職業安定法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第88号
公布年月日: 昭和24年5月20日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

経済安定九原則の実施と単一為替レートの設定に伴い深刻な失業者の発生が予想される中、失業対策の中核である職業安定機関の業務を刷新・強化する必要がある。具体的には、学生・生徒の職業紹介について公共職業安定所と学校の協力体制を確立し、失業者への職業補導事業(特に身体障害者向け)を整備する。また、非民主的な職業あっせんの弊害を防ぐため、職業紹介事業への監督を強化し、有料職業紹介所を実費と営利に区分する。さらに、失業対策の企画運営や求職者・求人者への無料奉仕業務を政府の業務として明確化し、失業保険委員会を中央職業安定委員会に統合するなど、諸規定を整備する。

参照した発言:
第5回国会 衆議院 労働委員会 第7号

審議経過

第5回国会

衆議院
(昭和24年4月23日)
参議院
(昭和24年4月23日)
衆議院
(昭和24年4月25日)
参議院
(昭和24年4月25日)
衆議院
(昭和24年4月26日)
参議院
(昭和24年4月26日)
衆議院
(昭和24年4月27日)
参議院
(昭和24年4月27日)
衆議院
(昭和24年4月28日)
(昭和24年4月28日)
参議院
(昭和24年5月9日)
(昭和24年5月12日)
(昭和24年5月14日)
衆議院
(昭和24年5月31日)
参議院
(昭和24年6月1日)
職業安定法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月二十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第八十八号
職業安定法の一部を改正する法律
職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。
第四條中第三号を削り、第二号を第四号とし、第四号を第五号とし、以下順次一号ずつ繰り下げ、第一号の次に、次の二号を加える。
二 失業者に対し、職業に就く機会を與えるために、必要な政策を樹立し、その実施に努めること。
三 求職者に対し、迅速に、その能力に適当な職業に就くことをあつ旋するため、及び求人者に対し、その必要とする労働力を充足するために、無料の職業紹介事業を行うこと。
第五條第二項を第四項とし、以下順次二項ずつ繰り下げ、第一項の次に、次の二項を加える。
この法律で無料の職業紹介とは、職業紹介に関し、いかなる名義でも、その手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介をいう。
この法律で有料の職業紹介とは、実費職業紹介及び営利職業紹介をいい、実費職業紹介とは、営利を目的としないで行う職業紹介であつて、職業紹介に関して、実費としての入会金、定期的掛金、手数料その他の料金を徴收するものをいい、営利職業紹介とは、営利を目的として行う職業紹介をいう。
第二章標題中「政府の行う」を「職業安定機関の行う」に改める。
第十條を次のように改める。
(公共船員職業安定所に対する協力)
第十條 公共職業安定所は、公共船員職業安定所の業務について、これに協力しなければならない。
第十一條に、次の一項を加える。
市町村長は、前項の事務に関し、求人者又は求職者から、いかなる名義でも、実費その他の手数料を徴收してはならない。
第十二條第一項中「この法律の施行に関する重要事項」の下に「及び他の法律に基きその権限に属せしめられた事項」を加え、同條第十一項を次のように改める。
前項の旅費、日当及び宿泊料の金額は、一般の政府職員の旅費、日当及び宿泊料の金額に準じ、労働大臣が、これを定める。
第十九條第一項を次のように改める。
公共職業安定所は、求職者に対しては、その能力に適合する職業を紹介し、求人者に対しては、その雇用條件に適合する求職者を紹介するように努めなければならない。
第二章中、第四節を第五節とし、第四節として、次の一節を加える。
第四節 学生若しくは生徒又は学校卒業者の職業紹介
(学生生徒等の職業紹介の原則)
