道路運送車両法
法令番号: 法律第百八十五号
公布年月日: 昭和26年6月1日
法令の形式: 法律
道路運送車両法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十五号
道路運送車両法
目次
第一章
総則(第一條―第三條)
第二章
自動車の登録(第四條―第三十九條)
第三章
道路運送車両の保安基準(第四十條―第四十六條)
第四章
道路運送車両の整備(第四十七條―第五十七條)
第五章
道路運送車両の検査(第五十八條―第七十六條)
第六章
自動車の整備事業(第七十七條―第九十六條)
第七章
雑則(第九十七條―第百五條)
第八章
罰則(第百六條―第百十二條)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一條 この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証を行い、並びに安全性の確保及び整備についての技術の向上を図り、あわせて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律で「道路運送車両」とは、自動車、原動機付自転車及び軽車両をいう。
2 この法律で「自動車」とは、原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌條若しくは架線を用いないもの又はこれによりけん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、次項に規定する原動機付自転車以外のものをいう。
3 この法律で「原動機付自転車」とは、運輸省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌條若しくは架線を用いないもの又はこれによりけん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具をいう。
4 この法律で「軽車両」とは、人力若しくは畜力により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌條若しくは架線を用いないもの又はこれによりけん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、政令で定めるものをいう。
5 この法律で「運行」とは、人又は物品を運送するとしないとにかかわらず、道路運送車両を当該装置の用い方に従い用いること(道路以外の場所のみにおいて用いることを除く。)をいう。
6 この法律で「道路」とは、道路法(大正八年法律第五十八号)による道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)による自動車道及びその他の一般交通の用に供する場所をいう。
7 この法律で「自動車運送事業者」又は「軽車両運送事業者」とは、道路運送法による自動車運送事業者又は軽車両運送事業者をいう。
(自動車の種別)
第三條 この法律に規定する普通自動車、小型自動車、軽自動車及び特殊自動車の別は、自動車の大きさ及び構造並びに原動機の種類及び総排気量又は定格出力を基準として運輸省令で定める。
第二章 自動車の登録
(登録の一般的効力)
第四條 自動車は、自動車登録原簿に登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
第五條 登録を受けた自動車で、軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものの所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。
(自動車登録原簿)
第六條 自動車登録原簿は、陸運局長が設ける。
2 自動車登録原簿は、一両の自動車につき、一用紙を備える。
(新規登録の申請)
第七條 登録を受けていない自動車の登録(以下「新規登録」という。)を受けようとする場合には、その所有者は、自動車の使用の本拠の位置を管轄する陸運局長に対し、左に掲げる事項を記載した申請書に、運輸省令で定める区分により、第三十三條に規定する譲渡証明書、第二十二條第一項の新規登録用謄本、輸入の事実を証明する書面又は当該自動車の所有権を証明するに足るその他の書面を添えて提出し、且つ、第六十條の規定により交付を受けた自動車検査証及び当該自動車を呈示しなければならない。
一 車名、型式及び形状
二 自動車検査証番号
三 車台番号
四 原動機番号
五 所有者の氏名又は名称及び住所
六 使用の本拠の位置
七 取得の原因
2 陸運局長は、前項の申請をする者に対し、同項に規定するものの外、車台番号又は原動機番号の打刻に関する証明書その他必要な書面の提出を求めることができる。
3 第一項の申請をする場合において、その型式について第七十五條第一項の指定を受けた自動車にあつては、同條第三項の規定に基く完成検査終了証(発行後六箇月を経過しないものに限る。)の提出をもつて当該自動車の呈示に代えることができる。
(新規登録の基準)
第八條 陸運局長は、前條の申請書を受理したときは、左の各号に該当する場合を除き、新規登録をしなければならない。
一 申請者が当該自動車の所有権を有するものと認められないとき。
二 呈示した自動車検査証が有効なものでないとき。
三 当該自動車に打刻されている車台番号及び原動機番号(完成検査終了証の提出をもつて当該自動車の呈示に代えた場合には、完成検査終了証に記載されている車台番号及び原動機番号)が申請書及び自動車検査証に記載されている車台番号及び原動機番号と同一でないとき。
四 その他その申請に係る事項に虚僞があると認めるとき。
(新規登録事項)
第九條 新規登録は、自動車登録原簿に第七條第一項第一号から第六号までに掲げる事項及び新規登録の年月日を記載し、且つ、自動車登録番号を定め、これを自動車登録原簿に記載することによつて行う。
(自動車登録番号の通知)
第十條 陸運局長は、新規登録をしたときは、申請者に対し、自動車登録番号を通知しなければならない。
(自動車登録番号標の封印等)
第十一條 自動車の所有者は、前條の規定による自動車登録番号の通知を受けたときは、当該番号を記載した自動車登録番号標を陸運局長又は第二十六條の自動車登録番号標交付代行者から交付を受け、これを当該自動車に取りつけた上、陸運局長の封印の取りつけを受けなければならない。
2 陸運局長は、その型式について第七十五條第一項の指定を受けた自動車であつて新規登録をうけたものについての前項の封印の取りつけを運輸省令で定める者に委託することができる。
3 何人も、陸運局長又は前項の規定による委託を受けた者が封印の取りつけをした自動車登録番号標は、これを取りはずしてはならない。但し、整備のため特に必要がある場合その他やむを得ない場合において、陸運局長の許可を受けたときは、この限りでない。
4 自動車の所有者は、自動車登録番号標又はその封印が滅失し、き損し、その識別が困難となり、又は第三十九條第二項の規定に基き運輸省令で定める様式に適合しなくなつたときは、陸運局長にこれらの取りはずしを受け、第一項の規定に準じて自動車登録番号標を取りつけ、又は陸運局長の封印の取りつけを受けなければならない。
(変更登録)
第十二條 自動車の所有者は、自動車登録原簿に記載されている形状、自動車検査証番号、車台番号、原動機番号、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、陸運局長の行う変更登録の申請をしなければならない。但し、次條の規定による移転登録、第十四條の規定による登録換又は第十五條の規定によるまつ消登録の申請をすべき場合は、この限りでない。
2 前項の変更登録のうち、車台番号又は原動機番号の変更に係るものについては、第八條第二号から第四号までの規定を、その他の変更に係るものについては、同條第二号及び第四号の規定を準用する。
(移転登録)
第十三條 新規登録を受けた自動車(以下「登録自動車」という。)について所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、陸運局長の行う移転登録の申請をしなければならない。
2 前項の移転登録については、第八條第一号、第二号及び第四号の規定を準用する。
(登録換)
第十四條 登録自動車の所有者は、当該自動車の使用の本拠の位置について、当該自動車登録原簿を設ける陸運局長(本條中「甲陸運局長」という。)の管轄区域内から他の陸運局長(本條中「乙陸運局長」という。)の管轄区域内に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、甲陸運局長に登録換の申請をしなければならない。
2 甲陸運局長は、前項の申請を受理したときは、当該申請書及び当該自動車登録原簿の謄本を、遅滯なく、乙陸運局長に送付しなければならない。この場合において甲陸運局長は、当該自動車登録原簿にその旨を表示しなければならない。
3 乙陸運局長は、前項の送付を受けた場合において、自動車の所有者が乙陸運局長の交付する自動車検査証を呈示したときは、遅滯なく、当該自動車につき自動車登録番号を定め、自動車登録原簿に第九條の規定に準じて、登録換をし、且つ、申請者に対し、自動車登録番号を通知しなければならない。
4 第一項の申請の受理及び前項の登録換をする場合には、第八條第二号及び第四号の規定を準用する。
5 第十一條第一項の規定は、自動車の所有者が第三項の規定により自動車登録番号の通知を受けた場合に準用する。
6 乙陸運局長は、第三項の登録換をした場合には、その旨を甲陸運局長に通報しなければならない。
7 甲陸運局長は、前項の通報を受けた場合には、当該自動車登録原簿を閉鎖しなければならない。
(まつ消登録)
第十五條 登録自動車の所有者は、左に掲げる場合には、その事由があつた日から十五日以内に、まつ消登録の申請をしなければならない。
一 登録自動車が滅失し、解体し(整備又は改造のために解体する場合を除く。)又は自動車の用途を廃止したとき。
二 当該自動車の車台が当該自動車の新規登録の際存したものでなくなつたとき。
2 前項の場合において、登録自動車の所有者がまつ消登録の申請をしないときは、陸運局長は、その定める七日以上の期間内において、これをなすべきことを催告しなければならない。
3 陸運局長は、前項の催告をした場合において、登録自動車の所有者が正当な理由がないのにまつ消登録の申請をしないときは、まつ消登録をし、その旨を所有者に通知しなければならない。
第十六條 登録自動車の所有者は、その自動車を運行の用に供することをやめたときは、まつ消登録の申請をすることができる。
(自動車の登録の検認)
第十七條 登録自動車の所有者は、陸運局長が定めて公示し、又は通知する期間内に、第三項の検認を受けるために、当該自動車及び自動車検査証を陸運局長に呈示しなければならない。
2 登録自動車の所有者で公示又は通知により検認を受けたものは、一年以内に再び検認を受けることを求められることはない。但し、不真正な登録の記載の疑がある者については、この限りでない。
3 陸運局長は、第一項の呈示があつた場合において、左の各号に該当することを検認したときは、自動車登録原簿に検認年月日及び検認済の旨を表示し、且つ、所有者に対し検認票を交付しなければならない。
一 自動車検査証が有効なものであること。
二 当該自動車に打刻されている車台番号及び原動機番号が自動車登録原簿に記載されている車台番号及び原動機番号と同一のものであること。
三 自動車登録番号標に記載されている自動車登録番号が自動車登録原簿に記載されている自動車登録番号と同一のものであること。
4 第一項の呈示をすべき自動車は、同項の期間経過後は、これに検認票を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
(実地審査の委嘱)
第十八條 第七條第一項の申請をする者又は前條第一項の呈示をすべき自動車の所有者が、その申請又は呈示に係る自動車が当該陸運局長(本條中「甲陸運局長」という。)の管轄区域外に所在することによりその呈示が困難である場合その他特にやむを得ない事由がある場合において、甲陸運局長の許可をうけたときは、第七條第一項又は前條第一項の自動車検査証及び自動車の呈示は、他の陸運局長(本條中「乙陸運局長」という。)に対する呈示をもつて代えることができる。
2 甲陸運局長は、前項の許可をしたときは、乙陸運局長にその旨を通報しなければならない。
3 乙陸運局長は、呈示を受けた自動車検査証及び自動車につき、第七條第一項の申請に係るものにあつては第八條第二号から第四号までに掲げる場合に該当するかどうかを審査し、前條第一項の呈示に係るものにあつては同條第三項に準じて審査し、その結果を甲陸運局長に通報しなければならない。
4 甲陸運局長は、第一項の許可に係る自動車登録番号標の封印の取りつけを乙陸運局長に委任することができる。
(自動車登録番号標等の表示の義務)
第十九條 自動車は、第十一條第一項又は第四項の規定により取りつけた自動車登録番号標及び第十七條第四項の規定により表示した検認票を見易いようにして置かなければ、これを運行の用に供してはならない。
(自動車登録番号標の廃棄等)
第二十條 登録自動車の所有者は、左の各号の一に該当するときは、遅滯なく、当該自動車登録番号標及び封印を取りはずし、運輸省令で定める方法により、これを破壊し、若しくは廃棄し、又は陸運局長若しくは第二十六條の自動車登録番号標交付代行者に売却しなければならない。
一 第十四條第三項の規定により自動車登録番号の通知を受けたとき。
二 第十五條第一項又は第十六條の規定によりまつ消登録を受けたとき。
三 第十五條第三項の規定によりまつ消登録のあつた旨の通知を受けたとき。
2 登録自動車の所有者は、第六十九條第一項又は第二項の規定により自動車検査証を返納したときは、遅滯なく、当該自動車登録番号標及び封印を取りはずし、自動車登録番号標について陸運局長の領置を受けなければならない。
3 前項の領置を受けた者が、第六十九條第四項の規定により自動車検査証の返付を受けたとき、又は有効な自動車検査証を有するに至つたときは、陸運局長は、遅滯なく、領置をした自動車登録番号標を返付しなければならない。
4 前項の自動車登録番号標の返付を受けた者は、当該自動車登録番号標を当該自動車に取りつけ、陸運局長の封印の取りつけを受けなければならない。
(自動車登録原簿の保存等)
第二十一條 自動車登録原簿は、閉鎖した場合においては、その日から五年間、まつ消登録をした場合においては、その日から二十年間これを保存しなければならない。
2 自動車登録原簿の登録に係る申請書及びその添付書類は、十年間保存しなければならない。
3 自動車登録原簿は、災害を避ける場合その他やむを得ない場合を除く外、これを陸運局又はその出張所から持ち出すことができない。
(自動車登録原簿の謄本)
第二十二條 まつ消登録を受けた自動車登録原簿の謄本であつて、当該自動車につき新規登録を申請する場合に提出するために請求するもの(以下「新規登録用謄本」という。)は、当該自動車一両につき、一通を限り、まつ消登録を受けた者に交付する。
2 何人も、陸運局長に対し、新規登録用謄本以外の自動車登録原簿の謄本若しくは自動車登録原簿の抄本の交付を請求し、又は利害関係がある部分に限り自動車登録原簿の閲覧を請求することができる。
(自動車登録原簿の滅失)
第二十三條 自動車登録原簿の全部又は一部が滅失した場合における自動車登録原簿の回復に関して必要な事項は、政令で定める。
(自動車登録官)
第二十四條 運輸大臣は、運輸省の職員のうちから自動車登録官を任命し、本章に規定する登録に関する事務につき陸運局長を補助させるものとする。
2 自動車登録官の任命、服務及び研修について必要な事項は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)及びこれに基く人事院規則による外、運輸省令で定める。
(自動車登録番号標交付代行者)
