職業紹介法
法令番号: 法律第六十一號
公布年月日: 昭和13年4月1日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル職業紹介法改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十一日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
厚生大臣 侯爵 木戶幸一
法律第六十一號
職業紹介法
第一條 政府ハ勞務ノ適正ナル配置ヲ圖ル爲本法ニ依リ職業紹介事業ヲ管掌ス
第二條 何人ト雖モ職業紹介事業ヲ行フコトヲ得ズ
第三條 政府ハ職業紹介事業ニ併セテ職業指導及必要ニ應ジ職業補導其ノ他職業紹介ニ關スル事項ヲ行フモノトス
前項ノ規定ニ依ル職業紹介及職業指導ハ之ヲ無料トス
第四條 政府ハ前條ニ規定スル事業ヲ行フ爲職業紹介所ヲ設置ス
職業紹介所ノ業務ヲ補助セシムル爲職業紹介所ニ聯絡委員ヲ置ク
職業紹介所及聯絡委員ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 市町村長(勅令ヲ以テ指定スル市ニ在リテハ區長)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ職業紹介所ノ業務ノ一部ヲ行フ
第六條 第三條ニ規定スル事業ニ關シ職業紹介委員會ヲ置ク
職業紹介委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條 職業紹介所及聯絡委員ニ關スル費用ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道府縣ヲシテ其ノ一部ヲ負擔セシムルモノトス
地方長官必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ規定ニ依リ道府縣ノ負擔スル費用ノ一部ヲ市町村ヲシテ負擔セシムルコトヲ得
第八條 勞務供給事業ヲ行ハントスル者又ハ勞務者ヲ雇傭スル爲勞務者ノ募集ヲ行ハントスル者ニシテ命令ノ定ムルモノハ地方長官(東京府ニ在リテハ東京府知事及警視總監トス)ノ許可ヲ受クベシ
前項ノ勞務供給事業及勞務者ノ募集ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第二條ノ規定ニ違反シ有料又ハ營利ヲ目的トスル職業紹介事業ヲ行ヒタル者
二 第八條ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズシテ有料又ハ營利ヲ目的トスル勞務供給事業ヲ行ヒタル者
第十條 第八條ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズシテ勞務者ノ募集ヲ行ヒタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ拘留ニ處ス
第十一條 法人又ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ前條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十二條 本法ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條 前二條ノ場合ニ於テハ懲役又ハ拘留ノ刑ニ處スルコトヲ得ズ
第十四條 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ關スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ關スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第十五條 第二條ノ規定ハ主務大臣ノ指定スル職業ノ職業紹介事業ニハ之ヲ適用セズ
前項ノ職業紹介事業ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條 本法ハ船員職業紹介事業ニハ之ヲ適用セズ
附 則
第十七條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 從前ノ規定ニ依リ設置シタル職業紹介所ニ付テハ本法施行ノ日ヨリ一年ヲ限リ職業紹介委員會ニ關スル規定ヲ除キ仍從前ノ例ニ依ル
第十九條 地方長官ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前條ノ職業紹介所ノ廢止ヲ命ズルコトヲ得
第二十條 本法施行ノ際現ニ行政官廳ノ許可ヲ受ケ職業紹介所ヲ設置スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當分ノ內無料ノ職業紹介事業ヲ行フコトヲ得
第二十一條 本法施行ノ際現ニ行政官廳ノ許可ヲ受ケ有料又ハ營利ヲ目的トスル職業紹介事業ヲ行フ者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ引續キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ職業紹介事業ノ施設ヲ相續ニ因リ承繼シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官(東京府ニ在リテハ東京府知事及警視總監トス)ノ許可ヲ受ケ其ノ事業ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ相續開始ノ日ヨリ一月以內ニ許可ヲ申請スベシ
前項ノ者ハ前項ノ申請ニ對スル許可又ハ不許可ノ處分アル迄其ノ事業ヲ行フコトヲ得
第二十二條 本法施行ノ際現ニ第八條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ勞務供給事業又ハ勞務者ノ募集ヲ行フ者ハ本法施行後二月以內ニ地方長官(東京府ニ在リテハ東京府知事及警視總監トス)ニ許可ヲ申請スベシ