第二十五條の二 公共職業安定所は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一條の規定による学校の学生若しくは生徒又はその学校を卒業した者の職業紹介については、第二節の規定によるの外、学校と協力して、これらの者に対し、労働力の需要供給の状況その他職業に関する情報を提供し、職業選択に必要な助言援助を與え、及び公共職業安定所間の連絡により、これらの者に適当なできるだけ多くの求人を開拓し、その能力に適合した職業にあつ旋するよう努めなければならない。
(公共職業安定所学校間の協力)
第二十五條の三 公共職業安定所長は、学校教育法第一條の規定による学校の学生若しくは生徒又はその学校を卒業した者の職業紹介を円滑に行うため必要があると認めるときは、学校の長の同意を得て、又は学校の長の要請により、その学校の長に、公共職業安定所の業務の一部を分担させることができる。
前項の規定により公共職業安定所長が学校の長に分担させることができる業務は、左の各号に掲げる事項に限られるものとする。
一 求人申込を受理し、且つ、その受理した求人申込を公共職業安定所に連絡すること。
二 求職申込を受理すること。
三 求職者を求人者に紹介すること。
四 職業指導を行うこと。
五 就職後の補導を行うこと。
六 公共職業補導所への入所のあつ旋を行うこと。
第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長は、第十六條及び第十七條の規定にかかわらず、学校の教育課程に適切でない職業に関する求人又は求職の申込は、これを受理しないことができる。
第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長は、公共職業安定所長と協議して、その学校の職員の中から職業安定担当者を定め、これに自己に代つてその業務を担当させ、公共職業安定所との連絡を行わせることができる。
公共職業安定所長は、第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長に対して、職業に関する情報の提供その他学校の長の行う職業紹介に関する業務の執行についての援助を與えるとともに、特に必要があると認めるときは、これに対して、経済上の援助を與えることができる。
第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長は、その業務の執行に関し、職業安定局長が文部大臣の指名する官吏と協議し、この法律の規定に基いて定める基準に從わなければならない。
公共職業安定所長は、第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長が、法令又は前項の基準に違反したときは、その学校の長の行う職業紹介に関する業務を停止させることができる。
前七項の規定は、学校の長が第三十三條の二の規定に基いて無料の職業紹介事業を行う場合には、これを適用しない。
(施行規定)
第二十五條の四 公共職業安定所と学校との間における連絡、援助又は協力に関する方法その他学生若しくは生徒又は学校卒業者の職業紹介に関し必要な事項は、命令で、これを定める。
第二十六條を次のように改める。
(職業補導の原則)
第二十六條 職業補導は、労働力の需要供給の状況に應じて、必要な職業種目について行わなければならない。
職業補導は、公共職業補導所における職業補導及び失業者に職業を與える目的を以て経営される施設における作業訓練として行われる。
この法律の職業補導には、学校教育法に基いて行われる一般職業教育を含まない。
労働大臣は、職業補導の計画を樹立するに当つては、関係教育行政廳の協力を得て、学校の施設の最も有効な活用を図るとともに、学校における職業教育との重複を避けなければならない。
職業補導は、すべて無料とする。
この節の規定は、國がその経費の全部又は一部を負担する職業補導事業について、これを適用する。
第二十六條の次に、次の一條を加える。
(身体障害者に対する職業補導)
第二十六條の二 身体に障害のある者で、職業補導により通常の職業に就くことができると認められるものに対する職業補導は、通常の職業補導を受ける者と共に、これを行う。但し、通常の職業補導を受ける者と共に職業補導を受けることが困難であると認められる者については、その者の能力に適するよう、補導の種目及び方法を選定し、特別の公共職業補導所を設けて、職業補導を行うことができる。