第二十五條 自動車登録番号標を登録自動車の所有者に交付する業を行おうとする者は、事業場ごとに、運輸大臣の指定を受けなければならない。
(禁止行為等)
第二十六條 前條の規定により指定を受けた者(以下「自動車登録番号標交付代行者」という。)は、左の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 第十一條(第十四條第五項において準用する場合を含む。)の規定により自動車登録番号標の交付を受けなければならない者の請求がある場合において、災害その他やむを得ない事由がないのに自動車登録番号標を交付しないこと。
二 前号の者以外の者に自動車登録番号標を交付すること。
2 運輸大臣は、自動車登録番号標交付代行者がこの法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、三箇月以内において期間を定めてその事業の停止を命じ、又はその指定を取り消すことができる。
(自動車登録番号標の交付手数料)
第二十七條 自動車登録番号標交付代行者は、自動車登録番号標の交付につき收受する手数料については、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、自動車登録番号標の交付に要する実費を考慮して、これをしなければならない。
3 自動車登録番号標交付代行者は、第一項の手数料について、事業場において公衆の見易いように掲示しなければならない。
4 第二十條第一項の規定により購入する自動車登録番号標の代価については、第一項及び第三項の規定を準用する。
(標識)
第二十八條 自動車登録番号標交付代行者は、事業場において、公衆の見易いように、運輸省令で定める様式の標識を掲げなければならない。
2 自動車登録番号標交付代行者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲げてはならない。
(車台番号等の打刻)
第二十九條 自動車の製作を業とする者以外の者は、自動車の車台番号又は原動機番号を打刻してはならない。
2 自動車の製作を業とする者が自動車の車台番号又は原動機番号を打刻しようとするときは、その様式、番号、位置及び方法について運輸大臣の指定を受け、その範囲内において、これをしなければならない。
(輸入自動車等の打刻の届出)
第三十條 自動車又はその部分の輸入を業とする者は、自動車又は自動車の車台若しくは原動機を輸入したときは、その都度その車台番号及び原動機番号の様式、番号及び位置を輸入の日から二十日以内に運輸大臣に届け出なければならない。
(打刻の塗まつ等の禁止)
第三十一條 何人も、自動車の車台番号又は原動機番号の打刻を塗まつし、その他車台番号又は原動機番号の識別を困難にするような行為をしてはならない。但し、整備のため特に必要な場合その他やむを得ない場合において、陸運局長の許可を受けたとき、又は次條の規定による命令を受けたときは、この限りでない。
(職権による打刻等)
第三十二條 陸運局長は、自動車が左の各号の一に該当するときは、その所有者に対し、車台番号若しくは原動機番号の打刻を受け、若しくはその打刻を塗まつすべきことを命じ、又は自ら車台番号若しくは原動機番号の打刻を塗まつし、若しくは打刻をすることができる。
一 車台番号又は原動機番号の打刻を有しないとき。
二 当該自動車の車台番号又は原動機番号の打刻が他の自動車の車台番号又は原動機番号の打刻と類似のものであるとき。
三 当該自動車の車台番号又は原動機番号の打刻が識別困難なものであるとき。
(譲渡証明書等)
第三十三條 自動車を譲渡する者は、左に掲げる事項を記載した譲渡証明書及び新規登録用謄本(まつ消登録があつた自動車を譲渡する場合に限る。)を譲受人に交付しなければならない。
一 譲渡の年月日
二 車名、型式及び形状
三 車台番号及び原動機番号
四 譲渡人及び譲受人の氏名又は名称及び住所
2 前項の譲渡証明書は、譲渡に係る自動車一両につき、二通以上交付してはならない。
3 自動車を譲渡する者は、当該自動車に関して既に交付を受けている第一項の譲渡証明書を有するときは、これを譲受人に交付しなければならない。
(臨時運行の許可)
第三十四條 自動車は、臨時運行の許可を受けたものである場合には、第四條の規定にかかわらず、これを次條第五項の目的及び経路に限り、運行の用に供することができる。
2 前項の臨時運行の許可は、陸運局長、市及び特別区の長並びに政令で定める町村の長(「行政庁」という。次條において同じ。)が行う。
(許可基準等)
第三十五條 前條の臨時運行の許可は、当該自動車の試運転を行う場合、第七條第一項及び第五十九條第一項の呈示のための回送を行う場合その他特に必要がある場合に限り、行うことができる。
2 臨時運行の許可は、有効期間を附して行う。
3 前項の有効期間は、五日をこえてはならない。但し、長期間を要する回送の場合その他特にやむを得ない場合は、この限りでない。
4 行政庁は、臨時運行の許可をしたときは、臨時運行許可証を交付し、且つ、臨時運行許可番号標を貸與しなければならない。
5 前項の臨時運行許可証には、臨時運行の目的及び経路並びに第二項の有効期間を記載しなければならない。
6 臨時運行の許可を受けた者は、第二項の有効期間が満了したときは、その日から五日以内に、当該行政庁に臨時運行許可番号標を返納しなければならない。
(臨時運行許可番号標表示等の義務)
第三十六條 臨時運行の許可に係る自動車は、臨時運行許可番号標を見易いように表示し、且つ、臨時運行許可証を携帶する者でなければ、これを運行の用に供してはならない。
2 第十九條の規定は、臨時運行の許可に係る自動車には適用しない。
(異議の申立)
第三十七條 本章の規定により陸運局長の行う登録について不服がある者は、当該陸運局長に異議の申立をすることができる。
(異議の決定)
第三十八條 陸運局長は、前條の異議の申立について理由があると認めるときは、異議に係る登録について更正をし、且つ、その旨を申立人及び自動車登録原簿に記載されている利害関係人に通知しなければならない。
2 陸運局長は、前條の異議の申立について理由がないと認めるときは、理由を附した文書でその旨を申立人に通知しなければならない。
(命令への委任)
第三十九條 自動車登録原簿の記載、登録の更正に関する事項その他の登録の実施のために必要な事項は、政令で定める。
2 自動車登録番号標、その封印、検認票、譲渡証明書及び臨時運行の許可に関する細目的事項は、運輸省令で定める。
第三章 道路運送車両の保安基準
(自動車の構造)
第四十條 自動車は、その構造が、左の各号に掲げる事項について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
一 長さ、幅及び高さ
二 最低地上高
三 車両総重量(車両重量、最大積載量及び五十五キログラムに乗車定員を乗じて得た重量の総和をいう。)
四 車輪にかかる荷重の車両重量(運行に必要な装備をした状態における自動車の重量をいう。)に対する割合
五 車輪にかかる荷重の車両総重量に対する割合
六 最大安定傾斜角度
七 最小回転半径
八 接地部及び接地圧
(自動車の装置)
第四十一條 自動車は、左の各号に掲げる装置について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
一 原動機及び動力伝達装置
二 車輪及び車軸、そりその他の走行装置
三 操縦装置
四 制動装置
五 ばねその他の緩衝装置
六 燃料装置
七 車わく及び車体
八 連結装置
九 乗車装置及び物品積載装置
十 前面ガラスその他の窓ガラス
十一 消音器その他の騒音防止装置
十二 煤煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置
十三 前照燈、番号燈、尾燈、制動燈、車幅燈その他の燈火装置
十四 警音器その他の警報装置
十五 方向指示器その他の指示装置
十六 後写鏡、窓ふき器その他の視野を確保する装置
十七 速度計、走行距離計その他の計器
十八 消火器その他の防火装置
十九 内圧容器及びその附属装置
二十 その他政令で定める特に必要な自動車の装置
(乗車定員又は最大積載量)
第四十二條 自動車は、乗車定員又は最大積載量について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
(自動車の保安上の技術基準についての制限の附加)
第四十三條 陸運局長は、こう配、曲折、ぬかるみ、積雪、結氷その他の路面の状況等により保安上危險な道路において主として運行する自動車の使用者に対し、当該自動車につき、第四十條の規定による同條各号についての制限、第四十一條の規定による走行装置、制動装置、燈火装置若しくは警報装置についての制限又は第四十二條の規定による乗車定員若しくは最大積載量についての制限を附加することができる。
2 陸運局長は、前項の行為をするときは、予め運輸大臣の承認を受けなければならない。
(原動機付自転車の保安基準)
第四十四條 原動機付自転車は、左の各号に掲げる事項について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
一 長さ、幅及び高さ
二 接地部及び接地圧
三 制動装置
四 車体
五 前照燈及び後部反射器
六 警音器
七 消音器
(軽車両の保安基準)
第四十五條 軽車両は、左に掲げる事項について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
一 長さ、幅及び高さ
二 接地部及び接地圧
三 制動装置
四 車体
五 警音器
(保安上の技術基準の原則)
第四十六條 第四十條から第四十二條まで、第四十四條及び前條の規定による保安上の技術基準(以下「保安基準」という。)は、道路運送車両の構造及び装置が運行に十分堪え、操縦その他の使用のための作業に安全であるとともに、通行人その他に危害を與えないことを確保するものでなければならず、且つ、これにより製作者又は使用者に対し、自動車の製作又は使用について不当な制限を課することとなるものであつてはならない。
第四章 道路運送車両の整備
(仕業点検)
第四十七條 自動車を運行する者は、一日一回、その運行の開始前において、運輸省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。
(整備勧告)
第四十八條 運輸大臣は、自動車の使用者に対し、運輸省令で定める技術上の基準に従い整備をすべきことを勧告することができる。
(自動車整備記録簿)
第四十九條 乗車定員十一人以上の自動車を十両以上使用する者又は自動車運送事業者は、乗車定員十一人以上の自動車又は事業の用に供する自動車について分解整備(原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置又は連結装置を取りはずして行う自動車の整備又は改造であつて運輸省令で定めるものをいう。以下同じ。)をしたときは、左の各号に掲げる事項を自動車整備記録簿に記載しなければならない。
一 分解整備を完了した年月日
二 分解整備の概要
三 第七十八條の自動車分解整備事業者が分解整備の工事をした場合にあつては、その氏名又は名称及び住所
(整備管理者の選任)
第五十條 乗車定員十一人以上の自動車の使用者は、自動車の使用の本拠ごとに、乗車定員十人以下の自動車を使用する自動車運送事業者にあつては、五両以上の自動車の使用の本拠ごとに、その他の自動車の使用者は、十両以上の自動車の使用の本拠ごとに、自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理させるため、整備管理者を選任しなければならない。
2 前項の規定により整備管理者を選任しなければならない者(以下「大型自動車使用者等」という。)は、整備管理者に対し、その職務の執行に必要な権限を與えなければならない。
(整備管理者の資格)
第五十一條 左の各号の一に該当する者でなければ、前條の整備管理者となることができない。
一 自動車の分解整備に関して五年以上実務の経験を有する者
二 第五十五條の規定による自動車整備士技能検定のうち運輸省令で定める種類に合格した者
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学(旧專門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による專門学校又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。以下單に「大学」という。)において、機械に関する学科を修得した者であつて、一年以上自動車の分解整備に関する実務の経験を有するもの
四 学校教育法による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による工業学校を含む。以下單に「高等学校」という。)において、機械に関する学科を修得した者であつて、三年以上自動車の分解整備に関する実務の経験を有するもの
2 第五十三條に規定する命令により解任され、解任の日から二年を経過しない者は、整備管理者となることができない。
(選任届)
第五十二條 大型自動車使用者等は、整備管理者を選任したときは、その日から十五日以内に、陸運局長にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも同様である。
(解任命令)
第五十三條 陸運局長は、整備管理者がこの法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、大型自動車使用者等に対し、整備管理者の解任を命ずることができる。
(整備命令)
第五十四條 陸運局長は、自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用者に対し、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために必要な最小限度の整備を命ずることができる。
2 陸運局長は、自動車の使用者が前項の規定による命令に従わない場合において、当該自動車が保安基準に適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用を停止し、又は当該自動車の使用の方法若しくは経路を制限することができる。
3 陸運局長は、前項の処分に係る自動車が保安基準に適合するに至つたときは、直ちに同項の処分を取り消さなければならない。
(自動車整備士の技能検定)
第五十五條 運輸大臣は、自動車の整備の向上を図るため、申請により、自動車整備士の技能検定を行う。
2 前項の技能検定は、申請者が保安基準その他の自動車の整備に関する知識及び技能を有するかどうかを学科試験及び実技試験により判定することによつて行う。
3 自動車整備士の技能検定の種類、試験科目、受験手続その他技能検定の実施種目は、運輸省令で定める。
(自動車車庫に関する勧告)
第五十六條 運輸大臣は、自動車の使用者に対し、その用に供する自動車車庫に関し、運輸省令で定める技術上の基準によるべきことを勧告することができる。
(原動機付自転車等の整備命令)
第五十七條 第五十四條の規定は、原動機付自転車及び旅客軽車両(軽車両運送事業者が旅客の運送の用に供する軽車両をいう。以下同じ。)について準用する。この場合において、「陸運局長」とあるのは「都知事(特別区の区域に限る。)又は市町村長」と読み替えるものとする。
第五章 道路運送車両の検査
(新規検査)
第五十八條 自動車は、その使用者が、その使用の本拠の位置を管轄する陸運局長の行う検査を受け、自動車検査証の交付を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。但し、第三十四條に規定する臨時運行の許可を受けた自動車については、この限りでない。
(新規検査の申請)
