(基本指針)
第三条 厚生大臣、労働大臣及び文部大臣(労働大臣にあっては次項第三号に揚げる事項のうち病院等に勤務する看護婦等の雇用管理に関する事項並びに同項第五号及び第六号に掲げる事項に、文部大臣にあっては同項第二号に掲げる事項に限る。)は、看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 基本指針に定める事項は、次のとおりとする。
三 病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善(国家公務員及び地方公務員である看護婦等に係るものを除く。次条第一項及び第五条第一項において同じ。)に関する事項
3 基本指針は、看護が国民の保健医療に関し重要な役割を果たしていることにかんがみ、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護婦等を確保し、あわせて当該看護婦等が適切な処遇の下で、自信と誇りを持って心の通う看護を提供することができるように、看護業務の専門性に配慮した適切な看護業務の在り方を考慮しつつ、高度化し、かつ、多様化する国民の保健医療サービスヘの需要に対応した均衡ある看護婦等の確保対策を適切に講ずることを基本理念として定めるものとする。
4 厚生大臣、労働大臣及び文部大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、厚生大臣及び文部大臣にあっては医療関係者審議会の意見を、労働大臣にあっては中央職業安定審議会の意見をそれぞれ聴き、及び都道府県の意見を求めるほか、自治大臣に協議しなければならない。
5 厚生大臣、労働大臣及び文部大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、看護婦等の養成、資質の向上及び就業の促進並びに病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善その他看護婦等の確保を促進するために必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 国は、看護婦等の処遇の改善に努める病院等の健全な経営が確保されるよう必要な配慮をしなければならない。
3 国は、広報活動、啓発活動等を通じて、看護の重要性に対する国民の関心と理解を深め、看護業務に対する社会的評価の向上を図るとともに、看護に親しむ活動(傷病者等に対しその日常生活において必要な援助を行うこと等を通じて、看護に親しむ活動をいう。以下同じ。)への国民の参加を促進することに努めなければならない。
4 地方公共団体は、看護に対する住民の関心と理解を深めるとともに、看護婦等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(病院等の開設者等の責務)
第五条 病院等の開設者等は、病院等に勤務する看護婦等が適切な処遇の下で、その専門知識と技能を向上させ、かつ、これを看護業務に十分に発揮できるよう、病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 病院等の開設者等は、看護に親しむ活動への国民の参加を促進するために必要な協力を行うよう努めなければならない。
(看護婦等の責務)
第六条 看護婦等は、保健医療の重要な担い手としての自覚の下に、高度化し、かつ、多様化する国民の保健医療サービスヘの需要に対応し、自ら進んでその能力の開発及び向上を図るとともに、自信と誇りを持ってこれを看護業務に発揮するよう努めなければならない。
(国民の責務)
第七条 国民は、看護の重要性に対する関心と理解を深め、看護に従事する者への感謝の念を持つよう心がけるとともに、看護に親しむ活動に参加するよう努めなければならない。
(指導及び助言)
第八条 国及び都道府県は、看護婦等の確保を図るため必要があると認めるときは、病院等の開設者等に対し、基本指針に定める事項について必要な指導及び助言を行うものとする。
(雇用福祉事業としての助成)
第九条 政府は、病院等に勤務する看護婦等の福祉の増進を図るため、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十四条の雇用福祉事業として、病院等の開設者等に対して、雇用管理に関する必要な知識の習得のために必要な助成を行うものとする。
(公共職業安定所の職業紹介等)
第十条 公共職業安定所は、就業を希望する看護婦等の速やかな就職を促進するため、雇用情報の提供、職業指導及び就職のあっせんを行う等必要な措置を講ずるものとする。
(看護婦等就業協力員)
第十一条 都道府県は、社会的信望があり、かつ、看護婦等の業務について識見を有する者のうちから、看護婦等就業協力員を委嘱することができる。
2 看護婦等就業協力員は、都道府県の看護婦等の就業の促進その他看護婦等の確保に関する施策及び看護に対する住民の関心と理解の増進に関する施策への協力その他の活動を行う。
(看護婦等確保推進者の設置等)
第十二条 次の各号のいずれかに該当する病院の開設者は、当該病院に看護婦等確保推進者を置かなければならない。
一 その有する看護婦等の員数が、医療法第二十一条第一項第一号の規定に基づく省令の規定によって定められた員数を著しく下回る病院として厚生省令で定めるもの
二 その他看護婦等の確保が著しく困難な状況にあると認められる病院として厚生省令で定めるもの
2 看護婦等確保推進者は、病院の管理者を補佐し、看護婦等の配置及び業務の改善に関する計画の策定その他看護婦等の確保に関する事項を処理しなければならない。
3 医師、歯科医師、保健婦、助産婦、看護婦、看護士その他看護婦等の確保に関し必要な知識経験を有する者として厚生省令で定めるものでなければ、看護婦等確保推進者となることができない。
4 第一項に規定する病院の開設者は、看護婦等確保推進者を置いたときは、その日から三十日以内に、当該病院の所在地を管轄する都道府県知事に、その看護婦等確保推進者の氏名その他厚生省令で定める事項を届け出なければならない。看護婦等確保推進者を変更したときも、同様とする。
5 都道府県知事は、看護婦等確保推進者が第二項に規定する職務を怠った場合であって、当該看護婦等確保推進者に引き続きその職務を行わせることが適切でないと認めるときは、第一項に規定する病院の開設者に対し、期限を定めて、その変更を命ずることができる。
6 都道府県知事は、前項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、第一項に規定する病院の開設者にその理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
(国の開設する病院についての特例)
第十三条 国の開設する病院については、政令で、この章の規定の一部の適用を除外し、その他必要な特例を定めることができる。