労働大臣は、必要があると認めるときは、前項但書の規定による特別の公共職業補導所を、厚生大臣と協議のうえ、その所管する身体に障害のある者のために経営される更生施設と併設することができる。
労働大臣が必要があると認めるときは、公共職業補導所は、身体に障害のある者の職業補導を行うため、作業義し及び特殊の補助工具の製作及び修理を行うことができる。
第二十七條の見出しを「(公共職業補導所の設置)」に改め、同條第一項を次のように改める。
労働大臣は、前二條の職業補導を行うため、都道府縣知事をして、公共職業補導所を設置して、これを経営せしめるものとする。
第二十七條第二項を第四項とし、同項中「職業補導所」を「公共職業補導所」に、「又は公共團体その他の者に、」を「又は公の機関に限り、」に改め、同條第一項の次に、次の二項を加える。
都道府縣知事は、公の機関に限り、公共職業補導所の経営を委託することができる。
労働大臣は、第二十六條第二項に規定する作業訓練に関する計画をたて、都道府縣知事をして、これを実施せしめるものとする。
第二十八條の見出しを「(負担金等)」に改め、同條第一項を次のように改め、同條第二項中「職業補導所」を「公共職業補導所」に改める。
政府は、前條第一項から第三項までの規定により、都道府縣知事が行う公共職業補導所の設置及び経営並びに作業訓練に要する費用について、法律に基いて、これを負担する。
第二十八條に、次の一項を加える。
政府は、都道府縣知事の行う職業補導が、この法律又はこれに基いて労働大臣の定める基準に違反すると認めたときは、これに対し、負担金の交付を停止し、又はその返還を命ずることができる。
第二十九條第一項中「公共團体その他の者」を「公の機関」に、「職業補導所」を「公共職業補導所その他の職業補導施設」に、同條第二項中「職業補導所」を「公共職業補導所」に改める。
第三十條を次のように改める。
(工場事業場等の行う監督者の訓練に対する援助)
第三十條 労働大臣は、労働基準法に規定する技能者養成を除き、從業員の指導監督に当る者の作業訓練を実施しようとする工場事業場等に対し、技術援助を行うために、特別に訓練された補導員を置き、必要な資料を作製するものとする。
労働大臣は、工場事業場等が、労働基準法に規定する技能者養成を除き、その從業員の労働力を最も有効に発揮させるために、職長、指導員等その從業員の指導監督に当る者に対して、指導監督に必要な知識技能を習得させるための訓練計画をたて、これを実施しようとするときは、その要求に應じ、補導員の派遣、資料の提供等必要な事項について、これを援助しなければならない。
労働大臣は、前項に規定する技術援助について、その一部を都道府縣知事に行わせることができる。
第三十一條中「前五條」を「前六條」に改める。
第三章標題中「政府以外の」を「職業安定機関以外の」に改める。
第三章中第一節を第二節とし、以下順次一節ずつ繰り下げ、第一節として、次の一節を加える。
第一節 通則
(適用範囲)
第三十一條の二 この章の規定は、法律に別段の定のある場合を除く外、職業安定機関以外の者の行う職業紹介、労働者の募集及び労働者供給事業について、これを適用する。
第三十二條を次のように改める。
(有料職業紹介事業)
第三十二條 何人も、有料の職業紹介事業を行つてはならない。但し、美術、音樂、演藝その他特別の技術を必要とする職業に從事する者の職業をあつ旋することを目的とする職業紹介事業について、労働大臣の許可を得て行う場合は、この限りでない。
労働大臣が、前項の許可をなすには、予め、許可申請者についてその資産の状況及び徳性を審査するとともに、中央職業安定委員会に諮問しなければならない。
営利職業紹介事業を行う者は、その事業を開始する前に、第四項の規定による補償の金額に充てるため、労働大臣が、中央職業安定委員会に諮問のうえ定める五万円を超えない金額の保証金を供託しなければならない。
前項の者がこの法律又はこれに基く命令の規定に違反することによつて損害を受けた者は、前項の保証金から、その補償を受ける権利を有する。
実費職業紹介事業又は営利職業紹介事業の許可を受けた者は、それぞれ、労働大臣が、中央職業安定委員会に諮問のうえ、物價廳長官と協議して定める額の許可料を納付しなければならない。
実費職業紹介事業又は営利職業紹介事業を行う者は、それぞれ、労働大臣が、中央職業安定委員会に諮問のうえ、物價廳長官と協議して定める手数料の外、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない。