第五十九條 前條の検査を受けようとする者は、陸運局長に対し、左の各号に掲げる事項を記載した申請書を提出し、且つ、当該自動車を呈示しなければならない。
一 第七條第一項第一号及び第三号から第六号までに掲げる事項
二 乗車定員又は最大積載量
三 申請者の氏名又は名称及び住所
四 登録自動車にあつては、自動車登録番号
2 第七條第三項の規定は、前項の場合に準用する。
(自動車検査証の交付)
第六十條 陸運局長は、第五十八條の検査の結果、当該自動車が保安基準に適合し、且つ、申請者が当該自動車を使用する権利を有すると認めるときは、左の各号に掲げる事項を記載した自動車検査証を申請者に交付しなければならない。
一 自動車検査証番号及び登録自動車にあつては自動車登録番号
二 車台番号及び原動機番号
三 自動車検査証の有効期間
四 使用者及び所有者の氏名又は名称及び住所
五 使用の本拠の位置
六 車名及び型式
七 普通自動車、小型自動車、軽自動車又は特殊自動車の別
八 長さ、幅及び高さ
九 車体の形状
十 原動機の型式
十一 動力伝達装置、操縦装置、制動装置、燃料装置及び連結装置の型式
十二 燃料の種類
十三 原動機の総排気量及びサイクル又は定格出力
十四 自動車運送事業の用に供するかどうかの別
十五 用途
十六 特殊自動車にあつては、その種類
十七 けん引自動車又は被けん引自動車にあつては、被けん引自動車又はけん引自動車の自動車登録番号(自動車登録番号がない場合には自動車検査証番号)
十八 第四十三條の規定により制限を附加した自動車にあつては、その旨
十九 乗車定員又は最大積載量
二十 車両重量及び車両総重量
(自動車検査証の有効期間)
第六十一條 自動車検査証の有効期間は、一年とする。
2 陸運局長は、前條、次條第一項又は第六十三條第三項の場合において、当該自動車が一年を経過しない前に保安基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、前項の有効期間を一年未満に定めることができる。
3 第六十七條、第六十八條又は第七十條の規定により自動車検査証の書換又は再交付をする場合にあつては、新たに交付する自動車検査証の有効期間は、従前の自動車検査証の有効期間の残存期間とする。
(継続検査)
第六十二條 陸運局長は、自動車検査証の有効期間満了後引き続き当該自動車を使用しようとする者が、その有効期間満了前において、陸運局長の行う検査を受けた場合において、当該自動車が保安基準に適合し、且つ、申請者が当該自動車を使用する権利を有すると認めるときは、当該自動車検査証の有効期間を更新し、その旨を自動車検査証に記入しなければならない。
2 前項の規定により自動車検査証の有効期間の更新を受けた自動車は、第五十八條の規定にかかわらず、これを運行の用に供してもよい。
(臨時検査)
第六十三條 自動車の使用者は、陸運局長が定めて公示し、又は通知する期間内に、第三項の検査を受けるために、当該自動車及び自動車検査証を陸運局長に呈示しなければならない。
2 前項の陸運局長の公示又は通知は、自動車の構造、装置若しくは性能の不良に基く事故又は自動車の不正な使用が著しく多い場合において、運輸大臣が必要と認めてその旨を告示したときに限り、行うことができる。
3 陸運局長は、第一項の呈示があつた場合においては、検査を行い、当該自動車が保安基準に適合し、且つ、呈示をした者が当該自動車を使用する権利を有すると認めるときは、当該自動車検査証の有効期間を更新し、その旨を自動車検査証に記入しなければならない。
4 前條第二項の規定は、前項の規定により自動車検査証の有効期間の更新を受けた自動車について準用する。
(分解整備検査)
第六十四條 自動車(軽自動車を除く。)の分解整備をしたときは、自動車の使用者は、当該自動車及び自動車検査証を呈示して陸運局長の検査を受けなければならない。但し、第七十八條の自動車分解整備事業者において分解整備の工事をし、且つ、第九十條の検査をしたときは、この限りでない。
2 前條第三項及び第四項の規定は、前項本文の呈示があつた場合及び自動車検査証の有効期間の更新を受けた自動車について準用する。
(実地審査の委嘱)
第六十五條 第十八條第一項及び第二項の規定は、第五十八條、第六十二條から前條まで又は第六十七條第二項の規定による検査を受けようとする場合に準用する。
2 前項において準用する第十八條第一項の乙陸運局長は、呈示を受けた自動車が保安基準に適合するかどうかを審査し、その旨を前項において準用する第十八條第一項の甲陸運局長に通報しなければならない。
3 甲陸運局長は、第一項において準用する第十八條の許可に係る自動車の自動車検査証についての有効期間の指定又は更新及びその記入を乙陸運局長に委任することができる。
(自動車検査証備付の義務)
第六十六條 自動車は、自動車検査証を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。但し、第三十四條に規定する臨時運行の許可を受けた自動車については、この限りでない。
(記載事項の変更等)
第六十七條 自動車の使用者は、自動車検査証の記載事項について変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、当該事項の変更について、陸運局長が行う自動車検査証の記入を受けなければならない。但し、次條に規定する書換を受けなければならない場合は、この限りでない。
2 陸運局長は、前項の変更が左の各号の一に該当することにより保安基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、当該自動車が保安基準に適合するかどうかについて、検査を受けるべきことを命じなければならない。
一 自動車の長さ、幅又は高さを変更したとき。
二 原動機の型式を変更したとき。
三 動力伝達装置、操縦装置、制動装置、燃料装置又は連結装置の型式を変更したとき。
四 乗車定員又は最大積載量を変更したとき。
3 第六十三條第一項、第三項及び第四項の規定は、前項の場合及び自動車検査証の有効期間の更新を受けた自動車について準用する。
(自動車検査証の書換)
第六十八條 自動車の使用者は、当該自動車の使用の本拠の位置を当該自動車検査証を交付した陸運局長の管轄区域内から他の陸運局長(本條中「乙陸運局長」という。)の管轄区域内に変更したときは、その日から十五日以内に、乙陸運局長が行う自動車検査証の書換を受けなければならない。
(検査証の返納)
第六十九條 陸運局長は、第六十三條第三項、第六十四條又は第六十七條第二項の検査をした場合において、当該自動車が保安基準に適合しないものであると認めるときは、自動車の使用者に対し、理由を附した文書をもつて、当該自動車検査証の返納を命ずることができる。
2 左の各号の一に該当する者は、遅滯なく、当該自動車検査証を陸運局長に返納しなければならない。
一 第五十四條第二項の規定により自動車の使用の停止を命ぜられた者
二 無効な自動車検査証を所持する者
3 陸運局長は、前二項の規定により自動車検査証の返納があつたときは、当該自動車登録原簿に使用停止の旨を表示しなければならない。
4 陸運局長は、第一項の規定による返納の命令に係る自動車が保安基準に適合するに至つたとき、又は第五十四條第三項の規定により使用の停止の取消をしたときは、返納を受けた自動車検査証を返付しなければならない。
5 陸運局長は、前項の規定により自動車検査証の返付をしたとき、又は当該自動車の使用者が有効な自動車検査証を有するに至つたときは、第三項の表示をまつ消しなければならない。
(再交付)
第七十條 自動車の使用者は、自動車検査証が滅失し、き損し、又はその識別が困難となつたときは、その再交付を受けることができる。
(予備検査)
第七十一條 陸運局長は、その所有者が検査を受け、第四項の自動車予備検査証の交付を受けた自動車について、使用者が使用の本拠の位置を定めて申請したときは、その者に対し、第六十條各号に掲げる事項を記載した自動車検査証を交付しなければならない。
2 前項の自動車検査証の交付は、第五十八條の規定により検査をしてなした自動車検査証の交付とみなす。
3 第五十九條第一項の規定は、第一項の検査を受けようとする者に準用する。この場合において、第五十九條第一項第一号中「第三号から第六号まで」とあるのは「第三号から第五号まで」と読み替える。
4 陸運局長は、第一項の検査の結果、当該自動車が保安基準に適合すると認めるときは、第六十條第一号から第三号まで、第六号から第十六号まで、第十九号及び第二十号に掲げる事項、当該自動車の所有者の氏名又は名称及び住所並びに当該自動車の所在する位置を記載した自動車予備検査証を申請者に交付しなければならない。
5 第六十一條の規定は、自動車予備検査証について準用する。この場合において、同條第二項中「前條、次條第一項又は第六十三條第三項」とあるのは「第六十三條第三項又は第七十一條第四項」と読み替える。
6 第六十三條及び第六十四條の規定は、自動車予備検査証の交付に係る自動車について準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と、「自動車検査証」とあるのは「自動車予備検査証」と読み替える。
7 第六十七條の規定は、自動車予備検査証の記載事項について変更があつた場合に準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と読み替える。
8 第六十八條の規定は、自動車予備検査証の交付に係る自動車について準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と、「使用の本拠の位置」とあるのは「所在する位置」と読み替える。
9 第六十九條第一項及び第二項第二号の規定は、自動車予備検査証の交付に係る自動車について準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と、「自動車検査証」とあるのは「自動車予備検査証」と読み替える。
10 前條の規定は、自動車予備検査証について準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と読み替える。
(自動車検査記録簿)
第七十二條 陸運局長は、自動車検査証記録簿を備え、本章に規定する自動車の検査並びに自動車検査証及び自動車予備検査証の交付、記入、書換、返納及び再交付に関する事項を記載しなければならない。
(原動機付自転車及び旅客軽車両の検査)
第七十三條 原動機付自転車又は旅客軽車両は、保安基準に適合し、且つ、申請者が当該道路運送車両を使用する権利を有するかどうかについて、その使用者が、その使用の本拠の位置を管轄する都知事(特別区の区域に限る。)又は市町村長の検査を受け、原動機付自転車番号又は旅客軽車両番号の指定を受け、原動機付自転車検査証又は旅客軽車両検査証の交付を受けなければ、これを運行の用に供してはならない。
2 原動機付自転車又は旅客軽車両は、原動機付自転車番号又は旅客軽車両番号を記載した原動機付自転車番号標又は旅客軽車両番号標をその後面の見易い位置に表示しなければ、これを運行の用に供してはならない。
3 第六十一條第一項の規定は、原動機付自転車検査証及び旅客軽車両検査証について準用する。
(自動車検査官)
第七十四條 運輸大臣は、運輸省の職員のうちから自動車検査官を任命し、本章に規定する自動車の検査及び第五十四條の規定による処分に関する事務につき、陸運局長を補助させるものとする。
2 第二十四條第二項の規定は、自動車検査官に準用する。
(自動車の指定)
第七十五條 運輸大臣は、自動車の安全性の増進を図るため、申請により、自動車をその型式について指定する。
2 前項の指定は、申請に係る自動車が保安基準に適合し、且つ、均一性を有するものであるかどうかを判定することによつて行う。
3 第一項の申請をした者は、その型式について指定を受けた自動車を譲渡する場合において、当該自動車が保安基準に適合しているかどうかを検査し、適合すると認めるときは、完成検査終了証を発行し、これを譲受人に交付しなければならない。
4 運輸大臣は、その型式について指定を受けた自動車が保安基準に適合しなくなり、又は均一性を有するものでなくなつたときは、その指定を取り消すことができる。この場合において、運輸大臣は、取消の日までに製作された自動車について取消の効力の及ぶ範囲を限定することができる。
(省令への委任)
第七十六條 自動車検査証及び自動車予備検査証の様式及び再交付の手続、第七十三條第一項の検査の手続、原動機付自転車検査証及び旅客軽車両検査証の記載事項及び返納に関する事項、前條第三項の検査の基準、同項の完成検査終了証の様式その他本章に規定する道路運送車両の検査の実施細目は、運輸省令で定める。
第六章 自動車の整備事業
(自動車分解整備事業の種類)
第七十七條 自動車分解整備事業(軽自動車以外の自動車の分解整備を行う事業をいう。以下同じ。)の種類は、左に掲げるものとする。
一 普通自動車分解整備事業(電気自動車(電動機を原動機とする自動車をいう。以下同じ。)以外の普通自動車、四輪の小型自動車及び特殊自動車を対象とする自動車分解整備事業)
二 小型自動車分解整備事業(電気自動車以外の小型自動車を対象とする自動車分解整備事業)
三 電気自動車分解整備事業(電気自動車を対象とする自動車分解整備事業)
(認証)
第七十八條 自動車分解整備事業を経営しようとする者は、自動車分解整備事業の種類及び第九十條の検査を行う事業場ごとに、陸運局長の認証を受けなければならない。
2 自動車分解整備事業の認証は、対象とする自動車の種類を指定し、その他業務の範囲を限定して行うことができる。
3 自動車分解整備事業の認証には、條件を附し、又はこれを変更することができる。
4 前項の條件は、自動車分解整備事業の認証を受けた者(以下「自動車分解整備事業者」という。)が行う自動車の分解整備が適切に行われるために必要とする最小限度のものに限り、且つ、当該自動車分解整備事業者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
(申請)
第七十九條 自動車分解整備事業の認証を受けようとする者は、自動車分解整備事業の種類及び予定する事業場の位置を記載した申請書に、第八十五條の検査主任者を選任すること及び次條第一項第二号の技術上の基準に適合する設備を備えることを信じさせるに足る書面を添え、陸運局長に提出しなければならない。
2 前條第二項の業務の範囲を限定する認証を受けようとする者は、申請書に前項に掲げる事項の外、自動車の種類その他業務の範囲をあわせて記載しなければならない。
3 陸運局長は、自動車分解整備事業の認証を申請した者に対し、前二項に規定するものの外、商業登記簿の謄本その他必要な書面の提出を求めることができる。
(認証基準)
第八十條 陸運局長は、前條の規定による申請が左の各号に掲げる基準に適合するときは、自動車分解整備事業の認証をしなければならない。
一 申請者が、第八十五條の検査主任者を選任することを信じさせるに足る理由があるものであること。
二 当該事業場の設備が、運輸省令で定める技術上の基準に適合するものであること。
三 申請者が、左に掲げる者に該当しないものであること。
イ この法律に規定する罪を犯し一年以上の懲役の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
ロ 第九十三條の規定による自動車分解整備事業の認証の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者
ハ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者であつて、その法定代理人がイ又はロのいずれかに該当するもの
ニ 法人であつて、その役員(如何なる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)のうちにイ、ロ又はハのいずれかに該当する者があるもの
2 前項第二号の規定による技術上の基準は、自動車分解整備事業の種類別に自動車の分解整備に必要な最低限度のものでなければならない。
