中小企業特恵対策臨時措置法
法令番号: 法律第三十八号
公布年月日: 昭和46年4月5日
法令の形式: 法律
中小企業特恵対策臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十六年四月五日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第三十八号
中小企業特恵対策臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、特恵供与による需給構造の変化に対処し、中小企業の成長発展を図るため、中小企業者が行なう事業の転換を円滑にするための措置等を講じ、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特恵供与」とは、関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)第八条の二の規定により関税についての特別の便益を与えること又は国際連合貿易開発会議の決議に従い経済が開発の途上にある国若しくは地域を原産地とする物品で外国において輸入されるものの関税についての特別の便益を当該外国が与えることをいう。
2 この法律において「中小企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。
一 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、工業、鉱業、運送業その他の業種(次号に掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、商業又はサービス業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であつて、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
四 企業組合
五 協業組合
(認定)
第三条 次の各号に該当する事業で政令で定めるもの(以下「特定事業」という。)を行なう中小企業者であつて、当該特定事業について事業の転換を行なおうとするものは、当該事業の転換に関する計画をその住所地を管轄する都道府県知事に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができる。
一 特恵供与により、当該事業の目的物たる物品と競争関係にある物品の輸入が増加し若しくは増加する見通しがあり、又は当該事業の目的物たる物品若しくはこれを使用した物品の輸出が減少し若しくは減少する見通しがあるため、当該事業を行なう相当数の中小企業者の事業活動に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められること。
二 当該事業について行なう中小企業者の事業の転換を円滑にすることが特に必要であると認められること。
2 前項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、同項の政令の制定又は改廃に係る事業を所管する大臣は、中小企業近代化審議会の意見をきかなければならない。
3 第一項に規定するもののほか、同項の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。
(資金の確保)
第四条 国は、前条第一項の認定を受けた計画(以下「認定計画」という。)に従つて事業の転換を行なうのに必要な資金の確保又はその融通のあつせんに努めるものとする。
(中小企業信用保険法による特恵関連保証の特例)
第五条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条第一項に規定する普通保険(以下「普通保険」という。)、同法第三条の二第一項に規定する無担保保険(以下「無担保保険」という。)又は同法第三条の三第一項に規定する特別小口保険(以下「特別小口保険」という。)の保険関係であつて、特恵関連保証(同法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証であつて、認定計画に従つて事業の転換を行なうのに必要な資金に係るものをいう。以下同じ。)を受けた中小企業者に係るものについての同法第三条第一項、第三条の二第一項及び第三項並びに第三条の三第一項及び第二項の規定の適用については、同法第三条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「中小企業特恵対策臨時措置法第五条第一項に規定する特恵関連保証(以下「特恵関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同法第三条の二第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「特恵関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第三項中「当該保証をした」とあるのは「特恵関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、「当該債務者」とあるのは「特恵関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」と、同法第三条の三第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「特恵関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第二項中「当該保証をした」とあるのは「特恵関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、「当該債務者」とあるのは「特恵関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」とする。
2 普通保険の保険関係であつて、特恵関連保証に係るものについての中小企業信用保険法第三条第二項及び同法第五条の規定の適用については、同法第三条第二項中「百分の七十」とあり、同法第五条中「百分の七十(無担保保険及び特別小口保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。
3 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて、特恵関連保証に係るものについての保険料の額は、中小企業信用保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
(課税の特例)
第六条 特定事業を行なう中小企業者が当該特定事業の用に供している減価償却資産を認定計画に従つて廃棄又は譲渡をするときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、当該中小企業者に対する法人税又は所得税の課税について特別の措置を講ずる。
(近代化施策の推進)
第七条 国及び都道府県は、特恵供与による需給構造の変化に対処して、中小企業者の事業の転換を円滑にするための措置とあわせて、中小企業の近代化を促進するため必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとする。
(職業訓練の実施等)
第八条 国は、中小企業者が特恵供与による需給構造の変化に即応して事業の転換等を行なう場合においては、中小企業の従事者の職業及び生活の安定に資するため、職業訓練の実施、就職のあつせんその他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(指導及び助言)
第九条 国及び都道府県は、中小企業者の依頼に応じて、当該中小企業者が特恵供与による需給構造の変化に即応することができるよう必要な指導及び助言を行なうものとする。
(報告の徴収)
第十条 都道府県知事は、中小企業者に対し、認定計画の実施状況について報告を求めることができる。
(特恵供与に伴う措置の運用)
第十一条 国は、第三条から第九条までに規定する措置と関税暫定措置法第八条の三及び第八条の五第二項に規定する措置その他の特恵供与の運用に関する措置とを、その関連に配意しつつ有効適切に講ずるよう努めるものとする。
(罰則)
第十二条 第十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
附 則
1 この法律は、昭和四十六年十月一日までの間において政令で定める日から施行する。
2 この法律は、施行の日から十年以内に廃止するものとする。
3 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第七号の四の次に次の一号を加える。
七の五 中小企業特恵対策臨時措置法(昭和四十六年法律第三十八号)の施行に関すること。
第四条第三項中「及び第七号の三」を「、第七号の三及び第七号の五」に改める。