第一項の許可の有効期間は、一年とする。
第一項の許可の申請手続その他有料の職業紹介事業に関し必要な事項は、命令で、これを定める。
第三十三條第一項を次のように改める。
無料の職業紹介事業を行わうとする者は、第三十三條の二に規定する場合を除き、労働大臣の許可を受けなければならない。
第三十三條の次に、次の三條を加える。
(学校の行う無料職業紹介事業)
第三十三條の二 学校教育法第一條の規定による学校の長は、労働大臣に届け出て、その学生若しくは生徒又はその学校を卒業した者について、無料の職業紹介事業を行うことができる。但し、大学及び高等学校以外の学校の長がその学校を卒業した者について行う職業紹介は、その者がその学校を卒業した後六箇月以内の場合に限るものとする。
前項の規定により無料の職業紹介事業を行う学校の長は、求職者を、その住所又は居所の変更を必要とする就職先に紹介してはならない。但し、労働大臣の許可を受けた場合及び大学の長又は高等学校の長が無料の職業紹介事業を行う場合は、この限りでない。
第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う学校の長は、その学校の職員の中から、職業紹介事業に関する業務を担当する者を定めて、自己に代つてその業務を行わせることができる。
第一項の届出の手続その他学校の長の行う無料の職業紹介事業に関し必要な事項は、命令で、これを定める。
(無料職業紹介事業の取扱範囲の限定)
第三十三條の三 労働大臣は、無料の職業紹介事業を行わうとする者に対し、第三十三條第一項の規定による許可をする場合には、その者が職業紹介事業を行うに当り取り扱うべき職種の範囲その他取扱の範囲を定めることができる。
前條第一項の規定により無料の職業紹介事業を行わうとする学校の長は、その取り扱うべき職業紹介の範囲を定めて、届出をすることができる。
(兼業の禁止)
第三十三條の四 料理店業、飮食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。
第三十四條の見出しを「(準用規定等)」に、同條第一項を次のように改め、同條第二項中「前二條」を「第三十二條から第三十三條の二まで」に改める。
第十六條から第十八條まで、第十九條第一項及び第二十條の規定は、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業について、これを準用する。但し、第三十三條の三第一項の規定により、学働大臣が職業紹介の範囲を定めて許可をした場合及び同條第二項の規定により、学校の長が職業紹介の範囲を定めて届出をした場合においては、第十六條及び第十七條の規定は、その範囲内においてのみ、これを準用するものとする。
第三十六條の見出しを「(直接募集)」に改める。
第四十條中「第三十二條第三項の手数料その他の報償金の外、」を削る。
第四十九條第一項中「許可を受けて」の下に「、又は届出をなして」を加え、同條第二項中「第四十四條の規定」を「第三十二條から第三十三條の二まで、第三十六條、第三十七條及び第四十四條の規定」に、「工場、事業場」を「事業所、事務所」に、「使用者若しくは労働者」を「事業主、使用者、労働者の募集を行う者、労働者の募集に從事する者若しくは労働者」に改める。
第五十條中「許可を受けて」の下に「、又は届出をなして」を加え、同條に、次の一項を加える。
労働大臣は、第三十三條の二第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う学校の長に対し、前項の規定により、事業の停止を命じようとする場合には、予め教育行政廳に通知しなければならない。
第五十一條中「政府以外の者の行う」を「職業安定機関以外の者の行う」に改める。
第五十二條の次に、次の一條を加える。
(業務の周知宣傳)
第五十二條の二 政府は、その行う職業紹介、職業指導、職業補導、失業保險その他この法律の目的を周知宣傳するため、計画を樹立し、これが実施に努めなければならない。
第六十四條第一号中「有料で若しくは営利を目的として」を「有料の」に改める。
第六十五條中第一号を第六号とし、以下順次五号ずつ繰り下げ、同條に、次の五号を加える。
一 第十一條第二項の規定に違反した者