(変更届等)
第八十一條 自動車分解整備事業者は、左の各号に掲げる事項について変更が生じたときは、その事由が生じた日から三十日以内に、陸運局長に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 事業場の位置
三 事業場の設備のうち運輸省令で定める特に重要なもの
2 自動車分解整備事業者が左の各号の一に該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、その事由が生じた日から三十日以内に、その旨を陸運局長に届け出なければならない。
一 自動車分解整備事業者が死亡したときは、その相続人
二 自動車分解整備事業者たる法人が合併及び破産以外の事由により解散したときは、その清算人
三 自動車分解整備事業者たる法人が合併により解散したときは、その役員であつた者
四 自動車分解整備事業者たる法人が破産により解散したときは、その破産管財人
五 事業を廃止したときは、自動車分解整備事業者であつた者(自動車分解整備事業者たる法人が事業を廃止したときは、自動車分解整備事業者であつた者の役員)
(相続及び合併)
第八十二條 自動車分解整備事業者について相続又は合併があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、被相続人の死亡後三十日以内にその協議により事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、自動車分解整備事業者のこの法律の規定による地位を承継する。
2 前項の規定により自動車分解整備事業者の地位を承継した者は、その事由の生じた日から三十日以内にその旨を陸運局長に届け出なければならない。
(事業の譲渡)
第八十三條 自動車分解整備事業者が自動車分解整備事業を譲渡したときは、譲受人は、譲渡人のこの法律の規定による地位を承継する。
2 前條第二項の規定は、前項の場合に準用する。
(認証の失効)
第八十四條 第八十一條第二項第五号の規定により事業の廃止の届出があつたときは、自動車分解整備事業の認証は、その効力を失う。
(検査主任者の選任)
第八十五條 自動車分解整備事業者は、自ら検査主任者となる場合の外、第九十條の検査及び第九十一條の分解整備記録簿の記載に関する事項を処理させるため、第九十條の検査を行う事業場ごとに、検査主任者を選任しなければならない。
2 検査主任者は、他の事業場の検査主任者となることができない。
(検査主任者の資格)
第八十六條 左の各号の一に該当する者でなければ、前條の検査主任者となることができない。
一 自動車の分解整備に関して七年以上実務の経験を有する者
二 自動車整備士の技能検定のうち運輸省令で定める種類に合格した者
三 大学において機械に関する学科を修得した者であつて、三年以上自動車の分解整備に関する実務の経験を有するもの
四 高等学校において機械に関する学科を修得した者であつて、五年以上自動車の分解整備に関する実務の経験を有するもの
2 第八十八條に規定する命令により解任され、解任の日から二年を経過しない者は、検査主任者となることができない。
(選任届)
第八十七條 自動車分解整備事業者は、検査主任者を選任したときは、その日から十五日以内に、陸運局長にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも同様である。
(検査主任者の解任)
第八十八條 陸運局長は、検査主任者が第九十條の検査を執行した自動車が保安基準に適合していない場合は、自動車分解整備事業者に対し、検査主任者の解任を命ずることができる。
(標識)
第八十九條 自動車分解整備事業者は、事業場において、公衆の見易いように、運輸省令で定める様式の標識を掲げなければならない。
2 自動車分解整備事業者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲げてはならない。
(自動車分解整備事業者の検査)
第九十條 自動車分解整備事業者は、分解整備を完了したときは、当該自動車が保安基準に適合するかどうかについて検査をしなければならない。
(分解整備記録簿)
第九十一條 自動車分解整備事業者は、分解整備記録簿を備え、前條の検査をしたときは、これに左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 車台番号及び原動機番号並びに登録自動車にあつては自動車登録番号
二 分解整備の概要
三 検査の年月日
四 検査を執行した者の氏名
五 分解整備の工事の依頼者の氏名又は名称及び住所
2 分解整備記録簿は、その記載の日から一年間保存しなければならない。
(保安命令)
第九十二條 陸運局長は、自動車分解整備事業者の事業場の設備が第八十條第一項第二号の規定による技術上の基準に適合しないときは、当該自動車分解整備事業者に対し、その設備を基準に適合させるべきことを命ずることができる。
(事業の停止等)
第九十三條 陸運局長は、自動車分解整備事業者が、左の各号の一に該当するときは、三箇月以内において期間を定めて事業の停止を命じ、又は認証を取り消すことができる。
一 この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したとき。
二 第七十八條第二項の規定による業務の範囲の限定又は同條第三項の規定により認証に附した條件に違反したとき。
三 第八十條第一項第三号イ、ハ又はニに掲げる者となつたとき。
(優良自動車整備事業者の認定)
第九十四條 運輸大臣は、自動車の整備の向上を図るため、申請により、自動車又はその部分の整備又は改造を業とする者について、優良な設備、技術及び管理組織を有する事業場ごとに、優良自動車整備事業者の認定を行う。
2 優良自動車整備事業者の認定を受けた者は、事業場において、公衆の見易いように、運輸省令で定める様式の標識を掲げなければならない。
3 優良自動車整備事業者の認定を受けた者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲げてはならない。
4 運輸大臣は、第一項の認定を受けた者が同項に基く設備、技術及び管理組織を有しなくなつたと認めるときは、認定を取り消すことができる。
5 第一項の認定の種類、認定の基準その他認定の実施細目は、運輸省令で定める。
(自動車整備振興会)
第九十五條 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四條の規定により設立される法人であつて、その名称中に自動車整備振興会の文字を用いるものは、自動車の整備に関する設備の改善及び技術の向上を促進するため、事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の定めるところに従い、左に掲げる事業を行うことを目的とするものでなければならない。
一 自動車整備振興会としての意見を公表し、又は適当な行政庁に申し出ること。
二 必要な調査研究を行い、統計を作製し、資料を收集し、若しくはこれらを公刊し、又は情報を提供し、若しくはあつ旋すること。
三 講演又は講習を行うこと。
四 自動車の整備に関して相談に応ずること。
第九十六條 前條の法人以外の者は、その名称中に自動車整備振興会の文字を用いてはならない。
第七章 雑則
(登録自動車に対する強制執行等)
第九十七條 登録自動車であつて軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものに対する強制執行については、地方裁判所が執行裁判所として、これを管轄する。
2 前項の強制執行に関し必要な事項は、最高裁判所が定める。
3 前二項の規定は、登録自動車であつて軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものの競売について準用する。
(不正使用等の禁止)
第九十八條 何人も、行使の目的をもつて、自動車登録番号標、自動車の登録の検認票、臨時運行許可番号標、原動機付自転車番号標又は旅客軽車両番号標を僞造し、若しくは変造し、又は僞造若しくは変造に係るこれらの物を使用してはならない。
(保安基準の規定の準用)
第九十九條 第四十條から第四十二條までの規定は、道路以外の場所において使用する自動車であつて多数の人員の輸送を行うものその他政令で定める保安上特に重要なものの使用について準用する。
(報告徴收及び立入検査)
第百條 当該行政庁は、第一條の目的を達成するため必要があると認めるときは、左の各号に掲げる者に、道路運送車両の所有若しくは使用又は事業に関し報告をさせることができる。
一 道路運送車両の所有者又は使用者
二 自動車登録番号標交付代行者
三 第二十九條第二項の規定により指定を受けた者
四 第七十五條第一項の規定により自動車の型式について指定を受けた者
五 自動車分解整備事業者
六 優良自動車整備事業者の認定を受けた者
2 当該職員は、第一條の目的を達成するため特に必要があると認めるときは、前項各号に掲げる者の事務所その他の事業場又は道路運送車両の所在すると認める場所に立ち入り、道路運送車両、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる。
3 前項の場合には、当該職員は、その身分を示す証票を携帶し、且つ、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
4 第二項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(告示の義務)
第百一條 運輸大臣は、第二十五條の指定、第二十六條第二項の事業の停止の命令若しくは指定の取消、第七十五條第一項の指定若しくは第四項の指定の取消又は第九十四條第一項の認定若しくは第四項の認定の取消をしたときは、その旨の告示をしなければならない。
(手数料の納付)
第百二條 左の表の上欄の者(国を除く。)は、それぞれ、一件につき、同表の下欄の金額の範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。
手数料を納付すべき者
金額
一 自動車の新規登録を受けようとする者
二百円
二 第十二條第一項の変更登録又は第十三條第一項の移転登録の申請をする者
百円
三 第十四條第一項の登録換の申請をする者
百円
四 陸運局長が行う臨時運行の許可を受けようとする者
五十円
五 自動車登録原簿の謄本若しくは抄本の交付又は自動車登録原簿の閲覧を請求する者
五十円
六 自動車整備士の技能検定の申請をする者
三百五十円
七 第七十五條第一項の指定を申請する者
八千円
八 第九十四條第一項の規定による認定を申請する者
三千円
(聽聞)
第百三條 当該行政庁は、第二十六條第二項、第五十三條、第七十五條第四項、第八十八條、第九十三條又は第九十四條第四項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当の期間を置いて予告をした上、公開による聽聞をしなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聽聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対して、当該事案について、証拠を提出し、意見を述べる機会を與えなければならない。
(訴願)
第百四條 この法律又はこの法律に基く命令の規定による行政庁の処分に不服がある者は、運輸大臣に訴願をすることができる。
(職権の委任)
第百五條 この法律の規定により運輸大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、陸運局長に行わせることができる。
2 第二章及び第五章並びに第四十三條及び第五十四條の規定により陸運局長の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、都道府県知事に行わせることができる。
第八章 罰則
第百六條 第九十八條の規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百七條 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 詐僞その他不正の手段により、第十七條第三項、第二十九條第二項、第三十一條但書、第三十四條第一項、第六十條、第六十二條第一項、第六十三條第三項(第六十四條第二項、第六十七條第三項及び第七十一條第六項において準用する場合を含む。)、第七十條又は第七十一條第四項の規定による検認、許可その他の処分を受けた者
二 第二十九條第一項又は第三十一條の規定に違反した者
第百八條 左の各号の一に該当する者は、六箇月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第四條、第十一條第三項、第二十條第一項若しくは第二項、第三十六條第一項、第五十八條、第六十九條第二項又は第七十三條第一項の規定に違反した者
二 第五十四條第二項(第五十七條において準用する場合を含む。)の規定による使用の方法若しくは経路の制限又は第六十九條第一項の規定による返納命令に違反した者
第百九條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十一條第一項、第十七條第四項、第十九條、第二十條第四項、第二十九條第二項、第六十六條又は第七十三條第二項の規定に違反した者
二 第十二條第一項、第十三條第一項、第十四條第一項又は第十五條第一項の規定による申請をせず又は虚僞の申請をした者
三 第二十五條の規定による指定を受けないで自動車登録番号標を登録自動車の所有者に交付する業を行つた者
四 第二十六條第二項又は第九十三條の規定による命令に違反した者
五 第三十二條の規定による命令に違反した者
六 第七十八條第一項の規定による認証を受けないで自動車分解整備事業を経営した者
七 第七十八條第二項の規定による業務の範囲の限定に違反した者
第百十條 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第十七條第一項、第二十六條第一項、第二十八條第二項、第三十三條、第四十九條、第五十條、第六十三條第一項、第六十四條、第六十七條第一項、第六十八條、第八十五條第一項、第八十九條第二項、第九十條、第九十一條、第九十四條第三項、第九十六條又は第九十九條において準用する第四十條から第四十二條までの規定に違反した者
二 第二十七條第一項の規定による認可を受けないで手数料を收受した者
三 第三十條、第五十二條、第八十一條、第八十二條第二項、(第八十三條第二項において準用する場合を含む。)第八十七條又は第百條第一項の規定に基く届出若しくは報告をせず、又は虚僞の届出若しくは報告をした者
四 第三十三條第一項、第四十九條又は第九十一條第一項の規定による譲渡証明書等に虚僞の記載をした者
五 第三十九條及び第七十六條の規定に基く命令の規定に違反した者
六 第五十三條、第六十七條第二項又は第八十八條の規定による命令に違反した者
七 第百條第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し虚僞の陳述をした者
第百十一條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は所有し、若しくは使用する道路運送車両に関し、第百七條から前條までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
第百十二條 第二十七條第三項、第二十八條第一項、第七十五條第三項、第八十九條第一項又は第九十四條第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