前項ノ者ハ前項ノ申請ニ對スル許可又ハ不許可ノ處分アル迄其ノ事業又ハ募集ヲ行フコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル職業紹介法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十一日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
厚生大臣 侯爵 木戸幸一
法律第六十一号
職業紹介法
第一条 政府ハ労務ノ適正ナル配置ヲ図ル為本法ニ依リ職業紹介事業ヲ管掌ス
第二条 何人ト雖モ職業紹介事業ヲ行フコトヲ得ズ
第三条 政府ハ職業紹介事業ニ併セテ職業指導及必要ニ応ジ職業補導其ノ他職業紹介ニ関スル事項ヲ行フモノトス
前項ノ規定ニ依ル職業紹介及職業指導ハ之ヲ無料トス
第四条 政府ハ前条ニ規定スル事業ヲ行フ為職業紹介所ヲ設置ス
職業紹介所ノ業務ヲ補助セシムル為職業紹介所ニ連絡委員ヲ置ク
職業紹介所及連絡委員ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 市町村長(勅令ヲ以テ指定スル市ニ在リテハ区長)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ職業紹介所ノ業務ノ一部ヲ行フ
第六条 第三条ニ規定スル事業ニ関シ職業紹介委員会ヲ置ク
職業紹介委員会ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七条 職業紹介所及連絡委員ニ関スル費用ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道府県ヲシテ其ノ一部ヲ負担セシムルモノトス
地方長官必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ規定ニ依リ道府県ノ負担スル費用ノ一部ヲ市町村ヲシテ負担セシムルコトヲ得
第八条 労務供給事業ヲ行ハントスル者又ハ労務者ヲ雇傭スル為労務者ノ募集ヲ行ハントスル者ニシテ命令ノ定ムルモノハ地方長官(東京府ニ在リテハ東京府知事及警視総監トス)ノ許可ヲ受クベシ
前項ノ労務供給事業及労務者ノ募集ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第二条ノ規定ニ違反シ有料又ハ営利ヲ目的トスル職業紹介事業ヲ行ヒタル者
二 第八条ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズシテ有料又ハ営利ヲ目的トスル労務供給事業ヲ行ヒタル者
第十条 第八条ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズシテ労務者ノ募集ヲ行ヒタル者ハ百円以下ノ罰金又ハ拘留ニ処ス
第十一条 法人又ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十二条 本法ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十三条 前二条ノ場合ニ於テハ懲役又ハ拘留ノ刑ニ処スルコトヲ得ズ
第十四条 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ関スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第十五条 第二条ノ規定ハ主務大臣ノ指定スル職業ノ職業紹介事業ニハ之ヲ適用セズ
前項ノ職業紹介事業ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六条 本法ハ船員職業紹介事業ニハ之ヲ適用セズ
附 則
第十七条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 従前ノ規定ニ依リ設置シタル職業紹介所ニ付テハ本法施行ノ日ヨリ一年ヲ限リ職業紹介委員会ニ関スル規定ヲ除キ仍従前ノ例ニ依ル
第十九条 地方長官ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前条ノ職業紹介所ノ廃止ヲ命ズルコトヲ得
第二十条 本法施行ノ際現ニ行政官庁ノ許可ヲ受ケ職業紹介所ヲ設置スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当分ノ内無料ノ職業紹介事業ヲ行フコトヲ得
第二十一条 本法施行ノ際現ニ行政官庁ノ許可ヲ受ケ有料又ハ営利ヲ目的トスル職業紹介事業ヲ行フ者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ引続キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ職業紹介事業ノ施設ヲ相続ニ因リ承継シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官(東京府ニ在リテハ東京府知事及警視総監トス)ノ許可ヲ受ケ其ノ事業ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ相続開始ノ日ヨリ一月以内ニ許可ヲ申請スベシ
前項ノ者ハ前項ノ申請ニ対スル許可又ハ不許可ノ処分アル迄其ノ事業ヲ行フコトヲ得
第二十二条 本法施行ノ際現ニ第八条ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ労務供給事業又ハ労務者ノ募集ヲ行フ者ハ本法施行後二月以内ニ地方長官(東京府ニ在リテハ東京府知事及警視総監トス)ニ許可ヲ申請スベシ
前項ノ者ハ前項ノ申請ニ対スル許可又ハ不許可ノ処分アル迄其ノ事業又ハ募集ヲ行フコトヲ得