法務大臣 植木庚子郎
大蔵大臣 福田赳夫
通商産業大臣 宮澤喜一
内閣総理大臣 佐藤栄作
中小企業特恵対策臨時措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十六年四月五日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第三十八号
中小企業特恵対策臨時措置法
(目的)
第一条 この法律は、特恵供与による需給構造の変化に対処し、中小企業の成長発展を図るため、中小企業者が行なう事業の転換を円滑にするための措置等を講じ、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特恵供与」とは、関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)第八条の二の規定により関税についての特別の便益を与えること又は国際連合貿易開発会議の決議に従い経済が開発の途上にある国若しくは地域を原産地とする物品で外国において輸入されるものの関税についての特別の便益を当該外国が与えることをいう。
2 この法律において「中小企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。
一 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、工業、鉱業、運送業その他の業種(次号に掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、商業又はサービス業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であつて、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
四 企業組合
五 協業組合
(認定)
第三条 次の各号に該当する事業で政令で定めるもの(以下「特定事業」という。)を行なう中小企業者であつて、当該特定事業について事業の転換を行なおうとするものは、当該事業の転換に関する計画をその住所地を管轄する都道府県知事に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができる。
一 特恵供与により、当該事業の目的物たる物品と競争関係にある物品の輸入が増加し若しくは増加する見通しがあり、又は当該事業の目的物たる物品若しくはこれを使用した物品の輸出が減少し若しくは減少する見通しがあるため、当該事業を行なう相当数の中小企業者の事業活動に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められること。
二 当該事業について行なう中小企業者の事業の転換を円滑にすることが特に必要であると認められること。
2 前項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、同項の政令の制定又は改廃に係る事業を所管する大臣は、中小企業近代化審議会の意見をきかなければならない。
3 第一項に規定するもののほか、同項の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。
(資金の確保)
第四条 国は、前条第一項の認定を受けた計画(以下「認定計画」という。)に従つて事業の転換を行なうのに必要な資金の確保又はその融通のあつせんに努めるものとする。
(中小企業信用保険法による特恵関連保証の特例)
第五条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条第一項に規定する普通保険(以下「普通保険」という。)、同法第三条の二第一項に規定する無担保保険(以下「無担保保険」という。)又は同法第三条の三第一項に規定する特別小口保険(以下「特別小口保険」という。)の保険関係であつて、特恵関連保証(同法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証であつて、認定計画に従つて事業の転換を行なうのに必要な資金に係るものをいう。以下同じ。)を受けた中小企業者に係るものについての同法第三条第一項、第三条の二第一項及び第三項並びに第三条の三第一項及び第二項の規定の適用については、同法第三条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「中小企業特恵対策臨時措置法第五条第一項に規定する特恵関連保証(以下「特恵関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同法第三条の二第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「特恵関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第三項中「当該保証をした」とあるのは「特恵関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、「当該債務者」とあるのは「特恵関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」と、同法第三条の三第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「特恵関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第二項中「当該保証をした」とあるのは「特恵関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、「当該債務者」とあるのは「特恵関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」とする。
2 普通保険の保険関係であつて、特恵関連保証に係るものについての中小企業信用保険法第三条第二項及び同法第五条の規定の適用については、同法第三条第二項中「百分の七十」とあり、同法第五条中「百分の七十(無担保保険及び特別小口保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。
3 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて、特恵関連保証に係るものについての保険料の額は、中小企業信用保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
(課税の特例)
第六条 特定事業を行なう中小企業者が当該特定事業の用に供している減価償却資産を認定計画に従つて廃棄又は譲渡をするときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、当該中小企業者に対する法人税又は所得税の課税について特別の措置を講ずる。
(近代化施策の推進)
第七条 国及び都道府県は、特恵供与による需給構造の変化に対処して、中小企業者の事業の転換を円滑にするための措置とあわせて、中小企業の近代化を促進するため必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとする。
(職業訓練の実施等)
第八条 国は、中小企業者が特恵供与による需給構造の変化に即応して事業の転換等を行なう場合においては、中小企業の従事者の職業及び生活の安定に資するため、職業訓練の実施、就職のあつせんその他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(指導及び助言)
第九条 国及び都道府県は、中小企業者の依頼に応じて、当該中小企業者が特恵供与による需給構造の変化に即応することができるよう必要な指導及び助言を行なうものとする。
(報告の徴収)
第十条 都道府県知事は、中小企業者に対し、認定計画の実施状況について報告を求めることができる。
(特恵供与に伴う措置の運用)
第十一条 国は、第三条から第九条までに規定する措置と関税暫定措置法第八条の三及び第八条の五第二項に規定する措置その他の特恵供与の運用に関する措置とを、その関連に配意しつつ有効適切に講ずるよう努めるものとする。
(罰則)
第十二条 第十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
附 則
1 この法律は、昭和四十六年十月一日までの間において政令で定める日から施行する。
2 この法律は、施行の日から十年以内に廃止するものとする。
3 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第七号の四の次に次の一号を加える。
七の五 中小企業特恵対策臨時措置法(昭和四十六年法律第三十八号)の施行に関すること。
第四条第三項中「及び第七号の三」を「、第七号の三及び第七号の五」に改める。
法務大臣 植木庚子郎
大蔵大臣 福田赳夫
通商産業大臣 宮沢喜一
内閣総理大臣 佐藤栄作