この法律は、昭和二十六年七月一日から施行する。但し、第五條並びに第九十七條第一項及び第三項(同條第一項の準用に係る部分に限る)の規定は、昭和二十七年四月一日から施行する。
法務総裁 大橋武夫
運輸大臣 山崎猛
内閣総理大臣 吉田茂
道路運送車両法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十五号
道路運送車両法
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
自動車の登録(第四条―第三十九条)
第三章
道路運送車両の保安基準(第四十条―第四十六条)
第四章
道路運送車両の整備(第四十七条―第五十七条)
第五章
道路運送車両の検査(第五十八条―第七十六条)
第六章
自動車の整備事業(第七十七条―第九十六条)
第七章
雑則(第九十七条―第百五条)
第八章
罰則(第百六条―第百十二条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証を行い、並びに安全性の確保及び整備についての技術の向上を図り、あわせて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「道路運送車両」とは、自動車、原動機付自転車及び軽車両をいう。
2 この法律で「自動車」とは、原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれによりけん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、次項に規定する原動機付自転車以外のものをいう。
3 この法律で「原動機付自転車」とは、運輸省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれによりけん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具をいう。
4 この法律で「軽車両」とは、人力若しくは畜力により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれによりけん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、政令で定めるものをいう。
5 この法律で「運行」とは、人又は物品を運送するとしないとにかかわらず、道路運送車両を当該装置の用い方に従い用いること(道路以外の場所のみにおいて用いることを除く。)をいう。
6 この法律で「道路」とは、道路法(大正八年法律第五十八号)による道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)による自動車道及びその他の一般交通の用に供する場所をいう。
7 この法律で「自動車運送事業者」又は「軽車両運送事業者」とは、道路運送法による自動車運送事業者又は軽車両運送事業者をいう。
(自動車の種別)
第三条 この法律に規定する普通自動車、小型自動車、軽自動車及び特殊自動車の別は、自動車の大きさ及び構造並びに原動機の種類及び総排気量又は定格出力を基準として運輸省令で定める。
第二章 自動車の登録
(登録の一般的効力)
第四条 自動車は、自動車登録原簿に登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
第五条 登録を受けた自動車で、軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものの所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。
(自動車登録原簿)
第六条 自動車登録原簿は、陸運局長が設ける。
2 自動車登録原簿は、一両の自動車につき、一用紙を備える。
(新規登録の申請)
第七条 登録を受けていない自動車の登録(以下「新規登録」という。)を受けようとする場合には、その所有者は、自動車の使用の本拠の位置を管轄する陸運局長に対し、左に掲げる事項を記載した申請書に、運輸省令で定める区分により、第三十三条に規定する譲渡証明書、第二十二条第一項の新規登録用謄本、輸入の事実を証明する書面又は当該自動車の所有権を証明するに足るその他の書面を添えて提出し、且つ、第六十条の規定により交付を受けた自動車検査証及び当該自動車を呈示しなければならない。
一 車名、型式及び形状
二 自動車検査証番号
三 車台番号
四 原動機番号
五 所有者の氏名又は名称及び住所
六 使用の本拠の位置
七 取得の原因
2 陸運局長は、前項の申請をする者に対し、同項に規定するものの外、車台番号又は原動機番号の打刻に関する証明書その他必要な書面の提出を求めることができる。
3 第一項の申請をする場合において、その型式について第七十五条第一項の指定を受けた自動車にあつては、同条第三項の規定に基く完成検査終了証(発行後六箇月を経過しないものに限る。)の提出をもつて当該自動車の呈示に代えることができる。
(新規登録の基準)
第八条 陸運局長は、前条の申請書を受理したときは、左の各号に該当する場合を除き、新規登録をしなければならない。
一 申請者が当該自動車の所有権を有するものと認められないとき。
二 呈示した自動車検査証が有効なものでないとき。
三 当該自動車に打刻されている車台番号及び原動機番号(完成検査終了証の提出をもつて当該自動車の呈示に代えた場合には、完成検査終了証に記載されている車台番号及び原動機番号)が申請書及び自動車検査証に記載されている車台番号及び原動機番号と同一でないとき。
四 その他その申請に係る事項に虚偽があると認めるとき。
(新規登録事項)
第九条 新規登録は、自動車登録原簿に第七条第一項第一号から第六号までに掲げる事項及び新規登録の年月日を記載し、且つ、自動車登録番号を定め、これを自動車登録原簿に記載することによつて行う。
(自動車登録番号の通知)
第十条 陸運局長は、新規登録をしたときは、申請者に対し、自動車登録番号を通知しなければならない。
(自動車登録番号標の封印等)
第十一条 自動車の所有者は、前条の規定による自動車登録番号の通知を受けたときは、当該番号を記載した自動車登録番号標を陸運局長又は第二十六条の自動車登録番号標交付代行者から交付を受け、これを当該自動車に取りつけた上、陸運局長の封印の取りつけを受けなければならない。
2 陸運局長は、その型式について第七十五条第一項の指定を受けた自動車であつて新規登録をうけたものについての前項の封印の取りつけを運輸省令で定める者に委託することができる。
3 何人も、陸運局長又は前項の規定による委託を受けた者が封印の取りつけをした自動車登録番号標は、これを取りはずしてはならない。但し、整備のため特に必要がある場合その他やむを得ない場合において、陸運局長の許可を受けたときは、この限りでない。
4 自動車の所有者は、自動車登録番号標又はその封印が滅失し、き損し、その識別が困難となり、又は第三十九条第二項の規定に基き運輸省令で定める様式に適合しなくなつたときは、陸運局長にこれらの取りはずしを受け、第一項の規定に準じて自動車登録番号標を取りつけ、又は陸運局長の封印の取りつけを受けなければならない。
(変更登録)
第十二条 自動車の所有者は、自動車登録原簿に記載されている形状、自動車検査証番号、車台番号、原動機番号、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、陸運局長の行う変更登録の申請をしなければならない。但し、次条の規定による移転登録、第十四条の規定による登録換又は第十五条の規定によるまつ消登録の申請をすべき場合は、この限りでない。
2 前項の変更登録のうち、車台番号又は原動機番号の変更に係るものについては、第八条第二号から第四号までの規定を、その他の変更に係るものについては、同条第二号及び第四号の規定を準用する。
(移転登録)
第十三条 新規登録を受けた自動車(以下「登録自動車」という。)について所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、陸運局長の行う移転登録の申請をしなければならない。
2 前項の移転登録については、第八条第一号、第二号及び第四号の規定を準用する。
(登録換)
第十四条 登録自動車の所有者は、当該自動車の使用の本拠の位置について、当該自動車登録原簿を設ける陸運局長(本条中「甲陸運局長」という。)の管轄区域内から他の陸運局長(本条中「乙陸運局長」という。)の管轄区域内に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、甲陸運局長に登録換の申請をしなければならない。
2 甲陸運局長は、前項の申請を受理したときは、当該申請書及び当該自動車登録原簿の謄本を、遅滞なく、乙陸運局長に送付しなければならない。この場合において甲陸運局長は、当該自動車登録原簿にその旨を表示しなければならない。
3 乙陸運局長は、前項の送付を受けた場合において、自動車の所有者が乙陸運局長の交付する自動車検査証を呈示したときは、遅滞なく、当該自動車につき自動車登録番号を定め、自動車登録原簿に第九条の規定に準じて、登録換をし、且つ、申請者に対し、自動車登録番号を通知しなければならない。
4 第一項の申請の受理及び前項の登録換をする場合には、第八条第二号及び第四号の規定を準用する。
5 第十一条第一項の規定は、自動車の所有者が第三項の規定により自動車登録番号の通知を受けた場合に準用する。
6 乙陸運局長は、第三項の登録換をした場合には、その旨を甲陸運局長に通報しなければならない。
7 甲陸運局長は、前項の通報を受けた場合には、当該自動車登録原簿を閉鎖しなければならない。
(まつ消登録)
第十五条 登録自動車の所有者は、左に掲げる場合には、その事由があつた日から十五日以内に、まつ消登録の申請をしなければならない。
一 登録自動車が滅失し、解体し(整備又は改造のために解体する場合を除く。)又は自動車の用途を廃止したとき。
二 当該自動車の車台が当該自動車の新規登録の際存したものでなくなつたとき。
2 前項の場合において、登録自動車の所有者がまつ消登録の申請をしないときは、陸運局長は、その定める七日以上の期間内において、これをなすべきことを催告しなければならない。
3 陸運局長は、前項の催告をした場合において、登録自動車の所有者が正当な理由がないのにまつ消登録の申請をしないときは、まつ消登録をし、その旨を所有者に通知しなければならない。
第十六条 登録自動車の所有者は、その自動車を運行の用に供することをやめたときは、まつ消登録の申請をすることができる。
(自動車の登録の検認)
第十七条 登録自動車の所有者は、陸運局長が定めて公示し、又は通知する期間内に、第三項の検認を受けるために、当該自動車及び自動車検査証を陸運局長に呈示しなければならない。
2 登録自動車の所有者で公示又は通知により検認を受けたものは、一年以内に再び検認を受けることを求められることはない。但し、不真正な登録の記載の疑がある者については、この限りでない。
3 陸運局長は、第一項の呈示があつた場合において、左の各号に該当することを検認したときは、自動車登録原簿に検認年月日及び検認済の旨を表示し、且つ、所有者に対し検認票を交付しなければならない。
一 自動車検査証が有効なものであること。
二 当該自動車に打刻されている車台番号及び原動機番号が自動車登録原簿に記載されている車台番号及び原動機番号と同一のものであること。
三 自動車登録番号標に記載されている自動車登録番号が自動車登録原簿に記載されている自動車登録番号と同一のものであること。
4 第一項の呈示をすべき自動車は、同項の期間経過後は、これに検認票を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
(実地審査の委嘱)
第十八条 第七条第一項の申請をする者又は前条第一項の呈示をすべき自動車の所有者が、その申請又は呈示に係る自動車が当該陸運局長(本条中「甲陸運局長」という。)の管轄区域外に所在することによりその呈示が困難である場合その他特にやむを得ない事由がある場合において、甲陸運局長の許可をうけたときは、第七条第一項又は前条第一項の自動車検査証及び自動車の呈示は、他の陸運局長(本条中「乙陸運局長」という。)に対する呈示をもつて代えることができる。
2 甲陸運局長は、前項の許可をしたときは、乙陸運局長にその旨を通報しなければならない。
3 乙陸運局長は、呈示を受けた自動車検査証及び自動車につき、第七条第一項の申請に係るものにあつては第八条第二号から第四号までに掲げる場合に該当するかどうかを審査し、前条第一項の呈示に係るものにあつては同条第三項に準じて審査し、その結果を甲陸運局長に通報しなければならない。
4 甲陸運局長は、第一項の許可に係る自動車登録番号標の封印の取りつけを乙陸運局長に委任することができる。
(自動車登録番号標等の表示の義務)
第十九条 自動車は、第十一条第一項又は第四項の規定により取りつけた自動車登録番号標及び第十七条第四項の規定により表示した検認票を見易いようにして置かなければ、これを運行の用に供してはならない。
(自動車登録番号標の廃棄等)
第二十条 登録自動車の所有者は、左の各号の一に該当するときは、遅滞なく、当該自動車登録番号標及び封印を取りはずし、運輸省令で定める方法により、これを破壊し、若しくは廃棄し、又は陸運局長若しくは第二十六条の自動車登録番号標交付代行者に売却しなければならない。
一 第十四条第三項の規定により自動車登録番号の通知を受けたとき。
二 第十五条第一項又は第十六条の規定によりまつ消登録を受けたとき。
三 第十五条第三項の規定によりまつ消登録のあつた旨の通知を受けたとき。
2 登録自動車の所有者は、第六十九条第一項又は第二項の規定により自動車検査証を返納したときは、遅滞なく、当該自動車登録番号標及び封印を取りはずし、自動車登録番号標について陸運局長の領置を受けなければならない。
3 前項の領置を受けた者が、第六十九条第四項の規定により自動車検査証の返付を受けたとき、又は有効な自動車検査証を有するに至つたときは、陸運局長は、遅滞なく、領置をした自動車登録番号標を返付しなければならない。
4 前項の自動車登録番号標の返付を受けた者は、当該自動車登録番号標を当該自動車に取りつけ、陸運局長の封印の取りつけを受けなければならない。
(自動車登録原簿の保存等)
第二十一条 自動車登録原簿は、閉鎖した場合においては、その日から五年間、まつ消登録をした場合においては、その日から二十年間これを保存しなければならない。
2 自動車登録原簿の登録に係る申請書及びその添付書類は、十年間保存しなければならない。
3 自動車登録原簿は、災害を避ける場合その他やむを得ない場合を除く外、これを陸運局又はその出張所から持ち出すことができない。
(自動車登録原簿の謄本)
第二十二条 まつ消登録を受けた自動車登録原簿の謄本であつて、当該自動車につき新規登録を申請する場合に提出するために請求するもの(以下「新規登録用謄本」という。)は、当該自動車一両につき、一通を限り、まつ消登録を受けた者に交付する。
2 何人も、陸運局長に対し、新規登録用謄本以外の自動車登録原簿の謄本若しくは自動車登録原簿の抄本の交付を請求し、又は利害関係がある部分に限り自動車登録原簿の閲覧を請求することができる。
(自動車登録原簿の滅失)
第二十三条 自動車登録原簿の全部又は一部が滅失した場合における自動車登録原簿の回復に関して必要な事項は、政令で定める。
(自動車登録官)
第二十四条 運輸大臣は、運輸省の職員のうちから自動車登録官を任命し、本章に規定する登録に関する事務につき陸運局長を補助させるものとする。
2 自動車登録官の任命、服務及び研修について必要な事項は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)及びこれに基く人事院規則による外、運輸省令で定める。
(自動車登録番号標交付代行者)
第二十五条 自動車登録番号標を登録自動車の所有者に交付する業を行おうとする者は、事業場ごとに、運輸大臣の指定を受けなければならない。