二 第三十二條第六項の規定に違反した者
三 第三十三條の二第一項の規定による届出をしないで、無料の職業紹介事業を行つた者
四 第三十三條の二第二項の規定に違反した者
五 第三十三條の四の規定に違反した者
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律中、「学校の長」には、学校教育法第九十八條の規定により存続する從前の規定による学校の長を、「大学の長」には、同條の規定により存続する大学、高等学校、專門学校及び教員養成諸学校の長を、「高等学校の長」には、同條の規定により存続する中等学校の長を含むものとする。
法務総裁 殖田俊吉
文部大臣 高瀬莊太郎
厚生大臣 林讓治
運輸大臣 大屋晋三
労働大臣 鈴木正文
内閣総理大臣 吉田茂
職業安定法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年五月二十日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第八十八号
職業安定法の一部を改正する法律
職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。
第四条中第三号を削り、第二号を第四号とし、第四号を第五号とし、以下順次一号ずつ繰り下げ、第一号の次に、次の二号を加える。
二 失業者に対し、職業に就く機会を与えるために、必要な政策を樹立し、その実施に努めること。
三 求職者に対し、迅速に、その能力に適当な職業に就くことをあつ旋するため、及び求人者に対し、その必要とする労働力を充足するために、無料の職業紹介事業を行うこと。
第五条第二項を第四項とし、以下順次二項ずつ繰り下げ、第一項の次に、次の二項を加える。
この法律で無料の職業紹介とは、職業紹介に関し、いかなる名義でも、その手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介をいう。
この法律で有料の職業紹介とは、実費職業紹介及び営利職業紹介をいい、実費職業紹介とは、営利を目的としないで行う職業紹介であつて、職業紹介に関して、実費としての入会金、定期的掛金、手数料その他の料金を徴収するものをいい、営利職業紹介とは、営利を目的として行う職業紹介をいう。
第二章標題中「政府の行う」を「職業安定機関の行う」に改める。
第十条を次のように改める。
(公共船員職業安定所に対する協力)
第十条 公共職業安定所は、公共船員職業安定所の業務について、これに協力しなければならない。
第十一条に、次の一項を加える。
市町村長は、前項の事務に関し、求人者又は求職者から、いかなる名義でも、実費その他の手数料を徴収してはならない。
第十二条第一項中「この法律の施行に関する重要事項」の下に「及び他の法律に基きその権限に属せしめられた事項」を加え、同条第十一項を次のように改める。
前項の旅費、日当及び宿泊料の金額は、一般の政府職員の旅費、日当及び宿泊料の金額に準じ、労働大臣が、これを定める。
第十九条第一項を次のように改める。
公共職業安定所は、求職者に対しては、その能力に適合する職業を紹介し、求人者に対しては、その雇用条件に適合する求職者を紹介するように努めなければならない。
第二章中、第四節を第五節とし、第四節として、次の一節を加える。
第四節 学生若しくは生徒又は学校卒業者の職業紹介
(学生生徒等の職業紹介の原則)
第二十五条の二 公共職業安定所は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条の規定による学校の学生若しくは生徒又はその学校を卒業した者の職業紹介については、第二節の規定によるの外、学校と協力して、これらの者に対し、労働力の需要供給の状況その他職業に関する情報を提供し、職業選択に必要な助言援助を与え、及び公共職業安定所間の連絡により、これらの者に適当なできるだけ多くの求人を開拓し、その能力に適合した職業にあつ旋するよう努めなければならない。
(公共職業安定所学校間の協力)
第二十五条の三 公共職業安定所長は、学校教育法第一条の規定による学校の学生若しくは生徒又はその学校を卒業した者の職業紹介を円滑に行うため必要があると認めるときは、学校の長の同意を得て、又は学校の長の要請により、その学校の長に、公共職業安定所の業務の一部を分担させることができる。
