(職業安定局及び職業安定事務所)
第六條 労働省職業安定局長は、労働大臣の指揮監督を受け、この法律の施行に関する事項について、職業安定事務所長及び都道府縣知事を指揮監督するとともに、公共職業安定所の指揮監督に関する基準の制定、重要産業に対する労働者募集計画の樹立及び実施、失業対策の企画及び実施、労働力の需要供給を調整するための主要労働力需要供給圈の決定、職業指導及び職業補導に関する政策の樹立その他この法律の施行に関し必要な事務を掌り、所属の職員を指揮監督する。
労働大臣は、必要があると認めるときは、職業安定事務所を設置し、二以上の都道府縣にわたる業務の連絡に当らせ、又は公共職業安定所関係の事務に從事する都道府縣の職員に対し、その技術に関する事務について、適当な指示若しくは助言をさせることができる。
(都道府縣知事の権限)
第七條 都道府縣知事は、労働大臣の指揮監督を受け、この法律の施行に関し、公共職業安定所の業務の連絡統一に関する業務を掌り、所部の職員及び公共職業安定所長を指揮監督する。
(公共職業安定所)
第八條 政府は、職業紹介、職業指導、職業補導、失業保險その他この法律の目的を達成するために必要な事項を行わせるために、無料で公共に奉仕する公共職業安定所を設置する。
公共職業安定所長は、都道府縣知事の指揮監督を受けて、所務を掌理し、所属の職員を指揮監督する。
公共職業安定所の位置、名称、管轄区域、事務取扱の範囲、職員の定員その他公共職業安定所について必要な事項は、労働大臣がこれを定める。
(職員の任用その他の人事)
第九條 公共職業安定所その他の職業安定機関の行う業務を効果あらしめるために、國、都道府縣又は公共職業安定所において、專らこの法律を施行する業務に從事する官吏その他の職員は、労働大臣の定める資格又は経驗を有する者でなければならない。
前項に規定する官吏その他の職員については、職業安定機関に通ずる一定の基準によつて、勤続年数の計算及び補職、給與その他の人事を行い、並びにその意に反して、職業安定機関以外の機関の職に轉じさせることはないものとする。
第一項に規定する國の官吏その他の職員は、労働大臣がこれを任命し、同項に規定する都道府縣及び公共職業安定所の二級官である官吏は、都道府縣知事の内申に基いて、労働大臣がこれを任命し、同項に規定する都道府縣及び公共職業安定所の三級官である官吏その他の職員は、都道府縣知事がこれを任命する。
(連絡委員)
第十條 公共職業安定所の業務を補助させるために、連絡委員を置く。
前二項に定めるものの外、連絡委員について必要な事項は、命令でこれを定める。
(市町村長の職務)
第十一條 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、公共職業安定所長の指示に從い、左の事務を行う。
一 公共職業安定所に直接申し込むことのできない求人又は求職の申込について、これを公共職業安定所に取り次ぐこと。
二 求人者又は求職者の身元等の調査に関し、公共職業安定所から照会があつた場合これを調査すること。
三 公共職業安定所からの求人又は求職に関する通報について、これを周知させること。
(職業安定委員会)
第十二條 公共職業安定所の業務その他この法律の施行に関する重要事項を審議させるために、中央職業安定委員会、都道府縣職業安定委員会及び特別地区職業安定委員会を置く。
労働大臣は、前項に規定する職業安定委員会の外、関係都道府縣知事の申請に基いて必要があると認めるときは、都道府縣内の一部を管轄区域とする地区職業安定委員会を置くことができる。
中央職業安定委員会は、労働大臣の諮問に、特別地区職業安定委員会は、労働大臣又は関係都道府縣知事の諮問に、都道府縣及び地区職業安定委員会は、関係都道府縣知事の諮問に應じて第一項に規定する事項を調査審議する外、必要に應じ、関係行政廳に建議することができる。
公共職業安定所長は、関係がある特別地区職業安定委員会及び地区職業安定委員会に対し、意見を求めることができる。
職業安定委員会は、労働者を代表する者、雇用主を代表する者及び公益を代表する者、各ゝ同数でこれを組織する。
職業安定委員会の委員のうち一名以上は、女子でなければならない。
中央職業安定委員会の委員は、労働大臣がこれを命じ、都道府縣職業安定委員会、特別地区職業安定委員会及び地区職業安定委員会の委員は、関係都道府縣知事が推薦した者について、労働大臣がこれを命ずる。
都道府縣職業安定委員会、特別地区職業安定委員会及び地区職業安定委員会は、一箇月に一回以上、中央職業安定委員会は、三箇月に一回以上、これを招集しなければならない。
職業安定委員会は、必要があると認めるときは、その業務に関する事項について、関係行政廳に、報告を求めることができる。
職業安定委員会の委員には、旅費、日当及び宿泊料を支給するものとする。
前項の旅費、日当及び宿泊料の金額は、両議院の労働委員会の合同審査会の議を経て、國会の議決を得なければならない。その金額を変更するときも同樣とする。
前各項に定めるものの外、職業安定委員会について必要な事項は、命令でこれを定める。
(業務報告の樣式)
第十三條 職業安定局長は、都道府縣及び公共職業安定所が、この法律の規定によつてなす業務報告の樣式を定めなければならない。
都道府縣及び公共職業安定所の業務報告は、前項の樣式に從つて、これをしなければならない。
(労働力の需給に関する調査)
第十四條 職業安定局長は、都道府縣及び公共職業安定所の労働力の需要供給に関する調査報告により、雇用及び失業の状況に関する資料を集め、その研究調査の結果を公表するとともに、研究調査の結果に基いて、労働力の需要供給の調整を図り、以て雇用量を増大することに努めなければならない。
(職業調査及び産業に対する奉仕)
第十五條 職業安定局長は、労働者の募集、選考、配置轉換等に関する問題の処理について、雇用主から指導を求められた場合においては、職業に関する調査の結果に基いて、その処理に必要な資料、方法及び基準を指示し、以て産業の進展に奉仕することに努めなければならない。
職業安定局長は、公共職業安定所に共通して使用されるべき標準職業名を定め、職業解説及び職業分類表を作成しなければならない。