(禁止行為等)
第二十六条 前条の規定により指定を受けた者(以下「自動車登録番号標交付代行者」という。)は、左の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 第十一条(第十四条第五項において準用する場合を含む。)の規定により自動車登録番号標の交付を受けなければならない者の請求がある場合において、災害その他やむを得ない事由がないのに自動車登録番号標を交付しないこと。
二 前号の者以外の者に自動車登録番号標を交付すること。
2 運輸大臣は、自動車登録番号標交付代行者がこの法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、三箇月以内において期間を定めてその事業の停止を命じ、又はその指定を取り消すことができる。
(自動車登録番号標の交付手数料)
第二十七条 自動車登録番号標交付代行者は、自動車登録番号標の交付につき収受する手数料については、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、自動車登録番号標の交付に要する実費を考慮して、これをしなければならない。
3 自動車登録番号標交付代行者は、第一項の手数料について、事業場において公衆の見易いように掲示しなければならない。
4 第二十条第一項の規定により購入する自動車登録番号標の代価については、第一項及び第三項の規定を準用する。
(標識)
第二十八条 自動車登録番号標交付代行者は、事業場において、公衆の見易いように、運輸省令で定める様式の標識を掲げなければならない。
2 自動車登録番号標交付代行者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲げてはならない。
(車台番号等の打刻)
第二十九条 自動車の製作を業とする者以外の者は、自動車の車台番号又は原動機番号を打刻してはならない。
2 自動車の製作を業とする者が自動車の車台番号又は原動機番号を打刻しようとするときは、その様式、番号、位置及び方法について運輸大臣の指定を受け、その範囲内において、これをしなければならない。
(輸入自動車等の打刻の届出)
第三十条 自動車又はその部分の輸入を業とする者は、自動車又は自動車の車台若しくは原動機を輸入したときは、その都度その車台番号及び原動機番号の様式、番号及び位置を輸入の日から二十日以内に運輸大臣に届け出なければならない。
(打刻の塗まつ等の禁止)
第三十一条 何人も、自動車の車台番号又は原動機番号の打刻を塗まつし、その他車台番号又は原動機番号の識別を困難にするような行為をしてはならない。但し、整備のため特に必要な場合その他やむを得ない場合において、陸運局長の許可を受けたとき、又は次条の規定による命令を受けたときは、この限りでない。
(職権による打刻等)
第三十二条 陸運局長は、自動車が左の各号の一に該当するときは、その所有者に対し、車台番号若しくは原動機番号の打刻を受け、若しくはその打刻を塗まつすべきことを命じ、又は自ら車台番号若しくは原動機番号の打刻を塗まつし、若しくは打刻をすることができる。
一 車台番号又は原動機番号の打刻を有しないとき。
二 当該自動車の車台番号又は原動機番号の打刻が他の自動車の車台番号又は原動機番号の打刻と類似のものであるとき。
三 当該自動車の車台番号又は原動機番号の打刻が識別困難なものであるとき。
(譲渡証明書等)
第三十三条 自動車を譲渡する者は、左に掲げる事項を記載した譲渡証明書及び新規登録用謄本(まつ消登録があつた自動車を譲渡する場合に限る。)を譲受人に交付しなければならない。
一 譲渡の年月日
二 車名、型式及び形状
三 車台番号及び原動機番号
四 譲渡人及び譲受人の氏名又は名称及び住所
2 前項の譲渡証明書は、譲渡に係る自動車一両につき、二通以上交付してはならない。
3 自動車を譲渡する者は、当該自動車に関して既に交付を受けている第一項の譲渡証明書を有するときは、これを譲受人に交付しなければならない。
(臨時運行の許可)
第三十四条 自動車は、臨時運行の許可を受けたものである場合には、第四条の規定にかかわらず、これを次条第五項の目的及び経路に限り、運行の用に供することができる。
2 前項の臨時運行の許可は、陸運局長、市及び特別区の長並びに政令で定める町村の長(「行政庁」という。次条において同じ。)が行う。
(許可基準等)
第三十五条 前条の臨時運行の許可は、当該自動車の試運転を行う場合、第七条第一項及び第五十九条第一項の呈示のための回送を行う場合その他特に必要がある場合に限り、行うことができる。
2 臨時運行の許可は、有効期間を附して行う。
3 前項の有効期間は、五日をこえてはならない。但し、長期間を要する回送の場合その他特にやむを得ない場合は、この限りでない。
4 行政庁は、臨時運行の許可をしたときは、臨時運行許可証を交付し、且つ、臨時運行許可番号標を貸与しなければならない。
5 前項の臨時運行許可証には、臨時運行の目的及び経路並びに第二項の有効期間を記載しなければならない。
6 臨時運行の許可を受けた者は、第二項の有効期間が満了したときは、その日から五日以内に、当該行政庁に臨時運行許可番号標を返納しなければならない。
(臨時運行許可番号標表示等の義務)
第三十六条 臨時運行の許可に係る自動車は、臨時運行許可番号標を見易いように表示し、且つ、臨時運行許可証を携帯する者でなければ、これを運行の用に供してはならない。
2 第十九条の規定は、臨時運行の許可に係る自動車には適用しない。
(異議の申立)
第三十七条 本章の規定により陸運局長の行う登録について不服がある者は、当該陸運局長に異議の申立をすることができる。
(異議の決定)
第三十八条 陸運局長は、前条の異議の申立について理由があると認めるときは、異議に係る登録について更正をし、且つ、その旨を申立人及び自動車登録原簿に記載されている利害関係人に通知しなければならない。
2 陸運局長は、前条の異議の申立について理由がないと認めるときは、理由を附した文書でその旨を申立人に通知しなければならない。
(命令への委任)
第三十九条 自動車登録原簿の記載、登録の更正に関する事項その他の登録の実施のために必要な事項は、政令で定める。
2 自動車登録番号標、その封印、検認票、譲渡証明書及び臨時運行の許可に関する細目的事項は、運輸省令で定める。
第三章 道路運送車両の保安基準
(自動車の構造)
第四十条 自動車は、その構造が、左の各号に掲げる事項について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
一 長さ、幅及び高さ
二 最低地上高
三 車両総重量(車両重量、最大積載量及び五十五キログラムに乗車定員を乗じて得た重量の総和をいう。)
四 車輪にかかる荷重の車両重量(運行に必要な装備をした状態における自動車の重量をいう。)に対する割合
五 車輪にかかる荷重の車両総重量に対する割合
六 最大安定傾斜角度
七 最小回転半径
八 接地部及び接地圧
(自動車の装置)
第四十一条 自動車は、左の各号に掲げる装置について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
一 原動機及び動力伝達装置
二 車輪及び車軸、そりその他の走行装置
三 操縦装置
四 制動装置
五 ばねその他の緩衝装置
六 燃料装置
七 車わく及び車体
八 連結装置
九 乗車装置及び物品積載装置
十 前面ガラスその他の窓ガラス
十一 消音器その他の騒音防止装置
十二 煤煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置
十三 前照灯、番号灯、尾灯、制動灯、車幅灯その他の灯火装置
十四 警音器その他の警報装置
十五 方向指示器その他の指示装置
十六 後写鏡、窓ふき器その他の視野を確保する装置
十七 速度計、走行距離計その他の計器
十八 消火器その他の防火装置
十九 内圧容器及びその附属装置
二十 その他政令で定める特に必要な自動車の装置
(乗車定員又は最大積載量)
第四十二条 自動車は、乗車定員又は最大積載量について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
(自動車の保安上の技術基準についての制限の附加)
第四十三条 陸運局長は、こう配、曲折、ぬかるみ、積雪、結氷その他の路面の状況等により保安上危険な道路において主として運行する自動車の使用者に対し、当該自動車につき、第四十条の規定による同条各号についての制限、第四十一条の規定による走行装置、制動装置、灯火装置若しくは警報装置についての制限又は第四十二条の規定による乗車定員若しくは最大積載量についての制限を附加することができる。
2 陸運局長は、前項の行為をするときは、予め運輸大臣の承認を受けなければならない。
(原動機付自転車の保安基準)
第四十四条 原動機付自転車は、左の各号に掲げる事項について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
一 長さ、幅及び高さ
二 接地部及び接地圧
三 制動装置
四 車体
五 前照灯及び後部反射器
六 警音器
七 消音器
(軽車両の保安基準)
第四十五条 軽車両は、左に掲げる事項について、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
一 長さ、幅及び高さ
二 接地部及び接地圧
三 制動装置
四 車体
五 警音器
(保安上の技術基準の原則)
第四十六条 第四十条から第四十二条まで、第四十四条及び前条の規定による保安上の技術基準(以下「保安基準」という。)は、道路運送車両の構造及び装置が運行に十分堪え、操縦その他の使用のための作業に安全であるとともに、通行人その他に危害を与えないことを確保するものでなければならず、且つ、これにより製作者又は使用者に対し、自動車の製作又は使用について不当な制限を課することとなるものであつてはならない。
第四章 道路運送車両の整備
(仕業点検)
第四十七条 自動車を運行する者は、一日一回、その運行の開始前において、運輸省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。
(整備勧告)
第四十八条 運輸大臣は、自動車の使用者に対し、運輸省令で定める技術上の基準に従い整備をすべきことを勧告することができる。
(自動車整備記録簿)
第四十九条 乗車定員十一人以上の自動車を十両以上使用する者又は自動車運送事業者は、乗車定員十一人以上の自動車又は事業の用に供する自動車について分解整備(原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置又は連結装置を取りはずして行う自動車の整備又は改造であつて運輸省令で定めるものをいう。以下同じ。)をしたときは、左の各号に掲げる事項を自動車整備記録簿に記載しなければならない。
一 分解整備を完了した年月日
二 分解整備の概要
三 第七十八条の自動車分解整備事業者が分解整備の工事をした場合にあつては、その氏名又は名称及び住所
(整備管理者の選任)
第五十条 乗車定員十一人以上の自動車の使用者は、自動車の使用の本拠ごとに、乗車定員十人以下の自動車を使用する自動車運送事業者にあつては、五両以上の自動車の使用の本拠ごとに、その他の自動車の使用者は、十両以上の自動車の使用の本拠ごとに、自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理させるため、整備管理者を選任しなければならない。
2 前項の規定により整備管理者を選任しなければならない者(以下「大型自動車使用者等」という。)は、整備管理者に対し、その職務の執行に必要な権限を与えなければならない。
(整備管理者の資格)
第五十一条 左の各号の一に該当する者でなければ、前条の整備管理者となることができない。
一 自動車の分解整備に関して五年以上実務の経験を有する者
二 第五十五条の規定による自動車整備士技能検定のうち運輸省令で定める種類に合格した者
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。以下単に「大学」という。)において、機械に関する学科を修得した者であつて、一年以上自動車の分解整備に関する実務の経験を有するもの
四 学校教育法による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による工業学校を含む。以下単に「高等学校」という。)において、機械に関する学科を修得した者であつて、三年以上自動車の分解整備に関する実務の経験を有するもの
2 第五十三条に規定する命令により解任され、解任の日から二年を経過しない者は、整備管理者となることができない。
(選任届)
第五十二条 大型自動車使用者等は、整備管理者を選任したときは、その日から十五日以内に、陸運局長にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも同様である。
(解任命令)
第五十三条 陸運局長は、整備管理者がこの法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、大型自動車使用者等に対し、整備管理者の解任を命ずることができる。
(整備命令)
第五十四条 陸運局長は、自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用者に対し、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために必要な最小限度の整備を命ずることができる。
2 陸運局長は、自動車の使用者が前項の規定による命令に従わない場合において、当該自動車が保安基準に適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用を停止し、又は当該自動車の使用の方法若しくは経路を制限することができる。
3 陸運局長は、前項の処分に係る自動車が保安基準に適合するに至つたときは、直ちに同項の処分を取り消さなければならない。
(自動車整備士の技能検定)
第五十五条 運輸大臣は、自動車の整備の向上を図るため、申請により、自動車整備士の技能検定を行う。
2 前項の技能検定は、申請者が保安基準その他の自動車の整備に関する知識及び技能を有するかどうかを学科試験及び実技試験により判定することによつて行う。
3 自動車整備士の技能検定の種類、試験科目、受験手続その他技能検定の実施種目は、運輸省令で定める。
(自動車車庫に関する勧告)
第五十六条 運輸大臣は、自動車の使用者に対し、その用に供する自動車車庫に関し、運輸省令で定める技術上の基準によるべきことを勧告することができる。
(原動機付自転車等の整備命令)
第五十七条 第五十四条の規定は、原動機付自転車及び旅客軽車両(軽車両運送事業者が旅客の運送の用に供する軽車両をいう。以下同じ。)について準用する。この場合において、「陸運局長」とあるのは「都知事(特別区の区域に限る。)又は市町村長」と読み替えるものとする。
第五章 道路運送車両の検査
(新規検査)
第五十八条 自動車は、その使用者が、その使用の本拠の位置を管轄する陸運局長の行う検査を受け、自動車検査証の交付を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。但し、第三十四条に規定する臨時運行の許可を受けた自動車については、この限りでない。
(新規検査の申請)
第五十九条 前条の検査を受けようとする者は、陸運局長に対し、左の各号に掲げる事項を記載した申請書を提出し、且つ、当該自動車を呈示しなければならない。
一 第七条第一項第一号及び第三号から第六号までに掲げる事項
二 乗車定員又は最大積載量
三 申請者の氏名又は名称及び住所
四 登録自動車にあつては、自動車登録番号
2 第七条第三項の規定は、前項の場合に準用する。
(自動車検査証の交付)