前項の規定により公共職業安定所長が学校の長に分担させることができる業務は、左の各号に掲げる事項に限られるものとする。
一 求人申込を受理し、且つ、その受理した求人申込を公共職業安定所に連絡すること。
二 求職申込を受理すること。
三 求職者を求人者に紹介すること。
四 職業指導を行うこと。
五 就職後の補導を行うこと。
六 公共職業補導所への入所のあつ旋を行うこと。
第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長は、第十六条及び第十七条の規定にかかわらず、学校の教育課程に適切でない職業に関する求人又は求職の申込は、これを受理しないことができる。
第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長は、公共職業安定所長と協議して、その学校の職員の中から職業安定担当者を定め、これに自己に代つてその業務を担当させ、公共職業安定所との連絡を行わせることができる。
公共職業安定所長は、第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長に対して、職業に関する情報の提供その他学校の長の行う職業紹介に関する業務の執行についての援助を与えるとともに、特に必要があると認めるときは、これに対して、経済上の援助を与えることができる。
第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長は、その業務の執行に関し、職業安定局長が文部大臣の指名する官吏と協議し、この法律の規定に基いて定める基準に従わなければならない。
公共職業安定所長は、第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長が、法令又は前項の基準に違反したときは、その学校の長の行う職業紹介に関する業務を停止させることができる。
前七項の規定は、学校の長が第三十三条の二の規定に基いて無料の職業紹介事業を行う場合には、これを適用しない。
(施行規定)
第二十五条の四 公共職業安定所と学校との間における連絡、援助又は協力に関する方法その他学生若しくは生徒又は学校卒業者の職業紹介に関し必要な事項は、命令で、これを定める。
第二十六条を次のように改める。
(職業補導の原則)
第二十六条 職業補導は、労働力の需要供給の状況に応じて、必要な職業種目について行わなければならない。
職業補導は、公共職業補導所における職業補導及び失業者に職業を与える目的を以て経営される施設における作業訓練として行われる。
この法律の職業補導には、学校教育法に基いて行われる一般職業教育を含まない。
労働大臣は、職業補導の計画を樹立するに当つては、関係教育行政庁の協力を得て、学校の施設の最も有効な活用を図るとともに、学校における職業教育との重複を避けなければならない。
職業補導は、すべて無料とする。
この節の規定は、国がその経費の全部又は一部を負担する職業補導事業について、これを適用する。
第二十六条の次に、次の一条を加える。
(身体障害者に対する職業補導)
第二十六条の二 身体に障害のある者で、職業補導により通常の職業に就くことができると認められるものに対する職業補導は、通常の職業補導を受ける者と共に、これを行う。但し、通常の職業補導を受ける者と共に職業補導を受けることが困難であると認められる者については、その者の能力に適するよう、補導の種目及び方法を選定し、特別の公共職業補導所を設けて、職業補導を行うことができる。
労働大臣は、必要があると認めるときは、前項但書の規定による特別の公共職業補導所を、厚生大臣と協議のうえ、その所管する身体に障害のある者のために経営される更生施設と併設することができる。
労働大臣が必要があると認めるときは、公共職業補導所は、身体に障害のある者の職業補導を行うため、作業義し及び特殊の補助工具の製作及び修理を行うことができる。
第二十七条の見出しを「(公共職業補導所の設置)」に改め、同条第一項を次のように改める。
労働大臣は、前二条の職業補導を行うため、都道府県知事をして、公共職業補導所を設置して、これを経営せしめるものとする。
第二十七条第二項を第四項とし、同項中「職業補導所」を「公共職業補導所」に、「又は公共団体その他の者に、」を「又は公の機関に限り、」に改め、同条第一項の次に、次の二項を加える。
