーム又は身体障害者福祉センターを設置している市町村は、この法律の施行の日から起算して三月以内に、都道府県知事に新法第二十七条第三項に規定する厚生省令で定める事項を届け出なければならない。
3 前項の規定による届出をしたときは、新法第二十七条第三項の規定による届出をしたものとみなす。
第四条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(児童福祉法の一部改正)
第五条 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の一部を次のように改正する。
第六十三条の四中「収容し、又は通所させる」を「入所させる」に改める。
(社会福祉事業法の一部改正)
第六条 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項第三号中「 肢体不自由者更生施設、失明者更生施設、ろうあ者更生施設、内部障害者更生施設、身体障害者療護施設」を「身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉ホーム」に改め、同条第三項第三号中「補装具製作施設」を「身体障害者福祉センター、補装具製作施設」に改める。
(社会福祉事業法の一部改正に伴う経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に前条の規定による改正前の社会福祉事業法第五十七条第一項の規定による届出をし、又は同条第二項の規定による許可を受けて前条の規定による改正前の同法第二条第二項第三号に規定する肢体不自由者更生施設、失明者更生施設、ろうあ者更生施設又は内部障害者更生施設を経営している者は、身体障害者更生施設を経営する事業に関し、前条の規定による改正後の同法(以下この条において「新事業法」という。)第五十七条第一項の規定による届出をし、又は同条第二項の規定による許可を受けたものとみなす。
2 この法律の施行の際現に身体障害者福祉ホームを経営している社会福祉法人は、この法律の施行の日から起算して三月以内に、当該施設の所在地の都道府県知事に新事業法第五十七条第一項第一号から第四号まで、第六号及び第七号に掲げる事項を届け出なければならない。
3 前項の規定による届出をしたときは、新事業法第五十七条第一項の規定による届出をしたものとみなす。
4 この法律の施行の際現に身体障害者福祉ホームを経営している者であつて、国、都道府県、市町村及び社会福祉法人以外のものについては、この法律の施行の日から起算して三月間は、新事業法第五十七条第二項の規定を適用しない。
5 前項に規定する者が、同項の期間内に当該施設の所在地の都道府県知事に第二項に規定する事項及び新事業法第五十七条第三項に掲げる事項を届け出たときは、同条第二項の規定による許可があつたものとみなす。
6 この法律の施行の際現に身体障害者福祉センターを経営している者であつて、国、都道府県及び市町村以外のものは、この法律の施行の日から起算して三月以内に、当該施設の所在地の都道府県知事に新事業法第六十二条第一項各号に掲げる事項を届け出なければならない。
7 前項の規定による届出をしたときは、新事業法第六十四条第一項の規定による届出をしたものとみなす。
(社会福祉施設職員退職手当共済法の一部改正)
第八条 社会福祉施設職員退職手当共済法(昭和三十六年法律第百五十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第四号中「の規定による指定を受けた 肢体不自由者更生施設、失明者更生施設、ろうあ者更生施設、内部障害者更生施設」を「に規定する身体障害者更生施設」に改める。
(戦傷病者特別援護法の一部改正)
第九条 戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。
第二十条第一項中「若しくは中枢神経機能障害があり、又は政令で定める程度の 肢体不自由の」を「、中枢神経機能障害、肢体不自由その他の政令で定める障害の」に、「行なう」を「行う」に改める。
第二十一条第一項中「若しくは中枢神経機能障害があり、又は政令で定める程後の 肢体不自由の」を「、中枢神経機能障害、肢体不自由その他の政令で定める障害の」に、「義 肢」を「義肢」に改める。
(地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正)
第十条 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和五十五年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一及び別表第二中「 肢体不自由者更生施設で、重度の 肢体不自由者を収容するもの」を「身体障害者更生施設で、重度の肢体不自由者を入所させるもの」に改める。
厚生大臣 渡部恒三
内閣総理大臣 中曽根康弘