第六十条 陸運局長は、第五十八条の検査の結果、当該自動車が保安基準に適合し、且つ、申請者が当該自動車を使用する権利を有すると認めるときは、左の各号に掲げる事項を記載した自動車検査証を申請者に交付しなければならない。
一 自動車検査証番号及び登録自動車にあつては自動車登録番号
二 車台番号及び原動機番号
三 自動車検査証の有効期間
四 使用者及び所有者の氏名又は名称及び住所
五 使用の本拠の位置
六 車名及び型式
七 普通自動車、小型自動車、軽自動車又は特殊自動車の別
八 長さ、幅及び高さ
九 車体の形状
十 原動機の型式
十一 動力伝達装置、操縦装置、制動装置、燃料装置及び連結装置の型式
十二 燃料の種類
十三 原動機の総排気量及びサイクル又は定格出力
十四 自動車運送事業の用に供するかどうかの別
十五 用途
十六 特殊自動車にあつては、その種類
十七 けん引自動車又は被けん引自動車にあつては、被けん引自動車又はけん引自動車の自動車登録番号(自動車登録番号がない場合には自動車検査証番号)
十八 第四十三条の規定により制限を附加した自動車にあつては、その旨
十九 乗車定員又は最大積載量
二十 車両重量及び車両総重量
(自動車検査証の有効期間)
第六十一条 自動車検査証の有効期間は、一年とする。
2 陸運局長は、前条、次条第一項又は第六十三条第三項の場合において、当該自動車が一年を経過しない前に保安基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、前項の有効期間を一年未満に定めることができる。
3 第六十七条、第六十八条又は第七十条の規定により自動車検査証の書換又は再交付をする場合にあつては、新たに交付する自動車検査証の有効期間は、従前の自動車検査証の有効期間の残存期間とする。
(継続検査)
第六十二条 陸運局長は、自動車検査証の有効期間満了後引き続き当該自動車を使用しようとする者が、その有効期間満了前において、陸運局長の行う検査を受けた場合において、当該自動車が保安基準に適合し、且つ、申請者が当該自動車を使用する権利を有すると認めるときは、当該自動車検査証の有効期間を更新し、その旨を自動車検査証に記入しなければならない。
2 前項の規定により自動車検査証の有効期間の更新を受けた自動車は、第五十八条の規定にかかわらず、これを運行の用に供してもよい。
(臨時検査)
第六十三条 自動車の使用者は、陸運局長が定めて公示し、又は通知する期間内に、第三項の検査を受けるために、当該自動車及び自動車検査証を陸運局長に呈示しなければならない。
2 前項の陸運局長の公示又は通知は、自動車の構造、装置若しくは性能の不良に基く事故又は自動車の不正な使用が著しく多い場合において、運輸大臣が必要と認めてその旨を告示したときに限り、行うことができる。
3 陸運局長は、第一項の呈示があつた場合においては、検査を行い、当該自動車が保安基準に適合し、且つ、呈示をした者が当該自動車を使用する権利を有すると認めるときは、当該自動車検査証の有効期間を更新し、その旨を自動車検査証に記入しなければならない。
4 前条第二項の規定は、前項の規定により自動車検査証の有効期間の更新を受けた自動車について準用する。
(分解整備検査)
第六十四条 自動車(軽自動車を除く。)の分解整備をしたときは、自動車の使用者は、当該自動車及び自動車検査証を呈示して陸運局長の検査を受けなければならない。但し、第七十八条の自動車分解整備事業者において分解整備の工事をし、且つ、第九十条の検査をしたときは、この限りでない。
2 前条第三項及び第四項の規定は、前項本文の呈示があつた場合及び自動車検査証の有効期間の更新を受けた自動車について準用する。
(実地審査の委嘱)
第六十五条 第十八条第一項及び第二項の規定は、第五十八条、第六十二条から前条まで又は第六十七条第二項の規定による検査を受けようとする場合に準用する。
2 前項において準用する第十八条第一項の乙陸運局長は、呈示を受けた自動車が保安基準に適合するかどうかを審査し、その旨を前項において準用する第十八条第一項の甲陸運局長に通報しなければならない。
3 甲陸運局長は、第一項において準用する第十八条の許可に係る自動車の自動車検査証についての有効期間の指定又は更新及びその記入を乙陸運局長に委任することができる。
(自動車検査証備付の義務)
第六十六条 自動車は、自動車検査証を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。但し、第三十四条に規定する臨時運行の許可を受けた自動車については、この限りでない。
(記載事項の変更等)
第六十七条 自動車の使用者は、自動車検査証の記載事項について変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、当該事項の変更について、陸運局長が行う自動車検査証の記入を受けなければならない。但し、次条に規定する書換を受けなければならない場合は、この限りでない。
2 陸運局長は、前項の変更が左の各号の一に該当することにより保安基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、当該自動車が保安基準に適合するかどうかについて、検査を受けるべきことを命じなければならない。
一 自動車の長さ、幅又は高さを変更したとき。
二 原動機の型式を変更したとき。
三 動力伝達装置、操縦装置、制動装置、燃料装置又は連結装置の型式を変更したとき。
四 乗車定員又は最大積載量を変更したとき。
3 第六十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、前項の場合及び自動車検査証の有効期間の更新を受けた自動車について準用する。
(自動車検査証の書換)
第六十八条 自動車の使用者は、当該自動車の使用の本拠の位置を当該自動車検査証を交付した陸運局長の管轄区域内から他の陸運局長(本条中「乙陸運局長」という。)の管轄区域内に変更したときは、その日から十五日以内に、乙陸運局長が行う自動車検査証の書換を受けなければならない。
(検査証の返納)
第六十九条 陸運局長は、第六十三条第三項、第六十四条又は第六十七条第二項の検査をした場合において、当該自動車が保安基準に適合しないものであると認めるときは、自動車の使用者に対し、理由を附した文書をもつて、当該自動車検査証の返納を命ずることができる。
2 左の各号の一に該当する者は、遅滞なく、当該自動車検査証を陸運局長に返納しなければならない。
一 第五十四条第二項の規定により自動車の使用の停止を命ぜられた者
二 無効な自動車検査証を所持する者
3 陸運局長は、前二項の規定により自動車検査証の返納があつたときは、当該自動車登録原簿に使用停止の旨を表示しなければならない。
4 陸運局長は、第一項の規定による返納の命令に係る自動車が保安基準に適合するに至つたとき、又は第五十四条第三項の規定により使用の停止の取消をしたときは、返納を受けた自動車検査証を返付しなければならない。
5 陸運局長は、前項の規定により自動車検査証の返付をしたとき、又は当該自動車の使用者が有効な自動車検査証を有するに至つたときは、第三項の表示をまつ消しなければならない。
(再交付)
第七十条 自動車の使用者は、自動車検査証が滅失し、き損し、又はその識別が困難となつたときは、その再交付を受けることができる。
(予備検査)
第七十一条 陸運局長は、その所有者が検査を受け、第四項の自動車予備検査証の交付を受けた自動車について、使用者が使用の本拠の位置を定めて申請したときは、その者に対し、第六十条各号に掲げる事項を記載した自動車検査証を交付しなければならない。
2 前項の自動車検査証の交付は、第五十八条の規定により検査をしてなした自動車検査証の交付とみなす。
3 第五十九条第一項の規定は、第一項の検査を受けようとする者に準用する。この場合において、第五十九条第一項第一号中「第三号から第六号まで」とあるのは「第三号から第五号まで」と読み替える。
4 陸運局長は、第一項の検査の結果、当該自動車が保安基準に適合すると認めるときは、第六十条第一号から第三号まで、第六号から第十六号まで、第十九号及び第二十号に掲げる事項、当該自動車の所有者の氏名又は名称及び住所並びに当該自動車の所在する位置を記載した自動車予備検査証を申請者に交付しなければならない。
5 第六十一条の規定は、自動車予備検査証について準用する。この場合において、同条第二項中「前条、次条第一項又は第六十三条第三項」とあるのは「第六十三条第三項又は第七十一条第四項」と読み替える。
6 第六十三条及び第六十四条の規定は、自動車予備検査証の交付に係る自動車について準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と、「自動車検査証」とあるのは「自動車予備検査証」と読み替える。
7 第六十七条の規定は、自動車予備検査証の記載事項について変更があつた場合に準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と読み替える。
8 第六十八条の規定は、自動車予備検査証の交付に係る自動車について準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と、「使用の本拠の位置」とあるのは「所在する位置」と読み替える。
9 第六十九条第一項及び第二項第二号の規定は、自動車予備検査証の交付に係る自動車について準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と、「自動車検査証」とあるのは「自動車予備検査証」と読み替える。
10 前条の規定は、自動車予備検査証について準用する。この場合において、「使用者」とあるのは「所有者」と読み替える。
(自動車検査記録簿)
第七十二条 陸運局長は、自動車検査証記録簿を備え、本章に規定する自動車の検査並びに自動車検査証及び自動車予備検査証の交付、記入、書換、返納及び再交付に関する事項を記載しなければならない。
(原動機付自転車及び旅客軽車両の検査)
第七十三条 原動機付自転車又は旅客軽車両は、保安基準に適合し、且つ、申請者が当該道路運送車両を使用する権利を有するかどうかについて、その使用者が、その使用の本拠の位置を管轄する都知事(特別区の区域に限る。)又は市町村長の検査を受け、原動機付自転車番号又は旅客軽車両番号の指定を受け、原動機付自転車検査証又は旅客軽車両検査証の交付を受けなければ、これを運行の用に供してはならない。
2 原動機付自転車又は旅客軽車両は、原動機付自転車番号又は旅客軽車両番号を記載した原動機付自転車番号標又は旅客軽車両番号標をその後面の見易い位置に表示しなければ、これを運行の用に供してはならない。
3 第六十一条第一項の規定は、原動機付自転車検査証及び旅客軽車両検査証について準用する。
(自動車検査官)
第七十四条 運輸大臣は、運輸省の職員のうちから自動車検査官を任命し、本章に規定する自動車の検査及び第五十四条の規定による処分に関する事務につき、陸運局長を補助させるものとする。
2 第二十四条第二項の規定は、自動車検査官に準用する。
(自動車の指定)
第七十五条 運輸大臣は、自動車の安全性の増進を図るため、申請により、自動車をその型式について指定する。
2 前項の指定は、申請に係る自動車が保安基準に適合し、且つ、均一性を有するものであるかどうかを判定することによつて行う。
3 第一項の申請をした者は、その型式について指定を受けた自動車を譲渡する場合において、当該自動車が保安基準に適合しているかどうかを検査し、適合すると認めるときは、完成検査終了証を発行し、これを譲受人に交付しなければならない。
4 運輸大臣は、その型式について指定を受けた自動車が保安基準に適合しなくなり、又は均一性を有するものでなくなつたときは、その指定を取り消すことができる。この場合において、運輸大臣は、取消の日までに製作された自動車について取消の効力の及ぶ範囲を限定することができる。
(省令への委任)
第七十六条 自動車検査証及び自動車予備検査証の様式及び再交付の手続、第七十三条第一項の検査の手続、原動機付自転車検査証及び旅客軽車両検査証の記載事項及び返納に関する事項、前条第三項の検査の基準、同項の完成検査終了証の様式その他本章に規定する道路運送車両の検査の実施細目は、運輸省令で定める。
第六章 自動車の整備事業
(自動車分解整備事業の種類)
第七十七条 自動車分解整備事業(軽自動車以外の自動車の分解整備を行う事業をいう。以下同じ。)の種類は、左に掲げるものとする。
一 普通自動車分解整備事業(電気自動車(電動機を原動機とする自動車をいう。以下同じ。)以外の普通自動車、四輪の小型自動車及び特殊自動車を対象とする自動車分解整備事業)
二 小型自動車分解整備事業(電気自動車以外の小型自動車を対象とする自動車分解整備事業)
三 電気自動車分解整備事業(電気自動車を対象とする自動車分解整備事業)
(認証)
第七十八条 自動車分解整備事業を経営しようとする者は、自動車分解整備事業の種類及び第九十条の検査を行う事業場ごとに、陸運局長の認証を受けなければならない。
2 自動車分解整備事業の認証は、対象とする自動車の種類を指定し、その他業務の範囲を限定して行うことができる。
3 自動車分解整備事業の認証には、条件を附し、又はこれを変更することができる。
4 前項の条件は、自動車分解整備事業の認証を受けた者(以下「自動車分解整備事業者」という。)が行う自動車の分解整備が適切に行われるために必要とする最小限度のものに限り、且つ、当該自動車分解整備事業者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
(申請)
第七十九条 自動車分解整備事業の認証を受けようとする者は、自動車分解整備事業の種類及び予定する事業場の位置を記載した申請書に、第八十五条の検査主任者を選任すること及び次条第一項第二号の技術上の基準に適合する設備を備えることを信じさせるに足る書面を添え、陸運局長に提出しなければならない。
2 前条第二項の業務の範囲を限定する認証を受けようとする者は、申請書に前項に掲げる事項の外、自動車の種類その他業務の範囲をあわせて記載しなければならない。
3 陸運局長は、自動車分解整備事業の認証を申請した者に対し、前二項に規定するものの外、商業登記簿の謄本その他必要な書面の提出を求めることができる。
(認証基準)
第八十条 陸運局長は、前条の規定による申請が左の各号に掲げる基準に適合するときは、自動車分解整備事業の認証をしなければならない。
一 申請者が、第八十五条の検査主任者を選任することを信じさせるに足る理由があるものであること。
二 当該事業場の設備が、運輸省令で定める技術上の基準に適合するものであること。
三 申請者が、左に掲げる者に該当しないものであること。
イ この法律に規定する罪を犯し一年以上の懲役の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
ロ 第九十三条の規定による自動車分解整備事業の認証の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者
ハ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者であつて、その法定代理人がイ又はロのいずれかに該当するもの
ニ 法人であつて、その役員(如何なる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)のうちにイ、ロ又はハのいずれかに該当する者があるもの
2 前項第二号の規定による技術上の基準は、自動車分解整備事業の種類別に自動車の分解整備に必要な最低限度のものでなければならない。
(変更届等)
第八十一条 自動車分解整備事業者は、左の各号に掲げる事項について変更が生じたときは、その事由が生じた日から三十日以内に、陸運局長に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 事業場の位置