都道府県知事は、公の機関に限り、公共職業補導所の経営を委託することができる。
労働大臣は、第二十六条第二項に規定する作業訓練に関する計画をたて、都道府県知事をして、これを実施せしめるものとする。
第二十八条の見出しを「(負担金等)」に改め、同条第一項を次のように改め、同条第二項中「職業補導所」を「公共職業補導所」に改める。
政府は、前条第一項から第三項までの規定により、都道府県知事が行う公共職業補導所の設置及び経営並びに作業訓練に要する費用について、法律に基いて、これを負担する。
第二十八条に、次の一項を加える。
政府は、都道府県知事の行う職業補導が、この法律又はこれに基いて労働大臣の定める基準に違反すると認めたときは、これに対し、負担金の交付を停止し、又はその返還を命ずることができる。
第二十九条第一項中「公共団体その他の者」を「公の機関」に、「職業補導所」を「公共職業補導所その他の職業補導施設」に、同条第二項中「職業補導所」を「公共職業補導所」に改める。
第三十条を次のように改める。
(工場事業場等の行う監督者の訓練に対する援助)
第三十条 労働大臣は、労働基準法に規定する技能者養成を除き、従業員の指導監督に当る者の作業訓練を実施しようとする工場事業場等に対し、技術援助を行うために、特別に訓練された補導員を置き、必要な資料を作製するものとする。
労働大臣は、工場事業場等が、労働基準法に規定する技能者養成を除き、その従業員の労働力を最も有効に発揮させるために、職長、指導員等その従業員の指導監督に当る者に対して、指導監督に必要な知識技能を習得させるための訓練計画をたて、これを実施しようとするときは、その要求に応じ、補導員の派遣、資料の提供等必要な事項について、これを援助しなければならない。
労働大臣は、前項に規定する技術援助について、その一部を都道府県知事に行わせることができる。
第三十一条中「前五条」を「前六条」に改める。
第三章標題中「政府以外の」を「職業安定機関以外の」に改める。
第三章中第一節を第二節とし、以下順次一節ずつ繰り下げ、第一節として、次の一節を加える。
第一節 通則
(適用範囲)
第三十一条の二 この章の規定は、法律に別段の定のある場合を除く外、職業安定機関以外の者の行う職業紹介、労働者の募集及び労働者供給事業について、これを適用する。
第三十二条を次のように改める。
(有料職業紹介事業)
第三十二条 何人も、有料の職業紹介事業を行つてはならない。但し、美術、音楽、演芸その他特別の技術を必要とする職業に従事する者の職業をあつ旋することを目的とする職業紹介事業について、労働大臣の許可を得て行う場合は、この限りでない。
労働大臣が、前項の許可をなすには、予め、許可申請者についてその資産の状況及び徳性を審査するとともに、中央職業安定委員会に諮問しなければならない。
営利職業紹介事業を行う者は、その事業を開始する前に、第四項の規定による補償の金額に充てるため、労働大臣が、中央職業安定委員会に諮問のうえ定める五万円を超えない金額の保証金を供託しなければならない。
前項の者がこの法律又はこれに基く命令の規定に違反することによつて損害を受けた者は、前項の保証金から、その補償を受ける権利を有する。
実費職業紹介事業又は営利職業紹介事業の許可を受けた者は、それぞれ、労働大臣が、中央職業安定委員会に諮問のうえ、物価庁長官と協議して定める額の許可料を納付しなければならない。
実費職業紹介事業又は営利職業紹介事業を行う者は、それぞれ、労働大臣が、中央職業安定委員会に諮問のうえ、物価庁長官と協議して定める手数料の外、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない。
第一項の許可の有効期間は、一年とする。
第一項の許可の申請手続その他有料の職業紹介事業に関し必要な事項は、命令で、これを定める。
第三十三条第一項を次のように改める。
無料の職業紹介事業を行わうとする者は、第三十三条の二に規定する場合を除き、労働大臣の許可を受けなければならない。
第三十三条の次に、次の三条を加える。
(学校の行う無料職業紹介事業)
第三十三条の二 学校教育法第一条の規定による学校の長は、労働大臣に届け出て、その学生若しくは生徒又はその学校を卒業した者について、無料の職業紹介事業を行うことができる。但し、大学及び高等学校以外の学校の長がその学校を卒業した者について行う職業紹介は、その者がその学校を卒業した後六箇月以内の場合に限るものとする。
