(経営革新指針)
第三条 通商産業大臣は、中小企業の経営革新に関する指針(以下「経営革新指針」という。)を定めなければならない。
2 経営革新指針には、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 経済的環境の変化に即応して中小企業が行う経営革新に関する事項
3 通商産業大臣は、経営革新指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、中小企業者の事業を所管する大臣に協議するとともに、中小企業政策審議会の意見を聴かなければならない。
4 通商産業大臣は、経営革新指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(経営革新計画の承認)
第四条 中小企業者及び組合等(以下「中小企業者等」という。)は、単独で又は共同で行おうとする経営革新に関する計画(中小企業者等が第二条第一項第四号から第六号までに掲げる組合若しくは連合会を設立し、又は出資して会社を設立しようとする場合にあっては当該中小企業者等がその組合、連合会又は会社と共同で行う経営革新に関するものを、中小企業者等が合併して会社を設立しようとする場合にあっては合併により設立される会社(合併後存続する会社を含む。)が行う経営革新に関するものを含む。以下「経営革新計画」という。)を作成し、通商産業省令で定めるところにより、これを行政庁に提出して、その経営革新計画が適当である旨の承認を受けることができる。ただし、中小企業者等が共同で経営革新計画を作成した場合にあっては、通商産業省令で定めるところにより、代表者を定め、これを行政庁に提出するものとする。
2 経営革新計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
四 経営革新を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
五 組合等が経営革新に係る試験研究のための費用に充てるためその構成員に対し負担金の賦課をしようとする場合にあっては、その賦課の基準
3 行政庁は、第一項の承認の申請があった場合において、当該申請に係る経営革新計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 前項第一号から第三号までに掲げる事項が経営革新指針に照らして適切なものであること。
二 前項第三号及び第四号に掲げる事項が経営革新を確実に遂行するため適切なものであること。
三 前項第五号に規定する負担金の賦課をしようとする場合にあっては、その賦課の基準が適切なものであること。
(経営革新計画の変更等)
第五条 前条第一項の承認を受けた中小企業者等は、当該承認に係る経営革新計画を変更しようとするときは、通商産業省令で定めるところにより、その承認をした行政庁の承認を受けなければならない。
2 行政庁は、前条第一項の承認に係る経営革新計画(前項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。以下「承認経営革新計画」という。)に従って経営革新のための事業が行われていないと認めるときは、その承認を取り消すことができる。
3 前条第三項の規定は、第一項の承認について準用する。
(中小企業信用保険法の特例)
第六条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条第一項に規定する普通保険(以下「普通保険」という。)、同法第三条の二第一項に規定する無担保保険(以下「無担保保険」という。)又は同法第三条の三第一項に規定する特別小口保険(以下「特別小口保険」という。)の保険関係であって、経営革新関連保証(同法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証であって、承認経営革新計画に従って行われる経営革新のための事業に必要な資金に係るものをいう。以下同じ。)を受けた中小企業者に係るものについての次の表の上欄に掲げる同法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。
第三条第一項 |
保険価額の合計額が |
中小企業経営革新支援法第六条第一項に規定する経営革新関連保証(以下「経営革新関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ |
第三条の二第一項及び第三条の三第一項 |
保険価額の合計額が |
経営革新関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ |
第三条の二第三項及び第三条の三第二項 |
当該保証をした |
経営革新関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした |
当該債務者 |
経営革新関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者 |
2 中小企業信用保険法第三条の七第一項に規定する新事業開拓保険の保険関係であって、経営革新関連保証を受けた中小企業者に係るものについての同項及び同条第二項の規定の適用については、同条第一項中「二億円」とあるのは「三億円(中小企業経営革新支援法第五条第二項に規定する承認経営革新計画に従って行われる経営革新のための事業に必要な資金(以下「経営革新事業資金」という。)以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、二億円)」と、「四億円」とあるのは「六億円(経営革新事業資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、四億円)」と、同条第二項中「二億円」とあるのは「三億円(経営革新事業資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、二億円)」とする。
3 普通保険の保険関係であって、経営革新関連保証に係るものについての中小企業信用保険法第三条第二項及び第五条の規定の適用については、同法第三条第二項中「百分の七十」とあり、及び同法第五条中「百分の七十(無担保保険、特別小口保険、公害防止保険、エネルギー対策保険、海外投資関係保険及び新事業開拓保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。
4 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であって、経営革新関連保証に係るものについての保険料の額は、中小企業信用保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
(中小企業近代化資金等助成法の特例)
第七条 中小企業近代化資金等助成法(昭和三十一年法律第百十五号)第三条第一項に規定する中小企業設備近代化資金の貸付事業に係る貸付金(第十二条第二項において「近代化資金貸付金」という。)であって、承認経営革新計画に従って行われる経営革新のための事業に必要な設備に係るものについては、同法第五条の規定にかかわらず、その償還期間は、七年を超えない範囲内で政令で定める期間とする。
(中小企業投資育成株式会社法の特例)
第八条 中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法(昭和三十八年法律第百一号)第五条第一項各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うことができる。
一 中小企業者が承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行うために資本の額が一億円を超える株式会社を設立する際に発行する株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有
二 中小企業者のうち資本の額が一億円を超える株式会社が承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行うために必要とする資金の調達を図るために発行する新株、転換社債又は新株引受権付社債の引受け及び当該引受けに係る株式、転換社債(その転換により発行された株式を含む。)又は新株引受権付社債の保有
2 前項第一号の規定による株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有並びに同項第二号の規定による新株、転換社債又は新株引受権付社債の引受け及び当該引受けに係る株式、転換社債(その転換により発行された株式を含む。)又は新株引受権付社債の保有は、中小企業投資育成株式会社法の適用については、それぞれ同法第五条第一項第一号及び第二号の事業とみなす。
(課税の特例)
第九条 承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行おうとする中小企業者であって、生産額又は取引額が相当程度減少している中小企業者として通商産業大臣が定めるものに該当する旨の確認を当該承認経営革新計画に係る行政庁から受けたものが、当該承認経営革新計画に従って取得し、又は製作した機械及び装置については、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、課税の特例の適用があるものとする。
2 組合等が、承認経営革新計画で定める賦課の基準(次項及び第四項において単に「賦課の基準」という。)に基づいて、その構成員たる中小企業者に対し、試験研究に必要な機械装置(工具、器具及び備品を含む。)を取得し、又は製作するための費用に充てるための負担金を賦課した場合において、当該中小企業者が当該負担金を納付したときは、租税特別措置法で定めるところにより、当該負担金について特別償却を行うことができる。
3 組合等が賦課の基準に基づいてその構成員に対し試験研究のための費用に充てるための負担金を賦課した場合において、その構成員が当該負担金を納付したときは、租税特別措置法で定めるところにより、当該負担金について試験研究費の額が増加した場合等の課税の特例の適用があるものとする。
4 組合等が、賦課の基準に基づいてその構成員に対し賦課した負担金の全部又は一部をもって、試験研究の用に直接供する固定資産を取得し、又は製作したときは、租税特別措置法で定めるところにより、所得の金額の計算について特別の措置を講ずる。
5 承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行おうとする中小企業者であって、生産額又は取引額が大幅に減少している中小企業者として通商産業大臣が定めるものに該当する旨の確認を当該承認経営革新計画に係る行政庁から受けたものについて欠損金を生じた場合には、租税特別措置法で定めるところにより、法人税の還付について特別の措置を講ずる。