三 事業場の設備のうち運輸省令で定める特に重要なもの
2 自動車分解整備事業者が左の各号の一に該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、その事由が生じた日から三十日以内に、その旨を陸運局長に届け出なければならない。
一 自動車分解整備事業者が死亡したときは、その相続人
二 自動車分解整備事業者たる法人が合併及び破産以外の事由により解散したときは、その清算人
三 自動車分解整備事業者たる法人が合併により解散したときは、その役員であつた者
四 自動車分解整備事業者たる法人が破産により解散したときは、その破産管財人
五 事業を廃止したときは、自動車分解整備事業者であつた者(自動車分解整備事業者たる法人が事業を廃止したときは、自動車分解整備事業者であつた者の役員)
(相続及び合併)
第八十二条 自動車分解整備事業者について相続又は合併があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、被相続人の死亡後三十日以内にその協議により事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、自動車分解整備事業者のこの法律の規定による地位を承継する。
2 前項の規定により自動車分解整備事業者の地位を承継した者は、その事由の生じた日から三十日以内にその旨を陸運局長に届け出なければならない。
(事業の譲渡)
第八十三条 自動車分解整備事業者が自動車分解整備事業を譲渡したときは、譲受人は、譲渡人のこの法律の規定による地位を承継する。
2 前条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
(認証の失効)
第八十四条 第八十一条第二項第五号の規定により事業の廃止の届出があつたときは、自動車分解整備事業の認証は、その効力を失う。
(検査主任者の選任)
第八十五条 自動車分解整備事業者は、自ら検査主任者となる場合の外、第九十条の検査及び第九十一条の分解整備記録簿の記載に関する事項を処理させるため、第九十条の検査を行う事業場ごとに、検査主任者を選任しなければならない。
2 検査主任者は、他の事業場の検査主任者となることができない。
(検査主任者の資格)
第八十六条 左の各号の一に該当する者でなければ、前条の検査主任者となることができない。
一 自動車の分解整備に関して七年以上実務の経験を有する者
二 自動車整備士の技能検定のうち運輸省令で定める種類に合格した者
三 大学において機械に関する学科を修得した者であつて、三年以上自動車の分解整備に関する実務の経験を有するもの
四 高等学校において機械に関する学科を修得した者であつて、五年以上自動車の分解整備に関する実務の経験を有するもの
2 第八十八条に規定する命令により解任され、解任の日から二年を経過しない者は、検査主任者となることができない。
(選任届)
第八十七条 自動車分解整備事業者は、検査主任者を選任したときは、その日から十五日以内に、陸運局長にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも同様である。
(検査主任者の解任)
第八十八条 陸運局長は、検査主任者が第九十条の検査を執行した自動車が保安基準に適合していない場合は、自動車分解整備事業者に対し、検査主任者の解任を命ずることができる。
(標識)
第八十九条 自動車分解整備事業者は、事業場において、公衆の見易いように、運輸省令で定める様式の標識を掲げなければならない。
2 自動車分解整備事業者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲げてはならない。
(自動車分解整備事業者の検査)
第九十条 自動車分解整備事業者は、分解整備を完了したときは、当該自動車が保安基準に適合するかどうかについて検査をしなければならない。
(分解整備記録簿)
第九十一条 自動車分解整備事業者は、分解整備記録簿を備え、前条の検査をしたときは、これに左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 車台番号及び原動機番号並びに登録自動車にあつては自動車登録番号
二 分解整備の概要
三 検査の年月日
四 検査を執行した者の氏名
五 分解整備の工事の依頼者の氏名又は名称及び住所
2 分解整備記録簿は、その記載の日から一年間保存しなければならない。
(保安命令)
第九十二条 陸運局長は、自動車分解整備事業者の事業場の設備が第八十条第一項第二号の規定による技術上の基準に適合しないときは、当該自動車分解整備事業者に対し、その設備を基準に適合させるべきことを命ずることができる。
(事業の停止等)
第九十三条 陸運局長は、自動車分解整備事業者が、左の各号の一に該当するときは、三箇月以内において期間を定めて事業の停止を命じ、又は認証を取り消すことができる。
一 この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したとき。
二 第七十八条第二項の規定による業務の範囲の限定又は同条第三項の規定により認証に附した条件に違反したとき。
三 第八十条第一項第三号イ、ハ又はニに掲げる者となつたとき。
(優良自動車整備事業者の認定)
第九十四条 運輸大臣は、自動車の整備の向上を図るため、申請により、自動車又はその部分の整備又は改造を業とする者について、優良な設備、技術及び管理組織を有する事業場ごとに、優良自動車整備事業者の認定を行う。
2 優良自動車整備事業者の認定を受けた者は、事業場において、公衆の見易いように、運輸省令で定める様式の標識を掲げなければならない。
3 優良自動車整備事業者の認定を受けた者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲げてはならない。
4 運輸大臣は、第一項の認定を受けた者が同項に基く設備、技術及び管理組織を有しなくなつたと認めるときは、認定を取り消すことができる。
5 第一項の認定の種類、認定の基準その他認定の実施細目は、運輸省令で定める。
(自動車整備振興会)
第九十五条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立される法人であつて、その名称中に自動車整備振興会の文字を用いるものは、自動車の整備に関する設備の改善及び技術の向上を促進するため、事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の定めるところに従い、左に掲げる事業を行うことを目的とするものでなければならない。
一 自動車整備振興会としての意見を公表し、又は適当な行政庁に申し出ること。
二 必要な調査研究を行い、統計を作製し、資料を収集し、若しくはこれらを公刊し、又は情報を提供し、若しくはあつ旋すること。
三 講演又は講習を行うこと。
四 自動車の整備に関して相談に応ずること。
第九十六条 前条の法人以外の者は、その名称中に自動車整備振興会の文字を用いてはならない。
第七章 雑則
(登録自動車に対する強制執行等)
第九十七条 登録自動車であつて軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものに対する強制執行については、地方裁判所が執行裁判所として、これを管轄する。
2 前項の強制執行に関し必要な事項は、最高裁判所が定める。
3 前二項の規定は、登録自動車であつて軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものの競売について準用する。
(不正使用等の禁止)
第九十八条 何人も、行使の目的をもつて、自動車登録番号標、自動車の登録の検認票、臨時運行許可番号標、原動機付自転車番号標又は旅客軽車両番号標を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造に係るこれらの物を使用してはならない。
(保安基準の規定の準用)
第九十九条 第四十条から第四十二条までの規定は、道路以外の場所において使用する自動車であつて多数の人員の輸送を行うものその他政令で定める保安上特に重要なものの使用について準用する。
(報告徴収及び立入検査)
第百条 当該行政庁は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、左の各号に掲げる者に、道路運送車両の所有若しくは使用又は事業に関し報告をさせることができる。
一 道路運送車両の所有者又は使用者
二 自動車登録番号標交付代行者
三 第二十九条第二項の規定により指定を受けた者
四 第七十五条第一項の規定により自動車の型式について指定を受けた者
五 自動車分解整備事業者
六 優良自動車整備事業者の認定を受けた者
2 当該職員は、第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるときは、前項各号に掲げる者の事務所その他の事業場又は道路運送車両の所在すると認める場所に立ち入り、道路運送車両、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる。
3 前項の場合には、当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
4 第二項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(告示の義務)
第百一条 運輸大臣は、第二十五条の指定、第二十六条第二項の事業の停止の命令若しくは指定の取消、第七十五条第一項の指定若しくは第四項の指定の取消又は第九十四条第一項の認定若しくは第四項の認定の取消をしたときは、その旨の告示をしなければならない。
(手数料の納付)
第百二条 左の表の上欄の者(国を除く。)は、それぞれ、一件につき、同表の下欄の金額の範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。
手数料を納付すべき者
金額
一 自動車の新規登録を受けようとする者
二百円
二 第十二条第一項の変更登録又は第十三条第一項の移転登録の申請をする者
百円
三 第十四条第一項の登録換の申請をする者
百円
四 陸運局長が行う臨時運行の許可を受けようとする者
五十円
五 自動車登録原簿の謄本若しくは抄本の交付又は自動車登録原簿の閲覧を請求する者
五十円
六 自動車整備士の技能検定の申請をする者
三百五十円
七 第七十五条第一項の指定を申請する者
八千円
八 第九十四条第一項の規定による認定を申請する者
三千円
(聴聞)
第百三条 当該行政庁は、第二十六条第二項、第五十三条、第七十五条第四項、第八十八条、第九十三条又は第九十四条第四項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当の期間を置いて予告をした上、公開による聴聞をしなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対して、当該事案について、証拠を提出し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(訴願)
第百四条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による行政庁の処分に不服がある者は、運輸大臣に訴願をすることができる。
(職権の委任)
第百五条 この法律の規定により運輸大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、陸運局長に行わせることができる。
2 第二章及び第五章並びに第四十三条及び第五十四条の規定により陸運局長の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、都道府県知事に行わせることができる。
第八章 罰則
第百六条 第九十八条の規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百七条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 詐偽その他不正の手段により、第十七条第三項、第二十九条第二項、第三十一条但書、第三十四条第一項、第六十条、第六十二条第一項、第六十三条第三項(第六十四条第二項、第六十七条第三項及び第七十一条第六項において準用する場合を含む。)、第七十条又は第七十一条第四項の規定による検認、許可その他の処分を受けた者
二 第二十九条第一項又は第三十一条の規定に違反した者
第百八条 左の各号の一に該当する者は、六箇月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第四条、第十一条第三項、第二十条第一項若しくは第二項、第三十六条第一項、第五十八条、第六十九条第二項又は第七十三条第一項の規定に違反した者
二 第五十四条第二項(第五十七条において準用する場合を含む。)の規定による使用の方法若しくは経路の制限又は第六十九条第一項の規定による返納命令に違反した者
第百九条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項、第十七条第四項、第十九条、第二十条第四項、第二十九条第二項、第六十六条又は第七十三条第二項の規定に違反した者
二 第十二条第一項、第十三条第一項、第十四条第一項又は第十五条第一項の規定による申請をせず又は虚偽の申請をした者
三 第二十五条の規定による指定を受けないで自動車登録番号標を登録自動車の所有者に交付する業を行つた者
四 第二十六条第二項又は第九十三条の規定による命令に違反した者
五 第三十二条の規定による命令に違反した者
六 第七十八条第一項の規定による認証を受けないで自動車分解整備事業を経営した者
七 第七十八条第二項の規定による業務の範囲の限定に違反した者
第百十条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第十七条第一項、第二十六条第一項、第二十八条第二項、第三十三条、第四十九条、第五十条、第六十三条第一項、第六十四条、第六十七条第一項、第六十八条、第八十五条第一項、第八十九条第二項、第九十条、第九十一条、第九十四条第三項、第九十六条又は第九十九条において準用する第四十条から第四十二条までの規定に違反した者
二 第二十七条第一項の規定による認可を受けないで手数料を収受した者
三 第三十条、第五十二条、第八十一条、第八十二条第二項、(第八十三条第二項において準用する場合を含む。)第八十七条又は第百条第一項の規定に基く届出若しくは報告をせず、又は虚偽の届出若しくは報告をした者
四 第三十三条第一項、第四十九条又は第九十一条第一項の規定による譲渡証明書等に虚偽の記載をした者
五 第三十九条及び第七十六条の規定に基く命令の規定に違反した者
六 第五十三条、第六十七条第二項又は第八十八条の規定による命令に違反した者
七 第百条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し虚偽の陳述をした者
第百十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は所有し、若しくは使用する道路運送車両に関し、第百七条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
第百十二条 第二十七条第三項、第二十八条第一項、第七十五条第三項、第八十九条第一項又は第九十四条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
この法律は、昭和二十六年七月一日から施行する。但し、第五条並びに第九十七条第一項及び第三項(同条第一項の準用に係る部分に限る)の規定は、昭和二十七年四月一日から施行する。
法務総裁 大橋武夫
運輸大臣 山崎猛
内閣総理大臣 吉田茂