前項の規定により無料の職業紹介事業を行う学校の長は、求職者を、その住所又は居所の変更を必要とする就職先に紹介してはならない。但し、労働大臣の許可を受けた場合及び大学の長又は高等学校の長が無料の職業紹介事業を行う場合は、この限りでない。
第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う学校の長は、その学校の職員の中から、職業紹介事業に関する業務を担当する者を定めて、自己に代つてその業務を行わせることができる。
第一項の届出の手続その他学校の長の行う無料の職業紹介事業に関し必要な事項は、命令で、これを定める。
(無料職業紹介事業の取扱範囲の限定)
第三十三条の三 労働大臣は、無料の職業紹介事業を行わうとする者に対し、第三十三条第一項の規定による許可をする場合には、その者が職業紹介事業を行うに当り取り扱うべき職種の範囲その他取扱の範囲を定めることができる。
前条第一項の規定により無料の職業紹介事業を行わうとする学校の長は、その取り扱うべき職業紹介の範囲を定めて、届出をすることができる。
(兼業の禁止)
第三十三条の四 料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。
第三十四条の見出しを「(準用規定等)」に、同条第一項を次のように改め、同条第二項中「前二条」を「第三十二条から第三十三条の二まで」に改める。
第十六条から第十八条まで、第十九条第一項及び第二十条の規定は、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業について、これを準用する。但し、第三十三条の三第一項の規定により、学働大臣が職業紹介の範囲を定めて許可をした場合及び同条第二項の規定により、学校の長が職業紹介の範囲を定めて届出をした場合においては、第十六条及び第十七条の規定は、その範囲内においてのみ、これを準用するものとする。
第三十六条の見出しを「(直接募集)」に改める。
第四十条中「第三十二条第三項の手数料その他の報償金の外、」を削る。
第四十九条第一項中「許可を受けて」の下に「、又は届出をなして」を加え、同条第二項中「第四十四条の規定」を「第三十二条から第三十三条の二まで、第三十六条、第三十七条及び第四十四条の規定」に、「工場、事業場」を「事業所、事務所」に、「使用者若しくは労働者」を「事業主、使用者、労働者の募集を行う者、労働者の募集に従事する者若しくは労働者」に改める。
第五十条中「許可を受けて」の下に「、又は届出をなして」を加え、同条に、次の一項を加える。
労働大臣は、第三十三条の二第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う学校の長に対し、前項の規定により、事業の停止を命じようとする場合には、予め教育行政庁に通知しなければならない。
第五十一条中「政府以外の者の行う」を「職業安定機関以外の者の行う」に改める。
第五十二条の次に、次の一条を加える。
(業務の周知宣伝)
第五十二条の二 政府は、その行う職業紹介、職業指導、職業補導、失業保険その他この法律の目的を周知宣伝するため、計画を樹立し、これが実施に努めなければならない。
第六十四条第一号中「有料で若しくは営利を目的として」を「有料の」に改める。
第六十五条中第一号を第六号とし、以下順次五号ずつ繰り下げ、同条に、次の五号を加える。
一 第十一条第二項の規定に違反した者
二 第三十二条第六項の規定に違反した者
三 第三十三条の二第一項の規定による届出をしないで、無料の職業紹介事業を行つた者
四 第三十三条の二第二項の規定に違反した者
五 第三十三条の四の規定に違反した者
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律中、「学校の長」には、学校教育法第九十八条の規定により存続する従前の規定による学校の長を、「大学の長」には、同条の規定により存続する大学、高等学校、専門学校及び教員養成諸学校の長を、「高等学校の長」には、同条の規定により存続する中等学校の長を含むものとする。
法務総裁 殖田俊吉
文部大臣 高瀬荘太郎
厚生大臣 林譲治
運輸大臣 大屋晋三
労働大臣 鈴木正文
内閣総理大臣 吉田茂